飲食店顧客対応考~ホリエモンと餃子店とのトラブル踏まえ~

営業

あまり、この種の話題には触れたくないのですが、飲食に関連する事と、顧客対応に関連する事、また対外発信(PR)にも関連する事なので、取り上げてみます。
結論として、今回の一件に関しては、飲食店側に非がある、と考えました。

なお、本稿のテーマは「顧客対応」「対外発信(PR)」にあり、今回の一件の是非判断は趣旨ではありません事、ご承知おきください。

以降、「ホリエモンこと堀江貴文氏」は「堀江氏」、「餃子店」は「飲食店」、全般論的に飲食店に関して話す時は「店側」、同じく全般論的に顧客に関して話す時は「客側」と呼称します。

(更に付け加えると、内容としては、結論、堀江氏の肩を持つ事になりますが、別に筆者は堀江氏のいわゆる“信者”ではありませんし、特段、個人的なつながり等もございません。同様に、飲食店側との何かしらの関係性-遺恨等-もございません。
もう一つ付け加えると、筆者は飲食店出身であった経歴もあり、いわゆる「クレーマー」には悩まされた経験をしています。)

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店側の権利

店側にも権利がある

「お客様は神様である」という言葉がありますが、本来の意図とはかけ離れて解釈される場合があります。
勘違いした方の中には、サービスを提供してくれる対象に対して、とんでもない暴挙に出る方が存在します。

嘆かわしい事です。

当然、サービス提供側にも一定の権利が存在します。

今回の一件で言うならば、「マスク着用・未着用の是非」ですね。

例えば外食における高級業態ですと、ドレスコードがある場合があり、これに反した客側の入店を断る話もあります。
この場合に重要なのが、店側が、「店の規則・ルールを、強制力を持たせた形で明示」している事がポイントです。
「当店の入店に際しては、以下の服装規定(ドレスコード)に従っていただきたく存じます。当店の規定に従っていただけない場合は、入店をお断りさせていただきます。」的なコミュニケーションが、明確にされていれば良いわけです。

(「当店のルールに従ってください。」と、少々緩めの“お願い”だけだと、退店の強制力は無いです。)

そして、店側から実際に退店指示があった場合に、客側が従わなかった場合には“不退去罪”に該当することになるため、警察に通報する事もあり得る事態になります。

で、話をマスクに戻すと、「マスク未着用の場合は、入店できません。」と明示していれば、マスク未着用の客側の入店を拒むことが可能です。

これがまず、店側の権利ですね。

貼り紙の内容

それでは、今回の飲食店の規則・ルールを見ていきましょう。

餃子専門店 四一餃子「今回の騒ぎについて」より

この写真にある通り、明確に「マスク未着用の方はお断りします。」と記載があります。

これに対して「何をお断りするのか?」という疑問が入り口にあるものの、解釈及び下の方の「ソトメシ(外での飲食)」以下部分により「入店お断り」である事は、十分にわかります。
(そして、この点に関しては、堀江氏は承知していた模様。)

しかし、曖昧性が残ります。

繰り返しますが、飲食店側規則・ルールを見る限り、「店舗家屋内に入るにあたりマスク着用は必須であり、マスク未着用の場合は店側が退店させることができる」状態にある事の明確性は高いです。

一方、「ソトメシ(外での飲食)」の場合に、マスク着用が必須なのかが曖昧です。
「入店(店舗家屋内に入る)のみならず店舗利用自体にマスク着用が必須」なのか「マスク未着用の場合はソトメシでお願い」なのか、わかりません。

更に、飲食業である以上、料理を食べる時にマスクを外すのは明確であり、「入店」の解釈も微妙です。
上で「店舗家屋内」と表現した通り、「店舗家屋入り口をくぐるにあたってマスク着用が必要」なのか、それとも「提供する料理を喫食する時以外、マスク着用が必須」なのかが曖昧なのです。

客側は、不明点に関して、店員にその場で問い合わせたとして不思議では無いでしょう。

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顧客対応考

貼り紙の内容は、このように書いておけばよかった

堀江氏の入り口の主張は次の通りです。

ここで取り上げたいのは、次の部分です。

私はしてたけど、1人マスクしてなく、来店したらマスク着用でないと入店できない、と言われどこまで厳しいのかを聞くべく(食べてる時以外ずっとつけてろとか言われるのやだし)「食べてる時以外ずっと着けないとダメなんですか?」って聞いたら、
(中略)
別にマスク着用を拒否してるわけでもなく、ルールの厳しさを聞こうと思ってるだけなのに
(以下、略)

上述の通り、飲食店側の規則・ルールは曖昧性が高く、疑問が出て、また実際に質問があったとしても不思議ではありません。

一例ですが、飲食店側は貼り紙の内容を次の通りに書いていれば、今回のような問題は起きなかったかもしれません。
(マスク関連以外のルールは省略しています。)

マスク未着用の方は、ご利用をお断りする場合があります。

■店内ご利用の場合
・入店に際し、アルコール消毒及びマスクの着用を必須とさせていただきます。
・お召し上がりの時以外、マスクを外さず、着用したままとしてください。
・マスクを外している時は、会話を行わないでください。

■店外ご利用の場合(ソトメシ)
・マスクをお忘れ等の場合は、外での飲食とさせていただきます。
・アルコール消毒は必須とさせていただきます。
・店外ご利用であっても、会話を行わないでください。

店員の指示に従わない場合、退店いただきます。
ご不便をおかけし大変申し訳ございませんが、どうぞ、ご協力の程、よろしくお願いいたします。

質問に対する応対の仕方(コミュニケーション)

さて、堀江氏の主張を改めて取り上げますと。

飲食店側従業員は『「ウチはマスクしてないと入店できないんです」の一点張りで話が先に進まない。』との事。
その上で、店長とおぼしき方が『同じ話をしたら「面倒くさいんで入店しないでくれ!」とピシャリ。』との事。
(なお、少なくとも面倒云々部分は、飲食店側主張にも『糠に釘レベルの無駄な説明するのも「面倒臭いんで帰ってくれって」当たり前じゃないか?』とあるので、ここに認識相違はない模様です。)

あくまでも上の堀江氏の主張を正とするならば、ですが。
飲食店側従業員は、質問に対して次のように回答すれば良かったのでは無いでしょうか?

「マスク未着用の場合は、入店をお断りしています。
また、お召し上がりいただく時以外、マスクは外さないよう、お願いしています。
マスクをお忘れの場合は、あちらの外の席でのご利用となります。」

ようは、論点はマスクの着用有無には無く、マスク利用ルールの厳密性が曖昧だった点、にあるわけです。

退店指示(言葉遣い)が乱暴(コミュニケーション)

退店の指示については、双方、認識に相違が無いようなのは上述の通りです。

とすると、なのですが。

「面倒くさいんで入店しないでくれ!」or「面倒臭いんで帰ってくれ」という言葉遣いは、乱暴の一言でしょう。

堀江氏の疑問は、マスク利用ルールの厳密性が曖昧だった点、にあると高く推測されるのですから、それに対して素直に回答すれば良かっただけでしょうし、仮に本心で面倒くさかったにせよ、「申し訳ありませんが、お引き取り願います。私共の従業員も困っておりますし、お昼時ですので、これ以上対応いたしかねます。」とすれば良かったはずです。

この対応があった上でなお、堀江氏側が引き下がらなかったのならば、確かに「悪質なクレーマー」としても差し支えないでしょう。

その他の問答については、真に状況を知る事ができませんので、乱暴云々での判断是非は行いません。
堀江氏は、自身のツイッターにて「終始穏やかな口調で、俺マスクしながら丁寧に話してたよ。」としていますが、これがどこまで真実なのかは不明で、また受け取り手によっても感じ方は変わるでしょう。
飲食店側も『その場にいたお客様も「アレはないよね大声で…ルール守ってマスクすれば良いだけなのに…」』としていますが、これも本当に大声だったのか否か等、真実はわかりません。
(当然の話ですが。)

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対外発信考

次に対外発信についてです。

騒動をうけての堀江氏の主張が次の通り出ています。

「マスクをしていないと入れない店」に異議あり!

話しぶりは丁寧であり、内容も整理されており、わかりやすい発信となっています。
(と私は感じました。人によって、受け取り方は変わるでしょう。)

一方、飲食店側の騒動をうけての発信はリンク先の通りです(何度か提示しているリンク先と同じものです)。

『(言葉遣いの悪さはごめんなさい)』と断り文がありますが、確かに文体は乱暴であり、また読点・句読点の使い方も適切でなく、非常に読みづらい文章となっています。

この乱暴な文体や、文章力的観点は、まだ問題では無いですが、サービス業として使うには、あまりにも不適切な文言も散見します。

「狂った正義感に煽られた信者達」「字も読めず日本語もわからないのはあんただよ」「嘘を混ぜ込んで書くな。」「お前が狂ってるんだろ」「お前に説明する必要すらない勝手にしろタチの悪いクレーマー。」「アホな取り巻きに攻撃させるやり方も卑怯で最低だな」等々。

SNS上では、次のような応対も行っています。

また加えて、本人の断りなく、本人の様子(監視カメラの映像)も掲載しており、非常識と言わざるを得ません。

丁寧に、下記について整理した文章でリリースを行っていれば良かったはずですし、社会(世論)も飲食店側により賛意を示した事でしょう。
(コミュニケーションが乱暴であり、かつ事業側としては不適切な言葉遣いであり、その点を持って賛意を示せない方も多くいるはずです。)

  • 堀江氏とのやり取りについての正確な記載
  • いわゆる“いたずら電話”をはじめとした嫌がらせを受けて迷惑を被っている事
    (関連して法的措置も検討している事)
  • 飲食店側の規則・ルールの明示と日頃の対応

更に、飲食店側は「店名が誰にでも判る書き方」としていますが、堀江氏の当初主張は次の通りであり、わざわざ調べなければ特定はできないでしょう。
(調べてみたら、尾道には数字から始まる餃子を提供するお店が5店舗程存在しました。)

飲食店側が、わざわざ堀江氏との騒動を公表しなければ、早々に鎮静化した騒動とも言えます。


さて、冒頭部分を繰り返しますが、本稿のテーマは「顧客対応」「対外発信(PR)」にあり、今回の一件の是非判断は趣旨ではありません。

その意味で、丁寧な顧客対応と対外発信が行われていれば、社会(世論)をより一層見方につけられたはずですし、騒動についても早々に鎮静化を図れたはずです。
嫌がらせをしてきた方々に対しても、高い正当性を持って法的措置を取れるはずです。

(むしろ、今の状況、堀江氏側が飲食店側に対して、誹謗中傷・名誉毀損で訴えられます。)

飲食店側の乱暴さも、状況によってはお店の趣と言うか、“味”的な部分も出ると思いますので、良い場面もあるでしょう。
しかし、何かしらのトラブルが発生した時にまで、その乱暴さを引きずってはいけません。
もしかしたら、実際に堀江氏の方が不当なコミュニケーションをとってきた可能性もありますが、そうであっても飲食店側は丁寧な態度を崩してはいけません(丁寧な態度を崩さない事により、正当性が増す)。

昨今、サービス提供側の権利意識の高まりが起きており、これ自体は大変喜ばしい事だと思うのですが、「お客様は神様である」への誤解同様、履き違えてはいけない話です。

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