種類株主総会の省略手続簡素化方法(テンプレート有り)

株主総会

ベンチャー企業ですと、資金調達の関係で種類株式(優先株式)を発行する場合が多いです。
この種類株式は、株主総会運営上、くせ者でして、通常の株主総会に加えて、種類株主総会の開催も必要であり、諸々の手続が煩雑です。
今回は、この種類株主総会の省略手続きを簡素化する方法を紹介します。

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定款や投資契約での記載内容をいじる

通常、投資契約の中で、種類株式(優先株式)の仕様を決め、その内容を定款に記載(&登記)します。

大体において、種類株式のかかる株主総会の開催事由を次のように定めます(下記は定款の記載事例)。

(A種優先株主総会事由)
当会社が次の事項を行うためには、取締役会の決定又は会社法上要求される株主総会決議のほか、A種優先株主を構成員とする種類株主総会の決議を要する。但し、当会社の取締役会の決定(取締役会非設置会社においては取締役決議)において当会社の取締役全員で承認され、かつ当該内容をX種優先株主に書面にて通知した場合は、A種優先株主総会を要しないものとする。

(〇〇〇〇に関する事項)
(1)……….
(2)……….
(3)……….

この場合、(〇〇〇〇に関する事項)に記載されている内容については、取締役全員の承認の上、種類株主全員に書面にて通知した場合は、該当する種類株主総会の開催を省略する事ができます。

ただ、問題なのは、「書面を株主が受け取ったことを証する」事が必要で、書留などの方法で郵送する手間暇が必要です。
(PDFをメールだけ、でも良い様に思いますが、書面で受け取っていない、と異議を出されるリスクは存在します。株主との関係性においては、厳しい局面に立たされる可能性もあるわけです。)

そこで、定款(や投資契約の関連する部分)を次のようにすると、電磁的方法、つまりメールによるPDF送付等の手段で手続きを完了させることができるようになります。

なお、電磁的方法という事で、クラウド型の電子契約サービスを利用し、株主に通知をする、という方法なら、受け取った事のエビデンスにもなるので検討の価値があります。

(A種優先株主総会事由)
当会社が次の事項を行うためには、取締役会の決定又は会社法上要求される株主総会決議のほか、A種優先株主を構成員とする種類株主総会の決議を要する。但し、当会社の取締役会の決定(取締役会非設置会社においては取締役決議)において当会社の取締役全員で承認され、かつ当該内容をX種優先株主に書面または電磁的記録により通知した場合は、A種優先株主総会を要しないものとする。

(〇〇〇〇に関する事項)
(1)……….
(2)……….
(3)……….

ただし、通常の株主総会の開催が必要な事案に関しては(譲渡制限付きの種類株式の新規募集等)、種類株主総会の省略はできないので、ご注意ください。

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取締役会招集通知と取締役会議事録の記載例

取締役会の招集通知には、下記のような形で議案を別だてして、取締役全員の承認を得る方法が考えられます。

この場合の議事録には、全員の同意を得られたため、種類株主総会を通知による方法にて省略を行う、といった記載をすれば良いでしょう。

第〇号議案 A種優先株主、B種優先株主、C種優先株主に対する〇〇〇〇に関する取締役会における取締役全員の承認決定並びに書面による通知の決定の件

(1)趣旨
 各種優先株主に対して〇〇〇〇を伝えるため、取締役全員にて第□号議案及び第▲号議案が承認された場合、A種優先株主、B種優先株主、C種優先株主に書面もしくは電磁的記録にて通知を行いたく、ここに上程するものであります。
(2)内容
 A種優先株主、B種優先株主、C種優先株主には当社の業務規定に従い、適宜の書面もしくは電磁的記録による通知を行います。

他の方法は、招集通知の議案の下に「その他」的項目をつけて、取締役全員の承認を前提に種類株主総会省略のための通知を行う旨を記載する方法も考えられます。

この場合の議事録の記載は、次のようなイメージになります。

本議案の可決、かつ取締役全員の承認を得られたため、当会社定款規程に従い、A種優先株株主、B種優先株株主、C種優先株株主に対して、書面もしくは電磁的記録による通知を行うことにより種類株主総会の省略を行います。

クラウドサインなどのクラウド型の電子契約サービスにて、別の形で同意をとる、という方法も考えられますね。

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通知書テンプレート

下記が種類株主総会を省略するための、種類株主への通知書のテンプレートとなります。


通知書

__________様

YYYY年MM月DD日

(本店)本店住所
(商号)商号を記載
(代表者)代表取締役 〇〇〇〇 印

拝啓 時下ますますご清栄のこととおよろこび申し上げます。
 さて当会社は、YYYY年MM月DD日臨時株主総会において、〇〇〇〇について満場一致をもって可決されました。
 一連の手続きについて弊社定款にて種類株主総会の承認が必要になるところ、本通知を行うことにより種類株主総会を省略し、〇〇〇〇に関して、□□□□となる旨通知いたします。
 つきましては、上記に対し確認事項等ございましたら弊社までご連絡をお願い申し上げます。

1.〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

2.〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

敬具


登記用書類については、司法書士の先生に相談するのが一番ですが、もし仮に自分達で登記をしたいというのであれば、上記通知書をサンプルとして下記文言を付せば登記用書類として使えます。


上記文書にて下記種類株主名簿記載の株主へ通知しました。

YYYY年MM月DD日

(本店)本店住所
(商号)商号を記載
(代表者)代表取締役 〇〇〇〇 印

通知先名簿

(A種優先株株主)
株主名称(法人名称と代表者氏名等)

(B種優先株株主)
以下同様…..


ベンチャー企業の多くは、各種事務手続きをいい加減にやっている所が多いのですが、IPO準備段階に入ると、いきなりガチガチになってきてしまうのが一般的です。

その中で、どこまでやらなければいけないのか、どこは省略できるのか、といったバランスがわからなくなるのも一般的な光景です。

時間も人も限られた環境下では、適法かつリーズナブルな方法をとれるのがベストです。

種類株主総会の運営についても、上記の通り、簡素化する方法がありますので、参考にしていただければ幸いです。

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