取締役会規程~テンプレートと作成のポイント~

IPO・バリュエーション

ここでは「取締役会規程」を作成する上でのテンプレートの提示と、作成のポイントについて解説します。
取締役会組織のガバナンスの基本となる規程ですので、どのように運営し、何を取締役会で決めていくのか、明確にしていきましょう。

~作成のポイント~
基本的には定款の定め及び法令の定めに則って作成します。
設置しているガバナンス体制と会社法に照らし合わせてい行くことが必須となります。

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第1章 総則

(目的)
第1条
当社の取締役会に関する事項は、法令または定款に規定するもののほかは、本規程に定めるところによる。

(構成)
第2条
取締役会は、取締役をもって構成し、業務執行に関する重要事項を決定するとともに、取締役の職務の執行を監督する。

(種類・開催日)
第3条
取締役会は、定時取締役会と臨時取締役会とする。

2.定時取締役会は原則として毎月1回本社にてこれを開催する。

3.臨時取締役会は必要に応じて随時これを開催する。

4.取締役会の開催場所は、原則として本社とする。但し、事情により他の場所又は電話会議及びテレビ会議システム等を利用して開催することができる。なお、電話会議及びテレビ会議システム等を利用して出席する場合には、それが可能である旨及びその場所を記録する。

~作成のポイント~
IPOを行おう、というような会社であれば、毎月1回の取締役会開催は、ほぼ必須と考えましょう。
その時期も、月次決算が締まり次第、可能な限り早く、と考えた方が良いでしょう。
なお、近年は電子会議システムが発達しているので、電子会議開催も可とする文言にしておきます。

(監査役の出席)
第4条
監査役は、取締役会に出席しなければならない。また、必要に応じて意見を述べなければならない。

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第2章 招集

(招集権者)
第5条
取締役会は代表取締役がこれを招集する。

(招集手続及び議長)
第6条
招集権者は本規程の定めるところに従って、開催日の3日前までに各取締役及び監査役に招集通知を発するものとする。ただし、緊急の必要がある場合は、この期間を短縮することができる。

2.取締役会の招集通知は、開催日時・場所および会議の目的とすべき事項を記載した書面をもって行う。ただし、緊急の場合は口頭によることができる。

3.取締役および監査役全員の同意があるときは、招集の手続を経ないで取締役会を開催することができる。

~作成のポイント~
招集期日を定めると共に、例外規程に関しても併せて記載します。

(招集請求)
第7条
招集権者でない取締役は、必要と認めたときは招集権者たる取締役に対し、会議の目的とすべき事項およびその審議を必要とする事由を示して、取締役会の開催を請求することができる。

2.監査役は、監査のため必要と認めたときは、その旨を招集権者たる取締役に通知して、取締役の招集を請求することができる。

3.前項の請求があったにもかかわらず、5日以内にその請求の日から2週間以内の日を会日とする取締役会の招集の通知が発せられなかった場合、その請求をした取締役又は監査役は、自ら取締役会を招集することができる。

~作成のポイント~
招集請求権限を発動するような状態になるのは、会社運営としては望ましくないとは思いますが、適切なガバナンス体制が構築されている、という事含めて、明確に定めておくのが良いでしょう。

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第3章 議事

(議長)
第8条
取締役会の議長は代表取締役がこれにあたる。代表取締役に事故あるときは、予め取締役会で定めた順序により他の取締役がこれに代わる。

2.会議の目的たる事項が議長たる取締役に利害関係のあるときは、その事項についてのみ、議長に事故あるときに準じて、他の取締役が議長となる。

~作成のポイント~
役員序列を別に定めておく前提です。
役員序列は、取締役会決議で事前に決議しておきます。

(決議事項)
第9条
取締役会で決議すべき事項は、別に定める「決裁権限規程」に掲げるところによる。

~作成のポイント~
「別紙」という形で取締役会決議事項を定める方法もあります。
重要なのは、ガバナンス上、何が取締役会決議事項なのか?を明確にしておく事です。
参考事例は、下の方に付しておきます。

(決議の方法)
第10条
取締役会は、全取締役の過半数にあたる取締役の出席により成立し、その決議は出席取締役の過半数をもってこれを行う。

2.会議の目的たる事項につき利害関係を有する取締役は、その議決に参加することができない。この場合、その取締役は出席取締役の数に算入されない。

3.議長は取締役会に出席できない取締役または監査役から要請があったときは、その者の書面による意見を、取締役会において伝達しなければならない。

~作成のポイント~
特別利害関係者に関する事項を明確に定めておきましょう。
「関連当事者取引管理規程」のような形で、別に定める場合もあります。

(取締役会の決議の省略)
第11条
会社は取締役の全員が取締役会の決議事項について書面または電磁的記録により同意した場合には、当該決議事項を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす。ただし、監査役が異議を述べたときはこの限りでない。

~作成のポイント~
みなし決議に関して、明確に定めておきましょう。
IPO進行中に企業ですと、みなし決議は多用する事になると思いますので。

(事後承認)
第12条
緊急その他やむを得ない事由により取締役会に付議することができないときは、前条の規定にかかわらず、代表取締役が適宜処理することができる。

2.前項の場合、代表取締役は事後遅滞なくこれを取締役会に報告し、その承認を受けなければならない。

~作成のポイント~
みなし決議や臨時取締役会は緊急時に開催しますが、それでも間に合わない場合もあります。
事後承認の方法についても定めておきましょう。
「遅滞なく」の部分に関して、明確に定めると、逆に足枷になるので、曖昧な状態にしておくのが良いです。

(他の者の出席)
第13条
取締役会が必要と認めたときは、取締役・監査役以外の者を取締役会に出席させて、その意見または説明を求めることができる。

~作成のポイント~
実務に近い話になると管掌役員でも内容を話せない場合は珍しくないです。
役員以外の担当者も出席できるようにはしておきましょう。
もしくは、わざわざ明示・記載しなくても良いです。

(監査役の意見)
第14条
議長は、監査の対象となる議案については、採決に先立って、監査役の意見を求めなければならないものとする。

2.監査役は、監査のため必要あるときは、取締役会において、会議の目的とされている事項以外のことに関しても、その意見を述べることができる。

(報告事項)
第15条
法令に定められた事項の他、次の事項について取締役会に報告しなければならない。
(1)月次決算報告
(2)月次連結決算報告
(3)その他、取締役会が必要と認めた事項

~作成のポイント~
IPO進行フェーズの企業ですと、月次決算締と月次の取締役会開催は当たり前です。
報告事項として、月次決算報告が入るよう、明確に定めておきましょう。

(議事録)
第16条
取締役会の議事は、その経過の要領と結果ならびにその他の法令に定める事項を議事録に記載し、出席した取締役及び監査役がこれに記名押印、又は電子署名する。

2.取締役会の開催、議事録の作成保管、その他取締役会に関する事務は別に定める「業務分掌規程」の管掌部門が行う。

3.議事録は10年間本社に備え置く。

~作成のポイント~
取締役会議事録は10年間が法定保存年限となります。
クラウド型電子契約サービスによる電子署名と保管が容易な時代ですので、その方法も選択可能な記載にしましょう。

(欠席者に対する通知)
第17条
取締役会の議事の経過の要領と結果は、欠席した取締役及び監査役に通知しなければならない。

第4章 その他

(改廃)
第18条
本規程の改廃は、別に定める「規程管理規程」による。

(その他の事項)
第19条
取締役会の運営について、法令・定款または本規程に定めのない事項で招集に関する事項は招集権者が、その他の事項は議長の決するところによる。

附則

本規程は、YYYY年MM月DD日より実施する。

以上

(参考)取締役会決議事項

(1)経営方針に関する事項
①全社目標、経営基本方針の決定
②全社経営計画(単年度、中長期)の決定
(2)株主総会に関する事項
①株主総会の招集および日時、場所の決定
②株主総会に付議する議題および議案の決定
③定款第●条第●項に基づく臨時株主総会の基準日の決定
④株主の提案にかかる株主総会の議題の採否の決定
(3)決算に関する事項
①計算書類およびその附属明細書の承認
②事業報告およびその附属明細書の承認
③決算短信の承認
④有価証券報告書の承認
⑤四半期報告書の承認
⑥業績予想および配当予想の修正
(4)内部統制に関する事項
①財務報告に係る内部統制評価計画の承認
②内部統制報告書の承認
③リスク管理規程に基づくリスク評価表及び実施計画書の承認
(5)役員に関する事項
①代表取締役および役付取締役の選定
②取締役の担当業務の決定
③取締役に対する従業員職務の委嘱およびその条件の承認
④社長に事故あるとき株主総会の議長となる取締役の決定
⑤取締役の競業取引の承認
⑥取締役と会社間の取引の承認
⑦取締役と会社間の利益相反取引の承認
⑧常勤取締役の他の会社役員・団体理事への就任の承認
⑨株主総会において承認された取締役の報酬総額の範囲内での各取締役の報酬額の決
定および取締役賞与の配分
⑩退任取締役への退職金の額または死亡取締役への弔慰金の額、支給方法の決定(株
主総会より一任を受けた)
⑪系列会社への役員の派遣の決定
⑫取締役と会社間の訴えの代表者の決定
(6)株式に関する事項
①募集株式等の発行の決定
②株式の分割
③新株予約権の発行
④株主名簿管理人の選任および解任
⑤自己株式の取得および消却
⑥中間配当金の実施とその配当額の決定
(7)人事・組織に関する事項
①執行役員の選任および解任
②次部長以上の管理職の任免の決定
③重要な労働契約の締結または変更
④本社または支店その他重要なる組織の設置、変更および廃止の承認
(8)事業運営に関する事項
①新規事業への進出計画(定款変更を要するもの、投資を要するもの)の決定
②他の会社との合併
③会社の分割
④経営上重要な業務提携または他会社との共同事業の決定
⑤重要なる子会社または関連会社の設立、資本参加の決定
⑥経営上重要な契約の締結の決定
⑦系列会社の重要な業務計画の決定
⑧経営上重要な営業の譲渡の決定
(9)資産に関する事項
①経営上重要な資産の取得および譲渡の決定
②経営上重要な資産の貸与もしくは用益権の設定
③長期保有の投資有価証券の取得および処分の決定
(10)資金に関する事項
①主要取引銀行その他の金融機関の決定・変更
②年間資金計画外の多額の借入金の承認
③多額の貸付または他人の債務の保証(手形保証を含む)の承認
④社債(新株予約権付社債および転換社債を含む)の発行
(11)規程の制定、改廃に関する事項
①取締役会規程の制定、改廃
②その他規程および内規の制定および改廃
(12)その他
①経営上重要な訴訟の承認および決定
②その他業務執行上重要または異例な事項の承認および決定
③その他別に定める「職務権限規程」の別表「決定権限表」に基づく付議の決議
取締役会報告事項
(1)決算に関する事項
①月次決算報告
(2)役員に関する事項
①取締役の職務執行状況に関する報告
②取締役が競業取引を行ったときは、遅滞なくその取引に関する重要事実の報告
③取締役が会社と取引を行ったときは、遅滞なくその取引に関する重要事実の報告
④取締役と会社間の利益相反取引を行ったときは、遅滞なくその取引に関する重要事実の報告
(3)監査役の報告
①取締役の法令・定款違反行為に関する報告
②監査方針および監査計画並びに監査の実施状況および結果に関する説明
(4)その他
①その他規程等に定められた事項および取締役会が必要と認める事項

以上

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