ここでは「業務分掌規程」を作成する上でのテンプレートの提示と、作成のポイントについて解説します。
ある程度組織が大きくなってくると、やるべき業務量や大きくなり、幅も広がっていきます。
業務分掌規程または職務分掌規程は、どこの部門がどの業務領域に責任を持つのか、を明確にする非常に大事なものです。
第1章 総則
(目的)
第1条
本規程は、当社における業務の分掌について定め、業務の円滑な遂行を図ることを目的とする。
(分掌の原則)
第2条
各部門は、それぞれの職能に応じて定められた分掌業務に責任をもって遂行しなければならない。
2.各部門は、原則として部門に割り当てられた分掌の限界を超えて他部門に干渉してはならない。ただし、他部門から助言を要請された場合や、特別な事情が生じた場合はこの限りではない。
(相互協調)
第3条
各部門は、相互に関連する業務について、部門の利害にとらわれず全社的な観点から効率的に処理できるように協調しなければならない。
~作成のポイント~
大きくなった組織では、各部門の責任と権限を明確化しないと、混乱が生じるものです。
業務分掌規程は、この内、責任を明確化するもので、これにより組織全体の業務遂行が円滑にまわるようになります。
総則では、この点をシンプルに、また相互強調を前提として内容を記載しましょう。
第2章 業務分掌
(業務分掌の見直し)
第4条
本規程は、当社を取り巻く内外の事業環境の変化に応じて、適宜見直し、変更を行う。
(管理責任者)
第5条
本規程の管理責任者は、業務分掌業務責任者が行う。
(解釈上の疑義)
第6条
本規程の解釈について疑義が生じた場合、業務分掌業務担当部署は関係部門の責任者と協議のうえ、これを決定する。
(業務分掌)
第7条
当会社における各部門の業務分掌については、別に定める「業務分掌規程(一覧)」に従うものとする。
~作成のポイント~
業務分掌規程自体は非常にシンプルに、当たり前の事を記載すれば問題ありません。
重要なのは、その業務分掌規程の中身、一覧にあります。
規程内に業務分掌を明記する会社も存在しますが、付随する別規程として作成した方が、メンテナンスは容易です。
この場合「別表」としてしまうと、業務分掌規程の一部になってしまうので、「別に定める」と記載し、別規程扱いをする方が良いです。
附則
本規程は、YYYY年MM月DD日より実施する。
以上
業務分掌規程(一覧)について
さて、上記において、業務分掌規程の一覧については、別規程扱いをした方が良いですよ、と解説をしました。
こちらの具体に関しては、下記を参照すると良いでしょう。
なお、業務分掌規程一覧のフォーマット(箱)としては下記のようなイメージで作成すると良いです。
業務名称 | 業務内容 | 管掌部門 |
経理業務 | 決算、税務に関する業務 | 経理部 |
人事業務 | 給与、賞与等に関する業務 | 人事総務部 |
総務業務 | 賃貸物件の契約に関わる業務、及び管理、運用に関わる方針の策定 | 総務部 |
経営企画業務 | 予算編成方針の立案決定 | 経営企画部 |
右の管掌部門の所に、実際に組織として運用している部門名称をあてて、業務内容ごとに、その業務を指定します。
後は、各規程において管掌部門の変更があった際も、各規程内で業務名称を指定しておけば、業務分掌規程一覧のみのメンテナンスと決議だけで規程改定が完了します。
また、業務分掌規程一覧は、規程管理規程などで、取締役会決議を経なくても良い、一つ必要な決裁権限が低いものに指定しておけば、統制上の手間暇も減ります。
規程のメンテナンスは大変ですので、極力、メンテナンスが不要となる工夫を凝らして行きましょう。
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