与信管理規程~テンプレートと作成のポイント~

IPO・バリュエーション

ここでは与信管理規程について、テンプレートを提示します。
与信管理は企業にとって重要なプロセスですが、適切に運用できている企業は意外にも少ない印象です。
営業機能とのバランスも考えて、適切な運用を模索して行きましょう。

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第1章 総則

(目的)
第1条
本規程は、当社における、与信限度の設定、管理および債権保全に必要な手続を定め、当社と取引先との間の信用取引において、健全な販売活動を図ることを目的とする。

(適用の範囲)
第2条
本規程は、すべての取引先に適用する。

(債権の範囲)
第3条
本規程における債権とは、売掛金、未収入金、立替金、貸付金をいう。

~作成のポイント~
自社における債権科目を記載します。

(定義)
第4条
本規程における用語の定義は、次のとおりとする。

(1)与信限度とは、当社が取引先に対して設定する信用供与の最高限度をいう。
(2)与信限度の更新とは、取引先に対する与信限度の変更を行うことをいう。

(主管部門および責任者)
第5条
本規程は別に定める「業務分掌規程」に従い、与信管理管掌部門を管掌部門とし、責任者は与信管理管掌役員とする。

~作成のポイント~
自社の組織における権限や責任範囲に応じて管掌部門と責任者を設定します。
なお、組織変更や担当変更に柔軟に対応するためには業務分掌規程のような別規程を参照する形が望ましいです。

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第2章 与信設定

(取引の開始)
第6条
継続取引を開始する揚合は、本規程に基づき、与信限度を設定する。

(与信限度額の設定)
第7条
不良債権の発生を防止するために、取引先毎に与信限度額を設定しなければならない。

2.与信限度額の設定にあたっては、次の各号の事項を勘案して決定する。

(1)信用評価及び信用評価に準拠する与信限度額
(2)経営手腕、業界における地位、売上高、決裁条件、社暦
(3)その他必要と認められる事項

3.取引先が下記に該当する場合は、与信限度設定することを免除できるものとする。

(1)金融機関(直近決算において営業赤字の場合を除く)、国及び市町村の機関。
(2)主要格付機関から「BBB」又は「Baa」以上の長期格付を得ている先。主要格付機関とは、スタンダード&プアーズ、ムーディーズジャパン、日本格付研究所、格付投資情報センターをいう。
(3)上場企業をはじめとした公開情報を容易に入手でき、当社の取引額から勘案して明らかに信用できると判断できる先。

~作成のポイント~
明らかに安全と思われる会社に対して、一々与信確認を行うのは不合理ですので、業務を簡略化する一定のバーを設ける事が考えられます。

(信用評価と与信限度設定額)
第8条
信用評価及び与信限度額設定に当たっては、別に定める「決裁権限規程」および「与信限度額管理基準」によるものとする。

~作成のポイント~
細かい評価基準、与信限度額基準について、与信管理基準内で管理すると柔軟性にかけ、煩雑になるので、別の規程を参照する形が良いです。
この場合、与信の枠の判断基準に関しては与信限度額管理基準のような規程よりランクが落ちる別基準、判断がなされた後の決裁に関しては決裁権限規程やその別紙となる一覧を参照する形が一般的かと考えられるます。

(与信限度の審査)
第9条
各部門より新規の取引先候補情報を、与信管理管掌部門に提出・申請し、これをもって与信管理管掌部門が必要の事務を行うこととする。

(与信限度の登録)
第10条
与信限度の登録は、所定の決裁手続を経て、与信管理管掌部門が行うものとする。

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第3章 与信管理

(与信限度の総括管理)
第11条
与信限度の管理は、与信管理管掌部門が統括する。

2.与信管理管掌部門は、与信限度の設定に関する資料を保管する。

3.日常的な与信限度の管理は、各部門が行うものとする。

~作成のポイント~
与信管理管掌部門が全ての取引先の状況を適切に把握することは実務上困難です。
そのため、取引額が変わる(特に増加する)場合の管理責任は各部門にあるとするのが良いです。
取引額が変化する場合の業務フローを別に定めるのが望ましいでしょう。

(与信限度額の管理)
第12条
各部門は、常に与信限度額の遵守に努めなければならない。

2.別に定める「与信限度額管理基準」に従い、与信限度額の管理を行わなければならない。

3.与信限度設定先については、受注残高も考慮に入れて純債権額が与信限度額を超えないように管理し、特に注意を要すると判断した取引先については、受注停止等の措置をとるものをする。

(与信限度額超過への対応)
第13条
取引高または支払条件により、与信限度額超過の可能性が予想される場合は、各部門は速やかに内容を調査し、与信限度額の超過が一時的であると見込まれる場合は、与信管理管掌部門にその旨を所定の方法により申請する。

2.与信限度額の超過が一時的でないと見込まれる場合は、各部門は与信管理管掌部門にその旨を所定の方法により申請する。

3.前項の報告を受けた与信管理部門は、内容を精査し、特に注意を要すると判断した取引先については、受注停止等の措置をとるものをする。

(取引先の業況の把握)
第14条
営業担当者は、日常の営業活動において常に取引先の業況を把握分析し、取引先の与信限度額に影響を与える業況の変化を把握した場合は、速やかに与信限度額変更の申請を行うものとする。

2.取引先に対する業況の把握は、必要に応じ信用調査(外部調査機関等)を行うものとする。

(与信限度額の見直し)
第15条
新規に与信限度額を設定した取引先については、取引開始の3ヶ月後に与信限度額の見直しを行うことが出来るものとする。

2.与信期間は1年間とし、設定された与信限度は、毎年定例的に見直しを行うものとする。

3.見直しに当たっては、取引先ごとに取引実績及び今後の取引見込みに加え、第7条第2項に規程する事項を網羅し、必要がある場合は与信限度額の変更を行う。

(与信限度の失劫)
第16条
取引先が次に該当するときは、与信限度は失効する。

(1)取引先との取引を中止し、取引再開時に当初与信を設定したときから1年が経過していたとき
(2)与信期間が満了したとき

~作成のポイント~
取引が断続的な取引先について、毎回与信設定を行っていては非効率ですので、その点をカバーする記載が良いでしょう。
ただし、与信期間については何かしら設定し(1年等)、継続取引含め、見直しを行うようにするのが望ましいです。
なお、取引先が多い場合、与信確認を網羅的に行うのは煩雑ですので、安定して支払が行われており、また取引額が小さい企業に対しては、与信確認を簡素化する基準を設定する事が考えられます(別に「与信管理マニュアル」や基準を設定するのが一般的)。

(担保の取得)
第17条
取引先との取引にあたり、各部門責任者は債権保全を必要と判断するときは、原則として、支払条件として前払を設定、または担保の設定や保証金の取得を行うものとする。

2.前項に関する法的手続は、各部門責任者が与信管理管掌役員と協議の上、行うものとする。

~作成のポイント~
現実問題として、売上を取りたいのが企業のマインドです。
与信的に厳しい取引先の場合、前払を求めるなど、柔軟な対応をとれるのが良いでしょう。

(担保の変更)
第18条
取得した担保権または保証金などは、返還または変更する事由が生じたときは、所定の手続に基づき、決裁を得るものとする。

(担保物件の保管責任)
第19条
担保物件の保管責任者は、与信管理管掌役員とする。

第4章 その他

(規程の改廃)
第20条
本規程の改廃は、取締役会の決議とする。

附則

本規程は、YYYY年MM月DD日より実施する。

以上

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