(IPO関連用語解説)遡及監査とは

IPO・バリュエーション

ここでは遡及監査について用語解説していきます。
IPO進行上、遺憾ながら遡及監査となってしまう事例を稀に見かけます。
IPO成功の不確実性が非常に高まるため、遡及監査は可能な限り避けたい事象となります。

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遡及監査とは

遡及監査とは、監査対象期の期首後に契約締結し、監査を行う事です。

社内の管理体制が十分整備されていない状態にも関わらず、諸々の事情によりIPO準備を進行しなければならない会社で行われる事があります。

遡及監査により無限定適正意見の表明が難しくなるケースは主に次の2点です。

  • 期首残高の妥当性の検証ができない
  • 必要な監査時間の確保ができない

監査時間は感覚的に理解できるかと思います。
年間の中で計画立てて監査を進めるわけですが、遡及監査ですと期末近辺で無理やり作業を進めるわけですので。

期首残高の妥当性については、下記用語解説も参照ください。

なお一般的に、直前々期期首以前からアドバイザリー契約等を監査法人と締結しており、一定のコミュニケーションや情報交換がある状態で、直前々期に入ってから遡及的に監査契約する場合は、遡及監査とは言いません。

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IPO進行と遡及監査

新規上場申請会社が開示する企業内容情報は正確である事は当然であり、また疑いの余地が無い事が保証されていないといけません。
そこで行われるプロセスが監査法人による監査であり、2年間分の監査証明を得る必要があります。

この2年間分の監査証明を得るために、直前々期の期首を超えてから監査契約を締結し、監査作業に入るのが遡及監査なのですが(上述の通り)、諸々やっかいな状況になります。

法律やルール上では、監査法人と監査契約を締結するタイミングに縛りは無いものの、監査対象期間に入ってからの監査では、上場への不確実性は非常に高まります。

理由は次の3点です。

1つ目。会計記録の整備や決算体制の整備等、監査受け入れ態勢が整っていない場合には、そもそもとして監査契約を締結できない場合があります。
2つ目。上で紹介した通り、直前前期期首残高の検証できない部分をどうするか問題。期首残高の重要性次第では、限定付適正意見や意見表明となる可能性があります。
3つ目。監査法人からの指導を受ける期間が短くなり、内部管理体制の整備等が間に合わず、必然的にIPO時期を延期する可能性があります。

ようは、計画的に、という事ですね。

遡及監査について

監査対象期間に入るまで監査法人の会計監査やアドバイザーの指導を受けていなかったけれども、何らかの理由で監査対象期間に入ってからIPOを目指したいという場合もあるかと思います。このガイドブックに記載していますように、IPOでは監査対象期間に入る前までに一定の準備が必要になり、IPOの重要な課題(2.の確認ポイント)を整理しないまま監査契約を締結することは困難です。ただし、IPOの重要な課題が会計監査の導入前に解決されている、在庫の実地棚卸だけは監査法人が立会を実施済みである、または、上場会社の子会社や事業部門のスピンオフで従前から当該子会社や事業部門を監査法人が会計監査対象としていたケースなど、一定の条件が整えば遡及監査が可能な場合もありますので、監査法人にご相談ください。

アドバイザリー契約から 監査契約への切替え

監査法人と来期以降に向けてIPOのアドバイザリー契約を締結していたところ、当期に監査契約に切り替え、上場準備をしたいという会社もあるかもしれません。このような場合にも、なるべく早い段階で監査法人に相談をしてください。上場準備の状況やIPOアドバイザリー契約の内容にもよりますが、監査法人がアドバイザーとして関与しているのであれば、監査契約への切替えができる可能性はあります。ただし、監査契約を締結するに当たって、監査法人には独立性が求められており、アドバイザリー業務の提供には一定の制限が課されています。そのため、監査契約と同時並行でアドバイスが受けられない場合があります。これについては、会計監査を依頼する予定の監査法人に早めに確認し、別途アドバイザーを登用することも検討しておきましょう。

日本公認会計士協会「会計監査を受ける前に準備しておきたいポイント」より


本用語解説は、IPO実務上の観点での記載であり、投資観点での記載は行っておりません。
同様に、情報の提供を目的としたものであり、金融商品の勧誘を目的としたものではありません。

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