株主総会、経産省により来場禁止容認-はされてないよね。

株主総会

日経新聞より、経産省が株主総会の来場禁止を容認する、という内容の報道を出していました。
結論、来場禁止は容認されていません。
あくまでも、もろもろ手を尽くした結果として会場に株主が出席をしていなかったとしても致し方ないよね、という内容です。
詳細を見ていきましょう。

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経産省が来場禁止を容認?

日経新聞の記事を読み、驚愕をした方も多いかもしれません。
経産省が、株主総会について、株主の来場を禁止することも容認する、という報道を出したからです。

下記が、報道の冒頭部分です。

新型コロナウイルスの感染拡大で企業決算のとりまとめが遅れていることを受け株主総会に株主の来場を禁止することができるとの指針を経済産業省がまとめた。

2020/05/12 日本経済新聞「株主総会「来場禁止」も容認、経産省が指針、ネット上で出席扱い。」
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経産省の指針では

それでは、実際に経済産業省のQAを見てみましょう。

Q2.会場に入場できる株主の人数を制限することや会場に株主が出席していない状態で株主総会を開催することは可能ですか。

(A)可能です。
 Q1のように株主に来場を控えるよう呼びかけることに加えて、新型コロナウイルスの感染拡大防止に必要な対応をとるために、やむを得ないと判断される場合には、合理的な範囲内において、自社会議室を活用するなど、例年より会場の規模を縮小することや、会場に入場できる株主の人数を制限することも、可能と考えます。
 現下の状況においては、その結果として、設定した会場に株主が出席していなくても、株主総会を開催することは可能と考えます。この場合、書面や電磁的方法による事前の議決権行使を認めることなどにより、決議の成立に必要な要件を満たすことができます。
 なお、株主等の健康を守り、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために株主の来場なく開催することがやむを得ないと判断した場合には、その旨を招集通知や自社サイト等において記載し、株主に対して理解を求めることが考えられます。

経済産業省「株主総会運営に係るQ&A」

これを見ると、ようは下記のことを言っています。

  • 会場規模の縮小や人数制限は致し方ない
  • 事前の議決権行使を認めるなどが前提で、結果論として、会場に株主がいなくとも株主総会は成立する
  • 株主の来場が無い開催を行う場合は、株主の理解を求める

つまり、会社側の判断で一方的に来場禁止をすることは容認されてはいないのです。
「来場禁止ができる」ではなく、「もろもろ手を尽くした結果として来場禁止という形になるなら仕方がない」という理解の方が正しいでしょう。

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報道を真に受け来場禁止措置をとるのは危険

有名なチッソ株主総会事件では、想定以上の株主が来場し、結果論として入場制限がなされました。
そして、議決権行使について、会社からの配慮が無かったため、総会決議には瑕疵があると判決が出ています。
確かに会社側(議長)には株主の権利を制限する権限が存在します。
しかし、株主側にも平等原則や、違法行為差止請求権、提訴権が認められています。

昨今の新型コロナウイルスによる混乱は、一種の非常事態であるとはいえ、一方的に来場禁止措置をとることは株主の権利を侵害していることになり、多大なリーガルリスクを抱えることになります。

下記のような対応を丁寧に行い、その結果として会場出席者がいなかった、という状態とするのがベターでしょう。

  • 事前の議決権行使を可能とし、促す
  • 感染リスクに対して十分なアナウンスの上で、事前の議決権行使と来場自粛を求める
  • 会場の席数に制限があり、入場制限を設けることもある、とアナウンスする
  • 体温測定を行い、熱のある株主は入場禁止措置をとることをアナウンスする
  • ライブ配信や事前の質問(コメント)受付など、当日リアル株主総会に出席しなくとも良い環境を整備する
  • とりあげられなかったコメントに対して、後日回答を約束する
  • ガイアックスの事例を参照に、会場には議長や他役員は出席しないこととする措置も考えられる

来場自粛の促しに関しては、既に多くの会社の事例があるので、それを参考にすると良いでしょう。

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