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ドラッグストア 販売額統計(2020年8月)

経産省「商業動態統計」の8月分が更新されています。
数字のアップデートと、消費者動向について、解説していきます。

出典元はこちらです。

前回分は↓です。

業績推移

ドラッグストア業界は、コロナ前から前年比を大きく上回る水準で推移をしておりました。
コロナ特需が一定落ち着いたであろう6月以降も安定的に高い業績で推移しています。

店舗数も増加を続けています。

商品種別で見ると、食品類は相変わらず高い水準で推移し、また家庭用消耗品その他についても同様で、スーパーの競合として大きな存在感を示している事がわかります。

前年比ベースで見ると、衛生用品類の伸びが著しいです。
品薄感が解消されて、今まで買いたかったけれども買い控えていたか買えなかった層がこのタイミングでストックを確保に走ったか、年末に来るかもしれない再度の品薄に備えたか、というような所でしょう。

その他の商品ジャンルでも、高い前年比推移を示しています。

化粧品類においては、一時期▲20%に迫る勢いで消費が減っていましたが、直近では約▲10%にまでは回復しています。
緊急事態宣言があけて、外出自粛の状況から外に出るようになった点と、リモートワークから通常出勤に戻った分の影響が出ているものと推測されます。

主要ビジネス都市圏においても回復傾向を示していますが、沖縄だけはマイナス影響が広がっています。

マツモトキヨシの一人負け状態

さて、上述の通り、ドラッグストアはコロナ影響に対して特需と言って良いプラス影響を受けましたが、マツモトキヨシだけが例外で、コロナ後、マイナス影響が続いています。

月次WEBより

これは、マツモトキヨシが郊外ではなくて都市圏への出店が多い事と、インバウンド(海外旅行客)消費が多かった点が影響しています。

業界としては追い風なのですが、とる戦略次第でその恩恵を受けられない、という事で認識しておく必要があるでしょう。

消費者動向

さて、コロナ時の消費者の行動ですが、大体において「店舗の利用が減った」という事です。
(これは、ドラッグストアに限らず多くの業態において同じ。人が密集する総合スーパーは顕著。)

一部増えた層の増えた理由は「商品入荷の確認」が最も多くなっています。
(現場の方々は大変だったでしょうね。)
WEB上で入荷情報を発信する、という事も考えられるでしょうが、必ずしもすべての層のITリテラシーが高いわけでは無いですし、当該行動を行う層では果たして、という点もあるので中々難しい問題です。

「減った理由」は、純粋に「接触の低減」にあるようです。
まぁ、当然ですね。

他業態へのシフト、も行動に見られており、これは具体的には「EC」を指しています。

購入が激増した商品のトップには「ハンドソープ」が来ます。

新型コロナウイルスは、無駄に騒がれていますが、ウイルスである事にはかわりないので、基本的には「手洗い・うがい」でガードが可能です。
その意味でハンドソープの売れ行きが伸びる事、そして衛生的に水気を切れるペーパーハンドタオル類が売れるのは良い事ですね。

他、日持ちのするスパゲッティとソースミックス、インスタント麺が売れたようです。

ドラッグストアの1レシートあたりの購買金額が3%減。スーパーでは17%増【True Data調べ】」より

こちらは参考情報。
消費が大幅に落ちているコスメ類ですが、その購入場所はドラッグストアとなっている割合が圧倒的です。
それを考えると、世の中の化粧類の消費がどれだけ落ち込んだのかが読み取れます。

こちらも参考情報。
レジ袋の有料化後、ドラッグストアでレジ袋を購入するか否かで言うと、多くの方がレジ袋を購入していないそうです。

レジ袋を購入する方が衛生面で圧倒的に優位ですし、1枚3円とか5円なので、買った方が絶対良いと思うのですが、消費者心理は不思議なものですね。

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ドラッグストア 販売額統計(2020年6月)

経産省「商業動態統計」の6月分が更新されています。
前回の4月分から2ヶ月が経過し、どのように状況が推移しているのか、見ていきます。
コロナ不安需要が落ち着きを見せている一方、大阪や東京といったエリアの回復は途上です。

前回(2020年4月)はこちらです。

ドラッグストア販売額概観

2020年6月のドラッグストアの商品販売額は6,127億円、前年同月比+6.5%の着地となっています。
ビフォー・コロナから、ドラッグストアの販売額は伸長傾向にあったので、全体感としては平常時に戻ったという印象です。

ドラッグストア販売額全体 経産省「商業動態統計」より

店舗数も増加が続いています。

ドラッグストア店舗数 経産省「商業動態統計」より

前回も書きましたが、ドラッグストアがいかに地域のインフラとして定着しているか、が読み取れます。

商品種別の販売状況

次に商品種別の推移です。

ドラッグストア販売額 商品種別 経産省「商業動態統計」より

ボリュームの大きい食品の伸びが落ち着きを見せています。
食品の伸びとして、リモートワーク移行による家庭内消費の増加が指摘できますが、加えて食料品不足不安もあったものと推測されます。
つまり、今の数字の落ち着きは、保存食の溜め込みの一巡と、焦って購入に走らなくても食料品不足は発生しない、という安心感から来るものと考えられます。

前年同月比の推移で見ると、特徴的な動きが見て取れます。

ドラッグストア販売額前年同月比 商品種別 経産省「商業動態統計」より

食品、調剤医薬品は、もともと+10%前後の伸びを示していたので、その水準に落ち着いたと言えます。

OTC医薬品、健康食品も、もともと±0%前後で推移しており、その水準に戻った状況です。

一方、衛生用品・介護・ベビー用品(そして家庭用消耗品その他)は、高い水準で推移しています。
これは、市場に商品が潤沢になってきたことに加え、また品不足になるのでは?という不安を払しょくしきれないからではないかと推測されます。
第2波の影響と、年末には再度感染症が流行する時期になるので、消費者不安が反映されている、ということです。

とは言え、溜め込んでも消費ができるものでも無いですし、日持ちする物も多いので、来年あたりは反動減が出そうな印象です。
ドラッグストア業界においては、来期の事業計画を策定するにあたり、この点を織り込んでおくと良いでしょう。

化粧品・小物は、回復傾向が出始めている物の、未だ▲10%アンダーです。
これは、リモートワーク移行で固定化した企業の存在によるものでしょう。
今後、化粧品・小物は▲10%アンダーあたりの販売額が標準となる可能性があります。

地域別の状況

最後に地域別の状況です。

まずは前回の2020年4月の状況。

都道府県別ドラッグストア販売額前年比 経産省「商業動態統計」より

そして2020年6月の状況。
全体感としては回復している物の、都道府県別の状況は概ね同様ですので、サマリーしたものにしました。

エリア別ドラッグストア販売額前年比 経産省「商業動態統計」より

相変わらず、大阪や東京は、リモートワーク移行の影響を受けているのか、マイナスの着地です。
沖縄の数字は、やっぱりよくわからないです。

大阪の数字は、割高な商品は買わない、という消費者心理が表出している点もあるのではないでしょうか。
店頭に商品が並ぶようになったとはいえ、ビフォーコロナに比べると、割高感は否めません。
リモートワーク移行もそうでしょうけれども、この点から来る、財布の紐の固さが影響しているのでは、と考えます。

大阪、東京が落ち着けば、ドラッグストア業界のコロナ影響は、落ち着いたと考えて良いでしょう。

当該資料のまとめは、また2か月後位にアップデートする予定です。

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ドラッグストア 販売額統計(2020年4月)

経産省「商業動態統計」にて、2020年4月のドラッグストアの販売額統計が更新されました。
その他業界とは異なり、大きく数字を伸ばしています。
また、地域のインフラとしても機能している面が見えてきました。

ドラッグストアの販売額概観

2020年4月のドラッグストアの商品販売額は6,161億円と前年同月比+10.4%の着地となりました。

ドラッグストア販売額全体 経産省「商業動態統計」より

グラフを見るとわかるように2回のスパイクがあります。

2019年9月は、消費税増税前の駆け込み需要による販売の伸びです。
前年同月比L21.8%なので、ものすごい数字ですね。

2回目のスパイクは2020年2月で、前年同月比+19.1%となっています。
この要因を先に書くと(商品別で見た方がわかりやすい)、買占め騒動の影響によるものと推測されます。

なお、店舗数別で見ると、ドラッグストアの店舗数は年々増加を続けていることがわかります。

ドラッグストア店舗数 経産省「商業動態統計」より

販売額が全体として伸びている要因として、店舗数の伸びも指摘できるでしょう。
数字の伸び幅からして、ドラッグストアが地域のインフラとして機能していること、また、まだまだ需要がありそうだということが感じ取れます。

商品種別の販売状況

商品種別に見ると、明暗が分かれることがわかります。

まずは販売額の推移です。

ドラッグストア販売額 商品種別 経産省「商業動態統計」より

食品と家庭用消耗品(トイレタリーやペット用品含む)がドラッグストアの販売額におけるボリュームが大きいことがわかります。
従来、スーパーが流通を担っていた商品なので、この点からも地域のインフラとして機能しているということを支持できます。

食品の伸びは、リモートワーク移行、外出自粛の影響により家庭内消費の増加によるものでしょう。

ドラッグストア販売額前年同月比 商品種別 経産省「商業動態統計」より

前年同月比で見ると、2月のスパイクの要因がわかります(推測がつく)。

衛生用品類(介護用品、ベビー用品)の伸びが顕著で、おそらく買占め騒動の影響によるものと考えられます。
他の商品類も概ね伸びているので、「せっかく来店(もしくは並んだ)したのならば、他のも買っていこう」「他の商品も品薄になってしまうかもしれない」という心理が働き、全体的に数字が伸びた結果になったのでしょう。

(衛生用品類のスパイクは2020年1月だが、衛生用品類はボリュームそのものは小さいです。
買占め騒動による品薄報道が広がり、それを受けて2月に不安に駆られた消費者が殺到し、幅広く様々な商品を購入していったものと考えられます。
また、2月はまだリモートワーク移行の影響も少なく、化粧品類のマイナス幅が小さいこともスパイクを大きくしている要因でしょう。)

面白い、と言っては不謹慎なのですが、かなり社会と人々の動きが反映されたグラフになっています。

地域別の状況

都道府県別に見てみると次のようになります。

都道府県別ドラッグストア販売額前年比 経産省「商業動態統計」より

大阪や東京は、リモートワーク移行の影響を受けているのか、マイナスの着地になっています。
東京の幅が小さいのは、マスクを探して来店した顧客が、(マスクが買えなかったとしても)他の商品も買っていったからなのでは、と推測されます。

大阪では、目的のものが無いのならば、素直にお店を出るという、地域毎の消費者心理が働いているものと思われます。

沖縄の動きはよくわかりません。
2019年まで、沖縄ではドラッグストアの出店ラッシュが続いていましたから、その反動減でしょうか?
この点は、わかったら追記していきます。


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