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ホームセンター 販売額統計(2020年8月)

経産省「商業動態統計」の8月分が更新されています。
数字のアップデートと、業界動向について、解説していきます。

出典元はこちらです。

前回分は↓です。

業績推移

ホームセンター業界の景気は、コロナ環境下において、変わらず追い風の状態で、2020年5月から4ヶ月連続で前年比+10%を超える水準が続いています。

商品種別で見てみると、外出自粛により数字が大きく伸びていた園芸・エクステリアが落ち込みを見せ始めました。
まぁ、気温が熱くなるとそうなりますよね。
DIY類も微減しています。

家庭用品・日用品は相変わらず高い水準が続いています。
これはホームセンター業界における家庭用品・日用品の数字が伸びているのと同じ構造でしょう。
(品薄感や利用機会を低くしていた状況から、改めての買い溜め、年末の再度の品薄への備え。)

また、ここ8月に来て、カー用品・アウトドアも回復しはじめました。
これまで我慢していた層が購買行動に出たのでしょう。
例年より短いにせよ、夏休みの時期でもありますしね。

前年比ベースで見ると、園芸・エクステリア、カー用品・アウトドアが増加している事がわかります。

一方、オフィス・カルチャーが減少。
リモートワーク対応が一巡し、消費が落ち込んだものと推測されます。

地域別では、ほぼ全ての都道府県で大きく前年比が高い状態が続いていますが、東京だけは例外です。

東京は8月に入り、マイナスに転落しています。
居住環境の問題や、リモートワーク対応の一巡などが影響しているものと考えられます。

何はともあれ、コロナ環境はホームセンター業界にとっては追い風です。
好景気環境が続くので、このチャンスを如何に物にするか、が勝負の分かれ目と言えるでしょう。

消費者動向

さて、消費者の動向です。

他の業種では、購入頻度が大きく落ち、その代わりに1回あたりの購入量や額が増える、という動向変化がありました。

一方、ホームセンターにおいては異なり、祝休日のタイミングで大きく人が集まる、という現象が起きています。
ホームセンターは、店舗の作り自体が広く、多少人が集まっても密になりにくい、という点も不安感の緩和につながっているのかもしれません。
(ベビー用品の西松屋と同じイメージ。)

もしかしたら、ニューノーマル時代は、「店舗の空間にゆとりをもたせる」という事がプラスに働くトレンドになるかもしれません。

業界動向

ホームセンター業界ですが、再編の動きが活発になりつつあります。

先々月にはアークランドとLIXILビバが統合される、という報道が流れ、業界の順位構造に大きな変化が起きました。

また、近々では、DCMと島忠が統合する、という報道も出ています。

業界2位のDCMが、これにより第1位にのぼる形になるので、業界の競争の激しさを伺わせます。

なお、ECにおいてはカインズ1強という状況です。

カインズはベイシア傘下のホームセンターであり、ブランドは分けている物の、グループとしてEC戦略を推進している、という点が結果に出ているのかもしれません。

繰り返しますが、コロナ環境はホームセンター業界にとっては追い風です。

ホームセンター業界はここ数年、市場規模も店舗数も大きな変化が無く、停滞した業界でした。

今、激変とも言うべき動きが起きています。

この追い風状況こそ、再編統合により効率化・スリム化を図り、経営体質の強化につなげられるか?が将来の競争力に大きな影響を及ぼすように思います。

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ホームセンター 販売額統計(2020年6月)

経産省「商業動態統計」の6月分が更新されています。
前回の4月分から2ヶ月が経過し、どのように状況が推移しているのか、見ていきます。
劇的な数字の伸びを見せています。
これは、リモートワーク移行に伴う家庭内消費の増加に加え、給付金特需の影響(家電製品)が大きいです。

前回(2020年4月)はこちらです。

ホームセンターの販売額概観

販売額全体としては、3,147億円、前年同月比+17.3%の着地になっています。

ホームセンター販売額全体 経産省「商業動態統計」より

商品種別の所でも書きますが、これは給付金特需の影響が大きいです。

家電の販売統計でも示した通り、給付金を家電製品の買い替えに使う、と回答している方は多く、家電量販店で購入するのか、それともホームセンターで購入するのか、と顧客がわかれたイメージになります。

商品種別の販売状況

商品種別で見てみると、下記の通りです。

ホームセンター販売額 商品種別 経産省「商業動態統計」より
ホームセンター販売額前年同月比 商品種別 経産省「商業動態統計」より

DIY用具・素材の伸びが落ち着きを見せ始めています(前年比推移で見ると5月以前に比べて落ちている)。
リモートワーク移行により、家庭での消費として、DIY等の活動を行う方が増えたのは容易に想像ができますが、趣味としてやるにしても長続きは難しいでしょうし、数字の伸びとしてはこのようなイメージでしょう。
来年は反動減が来そうです。
気温が高くなると、園芸・エクステリアの活動も抑制されるので、7月以降は園芸領域含めて減少傾向が見られるはずです。

伸びているのは、家庭用品・日用品、そして電気、インテリアのカテゴリーです。

家庭用品・日用品には、給付金特需部分のお金が流れている点と、コロナ不安の継続による、消耗品の品薄警戒があるものと考えられます。

電気の伸びは、上述の通り、給付金特需の影響です。

今回、インテリアも数字上大きく伸びています。
これはリモートワーク移行に伴う、家庭内での生活快適化のための消費、WEB会議の増加に伴う「見せるためのインテリア」への消費が増えたものと考えられます。
4月あたりで伸びると考えていたものの、前年比トントンで不思議に思っていましたが、給付金特需もあり5月・6月でようやく流れてきたというイメージでしょう。

そして、ここに来て、カー用品・アウトドアのような、「外出」に関係するものの数字も回復傾向が見られます。
緊急事態宣言が明けて、ようやくこの領域への消費も増えてきたのでしょう。
当然、給付金特需の影響も考えられます。

このように考えると、ホームセンターという業態は、給付金の恩恵を大きく受けた業態と言えるでしょう。

地域別の状況

都道府県別の状況です。

まずは4月。

都道府県別ホームセンター販売額前年比 経産省「商業動態統計」より

次に2020年6月分です。

都道府県別ホームセンター販売額前年比 経産省「商業動態統計」より

4月時点では東京のみマイナス、という状況でしたが、6月になって、ようやく東京も大きな回復を見せました。

今後は、給付金特需の影響も落ち着くでしょうから、数字上の伸びは期待できないものの、一定、コロナ影響からは脱したと言えるのではないでしょうか。

当該資料のまとめは、また2か月後位にアップデートする予定です。

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ホームセンター 販売額統計(2020年4月)

経産省「商業動態統計」にて、2020年4月のホームセンターの販売額統計が更新されました。
DIY用品や園芸用品など、外出自粛の影響を受けたものと思われる伸びが目立つ着地になっています。
一方、カー用品、アウトドア用品、オフィス用品は大きくマイナスしています。

ホームセンターの販売額概観

販売額全体としては、2,985億円と、前年同月比+4%の着地になっています。

ホームセンター販売額全体 経産省「商業動態統計」より

ドラッグストアなどと同じく、大きく2つのスパイクがあります。
1つが消費税増税前の駆け込み需要で、もう一つがコロナ影響です。
コロナ影響とは、1月に起きた品薄報道に関連した、買占騒動によるものです。

グラフは掲載していませんが、店舗数は約4,360店舗で、ここ数年で若干微増も概ね横ばいとなっています。
前年比割れを起こしている月もあるので(消費税増税前の駆け込み需要反動を除いても)、日本におけるホームセンター需要としては、概ね現在のサイズ感と言えるでしょう。

商品種別の販売状況

商品種別で見てみると、ホームセンターの売上はDIY用具・素材と家庭用品・日用品が、大きく占めていることがわかります。

ホームセンター販売額 商品種別 経産省「商業動態統計」より

2020年4月は園芸・エクステリアも大きく伸びています。
これは、毎年4月5月は園芸・エクステリアの分野が伸びているので、例年のことと言えばそうなのですが、例年以上の伸びを示しており、コロナ影響を受けた、外出自粛による家庭消費の増加が大きく反映されていると考えられます。
(毎年4月5月は、季節的に園芸に向いていること、新年度にあわせて生活も新しくなり自宅を整える需要が伸びることなどが影響し、毎年伸びる。夏は暑く、冬は寒いし園芸に向いていない季節なので消費が落ち込む。)

ホームセンター販売額前年同月比 商品種別 経産省「商業動態統計」より

前年同月比ベースで見てみると、DIY用具・素材、家庭用品・日用品、電気、園芸・エクステリア、ペット用品、その他商品で、+5%~+10%あたりの伸び幅となっています。

WEB会議の浸透でインテリア消費が伸びるかと思ったのですが、+0.3%という結果であり、それほどの伸びがありませんでした。
これは、少し予想外の結果です。

大きく落ち込んでいるのがカー用品・アウトドア用品、オフィス用品類です。
外出自粛、リモートワーク移行の拡大が大きく影響しているのでしょう。

地域別の状況

都道府県別に見ると、マイナスしているのは東京のみで▲24.0%となっています。

都道府県別ホームセンター販売額前年比 経産省「商業動態統計」より

それ以外の地域は軒並みプラスの着地になっています。
大阪もマイナスになっておかしくはない、とは考えていましたが、大阪で働いている方は、居住地も大阪の場合が多いので、リモートワーク移行の影響を受けにくいことは指摘できます。

リモートワーク移行が固定化し、郊外や地方の居住を望む方が増えれば、東京のホームセンター需要は継続して落ち込むことが考えられます。
東京以外のエリアでは、むしろこの機会を活用する形で、DIYや園芸などの実用趣味を啓もう拡大する方向でマーケティングをすると良いかもしれません。

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