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家電大型専門店 販売額統計(2020年8月)

経産省「商業動態統計」の8月分が更新されています。
数字のアップデートと、消費者動向について、解説していきます。

出典元はこちらです。

前回分は↓です。

業績推移

販売額全体で見ると、給付金影響で一気に伸びた6月から、数字は落ちていっています。

まだ手元に未使用の給付金がある方も多くいらっしゃるでしょうから、その分の使用も有り前年比自体は約10%前後で推移しています。

安定的に数字が大きいのは生活家電のジャンルです。

2千3百億円の規模であり、消費税増税前の駆け込み需要より高い消費傾向が続いています。

商品カテゴリー別前年比ベースで見ると、落ち込みが激しいのがAV家電、通信家電の2ジャンルです。

AV家電は長引く外出自粛の期間(4月~6月)で買いそろえてしまったので、一気に需要が落ちたのであろうと推測でき、通信家電においても状況が落ち着きを見せ始めた6月7月で消費が回復した後の反動が来ている、と考えられます。

カメラ類は相変わらず低い水準で推移しています。
カメラ産業の未来が懸念されます。

店舗数は、この2,3ヶ月は横ばいです。
流石に、これ以上投資をしていく事に対するリスク感というものを家電量販店各社が考慮し始めた、また、予定していた投資がある程度落ち着きを見せた、と考えられます。

地域別の状況で見ると、一気に前年比の伸びが6月と比較して落ち着きました。

これまでは前年比50%超の都道府県もあったのですが、最大ラインで20%程です。

また今回、マイナス(北海道)が出てきました。

家電量販店の業績感で言うと、需要の取り込みも一定終わり(もちろん、もうしばらくは続く)、またコロナ影響も特段受けず、安定フェーズに入っていくと考えられます。

消費者動向

さて、消費者動向ですが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、下記の通り家事負担が増えた、という方が大勢いらっしゃいます。

洗濯も掃除もなのですが、特に調理が増えた、という事ですね。

では調理でいうと、一番の理由は「外出ができなかったから」。

テレワーク要因で言うと、「家族が」が42.6%、「自分が」が24.3%であり、この2つについては、今後も一定割合は状況が継続するので、ここに関しての消費者マインドの変化も継続するものと考えられます。

関連して別の調査では、「おうち時間が増えたことにより」家電を欲しくなって購入した、ないしは、購入を検討している、という方が大勢いらっしゃいます。

その内、様々な領域において「購入した」とありますが、特に伸びが大きいのが「その他調理家電」です。

このアンケート結果を見るに、単純に家事負担の軽減を図りたいから、というニーズ以上に「楽しんで家事を行いたい」というマインド感が強い事が読み取れます。

実際、これまた別の調査では、「新たに始めた趣味」において「お菓子作り」や「調理」が上位に来ています。

Get Navi Web「コロナ禍で購入したお家アイテムとお家時間の変化をアンケート」より

今後の家電量販店における消費者への訴求ですが。

「家事負担の軽減を図る」というのも当然にそうなのですが、「家事を楽しむ」「趣味をはじめる」という観点で、商品ラインナップやディスプレイを検討していくと良いかもしれません。

現状では固く経営ができる一方、来年は給付金影響の反動減が大きく来ます。
今のうちに、消費者の心理とニーズが如何に変化したのか?を研究し、今後の対策を練るのが良いでしょう。

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家電大型専門店 販売額統計(2020年6月)

経産省「商業動態統計」の6月分が更新されています。
前回の4月分から2ヶ月が経過し、どのように状況が推移しているのか、見ていきます。
全体的に劇的な回復を見せています。
給付金の影響のようですね。

前回(2020年4月)はこちらです。

家電大型専門店の販売額概観~劇的に回復~

まず、全体概観です。

家電大型専門店販売額全体 経産省「商業動態統計」より

2020年6月の家電大型専門店の商品販売額は4,728億円,前年同月比25.6%の着地となりました。

これは10万円の給付金の影響です。

アンケートの結果によると、家電製品に給付金を使用する、と回答した方が約15%いるそうです。

WEB東奥「給付金の使い道、生活維持まず優先の風潮」2020年5月23日 より

25.6%の前年比ですので、金額的には約1,000億円の増加です。

人口1億2千万円の内、約15%の方が家電製品に使いたいと考えていて、全員が実際に買うとは限らない、全額を使うとは限らない、ということを考えても、まだまだ少ない増加額、という印象です。
7月・8月も継続して増加傾向が続く可能性があります。

この反動減が来年来るのでしょうが、来ると分かっていれば備えはできるはずです。

一定、家電業界は問題が無い水準まで、コロナ影響から回復したと判断して良いでしょう。

商品種別の販売状況

次に商品種別で見てみます。

家電大型専門店販売額 商品種別 経産省「商業動態統計」より
家電大型専門店販売額前年同月比 商品種別 経産省「商業動態統計」より

やはり、主に外出して使用する「カメラ類」は厳しい状態が続いています。
スマートフォンのカメラの進化もまだまだ続くでしょうから、今後、カメラ業界の再編が起きる可能性があります。

情報家電、つまりパソコン類の販売は、リモートワーク移行時の3月~5月で落ち着いた様子です。

一方、生活家電・AV家電は大幅な伸びを示しており、給付金が主にこの種の商品に流れたことが読み取れます。

地域別の状況

まずは2020年4月の状況を改めて提示します。

都道府県別家電大型専門店販売額前年比 経産省「商業動態統計」より

次に2020年6月の状況です。

都道府県別家電大型専門店販売額前年比 経産省「商業動態統計」より

この通り、全都道府県において、大幅な増加となっています。

東京や大阪のようなエリアの伸びが小さいのは、まだ感覚的に理解できるのですが、神奈川や愛知、広島でも伸びは大人しいです。
おそらく、元々の数値が相対的に小さい地方の消費に対して、給付金をつぎ込んだ分の消費額が大きく、相対的に大幅な伸びになっているのであろう、と考えられます。

なお、店舗数の増加傾向も見られます。

家電専門店店舗数推移 経産省「商業動態統計」より

数字が伸びているから、ということなのでしょうが、反動減が来年に発生することが容易に想像できる中、この増加は関心できません。

家電業界の経営者は、少し冷静の状況を考えた方が良いでしょう。

当該資料のまとめは、また2か月後位にアップデートする予定です。

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家電大型専門店 販売額統計(2020年4月)

経産省「商業動態統計」にて、2020年4月の家電大型専門店の販売額統計が更新されました。
その他業界における販売額が落ち込んだのと同様、大きく前年比マイナスの着地になっており、消費税増税前の駆け込み需要反動からの回復に水をかける形になりました。
一方、パソコンの売上は好調となっています。

家電大型専門店の販売額概観

2020年4月の家電大型専門店の商品販売額は3,073億円と前年同月比▲9.0%の着地となりました。

家電大型専門店販売額全体 経産省「商業動態統計」より

2019年10月に消費税増税があったことは記憶に新しいかと思いますが、この前に駆け込み需要による販売の伸びがありました。
これの影響により、2019年10月以降、駆け込み需要反動によるマイナスが続いており、緩やかに回復を続けている状況でした。

新型コロナウイルスの影響は、この回復に水をかけた形になります。

商品種別の販売状況

商品種別に見ると、軒並みマイナスではあるのですが、情報家電、つまりパソコン機器に関しては大きなプラス(+23.5%)となりました。

家電大型専門店販売額 商品種別 経産省「商業動態統計」より
家電大型専門店販売額前年同月比 商品種別 経産省「商業動態統計」より

これは、若い方を中心にパソコンを所有していない比率が増えている中、リモートワークの拡大によるPC需要の増が大きく影響しているのでは無いかと考えられます。

パソコンに関する意識調査 株式会社プラネット2019年調査より

20代の男性のPC所有率はデスクトップが約26%、ノートPCが約52%、女性ではデスクトップが約9%、ノートPCが約35%となっています。
これが年齢層があがるにつれて、上昇していくのですが、個人のパソコンを所有していない方が結構な比率で存在することがわかります。

(スマートフォンで事足りるから、という言い分はわかるのですが、情報閲覧性を考えると、圧倒的にパソコンの方が優れているのに、と考えてしまいます。
後、スマートフォンも持っていない人が1割~2割いらっしゃるようで、どのような生活を送っているのかが気になります。)

他の商品を見て見ると、カメラの落ち込みが激しく、前年同月比▲69.2%の着地となっています。

外出自粛の影響もそうなのですが、元々カメラ領域はスマートフォンにその市場を奪われ続けていたので、非常に厳しい環境にあると言えます。
カメラという商品の、存在意義、価値を改めて再定義しないと、カメラ市場の未来は無いのでは?と考えてしまいます。

地域別の状況

まずは大まかなエリア別の状況です。

エリア別家電大型専門店販売額 および 販売額減少率(2020年4月) 経産省「商業動態統計」より

どのエリアも軒並みマイナスなのですが、中国・四国・東北といったエリアは減少幅が小さい状況となっています。

都道府県別では次のようになります。

都道府県別家電大型専門店販売額前年比 経産省「商業動態統計」より

コンビニの時のような、関東圏における特徴的なものはあまり見当たらない状況です。

不思議なのは栃木の動きです。

大体の都道府県においてマイナスになっているにも関わらず、栃木県だけが+19.6%と突出した伸びになっています。

理由が全くわかりません。
これは、わかり次第、追記をしていきます。


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