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三つ子の魂百までは誤りで、人の性格は変わり続ける

三つ子の魂百まで、と言われるように人の性格は一般的には変わらないと言われていますが、これは誤りで、近年の研究では人の性格は変わり続けることがわかっています。
特に、20歳~40歳の間において変化は顕著で、理由としては社会からの期待値の変化が要因として大きく、年齢と共に落ち着きや自信が増していきます。

60年もたてば別人と言って良いほど性格が変わる

イギリス心理学会は、次のような研究を行いました。

  • 1950年に14歳の男女1,208人に性格診断のアンケート調査を行った
  • 性格診断では、自信、粘り強さ、落ち着き、オリジナリティ、誠実性、学習意欲の6要素が診断された
  • 63年後、当時の被験者の内174人がアンケート調査に参加
  • 被験者の家族や友人など周囲の人からの評価アンケートも実施

この調査の結果、14歳の時点と77歳の時点では、別人と言って良いほど性格が変わることがわかりました。
14歳の時のアンケート結果と77歳のアンケート結果では、重複する部分がほぼなかったのです。

年齢と共に落ち着きや自信が増していく

この種の調査は様々な形で各所で行われていて、例えば次の研究ではより大規模な調査が行われています。

https://doi.apa.org/doiLanding?doi=10.1037%2Fpspp0000210
  • 1960年に高校生44万人を対象にビッグファイブ性格診断が実施された
  • ビッグファイブ性格診断は、開放性、誠実性、外向性、協調性、神経症的傾向が診断される
  • 50年後、当時の被験者の内1,952人がアンケート調査に参加

その結果、前に紹介した研究と同様の結果が示されました。

この研究では、年齢と共に落ち着きや自信、リーダーシップ、外向性、良心さ、という性格要素が高くなることがわかりました。

一般的に言われる、人間としての成熟、というものが研究により証明された形になります。

性格の変化は20歳から40歳に顕著だが他の年齢でも変化は起きる

性格の変化は、非常に緩やかであり、また周囲の人間も同様に緩やかに性格が変わっていくこともあり、気が付きづらいものです。

しかし、次の研究では、性格の変化が若年成人期である20歳から40歳に顕著であることが示されました。

https://journals.sagepub.com/doi/10.1111/j.1467-8721.2008.00543.x

若年成人期に顕著な性格変化が見られるものの、どの年齢でも変化が起きることも併せて示されています。

なお、この研究でも、上2つの研究と同様に年齢と共に、自信、自制心、情緒の安定性、人としての温かさ、という性格要素が高まることが示されています。

性格の変化は、ライフステージの変化と共に、周囲の期待値も変化していき、それにより起きるものだ、と考えられています。

逆に言うと、何歳になっても幼稚な精神のままでは非常にみっともない、と言えますね。

こちらの記事も参考に(仕事が忙しくてストレス過多だと正確が悪くなる)。

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優しいと出世できない?嫌なやつほど出世しやすい?出世に必要な性格とは

世の中には驚くような嫌な性格をしている権力者(組織において出世している人)がいます。
そのような方が目立つが故に。優しいと出世できない、嫌なやつほど出世しやすい、というようにも感じてしまいます。
実際の所、出世に必要な性格はどのようなものなのでしょうか?

嫌なやつが出世しやすい、ということはなさそう

けんか腰で冷たく、利己的な行動をとる傾向がある人。

“嫌なやつ”をカリフォルニア大学の研究者は定義づけをし、出世との関連性について調査を行いました。

https://www.pnas.org/content/117/37/22780

“嫌なやつ”が出世すると、組織にとって多くのマイナスの影響を与えることは想像に難くありません。
そして現実に、世の中には驚くような嫌なやつが出世をし、権力を握っています。
果たして嫌な性格と出世には関連性があるのでしょうか?

結論から言うと、嫌な性格が出世にプラスの影響を与えることはありません。

研究では、数百名の大学生・MBA生を対象に行われました。
学生たちはまず、ビッグファイブと呼ばれる性格診断テストを受けました。
そして約14年後に、彼らのキャリアを追跡し、どれだけの権力を得たのか(出世を果たしたのか)を調査しました。

その結果、嫌な性格が出世にプラスの影響もマイナスの影響も与えない、ニュートラルだということが示されました。
この結果は、性別や民族、組織文化などの様々な変数を考慮しても同様でした。
転職回数や勤続年数、組織の規模なども関係がありませんでした。
(“優しい性格”でも同様のようです。)

研究者達は別の調査も併せて行っており、権力を獲得する(出世をする)ための行動と正確との関連性について、調べました。

その行動は次の4つです。

  • 「支配的行動」(恐怖や脅迫を用いる)
  • 「政治的行動」(影響力のある人と同盟を結ぶ)
  • 「共同体的行動」(人を助ける)
  • 「有能な行動」(仕事が得意なこと)

その結果、“嫌なやつ”は「支配的行動」と取る一方、「共同体的行動」についてはあまり取らない傾向があることがわかりました。
つまり、「支配的行動」による出世のプラス影響を獲得する一方、協調行動を取らないことによるマイナス影響も同時に抱え、相殺されてしまうのではないか、ということです。

(なお、この結果は一見喜ばしい様に見えますが悲報でもあります。何故ならば、優しい性格であろうと嫌な性格であろうと、同様に出世する、ということでもあるからです。「組織は、気が合う人と同じ割合で、気の合わない人を出世させる。」「嫌なやつも、いいやつと同じくらいの割合でトップに立つ。」)

それでは出世に有利な性格は?

それでは、出世に有利な性格は何なのでしょうか?

調査では、たった一つ、「外向性」のみが出世と明確に関連していたことを示しています。

もう一度、出世のために必要な4つの行動を見てみましょう。

  • 「支配的行動」(恐怖や脅迫を用いる)
  • 「政治的行動」(影響力のある人と同盟を結ぶ)
  • 「共同体的行動」(人を助ける)
  • 「有能な行動」(仕事が得意なこと)

いずれも「外向性」が大きく影響しそうな内容であり、この結果は非常に納得感があります。
(有能な行動は、内向的なものも多分に含むであろうことは含みおきたい。)

(外向性を身につけろ、と言って身につくような簡単な話ではないでしょうが)もし、権力を握ることを志向するならば、上記4つの行動と外向性について意識して仕事に取り組むのが良いと言えるでしょう。

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