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統計・経済

コンビニエンスストア販売額統計(2020年4月)

経産省「商業動態統計」が更新され、コンビニエンスストアの4月の状況が見えてきました。
前年比は大きくマイナスするも、2015年指標ベースでは微減と、ここ5年のコンビニの影響度拡大が見て取れます。
また、東京都それ以外の地域の対比も大きく出ており、ビジネスインフラなのか、地域インフラなのかの差も明確になっています。

コンビニ業態の前年比

こちらの記事で、コンビニ業態の売上高前年比は▲10.8%、客数前年比は▲19.3%、客単価前年比は+10.5%という数値を示していました。

客数に関しては、売上が見込める都市部はリモートワークに移行する企業も多く、客数減に大きな影響が出ると予想し、客単価に関しては「一つのお店で完結させよう」という購買行動につながっていると推測を立てました。

今回は、これらの情報のアップデートとなります。

指数ベースで見ると大きな影響がない

まず、全体概観です。

コンビニ商品販売額全体 経産省「商業動態統計」より

コンビニ商品の販売額は8,914億円と、前年比▲10.7%とという着地です。
小売店でマイナス10%は、激震が走るレベルの落ち込みです。

一方、2015年を100とした時の指数としては▲0.05ポイントの99.5という着地であり、季節調整後の指数で見ると、そこまでの落ち込みではありません。

この5年で、どれだけコンビニエンスストアという業態が、日本社会全体で拡大し、影響力を及ぼしてきたのかが見て取れます。
なお、店舗数はここ数年、5万6千台で推移しているため、1店舗あたりの売上高があがり続けている状況だったと言えます。

商品別の販売指標

まず用語を簡単に。

  • 日配食品:(ファストフード含め)お弁当、おにぎり、サンドイッチ、消費期限設定されている生鮮食品など
  • 加工食品:飲料、カップ麺、お菓子などの賞味期限設定がされているもの、冷凍ものなど
  • 非食品:食品以外の雑貨、雑誌、ゲームなどの商品
  • サービス:コピー、宅配便、チケット、プリペイドカードなど

ちなみに、これらの内訳は地域や立地、店長の方針などにもよるのですが、概ね下記のような構成になります。

  • 日配食品:40%
  • 加工食品:25%
  • 非食品:30%
  • サービス:5%

さて、商品別の販売額推移を見ると次のようになります。
20年1月以降、全体的に数字が落ちているように見えるのですが、コンビニ業界では1月2月はこういう動きをするので普通の数字で、問題は3月4月です。

コンビニ商品販売額 商品別内訳 経産省「商業動態統計」より

前年比の推移で内訳を見ると、概ね2020年2月までは波を打ちつつも安定的に推移をしていました。
これが2020年3月以降は新型コロナウイルスの影響で大きく落ち込み、4月は消費期限が設定されている日配食品に関しては▲12.8%、加工食品・非食品は約▲8%、サービス売上に至っては▲22.2%という着地になりました。

日配食品が大きく落ち込んだ理由は、上述のリモートワークの影響を受けた落ち込み、加工食品と非食品の落ち込みが緩やかなのは、「一つのお店で完結させよう」が影響していると考えられます。

コンビニ商品販売額 商品別前年比 経産省「商業動態統計」より

指数別で見ると、日配食品が▲1.1ポイント、サービスが▲10.8ポイントで、加工食品と非食品はプラスです。

コンビニ商品販売額 商品別指数推移(2015=100) 経産省「商業動態統計」より

地域別の状況

地域別の販売額減少率は次の通りです(2020年4月単月)。

都道府県別の販売額と販売減少率 経産省「商業動態統計」より

まず京都の▲15.8%ですが、よくわかりませんが、おそらく観光客からの売上減が大きく影響しているものと推測されます。

東京(▲15.7%)と大阪(▲14.2%)はわかりやすい数字です。

どちらもビジネス圏として存在感の大きい地域ですので、各企業がリモートワークに移行した影響が出たものと推測されます。

それ以外の地域は多少の差はあれど、極端に特徴的なものはあまり見えませんが、関東エリアは特殊です。

茨城、千葉、埼玉、神奈川の東京を取り巻くエリアは落ち込み幅が小さく、▲6%~▲8%の範囲に収まっています。
これは、東京でリモートワーク対応をした方々が、各々の居住地域での消費を行った影響が出ているものと推測されます。

東京一極集中がこれまでどれだけ起きていたのか、が読み取れる数字と言えます。


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