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百貨店販売額統計(2020年8月)

経産省「商業動態統計」の8月分が更新されています。
数字のアップデート分を開設していきます。

出典元はこちらです。

前回分は↓です。

業績推移

販売額全体としては、緊急事態宣言あけ後、回復を示していましたが、直近8月は再度大きく落ち込みを見せました。
第2波の影響もあるのでしょう。

商品種別では、衣料品類の回復が著しく、食料品、その他のジャンルがそれに続きます。

前年比ベースで見ると、ほぼほぼどのジャンルも同じような傾向の動きを示していますが、食料品は地域のスーパー代わりに利用されている方もいる影響下、落ち込み幅は他のジャンルよりも小さいです。

なお、景気の悪化は、コロナ影響もそうなのですが、「元々」ではありました。

コロナ前から指数ベースで100を割る状態が続いており、そもそもとして構造を改革をする必要性が各所で言われています。

こちらは参考ですが、その他の内訳です。

こちらは地域別の数字。

ほぼ全てのエリアで同様の動きなのですが、唯一、四国のみ回復が早いように見えます。

本当に回復をしているのなら幸いなのですが、これは元々の数字が小さいから来る、ブレ幅の大きさが影響しているものと考えられます。

今後、百貨店(デパート)はどうあるべきか?

率直に言って、今の時代、百貨店(デパート)という業態は「オワコン」です。

インターネットで膨大な数の商品を検索できて、またレビューブログやYouTubeをはじめとする動画があふれている、現在。
わざわざ百貨店に行って、販売員の説明を聞き、限られた商品の中から、インターネットより高い価格で買う理由。

それが、今の特に若い方たちにありません。

中年層以上の、インターネットで商品を買う事、特に衣料品類を買う事に躊躇する世代で、かつ一定の所得や資産がある層が利用しているにすぎません。
若い方の取り込みにもやっきになっていますが、そもそも消費額が小さいので、焼け石に水です。
加えて、格差の広がり、二極化も進んでいます。

そんな状況下、前年比も販売指数も100を下回る状況が続いている業界です。

https://toyokeizai.net/articles/-/340439

こちらの記事では次の3点が必要であると指摘しています。

  • 「今一度お客様を見る・知る」マーケティング(MK)の見直し
  • 「利益確保に必要な消化からの脱却」マーチャンダイジング(MD)の変革
  • 「お客様へのお伝えの方法」プロモーション(PM)の再構築

なお、この3点は、ビジネスにおける基本中の基本と言えます。

これが長年できず、ピーク時の3分の2まで市場を縮小させている、という状況を鑑みるに、資本レベルから入れ替えないと構造を改革できない、と考えます。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200609/k10012464381000.html
同上NHK記事より

百貨店においても、今の時代に対応した動きを模索しているようですが、周回遅れも良い所です。
労働集約性が高い取り組みも多く、どこまで成果が出るか不透明です。

百貨店という業態自体は伝統もありますし、都市圏の象徴でもあるので、再興していただきたくはありますが、根本、ベースのベースから見直す必要があでしょう。

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20201002-OYT1T50143/

マルイも池袋、静岡を閉店する、という報が出ていました。

この動きは今後も加速するものと考えられます。

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百貨店販売額統計(2020年6月)

経産省「商業動態統計」の6月分が更新されています。
百貨店もコロナ影響から脱しつつあるものの、いぜんとして厳しい状態が続いています。

商品販売額全体

まずは商品販売額全体です。

百貨店商品販売額全体 経産省「商業動態統計」より

商品販売額は4,259億円、前年比は▲18.4%の着地です。

4月5月は▲60%を下回る水準まで落ち込んだ状況を考えると、大きく回復しはじめています。

とは言え、小売のビジネスで▲18%は壊滅的なダメージであり、いぜんとして厳しい状態が続いています。
(消費税増税前の駆け込み需要の後の、大きな落ち込みに匹敵する数字。)

なお、百貨店という業態は、全体的には前年比マイナスを続けている状態にあり、業態構造自体に改革が求められていた点は指摘できます。
苦境の中、店舗単位では「遅かれ早かれ」という状況はあると考えられます。

商品種別

次は、商品種別で見てみましょう。

百貨店販売額 商品種別 経産省「商業動態統計」より

衣料品、食料品、その他の3つのジャンルが概ね同規模で百貨店の売上を支えていることがわかります。

このグラフだけだと、状況が今ひとつ掴めないので、前年比を見てみましょう。

百貨店販売額前年比 商品種別 経産省「商業動態統計」より

こちらの通り、全てのジャンルで同じような推移で厳しい状態にあることがわかります。

家電小売のような給付金特需の伸びの特徴が出ておらず、給付金の流入先として、うまく営業ができていない様子が伺えます。

百貨店はECに対応しておらず(対面営業がバリューであったため)、今回のコロナ影響下でわざわざお店に行って買おう、という消費者が少ないであろうことは容易に想像ができます。
前年比が慢性的に続いている状況を鑑みると、業態として「オワコン化」が進んでいると言う人が出ていることも納得ができます。

百貨店販売額指数推移 商品種別「商業動態統計」より

指数で見ると、主力商品である衣料品が一番落ち込んでいることがわかります。
これはコロナ危機前からも同様の傾向です。

  • 安くて高品質なアパレルが多数存在すること
  • そしてリモートワーク移行により衣料品需要が減ること
  • ECへの対応不全

これらを踏まえると、百貨店における衣料品販売は、早急に改革が必要であることがわかります。

リモートワーク移行が進んでいくのならば、食料品の売上も落ち込むでしょう。
その他の商品についても、ECでの対応が容易な世界で、これに対応していないのであれば、将来があるようには思えません。

その他内訳

ここで、その他の内訳も見ていきます。

百貨店販売額 その他内訳 経産省「商業動態統計」より

百貨店は、文字通り、多様な商品を販売しており、分類をすると細かいことになる「その他の商品」のウェイトが大きい事がわかります。
食器や芸術品をはじめとした、様々な商品です。

この領域は、軽く上述しましたが、ECへの対応も容易のはずなので、早々にEC上での販売を進めた方が良いでしょう。
EC上でも、情報量の充実や、チャットシステムの活用等により、上質な接客は可能なはずです。

百貨店販売額前年比 その他内訳 経産省「商業動態統計」より

なお、前年比の推移は上記の通りとなっており、家具や電気機器類を伸ばせていないことがわかります。
ようは、これも上述の通り、給付金特需を全く活かせていない、ということです。

地域別内訳

最後にエリア別の状況を示します。

どの地域もおしなべて苦境にあることがわかります。

百貨店販売額 エリア別の状況 経産省「商業動態統計」より

当該資料のまとめは、また2か月後位にアップデートする予定です。

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