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【今日のロジカルシンキング】思考のバイアスを除去するテクニック

「常識とは十八歳までに身につけた偏見のコレクションのことをいう。」という言葉は、かのアインシュタインの言葉らしいですが、まぁ、この通りで、人間は様々な偏見、バイアスに雁字搦めになっています。
今回は、このバイアスから、ほんの少しでも逃れる思考のテクニックについて紹介します。

いくつか、私のツイートを元に話をしていきます。

関連事象か?

これは、ハフィントンポストで「産後女性の死因の一位は自殺。「産後うつ」と男性育休の関係、専門家が語ったこと。」という記事が出ていて、それに対してつぶやいたものです。

この話自体を軽視したいわけではなく、まず、事実ベースで考えませんか?という趣旨で発言をしました。

どういう事かというと、年齢階級別の自死要因を見ると、若年層の第1位から第3位は下記のようになります。

齢階級別の自殺者数の推移より「平成26年における死因順位別にみた年齢階級・性別死亡数・死亡率・構成割合」

つまり、記事の中では問題Aが問題Bの原因になっているから、問題Aに対してケアをしないといけない、という内容なのですが。

前提となるデータを元に考えると、問題Bは、問題Aが無くても起きるのでは?という仮説を設定することもできます。

繰り返しますが、当該テーマを軽視したい話ではなく、ようは問題Bの原因が本当に問題Aなのか?を考えないと、問題Bを解決できない可能性が出てきますし、そもそもとして問題Aが起きる原因が、問題C:産後環境(ワンオペとか)等々にあるのかも不明です。
空回りに終わる可能性が十分に考えられるのです。

これ、別の表現で言うと、相関関係なのか?、それとも因果関係があるのか?という話ですね。

因果関係があって、はじめて解決の糸口があると言えます。

冷静に考えましょう。

好き嫌いで判断していないか?

これはあれです。
某著名人と、とある餃子店とのトラブルの話です。
当事者じゃ無いので、真実は不明であり、何も語れないのですが。

とりあえず、非常に賛否がわかれつつ、全体感としては某著名人に対する批判が大きいというように見えます。
(これがノイジィマイノリティなのか、本当に大きいのかは不明。)

さて、ここでも冷静に考えてみると良いです。

例えば、某著名人を別の人に入れ替えて、仮に全く同じ事象が発生したとシミュレーションしてみるのです。
誰でも良いですよ。
普遍的に愛されている可愛らしい国民的アイドルとか、雰囲気の良い超絶イケメンアイドルとかをあてはめてみると良いかもです。

これで、賛成意見・反対意見が入れ替わる、もしくはウェイトがかわる、というような事があれば、元々の賛否判断のロジックに、何かしらの欠陥があると考えられます。

もっとストレートに言うと、「好き嫌いで判断していませんか?」という事ですね。

何かを判断する時に、好き嫌いが混じるのは別に構わないのですが、これを入り口でやると、思考の質はまぁまぁ落ちます。
日常生活でしたら特段そこまで問題は発生しないのかもしれませんが、ビジネスだと困りますね。
(まぁ、買いたいから買う、という事で家や車のローンで大変な想いをしている人も多くいますが。)

【複合Ver】関連事象か? & 好き嫌いで判断していないか?

今度は上記2つの複合パターンです。

なんでも、イオンのお葬式の広告で、位牌をプラパックに包装した写真の広告がデザイン賞を受賞したと。
それで、不謹慎だ、と炎上をする案件がありました。

https://macs.mainichi.co.jp/design/ad-m/work/8501.html

私も、基本的には不謹慎であると思っており、またデザイナーや会社側、賞の選定側に教養があれば、こういった広告を作る・選ぶ事は無かったと考えております。

さて、それはそれとして、これに対する賛同(擁護)意見として、「坊主だって戒名料で荒稼ぎし、高級車や料亭で散財しているじゃないか。」的な批判がありました。
(イオンのやり方を批判しているけれども、坊主達のモラルとかもどうかと思うよ、という事を言いたいのだと思う。正に、坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、ですね。)

で、この意見の是非はともかくとして、やはりここでも冷静に考えた方が良いように思います。

つまり、坊主という属性(Y)が現代の常識感で言うと法外な金を取りがちで納得が行かない、という話と、今回起きた問題Aは別事象だ、という話です。
誰が、この問題Aを提起しようが、問題Aは問題Aとして議論し、解決が必要ならば解決を行うべきでしょう。

好き嫌いで、別事象を関連事象として接続させると、思考の質は劇的に下がります。

本件自体は、最終的には社会がジャッジするものなので、私からはこれ以上何も言う事は無いのですが。
何かしら、同様の案件が起きた時に思い出してみると良いかもです。
意外に良くある話ですよ。

例えば、嫌いなAさんが提案した企画Xに対して、その内容を考慮せずに否定・反対するとか。

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【今日のロジカルシンキング】農薬は身体に悪いか?

いつ頃からからはもうわからないですが、健康は高い関心を持って語られます。
そして健康な食材、安心な食材、という観点で「無農薬野菜」「有機野菜」というワードも頻繁にみかけます。
今日は、じゃあ「農薬」って身体に悪いの?という話を考えてみたいと思います。

切り口としては、農薬に対する専門的な知識、化学や医学に関する専門的な話抜きで、一般的に周知性が高いであろう情報のみで考えます。

なお、結論から言えば「農薬の有無を気にする必要は無い」になるのですが、これは別に、全ての農薬が完全に安全だから、ノーガード戦法でいいよ、という話では当然にありません。
我々の知らない所で、多くの研究者や役所の方々が、安全な農薬を開発し、安全な使用量や接種して問題が無いラインを定めてくれているからこその話であることは留意ください。

それでは本題に入っていきましょう。

お題

まずはこちらの記事を読んでみて下さい。

有機食品を食べると体内に残留する農薬の量が大幅に減ることが、最新の研究で改めて明らかになった。
農薬は、政府の決めた使用量が守られていても、日常的に摂取すると内臓機能や胎児・子どもの発育に予期せぬ影響を及ぼす恐れがあると指摘する専門家は少なくない。
そのため、農薬の摂取や蓄積をどうすれば防げるか世界的に関心が高まっている。
(中略)
食事を有機に切り替えると体内の農薬を劇的に減らすことができることを示した研究は、日本でも最近、報告されている。
(中略)
有機食品は世界的に需要が伸びており、とりわけ新型コロナウイルスの感染拡大以降は、消費者の健康意識や食に対する安全志向の高まりで、先進国を中心に人気が急速に高まっている。
ただ、日本ではまだ認知度が低く供給も限られているため、他の先進国と比べると消費者は手に入れにくいのが現状だ。

猪瀬聖氏「有機食品に農薬排出効果、研究報告相次ぐ」より

なるほど。

有機野菜を食すことにより、発がん性が疑われる物質の接種量・体内残留量を減らせる、という話です。

これだけ聞くと、恐ろしい話だ、有機野菜を食べなければ、と思うかもしれません。

それではここで、表題「農薬は身体に悪いか?」について考えてみましょう。

縛りとしては冒頭にも書いたように、農薬に対する専門的な知識、化学や医学に関する専門的な話抜きで、一般的に周知性が高いであろう情報のみで考えます。

農薬の有無を気にする必要は無い

まず、大前提として農薬の知識を軽くインプットしてみましょう。
農薬の専門知識の話では無く、歴史のお勉強です。
Wikipediaでググって見ると、次の記載があります。

化学合成農薬の登場

20世紀前半までは農薬の中心は天然物や無機物であったが、第二次世界大戦後になると本格的に化学合成農薬が利用されるようになる。

DDTと殺虫剤
1938年、ガイギー社のパウル・ヘルマン・ミュラーは、合成染料の防虫効果の研究からDDTに殺虫活性があることを発見、農業・防疫に応用された。
(中略)
いずれも高い殺虫効果があり、またたく間に先進国を中心に世界へ広がっていった。
(中略)

環境運動と農薬批判
1962年にレイチェル・カーソンが『沈黙の春』を発表し環境運動が世界的な関心を集めてからは、農薬の過剰な使用に批判が起こるようになった。
日本でも水俣病などの公害が社会問題となるなか1974年には有吉佐和子の小説『複合汚染』が発表され、農薬と化学肥料の危険性が訴えられた。
(中略)

残留農薬
毒性・残留試験などに基づいて各農薬・農産物ごとに許される最大残留濃度が決められ、これをクリアするように農薬の使用法が定められた上で登録され使用が可能になる。
残留農薬基準については、2006年5月より「残留農薬等に関するポジティブリスト制度」がスタートし、従来よりも残留農薬に対する規制が強化された。

食品に対する残留農薬は食品及び農薬ごとに一日摂取許容量(ADI)を基準に残留基準が定められており、基準を超えた農薬が検出された場合は流通が禁止される。

Wikipedia「農薬」より

これらをまとめると、次の知見が得られます。

  • 化学農薬は1940年前後で開発が活発化し、使われるようになった
  • 1970年前後で農薬に対する、健康懸念が高まり、各種規制・ルールの策定につながった
  • 現在は、残留濃度や一日摂取許容量が定められている

つまり、化学農薬が誕生してから約80年、各種規制・ルールが制定されてから約50年の月日が流れているのが現在、ということです。

そして現実問題として、農薬による死亡事故としては、下記のように推移しています。
(これは、「農薬 健康被害 件数」で検索。)

リスクマン「なぜ農薬を使うの? : 農薬の誕生」より(大元資料は農林水産省資料)

その他、諸々検索してみても、農薬による健康被害に関して「実験レベルのエビデンス」はあるものの、人体影響としては「懸念」レベルの話であり、具体として明確な健康被害が出ているか?というと、そのような話はヒットすることはありませんでした。
(もしかしたらあるのかもしれませんが、「悪魔の証明」という話もあり。)

それでは別観点で見てみましょう。
「寿命」です。

日本人の平均寿命は戦後、爆発的に伸びており、それこそ化学農薬が誕生した1940年頃から比較すれば+30歳、農薬に対する諸々の規制が強化された1970年頃から比較すれば+10歳以上の増加が見られます。

健康寿命も同様です。

あまり古い資料がないのですが、ここ十数年だけでも+1歳以上も健康寿命が延びています。

医療技術の発達等々と、農薬による健康被害の関係で、医療技術の発達等々の方がウェイトが大きいだけの可能性がありますが、上記の情報や資料を見る限りは、農薬による健康被害を気にする必要は無いように思います。

帰納法・演繹法的に考えると、入り口としては次のようなロジックで「健康に良くないのではないか?」と懸念されているわけですが。

これは次のように否定され、「農薬の有無を気にする必要は無い」と結論付けられるわけです。


以上、農薬は身体に悪いか?について、一般的に簡単に入手できる情報で考えてみました。

なお、現実問題として、生産されている農薬の内訳として、安全性の高い「普通物」の比率は劇的に伸びています。

農業工業会「農薬は安全?」より

加えて、単位ha当たりの農薬使用量も年々減ってきています。

なお、このグラフを見ると、日本の農薬使用量が他国に比較して劇的に多いようにも見えますが、これも理由があります。
日本は国土面積が狭いから、耕地面積当たりの作付を限界まで上げないといけないんですね。
ようは「狭いところにぎゅうぎゅう詰めで生産されている」状態なのです。

こういった事も、実はちょっと詳しく調べれば、すぐにわかる事です。

何かしらの主張を見聞きした際、ちょっとだけでも良いので、調べる時間を使っても良いように思いますね。
手許にはスマートフォンという便利なツールがあるはずなのですから。

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【今日のロジカルシンキング】WEBサービスの売上をあげるには?

今世の中には、膨大な数のWEBサービスが存在し、各社、しのぎを削っている状況です。
どのサービス提供会社も、如何に売上をあげるか?に苦心しています。
今回は、WEBサービスの売上をあげるためのフレームワークについて考えていきます。

WEBサービスと一口に言っても多くの種類があるため、「WEBメディア」を想定してみましょう。

お題

「WEBメディア」の売上をあげる考え方を整理する。

前提

  • 無料記事は無く、有料記事のみのWEBメディア(毎月課金のイメージ)
  • 収入源は有料ユーザーからの収入のみとする
  • 広告収入は無いものとする(単純化のため今回の検証から外す)

それでは考えてみて下さい。

検討

売上を因数分解してみる

さて、売上をあげるための方法ですが、前提として売上の構成要素を因数分解してみましょう。

飲食店でしたら「客数 × 客単価」ですが、WEBメディアでしたらどうでしょう?

WEBメディアでも基本は一緒ですね。

売上増につながる要素は、ユーザー数か客単価であり、このどちらか、もしくは両方を増加させる必要があります。
基本的にはこの2つの大枠の切り口から考えていくことになります。

なお、この場合、客単価をあげるにしても一定の限界があることは深く検討せずとも想像がつくかと思います。
値段をあげればユーザーが減るであろう、ということも同時に想像がつきますね。

ですので、一番の優先順位としての方向性は、ユーザー数を増加させること、を仮説として設定できるはずです。

ユーザー数の増加の考え方

それでは、ユーザー数を増やす考え方です。

ユーザー数増は更に分解してみます。

様々な観点や考え方は想定できますが、今回はアンゾフの成長マトリクスをベースに考えてみます。

アンゾフの成長マトリクスについてはご存知でしょうか?
簡単に言うと、市場と製品について、それらが既存の物なのか、それとも新規の物なのかでマトリクスをつくり、自分たちの商品/サービスの方向性・戦略を検討していきましょう、というものです。

今回の事例であてはめて見ると、次のようになります。

ユーザー数増でいうと、既存商品での「他サービスからの乗換獲得(類似サービス利用者の獲得)」か、「新規ユーザー獲得(この種のサービスを利用していない潜在顧客の獲得)」です。

これらをマーケティングの4Pの観点で見てみましょう。
4Pは下記の4つの観点について整理し、マーケティング戦略を立案していくためのフレームワークですね。

  • Product(プロダクト:製品)
  • Price(プライス:価格)
  • Place(プレイス:流通)
  • Promotion(プロモーション:販売促進)

一例ですが、このようにツリーを作ることができます。

後はこれをベースに具体を肉付けしていきます。

Product:商品力の向上では、純粋に媒体としての質をあげる、ジャンル内でニッチな記事も書きマニアックな層にも訴求する、といった方向性が考えられます。
Price:価格は、ここでは「客単価」の項目と被るので省略しますが、基本的には上げていくのは限界がある前提となります(もちろん、検討の価値はあります)。
Promotion:販促活動は、伝統的な販売方法ですね。アナログな広告もあればWEB広告もあり、適切にCPA・CACが最適になる広告媒体を選んでいく形になります。
Place:販売チャネルも、広告と同様、適切な販売媒体を考えていきましょう、という事になります。自社サイトは当然ですが、例えばBtoB向けに営業を行うとか、大学の学生向けに学割付きで申し込み窓口を設置するとか、も考えられます。

どのようなWEBメディアを提供しているのか?にもよりますが、自社の状況や性質にあわせて検討していく流れになります。

客単価増の考え方

それでは客単価増の考え方です。
上述アンゾフの成長マトリクスも踏まえて考えると、客単価増は次のように分解できます。

何度か書いているように、単純なサービス単価増は困難です。
単価をあげれば、基本的には有料ユーザーは増えにくくなります。
競合が一切以内独占市場であり、また例えばApple社のような絶大なブランド力を持っているのなら別ですが、WEBサービスの世界では、そうそう簡単に価格決定権をグリップできるものではありません。

可能性はありますが、単純なサービス単価増は難しい、というのが一つの結論でしょう。

ではどうするか?と言うと、提供サービス数増、つまりOptionとして別コンテンツを制作していく、といった方策が考えられます(あくまでも一例です)。
上述したProduct部分で、ニッチな記事を書きマニアックな層にも訴求する、と書きましたが、例えばこれを別の有料Optionをつけていく、といったことが考えられるわけです。

この話も、当然ですが簡単ではありません。

自社WEBメディアの顧客はどのような人たちなのか?をよくよく分析し(性別や年齢層、職業や収入等々の情報から消費行動を詳細に分析する)、適切に顧客に訴求していくことが必要になります。

また、何となく感じるかと思いますが、ユーザー数増施策と客単価増施策は、個別単独で機能するものでなく、連動していくものと考えられます。

全体像の中で考えていくのが良いでしょう。


以上、WEBメディアを想定して、売上をあげるためのフレームワークについて考えてきました。

この考えの枠は他の考えやフレームワークを組み合わせれば、いくらでも切り口が存在するはずです。

また、有料記事だけでなく無料記事も存在している場合は、有料化率の考え方や、
広告収入もある場合は、広告収入についての検討も必要になります。

とは言え、複雑性は増すものの、要素の因数分解と、フレームワークに沿った整理、という基本の流れは変わりません。

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新型コロナ感染者数が再増加している件について

新型コロナウイルスの感染者数が再び増加し、不安に思われている方も多いでしょう。
ただ、結論として不安に思う必要はありません。
その理由を解説していきます。

なお、感染されてしまった当事者、そのご家族、親族の方々。
持病等があり不安に思われている方などを貶める意図は全く無いので、ご了承ください。

単純に検査数が増えている

「過去最多」

こんな言葉が踊っています。

特に東京の数は凄いです。

東洋経済オンラインのまとめより

ただ、冷静に資料を見て欲しいのです。

こちらはPCR検査人数の推移です。

新型コロナウイルス感染症対策サイト

東京のPCR検査人数ですが、直近は、3月の10倍超、4月比でも約8倍の数になっています。

つまり、検査が増えたのだから検出される人数も増えるよね,というだけの話なのです。

(後、新宿区の感染者への見舞金10万円、これは逆効果ですね。)

偽陽性(陰性感染者)の存在

以前にこちらの記事でも解説した話ですが。

PCR検査は高感度の検査技法ではありますが、100%の感度があるわけではありません。
仮に、PCR検査を感度70%・特異度99%、感染者総数を5千人とし、10万人を対象に検査した場合ですが、次の図のように感染していないが陽性とでる方や、逆に感染しているのに陰性とでる方が発生します。

このように、1,500人の感染しているのに陰性と出た方、逆に950人の感染していないのに陽性と出た方、つまりエラーが発生するのです。

今現在もこの状況は発生しているはずで、「陽性」と出た方で、一体全体、どれだけの非感染者が含まれているのでしょうか。

何を指標にして警戒すれば良い?

シンプルに重症者数で見るのが良いのではないでしょうか。
こちらは、全国の重傷者数の推移です。

このグラフを見る限り、大きな問題があるようには思えません。

必要なこと

この状況下で必要なこと、それは当たり前のシンプルなことです。

人混みの多い場所ではマスクをする。
外出したら、手洗い、うがい、洗顔、入浴、着替え、のこれらをする。

日本では、肺炎による年間の死者数が約100,000人、インフルエンザによる年間の死者数が約3,000人、残念ながら出てしまいます。
(インフルエンザに関しては、ワクチンも特効薬も存在するのに。)

つまり、新型コロナウイルス感染症に限らず、当たり前にこれらのことをしましょう、という話です。

下記記事も参考にしてみてください。

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【今日のロジカルシンキング】レジ袋有料化は本当に環境問題の解決につながるのか?

賛否両論の中、レジ袋有料化がはじまっています。
今回は、環境問題や環境税的な物への是非とか、そういう話では無く、思考トレーニングとしてレジ袋有料化は本当に環境問題の解決につながるのか?を考えていきます。

繰り返しますが、個別の科学的正しさを追求する話では無く、ロジカルシンキング的観点で、大枠としてそれは問題なのか否かを捉える、イシューの話です。
ですので、ここでは当該施策に賛成とか反対とかの意見を述べるものではありません。

お題:レジ袋有料化は本当に環境問題の解決につながるのか?

まずは、「レジ袋有料化の意義」として主張されているものの整理です。

諸々のニュースや政府報道、各種環境を意識した組織・団体が主張するレジ袋有料化の意義は次のような形でまとめられます。

  • 二酸化炭素排出の削減
  • ゴミの削減(マイクロプラスチックとか海洋汚染等々の低減)
  • 国民の環境保護への意識の向上

それでは、上記の意義について、科学や環境の専門的知識を使わずに、判断を行ってみましょう。
使用する資料も、大枠を掴むという観点ですので、パッとググって調べらる範囲に留めます。

二酸化炭素排出の削減

この種の話は個別各論で話すと解決が困難になるので、大枠で考えるのが一番です。

で、レジ袋、もっと言うとプラスチック製品ですが、これが石油(原油)から作られている事は、日本の義務教育課程を終えた人ならば、誰でも知っています(そのはず)。

とすると、石油(原油)の内、どれくらいの割合、プラスチック製品の製造に使用されるのか?を考えるのが、よさそうです。

それで「石油 レジ袋 内訳」でGoogle検索したのがこちらです。

一般社団法人プラスチック循環利用協会「プラスチックは石油をどれくらい消費している?」より

当該サイトは、環境活動への推進寄りであり、更に情報がレジ袋有料化の話の前のものなので、色としては問題無いものかと思います。

その資料で、プラスチック製品の製造で使用される石油の量が2.7%、レジ袋は更にその中の一部なので、全体のインパクトは小さいことが、直感的にわかります。

ゴミの削減

次はゴミの削減に効果があるのか?です。

この点に関しては、資料云々より、日常生活の風景を思い出すのが早いでしょう。

一般的な買い物後の風景です。
消費するものもありますが、パッと見、レジ袋よりも他のプラスチック製品の方が圧倒的に多いという感覚はありますね。

一応、簡単に資料にもあたってみましょう。
「プラスチック製品 レジ袋 内訳」で検索してきたものがこちらです。

毎日新聞「スーパーやコンビニのレジ袋廃止 どうしたら法制化できるのか(2019年6月12日)」より

940万トンの内の20万トンとのことで、レジ袋はプラスチックゴミ全体の2%程度です。

20万トンという数字だけを見ると、とんでも無い数字に見えますが、全体としては本当に微々たるものです。
(上記、二酸化炭素の話になると、2.7%の2%なので、全体の0.06%と、本当に無視しても良い位の数字です。)

マイクロプラスチックと海洋汚染

次にマイクロプラスチックと海洋汚染についてです。

マイクロプラスチック云々生物濃縮云々については、ここで細かく語っても仕方ないので、端的に健康被害があるのか?という話に絞ります。
WHO云々の話もしません。

ロジカルシンキングの観点で考えると、どのような切り口が良いでしょうか?

ここでは、「プラスチック 使用量 推移」で検索してみます。

一般社団法人産業環境管理協会内資料より

プラスチック製品が世界的に本格的に使われるようになったのが1980年~1990年、そこから現在までで30年超の時間が経過しています。
では、マイクロプラスチックに起因する健康被害が現実に起きているのか?というと話は聞きません。
他の公害と比べて考えると、健康被害はほとんど無いと言って良いのでは?と考えるのが自然でしょう。
(もちろん、科学的に、健康被害が実はあったんだ、ということが後々証明される可能性は当然にあります。)

次に、海洋汚染について考えてみますが、これは「プラスチック製品 レジ袋 内訳」で出てきた別の資料で検討ができます。

NIKKEI STYLE「レジ袋有料化、なぜ急に? 海洋プラごみ対策後追い」より

あくまでも漂着ベースなので、これを本当に全体像と言って良いかは不明ですが、少なくとも漂着ベースで0.3%しかポリ袋ゴミは発生していないので、海洋全体でも極々一部と考えて差し支えないでしょう。
つまり、レジ袋を削減しても、海洋ゴミの削減、海洋汚染の低減にはつながらないのです。
(後、そもそもとして、漂着してくるゴミが、日本の物なのか問題は、たびたび話題に出ますね。)

国民の環境保護への意識の向上

この点は、まあそうなのかもね、という気はします。

これについて検討する方法は何かあるであろうか?と考えた時に、素直に常識で考えるのが良いと思いました。

つまり、「ポイ捨てをする人」、「分別がいい加減な人が、今さら「レジ袋有料化」を行ったところで、環境保護への取り組みに熱心になるであろうか?という点です。
積極的にレジ袋を使用せず、エコバッグに切り替える層は、最初から高いモラルを持っている人たちであると、想像ができるはずです(偏見かもしれないですけどね)。

この見方だけで、一定結論が出てしまうように思えます。


以上、レジ袋有料化は本当に環境問題の解決につながるのか?について、ロジカルシンキングの観点で考えてみました。

専門的知識を用いず、表面的に検索できる事象だけど、本件に関して一定の結論を出せるだけの情報を得られ、思考の整理ができたかと思います。

(なお、改めて繰り返しますが、別にここでは反対をしたいとかそういう趣旨の内容の話はしていません。ちょっと論理的に考えれば掲げている意義に対して効果が無いことは明確だよね、ということを示したにすぎません。
また趣旨としても、あくまでも、ロジカルシンキングを活用すると、別に専門的知識が無くてもここまで考えられますよ、ということを言いたいにすぎません。)

この思考の流れを一言で表現するなら「森を見る、全体像を把握しよう」という風になるでしょう。

ビジネスの現場での思考も一緒で、個別各論で考えだすと時間がかかったり、思考が迷走しがちです。
全体像を把握し、大枠としてどうだ?と考えるのは、ロジカルシンキングの基礎です。
ビジネスに限らず、生活の多くの場面でも応用できる思考法なので、是非、活用してみて下さい。

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【今日のロジカルシンキング】納豆と生卵の食べ合わせは相性が悪い?

先日、とある方による、とあるインフルエンサーへのコメントで「生卵×納豆は栄養相殺なNGな食べ合わせ(以下略)」というものを見かけました。
結論、大げさな話で気にする必要は無いのですが、ネット上では様々な情報があふれており、真偽がわかりづらいです。
今回は、栄養学とかその種の知識抜きに、ロジカルシンキングで判断する方法を考えてみます。

お題:納豆と生卵の食べ合わせは相性が悪い、をロジカルシンキングで反証する

なんでそんな話になるのかよくわからないのですが、

納豆と生卵の食べ合わせは相性が悪い。
なぜならば、卵白に含まれるタンパク質「アビジン」は、
納豆に含まれるビタミン「ビオチン」と結合し、吸収を阻害するから。
「ビオチン」は皮膚や髪の毛の健康を保ったり、身体の酵素の働きを助けるので、
ビオチン不足になると、色々な健康被害がでる。

と言われています。
まあ、この話自体は、論理的に筋が通っています。
テレビなどで偉い風の先生が(おそらく、全体文脈を見るとそんな主張をしていないのでしょうが)、そのように解説をすると、信じてしまう人も出てくるでしょう。

今回は、この話を、専門的な栄養学等々の知識抜きで、
あくまでもロジカルシンキングの観点で反証してみます。

この種の話は、納豆と生卵の食べ合わせに限らず、色んな場面で出てくるので、応用が利くと思います。

ロジックの流れ

この話はそんなに難しく無いです。

まず、常識的な感覚をもって世の中を見渡した時に、「納豆と生卵の食べ合わせ」による健康被害を見聞きしたか?がポイントです。
聞かないですよね?

じゃあ、レアリティの話なのか、単純に話が出回っていないのかどうか、ということで全体の母数を考えます。

ようは、納豆と生卵の食べ合わせで頻繁に食事をされる方が世の中にどれくらいいるのか?という話です。

納豆を頻繁に食べる人の割合 × 生卵を頻繁に食べる人の割合 × 日本の人口

ですね。

別にフェルミ推定でやっても良いのですが、ここでは省略し、資料に頼ります(ググればすぐに出てきます)。

納豆の資料はこちら。
卵の資料はこちら。

資料の数字、納豆を頻繁に食べる人(毎日を含む、2~3日に1回以上)が36.6%、卵料理を頻繁に食べる人(毎日を含む、週に3~4回程度以上)が71.6%です。

全国納豆協同組合連合会「納豆に関する踏査」調査結果報告書 2017.6 より
キュービー㈱ たまご白書2019 より

で、生卵の喫食データは無いのですが、「好きな卵料理」で「卵かけごはん」が5位にランクインしているので、超ざっくり10人に1人とパラメータ設定を置きます。

キュービー㈱ たまご白書2019 より

数字をあてはめて見ると、下記の通り約3百万人が該当することがわかります。

納豆を頻繁に食べる人の割合 × 生卵を頻繁に食べる人の割合 × 日本の人口
= 36.6% ×71.6% × 0.1 × 1億2千万人
= 約3,100,000人

考えて見てもください。

3百万人もの人間が健康被害にあうような食べ合わせがあるのならば、もっと世の中的に話題になっているはずですし、厚生労働省とかが警告を出すはずです。
健康被害が仮にあるにしても、影響は小さいか、もっと対象母数が小さいか、のどちらかか両方になるはずです。

つまり、「気にする必要が無い」と言えるわけです。

好きなように食べなよ。

まとめ

今回の話は、「〇〇は良くない!(定性)」という話に対して、「じゃあ、どれくらいの人に影響があるの?(定量)」という流れて切ってみました。

定性情報を定量情報で検討してみる、というビジネスでもよくある思考ですね。

ちなみに医療の話でいうと、卵白の過剰摂取による健康被害は実際にあって、「卵白障害」と言われています。
この話を仮にしっていたら、「卵白障害 患者数」で検索してみる方法もあります。
まあ、数字が出てこないから「あぁ、大したこと無いんだな」とすぐに気づくのですが。

ちなみに話をもう一つ付け加えると、諸々の研究論文を眺めていると、卵を10個以上、毎日摂取するのを数ヶ月から数年間続けると、卵白障害が起きるらしいです。

さらに付け加えると、この話は「卵白×他ビオチンが含まれている食材」の対立軸になるので、潜在患者数は約8百万人と上の数字以上に増加します。
なおさら気にする必要が無いことがわかりますね。

話の中身は違っていても、この種の話は多く溢れています。
ビジネスの現場でもそうです。

定性情報は定量情報に置き換えてみる。

この基本的な思考の流れだけで、大体のことは、大元の知識抜きでも解決できたりします。

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