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ビジネスと心理学

荒れそうな会議がある場合にはお菓子を用意するとよいかもしれない

糖分を多く摂っていると、攻撃性が抑制され、“キレる”のを防ぐことができる可能性があります。
オハイオ州立大学で行われた研究では、砂糖が入った甘い飲み物を飲んだ被験者と、人工甘味料入りの甘い飲み物を飲んだ被験者を比較し、前者の方が“キレる”ことが少なかった、という結果が示されました。

甘い飲み物が攻撃性を抑えるという実験

オハイオ州立大学の研究チームは、62人の大学生を被験者に対戦ゲームを用いた実験を行いました。

https://www.dailymail.co.uk/health/article-1334642/Feeling-angry-Why-spoonful-sugar-sweetens-mood.html

実験の概要は次のようなものです。

  • 実験開始前に3時間の断食を行う
  • 被験者はコンピューターを相手に反応時間を競うゲームを行う(被験者は相手がコンピュータだと知らない)
  • 被験者の半分には砂糖で甘くしたレモネード飲料を飲んでもらう
  • 残りの半分には人工甘味料で甘くしたレモネード飲料を飲んでもらう(血糖値が上がらない対象群)
  • 飲料を飲んだ8分後に反応テスト(ゲーム)を実施(糖分が吸収されはじめる時間)
  • 被験者は25回ゲームを実施した
  • ゲームに勝った場合、相手に60デシベルから105デシベルの大音量のホワイトノイズを流せる
  • この範囲内の10段階で勝った方が音量を決められる
  • 勝敗は、実際には無作為に12回かつようにせっていされていた

この実験は、体内の血糖値が怒りの度合いにどれだけ影響するのか?を調べるものです。

砂糖により血糖値があがったグループと、人工甘味料により血糖値があがらなかったグループを比較して、音量という攻撃性がどれだけ示されるのか?がわかるのです。
(攻撃性は、1回目の反撃の強さ、つまり対戦相手に挑発される前に選んだ騒音の強さで測定。)

実験の結果、砂糖入りのレモネード飲料を飲んだグループの方が、対象群より攻撃性が低かったことが示されました。
(実験群は10点満点中、平均4.8点、対象群は同平均6.06点だった。)

怒りの衝動を抑えるにはエネルギー、つまり糖分が重要

研究者たちは、この結果は、脳のエネルギー源となる血中のグルコースにより起きたものであると考えています。

怒りの衝動を抑える自己コントロールにはエネルギーが必要であり、グルコース、つまり糖分がそのエネルギー源となります。

上述の実験では吸収できる砂糖が入ったレモネード飲料を飲むことで、他人への攻撃性を抑制するためのエネルギーが供給されました。

なお、この研究は単純に怒りとエネルギーの関係を示しただけでなく、糖尿病がもたらす社会的影響についても言及しています。

研究者は糖尿病の話に言及した前提で、「(グルコースの正常な代謝が、人々に自己コントロールのためのエネルギーを提供し、より平和な社会に貢献することができるかもしれません。」としています。

荒れそうな会議がある場合にはお菓子を用意するとよいかもしれない

この話は糖尿病という疾病の話に限らず、様々な場面で活用ができそうです。

例えば、荒れそうな会議がある場合には、事前にお菓子を用意しておくとよいかもしれません。

場が和む、という効果もそうですが、お菓子を食べて脳内に糖分を供給することにより、会議が荒れることを抑えられる可能性が考えられます。

また、何でも良いのですが、何かしらイライラしている時に一口でも良いのでお菓子や甘い飲み物を食べると、アンガーコントロールがうまくいくかもしれません。

甘い物の食べ過ぎは健康に良くはないですが、適度な活用は良いでしょう。
ギスギスしない職場環境構築の一つのネタにどうでしょうか。

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ビジネスと心理学

怒りっぽい人は過去の失敗から学ばない可能性がある

世の中には怒りっぽい人が、それなりの割合で存在します。
そして、怒りっぽい人は過去の失敗から学ばず、次につなげられない可能性があります。
他人を変えるのは難しいですが、自分を変えるのであれば自己努力で可能です。
自覚がある人に向けて改善のためのヒントを提示します。

怒りっぽい人は自分で思っているよりもIQが低いかもしれない

ポーランドのワルシャワ大学で、怒りっぽいこととIQ(認知能力)の関連性について研究が行われました。

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0160289618300102

実験では合計528人を対象に、アンケート調査が行われた後、IQテストが実施されました。
アンケートの内容は、短期であるかどうか、どれくらい怒るのかといった性向(性格)を調べるものです。
加えて、自分自身の知能についても自己評価する内容が含まれていました。

その結果、怒りっぽい人は、自分自身が実際よりも賢いと認識している傾向があることが示されました。

また、このIQの過大な自己認識はナルシシズムが関連していることも示されました。

つまり、怒りっぽい人は、自己愛傾向があるが故に、自分自身の能力を過大評価している傾向がある、ということです。

(なお、ナルシシズムと言っても、尊大気質と神経症気質のものがあり、尊大気質の場合に上述傾向が見られる一方、神経症気質の場合、逆に過小評価する傾向があることも示されています。)

ナルシストと後知恵バイアスの話

怒りっぽいこと自体が決して望ましいことではないのは確かであり、改善が望まれます。

加えて上述の、自己評価が過大になる、という点も見過ごせません。

こちらの記事で記述したのですが、「自己愛性向が強い、つまりナルシストは自分の予測の精度が悪かったとしても、異なる選択をすべきだったと認める傾向が弱い」ことが示されています。
また、「上手く行った場合に“勝者の気分”になる傾向が強い」ことも示されました。

つまりは、「ナルシストの傾向がある人は、上手く行ったら自分の手柄であり、上手く行かなかったら自分のミスではない、という反応を示す傾向が強い」ということであり、「研究者はナルシストは失敗を反省し、学ぶ能力が低下している」としています。

これは非常によろしくないことです。

言いたいこと~自覚ができるなら改善ができる~

ここで言いたいのは、怒りっぽい他人がどうのこうの、という話ではなく、もし仮に自分自身が怒りっぽい人間であるならば(自覚が少しでもあるならば)、自己改善に取り組みませんか?という点です。

他人を変えるのは難しいですが、自分を変えるのであれば自己努力で可能です。
(他人のことは、「あぁ、この人は自尊心が高いだけの〇〇なんだな。」と思っておけばよろしい。)

必要なことは、改めて明確に自覚・意識をすることと、正確に知識を得ることです。

上述の記事では「後知恵バイアスというものの存在を知識としてしっかりインストールしましょう」と提案しています。
知っていれば、「あ、まずい。」と気が付く確率が高まるからです。

ここでの自覚・意識は「自分が怒りっぽい人間だ。」にあり、また知識は「怒りっぽい人間は自分を過大評価する傾向がある(その可能性がある)。」「ナルシストは反省し、学ぶ能力が低下している。」にあります。

字面だけ見るとかなりダサいので、明確に自覚・意識ができたのであれば、改善は近いのではないでしょうか。

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