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人事・総務

OKRを成功させるために本当に重要なこと1点

主にベンチャー界隈で人気のある目標管理ツールにOKRというものが存在します。
人気がある一方、大多数の会社はうまくOKRを活用できているようには見えません。
ここではOKRを機能させるために本当に重要なことについて、たった一つのことを指摘します。

OKRって何?

OKRのことをある程度知っている前提で書くのですが、とは言え、ということで簡単に。

OKRとは、世の中に数多く存在する目標管理、マネジメントのツールの一つです。
GoogleやFacebookのような、輝かしいIT企業が採用していたということもあり、ベンチャー界隈を中心に、様々な業種業界で人気のツールとなっています。

じゃあどんなものか?というと、「Objectives and Key Results」という言葉の略で、1つの目標(O)に対して、複数の結果指標(KR)を設定し、それをかなり短い期間でトラッキングしながら、組織として高い成果を出して行きましょう、というものです。

特徴的な所としては、設定する目標と結果指標について、ストレッチした水準を設定するところにあります。
組織として本気で頑張ればなんとか達成できるような水準です(確度として50%から80%あたり)。

そして、このなんとかギリギリ達成できるかもしれない高い目標を、高速でグルグルまわしながら追いかけ続けるので、もしかしたらムーンショット(月に届くほどのショット)を狙えるかもしれない、という考えをもった目標管理ツールです。

詳細はググれば、いくらでも解説が出てくるので、そちらも参考にしてみてください。

OKRを成功させるために本当に重要なこと

さて、では人気のツールなわけですが、うまく活用できている企業は少ない印象です。
(OKRを使えばムーンショットを達成できるのなら、もっと多くの企業が成功していますよね。)

色々なサイトで、OKRを機能させるために重要な事を解説しています。

例えばこちらのサイト。

こちらでは、

  • 組織として聖域を除去する覚悟を持つ
  • 心理的安全性の担保
  • モチベーション3.0の存在の確認

という点を指摘しています。

また、こちらのサイトでは、逆に失敗する要因として、

  • 会社にミッションがない
  • 上層部だけで目標を設定、メンバーの意見を聞いていない
  • 値の設定が不適切

というようなことを指摘しています。

どれもそうなんだろうな、という感想は持ちつつも、ある一つの点に関して視点が抜け落ちているように思います。

というのも、OKRはどこまで行ってもツールの一つだ、という点です。

例えば、皆さんが仕事で当たり前に使うパソコンです。
パソコンは、仕事の効率を劇的にアップさせる素晴らしいツールです。
しかし、じゃあ、全てのパソコンを活用するビジネスパーソンが、パソコンを使いこなせているか?と言えば、別にそういうことは無いですよね?
ブラインドタッチで躓いている人から、本当に活用しきれている人まで様々です。

OKRも同じで、ようは数あるツールの一つでしかないので、使いこなせるか否かが重要なのです。
ツール(道具)として、使い方に熟達しないといけません。

その意味でこちらの記事にありました、時間と慣れが必要、というのが一番しっくりくる解説です。

説明は1行でも、実際の運用には時間と慣れが必要
(略)
OKRは科学とアートの中間だから、これだという正解はないことや、導入しても2、3回(半年以上)更新する経験を通してしか、組織やチームにしっくりくるOKRは設定できないのが普通ですということをお伝えしていました。
(略)
細かな設定と運用がきわめて重要です。それは個々人のインセンティブやモチベーション、組織の報酬や力関係というダイナミクスと密接に関わっていて、正しく運用しなければ、むしろ組織のモラル低下に繋がります。表層的なOKR導入で組織のモチベーションが吹き飛ぶことがあります。

CORALCAP「OKR運用失敗の3つの理由―、なぜ高すぎる目標が逆効果になるのか」より

上の、逆に失敗する要因であげた記事でも触れられていましたが、
「ウィンセッションができていない」のも、これに触れている指摘ではあります。

組織として、しっかり使っていく、そして正しく使えているよね、ということを確認していく。
それを長く根気強く続ける。

これがOKRを機能させるために本当に重要な、たった一つのことです。

この話って別にOKRに限らない

実はこの話って、OKRに限りません。

若干話をそらして、ぶっちゃけな感想を書くと、OKRでできることって、別にOKRである必然性がありません。

旧来のKPI管理をストレッチ目標で設定し、その他のイノベーションに導く組織運営手法と組み合わせれば、それで事足りるといえば事足ります。

じゃあ、KPI管理で良いのか、といえば、KPI管理はKPI管理で、やはり運営の妙があるので、ツールとして熟達しなければ使いこなせません。

ドッグイヤーという言葉が一般化して久しいですが、どこかの会社や偉人が、何か新しい取り組みをしたら、それに流されるのが世の常です。
しかし、本質は昔から変わらない、という点は重々承知しておいた方が良いでしょう。

どこまで行ってもツールなので、熟達しなければ使いこなせません。

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人事・総務

リモートワーク時代の福利厚生制度リモートワーク時代の福利厚生制度

ビフォーコロナ・アフターコロナにおいて、決してマジョリティでは無いにせよ、働き方が劇的に変わった会社も多いのでは無いでしょうか。
ここでは、リモートワーク時代において、適用できる福利厚生制度は何か、について考えていきます。
並べて見ると、結構な種類が存在します。

リモートワークに対応する福利厚生制度

福利厚生制度の分類

リモートワークに対応する福利厚生制度を考える上で、まず、大枠の分類を考えました。
下記の8つです。

住宅・通勤 : 家賃やローンなどの住宅にかかる費用の補助
健康・医療 : 健康診断などの健康や医療に関連する費用の補助
家族・育児・介護 : ベビーシッターを雇う費用の補助など家族に関連する支援
レクリエーション : 会社主催,社員主催の各種懇親会の費用の補助
慶弔・災害 : 慶弔関連の見舞金や休暇など
報酬・財産形成 : 勤続手当や会社の株式に関連する福利厚生
業務環境整備 : PC機器の購入など、業務環境を整備するのににかかる費用の補助
キャリア補助・成長 : 業務に関連する書籍の購入やWEBセミナーへの参加費用補助

これらは更に、金銭補助・非金銭、挑戦意欲の醸成、安心感の醸成で区分できます。

上記に従い、リモートワークに対応する福利厚生制度を列挙したのが次の表になります。

リモートワークに対応する福利厚生制度

項目 内容 金銭 挑戦 安心
住宅・通勤 住宅手当  
  引越手当  
         
健康・医療 食費補助  
  予防接種  
  衛生用品購入費補助(マスク等)  
  健康診断アドオン補助  
  フィットネス補助  
  生命保険費用補助  
  産業医面談    
         
家族・育児・介護 介護・育児費用補助(シッター利用費など)  
  リフレッシュ休暇    
  ファミリーデイ(任意休暇)    
  男性向け産休制度    
         
レクリエーション 歓送迎会補助(WEB)  
  懇親会補助(WEB)  
         
慶弔・災害 慶事祝金  
  弔慰金  
  慶弔休暇      
         
報酬・財産形成 持株会制度  
  勤続手当  
  退職金  
  401K等補助  
  ストック・オプション  
  定期インセンティブ  
         
業務環境整備 PC機器購入補助  
  通信機器費用補助(月々の通信費など)  
  オフィス家具購入補助  
  オフィス用品購入補助  
         
キャリア補助・成長 資格取得費・維持費補助  
  書籍購入費補助  
  セミナー参加費補助  
  新規事業チャレンジ費用補助  

この通り、結構な数の制度をあげることができ、しかも従来から存在した福利厚生制度がそのまま適用できるものがほとんどです。

リモートワークに対応する福利厚生制度として特有のものと言えば、業務環境整備にかかるものでしょうか。
PC機器や通信環境、オフィス家具、オフィス用品は、これまでは当然に会社側が用意し、従業員に貸与していました。

セキュリティの問題など、クリアしなければいけないものが一部あるにせよ、中小企業において出来る対応に限界がある中、業務環境整備にかかる費用を補助するのは検討する価値があると言えるでしょう。

財源(予算)はどうするか?

財源(予算)はどうするか?

それでは、財源(予算)の手当については、どのように考えれば良いでしょうか?

これはシンプルに、これまで適用していた福利厚生制度の予算をあてる方法もあります。
また、通勤手当を削減できること、オフィス縮小やリモート増加に伴う家賃の節約、オフィス用品の節約で対応するコストを充当することができます。

コスト削減分を福利厚生制度にあてるメリット

この点は、良くも悪くも、の話なので、重要ポイントではありつつも、最後の項としました。

リモートワークに対応することにより、通勤手当、家賃、水道光熱費、オフィス用品費などが削減できます。

これら、削減したコストを従業員に還元する形になるわけですが、給与に充当せず、福利厚生制度に充当するメリットは何でしょうか?

これは、給与は一度上げてしまうと、簡単には減らせないからです。
現在の労働基準法は従業員にとって有利な法律となっており、就業規則・給与規程の従業員にとって不利益になる改定は難しいのです。

一方、福利厚生制度は会社側が任意に設定する制度ですので、柔軟に改廃が可能です。
(仮に、就業規則などで明文化してしまった場合はこの限りでは無いので、あくまでも会社の運用ルールとする位置づけが良い。)
そのため、仮に業績が悪化した場合などに、柔軟に一時中断の措置が取れるのです。

これらは、会社側に一方的に有利な対応に見えるかもしれませんが、会社が傾いては、従業員の生活を守るという意味で、元も子も無いので、労使双方にとってニュートラルな対応と言えます。
見方次第で、評価も変わる話ですので、冒頭の通り「良くも悪くも」と書きました。

また、あまり効果の出なかった福利厚生制度を柔軟に改廃できるのもポイントです。
会社毎に、最適な福利厚生は異なるので、どこかの会社で良かったからと言って、自分たちの会社で効果が出るとは限りません。
そのため、柔軟に改廃できる、福利厚生制度にコスト削減分を充当するのは意味が高いのです。


以上、リモートワーク時代の福利厚生制度について考えてきました。

最後に書きました、会社毎に最適な福利厚生制度は異なる、というのがある意味最大のポイントかな、と考えています。

一発で自社に最適な福利厚生制度を導入することは不可能です。
会社のステージや状況によりも異なります。
導入しては効果を見て改廃し、を繰り返し、柔軟に最適解を模索するのが良いでしょう。

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マネジメント・リーダーシップ

効果的な1on1運用は高難易度~形だけの無駄な1on1ならやるな!~

ここ数年、上司と部下が1対1で定期的にミーティングをする「1on1」がベンチャー業界を中心に流行っています。
適切に運用すれば高い効果のある1on1ですが、形だけの導入では上司は疲弊し、部下は会社不信を抱く、悪影響を招くだけの結果をもたらす可能性もあります。
今回は、この1on1に関して、無駄になりやすいから、基本的には実施しない方がいいよ、という観点で解説していきます。

1on1は何故、実施しない方がよいのでしょうか?
仮に実施するとしたら、どのようなやり方なら有効なのでしょうか?

忙しい人向けまとめ

  • 1on1は、上司と部下の1対1で定期的に行うミーティングで、仕事の悩みを中心に主体的な自己解決を促すための取り組み
  • 1on1は次の3点の理由で、基本的には無駄だと言える
    ① 1on1のコンテンツは、仕事の中で、その場で指導すれば解決するものが多い
    ② 「コーチング」の要素が強く、上司部下双方に一定のスキルが必要
    ③ 「コーチング」ではなく、「ティーチング」が必要な場面が多い
  • 仮に1on1に取り組むとして、必要な前提条件や、整えなければいけない制度が多く、また時間もかかる

1on1とは?とりあえず基本的なことの確認

1on1は、アメリカシリコンバレーを中心に広がった、広義の意味で人事制度の一種です。
部下と上司が1対1で、短時間の面談を頻繁に行い、コミュニケーションをとると共に、仕事の成果をあげることを目的として実施されます。

日本においても、部下の本音を聞き出し、モチベーションを高めてもらう効果を狙い、ベンチャー業界を中心に広がっています。

つまり、部下の育成やマネジメントにおいて有効だ、と言われているわけですね。

しかし、この1on1ですが、その本質を理解せずに、流行だけに乗る、形だけ導入してしまうと、効果があるどころか、悪影響が発生します。
基本的には、何も考えないで1on1を実施する位なら、やらない方がマシな無駄なものなのです。

それでは、何故、1on1は基本的には無駄なのでしょうか?

1on1は基本的には無駄!

具体例として、ヤフーで行われているという1on1について、そのプロトコルを見てみます。

一週間に一度、30分/人とする。
部下は10人以下とする。
以下のアジェンダとする。

 ① 目標に対しての現状の確認と問題点の特定(10分)
 ② 業務上の経験や気づきの振り返り(10分)
 ③ チームや組織に対する意見や気づき(5分)
 ④ その他の悩みや相談(5分)

また、聴くことを心掛ける。

『人事こそ最強の経営戦略』

これを見ると1on1のコンテンツとしては、業務遂行、人間関係、プライベートなことに関して、悩み諸々を聴き主体的な自己解決に導く「コーチング」的なものであると解釈することができます。

私が1on1は基本的には無駄だ、という理由は上記をうけて、次の3点の理由になります。

  • 1on1という体裁をとるまでも無くその場で指導すれば良いはず
  • 「コーチング」の一種なのだから、上司・部下共に聴く・話すスキルが必要
  • 「コーチング」ではなく「ティーチング」が必要な場面は多いはず

1on1という体裁をとるまでも無くその場で指導すれば良いはず

いきなり結論なのですが、普段から部下のことを気にかけていれば解決できることばかりなはずです。

業務遂行上、例えばシンプルにタスクの処理の仕方や、複雑なものでプロジェクト進行上の悩みが部下にあったとしましょう。
それならば、タスク上のHowならその場で指導すれば良いですし、プロジェクト進行なら定例ミーティングで状況を確認し、これもその場で指導したり、主体的な自己解決を促すアドバイスを行えば良いだけのはずです。

人間関係の悩みも、普段からチームの様子を見ていれば、「AさんはBさんのことが苦手なんだな」「Cさんは人当りが強くてまわりを委縮させてるな」「Dさんは怠け癖があって、まわりから疎まれているな」なんてのはわかるはずです。
1on1ミーティングの場でしか、このような状況をキャッチできない上司に対して、そもそもとして部下は信用・信頼し、ついていくと思うのでしょうか?
組織上(チームメンバー上)の問題も、問題がある人を呼び出して、即座に注意をすれば良いだけのはずです。

プライベートの悩みに関しては、基本的に、仕事にプライベートの問題を持ち込むこと自体がナンセンスです。
職場は学校や悩み相談室では無いのですから、プライベートの悩みを解決するようなアクションはそもそもとして不要です。
仮に、そのような悩みを解決しないと機能しない部下がいるのであれば、それは採用の問題です。
1on1の導入以前の問題として、採用を見直した方が良いでしょう。
取り組むとして、ランチや本人が望むのであれば飲みの場で話を聞き、個人的に相談にのる、というのは全く構わないでしょう。

ようは、1on1のコンテンツを見る限り、ごくごく普通に仕事中や休憩時間、仕事後などにコミュニケーションをとれば、それで事足りるものばかりのはずなのです。

即時解決を図るならば、タイムリーですし、時間的にリーズナブルな点も指摘できます。

「コーチング」の一種なのだから、上司・部下共に聴く・話すスキルが必要

次に、1on1は問題解決のための「コーチング」の一種だという点が、難しいポイントです。

つまり、上司に1on1のスキルと、部下に話をする内容や、問題をまとめて適切に伝えるスキルが無ければ、機能しづらいのです。
つまり、実施する側、受ける側双方に一定の知識やスキル・経験があるからこそ成り立つものなのです。
機能しない1on1を惰性でやることは、会社や人事に対する不信につながりかねません。

まず、コーチングはそもそもとして難しいのだから、その素人である部課長にやらせることが本当に良いことなのか?はしっかりと検討した方が良いでしょう。

次に、問題解決の視点で考えた時に、問題が解決しないことにより、かえって溝が深まる可能性も考えられます。
組織が抱える悩みというのは、一部課長によって簡単に解決できるものばかりでは無いはずで、また仮に解決できるにせよ簡単に即座に解決できるとは限りません。

つまり、問題解決という視点で見た場合に、1on1は高い可能性で機能しない運命が待ち受けているのです。
解決できる、解決しやすい問題に関しては、上記「その場で指導すれば良い」の通り、1on1でやる必然性があまりありません。

このため、普段から部下たちのことをしっかり見ている上司や、自走できる部下にとては、時間の無駄なのです。
双方疲弊するだけです。
適切に1on1を運用しようとすると、実施時間だけでなく、準備時間も必要であることは認識しなければなりません。

「コーチング」ではなく「ティーチング」が必要な場面は多いはず

上述の通り、コーチングは、実施する側、受ける側に一定の知識やスキル・経験があるからこそ成り立つものだ、と書きました。
この「一定の知識やスキル・経験」が、特に受ける側に無い場合、必要なことは「ティーチング」です。

「コーチング」は受ける本人が内に持っているもの(知識や経験のみならずマインド的なもの含め様々なもの)を引き出し、主体的に自己解決を促すための取り組みです。
そのため、受ける本人のスキル水準が低い場合は、きちんと具体のHowを教え込まなければいけないでしょう。

また、会社の業務の多くはスキルフル、キャリア的なものばかりでは無いはずです。
毎日、決まったタスクを淡々と効率的に処理するようなことが求められる業務は多いはずで、この役割においては、主体的なことは期待されていないはずです。
この役割の方々に対して、「コーチング」的1on1を実施することに、どこまでの効能が期待できるのでしょうか?
(この点は、役割の上下の話をしているのではなく、役割の性質の話をしていることは留意ください。)

加えて、何度も書いている通り、「コーチング」は主体的な自己解決を促すための取り組みであることを考えると、1on1の実施自体が矛盾をはらんでいることに気が付くはずです。
どういうことかと言うと、会社から1on1を促している、という時点で既に主体的ではない、といことです。
部下本人が1on1をしたい、というのならば、上司はそれを歓迎すれば良いだけのはずです。

それでは、効果的に1on1を運用するには、どのように行えば良いのでしょうか?

もし、1on1に取り組むのならば?

実施の前提条件

まず、会社が取り組んでいる事業や、従業員たちの属性に関して検討する必要があるでしょう。

事業からくる業務の特性が、タスク性や定型性の高いものでしたら、1on1は機能しづらいです。
新規事業への取り組みのような場合は、そもそもとして1on1が必要な人材を投入するのは失敗の可能性を高くするでしょう。
自走・爆走ができる人が適切なはずです。
これを踏まえると、事業特性として「ある程度軌道に乗った新規事業」「不備は多いもののある程度の形ができあがった業務」のような状況において1on1が機能する可能性が出てきます。

従業員の属性に関しては、部下側のスキル水準が一定以上であること(中途人材が中心か)、主体性・やる気があること、が条件となるでしょう。

制度として整えなければいけない事項

そのような前提条件が揃った上で、制度として下記を整える必要があるでしょう。

  • 1on1の意義の説明
  • 1on1の手順・方法など具体的なスキルに関する教育の実施
  • コンテンツを一定程度用意する
  • 仮にやるのなら徹底させる(忙しいからなどの理由で中途半端にさせない)
  • 人事からのフォローを必須で行う(1on1の内容のくみ上げと、適切な現場フォロー)

加えて、1on1の結果として成果を出したのならば、上司部下共に評価に反映させ、報酬をあげていかねばならないでしょう。
1on1だけ独立した人事制度として存在していて、評価・報酬制度と連動していなかったら、白けるリスクが高まります。

対象人数を絞るのも手

アイデアベースで考えるならば、「外部セミナー手当」や「読書手当」のようなものを制定することも考えられます。

従業員自身で希望する「外部セミナー」や「業務に役立つ書籍」を選定し、購入します。
これに対して、「報告書」を会社に提出することにより、会社側はそのセミナー代金や書籍代金を補助する、という仕組みです。

多くの場合、この種の取り組みは、ほとんどの従業員が活用しません。
しかし、逆に考えると、自主的に行動する従業員を見出すことができます。

1on1をやる場合、この自主的に研鑽にはげむ人たちにフォーカスをあてて実施すると、高い効果を期待できます。
対象人数を絞れるので、負担も減らせます。

クロス・ミーティングも考えられる

また、クロス・ミーティングも可能性として考えられます。
他部署の部課長に1on1を実施してもらうのです。

これなら、部署間交流も図れると共に、普段接点のない双方だからこそ客観的に取り組めます。
ただし、これも双方に1on1のスキルがあることが前提です。

最後に

適切に機能する1on1を実施しようとするのは、非常に難しいことです。
制度として整えなければいけない事項が多くなりますし、また時間もかかります。

上司と部下の双方で取り組む意義を理解し、1on1を良くしていこう、という想いをもって、取り組んで行かなければなりません。
それができないのであれば、1on1はやらない方が良いです。

そして、その組織として1on1を良くしていこうとする取り組みができる人たちに、そもそもとして1on1が必要なのか?
これを考えると、どうしても、1on1って本当に必要なのだろうかと疑問に思います。

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