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ビジョン的思考

失敗をした時は素直に落ち込んだ方が反省する、という話

失敗した時の対処方法は、何が正しいでしょうか?冷静に、失敗の原因を振り返り、対策を練ることでしょうか?
もちろん、それは正しいのですが、失敗をしたときは素直に落ち込んだ方が反省する、という研究があります。
人間は失敗をした時に、正当化をしようとするので、感情面に重点を置いた方が良いからです。

失敗を冷静に分析すると正当化が行われる

失敗への対処方法について、非常に興味深い研究があります。

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/bdm.2042

この研究では、失敗に対して冷静に、論理的に分析を行うのか、それとも感情的に落ち込むのか、でどちらの方がその後の失敗した事象に対して向き合うのか、が調査されました。

その結果、失敗の原因等を冷静に分析し、対策を練ることよりも、素直に感情的に落ち込んだ方が、反省をし、自己改善を図る傾向があることがわかりました。

人間の認知機能には、失敗をしたことに対して自己正当化をはかり、その後の改善を妨げるバイアスがあるから、とのことです。

失敗への対処は高速PDCA

こちらの記事で、失敗への適切な対処として、うまくいかなかった点を把握し、改善すべき点に焦点をあてること、そして次の挑戦までの期間を極力短くし、PDCAの回数を増やすことが大事であることを書きました。

つまり、冷静に分析をすることがいけない、ということではないのです。

大事なのは、失敗したら素直に落ち込んで、ネガティブな感情を受け止めよう、その上で改めて冷静になり分析をし、再挑戦しよう、ということです。

怒りっぽい人自己愛性向が強い人は、反省をし辛い、という研究もあります。
これは上述の、失敗したことに対する自己正当化と同様の話と考えられます。

感情的に割り切ることが必ずしも正しくはないと認識し、感情的に落ち込むことも重要であると捉えると、失敗への対処スキルが向上すると考えられます。

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ビジョン的思考

「自分を破壊する一歩手前の負荷が、自分を強くしてくれる。」は正しい

哲学者フリードリヒ・ニーチェの名言の一つに「自分を破壊する一歩手前の負荷が、自分を強くしてくれる。」というものがあります。
心構え的な言葉のように思えますが、どうやら統計学的には、この格言通りの傾向があるようです。
キャリアの初期段階での失敗が、将来の成功につながる確率を高める、そんな研究を紹介します。

https://www.nature.com/articles/s41467-019-12189-3

「自分を破壊する一歩手前の負荷が、自分を強くしてくれる。」

ノースウェスタン大学では次のような研究が行われました。

  • 米国国立衛生研究所(NIH)の助成金申請に、キャリアの初期段階で応募した研究者を対象とした
  • その中でも、通過ラインをわずかに下回る「ニアミス」グループと、わずかに上回る「ジャストミート」グループを抽出
  • それぞれのグループに対して、その後10年間に平均何本の論文を発表したのか
  • また、そのうち何本の論文が“ヒット”したのかを被引用数で評価した

その結果、「ニアミス」グループの方が、資金調達額は少なかったこと。
そして、どちらのグループも発表した論文の数は同じであること。
一方、「ニアミス」グループの方が、“ヒット”した論文の数が多いことがわかりました(確率にして約6.1%)。

ようは、キャリアの初期段階で失敗した人の方が、資金調達額が少ないにも関わらず、“ヒット”論文を多く生み出しているのです。

「淘汰」の結果では?

研究者たちは、この結果にたいして「淘汰」、つまり、キャリアの初期段階で失敗した人が退職し、優秀な人が残っただけでは?という仮説を考え、検証を行いまいsた。

その結果、「ニアミス」グループの方が、確かに離職率が10%程高かったものの、上の結果を説明づけるほどのインパクトが無いことがわかりました。

研究者たちは、いわゆるグリット(やり抜く力)や、失敗から得られた教訓など、別の要因が大きく影響しているであろうと推測しています(後述も参照)。

とは言え、改善の努力は必要

同グループの後の研究では、「失敗への対処が重要」と研究を進化させています。

「金持ちはより金持ちに、貧乏はより貧乏に」という言葉があり、それは世の中のひっくり返しようのない一つの真理です(マタイ効果、もしくはマシュー効果)。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%BF%E3%82%A4%E5%8A%B9%E6%9E%9C

これらの研究は、マシュー効果を否定する程のものではないですが、「失敗は成功のもと」という言葉を強めるものです。

“改善のための適切な努力”が行われたことが前提として、「自分を破壊する一歩手前の負荷が、自分を強くしてくれる。」のです。

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生産性・業務効率化

成功と失敗をわける要因は?粘り強さではなく、失敗への対処が重要

失敗は成功のもと、と言われますが、果たしてそれは正しいでしょうか?
ビッグデータにより成功パターンと失敗パターンを分析した研究では、非常に興味深い統計的傾向が示されています。
そして「粘り強さではなく、失敗への対処が重要」という知見が導き出されました。

https://www.scientificamerican.com/article/failure-found-to-be-an-essential-prerequisite-for-success/

ビッグデータによる成功パターンと失敗パターンを分析

研究では、次のような分析が行われました。

  • 研究では、ビッグデータにより成功パターンと失敗パターンを予測する統計的パターンを見出した
  • 米国国立衛生研究所(NIH)に提出された776,721件の助成金申請書、46年分のVCによるスタートアップ投資、48年分の17万350件のテロ攻撃のデータを分析
  • NIHでの成功は助成金申請の通過、ベンチャー企業での成功はIPOやM&Aの成功、テログループでの成功は犠牲者の発生、と定義された

その結果、次のような統計的傾向を示すことがわかりました。

  • 成功パターンでも失敗パターンでも、努力の量は基本的に同じだった
  • 成功パターンでは、うまくいかなかった点を把握し、改善すべき点に焦点を当てていた
  • また早く失敗し、加えて次の失敗までの期間が短い程成功確率は高くなった(挑戦までの時間に間があくほど失敗確率が高くなる)
  • 成功するまでに一度でも失敗した場合の平均失敗回数は、NIHでは2.03回、ベンチャー企業では1.5回、テログループでは3.90回

つまり端的に表現すると「粘り強さ」の問題ではなく、「高速PDCA」の有無、ということです。


一部では、「もうPDCAは古い、今の時代はOODAだ。」という言説もチラホラ見かけますが、PDCAは非常に重要な改善のプロセスであると言えるでしょう。

※ OODA:Observe(観察)、Orient(状況判断、方針決定)、Decide(意思決定)、Act(行動)

Amazonを除けば、PDCAに関する書籍が非常に多く存在します。

改めてPDCAを見直してみるのも良いかもしれません。

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