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ビジョン的思考

目標の公言は、目標達成にプラスになると言われているが本当か?

よくある目標達成の方法の一つに「目標を公言すること」というものがあります。
応援してくれる人が増えるとか、公言することによって後に引けなくなるとか。
そういう話のようですが、これは果たして本当なのでしょうか?

いわゆる公表効果

心理学の言葉で「公表効果」というものがあるようです。

定義的には、口にする言葉が意識の内側に影響を与えて、意識そのものが変化していくこと、というものらしいです。
簡単に言うと、口にした言葉って実現するよ!ということ。

この公表効果がビジネス等で使われるのが目標の話です。
いわく、目標達成のためには目標を公言するのが良い、と言われています。

なお、目標を公言することによるメリットは大きく3つあります。

  • 公表効果によりモチベーションがあがる(自分の意識が変わる)
  • 引くに引けない状況を作る
  • 応援する人が増える

本稿のテーマは、このメリットって本当なのか?という点にあります。

実は、人は口にしただけで達成感を感じてしまう

このテーマは古くから研究されており、否定的な見解も多く出されています。

自分自身が計画していることを他の人に発表すること、目標の公言により自己同一性が十分に満たされ、必要なハードワークをするモチベーションが下がってしまうようなのです。

こちらの記事で紹介されている研究では、法学部の学生を対象に実験が行われました。

https://www.newsweek.com/does-announcing-your-goals-help-you-succeed-79645

どのような実験が行われたのかと言うと、アンケートで学ぶ意思を問われ(当然、学生たちは学ぶ意思があると表明している)、では実際のどれだけの努力を示したのか?という調査です。
その結果、アンケートに対して記名をした学生より、匿名で回答した学生の方が多くの努力を行ったことが示されました。

他にも、面白い実験も紹介されています。

法学部の学生に最高裁判事の写真を5枚提示し、今、自分がどの程度まで目標に近づいているのか?を示すアンケートがとられました。
写真に写っている最高裁判事の大きさは、小さいものか大きいものまで5種類が用意されています。
ようは、最高裁判事の大きさで、達成度の自己評価具合がわかる、という仕組みです。

法学部の学生は、弁護士となって成功するために、どのような努力をしようと思っているのか?のアンケートも事前に行われ、このアンケートの中で例えば「法律系の専門誌を読むようにする。」というようなことを回答し、それを“公言”した学生は、どのような写真を選んだでしょう?

ここまで読んだ方ならもうわかるかと思うのですが、大きいサイズの最高裁判事の写真を選ぶ傾向が強かった、ということです。

公言するだけで達成した気になっている、ということですね。

(心理的には、人の脳内には自己イメージのシンボルがあり、会話によりその自己イメージが充足され、さらなる充足のための努力を怠る、という心理が働くようです。)

公言するなら、どのような目標が良いのか?

では、目標を公言するのであれば、どのような目標が良いのでしょうか?

研究者は、具体の行動についてや、罰を受けるような目標公言が良いとしています。

例えば、マラソンに出るのであれば、「出場して完走する」とか「タイムいくらいくら出す」とかではなく、「週に5日、練習をする。」というような具体の行動や、「出場しなかったら思いっきり貶していいよ。ついでに何か奢るよ。」というような不満を感じてしまうような設定が良いとのこと。


目標の公言により、きちんと目標達成をしている人も大勢いるにはいますので、使い方の問題、と言えるでしょう。

目標公言が必ずしも良いことばかりではない、と認識して、時には黙して語らず、時には具体の行動のオープン化、というようコントロールができるのが良いのではないでしょうか。

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生産性・業務効率化

「抱負」は立てても達成できない~シンプルな目標の考え方~

年末が近づき、決意新たに新年の抱負を立てる方も多いでしょう。
水を差すようですが、結論を言うと、大多数の方にとって、抱負は立てても達成できません。
ここでは目標達成のためのシンプルな考え方について紹介します。

何故、抱負は立てても達成できないのか?

抱負云々については各所で色々と語られています。

抱負と目標は別物ですよ、とか。
(抱負は決意、ゴールイメージ、そしてそこに至るプロセスを包括するのに対し、目標はゴールイメージのみ、とか。)

ただ、そのような話はわりかしどうでもよいです。

ポイントは、何故達成できないのか?です。

その結論は身も蓋も無いのですが、これまで抱負を達成できなかった人が、決意新たに、改めて抱負を立てても達成できるわけないじゃないですか、という話です。

これまでの人生の中で、年初に立てた抱負を年末までに覚えている方はどれだけいますか?

きちんと達成して、次年度の抱負では、これまでの抱負をベースにアップデートしたものを設定できている方はどれだけいますか?

まずいません。

体感ベース、96%くらいの方は、抱負を立てている風でも達成できていないでしょう。

それではどうすべきなのでしょうか?

戦略を変えてみる

結論から言うと、戦略を変えてみよう、という話です。

これまでうまくできた試しが無いことを改めて取り組んだとして、失敗する可能性は非常に高いです。

一方、別の方法ならうまくいく可能性は十分にあり得ます。

目標設定(とその目標を達成するための考え方)の方法は多数存在します。

下記は一例です。

  • ベーシック法
  • 三点セット法
  • SMARTの法則
  • HARDゴール
  • ランクアップ法
  • ベンチマーク法
  • 期中設定法
  • NLP式目標設定法
  • みんなで目標設定
  • KGI×KPI×KDI法
  • マンダラチャート(マンダラート)

細かい解説は別に譲りますが、これまでの目標設定と達成までのプロセス設計は、どのような方法に基づいて行われたものでしょうか?
調べてみて、別の方法を採用すると、突破口が見えてくるかもしれません。

ようは、きちんと失敗要因を振り返り、分析し、対策を練りましょう、という話です。

他にも、もの凄くシンプルに、時間軸を短くしたり、思いっきりハードルを下げてみるのも手です。

上述の目標設定方法の話は、つまる所、方法論に過ぎないので、そもそもこれまでの設定軸やハードルで目標達成ができない人が別の方法に切り替えた所で、達成できないよね、とも言えます。
その意味で、こちらの考え方の切り替えの方が現実味はあるでしょう。

例えば、年間計画では無く、デイリーレベルにまで縮小して見るのです。

「今日一日、絶対に達成する事」のようなイメージです。

これは何でも良く、例えば、1日見開き3ページ合計6ページ本を読む、とかです。
毎日続ければ、概ね1,2ヶ月で本が1冊読めます。

ハードルを下げる例も考えられます。

例えば、だらだらする生活習慣を解消したいのならば、ソファーやクッションを捨てる、とかでも良いのです。


達成できない抱負を無理に立てても、無意味極まりないです。
達成できる工夫を考えてみては如何でしょうか?

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