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生産性・業務効率化

とりあえず初めてみるのが良い、という話

何か新しい事をはじめよう。
そのように思いはするものの、実際に行動に移す人は少ないです。
今回は、「とりあえず初めて見るのが良いよ」というテーマで考えていきます。

考えるより、とりあえず初めてみる

先日、なんてことの無い日常についてなのですが、このようなツイートをしました。

まぁ、背景はいくつかありつつ、自宅でしいたけ栽培をはじめたのですね。

これ、私や家族が、何かしらの栽培を趣味にしているとかそういう話では無く、ほとんど、ただ何となくて行動したものです。
本当に、そこまで特段深い事を考えずにはじめており、「なんとなく」でした。

では、これでどのような気づきを得たのか?という話なのですが。

私は、知識として、しいたけは芽(?)が出てから、1週間程度で収穫できるようになる、という事自体は知っていたのですが、では目の前で実際に急激に大きくなっていく姿を見て、頭の中にあった印象としてのしいたけの成長イメージと、知識上の成長イメージが一致していない事に気が付いたんですよ。

これ、何が大事かというと、座学的に学んだことって、往々にして使い物になりません。
実際に行動に移して、座学的な知識では習得できない、血肉の通った経験を積み重ねないと、使い物になる何かを得る事って、中々難しいんですね。

https://note.com/ymzo76/n/n462331bbd97b

知の階層構造という概念があるのですが、これで言うと、データや情報、そして知識だけだと不十分で(使い物にならない)、行動に移して理解し、経験を積み重ねていく事により、使い物になる「知恵」に昇華される、という事ですね。

ようは、いいからとりあえずはじめてみよう、という事です。

ビジネスが形になるまでの時間

これを現実のビジネスにあてはめて考えてみましょう。

起業をしビジネスを軌道に乗せる。
そして、どんどんビジネスを成長させIPOを達成し、更なる飛躍へのステップを踏む。

例えばIPOは起業家にとっての夢、マイルストンの一つです。

それでは、IPOにかかるまでの時間はどれ位でしょうか?

一般的に、設立からIPOまでは、約32年10ヶ月かかると言われている。短期間でIPOを目指しやすいイメージのあるIT系の企業でさえ、約11年6ヶ月が平均値である。

STARTUP DB編集部 設立10年以内でIPOした企業はどこ?事業規模、初値調査【2017年度版】より

IPOを達成したとして約32年10ヶ月、成長の早いIT企業でも約11年6ヶ月との事。

これの裏側には、IPOを断念した企業、そもそも倒産してしまった企業の存在も多くあります。

このように、何か志を掲げて、それを達成するだけの時間は、膨大なものを要します。

詳細な市場分析をして、緻密な事業戦略を練る頭の良い人は大勢いますが、それを実際の行動に移す人は少数です。
机の上で、あれやこれや練っていては、何も物事は動きませんし、実際に行動に移してもそれが身になるまでは長い時間が必要だ、という事をわかっているのかわかっていないのか、行動をしない人が多いのです。

とりあえず、何かやりたい、と思っている事があるのであれば、「エイヤッ!」の精神ではじめてみませんか?
入り口は、隗より始めよ(大事業などの遠大な計画は手近なところから行うとよい、という意味)で十分ですので。


(余談)なお、ここ数ヶ月、世界を震わせたウイルスもそうなのですが。
突然変異が常に発生しており、どの遺伝子(DNAとかRNAとか)がヒットするのか、という膨大なトライアンドエラーを繰り返していますね。


まぁ、まとめるとこんな感じですね。

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人事・総務

キャリアの掛け算の正しい考え方(100万人に1人の人材になるために)

リクルート・フェローの藤原和博氏が提唱しているキャリアの掛け算は、キンコン西野氏も広く紹介したこともあり、非常に有名になりました。
しかし、微妙に意味を履き違えて受け取っている方も多いようにも感じます。
ここでは、キャリアの掛け算の正しい考え方について、解説していきます。

キャリアの掛け算とは

キャリアの掛け算については、こちらの記事を見てみて下さい。

簡単に書くと、
単一のキャリアで100万人に1人の人材になるのは困難です。
しかし、100人に1人の人材ならば正しい努力をすれば達成確度は高いというのは納得できる話でしょう。
この100人に1人のキャリアを3つ積めば、100×100×100で、100万人に1人の人材になれる、という考え方です。

図だけ拝借します。
考え方として、非常に参考になるので、大元の記事も是非読んでみて下さい。

かけ離れすぎたキャリアはただの器用貧乏に

では、どのような点で微妙に意味を履き違えている方が出てくるのでしょうか。

まず、100万人に1人といわずとも、100人に1人以上の1,000人の1人の人材ならば十分なその道のスペシャリストなので、非常に高い価値を持っています。
人材市場で見て引く手あまたでしょう(もちろん分野にもよるでしょうが)。

つまり、変に掛け算するよりも、1つのキャリアを極めるという道も考え方としては決して間違っていないのです。

もう一つ、この3つのキャリアですが、あまりかけ離れすぎたキャリアになると微妙です。

例えば、営業からスタートした人が、次に経理をやって、3つ目にデザイン(例えばクリエイティブ部署の管理職とか)をやったとしましょう。
 
キャリア間のつながりが細く、掛け算という観点で見ると、とてもじゃないですが、価値の高い人材になれるイメージが掴めません。

キャリアのシナジーを考える

それでは、キャリアの掛け算を有効に正しく活用するには、という本題です。
これはシンプルにキャリア間のつながり、シナジーを考える必要があります。

具体例を3つ程、示します。

管理系全般をカバーする人材に

経理スタートの人が管理系全般をカバーする人材を目指す場合のキャリアルートです。

  1. 経理
  2. 経営企画(財務、開示、IR、ガバナンスetc…)
  3. コーポレート部門全般(人事、総務、法務etc…)

入り口は経理からです。
経理は会社の決算をまとめる仕事であり、業務の必要性から会社の実情に詳しくなります。
そのため、経営企画領域へのステップは比較的近い距離にあります。

財務、開示、IRや取締役会や稟議フローの適正運営などは、キャリアチェンジ後もスムーズに業務を開始できるはずです。
また、この領域の仕事をしていると、法律面をはじめ、会社の様々な管理領域に接触する機会が増えます。

3つ目の軸として、人事、総務、法務といった方向性でキャリアを構築すると、管理系全般をカバーする人材になります。
ポジションとしては、管理部門の部長や、それまでに出してきた成果によっては役員に就く方も出てくるでしょう。
ベンチャー企業に転職してCFOを志向することも考えられます。

ザ・モデル型セールスのスペシャリストに

営業からスタートし、ザ・モデル型セールスのスペシャリストを目指す場合のキャリアルートです。

  1. 営業(例えばフィールドセールス)
  2. インサイドセールスやリードジェネレーション領域
  3. マーケティングやカスタマーサクセス領域

入り口は、よくあるフィールドセールス(外回り営業)としましょう。
ここで業界のことや顧客のこと、そして自社商品の強み弱み等々を理解していきます。

ここからのスイッチとして、インサイドセールスに行くか、カスタマーサクセスに行くか、どちらでも可能性はあり得ます。
仮にインサイドセールスの方向に進んだとして、これまで培ってきた知識やノウハウが結構そのまま流用できます。
優秀な方ならば、受注率に繋げるためにリードソースの質を高める活動に入っていくはずです。
つまり、リードジェネレーションにまで手を広げる形です。

3つ目のキャリアとしては、もっと広くマーケティング領域に活動の軸を移す手もありますし、改めてカスタマーサクセスで顧客との関係性を深堀していく方向に進むこともできます。

ポジションとしては、セールス部門の部長や、場合によってはCOOとして役員についている状況も考えられます。
セールスフォースのようなシステムに熟達しているのであるならば、ザ・モデル型セールスのコンサルとして独立して活動することもできるでしょう。

管理系業務改善のプロフェッショナルに

3つ目の事例が、システムエンジニアからスタートし、業務改善のプロフェッショナルのルートを歩む例です。

  1. システムエンジニア
  2. 経理
  3. 業務改善コンサル

入り口はシステムエンジニアです。
ガチガチにコードを書く、というよりかは仕様をまとめたり、外注先(業務委託含む)との橋渡し的なポジションです(大企業でよくあるシステム部門のイメージ)。

ここで意外思うかもしれませんが、2つ目のキャリアとして経理の道が挙げられまっす。
というのも、経理の仕訳データは完全なデータベースになっているのと、会計システムはマスタ管理が重要でありシステム部門が行う業務と親和性が高いのです。
ですので、管理系からシステム系へのコンバートは簡単では無いのですが、システム系から経理系へのコンバートは比較的ハードルが低いと私は考えています。

そして、経理の業務は単純に仕訳を切ったり決算を締めたり、というようなことばかりでなく、全社的な業務改善にも手を広げていく形になります。
経理の業務は、全社から資料をかき集める必要があるからです。

つまり、SE×経理でキャリアを成功させると、必然的に管理系全般の業務効率化の能力があがっていくのです。
(効率化のためにシステム導入したり、業務フローを整理するなど。)

ハイレイヤーのポジションは難しいかもしれませんが、独立したり、どこかコンサルに転職して活動していく道が考えられます。

まとめ

以上3つ事例で、キャリアの掛け算の考え方を見ていきました。

いずれも1つ目から2つ目は距離の近い、親和性の高いステップです。
(意外なものも含まれているかもしれませんが。)
まずここで、シナジーがわかりやすい、距離の近いキャリアで構成するのが良いでしょう。

そして、3つ目は大元の考え方にも解説があるように、少し遠くにジャンプするのが良いです。
(三角形の面積が大きくなるため。)

1つ目2つ目の100×100で、結構なレイヤーの人材になっているはずですし、知識・経験とも十分なので、多少のチャレンジでも成功確率は高いはずです。
シナジーを生ませるコツもわかってきているはずです。


なお、これらの考えは個人のキャリアの話だけではありません。
社内での人材教育や人事異動についても応用ができます。

古典的な大企業ですと、関連性の薄い部署をローテーションさせたりしちゃいますが、これは個人のキャリアにとっても、従業員の専門性強化の阻害という観点でも、あまりイケていません。

人事異動は、規模に関わらず一定発生しがちですが、上述のキャリアの掛け算の観点で考えると、労使双方にとってプラスになるキャリア施策が構築できるはずです。

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業務効率化

長時間労働のすすめ~ハードワークのメリット~

今現代は働き方改革の元に、労働時間の短縮が進んでいます。
それ自体は全く良い事だとは思うのですが、同時に、主に若い人たちの成長機会が奪われているようにも思い、複雑な想いを抱いています。
ここでは、長時間労働、ハードワークのメリットについて考えを述べます。

若い内の頑張りは生涯年収にヒットする

いきなりですが、こちらの表をご覧ください。

厚生労働省 賃金構造基本統計調査より

これは、役職別年齢別(全従業員数合計)の年収の変化を示した図です。

お金の話を冒頭でするのは微妙ではあるのですが、一定程度の水準までは、年収と幸福度の相関係数は高いため、これを話す方がシンプルだと考えました。

結論、若い内に頑張って、さっさとレベルアップして、高い報酬を稼げるようになった方が、人生を幸福に過ごせる確率が高まります。
早い内に昇進して、高い水準グレードにつけば、生涯年収も大きくなります。

仮に、ガツガツ働くスタイルが性に合わない、となった場合、水準を落としてゆったりと働くことも可能なわけですから、早々に上のグレードを目指すのは、絶対にプラスになります。
(下のグレードが上のグレードに移るのは簡単では無いが、上のグレードが下のグレードに移るのは簡単。
なお、ここで言うグレードは、人間的な偉さではもちろん無く、世の中の役職的なものをストレートに表現したものです。)

実力があれば、独立起業して、一国一城の主になることも可能です。

ようは、人生の選択肢が増えるのです。

長時間労働のすすめ~ハードワークのメリット~

長時間労働のすすめ

じゃあ、どうすれば良いのか?と言うと、答えはシンプルで、長時間働くことです。

誤解をしていただきたく無いのは、ここで言う長時間とは、必ずしも所属している会社組織の仕事を長時間やれ、という話では無いということです。
(それに今現代は、労務管理が厳しくなっているわけですし。)

仮に会社での勤務時間が少々の残業込みで9時間としましょう。
土日祝日は休みの環境で、労働日数は245日とします。

仕事に費やす時間は2,205時間です。

では、朝昼晩で合計3時間、休みなく365日、個人の鍛錬(仕事に関連する勉強や、仕事以外の勉強、副業など)に使ったとしましょう。
(たったの3時間ですよ。)

合計1,095時間です。

(個人的な仕事の時間を含めれば)労働時間が50%増になります。

日本人の勉強時間は〇分

総務省が行っている社会生活基本調査という調査があります。

有名な話なので、知っている方も多いとは思いますが、日本人の勉強時間(社会人)は何分だと思いますか?

答えは6分です。6分。

おそらく、ごく一部のたくさん勉強する人がおり、一方、大多数の勉強を全くしない層がいる、その平均がこの数字だと思われます。

つまり、上述した50%増の部分、自己鍛錬に励めれば、他の普通の人の50%増のスピードで成長できるのです。

ぶっちゃけ、楽勝だと思いませんか?

ハードワークのメリット

自己鍛錬の時間を長時間確保することのメリットはこれだけではありません。

早々に昇進できれば、より難易度が高く、経験値を多く積める仕事を優先的にゲットできます。

いつまでもスライムを退治していては、レベルがあがるものもあがりませんが、早々にアリアハンから次の町にいけるのです(この例え、伝わるかなぁ)。

同じ労働時間でも、平社員と係長では成長スピードが違います。
昇進しても自己鍛錬に励めば、さらに成長スピードを加速させることができるので、周囲とどんどん差をつけることができます。
(年収もあがりますし、それに同期より早く出世すると、純粋に気持ち良いですよ?)

これが、ハードワークのメリットです。
自主的に長時間労働をしましょう。
セルフ・ブラック化です。

注意事項

上記のことは、あくまでも自主的にやるからこそ意義があります。

会社組織や周囲が押し付けるものでは決してありません。

押し付けられた苦労は純粋に辛いだけです。

また、頑張っている人が、頑張っていない人を見下すのも、それはそれで見苦しいです。
人様の選択は人様の選択なので、そこにどうこう言う権利はありません。

自主的に、自分のために、自分自身が好きだからやるものなのです。
価値観の世界の話だ、ということは重々承知おきください。


爆速成長を出来るのが長時間労働、ハードワークのメリットです。

繰り返しますが、早々に昇進ができ更なる成長チャンスを確保できます。
年収も得られ、また出来ることが同年代より広がるため、人生の選択肢が増えます。

そして、競争相手はほとんどいないのです(平均勉強時間6分ですよ?)。

絶対に楽勝な話なので、もしこの話が少しでも響くのであれば、実行をおすすすめします。

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経営企画

一流の経理の先、経理のキャリア5パターン

経理の仕事がAIに奪われる、と言われて久しいですね。
現実はどうか、と言うと別にそんなことは無いのですが、それはそれとして、将来どうしていけば良いのだろうか?という悩みを持っている経理実務者は多いのではないでしょうか。
ここでは一流の経理の先、経理のキャリアについて考えてみます。

経理以外の人にとっても、経理の人がどういうキャリアに至るのか、参考になるかもしれません。

経理にはどのようなキャリアがあるか?

ここでは、少なくとも経理と言う仕事に関しては一通り理解している前提で話を進めます。

ある経理実務者がキャリアを積んだ先に行きつくのが、次の5つのパターンです。

  • 専門性の追求
  • オールラウンダー化
  • CFOルート
  • SEシフト(業務改善主体)
  • M&Aプロフェッショナル

なお、この5つのパターンに上下はあまり無く、複数の領域に対応可能な方もいらっしゃいますし、会社の状況や個人の指向にあわせて横の移動を行う方も大勢いらっしゃいます。
ですので、どこかのパターンで着地してキャリアとしては終了、ということは無いことは認識ください。

それでは、各パターンについて解説していきます。

なお、本テキストは私個人の実務経験から語るもので、偏見も混じっているであろうことはご了承ください。
その意味で、転職系サイトとかに記載されている仕事の解説とは趣きが異なるものになるかと思います。

専門性の追求

まずはじめは専門性の追求です。

経理のキャリアのそのまま延長線上にある、深堀したルートです。

上場会社における経理部長がこのパターンで、会社規模によっては投資家コミュニケーションの責任者として役員になっている場合もあります。

経理実務を一通りマスターしているだけでなく、連結決算や適時開示等の実務に精通しています。
場合によっては外資系で海外経理にも対応できる方もいらっしゃいます。
定期的にデスマーチが到来し、長時間労働状態になります(決算対応)。

単純に実務を遂行するだけでなく、銀行や税務署、監査法人、東証、そして株主といった社外とのコミュニケーションが多く発生するポジションです。
相手の立場(要望)にあわせて、態度を適切に変えていく必要があり、その意味で高い社外コミュニケーション・スキルが要求されます。
もちろん、部長クラスにまであがるなら、他部署との折衝も必要なので、社内調整能力も必要です。

部下が数十人におよぶ場合も珍しくないので、高いマネジメント・スキルも必要です。
最新の会計制度や税制は、新人の方が詳しい場合も珍しくないので、継続して勉強するか、勢いのある若い方を御せるだけの人間力が求められます。

必要な能力

  • 銀行折衝経験(銀行からの資金調達経験)
  • 税務署との折衝経験(税務調査対応)
  • 会社法、金融商品取引法の知識
  • 連結決算(CF、セグメント、注記等含む)の実務経験
  • 招集通知、決算短信、有価証券報告書等の作成経験
  • 監査法人との折衝経験
  • 東証との折衝経験
  • 株式実務(印刷所対応含む)の経験
  • 金融知識、機関投資家という存在への理解、個人の投資経験
  • 部署としてのマネジメント・スキル
  • 長時間労働耐性

オールラウンダー化

何でも屋ルートです。

経理を一定おさめると、数字の流れがわかってきます。
また、経理は全部署の会計データが集約されるが故に、会社全体のことにも詳しくなります。
加えて、経理は会社法や金融商品取引法といった、法律知識も要求されることから、レベルがあがればあがるほど、オールラウンダー化が自然と進んでいきます。

このオールラウンダー化を極めると、法務、人事、総務、IR、ITといった幅広い領域をカバーする、何でも屋が出来上がります。
表面的には何でもできるスーパーマンで、しかし個々の専門家には及ばない器用貧乏人材です。
大概のことには対応ができるので、出世が早かったりします。

上場企業における管理系役員がこのパターンですね。
変化対応力が高いが故に、ベンチャー企業でコーポレート系の部長クラスについている光景も見受けます。

実務には携わらず、しかし全体をコントロールするだけのマネジメント・スキルが要求されます。
Google検索能力を向上させる必要もあります。
まれにMBAをとっている人も、チラホラ見かけます。

必要な能力

  • 弁護士と議論ができる水準での法律知識
  • 社会保険、労働基準法、労務管理、人事面談コミュニケーションスキル
  • 人事制度(人事制度、評価制度、報酬制度)の構築経験
  • 採用オペレーション、採用面談コミュニケーション
  • 金融知識、機関投資家という存在への理解、個人の投資経験
  • 高いITリテラシー
  • 部署としてのマネジメントスキル
  • 板挟みになっても平気な精神力

CFOルート

次が、いわゆる“CFO”ルートです。
上記、オールラウンダー化から派生して、もっと小さいサイズでガリガリやりたくなった人が辿ります。

事業計画の策定やエクイティでの資金調達、IPOの推進で活躍します。

つまり、ここで言っている“CFO”とはベンチャー企業における管理系役員のことを指しています。
ベンチャー企業やマザーズの管理系役員ですね。
一方、ドベンチャー(スタートアップやシードステージ)には、あまりいない印象です(報酬水準的にも大体雇えない)。

企業価値評価(バリュエーション)や資本政策VCコミュニケーション、証券会社との折衝などのハードな仕事が多いです。

ジョインするのがレイターステージの場合が珍しくなく、もらえるストック・オプションの価値が大したことが無い場合も珍しくありません。
そのため、仮に上場が成功しても、大して資産形成につながらない微妙に不遇なポジションです。
その影響か、世の中のお金には非常に詳しい癖に、自分自身の財産については無頓着な人間が意外に多いです。
加えて、転職が多く、渡り鳥気質がある方が珍しくありません。

IPOが成功して疲れると、オールラウンダー化にシフトすることが良くあります。
IPO成功までは、折れない精神力が求められます。

必要な能力

  • 予算策定の実行経験
  • ベンチャー・エクイティの知識と経験(VCコミュニケーション)
  • IPO進行の知識と経験
  • 社内調整力と計画推進力
  • 折れない精神力

SEシフト(業務改善主体)

元々、事業系の方で、何かのきっかけで経理に携わることになった方で、このパターンを辿る場合があります。

経理という仕事は、多くの部署から情報を収集して業務を行います。
そして、その情報が出るスピードが遅い場合、現場に入って改善に手をつけなければいけない場面が珍しくありません。
つまり、経理を長くやっていると、業務改善が得意になる場合が珍しくないのです。

また、会計システムのメンテナンス対応を行ったり、業務改善にあわせて各種業務システムの導入を手伝う機会が多い関係上、自然とITリテラシーが高くなります。

こういった仕事と相性が良い場合に、SE領域にシフトする方が出てきます。

元々の出身が経理でない場合が多いからか、独立したり転職したりする人が多いです。
中小企業診断士の資格を持っている方もいらっしゃいます(なぜかMBAでは無い)。
転職の場合は、その転職先で経理や経営企画などをやりながら改善実務を主体に取り組んでいる場合が多いです。

必要な能力

  • QC7つ道具(例)のような品質管理、業務改善手法の知識と実行経験
  • 極めて高いITリテラシーを持っている場合がある
  • プロジェクトマネジメント能力
  • 「中」に入っていくコミュニケーションスキル
  • 板挟みになっても平気な精神力

M&Aプロフェッショナル

最後がM&A戦士のルートです。

M&Aという専門性が高く、かつ幅広い領域のプロフェッショナルです。

M&Aは、会計や税務の知識のみならず、人事や法務、IT、そしてビジネスの中身のことなど、本当に全社的に知識を持っていないと対応ができません。
(デューデリジェンスというプロセスがあり、そこで必要なため。)

また、候補先の選定においても、自社とのシナジー検討ができないといけないため、ビジネス・センスも一定程度必要です。
これに関連して、アライアンスを得意としている方もいらっしゃいます。

投資会社やM&A専門のコンサルから引っ張られて転職した上司の元、修行した会計担当者がこのキャリアを歩む場合が多いです。
上場企業における専門部署でスペシャリストとして勤務しているパターンがほとんどです。
コンサルとかへの転職は、絶対的経験値が少くならざるをえない関係で成功確率が低い印象です。
一方、事業会社に転職して、執行役員あたりでべらぼうな報酬をもらっている光景も見受けます。

M&Aでは、PMIというガツガツしたプロセスが存在し、そのため状況によっては非常に戦闘力が高い人材になる場合があります。
かなり過激な改革を断行しないといけない場面もあり、嫌われる勇気(それも、とある書籍的なというより、若干サイコ気味なという意味の)が必要です。
さらに、M&Aのクローズ間近では、超長時間労働が発生するため、超人的な生命力が必要です。

必要な能力

  • M&Aの経験(セルサイド、バイサイド両方)
  • アライアンスの経験
  • 幅広い法律知識
  • 超人的な生命力
  • PMIができるガツガツした能力
  • 嫌われる勇気

以上、一流の経理の先、経理のキャリア5パターンについて解説していきました。

統計的にデータを取得したわけではなく、筆者個人の印象なのですが、概ねこの5パターンに分類されると考えています。
(中には稀にCOO適正が高く、自分で事業推進したり、起業したりする人もいらっしゃるのですが。)

キャリアの転換に年齢の制約は無い、というのがポジティブシンキング的には建前ですが、現実問題として、若ければ若いほど有利なのには変わりません。
自分自身のキャリアをどうしていきたいか、早い内に決めて、研鑽に励み、そして実際の業務で成果を出して行くのが良いでしょう。

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