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営業

同調動作(ミラーリング)を取っている人は嘘をついているかもしれない

いわゆる好感度を上げるテクニックや、営業のテクニックとして同調動作(ミラーリング)というものが語られることがあります。
これは、相手と同じ動作を取ると、相手の好感度を自然と高められる心理効果がある、というものなのですが、どうやら嘘をついている人も同調動作を取るようです。

同調動作は嘘の難易度に応じて増加する

複数大学の研究チームは、同調動作とうその関係について調査を行いました。

https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsos.200839

実験では、学生ボランティアに難しいパズルを解いてもらい、一方で他の学生ボランティアに、パズルを解く学生に対してインタビューをした内容を記録する、というものが行われました。

そして、学生に対して嘘をつくように誘導をしました。
(かなり難しいパズルなのに、簡単に溶けるはずだ、と言うようにする。パズルの解答を誤って置いたふりをして、そのことを黙って置くように求める。といった形で。)

どちらの学生にも加速度計が装着され、インタビュー中の身体の動きが記録されます。

その結果、インタビューされたボランティアは、嘘をつく時にインタビュアーの身体の動きを真似する傾向を示すことがわかりました。

(実験は2つ行われ、1つ目の実験では、真実、簡単な嘘、難しい嘘、非常に難しい嘘をつくことが同調動作に与える影響が測定された。これは嘘の難易度についての関係を調査する実験となっている。2つ目の実験では、面接者がインタビュアーの非言語的行動または言語的行動のいずれかに注意を払うように影響を与える支持も受けた。これは、面接者がインタビュアーに対して払う注意の度合い、疑念の度合いの影響を調査する実験となっている。)

そして、嘘の難易度が高かった場合に、同調動作を行う傾向が強いことがわかりました。
面接を受ける立場の者がインタビュアーに対して払っている注意や疑念の度合いには影響されない、ということなので、認知的負荷が高まると模倣を自動的に行う脳のプロセスが働くものと考えられます。

つまり、人は難しい嘘をつく時、自然と同調動作をしてしまう、ということです。

同調動作(ミラーリング)は一般的に好感度を高めるものだと言われているが。。。

冒頭にあるとおり、同調動作(ミラーリング)は、好感度を上げるためのテクニックや、営業における受注等にプラスの影響を与えるテクニックとして、よく語られるものです。

(正確には物理的に模倣する同調動作と脳内の神経活動である脳内模倣のミラーリングは、別の事象なのだが、ここでは同じ物として扱う。)

一般的には、何かしら相手との距離を縮めたい、という(下心はあるのかもしれないが)好意の行動と捉えられているのですが、上述の実験では悪意に対しても自然と同調動作が行われることがわかります。

営業を受ける場合や何かしら面談を行う際、このテクニックや心理学的反応について知っておくと、それがテクニックとしての同調動作なのか、それとも嘘をついているが故の物なのかが判別できるようになるかもしれません。
また、自分自身が営業を行う際や、面談等を受ける際にも、この知識は役に立つかもしれません。

少なくとも筆者個人は小手先のテクニック類は好まないのですが、好き好んで多用してくる方もいらっしゃるのも事実です。
ディフェンスのためにも、覚えておくのは有用と言えるでしょう。

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生産性・業務効率化

営業電話や飛び込み営業は断らずに受け入れてみよう

人の時間を唐突に奪ってくる営業電話・飛び込み訪問。
生理的嫌悪感を催すレベルで腹立たしいものです。
しかし、一方で、自分自身が持っていない情報を持ってきてくれる(かもしれない)のも一側面。
今回は、営業電話や飛び込み営業を断らずに受け入れてみることのメリットについて書いていきます。

結構、大きいメリットがあります。

営業電話や飛び込み営業は腹立たしいものですが。。。

仕事をしていたら突然かかってくる営業電話、唐突に訪問してくる飛び込み営業。
自分の時間を、他人に一方的に奪われる、でもどこの誰かわからないから、グッと負の感情を抑えるこの時間。

本当に嫌なものです。

では営業をする側も好きでやっているのか?というとそうではありません。
次の図を見て下さい。

この通り、飛び込み営業、テレアポはやっている側も辛いものなのです。

ですので、頑張っている人に対して優しく接せると、その人を味方につけられますよ、というのがメリットの1つ。

ただ、これは些細な話です。

極めて重要なメリットがあり、それは情報源の獲得、です。

計画された偶発性

計画された偶発性、という理論があります。

「計画された偶発性理論(Planned Happenstance Theory)」とは、
(中略)
「個人のキャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定される」とし、その予期せぬ偶然の出来事にベストを尽くして対応する経験の積み重ねで、よりよいキャリアが形成されるという考え方です。
(中略)
そこで、計画された偶発性理論では、キャリアを形成していく上では何が起きるかわからないことを前提に、予期せぬ偶然の出来事によってキャリアが決定されると考え、その出来事を積極的に引き寄せてステップアップの機会を創出していこうとします。
そのために大切なこととして、クランボルツ教授は、好奇心を持って新しい学習機会を模索し、失敗に屈せず努力し続けることや、新しい機会が必ず実現すると楽観的に捉えること、また、考えや行動をフレキシブルに変え、結果が不確実でもリスクを取って行動することを挙げています。
(略)

HRpro「計画された偶発性理論」より

ようは、変化の早い時代なので、考えを固定化しないで柔軟に起きる出来事を血肉にしましょう、ということですね。
これはキャリアの考え方だけでなく、本テーマの営業の話にも通じます。

世の中には自分のビジネスに関係する情報だけでも溢れすぎていて、自分からキャッチしていくのに限界があります。
そこで、営業の方の活用です。

そげなく追い払うことも出来ないならば、素直に受け入れて、必要だと思う情報は遠慮なく引き出してしまいましょう。
また、何かしら自分自身が疑問に思っている事や知りたい事について宿題を与えて、調査してもらいましょう。
「次につながる」と思うならば、やる気のある営業担当者は頑張って、調査しまとめてきてくれるはずです。
(結果として、それで成約につながれば、それで双方ハッピーですし。こちらが立場が上で、営業が下だ、ということでは無いですよ。)

特に課すと良いのが、ググっても出てこない情報。

つまり、高度に専門性の高い内容や、他社の事例などです。

私は、営業は1回は断らない、ということをポリシーにしてきましたが(私のキャリア最初期の師が、そうしろ、と言ってきた)、結果論として本当に良かったと感じています。
10年以上、このポリシーでやってきて、世の中にある管理系(コーポレート系)の商品/サービスで知らないものは、ほぼほぼありません。

自分自身からのアクションで情報収集を行っていると、やはり得られる情報にも偏りが生じてしまうもの。

唐突に来た営業の方に、この部分を担っていただくことで、自分自身の幅を大きく広げることにもつながるのです。


以上、営業電話や飛び込み営業は断らずに受け入れてみよう、と題してメリットを書いてきました。

無駄な商談、は仕事の内の文字通り無駄な時間です。
ですが、このように活用すれば有益なものにすることができます。

こちらの記事でも書きましたが、仕事の内約20%は会議や商談で埋め尽くされているそうです。
何とか有意義なものにしたいですね。

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営業

管理部門に営業をかける際の成功7パターン

今回は雑記的に。
これまで私が受けてきた営業の中で、気持ちが良かった、取引したいと思った7つのパターンについて書いていきます。
あくまでも個人的な話ではあるのですが、管理部門の人間の気質は、どこかしら似ているので、参考になるのでは、と考えています。

特に経営企画部門に営業をかける時とかですね。

営業である旨を最初に伝えてきた

営業の電話、非常に迷惑ですよね。
突然、知らない人からかかってきて、あれやこれやと御託を述べて、本題に入るまで時間がかかる。

そんな中、電話に出た冒頭で、こんなことを言ってきた方がおりました。

営業「営業の電話です。」

私は「おっ?」と思い、電話を切らずに話を聞いてみることにしました。

この件は、先方サービスの内容と自社ニーズがマッチせず話は流れたのですが、端的に効率的に会話のキャッチボールができて非常に気持ちの良いコミュニケーションがとれたのを覚えています。

経営企画のような部署だと、他社からのアライアンスの申し込みの探り(数は少ないけれど)や、IRの問い合わせなど、様々な所から電話がかかってくるので、端的に入り口で「営業だ」というのがわかると、緊張のベクトルを整えやすいのです。

端的に何ができるのかを伝えてきた

上の内容とも一部被るのですが、端的に内容を伝えてくれるのはありがたかったです。
これはテレアポでも、当日の対面営業でも同じです。

営業「当社は〇〇〇〇で、御社の〇〇〇〇に貢献ができます。」

よく、冒頭で会社案内や製品紹介等々をダラダラと続ける方がいらっしゃいますが、本当に疲れます。
しかも、時間の無駄です。

端的に、自分たちの会社ができることを伝えてきてくれると、その後の会話がスムーズになるので、本当に良いと思います。

アポイントをとった後、当日のアジェンダを確認してきた

アポイント(対面営業の日時)をとって電話を切る方が多いですが、もったいない、というかやめて欲しいな、と思います。

当日のアジェンダ、つまり「宿題」をヒアリングして欲しいです。

当日の対面営業で、課題感やニーズ感をヒアリングして、一度持ち帰る。
こんな超絶時間の無駄が無いようにすると良いと思います。

テレアポでアポイントがとれたなら、その場でヒアリングを行えば、双方幸せのはずなので、是非、おすすめします。

冒頭の会社紹介が無い

これも、上の内容と被りますね。
対面営業で、冒頭で会社案内や製品紹介等々を行う方が大多数ですが、本当にいらないです。

アポイントをとった時点で、HPで調べるからです。
更に、管理領域の商品・サービスに限定されるが故に、こちらもまあまあ勉強しています。
大体の会社の、大体のサービスは知っています。

このように聞いてくれた営業の方、本当にありがたかったです。

営業「会社紹介、した方が良いですか?」

こう返せましたので。

私「いえ、HPですでに拝見していますし、御社サービスも概ね知っているので不要です。本題に入りましょう。」

見積書の数字をどうするか相談してきた

相手に配慮ができる方は、すごいな、と思います。

ある程度話が進み、具体の見積もりの話になった時です。

営業「見積書の金額、後々の値引き前提の数字の方が良いですか?それともストレートに決め打ちが良いですか?」

と聞いてきた方がいました。
ようは、こちらの決裁の文化に配慮してくれたのです。

大企業ですと「値引き」というプロセスを挟んだ方が良い場合があるでしょうし、ベンチャーだとスピード感が重要でしょう。

確か、この方の案件は、決裁も降り、プロジェクトが進行したと記憶しています。

コミュニケーション方法をこちらにあわせてくれる

営業を行う上で、話し上手である必要は全く無いと感じています。

でも、いきなり電話かけてくるとか、年末年始の挨拶とかでアポなしで来るとか、本当にマジもんでやめて欲しいです。
これ、嫌な印象しか残らないので、絶対にやらない方が良いです。

逆に、下記の点を行ってくれる方は、とてもコミュニケーションがやりやすいなぁ、と思います。

  • 電話をかけてこない
  • アポなし訪問しない
  • プロジェクトがはじまったらSlack上でコミュニケーション
  • 「見ました。」だけでも良いから反応する
  • ファイルのやり取りはGoogleドライブ上で

今が令和の時代だ、という事を前提にしたコミュニケーションをとった方が良いですね。

きちんと商品・サービスに詳しい

上でも触れましたが、管理部門の人間は、世の中の主要な商品・サービスはまあまあ知っているものです。
場合によっては、営業担当者より詳しい場合があります。
(私自身、いくつかのサービスに関しては、提供会社の導入コンサルより詳しい自信がありますね。)

ですので、ガチもんで自分たちの商品・サービスに詳しくないと、微妙感が漂う場合があります。
商品・サービスに精通しているのは当たり前の当たり前です。

では、何がありがたいか?というと、他社での運用事例ですね。
それも、IPOに通過した事例などに詳しいと、非常に参考になります。

テレアポ段階でも、例えば相手がベンチャー企業なら、
営業「IPO通過事例、いくつかお持ちします。」と冒頭で言うと、商談獲得の確率、高くなるかもです。


以上、管理部門に営業をかける際の成功7パターンについて書いていきました。

結構、偏屈な感じに受け止められたかもです。
ただ、経営企画とかの忙しさは常軌を逸していることが決して珍しく無いので、上記を意識するのはかなりのプラスになると思います。

番外編ですが「お酒に誘ったら来た。」もあります。

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営業

経済が停滞した今、営業ができること、やっておくべきこと

経済が停滞した状況が長く続いています。
営業をしていても、顧客は「何かやる状況じゃない」「今を生き残らないといけない」「先を見通せないから新しい投資はできない」という反応が多く返ってきていることでしょう。
こんな状況下、営業が今できること、やっておくべきことについて考えていきます。

忙しい人向けまとめ

  • 経済は必ず再び動き出す
  • レピュテーションリスクも考えて営業しよう
  • オンライン営業(WEB営業)の打診をする
  • 顧客のために情報提供をする
  • 自社サービスの期間限定無料提供も考える
  • 既存顧客に対するフォロー、つまりカスタマーサクセス活動もする
  • 顧客の立場に立って、一緒に悩んでくれる営業は、信頼を得られる
  • 人を思いやり、利欲にとらわれずなすべきことをなす(仁義の精神)

まず、この騒動はいつかは終わると思う

アフターコロナ、withコロナの世界は、これまでとは状況が一変しているでしょう。
しかしそれは、必ずしもネガティブな話ではなく、あくまでもビジネスのやり方が大きく変わる世界になる、ということです。

今の経済が停滞した状況は必ず終わりを迎えます。
東日本大震災の時も、リーマンショックの時も、その他過去様々にあった経済危機もそうでした。
世界のあり方は変わっていきますが、経済が動き出す時が必ずきます。

だからこそ、ただ手をこまねいて待っていても仕方がありません。
今の状況だからこそ、経済が改めて動き出した時のために、できること、やるべきことをやっておくべきです。

オンライン営業(WEB営業)の打診

何はともあれ、安全の確保です。
この安全には、レピュテーションリスクも含みます。

確率論的に考えれば、新型コロナウイルスの脅威は、感染症に対する適切な対処さえしていれば怖がるものではありません。
しかしながら、万が一感染をしてしまった場合、そして自社が原因で感染を広げてしまった場合のリスクを考慮しなければならないでしょう。
特に、今の世の中の反応を見ていると、感染者に対する風当たりは、まるで「魔女狩り」の様相を呈しています。
ウイルス以上に、人が怖い状況です。

そのためにできることが、オンライン営業(WEB営業)の打診です。

リモートワークが一気に一般化し、WEB営業も増えてきました。
しかし、ITに対して苦手意識を持っている顧客も多いでしょう。
だからこそ、このタイミングで改めて打診をしてみるのです。
効率性の高さと、やってみれば大して難しくないことに、顧客は驚くのではないでしょうか。
拒否反応が多いならば、電話商談でもよいでしょう。

今のご時世、そもそもとして、テレアポや飛び込み営業、対面営業は時代遅れです。
このタイミングで営業の効率化を図るのは、営業をする側にとってもプラスになるはずです。

顧客の困りごとに寄り添う、長期的な目線に立つ

一番困っているのは顧客

次にやるべきことは、顧客い寄り添うことです。

今この状況で一番困っているのは誰でしょうか?
そうです、顧客、もしくは見込顧客です。

すべて「顧客」という言葉で統一しますが、災害や経済危機ではなく、感染症による経済の停滞は、ほとんど全ての顧客が経験をしたことがない事象のはずです。
顧客は「何かやる状況じゃない」「今を生き残らないといけない」「先を見通せないから新しい投資はできない」と思っています。
そもそもとして、何をしたらよいのかがわからない状況のはずです。

だからこそ、できることがあります。

情報の提供

同業他社ではどのように今の状況に対応しているのか。
世の中の状況がどのように動いているのか。
自社なりに情報が集まっているはずなので、そういった情報を顧客に提供することはできるはずです。
そして、そういった情報提供は喜ばれるはずです。

サービスの無料提供

また、自社サービスを期間限定で無料提供をしている会社も多く存在します。
これは、単純に自社サービスを無料利用可としているだけでなく、エンタメ領域やメディア領域などにおいて、過去コンテンツの無料公開なども含みます。
新規の投資はできないけれども、使いたいと思っていたサービスの試用はしてみたい、と思っている顧客は多いはずです。
また、一度使い始めると、何かしら愛着がわき、続ける動機を探し始めるのも人間です。
まずは触ってもらう、という状況を作ってみましょう。

既存顧客のフォロー

既存顧客に対してもフォローが必要です。

資金繰りなどが厳しく、使用していたサービスを解約したい、と思う顧客もいるでしょう。
そのような顧客向けにフォローをするのです。

上述の情報の提供もそうですし、期間限定無料提供も考えられます。

提供しているサービスの内容や顧客の状況に応じて、やれること、やるべきことは変わってきますが、解約という状況につながらないよう、最大限のフォローをしましょう。
ようは、カスタマーサクセスへの取り組みです。

ここまで書いてきたことは、顧客の目線に立つこと、一緒に悩むことです。
長期的な目線に立てる営業は顧客から信頼されるはずです。
経済が動き出した時に、このようなことができる営業は、一気に受注を獲得できるはずです。

絶対にやってはいけないこと

絶対にやってはいけないことがあります。

一言でいえば、強引な営業です。
これは絶対にやってはいけません。

何とか1つでも案件を取りたい。
そう思うのは自然なことですが、顧客が悩んでいる状況での強引な営業は純粋に迷惑です。

そして、感染症による経済停滞だからこそ、対面営業も避けなければいけません。
対面営業を嫌がっている顧客の所に、飛び込み営業をする、訪問をするようなことはもっての外です。

このようなことを強いる会社や上司だったならば、早々に見限った方が良いでしょう。
顧客のことを大事にできない会社が成長を続けるなどありえません。
そのような会社で頑張り続けること自体が時間の無駄なので、次を探しましょう。

最後に

ここまで書いてきたことは、言うなれば「人として当然のこと」をやりましょう、ということです。

辛いのは自社だけでなく顧客であり、その先にいる顧客であったり一般消費者であったりです。
こういう状況だからこそ、相手の立場に立って考える、行動する、という当たり前のことをやるべきです。
そして、そういう営業こそが顧客からの信頼を勝ち得、長期的な案件の獲得を成し遂げていくでしょう。

仁義の精神です。
(人を思いやること、利欲にとらわれずなすべきことをすること。)

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営業

営業のオンライン化を阻むものは何か?~顧客のITリテラシー問題~

急激に営業の効率化が進んでいます。
オンライン営業は一気に一般的なものとなってきました。
しかしながら、今のご時世でなおリアル営業は無くなりません。
WEB会議が身近になった今、営業のオンライン化を阻むものは何なのでしょうか?

このような状況でなお、対面営業、リアルの商談が残っている

新型ウイルス騒動により、WEB会議ツールを用いたオンライン営業をはじめとして、リモート対応の営業が増えてきました。
特に2020年3月に入ってからは、自粛要請の影響もあり、緊急事態宣言前であってもリアル営業のみの営業を実施している会社が16%ほどとなりました。

その後、緊急事態宣言後は、リアル営業のみの営業は7%と急激に減少しています。
(アンケートの取り方や、集計の方法が異なるので単純比較はできないことは留意。)
感覚値としても、リアル営業が急減していることは納得できると思います。

しかしながら、逆に言うと、今この状況に至っても、リアル営業を実施している会社が存在している、ということです。

もちろん、取り扱う商材が高額であったり、膨大な量にのぼる場合は、対面で詳細なすり合わせを行わなければならない状況もあります。
ほとんどの会社はそのような取引は扱っていないはずで、何かしら営業のオンライン化を阻む要因があるはずです。

営業のオンライン化を阻むITリテラシーの問題

数字を見ていくと、大きく2つの問題があることがわかります。

オンラインツールを活用した営業活動の浸透を阻害する要因 速報!アフターコロナの営業活動に関するアンケート ウィルソン・ラーニング社 2020年4月16日より作成

1つが自社側のITリテラシーや環境の問題で、2つが顧客側のITリテラシーや環境の問題です。
セキュリティの問題、というのはおそらく上記2つのどちらかに分類できるはずなので、大きくはこの2つの問題と推測します。

このITリテラシーの問題、というのはITに対する苦手意識であったり、担当者や責任者・管理者のマインドを指しています。
環境の問題、というのはネットワーク環境のことを指しています。
ネットワーク環境は、ITリテラシーやマインドがあれば解決できることのはずであり、また今のご時世、ITとビジネスの密接度合いを考えればITに対するマインドも広くITリテラシーの一つであると考えることができるはずです。

つまり、営業のオンライン化を阻むものはITリテラシーの問題と言えます。

自社側のITリテラシーの問題であれば、何とか解決するか、素直に会社に見切りをつけて他者に移るしかないでしょう。
問題は、顧客のITリテラシーをどうするか?です。

顧客のITリテラシーの問題はどうするか?

顧客のITリテラシーを高める啓もう活動に取り組むか?

顧客、つまり他社の問題です。
言ってしまえば、ここに手をつけるか否かは、会社や営業担当者としての価値観であったり、ポリシーの領域になります。

その上で書くならば、そこ(顧客のITリテラシー)にも手を付ける、啓もうをしていくのも営業の役割なのでは、と考えます。
ただ単純に顧客の要望に応えて、リアル営業を実施するだけが営業としての動き方ではないはずだ、という考えです。

インターネットが一般的になり、情報を入手することは容易になりました。
しかし、その分、情報格差は広がっています。
現実には、日々の業務に追われ、新しい技術や考え方に関心をもってインプットする余裕がない方は多いでしょう。
中小企業では、アドバイスが適切にできる情報技術担当者を雇う余裕がない所も多いでしょう。
つまり、ITリテラシーの向上部分を顧客の自助努力だけに求めることは別に間違ってはいませんが、チャンスを逃す可能性がある、と思うのです。

自社から、WEB営業ツール、WEB会議ツールを用いた効率的な営業活動について、ブログ記事やメルマガを発信したり、WEBセミナー(ウェビナー)を開催して有用性を示したりすることができるはずです。
社会全体として、リアル営業は減っていくでしょうが、このタイミングだからこそ、自社でもWEB営業をプッシュしていくことは有益なはずです。
また、ITを用いた効率化は、ITリテラシーが低い顧客にこそ有効性が高いはずなので、顧客にとって役立つ情報をセレクトして、わかりやすく整理し、顧客の課題解決を図っていく営業の主旨にもあっています。

素直にアプローチしないという考え方も有り

そういった活動余力が無いのならば、素直にITリテラシーの低い顧客層はアプローチしない、という選択肢も当然に正でしょう。
ITリテラシーが低い顧客層にアプローチするアナログ営業の会社は引き続き存在し続けるでしょうが、共に競争力は低いはずなので、時間と共に自然淘汰されていくはずです。

まとめ

営業のオンライン化を阻むものは何か?
それは、ITリテラシーの問題であり、それが自社か顧客の問題として存在する、ということです。

顧客側の問題に手を付けるのは、上述の通り、価値観であったり、ポリシーの領域で、会社の状況にもよりきりです。
啓もう活動は、顧客の課題解決を図ることにつながるため、本来の営業の役割にかなっていますし、別の形でチャンスにつながる可能性があります。

啓もう活動に取り組まないにせよ「顧客側の問題もある」と意識し、どのように対応していくのか方針を明確にすることは重要です。
今のご時世、リアル営業のみ、という方法は明らかに時代遅れです。
そして、中途半端に組み合わせて、顧客に応じて柔軟にやり方を変える、という方法も消耗を招きます(効率が悪いです)。

WEB営業に特化をするのならばリアル営業はやらない、と明確に決める。
リアル営業もやるならば、それに特化したチームを組成し、インサイドセールスと外回りを混ぜない、とコントラストをはっきりさせる。

このように、何となくは把握しているであろう問題も、明確に意識し、明確に方針を定めることにより、限られた会社のリソースを効率的に使えるようになるはずです。

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