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生産性・業務効率化

人のために時間を使うと心の余裕が生まれるという話

人の時間は1日24時間で共通です。これは何をどうしようが動かない現実です。
しかし、人が時間をどのように受け止めるのか、つまりは主観的な時間の豊かさについては増やすことができるかもしれません。
キーは「人のために時間を使う」点にあります。

人のために時間を使うと心の余裕が生まれる

複数大学により次の論文を発表しています。

内容を端的に言うと、「人のために時間を使うと心の余裕が生まれる」というものです。

時間が足りないと感じる一般的な問題を解決するために、4つの実験が行われ、それにより直観に反するソリューションが提示されました。
それは「自分の時間の一部を人のために使うこと」でした。
1日24時間という客観的な時間を増やすことはできませんが、主観的な時間の豊かさは増やすことができるかもしれない、ということが明らかになったのです。
人のために時間を使うことが、自分の時間の豊かさに与える影響は、自己効力感の向上によってもたらされます。
つまり、人のために時間を使うことによって、人々は忙しいスケジュールの中でも、将来の活動にコミットしたいと思えるようになるのです。

人のための意思決定の方がクリエイティブになれる

他にも人のための意思決定の方が、自分のための意思決定よりクリエイティブになれる、という研究もあります。

難しい、クリエイティビティが必要な課題を解くとき、自分軸で考えるか、他人のために考えるか、このシチュエーションにおいて、他人のために考える方が答えにたどり着ける傾向が強かったのです。


いわゆる「聖書」の一節に「一番先になりたい者は、すべての人の最後となり、すべての人に仕える者になりなさい。」という言葉があります。

他人のために考え行動すること、が幸福感にもパフォーマンスにもポジティブな影響を与えるという、昔からある知恵なのかもしれません。

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ビジネスと心理学

収入による幸福度の増加には上限があるが悲しみを減らす効果がある

収入による幸福度の増加には上限があることが知られています。
一方で、ブリティッシュ・コロンビア大学の研究によると、お金があることにより日々の悲しみの経験が少なくなることが示されています。
そして、その結果として幸福度を間接的に高める効果があるとしています。

収入による幸福度の増加には上限がある

アメリカ・インディアナ州にあるパデュー大学が行った研究によると、収入による幸福度の増加には増減があり、国や地域にもよるのですが、400万円程から1,400万円程のレンジの中で頭打ちになるとされています。

https://www.nature.com/articles/s41562-017-0277-0

この種の研究は各国各研究者により様々に行われているのですが、概ねこのレンジ感で収まる、ということが知られています。

(繰り返しますが、この金額には地域や社会による影響があります。)

逆に表現すると、上限はあるものの、一定程度、幸福はお金で買える、という相関性について示されている、と言えます。

収入により悲しみを減らす効果がある

上述の通り、収入による幸福度の増加には上限があることが知られていますが、一方で、悲しみとの関連性についてはあまり知られていません。

誤解を受けやすいことなのですが、幸福感と悲しみは正反対の感情ではなく、異なる感情の状態です(関連する感情でありつつ、どちらも両立し得る感情です)。

ブリティッシュ・コロンビア大学は、収入と幸福の関係を調査しました。
この幸福とは、富が幸福よりも悲しみに大きな影響を与えているの可能性があるのでは?という先行研究を受けてのものです。

https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1948550614568161

その結果、収入が高いほど、日々の悲しみの経験が少なくなることが示されました。

この結果は、関連する人口統計やストレス、被験者の日々の時間の使い方等では説明ができないものでした。

この研究では、お金が幸福感の増加よりも、悲しみを減らすのに有効な手段となっており、そしてそれが間接的に幸福度を高める効果があるのでは、ということを示唆しています。

もちろん、この話は相関性のものであり、因果関係を示したものではありません。

しかし、幸福はお金で買える、ということを一定程度証明している一つの証拠ではないかと考えられます。

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ビジョン的思考

【運を高める方法】運の良し悪しは自分自身が作り出している

運を高める方法、というとスピリチュアルな要素があるように感じますが、実は違うことがわかっています。
運の良し悪しは自分自身が作り出している要素が大きいのです。
運を高めるためには4つの姿勢、「偶然のチャンスに気づく能力」、「直観による幸運な決断」、「ポジティブな期待による自己実現の予言」、「不運を幸運に変える強靭な姿勢」があります。

運の良い人と運が悪い人との違いは?

幸運に関する研究を行った心理学者、リチャード・ワイズマンの研究によると、運の良し悪しの大部分は自分自身が作り出している、とされています。

研究では400人以上の様々な年齢やバックボーンを持つ人を対象に、実験とインタビュー、性格診断、知能テスト等が行われ、運の良い人と運の悪い人との違いが分析されました。

実験では被験者に新聞に目を通してもらい、その中に何枚の写真があるのかを数えてもらいました。

その結果、運の良い人はわずか数秒で答えられたのに対し、運の悪い人は平均して約2分かかったということです。
その理由は、新聞の2ページ目に「数えるのをやめてください。この新聞には43枚の写真があります。」というメッセージが書かれており、運の良い人はそれを見つけられ、運の悪い人は見逃してしまう傾向があるからです。

また実験では、(研究者は“お遊びで”といっている)半分の新聞に「数えるのをやめてください。このメッセージを見たと言えば250ドルがもらえます。」と書かれており、こちらについても運の良い人と運の悪い人の違いの傾向は同様でした。

運の悪い人は、写真を探すのに夢中で、幸運を掴むチャンスを逃しているのです。

運の悪い人は緊張感や不安感が強い

性格診断の結果、運の悪い人は運の良い人よりも、緊張感や不安感が強いことがわかりました。
不安感があると予想外のことに気が付く能力が低下する、という別の研究もあります。

その別の実験では、被験者にパソコンの画面中央にあるドットを見てもらいました。
実験では何の前触れもなく画面の端に大きなドットが表示されることがあります。
ほとんどの人は、この大きなドットに気が付くことができます。
しかし、中央のドットを正確に見ることが出来たら報酬がもらえる、という条件を設定すると、3分の1以上の人が大きなドットを見逃してしますのです。

つまり、何かを一生懸命探せば探すほど、他の何かが見えなくなってしまうのです。

これは運についても同様で、運の悪い人は他の何かを探すことに夢中になり、チャンスを逃してしまう、ということです。
研究者はその事例として、理想のパートナーを見つけようとして良い友達を作る機会を逃してしまう、ある種の求人広告を見つけようとして他の種類の仕事を逃してしまう、というものをあげています。

幸運な人は、不幸な人よりもリラックスしており、自分が探しているものだけでなく、他の別の何かを見つけることができる、ということです。

運の良い人はチャンスを作っている

他にも、運の良い人は、自分の人生に変化を与えるための努力をしている、ということにも言及されています。

研究者があげた事例としては次のような物があります。

ある幸運な人は、重要な決断をする前に、通勤ルートを常に変えている。
パーティーに行くと同じタイプの人とばかりは話す傾向がある、ある幸運な人は、パーティーに行く時に服の色を決めて、同じ色の服を着ている人と話すようにしている。

運の良い人は、普段と異なる行動を取る事によって、人生における新しいチャンスを得る可能性、その機会を増やしている、ということです。

不運に対する心構え

また、運の良い人は、何かしら運が悪いできごとがあったとしても、それに対する捉え方が運の悪い人とは異なります。

運の良い人は、何か運が悪いできごとがあったなら、「もっと悪いことが起きていたかもしれない。それを考えたらラッキーだった。」と考えるとのことです。
こういった思考の習慣が、自分自身や自分の人生について、長く良い気分でいられ、そして将来への期待感が高まり、幸運な人生を続けられる可能性を高めていくのです。

これは「反事実的思考」と呼ばれるものです。

オリンピックで銀メダルと銅メダルを取った人、どちらの方が幸福を感じるのか?というと銅メダルの人の方が幸福を感じる傾向があるそうです。
その理由として、銀メダルの人は「あとちょっと成績が良ければ金メダルだった。悔しい。」と考えるのに対して、銅メダルの人は「あとちょっと成績が悪ければメダルを取れなかったかもしれない。良かった。」と考えるそうです。

これらの話をまとめて、研究者は幸運を作り出すための4つの基本原理として、「偶然のチャンスに気づく能力」、「直観による幸運な決断」、「ポジティブな期待による自己実現の予言」、「不運を幸運に変える強靭な姿勢」を挙げています。

研究者は幸運は科学的に作り出せる、運を良くする能力は磨ける、と主張し、実際に「幸運の学校」を運営し実績を出しているとのこと。

言うは易し系かもしれませんが、思考も癖の集合体ですので、運を良くするための思考を習慣化する努力を続けてみるのは良いかもしれません。

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