人は自分のための意思決定より、他人のための意思決定の方がクリエイティブになれる

ビジョン的思考

クリエイティブになりたい、と願うビジネスパーソンは多いでしょう。
そのために、他人のための意思決定なのか?という観点はヒントになるかもしれません。
人は、何か問題が起きた時、自分のための解決ではなく、他人のため、という視点で考えるとクリエイティブになれる可能性があるようです。

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古典的な問い:塔に閉じ込められた囚人

複数大学のチームは、4つの実験を通じて、他人のための意思決定が、自分自身のための意思決定よりもクリエイティブな解決策を生み出すか否かを調べました(Decisions for Others Are More Creative Than Decisions for the Self)。

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4つの研究では、他者のための決断が自己のための決断よりも創造的な解決策を生み出すかどうか、また、「解釈レベル(心理的距離と人々の思考が抽象的、または具体的であるか、関係を説明する尺度)」がこの関係を説明するかどうかを調べました。
研究1では、参加者は、自分が書く物語のために宇宙人を描いたり、他人が書く物語のために宇宙人を描いたりして、構造化された想像力の課題を行いました。
予想通り、他人のために宇宙人を描いた方が、より創造的な宇宙人が描かれました。
研究2aおよび2bでは、解釈レベル(心理的距離)を変数として操作した実験を行いました。
参加者は、親しい他者や自分自身のためよりも、遠い他者のために創造的なアイデアを生み出す傾向が強いことが示されました。
最後に、研究3では、古典的な洞察の問題を調べました。
他人のために決断する参加者は、問題を解決する可能性が高いことが示され、さらに、この結果は心理的距離によって媒介されました。
これらの結果は、以下のことを示しています。
人は自分のためよりも他人のために創造的になることを示し、自他の意思決定の違いを明らかにしました。

上述研究3の「古典的な洞察」とは、次のような問いを指しています。

「ある囚人が塔から脱出しようとしていた。
彼は独房の中で、安全に地上にたどり着ける長さの半分のロープを見つけた。
囚人が安全に塔から脱出するには、どのようにすればよいだろうか?」

(答え:ロープを半分に割き結べば、塔の長さになるので、安全に脱出できる。)

研究3だけフォーカスすると、137人の大学生が、追加の単位と引き換えに研究に参加することになりました。
この研究では、半分の参加者は、自分が塔にいることを創造して問題を解くように指示され、残りの半分は塔にいる誰かの代わりに問題を解くように指示されました。
また、解釈レベル(心理的距離)を測定するために、自分自身が塔とどのくらい離れていると感じているか?を7段階で答えてもらいました。

結果、圧倒的に「自分のため」より「他人のため」に問題に取り組む方が、答えに辿り着けることが示されたのです。

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「他人のため」の方がより良く生きられる?

この研究は、人々は、物事や対象人物との心理的距離(空間的・時間的・社会的)があると感じる時、それらについて抽象的に考えることと関連していると考えられます。
(身近になるほど、具体的に考える。)

それが故に(抽象的に考えるが故に)、よりクリエイティブな思考が生まれる傾向にあるのでは?というのが論理的な推測です。

もちろん、世の中においては、具体的な発想が重要である場面も非常に多いことは確かです。
「具体と抽象」と言われるように、どちらも重要な観点だ、と捉えるのが適切でしょう。


なお、人は「他人の幸福を願うと自分自身の幸福度も上がる」ことが示されています。

Caring for Others Cares for the Self: An Experimental Test of Brief Downward Social Comparison, Loving-Kindness, and Interconnectedness Contemplations - Journal of Happiness Studies
Several strategies for decreasing anxiety and increasing subjective well-being have been tested and found to be useful, such as downward social comparison, lovi...

論理的解釈は色々あるとして、「他人のため」の方がより良く生きられる、という示唆は、それはそれで素敵ではないでしょうか。

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