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【会計基礎講座Q&A】会計の歴史を知りたい

このコーナーでは、セミナー等々で受けた質問に対して回答しています。
今回は会計の歴史についてですね。

質問

「会計の歴史を知りたいです。昔から、今の形なのか。
それとも、現代においては色々と変化しているのでしょうか?」

おぉぉ。

個人的には、この種の質問は非常に嬉しいものです。
まがりなりにも、会計の世界で飯を食べているので、興味を持ってくれるのは、やっぱ良いですね。

というわけで、簡単に会計の歴史を解説していきます。
(しっかり説明すると、本が書ける。)

回答

~1500年(簿記の起源)

まず、簿記の起源からです。

簿記の起源に関しては諸説があり、古代ローマ起源説と中世イタリア起源説の2説が対立しています。

詳細を書き始めると、それだけで本が書けるレベルのものになってしまうので省略しますが、とりあえず言える事は、上記2説のどちらも「メモ」レベルの簡易なものでした。

明確に簿記の原型的に語られているのが15世紀のイタリアになります。

この頃のイタリアは、学生時代にやったと思うのですが「東方貿易」なるものが流行っていました。
当時の航海は、自然との闘いや海賊の存在など、様々なリスクがありました。
このリスク低減のために誕生したのが「銀行」と「手形」です。

そして、「銀行」が「手形」を扱うために必要な物が共通の言語、つまり「簿記」だったのです。

この時に誕生したのが「B/S」、つまり「貸借対照表」です。

この時代には「P/L:損益計算書」は存在せず、シンプルに、いくらの出資をうけていたのか、債務はどうなのか、そして資産はどれくらいあるのか、というものが記載されているのみでした。
この時代は、航海の度に、会社に相当するものが成立し、航海が終わる度に清算する、という事が行われていました。

こんな杜撰なやり方で良いのか?と思うかもしれませんが、当時には「公証人」という、現代で言う会計士と弁護士を足し合わせたような職業があり、この「公証人」が各種書類の証人となっていました。
(まぁ、それでも杜撰オブ杜撰な時代だったんですけれどね。)

要約しても長いんですよ。
この種の話。

~1700年(株式会社の起源)

さて、上記で会社に相当するものは単発のものだった、と書きました。
今現代の株式会社の姿を見知っているのなら感覚的にわかるかもなのですが、これでは非効率で、財産を増やすのが非常に面倒です。

そんな中で誕生したのが「株式会社」です。
17世紀頃の事ですね。

有名な「東インド会社」の誕生です。

こうして、多くの「株主」からお金を集めてビジネスをする「株式会社」が発達する土台が誕生していきました。
(なお、東インド会社の話も、だいぶ混沌としているので、これを整理して話をすると、非常に膨大になる。)

ついでに、「監査役」が誕生したのも、この頃です。
(まぁ、それでも杜撰オブ杜撰な時代だったんですけれどね。)

~1900年(産業革命)

さて、少し想像して見ていただきたいのですが。

パソコンも無い、電卓も無い、まともな教育を受けている人達も少ない。
ついでに監視カメラも無く、貧乏な人達も多い。

そんな時代に会社運営をしていたら、何が起きると思いますか?

杜撰オブ杜撰な事が頻発するに決まっていますよね?

間違った会計報告、適当な監査、不正や盗難。
当然、お金を出している株主は激おこぷんぷん丸です(表現、もう古いか)。

「バブル」そして「バブル崩壊」があったのは学生時代の歴史でも触れられていたので、覚えていらっしゃる方も多いかと思います。
粉飾決算の影響を受けて、公認会計士なるものが誕生したのも、1800年代後半です。

そういった事もあり、各種会計手法の発達もそうですし、諸々株式会社としての役目も発達していきました。
特筆すべき点としては、「減価償却」と「連結決算」の誕生でしょうか。

1800年初頭から中頃、産業革命を背景に鉄道が発達しました。
この時、どんな事があったかというと。

鉄道の投資って、莫大なお金が必要だというのはわかりますよね。
では、ある年に行った投資が全て「費用」として扱われたら、その会社、大幅な赤字を計上する事になると思いませんか?
Cashがあれば倒産はしませんが、株主的にも赤字だと配当を受けられないので、非常に困ります。

そう、ここで誕生したのが「減価償却」であり、期間損益の概念でした。

(同時に、この辺りで、いわゆる「原価計算」も誕生、発達してきました。産業革命の時代ですし。)

更に、上記鉄道会社もそうなのですが、会社の統廃合的な物が活発になったもこの時代。
いわゆる「連結決算」もこの頃に誕生し、現代会計の礎となっています。

そうそう、下記忘れていましたが、「P/L:損益計算書」の誕生は、まだです。
この時代、何をやっていたかというと、年度はじめのB/Sと年度終わりのB/Sの差額を損益として算出し、その内訳書を収益勘定表として出す、という事をやっていました。

~2000年(現代会計学の発達)

1900年代は、現代会計学や現代金融が急激に発達した時代です。

明確に公認会計士の業務が「監査」を行う事、となったのもそうですし、アメリカをはじめ世界各国で証券法、証券取引法の類が定められてきました。

また、グローバル経済の発達と競争環境の激化も起き、単純に物を作って運んで売れば利益が出る、という時代でも無くなった来ます。
とすると、必要なのがコスト管理。
管理会計の発達です。

「P/L:損益計算書」も、そういった事もあり、ようやく誕生しました。
1900年代初頭辺りの事で、また1929年、イギリスで損益計算書の作成が義務付けられるようになりました。

なお、「C/F:キャッシュ・フロー計算書」は、1979年、アメリカの会計基準改定がきっかけで、明確に誕生、世界に広がる形となっています。

つまり、P/LやC/Fの歴史って、会計の歴史の中では、結構短いんですね。

2000年~(国際会計の時代)

さて、現代はグローバル会計、国際会計基準の時代です。
この時代の特徴は「時価」にあります。

ようは、これまでの会計は原価、コスト観点での会計だったのですが、これからの会計は価値、リターン観点での会計に変わってきている、という事ですね。

こうして、会計(アカウンティング)は、ファイナンスへと領域を広げ、今現代でも発達を続けているのです。
(まぁ、一般的にはアカウンティングとファイナンスは別分野だ、と認識される事の方が多いですが。)


物凄く端折って説明しても、これだけのボリュームになるのが会計の歴史です。
誕生の歴史を踏まえると、その会計手法の意味をより深く知ることができるので、個人的には歴史のお勉強を推奨しています。
ご興味あれば、是非、歴史の勉強にも取り組んでみて下さい。

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【会計基礎講座Q&A】ベンチャー企業のキャッシュフロー成長パターン

このコーナーでは、セミナー等々で受けた質問に対して回答しています。
今回はベンチャー企業のキャッシュフローについて、どういうパターンがあるのか?どうしていくのが良いのか?という質問です。

下記記事を元にした質問です。

なお、あまり傾聴的観点は盛り込まず、素朴に実利的観点で回答していきます。

質問

「ベンチャー企業のキャッシュフローについて、成長ステージ毎の状況で教えてください。」

企業におけるキャッシュ・フローの状態にはパターンがあります(下記表参照。このパターンから、一定、会社の状態を読み取れる。)。

営業CF投資CF財務CF現金の残高
営業活動で現金を生み出したうえに、借入などで現金を増やしている。 さらに、固定資産や有価証券なども売却している。将来の大きな投資のためにお金を集めているのだろうか。
営業活動と、固定資産や有価証券などの売却により現金を生み出し、借入の返済を積極的に行っている。 財務体質強化の段階にある会社だろう。
営業活動で現金を生み出したうえに、借入などで現金を増やし、積極的に投資活動を行なっている。 将来の戦略も明確な優良企業のパターン。
営業活動で生み出した現金を投資活動や借入金の返済に充てている。 潤沢なキャッシュフローがある会社であろう。
営業キャッシュフローマイナス分を借入と固定資産や有価証券の売却でまかなっている。 問題会社の一般的なパターン。
営業キャッシュフローマイナス分と借入返済分を固定資産や有価証券の売却でまかなっている。 過去の蓄積を切り売りして事業を継続している。
営業活動で現金を生み出せていないが、将来のために設備投資を行なっている。 営業のマイナス分と設備投資資金をすべて借入や新株発行でまかなっている。 自信がある将来計画があるのだろうか。
営業活動で現金を生み出せていないのに、将来のための設備投資を行ない、借入金の返済も行なっている。 過去に多くの現金の蓄積があった会社なのだろう。
「財務3表一体理解法」國貞克則 朝日新書、2007 より

今回は、ベンチャー企業における成長ステージ毎のキャッシュ・フロー・パターンの推移について、今々の状態から、目指すべき姿は何か?解説します。

回答

さて、会社の成長推移ですが、順調に走り出す事ができた会社の辿る推移は次のようになると言われています。
(そもそもとして創業期を抜けられず、消滅していく会社も多いし、成熟期を脱せずゾンビ状態になっている会社も多い。日本の中小企業の多くがゾンビ状態。)

この成長推移にしたがって、ベンチャー企業のキャッシュ・フローの状態について見ていきます。

創業期~(シード~ミドル):営業- 投資- 財務+

営業活動で現金を生み出せていないが、将来のために設備投資を行なっている。 営業のマイナス分と設備投資資金をすべて借入や新株発行でまかなっている。 自信がある将来計画があるのだろうか。

創業時は、売上規模は小さい一方、コストだけはかかる状態なので営業キャッシュ・フローはマイナスの状態が普通です。
(何か実業を既に持っている状態で、従業員が創業者一人、とかいうパターンなら、創業期から営業キャッシュ・フローがプラスになる事もある。)

そして、事業を成長させていくためには投資も必要なので、投資キャッシュ・フローもマイナスの状態が普通です。

では、営業キャッシュも投資キャッシュもマイナスなら、そのお金はどうするのか?という問題があります。
それを賄うのが財務キャッシュ・フローですね。

創業時は、創業者や共同創業者の出資から。
多少、事業がまわりはじめたのであれば、シードの投資(エクイティによる資金調達)を受けられ、また、小規模ながら銀行から融資を受けられる場合もあります。

このような形で、投資家や銀行からお金を調達し、それを営業や投資にまわしていく、というのが創業期~成長期のキャッシュ・フローの状態になります。

成長期~:(レイター~IPO後):営業+ 投資- 財務+

営業活動で現金を生み出したうえに、借入などで現金を増やし、積極的に投資活動を行なっている。 将来の戦略も明確な優良企業のパターン。

順調に事業が成長していくと、どこかのタイミングで営業キャッシュ・フローがプラスに転じます。
(ただし、成長を優先して、営業キャッシュ・フローをプラスにする事ができる状態であっても、意図的に投資キャッシュ・フローには該当しない事業投資、例えば人の採用とかですね、を行い、営業キャッシュ・フローがマイナスになっている会社もあります。
ただ、当たり前ですが、事業本体でキャッシュを創出できないのであれば、その事業に投資をする価値は無いので、あくまでも「営業キャッシュ・フローをプラスにする事ができる状態」には到達する必要があります。)

そして、事業が順調に成長している状態ならば、更なる成長ドライブをかけたいのが投資家マインドです。
投資キャッシュ・フローに関してはマイナス、事業成長を促進させていく状態は継続します。

この「事業が順調に成長している)状態では、投資キャッシュ・フローのマイナス分を、営業キャッシュ・フローのプラス分で賄いきれないのが一般的です。
この賄いきれない不足分は、これまた銀行からの融資や、投資家からの出資で対応していきます。

営業キャッシュ・フローのマイナス状態を意図的に作っている場合は、銀行融資の難易度があがるので、エクイティ調達(投資家からの出資)のウェイトが大きくなります。
逆に営業キャッシュ・フローがプラスの状態では銀行融資を受けやすくなるので、ダイリューション(株式希薄化)等のデメリットを追ってまでエクイティ調達をする必要が無く、銀行融資のウェイトが増えます。

成熟期~:(IPO後~):営業+ 投資- 財務-

営業活動で生み出した現金を投資活動や借入金の返済に充てている。 潤沢なキャッシュフローがある会社であろう。

そして、更に事業が成長すると、営業キャッシュ・フローだけで、成長投資も、これまで借りてきた銀行融資の返済分や、投資家への配当が賄える状態に成長していきます。
これが、企業の成長ステージにおける、一つの最終段階です。

どのような成長ステージにある会社であっても、基本的に投資キャッシュ・フローはマイナスの状態が望ましいので、投資キャッシュ・フローはマイナスが継続します。

このステージに来た財務キャッシュ・フローは、資金残高の調整弁となります。
成長をドライブさせたいのであれば、銀行融資を厚くして資金の確保を行いますし、余剰資金が多いのであれば返済にまわしていきます。
ただ、常に返済余力がある状態を実現しているのが望ましいと言えます。


なお、栄枯盛衰と言うか、盛者必衰というか、どんな大企業であっても、いつかは傾くものです。

経営者の役割は、上記「成熟期」の状態を、更なる「成長期」に乗せていく事にあるのですが。
そうそう簡単に行かないのが世の常で、「衰退期」からの倒産ないしは「再生期」という流れになる会社が日々でています。

今、自分達の会社がどのような成長ステージにあるのか?何を目指すべきなのか?
キャッシュ・フローのパターンから考えてみるのも、面白いかもですし、身を守るという意味でも重要だと思いますね。

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会計基礎講座Q&A

このコーナーでは、セミナー等々で受けた質問に対して回答をしています。
こちらは、その回答のまとめ集になります。

質問等あれば、一番下の「コメントを書き込む」から質問いただいても問題ございません。

コンテンツは、作成次第、随時拡充していきます。

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【会計基礎講座Q&A】〇〇という会計手法を勉強しようと思っています。

このコーナーでは、セミナー等々で受けた質問に対して回答しています。
今回は、実務に使える個別の会計手法について勉強しようと思っているが、どうか?という質問ですね。

なお、あまり傾聴的観点は盛り込まず、素朴に実利的観点で回答していきます。

質問

「物流の業務に携わっています。そこでスループット会計というものを勉強しようと思っています。ボトルネックを見つけるためにも、必要だと考えているからです。どう思いますか?」

ふむふむ。

何か業務上の課題感があって、その課題感に対応するための何かしらの手法を勉強したい、ということですね。

回答

まず入り口から申し上げると、私自身がスループット会計、というもの自体を良く知りませんでした。

そこから入って、ではそこまで重要な事なのか否かという直感的感覚で言うと、多分、そこまで重要なものでは無いのだろう、というのが一つの答えになります。

それでは身も蓋も無いですし、根拠性も低いので、もう少し考えてみます。


さて、改めて私もスループット会計というものを調べてみました。

スループット会計は、キャッシュ・フローに着目して、各業務プロセスのボトルネック(制約)を洗い出して、スループット、つまりは「販売によって生み出すキャッシュ」を最大化しよう、という考えの、管理会計の考え方です。

どうやら「ザ・ゴール」系の考え方のようですね。

大きく次の3つの指標があるようです。

  1. スループット:売上 - 直接材料費
  2. インベントリー:在庫における直接材料費部分(労務費や製造間接費は含まない)
  3. オペレーティング・エクスペンス:在庫(直接材料費)関連以外の全ての事業コスト

その上で、上述したキャッシュ・フロー確保を目的に、ボトルネックを解消していこう、という事のようです。

これを見て、私が思った事は、別にスループット会計である必然性が無いな、という感想です。
別に、従来型の製造業管理会計で問題があるとは思えない、十分に適用できると思うのです。

KPIとして、上記を指標として設定し、管理して行こう、という事は全く問題無いのですが、会計学習の入り口として、スループット会計から入るのは、そもそもスループット会計を理解できるのか否かも怪しくなってしまうので、推奨はできないかな、と考えます。

あくまでも会計学習をしたい、という前提に立つと、なのですが。
まずは、古典的・伝統的な管理会計について学習する所からはじめてみてはいかがでしょうか?
そちらの方が、入門書含めて多くの書籍がありますし、知識を習得している方も多く相談相手に困ることが少ないはずです。

(なお、物流上のボトルネックを解決したい、というのであれば、ロジスティックスの専門書に当たる方が早いとは思います。こちらも古典的でかつ有用な書物が多数ありますね。)


ビジネスの世界ですと、常に新しい動きがあり、また書店でも「新手法」「新潮流」的な風潮で様々なビジネス手法の解説本が並んでいます。

新しい物を否定しようという考えは一切ありませんが、古典には古典の良さがあります。
取っつきにくい等々の感覚を持ってしまうかもしれませんが、古典を抑える、という事は学習の入り口として、検討して見る事を癖としてみて下さい。

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【会計基礎講座Q&A】どうやったら会計を覚えれますか?

このコーナーでは、セミナー等々で受けた質問に対して回答しています。
今回は、会計学習に対しての相談です。

なお、あまり傾聴的観点は盛り込まず、素朴に実利的観点で回答していきます。

質問

「会計を勉強しよう、と思っていて、色々と努力をしているのですが、用語やその意味を中々覚えられず、覚えても忘れてしまいます。どうやったら会計の知識を覚えられるでしょうか?」

なるほど。

確かに、勉強、というのは中々厄介なものですね。

勉強をしよう、する、とう意思や姿勢はある中で、とは言え中々覚えられないと。

それでは回答をしていきます。

回答

今回は2つの観点で回答しようと思います。

紙とペンを用意し、手を使って反復学習をしよう

こちらの記事にも書いてあるのですが、基本的には「反復学習」をしてください、という話になります。
数をこなすのが一番だからです。

で、会計の学習ですから、簿記とかの勉強をしてみるのが一つ、良いかと思いますが。
本を読むのも良いですが、問題(演習)をガリガリ解くのをおススメします。
本を読んだだけの知識を、実務で活用しよう、というのは中々辛いものがあります。

別に「日商簿記」的に、仕訳から入らなくても良いですが、会計学習用の演習本は世の中、多数存在します。
そういった問題(演習)を沢山解けば、自然と数字を読み解き活用していく力は身につきます。

その際なのですが、Excelを活用して効率的に勉強したい、と考える方も多いのですが、ここで一番重要なのが「紙とペン」を使う、という点です。

私の周囲にいる会計プロフェッショナルに聞いても、会計学習上、一番効率の良い方法は「紙とペンを用意し手を動かす」と一様に共通の見解が出てきます。

論理的でない、と思うかもしれませんが、この方法は多くの会計プロフェッショナルがおススメする方法ですので、急がば回れ、という精神でトライしてみてください。

覚えざるを得ない状況に身を置こう

もう一つは、「覚えざるを得ない状況に身を置こう」という考え方です。

姿勢と意思はあっても、中々継続ができないのが人間です。
人間の意志力には限界があります。
気合と根性でどうこうなるものではありません(と考えた方が、結局、効率が良いです)。

それではどうすれば?なのですが、仕組みや環境を整備して、それをやらざるを得ない状況を用意しよう、と言う回答になります。

勉強に集中したいのであれば、机と椅子を用意し、その周辺にはゲーム機やマンガなどの気が散るものは近くに置かないようにしましょう。
ソファがあれば、怠ける環境が用意されている状況ですので、捨てるなり、別の部屋に置くなりしましょう。
布団は毎朝、必ず畳みましょう。

そのような身の回りの環境を整える、というのも良いですが、何気に一番、人が行動を変えやすいファクターがお金です。

その意味で私がおススメするのが「株を買う」事です。

株を買ってしまって、会計学習・金融学習をして、実際に企業の決算資料や証券会社ポータルサイトの各種金融指標を読解できるようにならなければ、損をする状況を作るのです。
(他にも、簿記等の高い講座に申し込みをし、受験にもしてしまう、というのも一つの方法としてアリです。)
(ついでに言うと、大金を失いそうな状況になると、人間の必死さが劇的にあがるので、すぐに身に付きますよ。)


どちらもシビアな発想かもしれませんが、①つべこべ言わずに量をこなす、②追い込まれた状況を作る、この方法は、身体と脳みそに新しい事を刻み付ける、最も効率の良い方法ですので、是非、実践してみてください。

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生産性・業務効率化

良い質問の話~目的の明確化編~

質問力という言葉があります。
ようは、良い質問ができれば、諸々良い結果が待ってますよ、という事で、字面から重要なのは伝わりつつも、正直よくわからない、という人も多いのではないでしょうか。
今回は、この「質問力」「良い質問」について考えてみます。
一番重要なことは目的の明確化です。

目的の明確化

結論として一番重要な事があり、それは「目的の明確化」です。

なぜならば、質問において様々なテクニックがあるものの、目的の明確化がされていないと、その各種テクニックの適用が難しいからです。

質問の目的には次のパターン、基本的な5種類が存在します。

  • 情報や知見の入手
    →迅速な必要情報の入手
    →調べても出てこない,理解しきれない知見の入手
  • 相手へのさりげない命令、依頼
  • 相手との関係性構築
  • 相手に気づきを与える
  • 相手をネガティブなメッセージを与える

内容説明に入る前に、1つ、大前提について触れておきたいと思います。

ググろう

質問の前に、自分で調べよう

その大前提とは、質問する前に「ググろう」という話です。

(ググろう、は何もGoogle検索だけの事を指すのでは無く、各種書籍類の閲覧や、社内のナレッジ共有の調査,検索等々の、ありとあらゆる「調べる」媒体を含みます。)

これ、本当に不思議な事に、Google検索すらしない人が珍しく無いのです。

手元にあるスマートフォンで、ちょっと調べればよい事なのにです。

まずは何はともあれ、自分自身で調べてみましょう。

調べたら、質問の前に、自分の頭で考えてみよう

そしてもう一つ不思議な事に、「調べてもわかりませんでした。」という方も、決して珍しくないのです。

そしてこの「調べてもわかりませんでした。」は、よくよく聞いてみると、何も考えていない、というパターンが大多数です。
(わからないことを調べて答えにたどり着く、は調査力の話であり、今回のテーマとは異なるので省きます)。

調べたのなら、きちんと自分の頭で考えてみましょう。

この2点、まずは調べる、調べたら自分の頭で考える、です。
これは大前提中の大前提です。

質問の目的について

ここからは、質問の目的について、です。

再掲ですが、質問の目的は次のように分類されます。

  • 情報や知見の入手
    →迅速な必要情報の入手
    →調べても出てこない,理解しきれない知見の入手
  • 相手へのさりげない命令、依頼
  • 相手との関係性構築
  • 相手に気づきを与える
  • 相手をネガティブなメッセージを与える

迅速な必要情報の入手

例えば、何か会社内に保管されている書類を探したいとします。
書類の管理簿のようなものはぱっと見存在せず、どこに何が保管されているかは、実際に探してみないとわかりません。

このような場合、闇雲に探すのは効率的でしょうか?
明らかに非効率だ、とわかりますよね。

「こういう書類を探しているのですが、知っていますか?」
「何か書類を探す方法、管理簿とか、書類の保管の棚割り表とかってありますか?」

上記のような質問を、担当っぽい部署や人に質問していくのが効率的でしょう。

調べても出てこない,理解しきれない知見の入手

これは、何かを知りたくて頑張って調べて考えたけれども、やっぱり出てこなかった、わからなかった、という類への対処です。
ようは、上記「ググろう」を通過した後の質問ですね。

この種の質問に関しては、具体的に何を知りたくて、これまでどのように調べて考えたのか。
その上でなお、これこれこういう不明点があって、この不明点を潰したい、はっきりさせたい、という形で質問すると良いです。

多くの方の場合、質問の種類として最も使用するのが、このパターンかと思います。

もう一度書きますと、下記4点を明確化しましょう、という事です。

  • 知りたい事は具体的に何か
  • これまでどのような仮説を持って調べたのか
  • 検索した内容について、どのように吟味を重ねたのか
  • 上記を踏まえてなお、残っている疑問点、不明点は何か

相手へのさりげない命令、依頼

これは例を出すのがわかりやすいでしょう。

「この書類のスキャンをとる時間ある?」

このように投げかけられたら、通常は「書類のスキャンをして欲しいのだな。」と受け止めるはずです。
タイトルの通り、相手へのさりげない命令ないしは依頼が目的の、質問形式のコミュニケーションという事です

コミュニケーションの一手法ではあるので、乱用は避けつつ、うまく活用しましょう、という所ですね。

相手との関係性構築

質問は、何も「知りたい事がある」から発するのではありません。

相手とのポジティブな関係構築のための質問もあり得ます。

様々な場面での、ちょっとした雑談や面談等で、「週末は何していたの?」「あれ、バッグ新しくした?」「将来は何かやりたい事あるの?」といった投げかけをする事があるかと思います。

これは、(ぶっちゃけ相手の事を知りたいとかそういう事を目的としているのではなく、あなたに興味がありますよ、というスタンスをとって)質問相手と何気ない会話を通して、親密になる事を目的とした質問です。
仕事においては、親密な関係性の方が、大体においてスムーズに物事が進みますので、特にマネージャー層において使用される質問パターンですね。

相手に気づきを与える

質問の中でも、特に高価値なのが、お互いの知見が高まる事です。

「このアイデアの実現は難しいのは確かだと思うけれど、どうしたらうまくいくと思う?」

何か実現が明らかに困難なアイデアがあったとして、これに対して「難しい、あきらめよう。」というのは簡単です。

しかし、もう少し粘って、「どうしたらうまくいくだろうか?」と投げかけ、質問相手と一緒に考えてみたらどうでしょうか?

もちろん、良い答えが出てくるとは限りませんが、出てくれば儲けものです。
お互いに、新しい気づきを得られ、知見が高まるからです。

他にも単純に、目的を見失っている人や、不安を感じている人に、気づきを与えるという目的でも使えるパターンの質問です。

「このお金は、どこから得られているものだろうか?自分たちの給料はどこから誰が出しているのだろうか?」
「不安に思うのはそうだと思うけれど、私は、君の実力なら達成可能だと思うよ。そう思わない?」

相手をネガティブなメッセージを与える

最後のパターンがネガティブ・メッセージの伝達です。

例えば、「目標の数字が大きく未達だけれども、どう挽回するつもりなのかな?」という質問です。

これは、もちろん目的を達成するための方法を問いてはいるのですが、質問相手に対する叱責の意味合いも大きく含んでいるのがわかるでしょう。

このように相手に対して“威圧”を与える事にも質問は使えます。
(まぁ、そう使いたいとは思いませんけどね。)

他にも、やんわりと断ったり、拒否する事にも使えます。

「この企画、色々検討したけれど、実現性がかなり低いと思うけれど、どうかな?」


以上が「質問力」「良い質問」の前提となる、質問の目的5パターンとなります。

質問におけるテクニック論は様々にあるのですが、まずは上述の通り「目的の明確化」をしっかりと意識しましょう。
繰り返しになりますが、質問の目的を明確化しないと、諸々のテクニック論を適切に機能させることが出来ないからです。

別の場所で、質問のテクニック論について触れたいと思います。

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