本当に効率的な勉強の方法

生産性・業務効率化

現代社会の忙しさ。
せっかく勉強をするのならばコストパフォーマンス高く学びたいと思うのが自然です。
ここでは、複数の研究を横断的にレビューし、本当に効率的に勉強できる方法を検討します。

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忙しい人向けまとめ

  • 反復学習が効果的
  • 反復学習の際は文字情報、映像情報、音声情報など多様な手段で
  • 学習量が多いことは純粋に良好なパフォーマンスを示す可能性がある
  • テストを活用し覚えたことを「思い出す」のは良い
  • 平易に理解できるものからはじめ難易度をあげていくのが良い
  • 寝よう
  • 周囲の励ましをうけよう
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インプットの知見

反復学習の有効性

記憶と学習に関する研究は歴史が長く、有名な所としてはドイツの心理学者のヘルマン・エビングハウス博士の研究があげられます。
エビングハウス博士は、一度記憶したことは、短時間で忘れていき、その忘れるペースは時間と共に緩やかになっていくことを発見しました。
また、間隔をあけて再学習することにより、その忘れるペースが更に緩やかになっていくこと。
つまり、記憶の定着率が向上することを発見しました。
この知見は多くの学習者の経験則とも合致しており、「反復学習」の有効性を示しています。

なお、この反復学習は、異なる方法で学習をすると効果的であるとする提唱もあります(多様な手段での反復学習)。
こちらの記事(オーストラリアカトリック大学)では、教科書による文字情報のインプット、ポッドキャストなどの音声情報、図解などの映像情報などを交えて学習すると、記憶の定着が強化するとされています。

もう一点、反復学習に関して付け加えると「オーバーラーニング」という学習に関しても触れるべきでしょう。
オーバーラーニングとは、学習をし、その効果が一定見えてきた段階で、さらにもう一押しする形で反復学習を行うことを言います。
こちらの実験(米ブラウン大学)では、オーバーラーニングを行うと、行わないグループに比較し、良好な記憶定着の結果が行われたという結果がでています。
オーバーラーニングに関する研究の蓄積は少なく、この結果をもって言えることは少ないにせよ、学習量が多いことは純粋に学習パフォーマンスを向上させる可能性があることは言えます。

関連付けによる記憶

反復学習とは異なる関連であるインプット、関連付け、言い換えると「記憶術」の効用についても言及できるでしょう。
記憶術の歴史は長く、2,000年以上の蓄積があります。
皆さんも活用をしているはずで、歴史における語呂あわせや、元素記号の「水兵リーベ」などは懐かしさを覚えるでしょう。
これは記憶術における場所法、もしくは置換法とよばれるもので、人間の脳細胞の特性を利用したものです。
新しく覚える物事を整理し、すでに記憶している事象と関連付けていくと学習効果が高いという経験則とも合致するはずです。

他にも、名前の通り場所を思い浮かべ、そこに記憶したい対象を並べていく方法や、ストーリー上に記憶したい対象を関連付けていく方法があります。
後者に関しては、マンガの活用が有効です。
「もしドラ」が有名ですが、難しい内容がイラスト主体の平易な内容で説明されると、初期学習として有用だというのは説得力がある話でしょう。
なお、これは推測で言っているのではなく、実際に研究がなされており、例えば歴史学習におけるマンガの有効性が指摘されています(東洋英和女子院大学)。

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アウトプットの知見

ラーニングピラミッドについて

前段でインプットの話をし、ここでアウトプットの話をするのならば、ラーニングピラミッドについては触れておくべきでしょう。
ラーニングピラミッドはNational Training Labolatory(アメリカ国立訓練研究所)のエドガー・デール博士が基礎的な提唱をした考え方で、経験の三角錐ともいわれます。
簡単に言うと、本を読んだり講義をうけたりするインプットよりも、人とディスカッションしたり、人に教えたりするアウトプットの方が学習効率が高い、とするものです。
これ自体は、大本の考え方からはだいぶ乖離した伝達がされており、根拠が無いものです。
ただ、インプット中心よりも、アウトプット中心の方が、学習効果が高いという点は多くの経験則が支えています。
これは、上述インプット部分で言及した、多様な手段での反復学習や関連付けによる記憶の強化で説明ができるはずです。
授業、読書、視覚情報、デモ、ディスカッション、体験、人に教える。
こういった多様な手段で反復学習をすること、そして実際に人に教えるとなると対象となる事象を整理し、自分の言葉で説明(すでに記憶している事象との関連付け)をしないと人に説明できないこと、を考えると、ラーニングピラミッド自体の数字根拠はともかくとして、考え方そのものは大枠として支持できるものと言えます。

テストの効能

もう一つ、アウトプットに関して言及をしなければならないものとして「テスト」があります。
多くの人にとっては、複雑な想いをもってしまうものかと思います。
ただ、間違いなく言えることはテスト、より正確に言い換えると「情報を思い出すこと」は高い学習パフォーマンスにつながるという点です(米ワシントン大学)。
実験では、インプット学習に加えテストによるアウトプット学習を行うと、中期的には記憶定着に効率が高いことが示されています。
別の観点でいうと、覚えていることと覚えていないこと、理解していること理解していないことを識別することが出来る点もあるため、純粋に高い学習パフォーマンスがあることは間違いがないでしょう。
なお、プログラミング学習などで言及される、「習うより慣れろ」「手を動かせ」も一種のテストであると言えるため、経験則で言われていることも一定の裏付けがあると考えられます。

なお、学習における難易度設定ですが、現状の理解度・学習レベルより、少々程度難易度を高く設定するのが良いという示唆があります(米アリゾナ大学)。
上述のマンガによる平易な水準からの学習効果が高い点も、この仮説を支持するものになると考えます。
同様に、テスト効果における「情報を思い出すこと」も、あくまでも記憶の定着を前提としている点を踏まえると、この仮説を支持するものと言えます。

(おまけ1)寝よう

一夜漬けの効果が薄いことは、多くの方にとって実際に体験したことかと思います。
これは経験則だけの話ではなく、実際に事件をした結果(ヨーク大学、ハーバード・メディカルスクール)、一夜漬けより、学習後に睡眠をとる方が、学習のパフォーマンスが高いことが明確に示されています。
というわけで、言われなくても寝るとは思いますが、勉強後はしっかりと寝ましょう。

(おまけ2)励ましあう仲間をつろう

大人になると物覚えが悪くなると、一般的に言われています。
これは一定確かではあるのですが、諦めるのは早いです。
こちらの研究(カリフォルニア大学)では、学習に適切な環境に身を置くと、年齢に関係なく高い学習パフォーマンスが出ることが示されています。
適切な環境をより具体的に言うと、それは「周囲からの励ましを得られる」環境です。
家族や学習友達など、励ましあう仲間を作るのは間違いなくプラスです。
恥ずかしがることなく、周囲に「私は勉強をしているので応援して!」と言いましょう。

(おまけ3)学習中の音楽は益か害か

勉強中に音楽を聴くと集中力があがって効率が良い、という人と、逆に集中できない、という人がいます。
さて、学習中の音楽は益なのでしょうか?害なのでしょうか?
答えを言うと、人によるし、聴く音楽による、です(ウロンゴン大学)。
前者の「人による」、に関して身も蓋もないことを言うと、脳の処理能力の高い人に限っては、音楽を聴きながらの作業は、その効率をあげることが示されています。
後者の「聴く音楽による」、に関しては、ボーカルが入る、テンポが早い、音量が多い、などの要素がある音楽を聴きながらの作業は、その効率を下げることが示されています。

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