カテゴリー
生産性・業務効率化

ガムを噛むと認知機能や集中力が高まるという話

一流のスポーツ選手がガムを噛んでいる姿はありふれた光景です。
いわく、集中力が高まるから、ということなのですが、どうやらそれは科学的に正しいようです。
複数の研究により、ガムを噛むことにより、認知機能や集中力が高まることが示されています。

https://www.wired.com/2011/11/the-cognitive-benefits-of-chewing-gum/

ガムと認知機能の関係

セントローレンス大学では、159人の学生を対象に、ガムと認知機能の関係を調べた実験が行われました。

内容は、半分の学生はガム(無糖のものと加糖のもの)を噛むグループ、残り半分は何も与えられない対照群として設定し、難しい論理パズルを解くなどの認知機能を測るものです。

実験の結果、テスト前に5分間ガムを噛んだグループは、対照群と比較してほとんどのテストで有意にテストの結果が優れていたことが示されました。

ガムを噛むと認知機能が向上する

実験では6つのテストが行われ、5つのテストで認知機能の向上が見られ、残り1つの例外は「動物」などの与えられたカテゴリーからできるだけ多くの単語を挙げるように指示された「言語能力」を測るもののみでした。

噛むガムは無糖でも良い

なお、ガムが無糖であるか、加糖であるかは関係がなく、ガムに含まれている糖分が認知機能に与える影響ではないことが示されています。

つまり、ガムが認知機能を向上させる理由は、咀嚼により誘発される覚醒作用だ、ということです。

ただし、効果は20分間のみ

実験では、ガムを噛むことにより向上する認知機能について時間経過の影響も調べられています。

その結果、認知機能の向上はガムを噛んだ後の約20分間に限定されることがわかりました。

20分が経過した後は、ガムを噛んでいない対照群と同じ成績に落ち着いたとのことです。

ガムを噛むのは、大事な仕事や難しい仕事がある直前5分間とし、バシッと集中して物事にあたるのが吉と言えるでしょう。

タスク実行中に水を飲むとパフォーマンスが向上する、という研究もあります。
うまく組み合わせると、高いパフォーマンスを維持し続けられるかもしれません。

他にも集中力の向上やメンタルの安定効果がある

他にもガムを噛むことにより、様々なポジティブな影響があることが報告されています。

例えば、コベントリー大学で行われた研究では、ガムを噛んでいる人は眠気が劇的に減少し、集中力が向上する効果があること。

カーディフ大学で行われた研究では、、明らかに不快で集中力が妨げられる環境に置かれていても、ガムを噛むことによりメンタルが安定すること、が示されました。

ガムをくちゃくちゃ噛んでいる光景は、人によっては不快に感じるかもしれませんが、その効果の程を考えると一概に切って捨てるのはナンセンスと言えるかもしれません。

カテゴリー
生産性・業務効率化

仕事中、適度にネットサーフィンをする方が生産性を高く保てる、という話

仕事中にネットサーフィンをするのは“サボり”であるとみられるのが一般的です。
しかしながら、人の集中力には限界があり、業務時間中全てを集中して仕事をするのは不可能です。
ある研究によると、適度にネットサーフィンをする方が生産性が高い、という結果が示されました。

適度にサボることが生産性に与える影響を調べる実験

次の記事で、適度にサボることが生産性に与える影響について調べた実験が紹介されています。

https://www.wsj.com/articles/SB10001424053111904070604576518261775512294

研究では96人の学生を被験者に、休憩グループ、ネットサーフィングループ、対照グループに分けて簡単な課題を行わせる実験を行いました。

課題は20分間、サンプルテキストの中にある「e」の文字をできるだけ多く強調表示にするというものです。

20分の課題後、10分間、別のアクションが差し込まれます。
休憩グループはネットサーフィン以外の好きなことを、ネットサーフィングループはネットサーフィンを、対照グループは別の簡単な課題を行ってもらい時間を過ごしてもらいました。

その後、再度10分間、文字を強調表示するタスクを再開してもらいます。

ネットサーフィンを行うと生産性が高くなる

上述の実験の結果、他の2つのグループより、ネットサーフィングループの方が、タスクの生産性が有意に高く、精神的な疲労感や退屈感も少ない、ということが示されました。

つまり、ネットサーフィンは、何かしら個人的な別のことをして休憩時間を過ごしたり、全く休まずに働き続けるより、高いリフレッシュ効果がある、ということです。

適度にサボることを推奨した方が良い

別の様々な研究において、これまで行っていたこととは別の何かを行うと生産性が回復する、という結果が支持されています。

上述の研究は、これらの事実を支持するものと言えるでしょう。

とりあえず言えることは、仕事中にネットサーフィンを行うことは必ずしも悪いことではない、ということです。

むしろ本業に差し支えなければ、推奨する位の方がパフォーマンスを高く保つ可能性があります。

日本人は真面目が過ぎるきらいがありますので、適度にサボる、ということを覚えると良いでしょう。

カテゴリー
生産性・業務効率化

スタンディングデスクの効果は科学的に正しいのか?

最近は健康効果等々をうたい、スタンディングデスクが一部で流行しています。
効果としては、立っているが故に座りっぱなしよりカロリー消費が多い、集中力を維持できるといったものが語られています。
果たして、これらの効果は科学的に正しいのでしょうか?

カロリー消費効果は確かにある

デスクワークを行っている人にとって、長時間、席に座り仕事をし続けることは当たり前の風景です。

場合によっては、間に挟む休憩や会議の移動時間以外、座りっぱなしということもあるでしょう。

一部の研究では、1日に数時間座りっぱなしだと長期的な死亡リスクが大幅に増大する、という結果も示唆されています。

そのような背景もあり、スタンディングデスクが一部で流行しています。

そして、カロリー消費という観点で見ると、スタンディングデスクの効果は確かにあるようです。

こちらで紹介されている研究では、スタンディングデスクとカロリー消費との関係について調査がされました。

https://www.kqed.org/mindshift/38120/how-standing-desks-can-help-students-focus-in-the-classroom

数百名の学生に、スマートウォッチを装着してもらい、普通の座席、スタンディングデスク別にカロリー消費の傾向を測定しました。

その結果、スタンディングデスクを選択した肥満、もしくは肥満気味の学生に関しては、普段よりカロリー消費が多いことが示されました。
また、別に行われた調査で、長期的に集中力が維持される傾向も示されました。

認知力向上の効果もどうやらあるっぽい

上述の研究では、集中力の維持についても効果があることが示唆されましたが、こちらの研究では認知機能についても調査されています。

https://www.mdpi.com/1660-4601/13/1/59/htm

数十名の学生を対象にスタンディングデスクを使用してもらい、認知機能を測定するテストを受験してもらいました。

その結果、スタンディングデスクの使用により認知機能の向上がある、ということが示されました。

まだ研究途上であり言う程のものではないかもしれない

ただ、これらの研究にはまだまだ課題があります。

フィンランド労働衛生研究所で行われたメタ研究では、スタンディングデスクが健康に良いという証拠はないとしています。

https://www.cochrane.org/CD010912/OCCHEALTH_workplace-interventions-methods-reducing-time-spent-sitting-work

論文が指摘している点として、多くの研究が規模が対象が小さい、期間が短い、実験が無作為化されておらず統計的に問題がある、等の理由があげられ、それにより、効果があると言い切るには科学的に不十分としています。

実際、1番目に紹介した研究は、カロリー消費の増大効果は「肥満」の学生で見られており、通常の学生では顕著ではなかったこと、座る椅子は自由に選択できて実験の設計が十分にコントロールされていないといった点が指摘できます。
更に、スタンディングデスクにより増大するカロリー消費も、精々、間食で食べるお菓子をちょっと我慢すれば良いレベルのものです。

2番目の研究も、そもそも研究の前提が「予備的調査」であり、対象群の設計等が不十分であることは研究者も認めています。


スタンディングデスクの効果が全くない、とは思いませんが、現状では言う程の効果はないのではないか?と考えるのが自然のように思います。

少なくとも、スタンディングデスクという、通常のデスクより高額なものに投資する位であれば、日常生活に散歩程度でも良いので運動機会を増やす方が効果的であるように考えます。

運動不足はシンプルに身心に悪い、という原則に立ち返り、当たり前のことをするのが現時点では良いと言えるでしょう。

カテゴリー
生産性・業務効率化

パフォーマンスを高くしたいのであれば気が散る要素は排除した方が良い

パフォーマンスを高くしたい、という望みは多くの働く人共通のものでしょう。
その内の阻害要因の一つが「気が散る」というものです。
ここでは、気が散る要素を如何に排除することが重要か、示します。

スマートフォンはそこに存在するだけで人のパフォーマンスを下げる

スマートフォンが身近になり、小さな端末で情報入手やエンターテインメントを楽しむこと、そして世界中の人々とのコミュニケーションが容易に図れるようになりました。
生活の中で、常にスマートフォンが側にある、という人も珍しくないでしょう。

しかし、このスマートフォンは人のパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性について、知っておく必要があるかもしれません。

こちらの研究では、スマートフォンはそこに存在するだけで人のパフォーマンスを下げることを示しています。

https://www.journals.uchicago.edu/doi/abs/10.1086/691462

実験において数百人の被験者を対象に、集中力を要する課題を与える前提で、スマートフォンの存在がどれだけパフォーマンスに影響を与えるのか?が調査されました。

具体的には、被験者をグループ分けし、スマートフォンを机の上に置く、ポケットにしまう、バッグにしまう、別室に置く、シチュエーションを設定しました。

その結果、別室に置く > ポケットにしまう ≒ バッグにしまう > 机の上に置く、という順番でパフォーマンスが示されました。

また、追加の実験が行われ、スマートフォン依存に対する意識調査を実施し、同様の実験を行いました。

その結果、依存症であるという自覚が強い人ほど、パフォーマンスが低いことが示されました。

つまり、スマートフォンの存在が人の集中力を奪い、パフォーマンス低下を招いているのです。

気が散る要素がパフォーマンスを下げる可能性

こちらは別の研究です。

https://www.bmj.com/content/371/bmj.m4381

この研究では、数万人の外科医対象に約100万件の手術について、術後30日死亡率が調査されました。

患者は65歳~99歳の高齢者で緊急外科手術が対象です。

その結果、外科医の誕生日に行われた手術が約0.2%あり、その誕生日の30日以内の死亡率が約7.0%であったのに対し、全体平均では5.6%であることが示されました。

つまり、外科医の誕生日は、手術のパフォーマンスが明確に低下するのです。

これは外科医のライフイベントという、仕事とは関係のしない要素に気がとられてしまった可能性が示唆されます。

オープンオフィスはパフォーマンスを下げる

別の記事で、オープンオフィスが如何に従業員の生産性に影響を与えるのかネガティブな影響について示してきました。

オープンオフィスが従業員のパフォーマンスを下げる要因は端的に言って「気が散る」からです。

そのため、パフォーマンスだけにフォーカスした場合に、最も良いオフィス形態は「十分な広さがある個室」であることが示唆されています。


以上の通り、「気が散る」環境は、人のパフォーマンスに多大なる悪影響を与えます。

パフォーマンス高くしたいのであれば、スマートフォンの利用を制限したり(例えば通話のようなコミュニケーションツール以外、使えないような設定にする等)、騒音や過剰な光が無いような環境を構築する必要があります。

人の顔があると、それに気がとられるという研究もあるので、例えばどこかのアイドルのポスターや、その類の装飾品等も良くないと考えられます。

ずっと集中し続けることは土台無理な話なので、オンオフをスパッと切り替えるようなイメージで、パフォーマンスを高くしたい時には「気が散る」要素を徹底排除することが重要でしょう。

カテゴリー
生産性・業務効率化

【生産性向上】休憩中は大体のことは何でもしていて良い

休憩中、ゲームをしている人、動画を見ている人、本を読んでいる人。
様々に自由な時間を過ごしているでしょうが、そのような別の何かを行っていると、果たしてそれは休憩になるのでしょうか?答えは「休憩になる」です。
今回は、様々な休憩のとり方が生産性に与える影響について見ていきます。

様々な休憩がタスク遂行上の生産性に与える影響

複数大学の研究チームが、鉄道のオペレーターを模して、様々な休憩がタスク遂行上の生産性に与える影響について実験を行いました。

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/acp.3334

実験は、87名の大学生に対して、休憩を取らせない、ゲームをする、何もせず座る、音楽を聴く、動画を見る、というような様々な休憩のとり方でグループ分けをし、鉄道を制御するオペレーターを模したシミュレーションタスクを行わせました。
20分間のタスク遂行の間で、休憩が5分間、挟まれました。

この結果、どのような休憩のとり方であれ、休憩を取らないよりも高い生産性を出すことが示されました。

ゲームをする、というような一見休憩にならないようなことでも、タスクから離れることにより、パフォーマンスを高く保つことができるということです(パフォーマンスの低下を抑制できる、という方が正しいか)。

「異なる刺激」に休憩の効果があるようだ

別の研究では、「異なるタスクを行うだけでも休憩になる」「40秒間、緑を眺めるだけでも休憩になる」ということが示されています。

これらの知見を踏まえると、「異なる刺激」を脳に与えることが、休憩の効果を示す、と言えます。

忙しい現代人ですが、タスクを切り替えていく、異なる種類の仕事を挟んでいく、というようなアクションを取ることで、高い生産性を維持できると考えられます。

なるべく早く、しっかりと休むことも忘れない様に

なお、なるべく早く、しっかりと休むことも忘れない様にすることが重要と考えられます。

こちらの記事では、休憩はなるべく早く、できれば午前中に取る方が望ましい、ということを書いています。
理由としては、蓄積された疲労は、ちょっとやそっとの休憩では簡単に癒せないから、です。

1時間弱の仕事 ⇒ 短い時間で完了できる別のタスク ⇒ 1時間弱の仕事 ⇒ 午前休憩 ⇒ 1時間弱の仕事 ⇒ 短い時間で完了できる別のタスク ⇒ 午後休憩 ⇒ 残りの仕事。

このような形で1日のスケジュールを組めると良いのではないでしょうか。

カテゴリー
生産性・業務効率化

【生産性向上】異なるタスクを行うだけでも休憩になる

40秒間、緑を眺めるだけでも休憩効果がある、という研究があります。
朗報ではあるのですが、ぼーっとしている姿そのものがNGな職場もあるでしょう。
そういった会社での短い休憩に関して、別のアプローチがあります。
それは異なるタスクを行うこと、です。

異なるタスクを行うと集中力が回復する

こちらの記事で、40秒間、緑を眺めすだけでも一定の休憩効果がある、という内容のことを書きました。

推測の中で、異なるタスクを行うだけでも一定の休憩効果があるのでは?とも書きましたが、この点に関する研究もなされています。

イリノイ大学の研究チームは、短時間の極短い“精神的な”休憩が集中力の低下を防ぐ(回復を行う)効果があることを示しています。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21211793/

人の集中力は、ある一つのフォーカスすべき課題に対して、長時間にわたってその集中力を維持できないという認知システムになっています。

研究では、タスク(フォーカスすべき課題)の切り替えを行うことにより、集中力の低下を防げるのではないか?という仮説の元、事件が行われました。
タスクの内容は、数字を記憶してもらい、そのまま視覚的に集中力を要する課題を遂行する、というものです。

実験では、課題の遂行が長時間に渡ると集中力が低下することを示していますが、同時に、課題の合間に数字を思い出すように指示を与えると(フォーカスすべき課題の切り替えを行うと)、集中力の低下を防げることがわかったのです。

つまり、異なるタスクを行うと集中力が回復する、一定の休憩効果がある、ということです。

(刺激的で楽しい仕事でも、長く続けているとだらけるでしょ?という話のようです。)

スケジュール設定においてこれは重要ではないか?

プログラミング・エンジニアや、クリエイティブ系職種の方が「作業日」というような形で、終日、もしくはまとまった時間、作業に集中する日を設ける場合をよく見かけますが、もしかしたらこれは良いことではない可能性があります。

(諸説ありますが)人間の集中力は45分程度だ、という話をよく聞きます。

この前提に立つと、45分程度の作業の後、別のタスクを挟んでいく方が集中力維持の観点では望ましいかもしれません。

集中力に関するいくつかの知見も踏まえると、定期的に短い休憩を挟む、定期的に異なるタスクも挟む、疲れ切らない内に休憩を入れる。
そういったことが重要なようです。

カテゴリー
生産性・業務効率化

適度な騒音はパフォーマンスをあげるのか?さげるのか?

仕事をする上において、基本的には静かであることが求められます。
一方で、適度な騒音があること、例えばホワイトノイズはパフォーマンス向上効果がある、という説もあります。
果たして、適度な騒音はパフォーマンスをあげるのでしょうか?それともさげるのでしょうか?

子どもを対象にした実験

ストックホルム大学にて、子どもを対象に、ホワイトノイズがパフォーマンスをあげるのか、それともさげるのか、研究が行われました。

https://behavioralandbrainfunctions.biomedcentral.com/articles/10.1186/1744-9081-6-55

実験では次のようなことが行われました。

  • 11~12歳の生徒51名(男子25名、女子26名)が対象となった
  • 生徒には、7段階の“注意力”の評価が行われ、6と7の評価対象生徒は“不注意グループ”とされた
  • “不注意グループ”にはADHDの診断を受けた者はおらず、薬による治療を受けた者もいなかった
  • 2×2デザイン(騒音レベル:低い高い)(グループ間変数は不注意レベル:普通不注意)を使用
  • 51人の学生が、2つの騒音条件下でエピソードに基づく言葉の自由想起テストを行った
  • 高騒音条件では、聴覚的背景雑音(ホワイトノイズ、78 dB)の中で動詞-名詞文を提示し、低騒音条件では、雑音なしで文を提示した

この結果、騒音の影響は、不注意グループの子どもの成績を向上させ、普通グループの子どもの成績を悪化させることとなりました。
(騒音が不注意グループと普通グループのエピソード記憶のスコア差を解消させた。)

騒音と注意力を変数とする記憶力の違い(普通N = 41,不注意:N = 10)

つまり、適度な騒音は、注意力に欠ける人にとってはパフォーマンス向上につながるものになる可能性がある、ということです。

“適度”の加減は人により違いがある?

研究のバックグラウンドとして得られていた知見としては、次のようなものもあるようです。

こちらのグラフは、縦軸が認知機能テストのパフォーマンスで、横軸が騒音レベルで、一般的には騒音レベルが低すぎる場合と高すぎる場合にパフォーマンスが減衰する傾向があるようです。
また、不注意な子ども(成績の悪い子どもも)は、普通の子ども(成績の良い子どもも)に比べて、パフォーマンスが最適化されるためには、より高いレベルの騒音が必要とのこと。

つまり現状では、何が一番良いのかが判断つかない状況と言えそうです。

個人レベルで、自分にとって最適と思われる静粛さ(騒音の加減)を探っていくのがよさそうです。

カテゴリー
生産性・業務効率化

仕事中の“横やり”は本当に効率を下げるのか?

仕事中に、いわゆる“横やり”が入ると、集中力が途切れてしまい、効率を下げると言われています。
特にエンジニアやクリエイティブ業の方を中心に嫌われる、この“横やり”ですが、本当に効率を下げるのでしょうか?
明確な答えが無い問いですが、一つ示唆となる研究がありました。
どうやらケースバイケースのようです。

“横やり”による仕事の中断がストレスに与える影響

興味深い研究があります。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0306453020302596?via%3Dihub

研究の内容は次のようなものです。

  • 90人の参加者を対象とした
  • 保険会社勤務を想定し、実際のオフィス環境に似せた実験場を作った
  • 参加者には、紙の書類のデジタル化、販売数計算、アポイントメント等、様々な事務作業に従事
  • 実験では、標準となる業務に加え、追加のタスクを行う実験グループを用意
  • コントロールグループには、簡単な追加タスクを課し
  • 実験群には、面接の準備を行った上で、昇進に関わる面接を受けることが課された
  • この内、実験群は2つに分けられた
  • 実験群①は、定期的なアンケートと唾液の採取による“横やり”(業務の中断)が入った
  • 実験群②は、チャットメッセージにより、仕事の状況について即座に要約し共有するような“横やり”(業務の中断)が入った

この実験を通じて、ストレスレベルの測定が行われました。
結果は次のとおりです。
(ストレスレベルが大きい順に並べている。)

実験群① > 実験群② > コントロール

意外にも、“横やり”の度合いが大きい実験群②のストレスレベルが、相対的に“横やり”の度合いが小さい実験群①より低かったという結果が出たのです。

(より正確に言うと、ストレスホルモンと言われる「コルチゾール」の分泌量は、実験群②の方が実験群①より約2倍大きく出た一方、アンケート結果では逆転しており、ストレスを感じていないと評価されていた。)

“横やり”がストレスを増やすことには変わりないが。。。

上述の実験結果に対し研究者の考察は次のようなものです。

1つが、コミュニケーションを人と取る事により、仕事に対する確信やコントロール感が高まったのではないか、というもの。

もう1つが、“横やり”が却ってその後に来るストレス(面接)に対して集中をそらす効果があったのではないか、というものです。

つまり、“横やり”がストレスを増やすことには変わりは無いけれど、認知の仕方によっては、相対的にストレスを感じない、もしくは軽減させることはできるかもしれない、ということです。


これらの結果や考察から現実のビジネスに使える知見は何でしょうか?

繰り返しになりますが、“横やり”がストレスを増やすことには変わりはないのですが、コントロールすることはできそうです。

何かしらプレッシャーが大きいタスクが控えている状況で、何かしらの“横やり”が避けられないのでされば、自分自身に対する肯定感を高めるような、もしくはその後に控えているタスクを忘れさせるような“横やり”を意図的に組み込むのは有りかもしれません。

カテゴリー
生産性・業務効率化

最も効果的な午後の集中力を上げる方法

午後は、ランチも食べて満足なのですが、眠くて仕方がありませんね。
眠気は集中力を妨げる大きな要因です。
眠い、となってしまったら気合と根性でどうにかなる世界でもありません。
この眠気を防ぎ、午後の集中力を上げる方法について見ていきます。

忙しい人向けまとめ

  • ランチは13時~14時の間にとる:貴重な時間の確保のため
  • ランチでは炭水化物を食べない:血糖値の低下により眠くなる
  • ランチ後、コーヒーを飲む:カフェインの眠気防止効果は劇的
  • コーヒーを飲んだら、15分の仮眠をとる:仮眠は効果的

午後の眠気が集中力を上げる妨げになっている

人にはリズムがあります。

こちらのグラフを見て下さい。
これは、人の24時間の内の眠気の強さを示したものです。

こちらにある通り、午後の時間帯、特に13時から16時の間、人の眠気は強くなります。
実際、世界中の多くの研究で、この時間帯に作業ミスが多いこと、交通事故が多いこと、などが示されています。

つまり、午後の時間帯は、生理的にどうしても眠気を感じてしまう、これにより集中力が下がってしまうのです。

それでは具体的にどのように対処をしていけば良いでしょうか?

ランチは13時~14時の間にとる

まず最初にすべきは、ランチの時間をずらすことです。

理由は、貴重な時間の確保にあります。

こちらのグラフを見て下さい。

このグラフの通り、世の中のほとんどの人が12時から13時の間にランチをとります。
つまり、この時間帯は混みあうのです。

入りたいお店に入り辛い、入れても食事が出てくるまで時間がかかる、コンビニで調達しようにもレジが並んでいる。
12時から13時は、混みあうので、この時間帯にランチをとるのは時間の無駄です。

シフト勤務などでどうしても、この時間帯でしかランチに行けないのであれば致し方ないですが、自分自身で時間をコントロールできるのであれば、この時間帯は避けましょう(仕事を変えた方が良いとは思いますが)。
ランチは12時に、というのはどこかの誰かが勝手に決めた、ただの固定概念なので、きれいさっぱり捨て去りましょう。

これだけで、この後にすべきことの時間確保ができます。

ランチでは炭水化物を食べない

次に考えることは食べる内容です。

結論、ランチでは炭水化物は避けて下さい。

炭水化物は、お米、麺類、パンなどに多く含まれています。
丼ものやラーメン、パスタ、サンドイッチ、総菜パンなど、これらのメニューはランチでは食べないようにしましょう。

理由は血糖値の急激な上昇と、その後の急激な減少を抑えるためです。

こちらのグラフを見て下さい。
これは、人が炭水化物を多く含む食事をとった際の血糖値の動きを示したものです。

この食事後の急激な血糖値の低下は、脳の活動に使うエネルギーの一時的な低下も招くため、激しい眠気につながります。
食事後30分から2時間ほどの間、血糖値が安定せず、集中力が低下した状態が続くのです。

これと、ヒトのサイクルが被るため、二重で集中力を低下させていきます。
逆に言うと、炭水化物をとらなければ、集中力を低下させる要因を一つ取り除けるのです。
(ダイエット、つまり減量にも良いので、二重でお得です。)

これは、集中力を阻害させる要因を一つ取り除く方法ですが、次の2つは集中力を向上させる方法です。

ランチ後、コーヒーを飲む

コーヒーは眠気に効果的なのは、よく知られた事実ですね。

実際にコーヒーは、眠気の抑制に劇的な効果があります。

こちらのグラフを見て下さい。
これは、20時間起き続けた後にカフェインを摂取し、その後の業務遂行能力がどのように変化するのかを示した図です。

この通り、カフェイン摂取後、集中力(作業改善)について、1時間以内に効果が出始め、その後2時間程度は効果が継続します。

人のサイクルと食事後の血糖値変化の影響に、ちょうど被らせる形になるので、ランチ後にコーヒーを飲むのは、クリティカルにプラスになります。

コーヒーを飲んだら、15分の仮眠をとる

次が仮眠です。

眠いなら、眠ればいいじゃない、というシンプルな脳筋的発想ですね。

実際、仮眠は眠気の改善に劇的な効果を発揮します。

多くの実験により、15分~30分程度の短時間の睡眠により、眠気の改善と作業効率の維持(低下の防止)につながることが示されています。

これは短くても、また長すぎてもよくないことがわかっています。
(中途半端に昼寝をして、午後、ずっと頭がボーっとした経験がある方は多いでしょう。)

繰り返しますが、15分~30分程度の仮眠です。

お昼ご飯を食べて、コーヒーを飲んだ後、耳栓をして、アイマスクをつけて、15分仮眠するのです。

30分以内に食事を終える、その後15分仮眠とる、とするならば最低でも15分を確保でき、その時間を有意義に使えることも指摘できます。
これが、お昼の時間をずらす効能です。
朝の内にお昼ご飯を用意してしまって、買いに行ったり食べに行く時間を節約するのも手です。

これで、午後の時間を有意義に使えるでしょう。

まとめ

以上、

  • ランチは13時~14時の間にとる:貴重な時間の確保のため
  • ランチでは炭水化物を食べない:血糖値の低下により眠くなる
  • ランチ後、コーヒーを飲む:カフェインの眠気防止効果は劇的
  • コーヒーを飲んだら、15分の仮眠をとる:仮眠は効果的

これらを全て行えば、午後の眠気による集中力の低下を、劇的に改善することができます。

しかも、難しくなく、簡単にできることです。

お昼の時間は自由に使いたい、意識が高い方ならば勉強したい、と思うかもしれません。
しかし、午後の時間を非効率的に消耗させてしまうならば、素直に休憩にあてた方が良いです。

お昼くらい、外に散歩に行きたいんだ、外に食べに行きたいんだ、という人もいるかもしれません。
別にそれは構いませんが、基本的には時間や集中力(眠気)とのトレードオフなので、何を取り、何を捨てるのかは、よく考えた方が良いでしょう。

なお、職場で昼寝をするのを良しとしない会社もあります。
どう考えたって非合理的ですので、そのような会社だったのならば、早々に転職先を探しましょう。
時間を効率的に使いましょう、という話をしている中で、在籍していること自体が無駄な会社に勤め続ける理由は無いです。
さっさと見切りをつけて、もっと条件の良い所にうつりましょう。

カテゴリー
生産性・業務効率化

集中力を鍛えることに対する一つの意見~タイガーウッズを参考に~

忙しい現代社会において「集中力」は多くの人の関心のまとです。
Webで「集中力」と検索をすると、「集中力を高める」であったり「集中力を鍛える」というワードがサジェストされてきます。
書店にいけば、DAIGO氏による「自分を操る超集中力」というタイトルの本をはじめ、各種「集中力」に関する本が並んでいます。
ここでは、この「集中力を鍛える」というテーマに関して、一つの意見、切り口を解説していきます。

集中力は常に忙しいひとたちの関心の対象

仕事でも勉強でも、頑張る人にとって欲しいものに「集中力」があげられるでしょう。

「集中力」については多くの人が言及していて、例えば、「目標を設定する」であったり、「あえて難しい仕事に取り組む」であったり、「締め切りを設けることにより自分を追い込む」ことにより集中力を高めている人もいます。
そして、多くの場合にあげられる集中力を高める方法として出てくるのが「気が散らない環境を作る」ことです。

気が散らない環境とは例えば、スマートフォンの電源を切る、騒音が少ない環境で仕事をする(耳栓やイヤホンをするも含む)、布団を片付けたり家からソファのようなくつろげるものを排除したりする、などの方法です。
これは一定、科学的に合理的であると言えます。

こちらの記事でも書きましたが、オープンなオフィス環境は、気が散る要素が増え、他人からの邪魔も入りやすくなるため、生産性が明らかに低下することが示されています。
気が散る要素を削ることは、科学的には正しい集中力を高める方法なのです。

ここでは、この集中力に関して、すぐには効果がない、おそらく多くの人にとっては役に立たないであろうことを、あえて書いていきます。

私の過去の環境

私が一番長く勤めた会社は、ありていに言って「従業員自身の努力や貢献」に強く依存していた会社でした。
また、社会活動や環境貢献にも強い関心をもっており、コストを削減した分は、第一にお客様に還元すべきであり、加えて、社会活動や環境貢献のような領域にまわそうとするポリシーも持っていました。
これに関しては、良い悪いの話ではなく、こういう会社だった、というだけの話です。

では、具体的にどのようなオフィス環境だったか、というと、まず机が狭かったです。
どれくらいの狭さだったかというと、隣の人と満席のカフェの距離感、というとイメージがしやすいかもしれません。
当然、書類仕事には向いていない環境でした。

水光熱費に対する意識も高かったので、夏は暑く、冬は寒い、夜は暗い環境でした。
生産性、クリエイティビティ、という意味において、だいぶ厳しいというのが率直な感想です。

これらは、会社の方針であり、基本的に異を唱えることができません。
自分の力で変えることのできない、アンコントローラブルな領域でした。

その環境下において、どうやって私が集中力や生産性を高めていったのか?を改めて考えたときに、あるストーリーを思い出しました。
タイガーウッズと、タイガーウッズの父親の話です。

なお、当該会社の話を聞くと、あまり良くないイメージを持たれてしまうかもしれませんが、私はその会社のことが好きで、結局8年ほども勤めてしまいました。
ですので、繰り返しますが、良い悪いの話ではない点は留意ください。

タイガーウッズは如何に集中力を身につけたのか?

タイガーウッズは、誰しもが知っている一流のゴルフプレイヤーです。
当然、彼も人ですので浮き沈みがあることも誰しもが知っているでしょう。
それでも、非常に高い集中力をもっている人であることは確かです。

このタイガーウッズと、タイガーウッズの父親について、有名な逸話があります。

「タイガー・ウッズの父親は、タイガーの練習中、わざと大きな気が散る音を立てたり、視界に入って邪魔をした。それでタイガーは強靭な集中力とメンタルを身に着けた。」というものです。

プレイ環境は一定でなく、一緒にまわる競争相手のプレイヤーや観客も必ずしもマナーの良い人たちばかりではないでしょう。
外部環境に関して、実際の試合の場面では、アンコントローラブルな領域は多いのです。
そのため、タイガー・ウッズの父親は、あえて邪魔をし、気を乱すことに対する耐性を身に着けさせた、ということです。

この話を、上で書いた会社にいた時に読んで、「環境を変えられないのであれば、自分が変わるしかない」と思いました。
最初は「ぶっちゃけ理不尽だな、、、」とは思っていたのが正直な所ですが、意識し続けると慣れてしまうのも人間の性質です。
半年もすれば、外部環境、特に騒音や横やりによって自分自身の集中力が乱されることがほとんどなくなっていたのです。

まとめ

今この記事を書いているのは自宅のオフィスです。
子どもは小学生と未就学児の2人がおり、まあまあやかましく、一般的にはあまり仕事に集中できる環境ではないと思います。
が、これで私の集中力が乱されることはありません。
長い期間、集中力という観点において、厳しい環境に身をおいてきた結果として、外部に影響されない集中力が鍛えられていったのです。

「すぐには効果がない、おそらく多くの人にとっては役に立たないであろうこと」と書いたのは、結局のところ、入り口が精神論であり、一朝一夕で身につく類のものではないからです。
科学的にも立証されておらず、あくまでも「経験則」にすぎません。
そのため、人に強くすすめることもしません。
ですが、自分自身の体験と実感値から、これは効果があると考えているのも確かです。

「集中力」に対して悩み、鍛えたいと考えている人は、参考にしてみてください。
半年もすれば慣れるはずです。

モバイルバージョンを終了