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統計・経済

なぜ、選挙で開票率が0%なのに当確が出るのか?

選挙で開票率が0%、もしくは開票がはじまって間もないのに当確が出る理由は、統計的なデータを元に当確を算出しているためです。
各局は、出口調査により、選挙が終わり投票所から出てきた人に無作為でアンケートを取り、何人がどの候補者に投票を行ったのか?のデータのサンプルを収集します。
このサンプルを元に計算が行われ、その精度は多くの人が考えるものより高いものになります。

お味噌汁のたとえ~一口味見をすれば当確がわかる~

なぜ、選挙で開票率が0%なのに当確が出るのか?をわかりやすく説明するために、よく使わられる例えに「お味噌汁の味見」の話があります。

数学者の秋山仁先生に「開票5%で当確がでるのがおかしい」といったところ、秋山先生が「それが統計学ですよ。少ないサンプルで全体を見る。これが統計学です」とおっしゃる。
「でも先生、そんなこといっても5 %ですよ」
「じゃああなたね、大きな鍋一杯にみそ汁作って、味見するとき、どんぶりばち一杯に入れてぐーって全部飲む?」
「・・・小皿ですよね。」
「それが5 %よ。」

立川志の輔さんの落語のマクラということなのですが、ようは、一すくいの味噌汁からなべ全体の味が予想できるように、無作為に取り出したデータがあれば、すのサンプル数が全体のほんの一部でも、全体の姿を予測することができる、ということです。

実際には、地域ごとに強い政党の色があることや、支持組織の存在がある故に単純に出口調査をすれば良い、というものではないのですが、大枠の理論としてはこの考えが「なぜ、選挙で開票率が0%なのに当確が出るのか?」への答えになります。

選挙で開票率0%の状況で当確を算出するのに必要なデータ数

必要なサンプル数の考え方の詳細はこちらの記事で解説をしています。

数時感としては次の図表のようになります(白いエリアが必要なサンプル数)。

許容誤差5%、信頼度95%で設定するならば、約400のサンプルがあれば統計的には事足りることがわかります。

用語の意味は次の通りです。

許容誤差:母集団からどの位のズレがあるのかの可能性を示す指標

例えば、許容誤差5%の設定で、ある事象への好感度が70%だとした場合、その「ある事象への好感度」は「65%~75%」ということになります。
ようは、アンケートからえられた結果が「どれだけ実態からかけ離れているか」を示します。
アンケートの目的にもよるのですが、通常は許容誤差5%が設定されます。

信頼度:えられたサンプルが、どれくらいの確率で許容誤差内の結果におさまるのかを示す指標
例えば、信頼度95%の設定で、回答者数が100人、上記の許容誤差5%、ある事象への好感度が70%の場合、「100人中95人」は「ある事象への好感度が65%~75%」ということになります。
アンケートの目的にもよるのですが、通常は信頼度95%が設定されます。
なお、信頼度は許容誤差以上に、必要なサンプル数に与える影響度(感度)が大きいので、無理に高めようとする場合には、よく検討が必要です。


統計を親しんでいる人にすれば当たり前の話なのですが、多くの人にとって見ればわかりにくい考えでしょう。

お味噌汁のたとえなら、感覚的にこの統計の話が理解できるはずです。

なお、味噌が固まっていて十分に混ざっていない場合はどう考えるの?という話が、正に統計のだいご味で、「よくかき混ぜる」ステップが必要です。
一定の誤差も考慮した上で無作為にサンプルを抽出する、という部分ですね。

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統計・経済

高年収の人は歩くスピードが速いという話~年収と相関がある統計諸々~

年収が高い人ほど、歩行速度が速く、早歩きの割合が高い、という統計があります。
背景として、高年収の人は時間を大切にする、表現を変えるとせっかちである割合が高く、そのような結果になるのであろうとされています。

今回は年収と相関がある統計について、いくつか紹介をしていきます。

高年収の人は歩くスピードが速い

ドコモ・ヘルスケア株式会社がウェアラブル活動量計により収集した統計データにより、年収が高い人ほど、歩行速度が速く、早歩きの割合が高い、ということが示されました。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000022.000016519.html

対象は19歳から77歳の男女で総計1,229人の統計データとなります。
調査では、ウェアラブル活動量計のデータと、アンケート調査を元に分析がなされました。

ドコモ・ヘルスケア株式会社「年収が高い人ほど歩くスピードが速く、せっかちであることが判明!?」より

年収1,000万円以上の人の平均歩行速度は3.13Km/hであり、日本人平均の400万円以上500万円未満の2.69Km/hに比べると、約16%も歩くスピードが速いことがわかります。

早歩きをすれば年収があがる、という因果関係の話ではありませんが、高年収の人が如何に時間を気にしているのか、示唆されます。
(調査では、「年収が高い人ほど、せっかちな傾向が!?」としています。)

高年収の人は朝食を大事にする傾向がある

もう一つの調査はスムージーのメーカーによる、若干のポジショントークが入ったものになりますが、一定納得があるものです。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000026950.html

調査では、20代から50代の男女総計500人を対象に、年収と朝起きる時間、食事に対する意識等について調査がされました。

株式会社アントレックス「年収800万円以上の人の7割は朝の時間に余裕がある!」より

その結果、年収が高い人ほど、朝は早めに起きる傾向があること、また朝ごはんを一番大事にする傾向があること、がわかりました。

朝食は一日の活力の源であり、一定納得が行く話です。
(もちろん、そもそも活力があるから朝を早く起きれて朝ごはんを食べられるだけの余裕があるのじゃないか、という見解もあり得ます。「やる気」が一定程度、遺伝子に左右されるという示唆も別の学術的研究であり、その時点からして差が出てしまっている、という可能性は考えられます。)

高年収の人は読書量が多い。

こちらは有名な話です。

https://gentosha-go.com/articles/-/34844

読書量と年収には相関関係があり、富裕層と年収300万円以下の人では次の図の通り、とてつもないまでの開きがあります。

こちらも上述の「やる気」問題が関係している可能性があるにはあるのですが、努力と「成功」には関係性があることが示唆されます。
(高年収であることが必ずしも成功であるとは限らないので、鍵括弧「」で成功という言葉を括っている。)

筆者は次のように主張しています。

時間がないから読書ができないのではなくて、「読書をしないから時間がない」のです。「時間がないから読書ができない」というセリフは、絶対に言ってはいけないことだと思っています。

疑似相関には注意

この種の話を見る時は、必ず疑似相関には注意を払う必要があります。

例えば、年収と体重の関係です。

リンク先のブログ記事では、年収と体重の関係について、疑似相関であることを紹介しています。
歳を取ればとるほど、活動的ではなくなりますし、代謝も落ちるので、必然的に体重が増えやすいと。
一方で、歳を取ればとるほど、年収は高くなる傾向が当然にあります。

THE STRETCH.「トレーナーが知っておきたい相関関係と因果関係の話」より

このような関係を疑似相関であるとして、筆者は注意を促しています。

他にも、年収とワクチン接種の意欲の関係や、年収と語学力の関係も一定の疑いがあります。

JIJI.com「性別や預貯金額も関係? ワクチン接種の意欲調査―経産研究所」より
ITmediaビジネス「やっぱり英語ができる人は、年収が高い?」より

つまり、歳が高いほど新型コロナウイルス感染症の脅威度が高く、積極的にワクチンを接種する動機が生まれます。
そして、繰り返しになりますが、歳が高いほど、年収は当然に高くなる傾向があります。

語学力は一見、グローバルに活躍ができるから、高い年収の仕事につきやすくなる、という風に見える可能性はあります。
しかし、語学力と学歴には一定の相関があることを考えると、この話はシンプルに学歴と年収の、周知の話なのでは無いか?と考えることもできます。

改めて、相関があるからといって、因果関係があるとは限らない、という点は意識したいものです。

分布についても意識したい

もう一つ注意点が。

この種の話をした時に、必ず「私、歩く速度速いけれど年収低いよ。」とか、「俺の知り合いで、全然本読まないで遊び歩いているけれど高年収な人がいるよ。」というような事を仰る方が出てきます。

「そういうとこだぞ」と言いたくなりますが、それはともかくとして、とりあえず、分布というものを意識してもらいたいな、と思います。

いちばんやさしい、医療統計「正規分布とは?わかりやすく標準偏差との関係もガウス分布に関して解説」より

統計データというものは、必ず、このような観測データと生じる確率にバラつきが出て、そのデータ全体の中で平均というものが計算されます。
上述のようなツッコみをされても、まぁ、そういう人もいるだろうね、としか言えないのです。

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統計・経済

小売ビジネスの統計(2020年8月)

2020年8月の小売系ビジネスにおける統計データのリンク一覧です。

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統計・経済

百貨店販売額統計(2020年8月)

経産省「商業動態統計」の8月分が更新されています。
数字のアップデート分を開設していきます。

出典元はこちらです。

前回分は↓です。

業績推移

販売額全体としては、緊急事態宣言あけ後、回復を示していましたが、直近8月は再度大きく落ち込みを見せました。
第2波の影響もあるのでしょう。

商品種別では、衣料品類の回復が著しく、食料品、その他のジャンルがそれに続きます。

前年比ベースで見ると、ほぼほぼどのジャンルも同じような傾向の動きを示していますが、食料品は地域のスーパー代わりに利用されている方もいる影響下、落ち込み幅は他のジャンルよりも小さいです。

なお、景気の悪化は、コロナ影響もそうなのですが、「元々」ではありました。

コロナ前から指数ベースで100を割る状態が続いており、そもそもとして構造を改革をする必要性が各所で言われています。

こちらは参考ですが、その他の内訳です。

こちらは地域別の数字。

ほぼ全てのエリアで同様の動きなのですが、唯一、四国のみ回復が早いように見えます。

本当に回復をしているのなら幸いなのですが、これは元々の数字が小さいから来る、ブレ幅の大きさが影響しているものと考えられます。

今後、百貨店(デパート)はどうあるべきか?

率直に言って、今の時代、百貨店(デパート)という業態は「オワコン」です。

インターネットで膨大な数の商品を検索できて、またレビューブログやYouTubeをはじめとする動画があふれている、現在。
わざわざ百貨店に行って、販売員の説明を聞き、限られた商品の中から、インターネットより高い価格で買う理由。

それが、今の特に若い方たちにありません。

中年層以上の、インターネットで商品を買う事、特に衣料品類を買う事に躊躇する世代で、かつ一定の所得や資産がある層が利用しているにすぎません。
若い方の取り込みにもやっきになっていますが、そもそも消費額が小さいので、焼け石に水です。
加えて、格差の広がり、二極化も進んでいます。

そんな状況下、前年比も販売指数も100を下回る状況が続いている業界です。

https://toyokeizai.net/articles/-/340439

こちらの記事では次の3点が必要であると指摘しています。

  • 「今一度お客様を見る・知る」マーケティング(MK)の見直し
  • 「利益確保に必要な消化からの脱却」マーチャンダイジング(MD)の変革
  • 「お客様へのお伝えの方法」プロモーション(PM)の再構築

なお、この3点は、ビジネスにおける基本中の基本と言えます。

これが長年できず、ピーク時の3分の2まで市場を縮小させている、という状況を鑑みるに、資本レベルから入れ替えないと構造を改革できない、と考えます。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200609/k10012464381000.html
同上NHK記事より

百貨店においても、今の時代に対応した動きを模索しているようですが、周回遅れも良い所です。
労働集約性が高い取り組みも多く、どこまで成果が出るか不透明です。

百貨店という業態自体は伝統もありますし、都市圏の象徴でもあるので、再興していただきたくはありますが、根本、ベースのベースから見直す必要があでしょう。

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20201002-OYT1T50143/

マルイも池袋、静岡を閉店する、という報が出ていました。

この動きは今後も加速するものと考えられます。

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統計・経済

ホームセンター 販売額統計(2020年8月)

経産省「商業動態統計」の8月分が更新されています。
数字のアップデートと、業界動向について、解説していきます。

出典元はこちらです。

前回分は↓です。

業績推移

ホームセンター業界の景気は、コロナ環境下において、変わらず追い風の状態で、2020年5月から4ヶ月連続で前年比+10%を超える水準が続いています。

商品種別で見てみると、外出自粛により数字が大きく伸びていた園芸・エクステリアが落ち込みを見せ始めました。
まぁ、気温が熱くなるとそうなりますよね。
DIY類も微減しています。

家庭用品・日用品は相変わらず高い水準が続いています。
これはホームセンター業界における家庭用品・日用品の数字が伸びているのと同じ構造でしょう。
(品薄感や利用機会を低くしていた状況から、改めての買い溜め、年末の再度の品薄への備え。)

また、ここ8月に来て、カー用品・アウトドアも回復しはじめました。
これまで我慢していた層が購買行動に出たのでしょう。
例年より短いにせよ、夏休みの時期でもありますしね。

前年比ベースで見ると、園芸・エクステリア、カー用品・アウトドアが増加している事がわかります。

一方、オフィス・カルチャーが減少。
リモートワーク対応が一巡し、消費が落ち込んだものと推測されます。

地域別では、ほぼ全ての都道府県で大きく前年比が高い状態が続いていますが、東京だけは例外です。

東京は8月に入り、マイナスに転落しています。
居住環境の問題や、リモートワーク対応の一巡などが影響しているものと考えられます。

何はともあれ、コロナ環境はホームセンター業界にとっては追い風です。
好景気環境が続くので、このチャンスを如何に物にするか、が勝負の分かれ目と言えるでしょう。

消費者動向

さて、消費者の動向です。

他の業種では、購入頻度が大きく落ち、その代わりに1回あたりの購入量や額が増える、という動向変化がありました。

一方、ホームセンターにおいては異なり、祝休日のタイミングで大きく人が集まる、という現象が起きています。
ホームセンターは、店舗の作り自体が広く、多少人が集まっても密になりにくい、という点も不安感の緩和につながっているのかもしれません。
(ベビー用品の西松屋と同じイメージ。)

もしかしたら、ニューノーマル時代は、「店舗の空間にゆとりをもたせる」という事がプラスに働くトレンドになるかもしれません。

業界動向

ホームセンター業界ですが、再編の動きが活発になりつつあります。

先々月にはアークランドとLIXILビバが統合される、という報道が流れ、業界の順位構造に大きな変化が起きました。

また、近々では、DCMと島忠が統合する、という報道も出ています。

業界2位のDCMが、これにより第1位にのぼる形になるので、業界の競争の激しさを伺わせます。

なお、ECにおいてはカインズ1強という状況です。

カインズはベイシア傘下のホームセンターであり、ブランドは分けている物の、グループとしてEC戦略を推進している、という点が結果に出ているのかもしれません。

繰り返しますが、コロナ環境はホームセンター業界にとっては追い風です。

ホームセンター業界はここ数年、市場規模も店舗数も大きな変化が無く、停滞した業界でした。

今、激変とも言うべき動きが起きています。

この追い風状況こそ、再編統合により効率化・スリム化を図り、経営体質の強化につなげられるか?が将来の競争力に大きな影響を及ぼすように思います。

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統計・経済

ドラッグストア 販売額統計(2020年8月)

経産省「商業動態統計」の8月分が更新されています。
数字のアップデートと、消費者動向について、解説していきます。

出典元はこちらです。

前回分は↓です。

業績推移

ドラッグストア業界は、コロナ前から前年比を大きく上回る水準で推移をしておりました。
コロナ特需が一定落ち着いたであろう6月以降も安定的に高い業績で推移しています。

店舗数も増加を続けています。

商品種別で見ると、食品類は相変わらず高い水準で推移し、また家庭用消耗品その他についても同様で、スーパーの競合として大きな存在感を示している事がわかります。

前年比ベースで見ると、衛生用品類の伸びが著しいです。
品薄感が解消されて、今まで買いたかったけれども買い控えていたか買えなかった層がこのタイミングでストックを確保に走ったか、年末に来るかもしれない再度の品薄に備えたか、というような所でしょう。

その他の商品ジャンルでも、高い前年比推移を示しています。

化粧品類においては、一時期▲20%に迫る勢いで消費が減っていましたが、直近では約▲10%にまでは回復しています。
緊急事態宣言があけて、外出自粛の状況から外に出るようになった点と、リモートワークから通常出勤に戻った分の影響が出ているものと推測されます。

主要ビジネス都市圏においても回復傾向を示していますが、沖縄だけはマイナス影響が広がっています。

マツモトキヨシの一人負け状態

さて、上述の通り、ドラッグストアはコロナ影響に対して特需と言って良いプラス影響を受けましたが、マツモトキヨシだけが例外で、コロナ後、マイナス影響が続いています。

月次WEBより

これは、マツモトキヨシが郊外ではなくて都市圏への出店が多い事と、インバウンド(海外旅行客)消費が多かった点が影響しています。

業界としては追い風なのですが、とる戦略次第でその恩恵を受けられない、という事で認識しておく必要があるでしょう。

消費者動向

さて、コロナ時の消費者の行動ですが、大体において「店舗の利用が減った」という事です。
(これは、ドラッグストアに限らず多くの業態において同じ。人が密集する総合スーパーは顕著。)

一部増えた層の増えた理由は「商品入荷の確認」が最も多くなっています。
(現場の方々は大変だったでしょうね。)
WEB上で入荷情報を発信する、という事も考えられるでしょうが、必ずしもすべての層のITリテラシーが高いわけでは無いですし、当該行動を行う層では果たして、という点もあるので中々難しい問題です。

「減った理由」は、純粋に「接触の低減」にあるようです。
まぁ、当然ですね。

他業態へのシフト、も行動に見られており、これは具体的には「EC」を指しています。

購入が激増した商品のトップには「ハンドソープ」が来ます。

新型コロナウイルスは、無駄に騒がれていますが、ウイルスである事にはかわりないので、基本的には「手洗い・うがい」でガードが可能です。
その意味でハンドソープの売れ行きが伸びる事、そして衛生的に水気を切れるペーパーハンドタオル類が売れるのは良い事ですね。

他、日持ちのするスパゲッティとソースミックス、インスタント麺が売れたようです。

ドラッグストアの1レシートあたりの購買金額が3%減。スーパーでは17%増【True Data調べ】」より

こちらは参考情報。
消費が大幅に落ちているコスメ類ですが、その購入場所はドラッグストアとなっている割合が圧倒的です。
それを考えると、世の中の化粧類の消費がどれだけ落ち込んだのかが読み取れます。

こちらも参考情報。
レジ袋の有料化後、ドラッグストアでレジ袋を購入するか否かで言うと、多くの方がレジ袋を購入していないそうです。

レジ袋を購入する方が衛生面で圧倒的に優位ですし、1枚3円とか5円なので、買った方が絶対良いと思うのですが、消費者心理は不思議なものですね。

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統計・経済

家電大型専門店 販売額統計(2020年8月)

経産省「商業動態統計」の8月分が更新されています。
数字のアップデートと、消費者動向について、解説していきます。

出典元はこちらです。

前回分は↓です。

業績推移

販売額全体で見ると、給付金影響で一気に伸びた6月から、数字は落ちていっています。

まだ手元に未使用の給付金がある方も多くいらっしゃるでしょうから、その分の使用も有り前年比自体は約10%前後で推移しています。

安定的に数字が大きいのは生活家電のジャンルです。

2千3百億円の規模であり、消費税増税前の駆け込み需要より高い消費傾向が続いています。

商品カテゴリー別前年比ベースで見ると、落ち込みが激しいのがAV家電、通信家電の2ジャンルです。

AV家電は長引く外出自粛の期間(4月~6月)で買いそろえてしまったので、一気に需要が落ちたのであろうと推測でき、通信家電においても状況が落ち着きを見せ始めた6月7月で消費が回復した後の反動が来ている、と考えられます。

カメラ類は相変わらず低い水準で推移しています。
カメラ産業の未来が懸念されます。

店舗数は、この2,3ヶ月は横ばいです。
流石に、これ以上投資をしていく事に対するリスク感というものを家電量販店各社が考慮し始めた、また、予定していた投資がある程度落ち着きを見せた、と考えられます。

地域別の状況で見ると、一気に前年比の伸びが6月と比較して落ち着きました。

これまでは前年比50%超の都道府県もあったのですが、最大ラインで20%程です。

また今回、マイナス(北海道)が出てきました。

家電量販店の業績感で言うと、需要の取り込みも一定終わり(もちろん、もうしばらくは続く)、またコロナ影響も特段受けず、安定フェーズに入っていくと考えられます。

消費者動向

さて、消費者動向ですが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、下記の通り家事負担が増えた、という方が大勢いらっしゃいます。

洗濯も掃除もなのですが、特に調理が増えた、という事ですね。

では調理でいうと、一番の理由は「外出ができなかったから」。

テレワーク要因で言うと、「家族が」が42.6%、「自分が」が24.3%であり、この2つについては、今後も一定割合は状況が継続するので、ここに関しての消費者マインドの変化も継続するものと考えられます。

関連して別の調査では、「おうち時間が増えたことにより」家電を欲しくなって購入した、ないしは、購入を検討している、という方が大勢いらっしゃいます。

その内、様々な領域において「購入した」とありますが、特に伸びが大きいのが「その他調理家電」です。

このアンケート結果を見るに、単純に家事負担の軽減を図りたいから、というニーズ以上に「楽しんで家事を行いたい」というマインド感が強い事が読み取れます。

実際、これまた別の調査では、「新たに始めた趣味」において「お菓子作り」や「調理」が上位に来ています。

Get Navi Web「コロナ禍で購入したお家アイテムとお家時間の変化をアンケート」より

今後の家電量販店における消費者への訴求ですが。

「家事負担の軽減を図る」というのも当然にそうなのですが、「家事を楽しむ」「趣味をはじめる」という観点で、商品ラインナップやディスプレイを検討していくと良いかもしれません。

現状では固く経営ができる一方、来年は給付金影響の反動減が大きく来ます。
今のうちに、消費者の心理とニーズが如何に変化したのか?を研究し、今後の対策を練るのが良いでしょう。

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コンビニエンスストア販売額統計(2020年8月)

経産省「商業動態統計」の8月分が更新されています。
数字のアップデートと、消費者動向について、解説していきます。

出典元はこちらです。

直近でコンビニ各社別についても書いているので参考まで。

業績推移

販売額全体は回復傾向にあります。
1兆340億円の販売額です。

外食産業とは異なり、第2波の影響は受けていない模様です。

指数ベースなら、むしろ成長している位ですね。
2015=100で、季節調整済指数で104.4となっています。

日配食品:(ファストフード含め)お弁当、おにぎり、サンドイッチ、消費期限設定されている生鮮食品など
加工食品:飲料、カップ麺、お菓子などの賞味期限設定がされているもの、冷凍ものなど
非食品:食品以外の雑貨、雑誌、ゲームなどの商品
サービス:コピー、宅配便、チケット、プリペイドカードなど

カテゴリー別では、サービスを除く全てのカテゴリーで回復傾向を見せていましたが、8月に入り、非食品の数字が落ち始めています。

買い溜めは、もう不要だよね、という消費者心理が出たものと考えられます。

前年比ベースでは、まだ100%を切る水準にとどまっています。

指数ベースではサービスを除き100を超える水準が続いています。

地域別(8月)ですが、今まで東京、大阪、京都といった、都市圏や観光地の減少率が大きかったのですが、8月に入り、石川、沖縄、山形といった、これまで出てこなかった地域がトップに来ています。

これは、ビジネス都市圏で緊急事態宣言明け後、人が戻った影響が出ていると考えるのが良いでしょう。

6月分と比較してみるとわかりやすいです。

消費者動向の変化

消費者動向ですが、従前立てていた仮説「一回の買い物で済ませよう」説ですが、正しかったことがデータでわかりました。
(まぁ、当たり前っちゃ当たり前なんですけれどね。)

コロナ前とコロナ後で利用回数がどのように変化したか?の調査では、明らかに利用回数の減少傾向が見られます。

ソフトブレーン・フィールド株式会社「80万枚の購入レシートから 買い物行動のニューノーマルを検証」より

また、レシートデータからも同じことが家、平均購入単価および平均購入点数は4月に大きく増加しています。
20%増なので、ものすごい増加幅ですね。

ソフトブレーン・フィールド株式会社「80万枚の購入レシートから 買い物行動のニューノーマルを検証」より

買う商品カテゴリーに関しても、4月は日持ちのする食品類を中心に購入が増え、逆に生鮮系は減少しています。
(6月は一定、回復している。)

ソフトブレーン・フィールド株式会社「80万枚の購入レシートから 買い物行動のニューノーマルを検証」より

肌感覚としてそうだろう、と推測していた事が、このようにデータでも示されました。

消費者の行動心理を読んでいく知見が深まると言えるでしょう。

苦境はいつまで続くのか?

回復傾向は続いていますが、まだ前年比は割ったままです。

各所で語られてはいますが、ワクチンと治療薬が完成・普及し、終息宣言やそれに準じた発表がされない限り、状況は続くものと考えられます。

NRIの推計では、2021年4月においても、まだ今の低消費水準が続くという事です。

新型コロナウイルスそのものは、実体として”落ち着いた”状況と言え、マスク着用、手洗い・うがい・消毒等の当たり前の衛生対策を行えば、危ない物では無いのですが、如何せん人々の「心理」は難しいものがあります。
感染症より、人の方が恐ろしいのです。

また、ビジネス都市圏を中心に各地でリモートワーク移行も進んでいます。

まだまだ、今の厳しい経営環境は続く、という前提で考えていく必要があるでしょう。

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統計・経済

外食産業前年比(2020年8月)および最近の消費者動向

外食産業前年比の8月は、回復傾向を見せていた7月から再度転落傾向が出た月となりました。
最近の消費者動向と併せて、数字を見ていきます。

外食産業業績推移

まず、売上高前年比推移です。

こちらにある通り、7月までは回復傾向を見せていましたが、8月に入り全体的に減少、転落傾向を見せています。

要因としては客数の減少が大きく、客単価は業種毎に若干の違いはあるものの概ね横ばいです。

特に居酒屋系は客数も客単価も減少傾向にあるので、非常に厳しい状況にあると言えます。

同上
同上

理由としては、新型コロナウイルス感染者数の数字上の増大にあると考えられます(いわゆる”第二波”)。
実態の脅威以上に、心理的な恐怖心や忌避感の他、無難な安全行動を優先する方向に消費者が動いたのでしょう。

消費者の利用動向の変化

利用動向概観

上記の客数推移からも利用頻度が減少した事自体は明確ではあるのですが、アンケート調査によると、下記のような利用頻度の変化があったようです。

ソフトブレーン・フィールド株式会社「コロナでも利用が増加した、外食チェーンの施策をレシートから探る」より

計算してみると各層で下記のようになり、月に2~3回程度以上外食する人全てにおいて利用頻度が減少し、しかし月に1回以下程度は外食利用をする、という人が大幅に増加した形になります(まぁ、当たり前の数字ではありますけれどね)。

月に1回以下:31.7% → 52.4% (165%)

月に2~3回程度:33.8% → 25.9% (77%)

月に1~2回程度:24.3% → 15.0% (62%)

週に3~5回程度:7.8% → 4.9% (63%)

ほぼ毎日:2.5% → 1.8% (72%)

同上

外食利用における変化では、利用回数の変化は上述の通りですが、それ以外ですと、「利用する店舗」「利用時間」「利用人数」「ジャンル」「金額」に大きな変化があった模様です。

飲食業においては数%の変化でも業績に大きな影響を与えるので、上記は全てにおいて外食産業全体にダメージを及ぼしたはずです。

同上

利用シーンの変化では、ランチ帯とディナー帯においてテイクアウト(デリバリー含む)が増えた結果です。

ランチ帯のテイクアウト比率は高いので、如何にランチ帯に最適化したデリバリー対応商品を開発できるか?は今後の外食経営において重要な要素となるでしょう(もちろんディナー帯も)。

デリバリーに関しては、下記2つの記事においても触れているので、参考にしてください。

嗜好(店舗選択ポイント)の変化

店舗の選択ポイントとしては、最近はやはり「ソーシャルディスタンス」や「感染症対策」をポイントとしてあげている消費者が多い模様です。

飲食店利用時の行動を見ても、「ソーシャルディスタンス」や「感染症対策」に気を払っている傾向は同じで、特に女性を中心に、「マスク着用」「他の客との距離」「消毒」が行われています。
(一方、男性の特に20歳代において「特に対策を行っていない」の数字は大きいですね。まぁ、ロジカルに考えたら、当然の行動結果だとは思いますが。)

これらの調査は一定の示唆があり、女性目線で安心”感”がある店舗作りを行えるか?が重要と考えられます。

苦境はいつまで続くのか?

各所で語られてはいますが、ワクチンと治療薬が完成・普及し、終息宣言やそれに準じた発表がされない限り、状況は続くものと考えられます。

NRIの推計では、2021年4月においても、まだ今の低消費水準が続くという事です。

新型コロナウイルスそのものは、実体として”落ち着いた”状況と言え、マスク着用、手洗い・うがい・消毒等の当たり前の衛生対策を行えば、危ない物では無いのですが、如何せん人々の「心理」は難しいものがあります。
感染症より、人の方が恐ろしいのです。

飲食店に限らず、ダメージを受けている事業者は、まだ1年は最低でも続く、という前提で経営の方向性を検討していく必要があるでしょう。

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統計・経済

GoToイートは外食産業にとって福音となるか?

GoToイートキャンペーンの報道が頻繁に出てくるようになりました。
新型コロナウイルス影響により、困窮している飲食店、漁業関係者にとっての補助になると期待されています。
果たしてGoToイートキャンペーンは、本当に効果があるのでしょうか?

GoToイートキャンペーン

GoToイートキャンペーンについては、色んなサイトで情報が出ているので詳細は省きます。

内容としては大きく2つで、飲食店で使用できる食事券と、オンライン飲食予約によって付与されるポイントです。

上記資料は農林水産省のGoToイートキャンペーンの解説サイトからです。

なお、下記の通り、特設サイトもオープンしているようで、着々と準備が進められているようです。

https://gotoeat.maff.go.jp/index.html

このキャンペーンについて、効果があるのかを考えます。

ここでは、物事の進め方プロセス的なものや、感染拡大的な要素は考慮せずに、純粋に経済規模的にうまくいくか否かに絞って考えます。

結論:予算が小さすぎて厳しい

予算が小さすぎる

もう、タイトルに書いてしまっているのですが、結論としては厳しいと考えています。

予算ですが、食事券が767億円、オンライン飲食予約が767億円と、合計1,534億円の金額が積まれています。

一方、外食産業はどれくらいのダメージをうけているのか?という話ですが。

ファストフード系を除き、一時期は前年比50%前後か、事業所によっては0%に近い数字になっている所がありました。
これは現在でも一定継続しており、特に居酒屋系やディナーレストラン系は前年比50%前後の苦境に置かれています。

上記については、下記記事もご参照ください(8月分は別にまとめます)。

上記の通り前年比が厳しいです、という話の中でこれを金額ベースで考えます。

一般社団法人日本フードサービス協会「外食産業市場規模推計の推移」より

飲食店の市場規模は、約19兆円5千億円です(黄色網掛部分)。

今回、特にダメージが大きいのが「料飲主体部門」で、こちらは約5兆円の市場規模です。
この領域は、コロナ影響を受けている約半年の期間、売上が激減、軽くても半分に落ちている状況です。

ざっくりと電卓をはじくだけで、約1.2兆円のトップライン(売上)の減少影響を受けています。

合計1,534億円では到底足りません。

(今回のキャンペーンは、従来から飲食利用していた人の方が率先して利用するであろう事が想定される。キャンペーンを契機に、飲食店利用を控えていた人が、利用するようにならないといけないが、その効果があるかというと限定的と考えられる。
仮に、1,534億円全部が飲料主体飲食店で使われ、しかも利用者全員がこれまで飲食店利用を控えていた消費者、という仮定に仮定を重ねて、ようやく1兆円の経済規模に到達する。)

飲食業倒産が最多になるかも

東京商工リサーチの調べでは、飲食業の倒産が通年で最多を更新する勢いだ、としています。

東京商工リサーチ「「飲食業の倒産状況」調査(2020年1-8月)」より

GoToイートキャンペーンが恙なく進行し、予算満額で使用されたとしても、冬は感染症拡大の季節でもあります。

単発利用で終わり、また消費が冷え込むのでは無いかと予想します。


消費者心理として応援ムードになり、利用が再開する。
継続した景気振興策が出てくる。
早々にワクチン等の開発と普及が進み、不安心理が払拭される。

こういった事がある程度重なって起きない限り、飲食店には淘汰の時代となるでしょう。
時代の変化に対応しつつ、真に顧客にとって望まれる価値提供を行えない事業者から撤退を余儀なくされていくでしょう。

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