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勉強の効率を高める方法まとめ

「勉強の効率を高める方法」のまとめになります。

勉強の効率を高める方法

補足

補足的番外編

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生産性・業務効率化

学習スタイル(知覚の優位性:VAKモデル)の誤解と勉強に必要なこと

知覚の優位性:VAKモデル、という考え方が登場したのは1900年代後半のこと。
まだ歴史は浅いにもかかわらず、一定の浸透が見られる考え方になっています。
しかし、この学習スタイルの考え方が、本当に科学的に正しいのか、疑わしい点があります。

知覚の優位性:VAKモデルとは

VAKモデルとは、人が情報を得る手段である五感に関して、3つに分類したものです。

V(Visual:視覚)、A(Auditory:聴覚)、そして、触覚、味覚、嗅覚を包括したK(Kinestic:触覚・身体感覚)の3つであり、それらの頭文字をつなげてVAKモデルと言われるようになりました。

この情報入手の手段が人により得手不得手があるとして知覚の優位性という考え方が出て、教育分野における「学習スタイル」として取り入れるようになりました。

この学習スタイルが言いたいのは、人は自分自身にあった学習法で勉強をすると効率よく学習できる(から現在の画一的な教育は多くの人たちに適合していない)、というものです。

しかし、この学習スタイルの考え方には誤解が存在します。

学習スタイルの誤解

教育分野の研究で、この学習スタイルに関して調査が行われていますが、メタ的分析で多くの学習スタイルによる教育方法に科学的根拠がないこと、学習スタイルに関して行われた研究が大体において実験的方法がとられていないことが指摘されています。

https://qz.com/585143/the-concept-of-different-learning-styles-is-one-of-the-greatest-neuroscience-myths/

そして、少なからず実験的方法でもって行われた学習スタイルの検証では、学習スタイルを否定する結論を示唆しています。
下で示すリンク内でも、学習スタイルについて否定する追加実験が紹介されている。お好みの学習方法はあるにせよ、どの学習方法を選択したとしても、習熟度に有意な差はないとのこと。)

人が情報を得る手段としてのVAKモデルは確かに考え方として間違ってはいないのですが、どこかでこの考え方が捻じ曲がって解釈され、教育分野に適用されたのでは?と科学者は指摘しています。

それでは、どうしてこの学習スタイルの考え方は誤解をはらんだまま広まってしまったのでしょうか?

https://www.theatlantic.com/science/archive/2018/04/the-myth-of-learning-styles/557687/

研究者は、教育者、そして学習者双方にとって救い(のように聞こえる)だから、としています。

つまり、教育者にとってみれば、(少なくとも)自分たちのとっている教育方法自体には間違いはなく、学習者の学習スタイルと適合していないからだ、と受け止めることができます。

学習者にとっても、自分の学習スタイルと、教育者の学習方法がマッチしていないからで、マッチする学習スタイルをとる教育者や学習スタイルを選択すれば、自分はまだ伸びると思えるからだ、ということです。

これでは、単純な誤解にとどまらず、害悪でしかありません。

VAKモデルをベースにした最適な学習スタイルがあるという考え方は、早々に払拭する必要があるかもしれません。

異なる学習スタイルを取り混ぜるのは有効

ただ、V(Visual:視覚)、A(Auditory:聴覚)、そして、触覚、味覚、嗅覚を包括したK(Kinestic:触覚・身体感覚)の3つを用いた学習方法が決して悪いことのようには思いません。

こちらの記事でも言及したのですが、学習において重要な反復学習について、異なる方法で学習をすると効果的である、という研究があります。
つまり、教科書による文字情報のインプット、ポッドキャストなどの音声情報、図解などの映像情報などを交えて学習すると、記憶の定着が強化するとされています。
正にVAKモデルの考え方です。

さらにキーボードによるメモより、手書きによるメモの方が長期的な記憶の定着度が高い、という研究もあります。
紙とペンを用いて、文字を自分の手で書く、というアクションが脳に多くの刺激を与えているのかもしれません。

これらのことを踏まえると、重要なことは「自分に最適な学習スタイルが存在する」と考えるのではなく、様々な学習スタイルを用いて複合的に脳に刺激を与えよう、ということだと考えられます。

昨今はYoutube動画をはじめ、様々な映像コンテンツが増えています。

これらは決して悪いものではありませんが、従来からの学習方法である本を読む、ノートに学んだことを要約しながらメモを取る、学んだことを実践する、といった方法も交えて学ぶ意識が必要でしょう。

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生産性・業務効率化

日本は成功するのが楽勝な国である

成功の定義を、仮に「高収入」と置いた場合、これは難しいことでしょうか?
もちろん、どれくらいの金額を設定するのか?にもよるのですが、決して難しいことではありません。
今回は、日本は成功するのが楽勝な国である、と題して書いていきます。

成功の定義設定

人生は一人一人のものですので、何をもって成功というのか?も人によって異なるでしょう。

ただ、それでは話が進まないので、ここでは「高収入」という軸を採用します。

内閣府の調査では、年収1,000万円が幸福のトップラインとされています。
(諸説では年収800万円が幸福のトップラインという話もある。)

モチラボ「年収と幸せ」より

これを踏まえ、年収1,000万円を「成功」ということにしましょう。

では、この年収1,000万円に到達するのは難しいことでしょうか?

年収1,000万円に到達するには?

こちらの記事で、「若い内の頑張りは生涯年収にヒットする」という話をしました。

この記事内で採用したデータを用いると、部長クラス40代半ば、そして‟大企業”の課長クラス50代で、概ね1,000万円に到達します。

必ずしも出世することが年収をあげることだけが道ではないのですが、大多数の方が企業勤めをし、ほぼほぼ副業しないことを前提とすると、企業内での出世で考えるのが、シンプルと言えるでしょう。

ようは、出世するのは難しいか?という話です。

日本人は出世意欲が小さいですし、そもそも勉強をしない

結論から言うと(タイトルにも書いているのですが)、楽勝です。

というのも、日本人は出世意欲が小さいですし、全く勉強もしないからです。

この図の通り、明確に「出世したい」と回答する方が、たったの17.7%しかいないのです。

この時点で、約82%は競争から脱落しています。

次に勉強時間。

この表の通り、日本人の勉強時間は1日たったの7分です。

勉強をする方の割合が約5%であることを考えると、ここで約95%が競争から脱落しているのです。

勉強をする方の平均勉強時間が約2時間であることを考えると、1日2時間“以上”をコンスタントに続ければ、出世をする確率が大幅にあがります。
(ここで言う「勉強」は、もちろん仕事につながる内容。仕事の時間に充当しても良い。)

結構、楽勝だと思いませんか?

え、思わないですか?時間が無いですか?

もし、本当に意欲があるならば、その時間を何とかするはずです。

こちらの記事でも書いたのですが、時間の無駄を徹底的に省けば、1日5時間は軽く捻出することができます。

後、勉強したからって出世できるとは限らない?

まあ、そうなのですが、多くの調査で勉強時間と年収には、明確に相関があることが示されています。
(下記は様々な調査の一例です。)

ようは、やる気と実際の行動の問題なのです。


ここでは、あくまでも「成功」を「年収」と定義づけした場合の考え方であり、この場合には「出世」が簡単で手っ取り早い、という論を展開しています。

もちろん、「成功」や幸福のあり方は、一人一人異なるのは当然の話です。

ただ、若い内に頑張って勉強して働いて、早い内に実力と地位、そして高い収入を得られると、その後の人生の自由度は大幅にあがるのは間違いがありません。
別の幸福のあり方や、成功のあり方を模索する余裕ができるのです。

もちろん、起業という選択肢もあり得ます。

日本は開業率が諸外国に比べると圧倒的に低いので、若い内に実力をつけて、そして起業すれば、他の人に圧倒的な差をつけることは容易と言えるでしょう。

中小企業のライフサイクル「起業の実態の国際比較」より

なお、副業という「抜け道」を探す発想は、あまりおすすめしないです。

というのも「本業で成功できない人間が、副業で成功する確率なんて、低いに決まっている」からです。
まずは目の前の事に、真摯に確実に取り組みましょう。

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生産性・業務効率化

速読のウソ・ホント~本当に役立つ読書の方法~

リモートワークが増えた結果、本を読む時間が増えた人も多いのではないでしょうか。
そんな中、読書術、特に速読に興味がある方もいらっしゃると思います。
ここでは、速読のウソ・ホントと題して、速読の真実を解説していきます。

なお、ここではいわゆる「ビジネス書」を対象にしており、小説や漫画のような、速読そのものが無粋になるような本については対象としていません。
また、一部、速読を否定するような記載をしていますが、特定の組織や団体を批判したり、名誉棄損するような意図も無いこと、留意ください。

忙しい人向けまとめ

  • 眼球運動や潜在意識を活用したような速読法の効果は、基本的には科学的に否定されている
  • 速く本を読めたとしても、それが理解度にはつながらない
  • 本を速く読むためには、身も蓋も無いが、前提となる知識や経験の絶対量が必要
  • 知識や経験の絶対量を増やすために、専門書の精読や、幅広く各領域の本を多く読むことが必要
  • 読書の目的は、あくまでも問題解決にあると理解し、手段として効率を高める考えが重要
  • 楽な方法など存在しない、辛くなければ効果はない、のでひたすらの積み重ねが重要

いわゆる速読とは

速読とは

速読とは、文字通りの意味で、文章、特に本を早く読むためのテクニックです。
ちまたには、何かしら速読に関して解説された書籍が転がっています。
そして、この速読法は1つではなく、複数の方法論があります。
まず、速読法の種類に関して見てきます。

速読法の種類

速読法を分類すると、ざっくり次の3つの種類が存在します。

  • 眼球運動を活用した速読法(この種の速読法を一番良く見かける印象)
  • 潜在意識を活用した速読法(右脳を使った、とか表現される場合もある)(フォトリーディングとか)
  • 純粋な読書法としての速読法

結論を言ってしまうと、前者2つの眼球運動や潜在意識を活用した方法は効果がありません。

速読のウソ・ホント

詳細はこちらのカリフォルニア大学の論文に譲るのですが、ざっくり解説すると眼球運動や潜在意識を活用した速読法には次のような問題点があります。

まず、眼球運動についてです。
読書をしていて、文字を一つ一つ目で追っていく読み方や、読み戻し(前に戻って、同じ文章をもう一度読む)は、読む速度を遅くする要因であり、眼球をすばやく動かしたり、視野を広げてページ全体を見渡すような読み方が速いよ良いよ、というのが眼球運動を活用した速読法の主張です。

しかしながら、読書における目の動きの重要性は10%以下であるため、この眼球運動部分のトランザクションを改善したとしても、読書速度全体に与える影響は極めて軽微です。

次に潜在意識を活用した速読法についてです。
本のページを例えば「写真」のように読み取り、右脳や潜在意識を活用して情報を処理することにより、常識では測れない速度で本を読むことができるよ良いよ、というのが潜在意識を活用した速読法の主張です。

これも、そもそもとして人間の脳は、文章の内容や全体の構造を読み解き、再構築しながら理解を深めていく構造になっており、右脳や潜在意識を活用する、という方法自体に科学的な無理があります。

速読法に関する大会が主催されているようですが、この速読法大会の成績優秀者に実験が行われました。
その結果、速読法大会の成績優秀者による速読でも、サンプルとして提示された本の内容を全く理解できていなかった、という明確に速読法を否定する実験結果が出ました。

好意的に解釈して「本を速く読むことはできる」のでしょうが、結局のところ「理解度は低い」と言えるでしょう。

速読法の解説を読んでいると、「素質が無い人には習得しづらい」「人によって合う合わないがある」と擁護するような文章も見受けられます。
速読法に関して興味がある方は、この種の方法論との付き合い方は考えた方が良いでしょう。

それでは、全ての速読法はインチキであり無意味なのでしょうか?

純粋な読書法としての速読法

そうではありません。
上述のカリフォルニア大学の論文でも触れられていましたが、読み手側の知識量に応じて速読の効果が変わります。
有効な速読のコツは存在し、それが「純粋な読書法としての速読法」です。

純粋な読書法としての速読法には2つの考え方があります。

  • 純粋な知識量・経験量の増大
  • 目的の明確化

この2つについて見ていきます。

なお、読書は勉強の一形態ですので、理解を深めるために、こちらの記事も参照ください。

早く本を読むための考え方①~純粋な知識量・経験量の増大~

基本的な考え方

身も蓋もないですが、結局のところ、本を読む速度は知識や経験の絶対量に左右されます。
全くもって知らない領域の本は、読む速度が劇的に遅くなりますし、逆に理解度の高い領域の本はすらすら読めるでしょう。
拳の厚さ位ある、ヘビー級の専門書は、読む速度が遅くなることは明らかに想像ができますよね。
同様に、小学生の教科書は、流し読みでも内容を理解できるのも想像ができるかと思います。

ようは難易度設定が重要なのです。
学習における難易度設定としては、現状の理解度・学習レベルより、少々程度難易度を高く設定するのが良いという研究があります(上の記事を参照ください)。

では、自分の専門領域に関する話と、自分自身の幅を広げるための専門外の領域にわけて、純粋な知識量・経験量の増大について考えていきます。

自分の専門領域 ⇒ 少数の本を徹底的に読み込む

自分の専門領域に関しては、少数の専門書を徹底的に読み込むのが良いでしょう。

例えばマーケティングを担当業務としている方でしたら、「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント」のような専門書です。
ビジネスの各領域には、何かしら権威的な専門書が存在するはずです。
この専門書を数冊選定し、徹底的に繰り返し繰り返し読み込むのです。

併せて、業務の中で、覚えた内容を活用していくのが良いでしょう。
アウトプットは、良質な学習効果をもたらします。

新任担当者の場合は?

まだ経験も知識も浅い新任の担当者の場合は、各領域の入門書からはじめるのは当然に良い判断です。
専門外の方でも理解できるような薄めの入門書を選び、まずはそれを8割ほど理解する。
この入門書は複数冊を買う必要な無く、1冊だけで良いです。
まずは、適当でも良いので選んだ入門書を8割ほど理解するまで、繰り返し読みましょう。

その次に、少々厚めの本、実務よりな本を選ぶと良いでしょう。
各業界で活躍されている方が執筆している良書があるはずです。
先輩方におすすめの本を聞いて2・3冊ほどを選定し、今度はこれらを8割ほど理解するまで、繰り返し読みましょう。

真面目な方でしたら、2・3ヶ月ほどでここまで十分に到達できるはずで、仕事も覚えられるようになるはずです。
ここまで来たら、上述の専門書の精読フェーズに移れば良いです。
優秀な方でしたら、2・3年ほどで、諸先輩方と肩を並べるくらいに仕事が出来るようになるはずです。

専門外の領域 ⇒ ひたすら多くの本を読む

幅を広げるための専門外の領域に関する読書については、ボリュームが大事です。
可能な限り、ひたすら多くの本を読みましょう。

ビジネスの領域は多岐にわたります。
ヒト・モノ・カネという分類で考えた時、ヒトなら「組織・人事」「リーダーシップ」、モノなら「マーケティング」「経営戦略」「オペレーション」、カネなら「アカウンティング」「ファイナンス」という領域があり、更にそれぞれ細分化された領域が存在します。
これらについて、順番ずつテーマを決めて読んでいくと良いです。

本の選定に関しては、上述「新任担当者の場合は?」に準拠し、まずは専門外の方でも理解できるような薄めの入門書を1冊選んで、6割~8割ほど理解できることを目標に設定するのが良いでしょう。
理解に関して、あまりこだわりすぎず、ある程度ざっくり理解したら、次のテーマに移る方が吉です。
ビジネスというものは一つの領域で完結しているのではなく、複数の領域が複合的に絡み合っているので、入門書レベルでも読み漁っていく内に、段々と点と点がつながり、理解度が高くなっていきます。

テーマを一巡したら、少々厚めの実務よりの本を選定するフェーズに入ります。
そして、同じく6割~8割ほどの理解度目標を設定し、各領域の本を順々に読んでいきます。

3年~5年も続ければ、幅広い領域で、各領域を専門に担当している方々と協業ができるようになるはずです。
「人を動かすためには、その領域のことを知らなくても良い、人を動かすスキルがあれば良い。」という人がいますが、正確性に欠けます。
その領域のことを専門に担当としている方よりは知らなくても良いですが、全くの知識0では話にならないです。
ある領域の知識を6割~8割ざっくり理解するまでは比較的容易ですが、8割より先の世界は修羅の世界です。
そしてこの修羅の世界で生きているのが「専門家」であり、この領域に立て、と言っているのではありません。

せめて、人の上に立つのであれば、ざっくり6割~8割理解レベルまでは到達すべきでしょう。

早く本を読むための考え方②~目的の明確化~

基本的な考え方

次に目的の明確化についてです。

まず大前提として、人は興味の無いことは理解ができない・覚えられない生き物です。
ですので、漠然と本を読むのではなく、毎回毎回テーマを決めて取り組むのが効率的です。

時間軸にわけて見ていきます。

【短期的視野】今、困っていることに関して知りたい

短期的視野、これはわかりやすい話でしょう。
今、何か困っていて、このお困りごとを解決したい、知らないことを知りたい、という状況です。

この「解決したいこと」「知りたいこと」を明確化し、それをピンポイントで調べるのです。
多くの方が無意識にやっているはずです(ググることすらしない人たちも一定数存在しますが、、、)。

つまり、本を全部読もうとせず、タイトルや前書き後書き、目次部分を読んで、自分のニーズに合致する部分のみを読むのです。
本は最初から最後まで全部読まなければいけない、という考えは捨てましょう。
「解決したいこと」「知りたいこと」がクリアできたなら、それで読書目的は達成しているのです。
辞書を最初から最後まで全部読もうとする人って、ほぼほぼいないですよね?

また、この観点に立った時に、眼球運動やフォトリーディング的な読書法が役に立つ可能性が想定されます。
タイトルや目次から、自分の知りたいことがどこなのかわからない本は多いですし、辞書的な専門書でも索引が親切でない本も多いです。
この際、一定程度、あたりをつけて読む形になると思いますが、理解は捨てて、ざっくり何が書いてあるかを見ていく読書法がここで機能しうるのです。

ようは、読書法はあくまでも手段なので、目的のために有効活用しましょう、ということですね。

【長期的視野】将来的に役立つであろう知識を習得したい

次に長期的視野にたって、将来いつか役立つであろうことのための読書です。

基本的には上記「早く本を読むための考え方②~目的の明確化~」の通りです。
注意点が2つあります。

  • 専門領域を深堀りしすぎない
  • 自分の専門領域からかけ離れすぎない

専門領域を深堀りしすぎない

専門領域といものは、深堀をすればするほど、段々と実務からかけ離れていくものです。
繰り返しますが、人は興味がないことは理解も記憶もできない生き物です。
実務からかけ離れたことは、興味からもかけ離れる可能性が高いので、専門領域の深堀は読書の効率を著しく落とすリスクが高いです。

ある程度の知識がついたと思ったのならば、インプットよりアウトプット(実務での活用など)の比重を高めましょう。
アウトプットの方が学習効率は高いので、一定レベルのインプットができたのならば、実践での習得が良いです。

その内、つまづいたり、疑問点が出たりするので、その時に専門書に立ち戻れば良いです。

自分の専門領域からかけ離れすぎない

営業の人がマーケティングを学ぶのは良いでしょう。
関連性が高いので、実務にも役立たせやすいはずです。
しかし、概要のインプットで十分なはずで、個別具体のHowに入り込んだ学習は、優先度が低いはずです。
マーケティングを学ぶにせよ、例えば「Webマーケティング」の概要が学べれば良いはずで、「Googleアナリティクス」の解説書を読む必要は無いのは、わかりやすいと思います。

専門領域からかけ離れすぎると、深堀と同様で、興味の領域から外れやすいことが指摘できます。
加えて、アウトプットをする場面が減ってしまうので、併せて学習効率を落としてしまいます。

最後に

以上、速読について見てきました。

まとめ的に、より根源的なことを書くと「楽な方法など存在しない」です。
速読術を習得すれば、本をたくさん読めて、知識もたくさん得られて、収入もアップして、ヒャッハーできる!なんてことはありえません。
順序が逆で、膨大な量の知識や経験を背景として、結果論として本が速く読めるようになる、です。

「楽してダイエット!」がそもそもとして無理があるように、辛くなければ効果がないのです。
心配しなくて大丈夫です。
努力も慣れれば、「今はもう痛みさえ愛おしい」状態になれます。

物事の理解とそこからの問題解決と目的を明確化し、その上で効率を重視する、あくまでも手段だと速読を捉えるようにしましょう。
それができたら、後はひたすらに積み重ねるだけです。

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生産性・業務効率化

本当に効率的な勉強の方法

現代社会の忙しさ。
せっかく勉強をするのならばコストパフォーマンス高く学びたいと思うのが自然です。
ここでは、複数の研究を横断的にレビューし、本当に効率的に勉強できる方法を検討します。

忙しい人向けまとめ

  • 反復学習が効果的
  • 反復学習の際は文字情報、映像情報、音声情報など多様な手段で
  • 学習量が多いことは純粋に良好なパフォーマンスを示す可能性がある
  • テストを活用し覚えたことを「思い出す」のは良い
  • 平易に理解できるものからはじめ難易度をあげていくのが良い
  • 寝よう
  • 周囲の励ましをうけよう

インプットの知見

反復学習の有効性

記憶と学習に関する研究は歴史が長く、有名な所としてはドイツの心理学者のヘルマン・エビングハウス博士の研究があげられます。
エビングハウス博士は、一度記憶したことは、短時間で忘れていき、その忘れるペースは時間と共に緩やかになっていくことを発見しました。
また、間隔をあけて再学習することにより、その忘れるペースが更に緩やかになっていくこと。
つまり、記憶の定着率が向上することを発見しました。
この知見は多くの学習者の経験則とも合致しており、「反復学習」の有効性を示しています。

なお、この反復学習は、異なる方法で学習をすると効果的であるとする提唱もあります(多様な手段での反復学習)。
こちらの記事(オーストラリアカトリック大学)では、教科書による文字情報のインプット、ポッドキャストなどの音声情報、図解などの映像情報などを交えて学習すると、記憶の定着が強化するとされています。

もう一点、反復学習に関して付け加えると「オーバーラーニング」という学習に関しても触れるべきでしょう。
オーバーラーニングとは、学習をし、その効果が一定見えてきた段階で、さらにもう一押しする形で反復学習を行うことを言います。
こちらの実験(米ブラウン大学)では、オーバーラーニングを行うと、行わないグループに比較し、良好な記憶定着の結果が行われたという結果がでています。
オーバーラーニングに関する研究の蓄積は少なく、この結果をもって言えることは少ないにせよ、学習量が多いことは純粋に学習パフォーマンスを向上させる可能性があることは言えます。

関連付けによる記憶

反復学習とは異なる関連であるインプット、関連付け、言い換えると「記憶術」の効用についても言及できるでしょう。
記憶術の歴史は長く、2,000年以上の蓄積があります。
皆さんも活用をしているはずで、歴史における語呂あわせや、元素記号の「水兵リーベ」などは懐かしさを覚えるでしょう。
これは記憶術における場所法、もしくは置換法とよばれるもので、人間の脳細胞の特性を利用したものです。
新しく覚える物事を整理し、すでに記憶している事象と関連付けていくと学習効果が高いという経験則とも合致するはずです。

他にも、名前の通り場所を思い浮かべ、そこに記憶したい対象を並べていく方法や、ストーリー上に記憶したい対象を関連付けていく方法があります。
後者に関しては、マンガの活用が有効です。
「もしドラ」が有名ですが、難しい内容がイラスト主体の平易な内容で説明されると、初期学習として有用だというのは説得力がある話でしょう。
なお、これは推測で言っているのではなく、実際に研究がなされており、例えば歴史学習におけるマンガの有効性が指摘されています(東洋英和女子院大学)。

アウトプットの知見

ラーニングピラミッドについて

前段でインプットの話をし、ここでアウトプットの話をするのならば、ラーニングピラミッドについては触れておくべきでしょう。
ラーニングピラミッドはNational Training Labolatory(アメリカ国立訓練研究所)のエドガー・デール博士が基礎的な提唱をした考え方で、経験の三角錐ともいわれます。
簡単に言うと、本を読んだり講義をうけたりするインプットよりも、人とディスカッションしたり、人に教えたりするアウトプットの方が学習効率が高い、とするものです。
これ自体は、大本の考え方からはだいぶ乖離した伝達がされており、根拠が無いものです。
ただ、インプット中心よりも、アウトプット中心の方が、学習効果が高いという点は多くの経験則が支えています。
これは、上述インプット部分で言及した、多様な手段での反復学習や関連付けによる記憶の強化で説明ができるはずです。
授業、読書、視覚情報、デモ、ディスカッション、体験、人に教える。
こういった多様な手段で反復学習をすること、そして実際に人に教えるとなると対象となる事象を整理し、自分の言葉で説明(すでに記憶している事象との関連付け)をしないと人に説明できないこと、を考えると、ラーニングピラミッド自体の数字根拠はともかくとして、考え方そのものは大枠として支持できるものと言えます。

テストの効能

もう一つ、アウトプットに関して言及をしなければならないものとして「テスト」があります。
多くの人にとっては、複雑な想いをもってしまうものかと思います。
ただ、間違いなく言えることはテスト、より正確に言い換えると「情報を思い出すこと」は高い学習パフォーマンスにつながるという点です(米ワシントン大学)。
実験では、インプット学習に加えテストによるアウトプット学習を行うと、中期的には記憶定着に効率が高いことが示されています。
別の観点でいうと、覚えていることと覚えていないこと、理解していること理解していないことを識別することが出来る点もあるため、純粋に高い学習パフォーマンスがあることは間違いがないでしょう。
なお、プログラミング学習などで言及される、「習うより慣れろ」「手を動かせ」も一種のテストであると言えるため、経験則で言われていることも一定の裏付けがあると考えられます。

なお、学習における難易度設定ですが、現状の理解度・学習レベルより、少々程度難易度を高く設定するのが良いという示唆があります(米アリゾナ大学)。
上述のマンガによる平易な水準からの学習効果が高い点も、この仮説を支持するものになると考えます。
同様に、テスト効果における「情報を思い出すこと」も、あくまでも記憶の定着を前提としている点を踏まえると、この仮説を支持するものと言えます。

(おまけ1)寝よう

一夜漬けの効果が薄いことは、多くの方にとって実際に体験したことかと思います。
これは経験則だけの話ではなく、実際に事件をした結果(ヨーク大学、ハーバード・メディカルスクール)、一夜漬けより、学習後に睡眠をとる方が、学習のパフォーマンスが高いことが明確に示されています。
というわけで、言われなくても寝るとは思いますが、勉強後はしっかりと寝ましょう。

(おまけ2)励ましあう仲間をつろう

大人になると物覚えが悪くなると、一般的に言われています。
これは一定確かではあるのですが、諦めるのは早いです。
こちらの研究(カリフォルニア大学)では、学習に適切な環境に身を置くと、年齢に関係なく高い学習パフォーマンスが出ることが示されています。
適切な環境をより具体的に言うと、それは「周囲からの励ましを得られる」環境です。
家族や学習友達など、励ましあう仲間を作るのは間違いなくプラスです。
恥ずかしがることなく、周囲に「私は勉強をしているので応援して!」と言いましょう。

(おまけ3)学習中の音楽は益か害か

勉強中に音楽を聴くと集中力があがって効率が良い、という人と、逆に集中できない、という人がいます。
さて、学習中の音楽は益なのでしょうか?害なのでしょうか?
答えを言うと、人によるし、聴く音楽による、です(ウロンゴン大学)。
前者の「人による」、に関して身も蓋もないことを言うと、脳の処理能力の高い人に限っては、音楽を聴きながらの作業は、その効率をあげることが示されています。
後者の「聴く音楽による」、に関しては、ボーカルが入る、テンポが早い、音量が多い、などの要素がある音楽を聴きながらの作業は、その効率を下げることが示されています。

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