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マネジメント・リーダーシップ

仕事が忙しくてストレス過多だと性格が悪くなる

三つ子の魂百まで、と言われるように人の性格は一般的には変わらないと言われていますが、それは誤解です。
例えば、仕事が忙しくてストレス過多の状況が続くと、神経症傾向が増加し、外向性と誠実性が減少することがわかっています。
有体に言えば、性格が悪くなるのです。

仕事が忙しくてストレス過多な状況が続くと性格が悪くなる

次に紹介する論文では、仕事の状況と性格の変化について記されています。

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0001879115300191

研究では、オーストラリアの1,814人の家計・所得・労働動態調査を元に、仕事上の忙しさやストレス、ジョブコントロールの状況が性格がどのように変化していくのか?のモデルが探られました。
性格はビッグ5性格診断により測定されました。

その結果、まず第一に、仕事の忙しさとジョブコントロールが、仕事のストレスに正または負の影響を与えることがわかりました。
また、仕事の忙しさはストレスを増大させること、そして長期的には神経症傾向の増加と外向性と誠実性(良心)の減少を誘発することがわかりました。

一方、ジョブコントロールの増加は、協調性、誠実性(良心)、寛容さを増加させること、そして神経症傾向や外向性には影響しないことがわかりました。

つまり、三つ子の魂百まで、という言葉は誤りであり、職場の環境により人の性格は容易に変わり得る、ということです。

忙しさは成功に必要な性格である「外向性」に悪影響を与える

上述の研究は個人や組織の成功に関係している可能性があります。

例えば、次の記事では、出世にプラスの影響がある性格として「外向性」が唯一のものであること、そして、内向的な性格の人が無理に外向的に振舞うとネガティブな感情を抱き、疲労しやすいこと、を解説しています。

仕事が忙しくてストレス過多な状況が続くと外向性を減少させてしまう、ということは成功のために忙しく動いていると、成功につながる性格要素に影響を与える、というパラドックスがうまれる可能性があるのです。

また、誠実性の減少は成功に必要な性格の一要素であり、それが失われることにより悪影響が出るものです。

怒りっぽくなると過去の失敗から物事を学ばなくなる傾向についても知られており、反省し成長するためのアクションが減少してしまう可能性も考えられます。

ジョブコントロールが低い組織は成功に必要な要素に悪影響を与える

組織の成功についてはどうでしょう。

こちらの記事では、組織の成功のためにはチームの平均的な社会的感受性が高いこと、チームとして感情知能(EQ)が高いこと、が重要であることを解説しています。

忙しさは外向性や誠実性を減少させるため、チームとしての社会的感受性や感情知能に悪影響を与えることが一定推測できます。

また、ジョブコントロールも低いのならば、協調性、誠実性、寛容さ、という性格の増加が妨げられるため、同様にチームとしての社会的感受性や感情知能に悪影響を与えることが一定推測できます。


これらのことは組織設計を考える上で、非常に重要なことであると推測されます。

現代人が忙しくてストレス過多なのは、一定程度仕方がないにしても、組織設計・文化形成における努力と工夫で緩和することが必要でしょう。
成功のために忙しくなる結果として、成功に必要な性格要素が失われるリスクがあるのですから。

最低限、ジョブコントロールを従業員に渡すよう努めることには取り組んだ方が良いでしょう。

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ビジョン的思考

「自分を破壊する一歩手前の負荷が、自分を強くしてくれる。」は正しい

哲学者フリードリヒ・ニーチェの名言の一つに「自分を破壊する一歩手前の負荷が、自分を強くしてくれる。」というものがあります。
心構え的な言葉のように思えますが、どうやら統計学的には、この格言通りの傾向があるようです。
キャリアの初期段階での失敗が、将来の成功につながる確率を高める、そんな研究を紹介します。

https://www.nature.com/articles/s41467-019-12189-3

「自分を破壊する一歩手前の負荷が、自分を強くしてくれる。」

ノースウェスタン大学では次のような研究が行われました。

  • 米国国立衛生研究所(NIH)の助成金申請に、キャリアの初期段階で応募した研究者を対象とした
  • その中でも、通過ラインをわずかに下回る「ニアミス」グループと、わずかに上回る「ジャストミート」グループを抽出
  • それぞれのグループに対して、その後10年間に平均何本の論文を発表したのか
  • また、そのうち何本の論文が“ヒット”したのかを被引用数で評価した

その結果、「ニアミス」グループの方が、資金調達額は少なかったこと。
そして、どちらのグループも発表した論文の数は同じであること。
一方、「ニアミス」グループの方が、“ヒット”した論文の数が多いことがわかりました(確率にして約6.1%)。

ようは、キャリアの初期段階で失敗した人の方が、資金調達額が少ないにも関わらず、“ヒット”論文を多く生み出しているのです。

「淘汰」の結果では?

研究者たちは、この結果にたいして「淘汰」、つまり、キャリアの初期段階で失敗した人が退職し、優秀な人が残っただけでは?という仮説を考え、検証を行いまいsた。

その結果、「ニアミス」グループの方が、確かに離職率が10%程高かったものの、上の結果を説明づけるほどのインパクトが無いことがわかりました。

研究者たちは、いわゆるグリット(やり抜く力)や、失敗から得られた教訓など、別の要因が大きく影響しているであろうと推測しています(後述も参照)。

とは言え、改善の努力は必要

同グループの後の研究では、「失敗への対処が重要」と研究を進化させています。

「金持ちはより金持ちに、貧乏はより貧乏に」という言葉があり、それは世の中のひっくり返しようのない一つの真理です(マタイ効果、もしくはマシュー効果)。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%BF%E3%82%A4%E5%8A%B9%E6%9E%9C

これらの研究は、マシュー効果を否定する程のものではないですが、「失敗は成功のもと」という言葉を強めるものです。

“改善のための適切な努力”が行われたことが前提として、「自分を破壊する一歩手前の負荷が、自分を強くしてくれる。」のです。

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ビジョン的思考

成功者に共通する思考のパターン~5つの認知の歪み~

成功者に共通する〇〇〇〇、という話題はビジネスに関心がある人にとって、興味のつきないテーマです。
今回は、投資会社Harrison Metal(ハリソン・メタル)のMichael Dearing(マイケル・ディアリング)氏がまとめた調査を紹介します。

5つの認知の歪み

調査では2,190日、2,481社、4,515人の創業者(と62の投資案件)に対して、ヒアリングを行ったとのこと。

その結果、成功者に共通する思考のパターンとして、5つの認知の歪みがあることがわかったそうです。

認知の歪みとは、思考に影響を与えるフィルターやレンズのようなものであり、現実の解釈や行動の根拠に影響を与えるものです。

その5つの認知の歪みとは次のものです。

  1. 自分自身に対する例外思考
  2. 二項対立的思考
  3. 過剰な一般化
  4. ブランクキャンパス思考(真っ白なキャンバスのような思考)
  5. シュンペーター主義(破壊的イノベーションの信奉)

自分自身に対する例外思考

“自分は特別だ”

定義 – 自分は集団のトップにいる、自分の仕事は雪の結晶のように特別なものだ、あるいは「普通」の範囲をはるかに超えた経験をする運命にある、というマクロな感覚。

ベネフィット – レジリエンス(回復力、弾性)、スタミナ、カリスマ性

致命的なリスク – マクロ的な例外性がミクロ的な例外性を意味すると思い込んでしまうこと、もろさ

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%82%B8%E3%83%AA%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B9_(%E5%BF%83%E7%90%86%E5%AD%A6)

二項対立的思考

“Xはクソ。Yは天才だ。”

定義 – 人、経験、物事を極端に判断し、両極端の意見を持ち、黒と白を見て、グレーはほとんど見ない。

メリット – 頻繁に優れた成果を上げる

致命的なリスク – 完璧主義

過剰な一般化

“2つの点を見て、正しい線を引く。”

定義 – 限られた観察結果から普遍的な判断を下し、多くの場合、正しいとすること

利点 – 時間の節約

致命的なリスク – 本能に溺れ、データに無頓着になる

ブランクキャンパス思考(真っ白なキャンバスのような思考)

“数字で描くことはアートではない。そして、私はアートを作りたい。”

定義 – 自分の人生を、数字で描くのではなく、真っ白なキャンバスとして捉える。

メリット – 塗り分けの意識がなく、サプライズが生まれる

致命的なリスク – “芸術のための芸術“, 立ち上げの失敗、スケールアップの失敗

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8A%B8%E8%A1%93%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E8%8A%B8%E8%A1%93

シュンペーター主義(破壊的イノベーションの信奉)

“私は創造的破壊機械である”

シュンペーターの資本主義論

・資本主義の重要性(生産性と富の創造という奇跡をもたらす力)
・創造的破壊が資本主義を動かす
・創造的破壊=基礎的変化(クレイ・クリステンセンが言うところの破壊的イノベーション)

「海外、国内を問わず、新しい市場が開拓され、工芸品店や工場からU.S.スチールのような企業へと組織が発展していくのは、経済構造を内側から絶え間なく変革し、古いものを絶え間なく破壊し、新しいものを絶え間なく創造していくという、生物学的な用語を使ってもよいが、産業の突然変異のプロセスを示している。この創造的破壊のプロセスは、資本主義の本質的な事実である。 」
Joseph Schumpeter, Capitalism, Socialism and Democracy (New York: Harper, 1975) [orig. pub. 1942], pp.82-85.

定義 – 創造的破壊は自然なことであり、必要なことであり、自分の天職であると考える。

メリット – 恐れを知らないこと、破壊や痛みへの耐性

致命的なリスク – 冷酷な野心、疎外感


こうして見ると、確かに多くの成功者に共通的に見られる「あるある話」のように感じます。

自然とそのような思考になるであろう内容なので、真似した所でうまくいくものではないでしょうが、一つのスタンスとしては参考になるかもしれません。

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生産性・業務効率化

成功と失敗をわける要因は?粘り強さではなく、失敗への対処が重要

失敗は成功のもと、と言われますが、果たしてそれは正しいでしょうか?
ビッグデータにより成功パターンと失敗パターンを分析した研究では、非常に興味深い統計的傾向が示されています。
そして「粘り強さではなく、失敗への対処が重要」という知見が導き出されました。

https://www.scientificamerican.com/article/failure-found-to-be-an-essential-prerequisite-for-success/

ビッグデータによる成功パターンと失敗パターンを分析

研究では、次のような分析が行われました。

  • 研究では、ビッグデータにより成功パターンと失敗パターンを予測する統計的パターンを見出した
  • 米国国立衛生研究所(NIH)に提出された776,721件の助成金申請書、46年分のVCによるスタートアップ投資、48年分の17万350件のテロ攻撃のデータを分析
  • NIHでの成功は助成金申請の通過、ベンチャー企業での成功はIPOやM&Aの成功、テログループでの成功は犠牲者の発生、と定義された

その結果、次のような統計的傾向を示すことがわかりました。

  • 成功パターンでも失敗パターンでも、努力の量は基本的に同じだった
  • 成功パターンでは、うまくいかなかった点を把握し、改善すべき点に焦点を当てていた
  • また早く失敗し、加えて次の失敗までの期間が短い程成功確率は高くなった(挑戦までの時間に間があくほど失敗確率が高くなる)
  • 成功するまでに一度でも失敗した場合の平均失敗回数は、NIHでは2.03回、ベンチャー企業では1.5回、テログループでは3.90回

つまり端的に表現すると「粘り強さ」の問題ではなく、「高速PDCA」の有無、ということです。


一部では、「もうPDCAは古い、今の時代はOODAだ。」という言説もチラホラ見かけますが、PDCAは非常に重要な改善のプロセスであると言えるでしょう。

※ OODA:Observe(観察)、Orient(状況判断、方針決定)、Decide(意思決定)、Act(行動)

Amazonを除けば、PDCAに関する書籍が非常に多く存在します。

改めてPDCAを見直してみるのも良いかもしれません。

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生産性・業務効率化

【思い込みの重要性】自分の心は自分で律そう、という話

日本人の幸福度が他国より比べて低い、というのは広く知られている事実かと思います。
これに関して、様々な意見があるのはそうだとして、今回はこれに関連した話をします。
具体的には「思い込みって大事だよ」と「自分の心は自分で律そう」という話です。

心の「決め打ち」

先日、このようなツイートをしました。

自分自身で、自分の幸福度を「決める」ことによって、自分の実際に感じる幸福度も変わりますよ、という事を言いました。

一見すると、人によっては、なんて無茶苦茶な、と思うでしょうし、やっぱりそうだよね、と納得してくれる方もいるでしょう。

では、賛否のある話です、というものかというとそうでは無く、一定、研究がされている領域の話です。

思い込みは自分の心や行動に影響を与える

例えばですが、サイバー心気症と呼ばれる、一種の強迫症状があります。

リンク先の記事では、育児中のお母さんがいて発疹を見つけたと。
その発疹について調べてみたら、乳がんの症状に類似している、という情報をネット上で見つけたそうです。
そうしたら、そのお母さんは、「自分は乳がんである」と思いこんでしまい、その後、他にも様々な発疹の症状例の情報はあったにも関わらず、乳がんに関する情報にフォーカスしてインプットするような結果になってしまったのです。

(冒頭を超意訳)
子育て中のアベルさんは、ある授乳の翌日、右胸に痒みのある発疹があることに気が付きました。
授乳中の噛み傷なのか、虫刺されなのか、原因は不明です。
Google検索をしてみた所、炎症性の乳がん、という情報がヒットし、そしてその情報はアベルさんに激しい動揺を与えました。
他の病気が原因である可能性が高いにも関わらず、アベルさんは「自分が乳がんだ」と思い込み、毎日3~4時間も乳がんについて調べることに費やしてしまいました。

ScientificAmerican「Cyberchondriacs Just Know They Must Be Sick」より

ようは、思い込みがその後の思考や行動をネガティブな方向に狭めてしまったのですね。
(元々、思い込みが激しい気質で極端な行動に出てしまったのか、不安に駆られて起こした行動により思い込みを強化してしまったのか、最終的には不明ですが。)

では、今度はポジティブ面についてです。

リンク先は、数千人の起業家、数十の企業への投資実績をもつ、ある投資会社の研究(投資家による見解のまとめ)です。

いわく、成功している起業家にはいくつかの共通した特徴があるそうです。
その内の一つとして、「自分は特別な存在である」という思い込みがあるとの事。

(P8を超意訳)
成功者の気質の1つ「自分は特別な存在である」という思い込み

成功者は、自分が他の人々より上位にいる存在だる、自分の仕事は独自性のある特別なものである、自分は普通の人たちが経験しないことを経験できる運命がある、という考えを持っている。
必ずしも傲慢であるとか、無駄に高い自尊心という話では無い。
それが、成功者自身の尋常でないスタミナや、カリスマ性に繋がっている側面がある。

Michael C. Dearin「The Five Cognitive Distortions of People Who Get Stuff Done」より

これも、そもそもとして「自分は成功する」という思い込みを持っていたのか、思い込んだからこそ成功につながるアクションをとれたのかは不明ですが、結果論として「思い込み」のポジティブ面が強くでた事例と言えます。

マインド・セットで行動が変わる

上記2つの事例は、私自身が既に触れている通り、ニワトリタマゴの話と受け止めることができます。

しかし、これもそうではありません。
マインドセットの話なのです。

成功しやすい思考、というものは長年の研究の蓄積が既にあります。

簡単にまとめると、成果を出せない人、成功する人で、次のように思考のフォーカスポイントが異なるそうです。

成果を出せない人は、自分自身の体面を重視しており、失敗する姿を人に晒したくないからか、挑戦を避けたり、壁にぶつかった時に簡単に諦めるとの事。
他人からのネガティブ・フィードバックは無視し、他人の成功を羨む傾向もあるそうです。

一方、
成功する人は、挑戦を楽しみ、壁にぶつかっても粘り強く挑み続けるとの事。
努力は成功に必要な道のりであり、他人からのネガティブ・フィードバックも学びのネタとして捉えます。
学ぶ事、成長する事。
こういった事に喜びを感じているのですね。

で、ニワトリタマゴの疑惑に話を戻すと、上記の思考と行動は、マインド・セットによって変わることが上記研究により併せて示されています。

===
4歳児の2つのグループに、成果を出せない人の思考(Aグループ)と、成功する人の思考(Bグループ)、それぞれ分けてインプットしました。
その後、パズル課題を与えると、Aグループは、失敗しない、簡単にできるパズルを選択し、
Bグループは難しいパズルにどんどん挑戦していきました。
Aグループは研究者に成功している姿を誇示し、BグループはAグループのチャレンジしない態度に困惑を示していました。
brainpickings「Fixed vs. Growth: The Two Basic Mindsets That Shape Our Lives」より

ようは、マインド・セット一つで、易きに流れるか、チャレンジ意欲を示すのかが、こんなにも変わる、という事です。

ここまで知れば、持つべき思考はわかるはずです。

「高い幸福度の決め打ち」「高い自己肯定感の決め打ち」です。

どうせ人生を送るのでしたら、面白おかしく生きれた方が良いに決まっています。
「思い込み」の力を意識し、「自分はイケてる」と決め打ちしてみましょう。

自分の心を最終的にコントロールすることができるのは、自分自身だけです。

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生産性・業務効率化

成功したかったら結局自分で努力するしか無い、という話

事業を成功させたい、会社で評価されて昇進なり昇給なりしたい。
向上意欲は人それぞれですが、多くの方が「今の状態よりは、良い状態になりたい」と望んでいるのではないでしょうか。
今回は、「成功したかったら結局自分で努力するしか無い」というテーマで書いていきます。

最近の話

先日、こんなツイートをしました。

最近、とある質問を受けるタイミングがありまして。
(数多くある質問の中の一つ、という事です。)

で、そのとある質問のレベルが、大変失礼ながら、率直に言って「ググれ」ばわかるものでして。

そのため、「ググろう」と返したのですね。

そうしたら、別の人経由で「質問がしにくくなるので、ああ言う突き放した物言いはやめて欲しい。」という要望が来たのです。

何か突き放したかのように受け止められたのであれば申し訳ないとも思いますし、
ググればすぐにわかるよ、というアドバイス自体も適切に伝わらなかった事も悪いと思います。

しかし、やはりもやもやとしたものも残ります。

成功したかったら結局自分で努力するしか無い

色々と考えたのですが、自分で調べずに答えを求める人の共通点として、
「希望とか要望は出すが、自分自身で実現するための努力はあまりしない」という点があげられると考えました。

例えば、お金がもっと欲しい、とします。

この場合、一番わかりやすい方法が昇給です。

昇給を勝ち取るためには、まずは成果を出し、その成果をもって評価者に「これだけの具体の成果を出したのだから昇給をお願いしたい」と交渉をするのが手っ取り早いです。
交渉が難航しても、「では追加でどのような成果をだしたら要求をのんでいただけるか?」と話、具体で言質を取るものです。

これは昇給を昇格と置き換えても同じです。

餌を与えられる雛鳥のように、昇給を待っていて、それが貰えるような恵まれた環境ばかりではありません。

自分自身で自発的に行動する方が、確率は圧倒的に高まります。
ようは、「成功したかったら結局自分で努力するしか無い」ということです。
(この場合の成功の定義は、昇給なり昇格なりを勝ち取る、ですね。)

上述ググろう話も根底は同じ話で、答えをもらえるのを待つという姿勢と、答えを自分で探しに行くという姿勢。
どちらが何かしらの成果につながりやすいか?
というと明確ですよね。

待ちの姿勢だと、それなりの待遇になるよ

なお、上記の話は、別に良い悪いの話をしているのではありません。

誰しもが昇給や昇格、事業上の成功、自分自身の成長等々を望んでいるわけでは当然にありません。
ですので、待ちの姿勢そのものを糾弾するつもりは、粉微塵もありません。

しかしです。

待ちの姿勢でいる、と決めたのならば、それなりの待遇になってしまう、という点に関しては自覚をした方が良いように思います。

世の中において、成功の程度に差はあれど、一定の成功を収めている人は、まぁまぁ結構なボリュームの自発的努力を行っています。
場合によっては、努力をしている、という自覚すらない場合も珍しくありません。
自覚して努力をしていても、努力をするのは当然である、という意識を持っている場合も同様に珍しくありません。

結構なボリュームの自発的努力があってはじめて、ようやく平均から気持ち飛び出た成功を手にできるのです。

逆に言うとです。

待ちの姿勢でいると、当たり前ですが、昇給や昇格などは会社の業績や評価者の判断に完全に左右されます。
安い給料で長時間働かなければいけない環境から脱することからは距離が遠くなってしまうでしょう。
やりがいのある仕事とやらも、与えられる可能性は下がるでしょう。
(自分でググれない、自分の頭で考えない人に、面白いやりがいのある仕事なんて、回ってこないですしね!)
何か自分でビジネスをやっているのならば、倒産も時間の問題でしょう。

このような事を承知の上で、自発的努力は嫌だ、待ちの姿勢でいたい、と言うのならば、それは価値観の問題ですので、他人がどうこう口を挟むものではありません。
その方の人生です。

しかしそうではないのならば、一度、自分自身の人生について、振返った方が良いように思います。


もしかしたら上から目線的に感じられた方もいらっしゃるかもしれません。

もしそう思われたら申し訳ないのですが、趣旨としては、努力の推奨にある点は強調します。

日本は、不思議なくらいに成功のための努力をしない国です。
逆に言うと、正しい努力をするだけで、(相対的に)簡単に成功を手にすることもできます(ここでの成功の定義は、社会的地位や金銭的な点を指しています)。
お金や時間、人間関係等々、多くの縛りから、少しでも解放される近道は、やはり成功です。
そして、それは言うほど難しいものでは無い、ということを繰り返し主張して話を締めます。

こちらの記事も参考にして見てください。

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生産性・業務効率化

成功事例をそのまま真似しても意味がない~生存者バイアス~

生存者バイアス、という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
世の中には、大企業が導入している最新の制度、成功者がやっている習慣、等々、様々な成功事例があふれています。
これらは、体系化されているものであったとしても、生存者バイアスにとらわれている場合が珍しくありません。
今回は、成功事例をそのまま真似しても、あまり意味が無いよ、ということを考えていきます。

生存者バイアスとは

生存者バイアスまたは生存バイアスとは、何らかの選択過程を通過できた人・物・事にのみを基準として判断を行い、通過できなかった人・物・事は見えなくなるため、それを見逃してしまうという誤謬である。選択バイアスの一種である。

生存者バイアスの例として、ある事故の生存者の話を聞いて、「その事故はそれほど危険ではなかった」と判断するという事例がある。それは、話を聞いた人が全て「生き残った人」だからである。たとえ事故による死者数を知っていたとしても、死んだ人達の話を聞くことはできず、それがバイアスにつながる。

Wikipediaより

この解説にある通りではあるのですが、本記事での生存者バイアスとは、成功者が語ったことが成功事例になってしまう、ということです。

逆の表現をすると、死人に口なし、ですね。

そして、世の中には、様々な成功事例、成功手法の情報があふれています。
ベンチャー企業や、成長志向の高い方が、こぞって、それらの情報に触れ、活用することに取り組んでいます。

これで、果たして同じように成功することができるのでしょうか?
そんなわけ無いですよね。

(ここでの成功の定義は、とりあえず、企業であれば売上・利益がのびること、個人であれば収入が増えること、をイメージしています。
個々人により、成功の価値観や、シチュエーションによる定義は異なりますが、それらはいったん脇に置いて考えて下さい。)

成功企業、成功者の事例をそのまま真似しても、あまり意味がない

筆者が最近、この点を指摘した事例が、先進的なベンチャー企業を中心に取り入れられているOKRや1on1です。

OKRをはじめて知った時に感じたことは、上記記事でも記載をしていますが、結論から言って「OKRでできることって、別にOKRである必然性がない」という点です。

ストレッチ手法であり、適切に運用すれば効果があるであろう、ということはわかるのですが、別の方法。
例えば、ストレッチ目標を置いたKPIに、その他のイノベーション手法を組み合わせれば、それでも問題が無いはずです。

また、どこまで行ってもツールですので、そのツールの運用に習熟する必要があります。
逆に言うと、習熟していない状態で形だけ導入しても、現場が混乱するはずです。

1on1も同様です。

何か気になったことがあれば、1on1の場を持つまでも無く、その場で指導すれば良いはずですし、
コーチングとティーチングをごっちゃにしてマネジメントを失敗している管理職なんて珍しくありません。

結局、信頼感と現場を良く見れているかどうかが問題であり、つまるところ管理職の力量次第なのです。

1on1を導入してうまくいっている会社は、1on1を文化や得意手法としている、というだけで、別に1on1をしなければ企業の成長、現場のマネジメントができない、ということにはならないはずです。

(これらの手法を取り入れていても、消え去っていったスタートアップ/ベンチャー企業が山ほどあるのは、容易に想像ができますよね?)

まとめ

この2つの話は、ほんのごくごく一部の事例です。

他にも、下記の記事が参考になりましたので、見てみると勉強になるかと思います(外部記事)。

https://blog.hubspot.jp/survivorship-bias

重要なのは、成功事例や手法があったとして、

  • その本質は何か?
  • 運用の難易度はどれくらいか?
  • どのようなシチュエーション,環境で適合するのか?

ということを、しっかりと見極めることでしょう。

形から入るのが決して悪いとは思いませんが、導入すること自体が目的化してしまっているベンチャー企業を多々見ます。
まあまあありふれた話題ではあるのですが、ここに警鐘として書き留めました。

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生産性・業務効率化

日本は成功するのが楽勝な国である

成功の定義を、仮に「高収入」と置いた場合、これは難しいことでしょうか?
もちろん、どれくらいの金額を設定するのか?にもよるのですが、決して難しいことではありません。
今回は、日本は成功するのが楽勝な国である、と題して書いていきます。

成功の定義設定

人生は一人一人のものですので、何をもって成功というのか?も人によって異なるでしょう。

ただ、それでは話が進まないので、ここでは「高収入」という軸を採用します。

内閣府の調査では、年収1,000万円が幸福のトップラインとされています。
(諸説では年収800万円が幸福のトップラインという話もある。)

モチラボ「年収と幸せ」より

これを踏まえ、年収1,000万円を「成功」ということにしましょう。

では、この年収1,000万円に到達するのは難しいことでしょうか?

年収1,000万円に到達するには?

こちらの記事で、「若い内の頑張りは生涯年収にヒットする」という話をしました。

この記事内で採用したデータを用いると、部長クラス40代半ば、そして‟大企業”の課長クラス50代で、概ね1,000万円に到達します。

必ずしも出世することが年収をあげることだけが道ではないのですが、大多数の方が企業勤めをし、ほぼほぼ副業しないことを前提とすると、企業内での出世で考えるのが、シンプルと言えるでしょう。

ようは、出世するのは難しいか?という話です。

日本人は出世意欲が小さいですし、そもそも勉強をしない

結論から言うと(タイトルにも書いているのですが)、楽勝です。

というのも、日本人は出世意欲が小さいですし、全く勉強もしないからです。

この図の通り、明確に「出世したい」と回答する方が、たったの17.7%しかいないのです。

この時点で、約82%は競争から脱落しています。

次に勉強時間。

この表の通り、日本人の勉強時間は1日たったの7分です。

勉強をする方の割合が約5%であることを考えると、ここで約95%が競争から脱落しているのです。

勉強をする方の平均勉強時間が約2時間であることを考えると、1日2時間“以上”をコンスタントに続ければ、出世をする確率が大幅にあがります。
(ここで言う「勉強」は、もちろん仕事につながる内容。仕事の時間に充当しても良い。)

結構、楽勝だと思いませんか?

え、思わないですか?時間が無いですか?

もし、本当に意欲があるならば、その時間を何とかするはずです。

こちらの記事でも書いたのですが、時間の無駄を徹底的に省けば、1日5時間は軽く捻出することができます。

後、勉強したからって出世できるとは限らない?

まあ、そうなのですが、多くの調査で勉強時間と年収には、明確に相関があることが示されています。
(下記は様々な調査の一例です。)

ようは、やる気と実際の行動の問題なのです。


ここでは、あくまでも「成功」を「年収」と定義づけした場合の考え方であり、この場合には「出世」が簡単で手っ取り早い、という論を展開しています。

もちろん、「成功」や幸福のあり方は、一人一人異なるのは当然の話です。

ただ、若い内に頑張って勉強して働いて、早い内に実力と地位、そして高い収入を得られると、その後の人生の自由度は大幅にあがるのは間違いがありません。
別の幸福のあり方や、成功のあり方を模索する余裕ができるのです。

もちろん、起業という選択肢もあり得ます。

日本は開業率が諸外国に比べると圧倒的に低いので、若い内に実力をつけて、そして起業すれば、他の人に圧倒的な差をつけることは容易と言えるでしょう。

中小企業のライフサイクル「起業の実態の国際比較」より

なお、副業という「抜け道」を探す発想は、あまりおすすめしないです。

というのも「本業で成功できない人間が、副業で成功する確率なんて、低いに決まっている」からです。
まずは目の前の事に、真摯に確実に取り組みましょう。

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