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良い質問の話~目的の明確化編~

質問力という言葉があります。
ようは、良い質問ができれば、諸々良い結果が待ってますよ、という事で、字面から重要なのは伝わりつつも、正直よくわからない、という人も多いのではないでしょうか。
今回は、この「質問力」「良い質問」について考えてみます。
一番重要なことは目的の明確化です。

目的の明確化

結論として一番重要な事があり、それは「目的の明確化」です。

なぜならば、質問において様々なテクニックがあるものの、目的の明確化がされていないと、その各種テクニックの適用が難しいからです。

質問の目的には次のパターン、基本的な5種類が存在します。

  • 情報や知見の入手
    →迅速な必要情報の入手
    →調べても出てこない,理解しきれない知見の入手
  • 相手へのさりげない命令、依頼
  • 相手との関係性構築
  • 相手に気づきを与える
  • 相手をネガティブなメッセージを与える

内容説明に入る前に、1つ、大前提について触れておきたいと思います。

ググろう

質問の前に、自分で調べよう

その大前提とは、質問する前に「ググろう」という話です。

(ググろう、は何もGoogle検索だけの事を指すのでは無く、各種書籍類の閲覧や、社内のナレッジ共有の調査,検索等々の、ありとあらゆる「調べる」媒体を含みます。)

これ、本当に不思議な事に、Google検索すらしない人が珍しく無いのです。

手元にあるスマートフォンで、ちょっと調べればよい事なのにです。

まずは何はともあれ、自分自身で調べてみましょう。

調べたら、質問の前に、自分の頭で考えてみよう

そしてもう一つ不思議な事に、「調べてもわかりませんでした。」という方も、決して珍しくないのです。

そしてこの「調べてもわかりませんでした。」は、よくよく聞いてみると、何も考えていない、というパターンが大多数です。
(わからないことを調べて答えにたどり着く、は調査力の話であり、今回のテーマとは異なるので省きます)。

調べたのなら、きちんと自分の頭で考えてみましょう。

この2点、まずは調べる、調べたら自分の頭で考える、です。
これは大前提中の大前提です。

質問の目的について

ここからは、質問の目的について、です。

再掲ですが、質問の目的は次のように分類されます。

  • 情報や知見の入手
    →迅速な必要情報の入手
    →調べても出てこない,理解しきれない知見の入手
  • 相手へのさりげない命令、依頼
  • 相手との関係性構築
  • 相手に気づきを与える
  • 相手をネガティブなメッセージを与える

迅速な必要情報の入手

例えば、何か会社内に保管されている書類を探したいとします。
書類の管理簿のようなものはぱっと見存在せず、どこに何が保管されているかは、実際に探してみないとわかりません。

このような場合、闇雲に探すのは効率的でしょうか?
明らかに非効率だ、とわかりますよね。

「こういう書類を探しているのですが、知っていますか?」
「何か書類を探す方法、管理簿とか、書類の保管の棚割り表とかってありますか?」

上記のような質問を、担当っぽい部署や人に質問していくのが効率的でしょう。

調べても出てこない,理解しきれない知見の入手

これは、何かを知りたくて頑張って調べて考えたけれども、やっぱり出てこなかった、わからなかった、という類への対処です。
ようは、上記「ググろう」を通過した後の質問ですね。

この種の質問に関しては、具体的に何を知りたくて、これまでどのように調べて考えたのか。
その上でなお、これこれこういう不明点があって、この不明点を潰したい、はっきりさせたい、という形で質問すると良いです。

多くの方の場合、質問の種類として最も使用するのが、このパターンかと思います。

もう一度書きますと、下記4点を明確化しましょう、という事です。

  • 知りたい事は具体的に何か
  • これまでどのような仮説を持って調べたのか
  • 検索した内容について、どのように吟味を重ねたのか
  • 上記を踏まえてなお、残っている疑問点、不明点は何か

相手へのさりげない命令、依頼

これは例を出すのがわかりやすいでしょう。

「この書類のスキャンをとる時間ある?」

このように投げかけられたら、通常は「書類のスキャンをして欲しいのだな。」と受け止めるはずです。
タイトルの通り、相手へのさりげない命令ないしは依頼が目的の、質問形式のコミュニケーションという事です

コミュニケーションの一手法ではあるので、乱用は避けつつ、うまく活用しましょう、という所ですね。

相手との関係性構築

質問は、何も「知りたい事がある」から発するのではありません。

相手とのポジティブな関係構築のための質問もあり得ます。

様々な場面での、ちょっとした雑談や面談等で、「週末は何していたの?」「あれ、バッグ新しくした?」「将来は何かやりたい事あるの?」といった投げかけをする事があるかと思います。

これは、(ぶっちゃけ相手の事を知りたいとかそういう事を目的としているのではなく、あなたに興味がありますよ、というスタンスをとって)質問相手と何気ない会話を通して、親密になる事を目的とした質問です。
仕事においては、親密な関係性の方が、大体においてスムーズに物事が進みますので、特にマネージャー層において使用される質問パターンですね。

相手に気づきを与える

質問の中でも、特に高価値なのが、お互いの知見が高まる事です。

「このアイデアの実現は難しいのは確かだと思うけれど、どうしたらうまくいくと思う?」

何か実現が明らかに困難なアイデアがあったとして、これに対して「難しい、あきらめよう。」というのは簡単です。

しかし、もう少し粘って、「どうしたらうまくいくだろうか?」と投げかけ、質問相手と一緒に考えてみたらどうでしょうか?

もちろん、良い答えが出てくるとは限りませんが、出てくれば儲けものです。
お互いに、新しい気づきを得られ、知見が高まるからです。

他にも単純に、目的を見失っている人や、不安を感じている人に、気づきを与えるという目的でも使えるパターンの質問です。

「このお金は、どこから得られているものだろうか?自分たちの給料はどこから誰が出しているのだろうか?」
「不安に思うのはそうだと思うけれど、私は、君の実力なら達成可能だと思うよ。そう思わない?」

相手をネガティブなメッセージを与える

最後のパターンがネガティブ・メッセージの伝達です。

例えば、「目標の数字が大きく未達だけれども、どう挽回するつもりなのかな?」という質問です。

これは、もちろん目的を達成するための方法を問いてはいるのですが、質問相手に対する叱責の意味合いも大きく含んでいるのがわかるでしょう。

このように相手に対して“威圧”を与える事にも質問は使えます。
(まぁ、そう使いたいとは思いませんけどね。)

他にも、やんわりと断ったり、拒否する事にも使えます。

「この企画、色々検討したけれど、実現性がかなり低いと思うけれど、どうかな?」


以上が「質問力」「良い質問」の前提となる、質問の目的5パターンとなります。

質問におけるテクニック論は様々にあるのですが、まずは上述の通り「目的の明確化」をしっかりと意識しましょう。
繰り返しになりますが、質問の目的を明確化しないと、諸々のテクニック論を適切に機能させることが出来ないからです。

別の場所で、質問のテクニック論について触れたいと思います。

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【思い込みの重要性】自分の心は自分で律そう、という話

日本人の幸福度が他国より比べて低い、というのは広く知られている事実かと思います。
これに関して、様々な意見があるのはそうだとして、今回はこれに関連した話をします。
具体的には「思い込みって大事だよ」と「自分の心は自分で律そう」という話です。

心の「決め打ち」

先日、このようなツイートをしました。

自分自身で、自分の幸福度を「決める」ことによって、自分の実際に感じる幸福度も変わりますよ、という事を言いました。

一見すると、人によっては、なんて無茶苦茶な、と思うでしょうし、やっぱりそうだよね、と納得してくれる方もいるでしょう。

では、賛否のある話です、というものかというとそうでは無く、一定、研究がされている領域の話です。

思い込みは自分の心や行動に影響を与える

例えばですが、サイバー心気症と呼ばれる、一種の強迫症状があります。

リンク先の記事では、育児中のお母さんがいて発疹を見つけたと。
その発疹について調べてみたら、乳がんの症状に類似している、という情報をネット上で見つけたそうです。
そうしたら、そのお母さんは、「自分は乳がんである」と思いこんでしまい、その後、他にも様々な発疹の症状例の情報はあったにも関わらず、乳がんに関する情報にフォーカスしてインプットするような結果になってしまったのです。

(冒頭を超意訳)
子育て中のアベルさんは、ある授乳の翌日、右胸に痒みのある発疹があることに気が付きました。
授乳中の噛み傷なのか、虫刺されなのか、原因は不明です。
Google検索をしてみた所、炎症性の乳がん、という情報がヒットし、そしてその情報はアベルさんに激しい動揺を与えました。
他の病気が原因である可能性が高いにも関わらず、アベルさんは「自分が乳がんだ」と思い込み、毎日3~4時間も乳がんについて調べることに費やしてしまいました。

ScientificAmerican「Cyberchondriacs Just Know They Must Be Sick」より

ようは、思い込みがその後の思考や行動をネガティブな方向に狭めてしまったのですね。
(元々、思い込みが激しい気質で極端な行動に出てしまったのか、不安に駆られて起こした行動により思い込みを強化してしまったのか、最終的には不明ですが。)

では、今度はポジティブ面についてです。

リンク先は、数千人の起業家、数十の企業への投資実績をもつ、ある投資会社の研究(投資家による見解のまとめ)です。

いわく、成功している起業家にはいくつかの共通した特徴があるそうです。
その内の一つとして、「自分は特別な存在である」という思い込みがあるとの事。

(P8を超意訳)
成功者の気質の1つ「自分は特別な存在である」という思い込み

成功者は、自分が他の人々より上位にいる存在だる、自分の仕事は独自性のある特別なものである、自分は普通の人たちが経験しないことを経験できる運命がある、という考えを持っている。
必ずしも傲慢であるとか、無駄に高い自尊心という話では無い。
それが、成功者自身の尋常でないスタミナや、カリスマ性に繋がっている側面がある。

Michael C. Dearin「The Five Cognitive Distortions of People Who Get Stuff Done」より

これも、そもそもとして「自分は成功する」という思い込みを持っていたのか、思い込んだからこそ成功につながるアクションをとれたのかは不明ですが、結果論として「思い込み」のポジティブ面が強くでた事例と言えます。

マインド・セットで行動が変わる

上記2つの事例は、私自身が既に触れている通り、ニワトリタマゴの話と受け止めることができます。

しかし、これもそうではありません。
マインドセットの話なのです。

成功しやすい思考、というものは長年の研究の蓄積が既にあります。

簡単にまとめると、成果を出せない人、成功する人で、次のように思考のフォーカスポイントが異なるそうです。

成果を出せない人は、自分自身の体面を重視しており、失敗する姿を人に晒したくないからか、挑戦を避けたり、壁にぶつかった時に簡単に諦めるとの事。
他人からのネガティブ・フィードバックは無視し、他人の成功を羨む傾向もあるそうです。

一方、
成功する人は、挑戦を楽しみ、壁にぶつかっても粘り強く挑み続けるとの事。
努力は成功に必要な道のりであり、他人からのネガティブ・フィードバックも学びのネタとして捉えます。
学ぶ事、成長する事。
こういった事に喜びを感じているのですね。

で、ニワトリタマゴの疑惑に話を戻すと、上記の思考と行動は、マインド・セットによって変わることが上記研究により併せて示されています。

===
4歳児の2つのグループに、成果を出せない人の思考(Aグループ)と、成功する人の思考(Bグループ)、それぞれ分けてインプットしました。
その後、パズル課題を与えると、Aグループは、失敗しない、簡単にできるパズルを選択し、
Bグループは難しいパズルにどんどん挑戦していきました。
Aグループは研究者に成功している姿を誇示し、BグループはAグループのチャレンジしない態度に困惑を示していました。
brainpickings「Fixed vs. Growth: The Two Basic Mindsets That Shape Our Lives」より

ようは、マインド・セット一つで、易きに流れるか、チャレンジ意欲を示すのかが、こんなにも変わる、という事です。

ここまで知れば、持つべき思考はわかるはずです。

「高い幸福度の決め打ち」「高い自己肯定感の決め打ち」です。

どうせ人生を送るのでしたら、面白おかしく生きれた方が良いに決まっています。
「思い込み」の力を意識し、「自分はイケてる」と決め打ちしてみましょう。

自分の心を最終的にコントロールすることができるのは、自分自身だけです。

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成功したかったら結局自分で努力するしか無い、という話

事業を成功させたい、会社で評価されて昇進なり昇給なりしたい。
向上意欲は人それぞれですが、多くの方が「今の状態よりは、良い状態になりたい」と望んでいるのではないでしょうか。
今回は、「成功したかったら結局自分で努力するしか無い」というテーマで書いていきます。

最近の話

先日、こんなツイートをしました。

最近、とある質問を受けるタイミングがありまして。
(数多くある質問の中の一つ、という事です。)

で、そのとある質問のレベルが、大変失礼ながら、率直に言って「ググれ」ばわかるものでして。

そのため、「ググろう」と返したのですね。

そうしたら、別の人経由で「質問がしにくくなるので、ああ言う突き放した物言いはやめて欲しい。」という要望が来たのです。

何か突き放したかのように受け止められたのであれば申し訳ないとも思いますし、
ググればすぐにわかるよ、というアドバイス自体も適切に伝わらなかった事も悪いと思います。

しかし、やはりもやもやとしたものも残ります。

成功したかったら結局自分で努力するしか無い

色々と考えたのですが、自分で調べずに答えを求める人の共通点として、
「希望とか要望は出すが、自分自身で実現するための努力はあまりしない」という点があげられると考えました。

例えば、お金がもっと欲しい、とします。

この場合、一番わかりやすい方法が昇給です。

昇給を勝ち取るためには、まずは成果を出し、その成果をもって評価者に「これだけの具体の成果を出したのだから昇給をお願いしたい」と交渉をするのが手っ取り早いです。
交渉が難航しても、「では追加でどのような成果をだしたら要求をのんでいただけるか?」と話、具体で言質を取るものです。

これは昇給を昇格と置き換えても同じです。

餌を与えられる雛鳥のように、昇給を待っていて、それが貰えるような恵まれた環境ばかりではありません。

自分自身で自発的に行動する方が、確率は圧倒的に高まります。
ようは、「成功したかったら結局自分で努力するしか無い」ということです。
(この場合の成功の定義は、昇給なり昇格なりを勝ち取る、ですね。)

上述ググろう話も根底は同じ話で、答えをもらえるのを待つという姿勢と、答えを自分で探しに行くという姿勢。
どちらが何かしらの成果につながりやすいか?
というと明確ですよね。

待ちの姿勢だと、それなりの待遇になるよ

なお、上記の話は、別に良い悪いの話をしているのではありません。

誰しもが昇給や昇格、事業上の成功、自分自身の成長等々を望んでいるわけでは当然にありません。
ですので、待ちの姿勢そのものを糾弾するつもりは、粉微塵もありません。

しかしです。

待ちの姿勢でいる、と決めたのならば、それなりの待遇になってしまう、という点に関しては自覚をした方が良いように思います。

世の中において、成功の程度に差はあれど、一定の成功を収めている人は、まぁまぁ結構なボリュームの自発的努力を行っています。
場合によっては、努力をしている、という自覚すらない場合も珍しくありません。
自覚して努力をしていても、努力をするのは当然である、という意識を持っている場合も同様に珍しくありません。

結構なボリュームの自発的努力があってはじめて、ようやく平均から気持ち飛び出た成功を手にできるのです。

逆に言うとです。

待ちの姿勢でいると、当たり前ですが、昇給や昇格などは会社の業績や評価者の判断に完全に左右されます。
安い給料で長時間働かなければいけない環境から脱することからは距離が遠くなってしまうでしょう。
やりがいのある仕事とやらも、与えられる可能性は下がるでしょう。
(自分でググれない、自分の頭で考えない人に、面白いやりがいのある仕事なんて、回ってこないですしね!)
何か自分でビジネスをやっているのならば、倒産も時間の問題でしょう。

このような事を承知の上で、自発的努力は嫌だ、待ちの姿勢でいたい、と言うのならば、それは価値観の問題ですので、他人がどうこう口を挟むものではありません。
その方の人生です。

しかしそうではないのならば、一度、自分自身の人生について、振返った方が良いように思います。


もしかしたら上から目線的に感じられた方もいらっしゃるかもしれません。

もしそう思われたら申し訳ないのですが、趣旨としては、努力の推奨にある点は強調します。

日本は、不思議なくらいに成功のための努力をしない国です。
逆に言うと、正しい努力をするだけで、(相対的に)簡単に成功を手にすることもできます(ここでの成功の定義は、社会的地位や金銭的な点を指しています)。
お金や時間、人間関係等々、多くの縛りから、少しでも解放される近道は、やはり成功です。
そして、それは言うほど難しいものでは無い、ということを繰り返し主張して話を締めます。

こちらの記事も参考にして見てください。

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反対意見も無視せずに聞こう

今回は「反対意見も無視せずに聞こう」というテーマで書いていきます。
先日、このようなツイートをしました。

組織のトップはエコーチェンバー現象に陥りやすい

今の時代、様々な言論・意見が飛び交い、各方面の見方・考え方を簡単に知れるようになっています。

一方、身近な生活ではどうでしょう?

情報化社会が進むにつれ、自分自身を取り巻く人たちは、多様な人たちではなく、自分自身と同種の、似た人たちになっていませんか?

家族は必然的に似通ってきますし、会社組織は結局の所、似た者同士の集まりになります。
そしてSNSでは更に似た者同士の集まりが強化されていきます。
(わざわざ、自分と違う人種の人たちと、積極的に繋がろうとする人って少数派ですよね?)

このような「似た者同士」の人たちに囲まれていくと起きるのが、エコーチェンバー現象です。
(閉鎖コミュニティに長く閉じこもっていると、同じような意見しか飛び交わなくなり、また自分自身の意見も肯定されやすくなる。このような環境において、自分自身の意見や主義主張・思想信念が正しいと思い、他の意見を認めず、排除するようになっていく現象のこと。)

そして、このエコーチェンバー現象は、優秀なはずの組織のトップ(社長とかですね)でも起きえます。

なぜならば、上のツイートでも触れた通り、わざわざ組織のトップに、反対意見を物申そうとする人はマイノリティであり、組織のトップには賛成意見の人ばかりで占められるからです。

組織のトップは、能力が高く、プライドも高い分、自分自身の考えが正しいと思いこみやすい性質もあるので、実はエコーチェンバー現象に陥りやすいポジションだったりするのです。

反対意見を無視してよいか?

さて、最近の言説として、「反対意見を言う人は、人の足を引っ張りたいだけだから、無視した方が良い。距離をおいた方が良い。」という話を聞きませんか?

ネットで大体のことができる世の中ですので、一つの組織だけでなく、別の働き方でも稼ぐことができます。
(起業などの)チャレンジの事例も共有されるようになり、チャレンジリスク自体も小さくなっています。

しかし、世の中の変化に対応できない、考え方をアップデートできない人は一定数存在します(それは別に悪くはない)。
そして、新しい事にチャレンジしようとすると、旧い考えの人や保守的な人たちから、何かしらの反対をされるのです。

このような背景もあり、「反対意見は無視して良い」という主張が目立つようになりました。

しかしです。
ここで冷静に考えてみましょう。

仮に、本当に自分自身の考えが間違っていたらどうでしょうか?
自分自身が欲しい、見聞きしたい情報だけを集めていて、実は情報の偏りが発生していたとしたらどうでしょうか?

誤った、偏った情報を元に行われた意思決定は、当然に間違っているリスクが高まります。

その意味で、反対意見を無視する事はリスクである、むしろ反対意見を元に考えをブラッシュアップした方が、元の自分自身の考えの質が高まる、と考えられるわけです。

そうは言っても反対意見を集めるのは難しい、どうする?

しかし、現実問題として、「反論OK」としても、率直な反対意見をもらえるとは限りません。
相手も一定躊躇しますし、やはり聞く側としても、気持ちの良いものではありません。

そこで有用なテクニックがデビルズアドボケイトというものです。
「あえての反論」とも呼びます。

「本当は反対じゃないんだけど、あえて、あえてで反論を述べるとしたら~~~」という形で、クッションを挟むのです。
会議のファシリテーター(もしくは会話の主導者)も、デビルズアドボケイトを促すのが良いです。
(つまり、コミュニケーションをとる人たち同士でデビルズアドボケイトというものが共有されていると良いですね。)

これなら、少しは気持ちよく反論を述べ合うことができます。

それでもやっぱり反論を言うのは難しい、聞いているとそれなりにもやもやして仕方が無い、とならば一人会議での利用です。

自分で自分に反論するなら、まぁまぁニュートラルにできるはずです。
是非、お試しあれ、です。

こちらの記事も参考にして下さい。

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高速で「習慣化」する方法

何かこれまで出来ていなかったことを「習慣化」したいと考える人は多いはずです。
しかし、習慣化には時間がかかり、3週間かかるという話もあれば、2ヶ月以上の時間が必要だ、という話もあります。
今回は、この時間がかかる習慣化を高速で行う方法について考えてみます。

「習慣化」かかる時間

さて、「習慣化」にかかる時間ですが、これは各所で語られている所なので、概要だけ示します。

結論、諸説があり、よくわかりません。

その上で、多くの場所で引き合いに出されている研究で示されている日数が「18日~250日以上」となっており、平均は「66日」との事です。

こちらの記事も参考になります。
記事内では、上記の日数が示されると共に、下記の2点について言及しています。

  • 習慣化に必要な日数ははっきりとはわからない
  • 簡単な行動ほど習慣化しやすく、難しい行動ほど習慣化しづらい

つまり、どれくらいかかるかわからないし、少なくとも長い時間が必要だ、という事です。

例示記事以外ですと、例えば下記のようなヒントも提示されていますが、やはり大変そうです。

  • 複雑なものより、簡単にできる小さなノルマから始める
  • 2日以上はサボらないようにする
  • とりあえず、66日間は続けてみる

これで話を終わらせては「チーン」ですので、もう少し考えてみましょう。

高速で「習慣化」する方法

それでは本題の、高速で「習慣化」する方法に入ってみます。

為念で言っておくと、これから書くのも所詮は「ヒント」です。
身も蓋も無いことを言うと、習慣化できる人は習慣化できますし、できない人はできません。
それ前提で、読んでください。

海外のニュース記事の投稿サイトの書き込みです。

米空軍での習慣化トレーニング法「10回以上の即時反復」

空軍の基本トレーニングでは、習慣化のために、次のことを短い時間の内に反復する。

1)指導教官が部屋の照明をオンにする ⇒ 訓練兵は即時に起床し、数秒でベッドメイクをする
2)指導教官が部屋の照明をオフにする ⇒ ベッドに戻り睡眠に入る
3)適度な時間を起き1)と2)を行う、以下繰り返し

これを続けて10回~20回繰り返すと、新しい習慣が身体に刻まれる。

日常のことに置きかえて考えてみる。

例えば「帰宅した時にコートを放り投げて散らかす癖を直したい」という場合。

1)帰宅したらすぐにクローゼットにハンガーにかけて吊るす
2)コートを着用し外出する
3)しばらくしたら帰宅し1)と2)を実行、以下繰り返し

これを10回ほど繰り返すと、帰宅するとコートを放り投げずにクローゼットに吊るす、という習慣が身に付く。

(原文)
LPT: Repeat a desired habit immediately >10x to ‘lock it in.’

In Air Force basic training the training instructors would turn on the lights and we’d jump out of bed and make the bed in seconds. Then they’d tell us to get back into bed, turn off the lights, and do it again (good times).

After ten or twenty repetitions in a row, your body gets the idea.

I used this recently to teach myself to hang up my coat when I get in. Enter home, walk to closet, hang coat on hanger. Grab coat, walk back out of home. Repeat ten or so times and it replaces ‘chuck your coat wherever’ reflex.

Edit: wrong version of hanger. Not where we kept our airplanes.

どう感じましたか?

筆者はこれを最初に読んだ時、「なるほど!」と思いました。

教育学における知見で「過剰学習」というものがあります。

「過剰学習」とは、簡単に言うと、身に着けた行動(実行可能な行動)を短期間に過剰なまでに繰り返すことにより、理解度の向上と、長期の定着を導ける、という知見です。

上記の空軍トレーニングは、それが本当に行われている事なのかどうかは果たして知りませんが、この「過剰学習」に通ずる所があるように思います。

結局の所、「人による」ということになるのでしょうが、何か新しい事を高速で習慣化したいと考えるならば、実行する価値はあるのではないでしょうか。


以上、高速で「習慣化」する方法について考えてきました。

なお、この種のノウハウやヒントについて、「それはいいね!」と反応を返す人は、まぁまぁいます。
しかし、実行に移して血肉にする人は、極めて限られます。

個人的には、「習慣化」に本当に必要な事は、「すぐに実行する」という行動マインドのようにも思いますね。

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「安楽早正」で改善を

「改善」は、仕事であろうがプライベートであろう関係無く、多くの人の関心事項です。
今回は、この改善について一つの切り口、「安楽早正」について考えてみます。

概念としての考え方を前半に、具体例を後半に提示します。

「安楽早正」とは

安楽早正(あんらくそうせい)とは、「もっと安く(安全に)、もっと楽に(楽しく)、もっと早く、もっと正しく出来ないか」という意味の言葉です。
同じ成果を出すのならば、安楽早正に越したことはありません。

そして、この安楽早正は改善のための一つの切り口になり得ます。

「安」

「安」は、もっと安く出来ないか?という思考です。

高額な外注業者。
使っている消耗品。
導入しているシステム類。

仕事をしていれば、身の回りには多くのコストが存在します。

漠然と仕事をするのではなく、この身の回りのコストについて考え、もっと安く出来ないか?という切り口で改善をするのです。

「もっとコストダウン出来ないか」
「もっと安いやり方は他にないか」
「その仕事を少なくすることは出来ないか」
「その仕事そのものを全部やめられないか」

こう言った問いかけしてみましょう。

なお、この「安」は安全の頭文字でもあるので、「もっと安全なやり方は無いか?」という捉えられ方もされます。
主に、工場のような製造や工事の現場などでの使われ方ですね。

「楽」

「楽」は、もっと楽に出来ないか?という思考です。

同じ成果に至れるのであれば、プロセスはシンプル、簡単な方が良いに決まっています。
シンプル・簡単であれば、ミスも少なくでき、出戻り仕事も減るでしょう。

「判断を楽に出来ないか」
「誰にもできるように出来ないか」

こう言った問いかけが重要です。

また、この「楽」を「楽しく」と捉える考え方もあります。
「もっと楽しく出来ないか」という事ですね。

同じ仕事をするのであれば、当然に楽しい方が、これもまた良いに決まっているので、この捉え方も重要でしょう。

「早」

「早」は、もっと早く出来ないか?という思考です。

年々、一人の従業員がこなさなければいけない業務量は増えている、と言われています。
つまり、業務のスピードアップに支えられているのですね。

「もっと短い時間で出来ないか」
「もっとスピードを上げられないか」
「誰もが早く出来ないか」

などの問いかけをしてみましょう。

「正」

最後の「正」は、もっと正しくできないか?という思考です。

「安」とも一部通ずる所があるのですが、正しく仕事ができないと、誤った箇所の修正、出戻り仕事が発生します。
ようは手間が増えるのです。

単純に手間が増えるだけならばまだ良いのですが、「やり直し」は通常、面白くなく、メンタルにくるものがあります。
予定外のミスが発生したのならば、業務全体の計画に影響を与える可能性もあり得ます。

「もっと正確に出来ないか」
「もっと簡単に出来ないか」
「誰もが間違えずにやる方法は無いか」

手間をかけずもっと正しく出来ないか?という切り口で改善に取り組んでみましょう。

なお、この「正」を不正が起きづらい業務設計に、という切り口で捉える場合もあります。
コンプライアンスは今の時代、当たり前といってよい話ですので、この視点も大事ですね。

事例

上の話は抽象性が高いので、具体例を3つ程あげてみます。

空港のクレーム「荷物の待ち時間が長い」を減らすには?

飛行機に乗った事がある方ならイメージがつくと思うのですが、荷物の待ち時間って非常に長いと感じませんか?
実際、空港の現場では、この待ち時間に対してクレームが度々発生するそうです。

このクレームを減らすにはどのような施策をとれば良いでしょうか?

ちょっとだけ考えてみてください。

答えは「荷物の受取り場所を飛行機の降機場所から遠くする」です。

人間は不思議な生き物で、ただじっと待つよりも、歩いている方が、イライラしないそうです。
同じ時間がかかるのに、です。

正に、安く(事実上コストがかかっていない)、楽に(負担は同じ)、早く(すぐにでも実行できる)、正しく(誰でも間違えずに実行できる)できる施策です。

工場トラブル「商品荷詰めミス」を減らすには?

次は工場です。

商品を箱に詰める場面を考えてみてください。

ある工場では、製品を箱に自動で詰めるラインが設置されていました。
このラインが問題で、度々、製品が入っていない「空き容器」が発生するトラブルが起きていました。
なんとか改善できないか?とプロジェクトが組成され、多額の費用を投じて重量を検知し、「空き容器」が発生した場合はラインが自動的にストップ、人の手により「空き容器」を除去できる仕組みが導入されました。
その後、この商品における「空き容器」クレームは全く無くなり、プロジェクトは成功か!と思われました。
しかし、実際に調べてみたら、この工場に導入された「空き容器」検出の直近の検知件数は、「0」だったとの事。
どういうことでしょうか?

ちょっとだけ考えてみてください。

答えは「何度もラインが止まり面倒だったので、「空き容器」検出器の前に扇風機を設置して、「空き容器」を吹き飛ばすようにした」です。

良いですね。
これも、(本来なら)安くでき、扇風機を置くだけでできラインが止まる手間も減り、置くだけなので早く実行でき、高い精度で成果を導けます。

トイレ清掃の手間「飛び散り」を減らすには?

最後はトイレ清掃の「飛び散り」問題です。
男性の方は、よくわかりますよね?

ある清掃業者やトイレを設置している方々が、これに悩み、「飛び散り」を減らせないか考えました。
そして、クリティカルに「飛び散り」を減らせるアイデアが出てきて実際に成果が出ました。

それは何でしょうか?
ちょっとだけ考えてみてください。

答えは「小便器に“的(まと)”を貼り付ける」です。

男という生き物は、何歳になっても子どもなのか、“的(まと)”があると狙いたくなるものです。
その的を狙って用を足すので、「飛び散り」が激減した、というのです。

これも、安く楽に早く、そして文字通り「正確」に的にあたった例ですね。


以上、「安楽早正」の切り口で改善について考えてみました。

仕事というと真面目なもので、「怠ける」という事が許されないような感覚を持っている方もいるかもしれないのですが、同じ成果を出せるのであれば、安く安全に楽に楽しく早く正しく不正が起きないやり方ができるならば、そちらの方が当然に良いと思いませんか?

「安楽早正」で改善し、本質的な所にフォーカスできるよう、取り組んでみてください。

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サブディスプレイ使用者必見~外付けGPUのすすめ~

リモートワークが増え、自宅でもサブディスプレイを使用される方も多いのでは無いでしょうか?
それなりのスペックのPCでも、外部ディスプレイを使用して、大量のタブやExcelを開くて、まあまあ処理が重くなります。
そんな時におすすめなのが「外付けGPU」です。

外付けGPU(eGPU)とは

そもそもGPUとは

まず、そもそもとしてGPUって何?という方も多いでしょうから、ここから解説します。

GPUとは「Graphics Processing Unit」の略で、パソコンにおける、主に画像処理を行う、パソコンにおける「脳」のようなものです。

市販のパソコン(特にノートPC)は、このGPUが搭載されていない場合が多く(正確にはチップセットに内蔵されている)、画像処理は苦手なのが一般的です。

そのため、サブディスプレイ(外部ディスプレイ)を使用して、大量のExcelや、Webブラウザのタブを開いて仕事をしていると、結構処理が重くなります。

そこでおすすめなのが外付けGPU(eGPU)です。

外付けGPU(eGPU)

外付けGPUとは、文字通り、外付けのGPUです。

外付けのHDDやSSDを接続してデータを保存する方は結構いらっしゃると思いますが、あんな感じでパソコンに接続して使うイメージになります。
(多少、大きいですが。)

この辺の動画を見ると、よりイメージが湧くかな、と思います(外部動画)。

注意

パソコン側が「Thunderbolt 3」に対応していることが前提になります。

最近のPCは対応しているものが多いですが、まだ未対応製品も多いので、よく確認してください。

「仕様」を見るか、メーカーに問い合わせると良いでしょう。

どれくらい処理が軽くなるのか?

論より証拠かな、と思いますので、実際の数字を提示します。

ブラウザを2つ使用し30個位タブを開いた状態で、適当なYoutube動画を流した時のタスクマネージャーの処理状況です。
ノートPCのスペックはCOREi7(第8世代)、メモリ16GBのまぁまぁなスペックのものです。

まず、ノートPC単独です。

次にサブディスプレイ(4K)を接続した状態です。

最後に外付けGPUを接続した場合の状態です。

これをまとめると次のようになります。

ノートPC単独サブディスプレイ接続(4K)eGPU使用+
サブディスプレイ
CPU13%31%20%
メモリ9.3GB9.9GB10.8GB
GPU0(内臓GPU)10%34%15%
GPU1(外付けGPU)35%
外付けGPU接続との比較一覧

明らかにCPU利用率、内臓チップセットのGPU利用率が低下しています。
外付けGPUの効果は、数値上は明確ですね。

これはタスクマネージャーのCPUやGPUの使用率のデータだけでイメージがつきづらいかもしれません。

その上での定性情報なのですが、実際のPC使用において、ExcelやGoogleスプレッドシートの計算をしながら、他の事も並行して作業している、という状況だと、ノートPC単独だと動作がカクカクになりがちです。
これが外付けGPU使用だと、カクカクする場面が明らかに減ります。

体感上も明確にスペックアップしている感覚があるのです。

もう一つ、パソコンの発熱も抑えられるので、低温やけど対策にも、多少はなります。

具体的な製品は?

別に企業の回し者でも無いですし、アフィも別にやっていないので素朴な商品紹介です。

私が使用しているのは、Razer社のCORE Xです。
これに、適当なGPUを自分で刺して使用しています。

とりあえずAmazonの直リンク貼っておきます。

Mac使用でしたら、こちらのサイトから推奨品を購入できます。

Apple社「Macの周辺機器」より

会社支給のPCだとスペックに制限もあるでしょうし、個人使用だとこだわりがある人でも無ければ格安品を買うでしょう。
そんな中、重い状態で作業をするのは辛いものです。

さらに、ノートPCだと、改造も難しいです。

ですので、「動作が重いなぁ?」と感じたら外付けGPUを検討するのは有りだと考えています。
まぁまぁなお値段はしますが、結構クリティカルにスペックアップを図れるので、個人的にはおすすめです。

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生産性・業務効率化

ビールを注がれると嬉しいか?~気遣いの本質~

あなたは飲みの席で、ビールを注がれると嬉しいでしょうか?
もちろん、嬉しいと思う人もいるでしょうが、当然にそう思わない、我慢しながら付き合っている人もいます。
今回は、気遣いの本質について、考えていきます。

飲みのマナーではビールを注ぐ、となっているが。

世の中には色々な見方、意見があります。

このタイトルですと、下記のような記事がそうです(外部記事)。

https://ameblo.jp/b-poplar-s/entry-11995377405.html
https://www.kirin.co.jp/entertainment/wine_academy/comic/winemanner/02.html

内容は、手酌はいけないよね、注いでもらったり、相手に注いだりしましょう、というものです。

これは一つの観点として正解だと思います。

一方で、別の解もあると考えています。

ストレートに相手に聞いた方が良くないですかね?

人によってはビールが苦手な人、他のお酒を飲みたい人、そもそもお酒が苦手な人がいます。
自分のペースで飲みたいから、手酌が良い人もいます。

人によって、何を快適に感じるか、全く異なるのです。

ここで考えて欲しいのですが、マナーや気遣いって、相手に喜んでもらうためにありますよね?

相手に、何かしらの我慢や負担を強いるものは、それはもう、マナーや気遣いと呼べないと思います。

この場合、ストレートに相手に聞いた方が良いと思うのです。

注ぎましょうか?

他に何か注文されますか?

手酌の方が良かったりしますか?

もちろん、言うタイミング、や言うトーンはあると思いますが、基本的には相手の好みを直接聞いて、それに合わせる方が良いと、私は考えます。
(聞かずに、相手の仕草等から察しろ、という意見も、またあるかと思います。)

別にビールを注ぐ話に限らない

この話は、別にビールを注ぐ、注がないの話に限ります。

世の中には多様なマナーや気遣いが存在します。

  • 乾杯の時のグラスの高さ
  • ラベルの向き
  • 注ぎ方
  • 注がれたら一口つける
  • 上座・下座
  • 手土産
  • へりくだる言葉遣いや態度
  • etc…

当然、宴席だけに限りません。
ほんの一例ですが、電話のメモ書きを紙で貰っても、捨てる手間があるので、メールやチャットでもらえた方が嬉しかったり、です。
(紙のメモでもらった方が、忘れないから嬉しい、という人も、当然にいらっしゃるでしょう。)

繰り返しますが、マナーや気遣いは、相手次第なのです。

相手にあわせて、適時カスタマイズを加えていくものなのです。

こちらの記事も参考にしてみてください。


以上、ビールを注がれると嬉しいか?と題して、気遣いの本質について考えていきました。

なお、結構なレベルで万能性が高い気遣いが、たった一つだけあります。

それは、相手を好きになる事です。

人は、自分に対して好意的な相手には、同様に好意を感じるものです。
(別の男女の話では無く、一般的な人間関係の話ですよ。)

へりくだりましょう、という話では無く、相手にポジティブな敬意と関心を示しましょう、ということです。

マナーや気遣いを考え始めると、人間関係の話ですので、答えのない問いで迷うことになってしまいますが、この基本的なことを常に意識しておけば、概ね間違いは無いように思いますね。

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生産性・業務効率化

成功事例をそのまま真似しても意味がない~生存者バイアス~

生存者バイアス、という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
世の中には、大企業が導入している最新の制度、成功者がやっている習慣、等々、様々な成功事例があふれています。
これらは、体系化されているものであったとしても、生存者バイアスにとらわれている場合が珍しくありません。
今回は、成功事例をそのまま真似しても、あまり意味が無いよ、ということを考えていきます。

生存者バイアスとは

生存者バイアスまたは生存バイアスとは、何らかの選択過程を通過できた人・物・事にのみを基準として判断を行い、通過できなかった人・物・事は見えなくなるため、それを見逃してしまうという誤謬である。選択バイアスの一種である。

生存者バイアスの例として、ある事故の生存者の話を聞いて、「その事故はそれほど危険ではなかった」と判断するという事例がある。それは、話を聞いた人が全て「生き残った人」だからである。たとえ事故による死者数を知っていたとしても、死んだ人達の話を聞くことはできず、それがバイアスにつながる。

Wikipediaより

この解説にある通りではあるのですが、本記事での生存者バイアスとは、成功者が語ったことが成功事例になってしまう、ということです。

逆の表現をすると、死人に口なし、ですね。

そして、世の中には、様々な成功事例、成功手法の情報があふれています。
ベンチャー企業や、成長志向の高い方が、こぞって、それらの情報に触れ、活用することに取り組んでいます。

これで、果たして同じように成功することができるのでしょうか?
そんなわけ無いですよね。

(ここでの成功の定義は、とりあえず、企業であれば売上・利益がのびること、個人であれば収入が増えること、をイメージしています。
個々人により、成功の価値観や、シチュエーションによる定義は異なりますが、それらはいったん脇に置いて考えて下さい。)

成功企業、成功者の事例をそのまま真似しても、あまり意味がない

筆者が最近、この点を指摘した事例が、先進的なベンチャー企業を中心に取り入れられているOKRや1on1です。

OKRをはじめて知った時に感じたことは、上記記事でも記載をしていますが、結論から言って「OKRでできることって、別にOKRである必然性がない」という点です。

ストレッチ手法であり、適切に運用すれば効果があるであろう、ということはわかるのですが、別の方法。
例えば、ストレッチ目標を置いたKPIに、その他のイノベーション手法を組み合わせれば、それでも問題が無いはずです。

また、どこまで行ってもツールですので、そのツールの運用に習熟する必要があります。
逆に言うと、習熟していない状態で形だけ導入しても、現場が混乱するはずです。

1on1も同様です。

何か気になったことがあれば、1on1の場を持つまでも無く、その場で指導すれば良いはずですし、
コーチングとティーチングをごっちゃにしてマネジメントを失敗している管理職なんて珍しくありません。

結局、信頼感と現場を良く見れているかどうかが問題であり、つまるところ管理職の力量次第なのです。

1on1を導入してうまくいっている会社は、1on1を文化や得意手法としている、というだけで、別に1on1をしなければ企業の成長、現場のマネジメントができない、ということにはならないはずです。

(これらの手法を取り入れていても、消え去っていったスタートアップ/ベンチャー企業が山ほどあるのは、容易に想像ができますよね?)

まとめ

この2つの話は、ほんのごくごく一部の事例です。

他にも、下記の記事が参考になりましたので、見てみると勉強になるかと思います(外部記事)。

https://blog.hubspot.jp/survivorship-bias

重要なのは、成功事例や手法があったとして、

  • その本質は何か?
  • 運用の難易度はどれくらいか?
  • どのようなシチュエーション,環境で適合するのか?

ということを、しっかりと見極めることでしょう。

形から入るのが決して悪いとは思いませんが、導入すること自体が目的化してしまっているベンチャー企業を多々見ます。
まあまあありふれた話題ではあるのですが、ここに警鐘として書き留めました。

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生産性・業務効率化

リモートワークって結局、良いの?悪いの?(ポジション・トークの話)

今回はポジション・トークの話です。
リモートワークって結局、良いの?悪いの?
どちらなのでしょうか?

世の中の言説は、結局の所「ポジション・トーク」

ポジション・トーク、という言葉を聞いたことがあると思います。

主に金融の世界で使われる言葉なのですが、一般用語としても当たり前に使われます。

使われ方、意味合いとしては次のようになります。

「それぞれの立場から自分に都合の良いことを言う。」

では、このことを前提にリモートワークって結局の所、良いのでしょうか?悪いのでしょうか?という点を考えてみたいと思います。
(推進した方が良いのか、これまでの会社への出勤形態の方が良いのか。)

結論、どちらの立場でも物を言えてしまいます。

良いとする立場(推進派)

一例ですが、リモートワークを推進する立場からの発言です。

リモートワークは非常に効率的だ。

通勤の時間で無駄に消耗しないし、自分にとってリラックスできる空間で仕事ができて効率的。
余計な雑談や、会議のような時間の無駄も減らせる。

リモートワークに反対するのは、時代遅れの人間のやることだ。

なるほど、と思います。

ロジカルシンキング的には下記ポイントがあり、「リモートワークは良い、反対するのはおかしい。」と言っているわけです。

  • 通勤時間の削減ができる
  • 集中できる環境で仕事ができる
  • 見えていなかった業務上の無駄が明らかになる

他にも色々な観点で物が言えそうです。

考えられる点としては、次のようなポイントを列挙できます。

  • 遠隔地の優秀な人材を雇用できる
  • オフィスを縮小化できるので固定費削減になる
  • 育児や介護などの問題で働けなかった人が働けるようになる

ふむふむ。

これだけ聞くと、リモートワークを推進しない手はないじゃないかぁ!となるのは短絡的です。

反対の立場からでも考えてみましょう。

悪いとする立場(出勤派)

リモートワークはかえって業務効率を下げる。

まず、何か新しいことを教えるにも、非常にやりづらい。
新人教育や業務引継をどうすれば良いのか。
次に、何をやっているのか見えづらいから、プロセス、頑張りを評価することもできない。
また、顔が見えないが故に、疲れているのか、精神的に参っていないか、の把握も遅れる。
実際に、休職者が増えている。

やっぱり、リモートワークを無理に推進しようというのは、極端な意見だ。

確かに、論理構造としては全くおかしくありません。

主張は次の3点でもって(多少、肉付けしています)、「リモートワークは悪い、推進するのは極端な意見だ。」と言っています。

  • 特に新人を中心に、教育上の問題がある
  • (仮に業務記述書を作成したとしても)プロセス評価がしづらい
  • 業務負荷・メンタルケア上の問題がある

こちらも、良いとする立場と同様、他にも色々な観点で物が言えます。

  • 情報漏洩のリスクが高まる
  • コミュニケーション不足になりチーム・ビルディングに影響する
  • 意図しないコミュニケーションで発生する、新しいアイデアの創発に弊害が出る
  • リモートワークに対応する機器やシステムの導入が必要だから追加コストがかかる

ここまで見てきて、どう感じたでしょうか?

ポリシーの明確化が重要

ようは、人が何か主張をしようという時は、何かしらの立場があって発言をしている、ということです。

つまり、ポジション・トークなんですね。

ニュートラルに会社の立場で考えて発言している、と言っても、結局それは従業員側からしてみれば、会社側からのポジション・トークになるわけです。

では、ポジション・トークが悪いのか?というとそうではありません。

一番重要なのはポリシーの明確化です。

うちは資金も十分にある。
無理に社員を出勤させて万が一何かあっては、レピュテーション・リスクとか、むしろそちらの方が問題だ。
今回はリモートワークを推進する方向性で進める。

でも良いですし。

この状況は、会社にとって大きなチャンスだ。
それに冷静に調べれば、手洗い・うがい,マスク,消毒液をはじめ、当たり前の対処をすれば感染リスクも無い。今は、このチャンスを獲得することを優先する。
社員には、何とか出勤する方向で納得してもらう。

でも良いでしょう。

(どちらの選択をして、従業員や顧客、社会がどう思うかは、ここでは別の話として。)


リモートワークの良し悪し、効率・非効率の話をしても、あまり意味がありません。
所詮は、どこまで行ってもポジション・トークだからです。

真に会社にとって必要なことは何か?

この観点で物事を考え、ポリシーを明確化し、意思決定を行っていくのが良いでしょう。
(まぁ、この締めくくりも会社という立ち位置で書いているので、ポジション・トークですし。)

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