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統計・経済

家電大型専門店 販売額統計(2020年6月)

経産省「商業動態統計」の6月分が更新されています。
前回の4月分から2ヶ月が経過し、どのように状況が推移しているのか、見ていきます。
全体的に劇的な回復を見せています。
給付金の影響のようですね。

前回(2020年4月)はこちらです。

家電大型専門店の販売額概観~劇的に回復~

まず、全体概観です。

家電大型専門店販売額全体 経産省「商業動態統計」より

2020年6月の家電大型専門店の商品販売額は4,728億円,前年同月比25.6%の着地となりました。

これは10万円の給付金の影響です。

アンケートの結果によると、家電製品に給付金を使用する、と回答した方が約15%いるそうです。

WEB東奥「給付金の使い道、生活維持まず優先の風潮」2020年5月23日 より

25.6%の前年比ですので、金額的には約1,000億円の増加です。

人口1億2千万円の内、約15%の方が家電製品に使いたいと考えていて、全員が実際に買うとは限らない、全額を使うとは限らない、ということを考えても、まだまだ少ない増加額、という印象です。
7月・8月も継続して増加傾向が続く可能性があります。

この反動減が来年来るのでしょうが、来ると分かっていれば備えはできるはずです。

一定、家電業界は問題が無い水準まで、コロナ影響から回復したと判断して良いでしょう。

商品種別の販売状況

次に商品種別で見てみます。

家電大型専門店販売額 商品種別 経産省「商業動態統計」より
家電大型専門店販売額前年同月比 商品種別 経産省「商業動態統計」より

やはり、主に外出して使用する「カメラ類」は厳しい状態が続いています。
スマートフォンのカメラの進化もまだまだ続くでしょうから、今後、カメラ業界の再編が起きる可能性があります。

情報家電、つまりパソコン類の販売は、リモートワーク移行時の3月~5月で落ち着いた様子です。

一方、生活家電・AV家電は大幅な伸びを示しており、給付金が主にこの種の商品に流れたことが読み取れます。

地域別の状況

まずは2020年4月の状況を改めて提示します。

都道府県別家電大型専門店販売額前年比 経産省「商業動態統計」より

次に2020年6月の状況です。

都道府県別家電大型専門店販売額前年比 経産省「商業動態統計」より

この通り、全都道府県において、大幅な増加となっています。

東京や大阪のようなエリアの伸びが小さいのは、まだ感覚的に理解できるのですが、神奈川や愛知、広島でも伸びは大人しいです。
おそらく、元々の数値が相対的に小さい地方の消費に対して、給付金をつぎ込んだ分の消費額が大きく、相対的に大幅な伸びになっているのであろう、と考えられます。

なお、店舗数の増加傾向も見られます。

家電専門店店舗数推移 経産省「商業動態統計」より

数字が伸びているから、ということなのでしょうが、反動減が来年に発生することが容易に想像できる中、この増加は関心できません。

家電業界の経営者は、少し冷静の状況を考えた方が良いでしょう。

当該資料のまとめは、また2か月後位にアップデートする予定です。

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統計・経済

コンビニエンスストア販売額統計(2020年6月)

経産省「商業動態統計」の6月分が更新されています。
前回の4月分から2ヶ月が経過し、どのように状況が推移しているのか、見ていきます。
全体的にかなり回復傾向が見られますが、未だ途上です。

前回(2020年4月)はこちらです。

指数ベースでは回復

まず、全体概観です。

コンビニ商品販売額全体 経産省「商業動態統計」より

コンビニ商品の販売額全体は9,596億円、前年比▲5.1%という着地になっています。
指数ベース(2015年=100)では105.6と、一定の回復が見られます。

▲5%は、小売店レベルで考えれば、まだまだ大きいマイナスですので、回復が見られるとは言え、途上と言えるでしょう。

なお、6月はリモートワークから従来出社に戻した企業もいるであろう状態の数値と見られ、今後、継続してリモートワーク推進が社会全体で進んでいくことを考えると、厳しい市場環境が継続する可能性はあります。

商品別の販売指標

それでは、商品別に推移を見ていきましょう。

区分は下記の通りです。

日配食品:(ファストフード含め)お弁当、おにぎり、サンドイッチ、消費期限設定されている生鮮食品など
加工食品:飲料、カップ麺、お菓子などの賞味期限設定がされているもの、冷凍ものなど
非食品:食品以外の雑貨、雑誌、ゲームなどの商品
サービス:コピー、宅配便、チケット、プリペイドカードなど

コンビニ商品別販売額推移 経産省「商業動態統計」より

このグラフの通り、サービス以外の区分で数字が改善しています。

コンビニ商品別販売額前年比推移 経産省「商業動態統計」より

前年比ベースで見ても、非食品は前年比を上回る状態、日配食品・加工食品も約▲5%前後までは回復してきています。

サービス売上が落ちている理由として、チケット売上など外部要因も大きい点もあげられるので、しばらくは回復の見通しは立たないでしょう。
全体の影響は小さいので、成りに任せるのが良いでしょう。

コンビニ商品別販売額指数推移 経産省「商業動態統計」より

なお、販売指数で見ると、サービスを除き、全て100を上回っている状況です。

地域別の状況

最後に地域別の状況です。

まずは前回の2020年4月単月の図表。

コンビニ商品販売額および前年比,地域別の状況 経産省「商業動態統計」より

次に2020年6月単月の図表です。

コンビニ商品販売額および前年比,地域別の状況 経産省「商業動態統計」より

全体傾向として、観光地、そしてリモートワーク移行が多いであろうエリアの落ち込みが大きい状況には変化がありません。

落ち込み幅自体は、大きく改善しています(縮尺は良く見て下さい)。

東京・大阪のような、主要なビジネスエリアは、一度リモートワークに振り切って完全移行した企業が、そうそう簡単に従来型出勤に戻すとは思えないので、今の状況(約▲10%)が固定化する可能性が考えられます。
▲10%は小売店としては、甚大な影響ですので、ビジネスエリアを中心に、廃業するコンビニが続出したとしても全く不思議では無いでしょう。
(前述している通り、6月は従来型出勤に戻った企業もある前提の数字なので、一定、withコロナ時代のスタンダードの数字に近い状況と思われます。)

各種報道を見ていると、コンビニ・ユーザー自体の傾向や消費動向が変わっているとの事。
消費者のニーズにマッチした柔軟な変化対応ができる所が生き残り、パイを占有する状況になるでしょう。

当該資料のまとめは、また2か月後位にアップデートする予定です。

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統計・経済

外食産業回復状況~2020年6月期前年比~

2020年6月期時点、外食産業のコロナ影響の回復状況を見ていきます。
中華、寿司系、焼き肉は数字が戻りつつあるも、まだ▲10%前後の売上高。
回復途上にあるのが和風ファストフード(丼もの系)、麺類、ファミレス、喫茶、ディナーレストラン。
居酒屋/パブ系は未だ厳しい状況にあります。

資料出典は一般社団法人日本フードサービス協会です。

回復状況のグローピング

2020年6月時点での回復状況をグルーピングすると下記のようになります。

A ファーストフード-洋風
B ファーストフード-寿司系
B ファミレス-中華
B ファミレス-焼き肉
BC ファーストフード-和風
C ファーストフード-麺類
C ファミレス-洋風
C ファミレス-和風
C ディナーレストラン
C 喫茶
D パブ/居酒屋-合計

Aグループ:ほぼほぼコロナ影響を受けなかった
Bグループ:概ね数字が戻っているものの、未だ▲10%前後の回復状況
Cグループ:回復途上にあり▲40%~▲60%の状況
Dグループ:産業として危機的・壊滅的状況にある(▲40%ライン)

売上高前年比

Aグループの洋風ファストフード、つまりハンバーガー等は、コロナ影響に強く耐えていたものの、6月は数字が落ち込みました。
緊急事態宣言明け後、他業態に顧客が流れたのが要因でしょう。

Bグループの寿司系、中華、焼き肉系は、ようやく▲10%前後まで数字が回復してきました。
寿司や焼き肉は、ハレ要素があるので、緊急事態宣言明け後の解放ムードのなかで消費が回復したのでしょう。
中華は、お一人様需要に対応しやすい業態であり、ハンバーガーや丼もの系でルーチンをまわしていた顧客が流れたものと考えられます。

和風ファストフード、つまり丼もの系等は、元々、数字の落ち込みが激しくなかった業態なのですが、今一つ数字が回復しません。
そのためBとCの中間、という位置づけにしています。
安定して利用されてはいるものの、ビフォーコロナのような活況には戻らない可能性が高くなってきました。
▲10%前提で事業設計をしていった方が良い業態と考えられます。

Cグループは回復途上ですが、急激に数字が戻りつつあります。
7月の数字公表に期待です。
ラーメン系、ファミレス、ディナーレストラン、喫茶系です。
ただ、ビジネスエリアで展開しているラーメン系、ディナーレストラン、喫茶系は7月も回復は厳しいでしょうし、今後数字が戻るイメージが描けません。
早々に事業戦略の見直しを図った方が良いでしょう。

居酒屋/パブ系は非常に厳しい状態です。
ものすごく大きなくくりで、夜の街、としてネガティブな見方もされてしまっています。
ビジネスエリア展開しているお店も多く、産業として危機的状況にあると言えます。
お店そのもののバリューが無い所から、順々に消滅していき、最悪、従来の半分ほどまでお店が減る可能性があります。

客単価前年比

客数の前に客単価の推移を見ましょう。

この通り、概ね数字が正常化されつつあります。
ハンバーガー系は未だ好調ですが、こちらも数字が元に戻りつつあります。

消費者心理として、客単価に関しては、一定の落ち着きが見えたと言って良いでしょう。

客数前年比

上記の通り、客単価は概ね正常化しつつあります。

つまり、売上高に影響を与えている要素は客数です。

こうして見ると、Aグループのハンバーガー系も客数という観点では中々厳しい戦いをしていることがわかります。

客単価で稼ぐ方法にも限界があるでしょうから、今後、各社とも継続して厳しい生存競争環境に晒されることとなります。

ここが如何に回復するか?が外食産業の運命の分かれ道です。


7月も間もなく終わります。

この先1,2週間で主要な会社の数字は出てきます。

Cグループ、Dグループは、そろそろ限界に達する事業所がマジョリティになってくるはずです。
7月の数字の状況、注視が必要です。

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統計・経済

新型コロナ感染者数が再増加している件について

新型コロナウイルスの感染者数が再び増加し、不安に思われている方も多いでしょう。
ただ、結論として不安に思う必要はありません。
その理由を解説していきます。

なお、感染されてしまった当事者、そのご家族、親族の方々。
持病等があり不安に思われている方などを貶める意図は全く無いので、ご了承ください。

単純に検査数が増えている

「過去最多」

こんな言葉が踊っています。

特に東京の数は凄いです。

東洋経済オンラインのまとめより

ただ、冷静に資料を見て欲しいのです。

こちらはPCR検査人数の推移です。

新型コロナウイルス感染症対策サイト

東京のPCR検査人数ですが、直近は、3月の10倍超、4月比でも約8倍の数になっています。

つまり、検査が増えたのだから検出される人数も増えるよね,というだけの話なのです。

(後、新宿区の感染者への見舞金10万円、これは逆効果ですね。)

偽陽性(陰性感染者)の存在

以前にこちらの記事でも解説した話ですが。

PCR検査は高感度の検査技法ではありますが、100%の感度があるわけではありません。
仮に、PCR検査を感度70%・特異度99%、感染者総数を5千人とし、10万人を対象に検査した場合ですが、次の図のように感染していないが陽性とでる方や、逆に感染しているのに陰性とでる方が発生します。

このように、1,500人の感染しているのに陰性と出た方、逆に950人の感染していないのに陽性と出た方、つまりエラーが発生するのです。

今現在もこの状況は発生しているはずで、「陽性」と出た方で、一体全体、どれだけの非感染者が含まれているのでしょうか。

何を指標にして警戒すれば良い?

シンプルに重症者数で見るのが良いのではないでしょうか。
こちらは、全国の重傷者数の推移です。

このグラフを見る限り、大きな問題があるようには思えません。

必要なこと

この状況下で必要なこと、それは当たり前のシンプルなことです。

人混みの多い場所ではマスクをする。
外出したら、手洗い、うがい、洗顔、入浴、着替え、のこれらをする。

日本では、肺炎による年間の死者数が約100,000人、インフルエンザによる年間の死者数が約3,000人、残念ながら出てしまいます。
(インフルエンザに関しては、ワクチンも特効薬も存在するのに。)

つまり、新型コロナウイルス感染症に限らず、当たり前にこれらのことをしましょう、という話です。

下記記事も参考にしてみてください。

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統計・経済

ホームセンター 販売額統計(2020年4月)

経産省「商業動態統計」にて、2020年4月のホームセンターの販売額統計が更新されました。
DIY用品や園芸用品など、外出自粛の影響を受けたものと思われる伸びが目立つ着地になっています。
一方、カー用品、アウトドア用品、オフィス用品は大きくマイナスしています。

ホームセンターの販売額概観

販売額全体としては、2,985億円と、前年同月比+4%の着地になっています。

ホームセンター販売額全体 経産省「商業動態統計」より

ドラッグストアなどと同じく、大きく2つのスパイクがあります。
1つが消費税増税前の駆け込み需要で、もう一つがコロナ影響です。
コロナ影響とは、1月に起きた品薄報道に関連した、買占騒動によるものです。

グラフは掲載していませんが、店舗数は約4,360店舗で、ここ数年で若干微増も概ね横ばいとなっています。
前年比割れを起こしている月もあるので(消費税増税前の駆け込み需要反動を除いても)、日本におけるホームセンター需要としては、概ね現在のサイズ感と言えるでしょう。

商品種別の販売状況

商品種別で見てみると、ホームセンターの売上はDIY用具・素材と家庭用品・日用品が、大きく占めていることがわかります。

ホームセンター販売額 商品種別 経産省「商業動態統計」より

2020年4月は園芸・エクステリアも大きく伸びています。
これは、毎年4月5月は園芸・エクステリアの分野が伸びているので、例年のことと言えばそうなのですが、例年以上の伸びを示しており、コロナ影響を受けた、外出自粛による家庭消費の増加が大きく反映されていると考えられます。
(毎年4月5月は、季節的に園芸に向いていること、新年度にあわせて生活も新しくなり自宅を整える需要が伸びることなどが影響し、毎年伸びる。夏は暑く、冬は寒いし園芸に向いていない季節なので消費が落ち込む。)

ホームセンター販売額前年同月比 商品種別 経産省「商業動態統計」より

前年同月比ベースで見てみると、DIY用具・素材、家庭用品・日用品、電気、園芸・エクステリア、ペット用品、その他商品で、+5%~+10%あたりの伸び幅となっています。

WEB会議の浸透でインテリア消費が伸びるかと思ったのですが、+0.3%という結果であり、それほどの伸びがありませんでした。
これは、少し予想外の結果です。

大きく落ち込んでいるのがカー用品・アウトドア用品、オフィス用品類です。
外出自粛、リモートワーク移行の拡大が大きく影響しているのでしょう。

地域別の状況

都道府県別に見ると、マイナスしているのは東京のみで▲24.0%となっています。

都道府県別ホームセンター販売額前年比 経産省「商業動態統計」より

それ以外の地域は軒並みプラスの着地になっています。
大阪もマイナスになっておかしくはない、とは考えていましたが、大阪で働いている方は、居住地も大阪の場合が多いので、リモートワーク移行の影響を受けにくいことは指摘できます。

リモートワーク移行が固定化し、郊外や地方の居住を望む方が増えれば、東京のホームセンター需要は継続して落ち込むことが考えられます。
東京以外のエリアでは、むしろこの機会を活用する形で、DIYや園芸などの実用趣味を啓もう拡大する方向でマーケティングをすると良いかもしれません。

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統計・経済

ドラッグストア 販売額統計(2020年4月)

経産省「商業動態統計」にて、2020年4月のドラッグストアの販売額統計が更新されました。
その他業界とは異なり、大きく数字を伸ばしています。
また、地域のインフラとしても機能している面が見えてきました。

ドラッグストアの販売額概観

2020年4月のドラッグストアの商品販売額は6,161億円と前年同月比+10.4%の着地となりました。

ドラッグストア販売額全体 経産省「商業動態統計」より

グラフを見るとわかるように2回のスパイクがあります。

2019年9月は、消費税増税前の駆け込み需要による販売の伸びです。
前年同月比L21.8%なので、ものすごい数字ですね。

2回目のスパイクは2020年2月で、前年同月比+19.1%となっています。
この要因を先に書くと(商品別で見た方がわかりやすい)、買占め騒動の影響によるものと推測されます。

なお、店舗数別で見ると、ドラッグストアの店舗数は年々増加を続けていることがわかります。

ドラッグストア店舗数 経産省「商業動態統計」より

販売額が全体として伸びている要因として、店舗数の伸びも指摘できるでしょう。
数字の伸び幅からして、ドラッグストアが地域のインフラとして機能していること、また、まだまだ需要がありそうだということが感じ取れます。

商品種別の販売状況

商品種別に見ると、明暗が分かれることがわかります。

まずは販売額の推移です。

ドラッグストア販売額 商品種別 経産省「商業動態統計」より

食品と家庭用消耗品(トイレタリーやペット用品含む)がドラッグストアの販売額におけるボリュームが大きいことがわかります。
従来、スーパーが流通を担っていた商品なので、この点からも地域のインフラとして機能しているということを支持できます。

食品の伸びは、リモートワーク移行、外出自粛の影響により家庭内消費の増加によるものでしょう。

ドラッグストア販売額前年同月比 商品種別 経産省「商業動態統計」より

前年同月比で見ると、2月のスパイクの要因がわかります(推測がつく)。

衛生用品類(介護用品、ベビー用品)の伸びが顕著で、おそらく買占め騒動の影響によるものと考えられます。
他の商品類も概ね伸びているので、「せっかく来店(もしくは並んだ)したのならば、他のも買っていこう」「他の商品も品薄になってしまうかもしれない」という心理が働き、全体的に数字が伸びた結果になったのでしょう。

(衛生用品類のスパイクは2020年1月だが、衛生用品類はボリュームそのものは小さいです。
買占め騒動による品薄報道が広がり、それを受けて2月に不安に駆られた消費者が殺到し、幅広く様々な商品を購入していったものと考えられます。
また、2月はまだリモートワーク移行の影響も少なく、化粧品類のマイナス幅が小さいこともスパイクを大きくしている要因でしょう。)

面白い、と言っては不謹慎なのですが、かなり社会と人々の動きが反映されたグラフになっています。

地域別の状況

都道府県別に見てみると次のようになります。

都道府県別ドラッグストア販売額前年比 経産省「商業動態統計」より

大阪や東京は、リモートワーク移行の影響を受けているのか、マイナスの着地になっています。
東京の幅が小さいのは、マスクを探して来店した顧客が、(マスクが買えなかったとしても)他の商品も買っていったからなのでは、と推測されます。

大阪では、目的のものが無いのならば、素直にお店を出るという、地域毎の消費者心理が働いているものと思われます。

沖縄の動きはよくわかりません。
2019年まで、沖縄ではドラッグストアの出店ラッシュが続いていましたから、その反動減でしょうか?
この点は、わかったら追記していきます。


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統計・経済

家電大型専門店 販売額統計(2020年4月)

経産省「商業動態統計」にて、2020年4月の家電大型専門店の販売額統計が更新されました。
その他業界における販売額が落ち込んだのと同様、大きく前年比マイナスの着地になっており、消費税増税前の駆け込み需要反動からの回復に水をかける形になりました。
一方、パソコンの売上は好調となっています。

家電大型専門店の販売額概観

2020年4月の家電大型専門店の商品販売額は3,073億円と前年同月比▲9.0%の着地となりました。

家電大型専門店販売額全体 経産省「商業動態統計」より

2019年10月に消費税増税があったことは記憶に新しいかと思いますが、この前に駆け込み需要による販売の伸びがありました。
これの影響により、2019年10月以降、駆け込み需要反動によるマイナスが続いており、緩やかに回復を続けている状況でした。

新型コロナウイルスの影響は、この回復に水をかけた形になります。

商品種別の販売状況

商品種別に見ると、軒並みマイナスではあるのですが、情報家電、つまりパソコン機器に関しては大きなプラス(+23.5%)となりました。

家電大型専門店販売額 商品種別 経産省「商業動態統計」より
家電大型専門店販売額前年同月比 商品種別 経産省「商業動態統計」より

これは、若い方を中心にパソコンを所有していない比率が増えている中、リモートワークの拡大によるPC需要の増が大きく影響しているのでは無いかと考えられます。

パソコンに関する意識調査 株式会社プラネット2019年調査より

20代の男性のPC所有率はデスクトップが約26%、ノートPCが約52%、女性ではデスクトップが約9%、ノートPCが約35%となっています。
これが年齢層があがるにつれて、上昇していくのですが、個人のパソコンを所有していない方が結構な比率で存在することがわかります。

(スマートフォンで事足りるから、という言い分はわかるのですが、情報閲覧性を考えると、圧倒的にパソコンの方が優れているのに、と考えてしまいます。
後、スマートフォンも持っていない人が1割~2割いらっしゃるようで、どのような生活を送っているのかが気になります。)

他の商品を見て見ると、カメラの落ち込みが激しく、前年同月比▲69.2%の着地となっています。

外出自粛の影響もそうなのですが、元々カメラ領域はスマートフォンにその市場を奪われ続けていたので、非常に厳しい環境にあると言えます。
カメラという商品の、存在意義、価値を改めて再定義しないと、カメラ市場の未来は無いのでは?と考えてしまいます。

地域別の状況

まずは大まかなエリア別の状況です。

エリア別家電大型専門店販売額 および 販売額減少率(2020年4月) 経産省「商業動態統計」より

どのエリアも軒並みマイナスなのですが、中国・四国・東北といったエリアは減少幅が小さい状況となっています。

都道府県別では次のようになります。

都道府県別家電大型専門店販売額前年比 経産省「商業動態統計」より

コンビニの時のような、関東圏における特徴的なものはあまり見当たらない状況です。

不思議なのは栃木の動きです。

大体の都道府県においてマイナスになっているにも関わらず、栃木県だけが+19.6%と突出した伸びになっています。

理由が全くわかりません。
これは、わかり次第、追記をしていきます。


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統計・経済

コンビニエンスストア販売額統計(2020年4月)

経産省「商業動態統計」が更新され、コンビニエンスストアの4月の状況が見えてきました。
前年比は大きくマイナスするも、2015年指標ベースでは微減と、ここ5年のコンビニの影響度拡大が見て取れます。
また、東京都それ以外の地域の対比も大きく出ており、ビジネスインフラなのか、地域インフラなのかの差も明確になっています。

コンビニ業態の前年比

こちらの記事で、コンビニ業態の売上高前年比は▲10.8%、客数前年比は▲19.3%、客単価前年比は+10.5%という数値を示していました。

客数に関しては、売上が見込める都市部はリモートワークに移行する企業も多く、客数減に大きな影響が出ると予想し、客単価に関しては「一つのお店で完結させよう」という購買行動につながっていると推測を立てました。

今回は、これらの情報のアップデートとなります。

指数ベースで見ると大きな影響がない

まず、全体概観です。

コンビニ商品販売額全体 経産省「商業動態統計」より

コンビニ商品の販売額は8,914億円と、前年比▲10.7%とという着地です。
小売店でマイナス10%は、激震が走るレベルの落ち込みです。

一方、2015年を100とした時の指数としては▲0.05ポイントの99.5という着地であり、季節調整後の指数で見ると、そこまでの落ち込みではありません。

この5年で、どれだけコンビニエンスストアという業態が、日本社会全体で拡大し、影響力を及ぼしてきたのかが見て取れます。
なお、店舗数はここ数年、5万6千台で推移しているため、1店舗あたりの売上高があがり続けている状況だったと言えます。

商品別の販売指標

まず用語を簡単に。

  • 日配食品:(ファストフード含め)お弁当、おにぎり、サンドイッチ、消費期限設定されている生鮮食品など
  • 加工食品:飲料、カップ麺、お菓子などの賞味期限設定がされているもの、冷凍ものなど
  • 非食品:食品以外の雑貨、雑誌、ゲームなどの商品
  • サービス:コピー、宅配便、チケット、プリペイドカードなど

ちなみに、これらの内訳は地域や立地、店長の方針などにもよるのですが、概ね下記のような構成になります。

  • 日配食品:40%
  • 加工食品:25%
  • 非食品:30%
  • サービス:5%

さて、商品別の販売額推移を見ると次のようになります。
20年1月以降、全体的に数字が落ちているように見えるのですが、コンビニ業界では1月2月はこういう動きをするので普通の数字で、問題は3月4月です。

コンビニ商品販売額 商品別内訳 経産省「商業動態統計」より

前年比の推移で内訳を見ると、概ね2020年2月までは波を打ちつつも安定的に推移をしていました。
これが2020年3月以降は新型コロナウイルスの影響で大きく落ち込み、4月は消費期限が設定されている日配食品に関しては▲12.8%、加工食品・非食品は約▲8%、サービス売上に至っては▲22.2%という着地になりました。

日配食品が大きく落ち込んだ理由は、上述のリモートワークの影響を受けた落ち込み、加工食品と非食品の落ち込みが緩やかなのは、「一つのお店で完結させよう」が影響していると考えられます。

コンビニ商品販売額 商品別前年比 経産省「商業動態統計」より

指数別で見ると、日配食品が▲1.1ポイント、サービスが▲10.8ポイントで、加工食品と非食品はプラスです。

コンビニ商品販売額 商品別指数推移(2015=100) 経産省「商業動態統計」より

地域別の状況

地域別の販売額減少率は次の通りです(2020年4月単月)。

都道府県別の販売額と販売減少率 経産省「商業動態統計」より

まず京都の▲15.8%ですが、よくわかりませんが、おそらく観光客からの売上減が大きく影響しているものと推測されます。

東京(▲15.7%)と大阪(▲14.2%)はわかりやすい数字です。

どちらもビジネス圏として存在感の大きい地域ですので、各企業がリモートワークに移行した影響が出たものと推測されます。

それ以外の地域は多少の差はあれど、極端に特徴的なものはあまり見えませんが、関東エリアは特殊です。

茨城、千葉、埼玉、神奈川の東京を取り巻くエリアは落ち込み幅が小さく、▲6%~▲8%の範囲に収まっています。
これは、東京でリモートワーク対応をした方々が、各々の居住地域での消費を行った影響が出ているものと推測されます。

東京一極集中がこれまでどれだけ起きていたのか、が読み取れる数字と言えます。


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統計・経済

従業員の不足感の‟解消”としわ寄せ

帝国データバンクより、企業の人手不足感が急激に低下、というリリースが出ていました。
景気が急激に後退しているので当然なのですが、そのしわ寄せは社会的に弱い立場の人たちが受けます。

従業員の過不足感

帝国データバンクの調査によると、2018年、2019年(いずれも4月)は‟不足”が正社員では約50%、非正社員では約32%、一方‟過剰”が正社員では約8%、非正社員では約6%という数字でした。
これが、この2020年4月には正社員では、‟不足”が約50% ⇒ 31%、‟過剰”が約8% ⇒ 21.9%、
非正社員では、‟不足”が約32% ⇒ 16.6%、‟過剰”が約6% ⇒ 21.6%、と急激に人材ニーズが落ち込んだ形になっています。

‟過剰”となっている業種としては、旅館・ホテル、飲食店、娯楽サービス、などをはじめとした最終消費系の業種のみならず、広告や製造業など、様々な業種があがっています。

詳細は、リンク先リリースページをご確認ください。

労働力統計

そのような状況下、実際に就業者数の変化を見てみると、数字上は過不足感の変化ほどの悪化は見受けられません。

新型コロナウイルスの影響を受け始める2019年11月(ちょうど半年前)を基準に置いてみると、2020年4月は0.98と、2ポイントの悪化という着地です。

就業者数推移 総務省統計局「労働力調査」より

ただ、これの内訳を見てみると、主に20代30代の若者が影響を受けていることがわかります。

‟男性”で見ると、15歳~24歳が0.93と7ポイントの悪化、25歳~34歳、35歳~44歳が098と2ポイントの悪化です。

年齢層別就業者数推移(男性) 総務省統計局「労働力調査」より

‟女性”で見ると、15歳~24歳は0.95、25歳~34歳はあまり影響を受けなかったものの、35歳~44歳が0.94という結果になっています。

年齢層別就業者数推移(女性) 総務省統計局「労働力調査」より

雇用種別で見ると顕著で、正規雇用はむしろ若干の増加も、非正規雇用は0.92と急激に落ち込んでいます。
4月は新卒の方や、中途でも新しく就職する方も多いので、正規雇用が多少は上昇するのはわかるのですが、非正規雇用の落ち込み方は、非常に激しいと言えます。

雇用種別雇用者数推移 総務省統計局「労働力調査」より

つまり、主に20代30代の若者、女性、非正規雇用といった、社会的に弱い立場の人たちに、しわ寄せがいっている状況と言えます。

業績が悪化すれば、人件費をはじめとしたコストカットをするのは当然であり、また日本は正社員を解雇しづらい法律のため、非正規雇用の方が調整弁になってしまうのも当たり前と言えば当たり前です。
会社が倒産してしまっては、元も子もないので、体力に限界がある会社が辛い判断をするのも当然ではあります。

また、非正規雇用という立場は弱いものだと以前からわかっていたはずですし、自己責任と言う言葉も存在します。

しかし、あまり必要があったとは思えない判断で今の経済縮小が起きていると思うと、非常にやるせない思いがあります。


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統計・経済

日本の若者はもっと怒って良い

6月2日、新型コロナウイルスの感染再拡大の兆候が見られるとして、東京都では「東京アラート」なる独自の警戒情報を発信しました。
これに関して、素朴に若者はもっと怒って良い、と感じました。

統計的な事実

人の命を統計的な、数字的観点で見るのは如何なものか、という意見があるのは承知しており、しかし定量的な数字を用いないと何も語れないのも一方では事実なので示します。
各所でも示されているので、比較的周知の事実だとは思うのですが。

事実として、年齢別の死亡率、重症化率を見た時、20代、30代の方は、ほぼほぼ問題が起きません。
40代、50代も重症率は高まっていくので注意は必要ですが、本当に警戒をしなければならないのは60代以上の方が中心です。

新型コロナウイルス感染症の国内発生動向より

何を語ろうが、まずはこれが事実です。
なお、このグラフの動きは、通常のインフルエンザや風邪でも同様です。
(人命を軽んじるような話は一切していないので留意ください。)

経済をこれ以上悪化させるのか

経済が悪化すれば、仕事を失う人が増え、仕事を失う人が増えると、自ら人生の幕を閉じられる方の人数も増えます。
これも統計的な事実です。
幸い2020年4月は、リモートワークや社会活動の自粛による影響がプラスに働きましたが、今後どうなるかが懸念される状況です。

既に現実として、生活に密着する衣食住をはじめ、リアルに経済の悪化が顕著になっています。

そうでなくても、この約30年、経済は緩やかに悪化を続けており、人々の所得は減少を続けています。
年収400万円未満の方が、この約20数年で15%以上増加している。)

所得別年次推移 平成30年国民生活基礎調査より

若者はもっと怒って良い

経済活動の自粛、外出自粛によって被害を被るのは主に若者です。
主に過去の貯蓄や年金で生計を立てている高齢者は感染症から救われます。
しかし、ただでさえ社会負担が大きい若者が一方的に経済的なダメージを被ることになります。
(当然に高齢者の健康を守ることは必要なことです。
高齢者をないがしろにするような話は一切していないことに留意ください。)

各所でも言われている通り、年齢別の対応を行えば良いでしょう。

  • 20代30代 : 通常通りに経済活動を行う
  • 40代50代 : 各人の健康状態を鑑みて選択的な経済活動の自粛を行う
  • 60代以上 : 積極的に経済活動の自粛、外出自粛を行う

加えて、高齢者の方と同居している方や、基礎疾患がある人にも注意が払えるようにさえすれば良いはずです。

これ以上、社会を混乱させて誰が得をするのでしょうか?
再度、警戒を促すことが必要にせよ、やり方があるはずです。

若者はもっと怒って良い、と考えます。

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