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アフターコロナの世界の持ち家ニーズ

日本経済が伸び悩む中、持ち家に対する意識も大きく変化し、「持ち家信仰」は過去のものとなりつつあります。
そんな中、いくつか持ち家に対するニーズの変化の兆しがありました。
アフターコロナの世界における持ち家ニーズは、どのような変化が見られるのでしょうか?

持ち家信仰が再び復活するという言説

先日、「新型コロナウイルスの常識破壊【持ち家信仰の復活】」と題する記事を見かけました。

内容としては、蓄えが無いが故に家賃を払い続けなければいけない状況はリスクであり、家賃を払わなくてもよい持ち家を良いと思う人が増えるかもしれないね、というものです。
詳細はリンク先記事を読んでください。

この意見自体は、結局ローンを払わなければいけないのならば、ローンが残っている間は結局高リスクだよね、という意味で微妙なのですが(この点は記事執筆者も指摘している)、一部そうなのかもしれないな、と思う点がありました。

それはリモートワークにおいて、一日中、過ごしづらい家にいることのストレスです。

日中のほとんどを外で過ごしているからこその日本住宅

日本の住宅は狭い

まず言えることですが、日本の住宅は狭いです。
次の2つの図を見て下さい。

2015/2016年版 建材・住宅設備統計要覧 戸当たり住宅床面積の国際比較(壁芯換算値)
2015/2016年版 建材・住宅設備統計要覧 一人当たり住宅床面積の国際比較(壁芯換算値)

日本の住宅、特に借家は国際比較で見た時に明らかに狭く、欧米の2分の1~3分の1ほどです。
一人当たり換算でも狭く、関東大都市圏の借家の狭さが際立ちます。

国土交通省が示している、健康で文化的な住生活を送るために必要不可欠な面積が、単身者で25㎡、ゆたかなせいかつを送るための目安では40㎡となっており、これを正とするならば、かなり狭いと言わざるを得ません。

この狭さは、日中のほとんどを外で過ごしており、自宅はほぼ寝るだけの用途となっているからこそ成り立つものの可能性があります。

リモートワークがこれからも継続するならば、日本の住宅事情は、主に借家住まいの方を中心にストレスの原因になっていきます。
特に単身者にとってはキツイでしょう。

単身者向け住宅は伸びるかもしれない

そこから考えられるのが、単身者向けの「持ち家」です。

郊外の小規模戸建てや、都心立地でも1LDKあたりのマンションなどのニーズが高まる可能性があります。
金額も2,000万円~位の値段ならば、比較的ハードルも低くローンも組めるはずで、一定程度稼いでいる単身者向けに、中古のリノベーション・マンションなどが伸びてもおかしくはありません。

空き家問題が深刻になりつつある地方でも、リモートワーカー向けにリノベーションして販売する、ということをトライしてみる価値はあるでしょう。

住宅設計におけるポイントは下記です。

  • (感染症対策に)空気清浄機能や湿度調整機能などを標準で装備
  • (巣ごもり向けに)一日過ごしていてストレスが少ない設計
  • (WEB会議向けに)Zoom映え

変化に応じてチャンスも生まれる

日本という国の全体感から考えると、これからも持ち家信仰そのものは崩れていくのは続くでしょう。

今回の新型コロナウイルスの影響は、不動産業界にとっても喜ばしいことで決してないはずです。
ただ、長期的目線にたった時に、新しいニーズが生まれるであろうことも確かであるはずです。

この変化に応じたチャンスを如何につかむか。
リモートワークの浸透をはじめとした変化は、空き家問題が深刻化していくことが間違いない日本の不動産業界の一つの活路になるのでは、と考えました。

(補足)空き家率の推移と予測について

空き家問題に関しては、リンク先の野村総合研究所の資料が参考になりました。
なお、直近実績は当初予測を下回っているようです。
住宅供給のコントロールや空き家活用がうまくまわれば、空き家問題は言うほどの影響を及ぼさない可能性があります。

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アフターコロナとESG投資~上辺だけの取り組みは通用しない~

近年、ESG投資に対して注目が集まるようになってきました。
環境、社会、ガバナンスは、企業の持続可能性を測る要素だと考えられているからです。
このESGですが、アフターコロナの世界では、その捉えられ方が変わると推測されます。
それはなぜでしょうか?

忙しい人向けまとめ

  • ESGとは、E(環境)、S(社会)、G(企業統治)のことを指し、ESGに取り組む企業に対する投資、つまりESG投資には近年注目が集まっている
  • ESGに取り組む企業は高い持続可能性を持つと考えられている
  • 現代社会は、上辺だけの社会貢献をするグリーンウォッシング企業などが揶揄され、晒される時代になっている
  • 新型コロナウイルスの影響により、従来の環境への取り組みだけでなく、「人」、つまりはS(社会)への取り組みや、リモートワークへの移行といったG(企業統治)への取り組みが、企業によってコントラストがわかれ明確になった
  • 社会が急変している時代、ESGへの取り組みは、単なる「社会貢献」の意味合いではなく、企業の変化への柔軟な対応力を示すものになっている

ESG投資にお金が集まっている

利益だけを追求し、社会を顧みない会社を世間はどのように評価するでしょうか?
人は感情の生き物ですので、そのような会社は快く思われないでしょう。
長期的には、会社の経営にさえ影響が出てくる可能性があります。

反対に、社会に対して貢献意識のある企業は、社会から評価され、高い持続可能性を持つ、と考えられています。

ESG投資とは、このような社会に対して貢献意識のある企業に対して行う投資のことです。
Eとは環境(Environment)、Sは社会(Social)、Gは企業統治(Governance)のことを指します。
この内、特に環境保全に対する取り組みが長らく注目されてきました。

近年、金融市場において、ESG投資に対する注目度が高くなっており、世界中の投資家からお金が集まっている状況になっています。

ESG投資にお金が集まっている。

代表的な所としては、GPIFです。
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、世界有数の運用資産を保有する団体で、このGPIFもESG投資へのシフトを明確にしています。

その他の世界中の投資家からもお金が集まっており、また実際にその投資パフォーマンスは、TOPIXなどと比較して、高い結果を発揮しています。
リンク先のページで詳細なグラフを含めて記載がありますので、参考にしてみてください。

一方、ESG投資にお金が集まりやすい、という点から上辺だけの環境保全への取り組みなどを行っている企業も存在します。

上辺だけのESGが通用しなくなってきている

グリーンウォッシング、SDGsウォッシングとは

多くの企業が環境保全や、後進国や難病に苦しむ方々への寄付などの取り組みをPRしています。
しかし実際の所として、どれだけ本気になって、取り組んでいるでしょうか?
「やっていますよ」アピールに終わっている企業が多いのではないでしょうか?

環境配慮をしているように装い、上辺だけの環境訴求をしていることをグリーンウォッシングと言います。
そして、そのような企業をグリーンウォッシング企業と揶揄して表現をします。
同様に、SDGsへの上辺だけの取り組みのことはSDGsウォッシングと呼ばれています。

世の中には、CSR報告書などに関係のない自然の写真を掲載して、エコなイメージをアピールしたりする企業や、表面上取り組んでいる体裁を保つために無意味にリサイクル素材を活用したりする企業が非常に多く存在します。
酷い企業になると、環境保全への取り組みは効果・実効性共にあること確かに実践していても、従業員には低賃金・長時間労働の環境下で、まるで奴隷のように扱う企業も存在します。

ひと昔前は、このような会社の存在が表に出ることはありませんでした。

SNSの発達に、上辺だけの欺瞞的な会社が晒されやすくなっている

Twitter、Facebookをはじめとし、SNSが急速に発展しました。
それにより、上記のような企業がインターネット上で晒されるようになりました。

  • 世界的ハンバーガーチェーン店が、ロゴの色を緑基調のものに変えて、環境アピールをする
  • 自動車会社の販売するエコカーが、全然エコでないことが暴露される
  • 環境に優しいとされたおむつ製品が、実際は化学素材ばかりであることが広まる

このような情報が世界中で一瞬にして流布してしまうようになりました。

また、グリーンインデックス、というグリーンウォッシングを評価するような指標も出ています。
もう、上辺だけのESGが通用しない時代になったのです。

そして、このESGへの取り組みが新型コロナウイルスの影響により、更に変化を迫られる状況になっています。

E(環境)だけでなく、S(社会)やG(企業統治)がなぜ注目されるのか?

ESGへの取り組みは何故重要なのでしょうか?
これは冒頭に記載した通り、企業の持続可能性が高いと考えられているからです。

株式市場、そして企業は社会や環境問題から切り離されたものではありません。
非常に密接な関係性があり、企業は社会の変化の影響を強く受けます。

新型コロナウイルスも、企業に変化を突き付けるものでした。

G(企業統治)が優れた会社は新型コロナウイルス騒動に柔軟に対応ができている

新型コロナウイルスの影響で、世界的にリモートワークが一般的になってきました。
これにいち早く対応するには、業務のIT化が必須です。

今の世の中は、工場や病院、物流関連のようなところでも無ければ、そのほとんどの仕事が遠隔で対応できるはずです。
リモートワークに対応できているか否かで、企業の業務効率化に対する姿勢が明らかになりました。

また、BCP(事業継続計画)の観点においても、ガバナンスに対する姿勢が見えるようになりました。
災害などを見越して、遠隔で対応できるように準備をしていた企業は、今回の騒動でスムーズにリモートワークに切り替えられたはずです。

人財という言葉

「人」に対する姿勢もそうです。
従業員の雇用や補償に誠意をもって向き合う企業と、そうでない企業のコントラストがわかれました。

シンプルな話なのですが、「人」を人財として捉え、手厚く遇すると優秀な人が集まりやすくなります。
優秀な人が集まりやすくなれば、当然に業績貢献に結びつき、それは企業価値の向上につながります。

今回の新型コロナウイルス騒動で「人」に対して、淡白な姿勢を示した企業は、今後「あそこはそういう会社なんだ」という目で見られるでしょう。

ウォッシングが明らかになりやすい時代、上辺だけの取り組みは、それ自体がリスクだということを認識すべきでしょう。
そして、ESGのS(社会)とG(企業統治)が注目される中、ソーシャルウォッシング、ガバナンスウォッシングも明らかにされていくでしょう。

ESGへの取り組みは必須、できる所からやっていこう

気候変動は、これから激しくなり、人類の生存に対して物理的な脅威を伴ってくるようになります。
AIやIoTをはじめ、技術はこれからも急速に進歩していきます。
後進国・新興国の急激な経済発展にあわせて、経済格差を是正する圧力が高まり、同時に社会不安も大きくなって来るでしょう。
社会は恐ろしいスピードで激変しています。

なんちゃって環境対策だけをやっていては、もう駄目な時代になっています。
形だけの上辺ではない、実を伴ったESGへの取り組みが、これからの時代求められています。

もっと的確に表現するならば、ESGへの取り組みは必須です。
社会が激変していく中で、ESGへの取り組みは、変化への対応力のバロメーターと言えるからです。

とは言え、全ての企業が十分な取り組みができるとは限りません。
できる所からやっていけば良いと思います。
未来を見据えた、確実な一歩、成長への意欲こそが大事です。

(追記)こういうさりげないアピールがちょうどよい

このような、多くの人に愛されている商品と絡めてアピールすると、いやらしさがなく企業イメージの向上につながるのでしょうね。
ヤマザキは、リンク先の資料のような取り組みを行っているけれども、こんなん出されても読みたくないですし。

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「いつになったら元の生活に戻れるの?」「世界はもう、元には戻らないよ」

多くの人が、「いつになったら元の生活が戻ってくるのであろうか?」と考えていることでしょう。
しかし、おそらくですが、世界はもう、元の形には戻らないと私は考えています。

先日の記事に続き、何故、世界は元には戻らないのかを考えていきます。

ウイルスの恐怖が人類に刻まれてしまった

過去、世界が混乱に陥った経済危機は多々ありました。
例えばリーマンショックがあげられますが、この種の金融の世界の経済危機は、相対的に対策がしやすいと言えます。

一方、ウイルスが起因する経済危機はどうでしょうか?

疫病は古来より、人類の歴史に関わってきました。
中には、世界の勢力図を塗り替えるような猛威をふるうこともありました。
人類の科学技術は発展を続けており、疫病に関する知見も深まっています。

それでも、今回の事態は(何かしらの形で起きると予想されていたにも関わらず)防ぐことはできませんでした。
そして、今後も今回のような事態が起きること、場合によってはもっと脅威度の高いウイルスが蔓延することは、すでに予想されています。
加えて、新型コロナウイルスは、一定の鎮静化後も完全消滅をするわけではないので、何年かは感染者の発生とそこからの混乱が続くでしょう。

現状の人類ではウイルスへの完全対策はできないのです。
上述のように科学技術の観点だけではありません。
報道のあり方もそうですし、一人一人の人間のリテラシーやモラルもそうです。

そんな人類に、実態以上にウイルスに対する恐怖心が刻まれてしまいました。
この恐怖が特定国家や特定地域でおきたことではなく、世界中でおきているのです。

人類の生活がガラッと大きく変わってしまうことが予想されます。

今までのような生活には完全には戻れない

飲食店やスポーツ・ジム、ホテルやアミューズメント施設など、リアルな店舗が必要な業態には変化が求められます。
変化に対応しなければ、ビジネスの世界からの退場を余儀なくされるでしょう。
航空会社のような交通機関や、学校、イベント会場など、人が集まることが前提のビジネスもそうです。

経営の現場において経営者は「またウイルス騒動が起きたらどうしようか?」を考えるでしょう。
心配にかられ、固定費を増大させるような積極的な投資を控えるような傾向が続く可能性があります。
リストラも各所で行われ、すぐには人を採用できないでしょうし業容も縮小してしまうので、元に戻すに戻せない状態に陥ります。

もしかしたら1年後位には、はた目には元に戻ったように見えるかもしれません。
それでも、前年比マイナス〇%、というような状況が各業界で発生すると考えられます。
多くの企業がこの数ヶ月で倒産してしまうのは間違いがないでしょう。
数ヶ月や1年といった時間がたって、状況が表面上は落ち着いたとしても、人々の生活が完全に元の姿に戻ることは、もうありません。

ウイルスに対する実態以上の心理的な恐怖が刻まれてしまっているため、これまでのように大勢の人たちが集まってのイベントであったり、人々が大勢いる所への旅行のようなことに、忌避感をもつ人が増加しました。
リモートワークは労働者の既得権益となり、学校のオンライン講義とあわせて、「リモート」が当たり前の世界になるでしょう。

これまで、人と人が集まって行われていた当たり前の行為が無くなることはもちろん無いでしょうが、リモートで行われるようになることも新しい当たり前になるのです。

サービスや商品、お金、情報の動きが、これまで以上にデジタル上で行われるようになります。
デジタルで完結できたはずなのに、今までやっていなかった領域のデジタル化が一気に進行します。

人類が築き上げてきた社会や習慣に変化が起きるのです。

これまでの常識を変えて、新しい世界を積極的に作っていくしか生き残る方法はありません。

チャンスは多い

旧態とした企業は退場を求められるでしょう。
しかし、そこに産業は残ります。
これまでのサービスを新しい世界に対応させたサービスに作り替える、新規参入組にはチャンスばかりです。

若い人にも多いにチャンスがあります。
リモート化の進行を機に、ビジネスの現場のみならず、行政や大学などの旧態依然とした組織においてもデジタル化への対応が進みます。
それと共に、デジタルに疎い世代の力が弱まり、デジタル技術を使いこなすスキルをもった若い人の力が強まる可能性が高いです。
世の中に変革を起こす主導権を、中高年から若い人に移すチャンスなのです。

今この時の社会は、悲観的に見えるかもしれませんが、新しい世界はチャンスに満ち溢れていると感じています。

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アフターコロナの世界はどう変わるか?

これまでの感染症の歴史でも示されている通り、今回の新型コロナウイルスをもって世界は激変していくでしょう。
この激変する世界に関して「アフターコロナ」と呼ばれ始めています。
今回はこの「アフターコロナ」の世界について、どのように変化していくのか考えていきます。

リモート化の拡大

現在、各企業においてリモートワーク(テレワーク)が進んでいます。
これは、新型コロナウイルス騒動が落ち着いた後、一定程度は元に戻るでしょうが、以前の姿には戻らないと考えられます。
なぜならば、働く人にとって、リモートワークは既得権益となったからです。

リモートワークによって、不要な会議が減り、不要な残業も減り、純粋に仕事をしていればよい環境になりました。
これが快適な人にとっては、わざわざ満員電車に乗り、不要な些事に再びあたりたいとは思わないでしょう。

リモートワークに対応しない会社は、相対的に採用が厳しくなるはずです。
会社競争力にも変化が起き、旧型企業と変化に対応した企業で入れ替わりが起きると推測されます。

あわせて、今回の騒動で、経営の変動費化が進行すると予想されます。
リアル店舗を中心に事業を展開していた企業のダメージは甚大です。
そうでなくても、固定費が大きい産業は、大きなダメージを受けています。
売上が落ちれば、その分費用が減るわけでなく、利益が減るからです。

オフィス投資は減少(少なくとも、以前のようなオフィス投資の活性化が抑制されるはず)し、固定費用としてウェイトの大きかった、地代家賃や減価償却費の抑制志向が高まるはずです。
あわせて、他の固定費に関しても、事業必須性が低いものに関して、BtoBサブスクリプションサービスの導入などに対応し、変動費化が進むと考えられます。
一方、事業必須性が高い領域に関しては、売上が減っても支出(CashOut)を減らせないサブスクリプションサービスは忌避し、買い切りないしは、スクラッチ開発(自社内開発)が進む可能性もあります。

何はともあれ、今回のような一種の災害に備えて、柔軟に対応し、生存力を高めるような動きが各企業で出て来るでしょう。

経済格差の拡大

リモートワークの拡大にあわせて、仕事をする能力の差が顕著に出てくると予想されます。
リモートワークにおいては結果が全てです。
残業をして、何となく頑張っている風の人たちは淘汰されていくでしょう。

イメージとしては、下記の図のような形になるはずです。

この図は、縦軸に「ビジネスリテラシー」、横軸に「必要ITリテラシー」をとり、どのように格差が拡がっていくかを示したものです。
「必要ITリテラシー」が高い領域に対応できる人たちの中で、併せて「ビジネスリテラシー」も高い層は、その高い生産性から功利的に働き、時間的なゆとりを確保するでしょう。
その空いた時間(空けた時間)を利用し、更に別の領域(副業)で稼ぐ、もしくは自己研鑽に投資し更に稼ぐ力をつけていくでしょう。
Youtubeをはじめとした動画メディアが増えているため、デザイナー、イラストレーター、動画編集者の価値が増えるでしょう。

また、「ザ・モデル」の世界も一層、浸透すると考えられます。
Webマーケッターの価値は増大し、昔ながらの営業の価値が減少します。
Web営業が増え、移動が無い分、営業件数を増やせるため、稼げる人はより稼げるようになるでしょう。
一方、突き抜けた対面営業ができる人は、大きく稼ぐようになる可能性があります。

反面、「ビジネスリテラシー」が低い層では、クラウドソーシングのような低賃金の領域で消耗する方々が増えると思われます。
視聴者が増えない、もしくは競争相手が増えることにより相対的に稼げなくなり、この領域でも消耗勢が増えると考えられます。

「ビジネスリテラシー」が高くても、「必要ITリテラシー」が低い領域においては、その価値は変わらずか、相対的に価値が増大する可能性があります。
例えば医者で、医者が長時間労働のブラック環境なのは誰もが知っています。
そこになりたい人は相対的に減るはずなので、かえってその価値が増えると考えられます。
希少価値が高くなるのです。

「ビジネスリテラシー」も「必要ITリテラシー」も低い領域が非常に厳しくなります。
働き方改革やAIによる自動化の推進により、価値を発揮できない人たちの賃金は減少を続けるはずです。
市場の縮小や同一労働同一賃金の影響も受け、年収が伸びなくなります。
むしろ、正社員の賃金は非正規社員の賃金に近づいていくでしょう。
長時間労働・低賃金で消耗するのに、他の業界で通用するようなスキルも身につかない。
(仮に結婚し、子どもをもうけた場合)子供の将来にも連鎖する状況に陥ります。

ビジネス環境、経済環境の変化

マクロ感としては、モノ消費の傾向の変化があげられます。

まず、不動産の価値の変化が起きるはずです。
田舎の利便性の高い所や、郊外などへの移住・引っ越しは増えるはずです。
ただし、都心のワンルームマンションのような好立地の居住用不動産の価値は変化が無いでしょう。
加えて、売電収入のような不動産投資も安定推移すると考えられます。
一方、リモートワークの増加により、ビジネスエリア、つまりオフィス街の不動産価値は減少すると思われます。

次に、元々減少傾向が顕著でしたが、高級車や高級腕時計をはじめ、従来型の人に見せる物の消費はますます減少するはずです。
増加するのは、高級家具やインテリアなどです。
それは、リモートワークの増加により、今まで見せることの無かった家の中を見せる機会が増えるからです。
内装業のようなビジネスは活性化する可能性が高いです。
会議やWeb飲み会のような場で、インテリア性に優れた室内を見せたい、という欲求が増えるはずです。
賃貸向けのインテリア・サブスクリプションサービスも増加すると考えられます。

インテリアのみならず、在宅の増加により、ECでの販売が増えるでしょう。
ウーバーイーツやスーパー・コンビニの宅配なども、より増えると考えられます。
従来、リアル店舗で働いていた人たちは、この種の物流を担う領域に流入する可能性があります。
リモートワークが増えるため、物流の重要性がますます増大するのです。
リアル店舗は、提供価値の高い一部の事業所を除き、厳しい環境が継続するでしょう。

併せてリアル広告が減り、Web広告が増えるはずです。
上述の通り、WebマーケッターやWebセールスの価値は増加すると考えられます。
広告業界において、従来型のPR会社と、新しい領域に既に入っているマーケティング会社で、入れ替わりが起きると考えられます。
イベントや旅行のキャンセルに関連して起きている、パフォーマンス系に関しては中期での影響は続くでしょうが、長い目で見た時は元に戻るはずなので、今はなんとか耐え忍ぶ時期です。

なお、物流(というか自動車関連)に関しては法改正が進む可能性が高いです。
具体的には自動運転です。
直近で既に、物流業界の負担は大きく自動運転のニーズは高いです。
リモートワークが増えて移動自体が減れば、自動車業界も自動運転をプッシュせざるを得なくなります。
法的に規制が厳しかったこの領域へのロビイングが増える可能性があるのです。

モノ消費の傾向変化に対して、コト消費は変化だけでなく増加すると考えられます。
特に、家庭内でのコト消費です。
上述の「インテリア」は、モノという観点ではなく、人に見せて承認欲求を満たすためのコト消費、と捉えた方が、提供価値が高くなると推測されます。
あわせて、家の中での過ごし方に関しても、消費者が求める領域が増えていくはずです。
まず、エンターテインメントの価値は増大するでしょう。
既に起きている、「消費者の時間の奪い合い」はますます激化するはずです(Youtubeなのかネットフリックスなのか、キンドルなのかなどなど)。

関連して、BtoC系の新しいサービス、特にサブスクリプションサービスが台頭してくると考えられます。

金融環境の変化

金融領域に関しては、まず、上述のモノ消費の変化、コト消費の増大に関連した銘柄・領域に関してお金の移動がおきるでしょう。

加えて、今回の新型コロナウイルス騒動にあわせて、社会貢献系企業へのお金の流入が増加すると考えられます。
従前から、SDGs銘柄への投資は活性化していました。
これが更に促進されるはずなのです。

旅行業、宿泊業、飲食店などが、直接的な大打撃を受けていることは言うまでも無いでしょう。
これに対して、支援をしたい、応援をしたい、と思う人たちが増えています。
直接的な投資は市況環境的に厳しいと思われますが、クラウドファンディングのような仕組みによる支援は、直近から増えていくと予想されます。

逆にいうと、旅行業、宿泊業、飲食店などはクラウドファンディングのような仕組みを活用して、生存を図るべきです。

投資環境としては、分散投資が拡がるはずです。
株式や投資信託のような金融資産は、今回の騒動で災害耐性が低いことが顕著になりました(以前からわかっていたことではありますが)。
ポートフォリオを広げるために、投資対象が広がっていく動きが予想されます。

上述のECや宅配の増加にあわせて、電子決済も一気に普及していくと考えられます。
電子決済が使えないお店は淘汰されていくでしょう。
この点でも格差の拡大が助長されると推測されます。
もしかしたら、信頼性が低下していた仮想通過も、これを機に改めて台頭する可能性があります。

このように金融領域においては変動が激しく、お金に直結する領域であるため、この領域における情報価値は以前にも増して増大すると考えられます。
投資リテラシーを高めるための教育サービスは活性化するでしょう。
あわせて詐欺も増えるでしょう。
情報収集と防御のため、投資家コミュニティの拡大や、コミュニケーションの場が増える可能性が考えられます。

教育の変化

リモートの影響は教育にも及びます。

公立系の学校では大きな変化は残念ながら起きないでしょうが、それでも以前よりはIT対応が進むはずです。
マクロ的には遠隔授業が増えると考えられます。
塾のような教育産業においてもWeb講義が増加するはずで、あわせて対面でしか価値が発揮できなかった講師が凋落し、Web対応にうまく順応した講師が台頭するはずです。
これはYoutubeのような動画メディアにおいても言え、教育領域における動画進出がますます増加すると考えられます。
一部、コミュニケーションスキルに関して危惧した親により、家庭教師へのニーズは増大する可能性があります。

これに併せて、飛びぬけたスペックを持つ子どもたちが出てくると予想されます。
教室でのリアル授業では、飛びぬけたスペックの子供にとっては退屈なものです。
日本は出る杭は打たれる文化でもあるため、飛びぬけようとするモチベーションも下がります。
ですが、遠隔授業が増えるのならば、その心配も減ります。
いじめも減るはずです(そもそも学校に行かなくてよくなれば)。
これまで、日本では見ることができなかった飛びぬけた天才の活躍が期待できます。

その他教育環境として、IT対応が進んだ地域と、進まない地域で、格差が拡がると推測されます。
例えばPTAなどで、新技術に対応した所とそうでない所で、親の負担にも差が出るでしょう。

医療(健康とフィットネス含め)の変化

まず、健康ブームが来るはずです。

健康に対する意識は、今回の新型コロナウイルス騒動で一気に増加したはずです。
健康系の商品やサービスは増加していくと考えられます。
リモートワークの増大にあわせて、「家庭でできる系」のフィットネスサービスも増えると予想されます。
併せて、詐欺に近い似非健康サービスや情報も増えると考えられます。
健康情報に関しては、改めて正しい情報の価値が増える可能性が高いです。
Googleのロジックの進化も目覚ましく、一部健康系キュレーションメディアの没落に関しては、記憶に新しいかと思います。

一方、介護領域に関しては個人の負担が増えると考えられます。
医療保険・介護保険に関して、元々国家財政が厳しい環境から、在宅医療・在宅介護が推し進められてきました。
個人の介護負担が増え、医療保険・介護保険の観点では若干の改善傾向が見られるはずです。
(ただし、保険全体では悪化は続く。少子高齢化は加速するので。)

医療に関しては、遠隔診療や遠隔手術が増えるはずです。
上述の通り、医者の価値は増大するはずなのですが、その中でも特に価値の高い医者は、その価値がますます増加するはずです。
関連して、医療関連の法律も改正が進むと予想されます。

マクロ的な影響

大多数の個人にとっては関係の無い話ですが、世界的に国家権力が増大すると考えられます。
既に、外出者の逮捕など、一部国では「強権」が発動されています。
日本では、法律の絡みで「要請」しかできませんが、これが改正される可能性はあります。
国家権力の観点で考えれば、国の権力を増やし、国民の権力を減らす良いチャンスだからです。
なお、人によっては思想的に思う所があるでしょうが、これは良い悪いの話ではありません。

国家権力の増大と個人で働く人の増加(副業含む)により、マイナンバーと仕事の紐づけは加速するでしょう。
つまり、国家による個人の監視が増加するのです。
決して悪い事とは思いませんけれどね。
なお、上述した、家庭教師の増加や宅配の増加とあわせて、家庭で設置する監視カメラも普及するでしょう。
個人による個人の監視も増加するはずです。

監視社会は決して悪いことでは無く、犯罪抑止効果が期待できます。
リモートワークの増加、宅配の増加により外出も減るので、人対人のトラブルも減るでしょう。
家にいるため、空き巣のような犯罪も減るでしょう。
リモートワーク対応に順応できるひとはITリテラシーが高い層でもあるため、在宅を狙った詐欺被害も増えはするでしょうが、大きな影響は無いと考えられます。

これからやるべきこと

アフターコロナに関しては、切りが無いので、ここまでとします。
大枠としては「リモートワークの増加と併せて起きる変化」です。

最後に企業と個人が対応すべきことに触れます。

企業が対応すべきことはシンプルで「リモート化の推進」です。
既に書いてある通り、リモートワークに対応できない企業は、競争力が低下していきます。
生存のための変化を起こすべきです。
これを機に、変革を推進しましょう。

個人が対応すべきことは、ITリテラシーの向上です。
企業でもそうなように、個人でもリモートワークに対応できるようになる必要があります。
なおこのITリテラシーは、何もZoomのような会議ツールや、Slackのようなチャットツールを使いこなせるようになろう、という話だけでなく、広い意味を含みます。

具体的には、デジタルコミュニケーション能力を磨こう、という話です。
やりとりが文字中心に移行するため、より伝える力が必要になります。
伝えたいことをうまく言語化する能力が重要です。
今まではなんとなく雰囲気で説得で来ていたものが、明確な論拠が必要になってくる点も指摘できます。
情報処理能力、ロジカルシンキングの重要性も高まるでしょう。
これまでは「声が大きい」とか「なんとなく人物的に魅力」のような強みがあった人は、コミュニケーション能力の変化が求められます。
テキスト上で「なんか好かれる人」、つまり新しいモテが台頭するはずです。

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人類をバグらせた新型コロナウイルスの真の恐怖

新型コロナウイルスの本当の恐怖は、その病状にはありません。
人類をバグらせて、それにより起きる間接的な被害にこそ真の恐怖があります。
間接的な被害とは、人々のパニックであり、経済被害であり、そして派生的に起きる人命の被害です。

新型コロナウイルスの現時点での事実

まず、世界の新型コロナウイルスによる死者数は40,000人を超えました。
日本国内では(あくまでもイギリス船籍であるクルーズ船も含めて)78人となっています。
どちらも2020年4月1日現在です。

比較対象として考えてみるのがインフルエンザと肺炎です。

インフルエンザは、世界の死者数が年間約500,000人となっています。
日本国内での死者数は年間約3,000人です。

肺炎は、世界の死者数が年間約4,000,000人となっています。
日本国内では年間約100,000人です。

誤解の無いように言及しておくと、人数の大小での良し悪しを語りたいわけではなく、純粋に客観的な事実としての脅威度について語りたく、数字を出しています。

上記の数字(世界)をグラフに表現すると次のようになります。

この通り、現状として新型コロナウイルスの脅威は極めて限定的なはずなのです。
もちろん、各国の封じ込めの努力の結果でしょうし、これからも誠に残念ながら指数関数的に増加していくでしょう。
そのため、単純比較はできないのは間違いがないのですが、少なくとも現状でている数字から考えて、ここまで脅威と考えるのが正しいのか?と、どうしても疑問に考えてしまうのです。

これから訪れる実害

これから訪れる実害を考えていきます。

おそらく既に起きているであろう医療の問題を最初に指摘します。
各所で言われているとおり、医療の現場の混乱には、その現場に携わる方々に敬意を表する以外のことができません。
日本国内ではPCR検査に携わる方に対する圧力を考えると、こちらも頭を下げるしかありません。
臨床検査技師の人数には限りがあるなか、具体的な施策が無い中、検査数を増やせという要望を受けていることでしょう。

単純に現場の方の負担が増大するだけならば、“まだ”良いのですが、統計としては出しづらい実害が発生していることは間違いがありません。
それは、本来適切な医療を受けられた受けるべきであった方々が、新型コロナウイルスの影響により、医療を受けられず、誠に残念な結果になってしまう、という実害です。
これは、医療の現場に「無感染」の関係無い方や、「無症状」の方が押しかけて、限られた医療リソースを食いつぶすことによって起きます。

もう一つ既に起きている実害としてあげられるのが経済です。
すでに、リーマンショック級の経済損失があると、各所で言われはじめています。
リーマンショックと異なるのが、「コントロールがしづらい」という点です。
リーマンショックは「人が起こした」災害ですので、介入の容易性が指摘できますが、今回の新型コロナウイルスは天然の災害です。
発生最初期でしたら、封じ込めの難易度は低いのですが、ここまで拡大してしまうと、都市封鎖(ロックダウン)のような施策を打たねばならず、その弊害として発生するのが経済へのダメージです。
東京においては「外出自粛」となっており、“まだ”ダメージは抑えられている方だとは考えられるのですが、現実として、すでに倒産の危機を迎えている企業が多く存在すると考えられます。

特に実店舗を構えているビジネスを行っている方々は、先が見えない思いを抱えていることでしょう。
SNSを見ていると、多額の借金を抱えた状態で店を畳む覚悟を決めた人をちらほら見かけます。
これによって起きると想定されるのが「自殺者数」の増加です。
実際に統計として出てくるのが来年になると思われますが、倒産ないしは閉鎖する企業・事業所の数と、自殺者数の数字は、間違いなく悪化すると推測されます。

新型コロナウイルスの本当の恐怖

新型コロナウイルスの本当の恐怖は、その病状そのものにあるのではなく、実は上述した「実害」のようなもの、もっと言うとそれを招いた人類に起こした「バグ」にあるのでは、と考えています。

現状の数字を見る限りは、冷静に考えて、通常の風邪やインフルエンザの方が恐ろしいはずです。
人が密集する空間でのマスク着用を心がけ、当たり前に手洗いうがいをし、手指の消毒も行っていれば、新型コロナウイルスの感染も一定程度防げるはず。

そもそもとして新型コロナウイルスを怖がる人たちの中で、普段から、当たり前の感染予防策をどれだけとっているのでしょうか?(なぜ、風邪やインフルエンザを怖がらずに新型コロナウイルスだけを怖がるのか?)
冷静に考えれば、人々に行きわたるだけの物資が世の中にはあるはずなのに、それを枯渇させてしまうような「買占め」はどうして起きるのでしょうか?
なんで、普段冷静な人たちがパニックに陥ってしまうのでしょうか?(顕在化しただけ、という意見もありますが。)

これが新型コロナウイルスの本当の恐怖は、肺炎様病状にあるのでは無く、この人類の「バグ」にあると考える理由です。
このウイルスは、その直接的な症状ではなく、間接的な人類のパニック、経済被害、派生する人命被害を巻き起こしているのです。

この騒動を何とか乗り越えよう、アフターコロナに備えよう

今できることは、何とかこの騒動を乗り越えること、アフターコロナに備えること、かと思います。
経済的実害を受けている事業者は、なんとか変動費を切り詰めると共に、削減できる固定費も限界まで削っていき、なんとか生存をしてください。
幸いにも被害が軽微な事業者は、アフターコロナに備えると良いでしょう。

今回の騒動は間違いなく長期化します。
そして、騒動前(ビフォアーコロナ)と騒動後(アフターコロナ)で、世界は変わっているでしょう。
過去の感染症によって起きた歴史を鑑みても十分に予測できることです。

次回は、アフターコロナを見据えて、どのように考えていくべきか、を考察します。

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