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はじめてマネジメント職につく新任マネージャーにつける部下の最適人数は?

文字通りはじめてマネジメント職につく新任マネージャーを任命する場合、どれだけの部下をつけるのが最適でしょうか?
はじめてのマネジメント職だから、1人でしょうか?
実は、これは失敗のリスクを高めます。
最適な人数は3,4人です。

はじめてだからと言い、部下1人で起きること

新任マネージャーにつける部下の人数が1人の場合、失敗のリスクが高まるのですが、その理由は端的に言うと「部下ガチャ」の影響を大きくうけるからです。

はじめてだからと言い、部下1人とすると次のようなことが起きます。

  • 上司の諸々の情報源や判断、そしてそれらからアウトプットされる成果が部下1人の影響を大きく受ける(部下のあげる現場情報が1人、つまりn=1であり、偏ったものになる。部下の報告が正しいかどうかの検証が困難になるし、悪い情報等もキャッチできる可能性が大きく下がる。)
  • 部下1人に依存している状況だと、その部下に対して適切なフィードバック、特にネガティブなフィードバックができなくなる可能性が高まる
  • 部下の人数が少ないが故にマイクロマネジメントに陥る可能性が高まる
  • 部下は「同僚」がいないが故に孤立しがちになる
  • 仮に部下が退職した場合にチームを失うことになる

つまり、経験の浅い新任マネージャーに対して、マネジメントの練習だと言って1人だけ部下をつけるのは却ってリスクを高めるのです。

新任マネージャーに部下をつける際の注意事項

それでは、組織や人事部門はどのようにすれば良いでしょうか?
2つのポイントがあります。

部下1人は避ける

まず、新任のマネージャーに対して、部下は複数人つけるようにしましょう。
具体的には3,4人です。

いわゆる“スパン・オブ・コントロール”、マネジメントの質を保てる限界ラインが約7人前後と言われていますが、その意味で中間の3,4人は丁度よい塩梅です。

どうしてもつけられる部下の人数が限られている場合には、極力早期に改善できるよう、人の手配を行いましょう。

新任マネージャーの専門性の確認

次に、新任マネージャーがそのドメイン領域において、一定の専門性を有しているかどうかは判断した上での任命としましょう。

その領域の専門家であれば、部下の人数が仮に少なかったとしても、その報告の検証は可能になってくるはずです。

マネージャーも部下も、そのドメイン領域において専門性が無い、というシチュエーションは極めて失敗のリスクが高まります。


理想としては、新任マネージャーに対しては3,4人の部下をつけた上で、いずれも一定の専門性を有する状態、と言えます。

現場現実のビジネスで、この理想状態を最初から実現するのは困難かもしれません。

しかし、経営や人事部門は、このような理想状態に近づけるための組織作りを行うべきですし、それが重要なミッションの一つと言えるでしょう。

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社員数〇〇人の壁を乗り越えるには~25%へのアプローチ~

一般的に社員の人数が30人、50人、100人と増えていくに従い、乗り越えなければいけない「壁」があると言われています。
多くの経営者や人事など組織構築に携わる方が、この悩みを迎えてきました。
ここでは、「25%へのアプローチ」という考え方に則って、社員数〇〇人の壁の乗り越え方について考えていきます。

社員数〇〇人の壁とは

ベンチャー企業が成長するに従い、必然的に社員数も増えていきます。

少人数の時は、経営者や一部の中核メンバーの目が会社全体に届くために、組織的な課題は起きづらいのですが、いくつかのポイントごとに、新たな課題が発生し、そしてその課題を乗り越えていく必要に迫られます。

この、いくつかのポイントのことを「壁」と表現します。

一般的には、社員の人数が30人、50人、100人・・・と増えていくに従い、乗り越えなければいけない「壁」が訪れます。
(この〇〇人は、事業内容や、構成人員などによっても変動するが、概ね10人、30人、50人、100人、300人、500人、1000人、、、と、1-3-5の数で「壁」が出現すると言われている。)

25%へアプローチすれば良い

それでは、次に「25%へのアプローチ」についてです。
これは日本では全く馴染みが無く、言葉としても成立していないので、「25%へのアプローチ」と表現することとします。

さて、ペンシルベニア大学の研究にて、組織的規範を改革するためには、どれくらいの人間に働きかける必要があるのか?という論文がだされていました。

この研究によると、組織全体の中で、マイノリティの規模が一定数以上に達すると、その組織コミュニティに影響を及ぼすことができるとされています。
これは、過去の多くの研究でも示されており、マイノリティの規模が10%から40%に達すると、変化が起きると言われていました。
この変化が起きるポイントを「臨界点」と呼びます。
この実験では、より大規模な実験を元に、この「臨界点」がどれくらいなのか?の精度が高められた形になります。

この臨界点は25%です。

臨界点が25%を超えると、組織内で急激な変化が発生し、改革を受け入れる形になるとのことです。
(改革を受け入れることのインセンティブを与えると、この効果がより高まるそうです。)

つまり、社員に対して、全体の25%が改革を受け入れるように働きかけると、社員数〇〇人の壁を乗り越えられる変化を起こせると考えられるのです。

これが「25%へのアプローチ」の考え方です。

スパン・オブ・コントロールで考えてみる

それでは、スパン・オブ・コントロールを元に、具体的な数字を用いて考えてみます。

スパン・オブ・コントロールについては、次の記事も参考にしてみてください。

スパン・オブ・コントロールを2~7までで変動させると共に、その変動にあわせて合計人数(社員数)が1-3-5の数になるように階層を設定したのが次の表です。
各階層は、必ずしも会社組織における階層(等級)とは一致しないでしょうが、概ねとしての組織階層として認識ください。

この通り、1-3-5の数毎に出現する壁にあわせて、臨界点25%に達する階層が変わってきます(青色の網掛け)。
この臨界点に達した階層と、その一つ下の階層が、社員数〇〇人の壁を乗り越えるための、重要なアプローチ対象となります。

各フェーズに沿って、必要な対応を見ていきましょう。

社員数~10人

まず社員数が10人までは、創業社長と役員クラスの中核メンバーが、大きな影響力を発揮する形になります。
このステージは、ただ事業の立ち上げだけを考えれば良いフェーズです。

社員数10人の壁(10人~30人)

社員数10人の壁を乗り越え、30人に達するまでには部課長クラスの存在感が大きくなります。
社員数10人~30人の範囲内の内に、各セクションにおける「マネージャー」的役割の人員を配置し、各メンバーに対して指導や管理監督が行われるよう、組織を構築していく必要が発生します。

社員数30人の壁(30人~50人)

社員数30人の壁を乗り越え、50人に達するまでには現場リーダーが主役となってきます。
ここから先は、しばらくは現場リーダーの存在感が大きいフェーズが続きます。
フラット組織であったとしても、明確に各階層の役割を設定し、マネジメントが行われる体制を構築していくフェーズに突入するわけです。

同時に、部課長クラスへのマネジメント教育の重要性が増してきます(黄色の網掛け:15%)。
ベンチャー企業は若い方が多く、必ずしも部下を持ったり、持っていたとしても大勢の人数をマネジメントしたことがある人は少数です。
この段階で、部課長クラスへの、「マネージャーとはなんたるや」をインプットし、成果に繋げていく仕組みが必要となってきます。

社員数50人の壁(50人~100人)

このフェーズに入ると、スパン・オブ・コントロールを拡大していかなければならなくなります。
というのも、人材市場から優秀な人材を採用するのが困難になり始めてくるからです。
一人の人間が管理監督できる範囲を増やしていかなければ、組織拡大ができないのです。

コミュニケーションやプロジェクト管理を簡便にする各種ツールが必須となってきます。

なんだかんだ言って、一人一人がコミュニケーションをしっかりとれるサイズ感なので、ミッション・ビジョンなどの希薄化以上に、業務の効率化の観点でハードルが出てくる印象です。

社員数100人の壁(100人~300人)

スパン・オブ・コントロールが更に拡大します。

そして、人員数が増えたことにあわせて、部課長クラスのみならず、現場リーダークラスへのマネジメント教育の重要性が増してきます(赤色の網掛け:23%)
優秀な現場リーダーを牽引していく必要があるため、当然に部課長クラスのレベルアップも要求されます。

一気にやらなければいけない組織課題が増えるため、多くの組織がこのレンジ内で成長を止めていきます。

経営者も、この辺りから明確に「もう自分の組織では無い」と自覚し、権限移譲を進めないと組織が停滞していきます。
更に、一人一人がコミュニケーションをとれるサイズ感では無くなってくるため、会社がなんのために創業し、どこを目指しているのか、をきちんと共有していく必要があります。

この段階が一つの大きな壁と言えるでしょう。

社員数300人の壁(300人~1,000人)

この辺りに来ると、会社組織としても、組織体制を成長・拡充していくためのノウハウが蓄積されていきます。
急激な人材採用を進めるなどの無理をしなければ、一定安定して、組織の拡大を図れるフェーズです。

実際、500人の壁、という言葉をあまり聞かないという点も、この考えを補強していると思われます。

焦らず、しかし確実に組織を育てていけば良い段階です。

社員数1,000人の壁(1,000人~)

社員数1,000人を超えると、組織階層を更に拡充しなければいけなくなります。

つまり、メンバークラスに対しても、マネジメント教育を実施する必要性が出てくるのです。
(マネジメント教育は、必ずしも課長とかが受けるような教育ではなく、シンプルに人と人との関係性の話であったりです。)
わざわざ大規模な全社集会を意識的に行っている会社が多いのも、メンバー一人一人に、組織の重要な人物であることの意識を持ってもらうためです。

ただ、このフェーズに達すると、スパン・オブ・コントロールが限界に到達するため、一人一人のキャパシティという観点では安定化をはじめます。

1,000人の壁を越えた組織は、かなり安定して人員拡大を図れる状態になります。


これまで、多くの経営者や人事など、組織構築に携わる方々により、社員数〇〇人の壁を乗り越えるためのノウハウが公開されてきました。

今回は、「25%へのアプローチ」の考え方に基づいて、各フェーズを切ってみたわけですが、驚く位に周知されているフェーズ感と、各フェーズへの対応ノウハウが一致することがわかりました。

日本人はどうしても真面目な気質なので、メンバー全員に丁寧に向き合わなければならない、と考えてしまいがちです。
そして、その真面目さゆえに、一人でもマネジメントできないメンバーが存在すると、自分はマネージャーに向いていない、できない、とも考えがちです。

「25%へのアプローチ」の考え方に基づくと、必ずしも無理してメンバー全員に丁寧に向き合わなければいけない、というわけではないことがわかります。
多くの業務において効率化が求められるように、マネジメントにも効率化が必要なはずです。

この「25%へのアプローチ」の考え方は、マネジメントの効率化を図る、重要な考え方であると言えます。

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何人の部下を見れますか?~リモートワーク時代のスパン・オブ・コントロール~

リモートワークが普及し、フル・リモートの形態、ハイブリッド型の運用、様々な試みが各社でされています。
ここで疑問に思うのが、このリモートワーク時代、どれだけの人数の部下をマネジメントできるのであろうか?という点です。
スパン・オブ・コントロールの考え方を前提に、考察していきます。

スパン・オブ・コントロールとは

まず、スパン・オブ・コントロールについてです。

スパン・オブ・コントロールとは、「コントロールできる範囲」という意味で、一人の管理監督者、つまりマネージャーが、現実的にマネジメント可能な部下の人数を示した一つの考え方です。

そして、このスパン・オブ・コントロールの考え方においては、部下の人数は3人~5人、多くても7人~10人が限界だ、とされています。

なお、この考え方は諸説があると共に、そもそもとして科学的なものというよりかは経験則的なものとなっております。
そのため、業種業界や、上司や部下のマインド感・リテラシー水準等々により大きく変動することは指摘しておきます。

さて、この通り経験則であるとはいえ、マネージャーがマネジメント可能な部下の人数に限度があるために、組織階層というものが存在します。

例えば、スパン・オブ・コントロールを意識した伝統的な1-3-9モデルですと、下記のような組織構造となり、マネージャーの部下の人数は12人、直接の管理下にあるのは3人、となります。

理論的にはマネジメント可能な人数は増えるはず

上記、スパン・オブ・コントロールを前提に、リモートワーク時代のマネジメント可能な部下の人数について考えていきます。

まず言えることは、理論的にはマネジメント可能範囲は増えるはず、という事です。

伝統的なスパン・オブ・コントロールの考え方では、マネージャーが直接部下を見て、ヒアリング等し、また各種アナログなツールを使ってマネジメントを行うことが前提となっています。

しかし現代には、下記のようなチーム運営を補助する便利で安価なクラウドツールが多数存在します。
いわゆる、バーチャル・ワークサイトを簡単に構築できるわけですね。

  • チャットツール,社内SNS(Slack、Chatwlokなど)
  • カレンダー(Googleカレンダーなど)
  • ドキュメント共有(Gsuite、Dropboxなど)
  • プロジェクト管理(Trello、Backlogなど)
  • オンライン会議(Zoom、Meetなど)

これらのツールを活用することにより、マネジメントの生産性は劇的に向上させることができ、
そのため、理論的には一人のマネージャーのマネジメント可能範囲は増えるはずなのです。

しかし、この考え方は、一つ見ていない点が存在します。

人はそんなに簡単に強くなれますか?

オフィスに出社してマネジメントをしている時は、部下の表情や顔色、ちょっとした言動を側で見聞きすることができるため、部下の異変にすぐ気が付くことが容易です。
声をかけて、雑談等を交えつつ、調子を確認することもできます。

部下の方も、何か困ったこと、わからないことがあれば、(比較的)気軽に声をかけ、質問をすることができます。

リモートワークでは、前提として一人での業務進行となるため、上記のことが気軽にはできなくなります。
(もちろん、Zoomを常時接続にしておく、とか、Slack等で雑談を活発にするとか、工夫はできるが。)

人の心や考え方は、そんなに簡単に強くはできません。

ある時気が付いたら、部下が仕事の悩みを蓄積させ、不満が爆発寸前だった、ということもあり得ます。
もしかしたら、適応障害やうつを必死で隠して、我慢しているかもしれません。

このような予兆を、リモートワークだと察知し辛いのは、否定できないでしょう。
(繰り返しますが、もちろん察知をしやすい環境を構築するよう、工夫はできます。)

私はリモートワーク時代では、会社や上司毎に、マネジメントの格差が拡がるのでは、と考えています。

ツールの導入状況や、会社の姿勢、上司の力量等々の要因により、
マネジメント可能範囲が劇的に広がる所も出てくれば、却って狭くなってしまうケースが出てくるように思います。


まとめますと、リモートワーク時代において、スパン・オブ・コントロールが広がるか狭くなるかは「わからない」になります。

ただ、課題は部下のケアに絞られることになります。

  • 毎日、時間を決めてチーム・メンバー全員でショート・ミーティングをする(朝礼など)
  • チャットツール上で雑談チャンネルを設定し、ものすごく下らない話題も歓迎する
  • 困っていることリストや相談チャンネルを設定し、不明点を気軽に投稿できる場所を用意する
  • 1on1の実施を定期的に行う
  • 定期的に集まる日を設ける

こういった工夫を行うことにより、スパン・オブ・コントロールを広げられると考えられます。

(なお、雑談により産まれる偶然のアイデア創発なども、課題の一つです。これも、上記工夫により一定対応できる可能性があります。)

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