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マネジメント・リーダーシップ

成功するチームに必要なことは?~優秀さではなく規範が重要~

経営者やチームのマネージャーにとって、優れた成功できるチームを作ることは非常に関心が高いことのはずです。
それでは、成功するチームに必要なこととして、どのような要因があげられるでしょうか?
Googleが180ものチームを分析して出した結論は「行動規範」でした。

Googleが成功するチームには「行動規範」であることを発見

Googleは社内の180のチームを分析し、「チームを成功させる(あるいは成功させない)ものは何か?」について調査を行いました。

「社内の180のチームを調査しました。たくさんのデータがありましたが、特定の性格タイプやスキル、経歴の組み合わせによって違いがでることを示すものはありませんでした。“誰が”という部分が重要ではないように思えたのです。」

調査では、一般的に考えられるであろう成功要因の仮説、例えばエンジニアと非エンジニアの比率や、シニアとジュニアの比率など、そのような変数が成功要因と関連していないことを見出しました。

そして、最終的にチームの構成より、チームの「行動規範」の方が重要な決定要因であることを示しました。
行動規範とは、チームがどのように行動し、機能するかについての合意のことです(明文化されている必要はない)。

さらに、ある課題でうまく機能したチームは、別の他の課題でも機能することが多いことが示されました。
(また、その逆もしかり。)

正しい行動規範はチームの集合知を高め、間違った行動規範は例えチームが優秀なメンバーで構成されていたとしても、お互いに足を引っ張り合う可能性がある、ということのようです。

成功する「行動規範」は?

成功する「行動規範」として2つのものがあげられています。

1つ目が「会話のターンテイキング分布の均等性」です。
つまり、良いチームは、メンバーがほぼ同じ割合で発言している、とのこと。

2つ目が「チームの平均的な社会的感受性が高いこと」です。

2つ目の点については、別の記事で高いパフォーマンスを発揮する要素として、どのようなものがあるか?を書きましたが、そこでも指摘がされています。

Googleの調査は学術的なものではありませんが、別の学術的な研究で、「優れたチームは集団的知性が高いという特徴」があること、そして「IQが高い人が入っているチームが、必ずしも集団的知性も高いというわけではない」ということが示されています。

そして、その集団的知性が高いチームの重要な要素として「感情知能が高い人がいること」があるとされています。
あわせて、そのようなチームは「ある種の課題をうまく遂行できるチームは、別の課題についても同じようにうまく遂行できる傾向」があることも示されており、Googleが行った調査の確からしさがわかります。

(感情知能とは、自分の感情を適切に把握しコントロールできたり、人の気持ちについても精度高く察することができる能力のこと。)


つまり結論として、チームの(マネージャーを含む)メンバー同士がお互いにどう接しているか?にかかっている、と言えます。
賢く優れた人物であろう、とする姿勢は非常に重要ですが、それ以上に共に働く仲間たちを尊重し敬意をもって思いやれるか。
ある種、人間同士の関係性として当たり前の結論ではあるのですが、この点については改めて全ての働く人たちが認識すると良いでしょう。

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フェルミ推定・ロジカルシンキング

EQ(心の知能指数)が高い人はフェイクニュースを見抜くのが上手い

世の中には誤報、そして悪意に満ちているフェイクニュースが溢れています。
一般的には分析的思考力が高いことが、フェイクニュースを見抜くために重要だ、と言われていましたが、どうやらEQ、心の知能指数も重要な要素であることがわかってきました。

https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0246757

従来の知見

フェイクニュースとは、根拠のない噂や意図的に人をだますようなプロパガンダの類で、古今東西、存在しており、特に為政者達にとって関心の高い事象でした。

近年、フェイクニュースの害悪性が特に語られるようになったのは、インターネットやソーシャルメディアの普及による、膨大な情報流通が背景にあります。

近年ではアメリカ大統領選挙や新型コロナウイルス感染症など、多くの場面でフェイクニュースが溢れていました。

これらのフェイクニュースが溢れる、もっと言うと大元の発信者が広める理由は、政治的な利益や経済的な利益、もしくはその両方を得る点にあります。

フェイクニュースは、センセーショナルで荒唐無稽な内容で、人々の関心を引き、世論の誘導や、広告収益を得るなどを行ってきました。
発信される情報は、よりセンセーショナルで、より荒唐無稽であるほど、人々の関心を強く引きます。

そのため、いくつかの研究において、分析的思考力が高い人はフェイクニュースの影響を受けにくい、という結果が示されてきました。

本稿においては、この分析的思考力のみならず、EQ、心の知能指数もフェイクニュースを見抜くための重要な要素だ、ということを解説します。

EQ(心の知能指数)とフェイクニュースの関係の研究

複数大学の研究チームは、次のような調査を行い、EQ(心の知能指数)とフェイクニュースを見分けられるか否かについて調査しました。

  • 参加者は87名(女性55名)で年齢は17歳から56歳と、幅広く参加した
  • 参加者は、アンケートを行い、EQ(心の知能指数)の測定を行った
  • また、参加者には健康、犯罪、移民、教育、気候変動など、さまざまなトピックのニュースを提示し、フェイクニュースを見分けられるかのテストを行った
  • ニュースは3つの本物のニュースと、3つのフェイクニュースが提示された

その結果、EQが高い人は、フェイクニュースを見抜くのが上手いことが示されました。

EQが高い人は、過度に感情的に誇張されたニュースに対して、敏感になれるのでは無いかと考えられます。


過去の研究により、EQは鍛えられることがわかっています。

EQが高いメンバーがチームにいると、チーム全体のパフォーマンスが高くなる、という知見もあり、フェイクニュースを見抜く力が身につく、というメリットだけでない点も指摘できます。

EQをトレーニングする、という観点の書籍も増えています。
改めて、EQを見直してみるのも良いかもしれません。

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マネジメント・リーダーシップ

メンバーによりチームのパフォーマンスはどれくらい変わるのか?

一般的には、パフォーマンスの高い個人を集めた方がチーム全体のパフォーマンスも上がると考えられています。
一方で、ごくごく普通の会社にもかかわらず、とんでもない成果を出すような光景を目にすることもあります。
果たして、メンバーによりチームのパフォーマンスはどれくらい変わるのでしょうか?

いわゆる集団的知性

いわゆる集団的知性、という言葉があり、本稿はこの集団的知性とメンバー構成について考えたいと思います

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%86%E5%9B%A3%E7%9A%84%E7%9F%A5%E6%80%A7

簡単に集団的知性とは?について、Wikipediaから引用します。

集団的知性(Collective Intelligence、CI)は、多くの個人の協力と競争の中から、その集団自体に知能、精神が存在するかのように見える知性である。
(中略)
Atlee は集団的知性を「集団思考(集団浅慮)や個人の認知バイアスに打ち勝って集団が協調し、より高い知的能力を発揮するため」のものと主張している。
(中略)
集団的知性研究のパイオニアである George Por は、集団的知性現象を「協調と革新を通してより高次の複雑な思考、問題解決、統合を勝ち取りえる、人類コミュニティの能力」と定義している。
Tom Atlee と George Por は「集団的知性は、関心をひとつに集中し、適切な行動を選択するための基準を形成する能力がある」と述べている。
(略)

なんだか小難しい感じですが、ようは「チームが協調して、ある目標の達成に向かって適切に邁進し、課題を解決していく、集団としての能力」のことと言えるでしょう。

メンバー構成と集団的知性の研究

こちらの記事である研究が紹介されています。

https://www.linkedin.com/pulse/why-some-teams-smarter-than-others-nicholas-mohnacky

複数大学の研究チームが、約200を超えるグループ(チーム)に、様々な種類の課題を与えて、そのパフォーマンスを測定したとのこと。

その結果、ある種の課題をうまく遂行できるチームは、別の課題についても同じようにうまく遂行できる傾向が示されたそうです。

そして、そういうチームの特性として集団的知性が高いという特徴(因子)があることが示されました。

研究では、IQが高い人が入っているチームが、必ずしも集団的知性も高いというわけではないことも示しました。

会社組織においてどのようなメンバーを集めるか?

ビジネスをやっている方にとって、この知見をどう活用しようか、悩む所でしょう。

一般的には「頭が良い人」の方が、パフォーマンスを発揮できると思われていますし、現実問題として、そのように見えるはずです。

一方で、研究では、必ずしもそうでは無いことを示しています。

研究は次の要素が集団的知性を高める因子だ、としています。

  • コミュニケーションが多いこと
  • 女性がいる多様なチームであること
  • 感情知能が高い人がいること(特にここが重要だとしている)

感情知能は、「心の知能とは、自己や他者の感情を知覚し、また自分の感情をコントロールする知能を指す。 」と定義されています。
ようは、自分の感情を適切に把握しコントロールできたり、人の気持ちについても精度高く察することができること、というものです。
EQ、と言われるものと近しいと考えても良いでしょう。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BF%83%E3%81%AE%E7%9F%A5%E8%83%BD%E6%8C%87%E6%95%B0

IQが高すぎるとマネジメント上の失敗が起きるリスクが高まる、という研究もあります。

ビジネスにおいては、職場は特定のスタープレイヤーに依存しがちですし、トップダウン型のマネジメントも広く見られます。
集団の知性や個人の感情より、個々人のパフォーマンスの方が優先されるのが会社組織のあるあるなのですが、改めて感情知能、もしくはEQについて見なおしてみるのも良いかもしれません。

(もちろん、IQも高い方が良い、両方兼ね備えているのがベストです。)

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