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クラウド型の電子契約サービスを導入する上での課題整理

新型コロナウイルス感染拡大とそれに伴うリモートワーク普及により、クラウド型の電子契約サービスが一気に脚光を浴びる形となりました。
今回は、クラウド型の電子契約サービスを導入する上での課題について、基本的な部分を整理します。

クラウド型の電子契約サービスとは

クラウド型の電子契約サービスにより、どのような点が大きく前進したかについては、下記の記事でも触れています。

クラウド型の電子契約サービスは、政府見解により電子証明書の無い電子署名、もっと言うと「立会人型」が認められたことにより、その存在感が大きくなりました。

立会人型のポイントは、電子署名における署名鍵を署名者が事前に準備することなく、立会人であるクラウド事業者が準備・提供することにあります。
これにより、署名鍵のユーザー負担を大幅に低減、非常に手軽に電子署名を付せるようになりました。

(法的には電子署名法に準拠せず、契約当事者が合意締結した書類データに対して、クラウド型電子契約サービス提供事業者が改ざん不可能な電子署名を施す方法により、証拠力を担保している。)

クラウド型の電子契約サービス導入の課題論点

クラウド型の電子契約サービスを自社の契約締結フローに導入する際の課題論点は大きく3つ存在します。

  1. 契約の有効性
  2. セキュリティ
  3. 内部統制

この内、①契約の有効性については、まず大前提として民法上の考え方(契約自由の原則)が存在します。
(契約は口頭での合意でも成立するので、その意味では電子契約での契約締結でも問題無い。)
このため、立会人型のクラウド型の電子契約サービスは入り口として法的に有効であると考えられます。

ただ、一部の法的な縛りがあるもの(定期賃貸借契約や宅建業の媒介契約など)は別で、紙での締結が必要になります。
自社のビジネスや締結する契約内容について、弁護士確認を事前に行っておくのが良いでしょう。

なお、契約の有効性を論ずる上で一番の問題は、なりすまし問題です。

通常、紙+押印での契約では、なりすましは無いという前提に立ちますが、クラウド型の電子契約サービスでは、その前提に立たないのでは?という懸念があります。
(ここは、政府が公式見解を出す可能性がある。)
これに対しては、サービス側の各種仕様での対応する、という整理が妥当でしょう(契約締結ができるのはメールの受信者のみ、加えて改ざん不可能な電子署名が付される)。

セキュリティに関しては、基本的にサービス側の仕様で対応する以外にありません。
一般的に使用されているクラウド型の電子契約サービスならば、セキュリティ上の問題もクリアしているものと考える、という整理が妥当でしょう。
(IPO進行上は、証券会社が推薦したものを使えばよいです。)

内部統制は、ようは契約双方の代理権限の有無(無権代理の排除)です。
これに関しては、下記記事にて、その対応について記載しています。


上記の通り、クラウド型の電子契約サービスを導入する上での課題論点は、①契約の有効性、②セキュリティ、③内部統制の3つであり、この内①は法解釈とサービス側の仕様、②はサービス側の仕様で整理できることがわかります。
つまり、会社としてきちんと対応しなければいけないのは③内部統制になります。

クラウド型の電子契約サービスを導入し、何となく運用している企業も多いでしょう。
折角の機会ですので、改めて自社の決裁権限と法務フローについて整備してみるのは良いのでは無いでしょうか。

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電子署名管理規程(印章管理規程)テンプレート

クラウド型の電子契約を導入する上での代理権限の証明(無権代理のけん制)について、別記事で解説をしていますが、あわせて印章管理規程の電子版を制定しておくと実務上の利便があります。
今回は電子署名管理規程のテンプレートを提示します。

クラウド型の電子契約を導入する上での代理権限の証明(無権代理のけん制)の記事はこちら↓です。

クラウド型の電子契約導入において規程を制定するメリット

基本的には上記「クラウド型電子契約における代理権限者の証明実務(テンプレート有り)」にて記載した実務フローで対応すれば良いのですが、契約の相手先様によっては、代理権限者の証明について更なる資料提供を求めてくる場合があります。

電子署名管理規程は、その際の提供用資料として使う事が可能です。

決裁権限規程等で代替する事も可能なのですが、不要な自社情報を開示する事になります。
証明書を別に作成する方法もありますが、煩雑です。

そこで、外部に提出する前提の規程を予め制定してしまおう、という発想です。

また、電子署名に関連する規程を、通常の印章管理規程とは別にルール制定し明確に運用していれば、内部統制上のリスク低減にもつながります(IPO進行中の企業にとっては重要ですね)。

というわけで、早速テンプレートを提示します。
(会社の実情にあわせてカスタマイズする事は必須です。当然ですが。)

電子署名管理規程テンプレート

電子署名管理規程

第1章 総則

(目的)第1条
本規程は、電子文書に対する電子署名及び電磁的処理(当社において発行または受理する電子文書に付与する、電子的な徴証であり、紙文書における印章やサイン(署名)に相当する役割を果たすものであって、直接的または間接的に当社の権利義務を発生させる証とするものまたは手段。以下、あわせて「電子署名」という。)について、第2章に定める電子署名の制定、改廃、署名及び管理に関する事項を定める。

(定義)第2条
1.本規程において「署名」とは、電子署名を行なう行為を意味する
2.本規程において「電子証明書」とは、行政手続きをオンライン申請時等、申請人の本人確認等をオンラインで行なうために、用いられる証明書を意味する。
3.本規程において「管理責任者」とは、本規程すべての責任を負う者とする。
4.本規程において「電子署名権限者」とは、電子署名に署名できる権限者とする。
5.本規程において「所管担当者」とは、署名以外の行為である、電子署名の制定、改廃、管理等の手続きを行う者とする。

(管理責任者)第3条
管理責任者は、総務部門管掌取締役とする。

第2章 電子署名の署名、制定、改廃、管理

(原則)第4条
当社に対外的な権利義務を発生させる電子文書には、原則としてこの規程に定める電子署名を使用する。

(署名)第5条
電子署名で署名する電子署名権限者は、代表取締役とする。ただし、電子署名権限者の代わりに署名を行なう権限の承認を受けた者(ただし、総務部門の社員に限る)は、代理権限者として電子署名権限者の代理で署名することができる。
2.第三者より、代理権限者であることを証明することを求められた際は、本規程及び電子署名権限者一覧表(前条第1項但書に基づき電子署名権限の承認を受けたものを一覧にまとめたものをいう)を提示することで証明する。

(制定、改廃の決定)第6条
電子署名の制定及び改廃については、電子署名権限者、所管担当者等が起案し、管理責任者が決定する。

(制定・改廃の手続)第7条
1.当該電子署名の制定・改廃の手続に関する事項は、管理責任者の承認を受けた所管担当者が行なう。
2.1項において承認を受けた場合、所管担当者が一定の期間内に電子署名の制定・改廃の手続を行なうこととする。

(管理責任)第8条
1.管理責任者は、この規程に関する全ての管理責任を負う。
2.人事異動等により管理責任者が交代する場合、前任者と後任者は、電子署名に関する業務の引継を正確に行う。

(保管)第9条
電子署名を施した電子文書の保管及び管理は、管理責任者が行なう。やむを得ない事情により代行者を定める場合は、管理責任者の事前承認事項とする。

(電子署名に関連する事故)第10条
電子署名に関連する事故が発生した場合、管理責任者は自らの責任の元、適切に対処をする。

第3章 電子署名申請

(署名申請)第11条
電子署名を求める者は、稟議規程に従って申請を行い、承認後に署名が可能となる。

(署名申請書の保存)第12条
電子署名の署名請求に使用した署名申請書の保存については、電子署名に使用したシステム内、もしくは所定の電磁方式保存形式で保存できる方法によって保存する。

第4章 電子証明書の制定、発行、管理

(電子証明書の制定)第13条
当該電子証明書の制定は、電子署名権限者、所管担当者が起案し、該当する稟議規程に従って承認を受けなければならない。

(電子証明書の発行)第14条
当該電子証明書の発行は第13条で承認後、一定期間以内に所管担当者もしくは管理責任者が管轄の官公庁で発行の手続きを行なう。

(電子証明書の管理)第15条
当該電子証明書の管理は、所管担当者が行なう。管理の責任は管理責任者が負う。

第5章 その他

(改廃)第16条
この規程は、取締役会の決議により、改廃する。

附 則

この規程は、202×年××月××日から施行する。

運用のポイント

提出用データの作成

まず、この規程をPDF化(原本証明の押印済みのものをスキャン)したものを予め用意しておくのが良いです。

(参考)原本証明の付し方
下記の文言を印字ないしは記入後、会社認印でよいので押印すればOKです。
後は、製本したものを保管しつつ、スキャンをしPDF化しておきましょう。

この電子署名管理規程の写しは、原本と相違ないことを証明します。
202×年××月××日
住所〇〇県〇〇市〇〇町〇町〇番〇
株式会社〇〇〇〇
代表取締役〇〇〇〇 印

加えて、誰が現時点での代理権限者なのかについて、名刺のスキャンデータ(画像データ)を付した一覧表を作成しておきます。

仮に、契約の相手先から証明を求められた際には、この規程PDFと代理権限者一覧を先方に提出すれば大体はOKです(これで納得しない企業はほとんど無い)。

規程制定上のポイント

なお、規程を作成する上でのポイントですが「守れないルールは制定しない」点にあります。
形だけのルールを策定し、それを守れなかった場合は内部統制上のエラーになります。
ですので、なるべく緩めに策定し、運用の中で少しずつブラッシュアップをしていくのが良いです。

まぁ、これは本規程に関わらずの話なんですけれどね。


新型コロナウイルスの感染拡大後、クラウド型の電子契約サービスが一気に普及してきましたが、その前提での内部統制やIPO審査の事例は少ないのが実際です。

本記事を参考に内部統制上のリスク低減につなげていただければと思います。

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クラウド型電子契約における代理権限者の証明実務(テンプレート有り)

クラウド型の電子契約が今回の新型コロナウイルス感染拡大の影響をうけて、一気に普及しようとしています。
この電子契約システムにおける悩みの一つが代理権限者の証明です。
今回は、この代理権限者の証明について簡便的な実務対応について紹介いたします。
(記事内で紹介しているテンプレートは、記事下部でダウンロード可能です。)

クラウド型電子契約の何が問題なのか?

以前、下記の記事でクラウド型電子契約システムであるクラウドサインが、登記実務にも耐えうるものになった、という事を紹介しました。

この話は、あくまでも自社内の話になるため、そこまで大きな問題は無く、あくまでも社内関係者間の調整と社内システムの整備だけで済む話でした。

ただ、外部との契約行為については話が別になってきます。

クラウド型の電子契約は、誰でも締結する事ができるため、本来権限を持っていない担当者でも契約行為を行う事ができるのです(無権代理者による契約)。

そのため電子契約を行う(電子署名をする担当者)が、正規の代理権限者である事の証明が双方で必要となります。

書面での代理権限者の証明 ⇒ 電子署名を行う意味が無いので×

電子署名における代理権限の有無確認、証明のポイントは、代表者(大元の権限者)による契約締結担当者(電子署名担当者)への権限移譲です。

そのため、最も確実な方法は、書面による権限の委譲の証明書を双方交わす事になるのですが。

これを行うのならば、最初から紙での契約締結をすれば良いじゃん、という話になり、電子署名を行う意味がほぼほぼ無くなります。

ようは、この話を進めるうえで、権限移譲が行われている事の証明を如何に煩雑でなく効率的に行うか?が論点となります。

電子契約承認者(代理権限者)情報の交換と回覧での対応

そこで、この権限移譲の証明を簡単に行う方法として「電子契約承認者(代理権限者)情報の交換」を提案します。

このサンプルにあるような形で、双方の権限者情報(代表者情報)と代理権限者情報(実際の署名担当者)を交換しあいます。

この情報交換シートは、電子契約実務を進行する上での効率化、が目的の一つです。
加えて、下の方に「宣誓書」が付されており、あまり法務的観点を理解していない方が安易に契約を行う事の牽制が行えます。
また、どちらかが「無権代理者による勝手な契約行為だ」と仮に主張したとしても、明確に書類をやり取りしており、係争案件に発展した場合の材料の一つにできます。
つまり、①実務上の効率化、②無権代理者による契約締結行為へのけん制、③係争案件に発展した場合の材料、の3つの機能があります。

論点である権限移譲証明のタイミングは2つあります。

1つが、上記の情報交換のやり取りに、双方の代表者を含めるというやり方(通常は電子メールが使われると思うので、CCに入れる)。

2つが、電子署名を行う上で、多くのクラウド型の電子契約サービスについている「回覧」機能で代表者に回覧送付する、というやり方です

この2つのタイミングの内、いずれかの方法をとれれば、無権代理者による契約締結のリスクを大幅に低減する事が可能です。

契約締結やり取りの共有の際、仮に権限移譲を容認していない場合において事後的にすぐに異議を述べなければ、代表者の権限移譲について、承認の意思表示が推認されます。

なお、先方代表者のメールアドレスを方針として開示できない、という会社も存在します。
(大企業だと、まぁまぁある。)

この場合、先方の決裁権限規程等と担当者名刺をデータでもらい、先方規程上、明確に代理権限を有している事を確認する方法でも代替は可能です。

会社側として、電子署名管理規程のような、外部にお出しする前提の規程を作成し、提出を求められた際に、即時に提示できるようにするのも良いでしょう。


いずれにせよ、お付き合いする会社により、方針や考え方等々はかなり異なるものです。

一律での対応、というのは現実的に難しい所があると思いますので、相手先の状況や要望、取り引きする内容や重要性、金額の大小等々を考慮して、手間負担とリスクのバランスを適宜探るのが良いでしょう。

なお、上記シートのサンプル(テンプレート)はこちらからダウンロードできます。

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【リモートワーク】登記簿謄本・印鑑証明書をオンラインで手配する

登記簿謄本・印鑑証明書。
非常にレガシーな書類ですが、ビジネスをやっていく以上、避けては通れないものです。
これをオンラインで簡単に手配し、指定の住所に郵送するサービスがあります。
リモートワーク推進につながるサービス「Graffer」について見ていきます。

登記簿謄本・印鑑証明書の取得は面倒

一度やったことがある人はよくわかるでしょう。

登記簿謄本・印鑑証明書の取得は非常に手間です。

スケジュールを調整し、わざわざ法務局に出向かなければいけません。
印鑑証明書の場合は、登録カードも必要で、法務局にいけば取得できる、というものでもありません。

法務省では、かんたん証明書請求、という決して簡単では無いサービスを展開していますが、銀行振込にしか対応していなかったり、スマホ利用ができないなど、微妙感ただようものでした。

Graffer

そんな面倒な手続きを大幅に簡略化するサービスがGrafferです。

回し者では無いですよ。

PCでもスマホでも、必要な登録を済ませば、数分で登記簿謄本の手配ができます。
取り寄せだけでなく、例えばお取引先業者から依頼された場合など、指定の住所に郵送ことも可能です。

また、電子証明書も取得していれば、印鑑証明書の手配も可能です。
電子証明書についてはGraffer内で、簡単に取得するガイドも付いているので、行政資料からやるよりもお手軽に取得可能です(費用は別途かかります)。

サービスイメージは下記動画を参照して見て下さい。

料金プラン・手数料は下記の通りです。
直接取得するよりも手数料自体は高くなりますが、移動コスト・手続コストを考えたら、圧倒的にお得です。


以上、登記簿謄本・印鑑証明書をオンラインで手配する方法について見ていきました。

Graffer活用により、本当に面倒であり、リモートワークの妨げ要因になっていた業務を一つ削ることが可能になります。

是非、活用して見て下さい。

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電話代行とクラウド電話システムでオフィスから電話を無くす方法

リモートワークを阻害する要因の一つに「電話」があります。
法人の代表電話、コールセンター業務等々。
いくらメールやチャットツールが発展したとは言え、電話を全く無くすことは難しいです。
今回は、電話代行とクラウド電話システムの活用により、オフィスから電話を無くす方法を解説します。

なお、今回紹介するサービスやシステムは、当方が慣れ親しんだものになりますので、他のサービスやシステムも存在することはご承知おきください。
また、回し者でも無いです。
あくまで事例紹介と捉えていただければ幸いです。

大枠の考え方

まず、大きくクリアしたい点が2つあります。

  • 外部から一方的にかかってくる無関係の電話を無くしたい
  • 必要な電話を必要な担当者に回せるようにしたい

この内、前者を電話代行サービスで、
後者をクラウド電話システムによって解決します。

イメージとしては、次のようになります。

それでは、それぞれ具体のサービスを見ていきましょう。

電話代行サービス

電話代行サービスとは、文字通り、事業者に代わって受電していただけるサービスです。
サービス提供者のオペレーターが代理で対応して、報告してくれます。
後は、自分たちの任意のタイミングで折り返し連絡するのか、それとも連絡しないのかを判断できるわけです。

最近はチャットツールに、受電情報を連携するサービスも一般的になり、効率的にストレス無く、オフィスに一方的にかかってくる電話を無くすことが可能となりました。

代表的なサービスとしては、「fondesk」というサービスがあります。

fondeskを推奨する理由は次の3点です。

  • 余計な手続きが必要なく、すぐに導入できる
  • Slackをはじめ、Line,Teams、チャットワーク、などの代表的なチャットツールに対応している
  • 料金体系がシンプル(100架電まで月額10,000円、以降1架電200円)

サービス内容イメージは下記動画を参考にしてみてください。

(繰り返しますが、別に回し者じゃないですよ。)

fondeskからのチャットツールであるSlackへの通知は次のようなイメージになります。

fondeskのSlack通知イメージ

その他のサービスとしては、下記のような業者が提供しています。

CUBE電話代行センター

電話代行サービス株式会社

セントラル・アイ株式会社

株式会社ビジネスアシスト

基本的なサービス内容は同じようなものですので、用途・ニーズ感等にあわせて選択すれば良いでしょう。
また、お気に召さなければ、スイッチは難しくは無いので、気軽に始めて見ると良いと思います。

クラウド電話システム

テレワークが叫ばれていますが、ハードルの一つが、従業員一人一人に付与している電話をどうするか?という問題があります。
スマートフォンを購入し、法人契約をする方法がありますが、現物管理も必要ですし、まあまあな費用もかかります。

これを解決するサービスの1つの解が「dialpad」です。

Dialpadを推奨する理由は次の5点です。

  • アプリをインストールすればパソコンでもスマホでも電話を使用できる(インターネット必須)
  • 通話中にデバイスを切り替えられる
  • 一般的なクラウドPBXと大差無い料金(多少高い)
  • 従業員毎に個別の電話番号を付与できる
  • 転送もできるのでコールセンター用途にも使える

ようは、従業員のモバイル端末を利用しても良いし(BYOD)、会社貸与の端末を使用しても良い形で、従業員個別に電話を付与することができるのです。
オフィスの電話がブーブーなって、誰かが代理で出てメモを残す、ということが不要になります(個別に留守録を残すことが可能)。

サービス内容イメージは下記動画を参考にしてみてください。

(もう一度、繰り返しますが、別に回し者じゃないですよ。)

他、諸々の利用イメージはdialpad japanの動画ページを参考にすると良いでしょう。

https://www.youtube.com/channel/UCKzBEvtXFemFsJ3d-n2imAg/videos

その他のサービスですが、(筆者の勉強不足もあるかもしれませんが)他にはあまり良いサービスが無い印象です。
クラウドPBXを提供している会社はたくさんありますが、面倒であったり、高かったり、スマホ利用が出来なかったり、と様々な制約があります。
現状では、dialpadが一番お手軽かな、というイメージ感です。

ただ、あくまでも会社のニーズにもよるでしょうから「クラウドPBX 比較」で検索して、自社にあうサービスを探すのが良いでしょう。


以上、電話代行サービス、クラウド電話システムを組み合わせて利用することにより、オフィスから電話を無くす方法を見てきました。

当方、この組み合わせでサービスを利用しているのですが、率直に言って非常に快適です。

イメージができるかどうか不明なのですが、オフィスで電話が一切鳴らないんですよ?
邪魔も入らないですし、単純に音で集中力が途切れたり、電話が長くなって誰かがとるのか自分が取るのかそわそわしたり、ということが皆無になるのです。

正直、今の時代、電話は終わったツールだと感じています。
時代の変化、新型コロナウイルス影響、リモートワーク意向の高まりもありますので、これを機会に切り替えてみてはいかがでしょうか。

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【厳しめ注意】心理的安全性を勘違いするな

Googleがチームの力を最大限高めるために「心理的安全性」という考え方を出してから、このワードがベンチャー界隈を中心に流行っています。
内容としては頷けるものである一方、その世の中の捉えられ方には首を傾げるものも多々見受けられます。
今回は、心理的安全性を勘違いするな、と題して、その考え方について解説していきます。

なお、以下は筆者個人の考えになりますので、異論・反論は大いにあって当然だし、結構だと考えています。

心理的安全性とは

心理的安全性とは

心理的安全性については、色々な書籍や記事で書かれているので、ここでことさら何か詳細に解説することはしません。
適当にググってください。

大本の考え方の発信も参考にしてみてください(TED動画:日本語無し)。

概要だけ簡単に述べるにとどめると、ようは、下記のことです。

「恐怖や不安を感じることなく、安心して発言、行動できる状態のこと」

そして、心理的安全性がないと、問題の共有や、その解決策、その他もろもろの意見やアイデアが出にくくなり、ひいては、プロジェクトの失敗や、不正の温床になるなど、チームのパフォーマンスや信用問題に影響する可能性がある、とされています。
心理的安全性の有無が、組織の未来を左右する、というのですね。

ここまで書くと、全くもってそうだね、と当然に思えます。

では、世の中の捉え方として、どのような誤解をされているのでしょうか?

心理的安全性の勘違い

心理的安全性は、みんなで楽しくワイワイ仕事をする環境を作ること、ではありません。

心理的安全性を勘違いして、みんなが楽しく仕事をすることだ、と捉える人は結構多い印象です。
加えて、自分が辛い状況だと、「心理的安全性が無い組織だ」と考える人が、まあまあ存在します。

心理的安全性をストレートに表現すると、
「あくまでもパフォーマンスを最大化して成果を出すための考え方であり、仲良しグループを作るための考え方では無い」のです。

成果を出すことが前提にある、資本主義の権現の考え方なんですよ。

どうすれば正しく心理的安全性のある組織にできるか?

心理的安全性が誤解される理由

心理的安全性を正しく適用する方法を考える前に、何故、誤解されやすいのか?を考えてみましょう。

まず、心理的安全性を阻害する、と言われている原因ですが、次の4点が指摘されています。

  • 無知だと思われる不安
  • 無能だと思われる不安
  • 邪魔だと思われる不安
  • 批判的だと思われる不安

何も知らない、仕事ができない、議論の邪魔、あいつは批判ばかりetc…。
こう思われるのが不安であり、無難な発言、無難な態度にとどめようとしてしまうのです。

そのため、対処法として、次の4点を積極的に行っていきましょう、とされています。

  • 質問をする
  • 失敗をする
  • 発言をする
  • 反対意見を言う

ようは、相手を認め、尊重しましょう、ということですね。

。。。。。

こんなん、「皆さん、相手を認め、尊重しましょう。」と言うだけで、できるようになるわけ無いじゃないですか。

会社組織として「心理的安全性を推進しましょう」としても、これは言うは易し系です。

結局、どうすれば良いのかわかりづらいのだから、自分の印象を良く見せる方向に一人一人が行動してしまうに決まっています(絶対そうなる、という意ではなく、人間心理としてベクトルがそうなる、ということ)。
それで、何となく仲良しグループができて「心理的安全性が確保されている!」と勘違いしてしまうのです。
酷い状況になると、経営者が「これはぬるま湯だ、不味い。」と思って軌道修正を図ると、「言っていることとやっている事が違う。」と反発を招く形に発展してしまいます。

どうすれば正しく心理的安全性のある組織にできるか?

では、どのようにすれば、正しく心理的安全性のある組織にできるのでしょうか?

ここで改めて、心理的安全性を阻害する要因を見ていきましょう。

  • 無知だと思われる不安
  • 無能だと思われる不安
  • 邪魔だと思われる不安
  • 批判的だと思われる不安

逆説的に考えてみて下さい。
そもそもとして不安に思わないような強い状態にすれば、良いと思いませんか?

ようは、下記の状態になるように、採用や教育を行っていけば良いのです。

  • 従業員が自分たちの仕事をする上での知識を十分に有している
  • 会社が求める成果の基準を明確化し、それを従業員が達成している
  • 不要な会議を排し、必要な会議に必要な人のみをアサインしていく
  • 組織ファシリテーション能力をチームとして高めていく

もっとストレートに表現すると「優秀な人を雇えば良い」のです。
強いメンバーでチームを構成すれば、心理的安全性の確保がしやすくなります。

きちんと成果意識のあるメンバーでしたら、どんな優秀な人間でも知らないことはあるし、ミスもするし、勘違いもするし、色んな不安を抱えている、ということを知っています。
その上で、成果に意識をフォーカスをしている。

こういうメンバーが揃っている状態で改めて「心理的安全性を推進しましょう。」と発信すれば、自然とそのような組織が出来上がっていきます。
チーム・ビルディングの手法は、それ単独で成立するものではない、ということですね。

都合よく人を採用できるわけない!という反論

ここまで書くと、かなりハードな考え方のように思われるかもしれません。
(まあ、実際ハードなのですが。)

そして、「そんな都合よく、人を採用できるわけないじゃないか!」という反論も出てきそうです。
(まあ、実際、そんな都合よく人を採用できるわけ無いんですけれどね。)

ここでまず、納得しなければいけない点が1つあります。

それは、

心理的安全性はGoogleでは上手くいっているかもしれないが、
他社においても心理的安全性を確保すればGoogleのように上手くいくわけではない。

ということです。
ようは、一種の生存者バイアスなのです。

これを納得した上での朗報がこちらの記事です。

組織というものは、構成要員の25%にアプローチができれば、その影響が全体に波及するものです。

つまり、全員を心理的安全性適正が高いメンバーで構成せずとも、25%程度構成できれば望む方向にベクトルを向けることができると考えられるのです。

ここまでハードルを下げれば、なんとかなると思いませんか?
(というか、本当に心理的安全性が確保されている組織にしようと思うならば、なんとかしましょう。ビジネスは甘くないんですよ。)


以上、心理的安全を勘違いするな、と題して、正しく心理的安全性が確保された組織にする方法について考えてきました。

ここでのベースとなる思考ロジックは、その他諸々の事象でも応用できます。

  • 世の中の成功事例は生存者バイアスであり、真似をしても上手くいくとは限らない
  • 何かの手法や考え方は、大体において、それ単独では機能しない
  • (身も蓋もないけれど)結局の所、優秀であること、成果に意識が向いていること、が重要

輝かしく成功している企業の事例を、取り入れたいという気持ちは当然にそうだと思うのですが、どういう仕組みでうまく機能しているのであろうか?と一歩引いて冷静に考えることも重要ですね。
(この点が、本件で一番言いたかったことです。)

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ヤフーの「副業人材」、その真の狙いは何か?

ヤフーが10月からリモートに無制限で移行しますよ、という報と共に「副業人材」を100人募集する、という報も流れました。
新しい雇用のあり方か?とも思いましたが、どうやらそうではなさそうです。
その真の狙いを見ていきましょう。

ちなみにわりかし妄想です。

ヤフーが「副業人材」を100人募集

元の記事はこちら。

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2007/15/news109.html

他社などで本業に従事している人材を、「副業」の形で自社でも受け入れる施策の募集を15日、開始した。第一弾として事業プランのアドバイザーなど約100人を受け入れる。同社は「従来の会社と個人の関係性に捉われない『副業としての当社への参画』を積極的に募集」する、としている。

との事です。

ライオンをはじめ、副業人材を募集しはじめている企業が出てきている中、ついにヤフーもか?と思いましたが、どうやら狙いはそうではなさそうです。

ヤフーが「副業人材」の真の狙い

まずはヤフーのキャリア採用のページを見てみましょう。
副業人材(ギグパートナー)の特設ページでも良いです。

ピックアップポジションとして2つほど、あがっています。

中身を見てみると、次のような記載があります。

ヤフー「ギグパートナー」募集要項より

気になる文言は選考過程の「エントリーいただいた方には、課題を付与させていただき、レポートを作成・提出いただきます。そのレポート内容をもとに選考とします。」部分です。

これはどういうことでしょうか?


結論はシンプルで、他社のハイレイヤー人材の一本釣りをしたい、というわけです。

5万円×2ヶ月分の報酬を払うから、戦略プランや事業プランについて、提出したレポートを元に詰めていきましょう、と。
そして、その中で、解像度高く戦略プラン、事業プランを練れた方に対して、転職してうちでプランを推進しないか?というアプローチをとるのでは無いでしょうか。

10万円は非常に安い報酬ですが、一定、お金を受け取ってしまうと不思議と責任感が出て、本気で取り組むのが人間、特に日本人的特質です。

100人の募集で10万円ですと、かかる金銭的支出は10百万円。

ハイレイヤー人材をエージェントから採用すると、2人程度でこれ位の紹介報酬は平気でかかるので、100人の内、5人程度、優秀な人材を採用できれば、簡単にペイできてしまうのです。

発想としては非常に面白いです。
入り口でレポートという選考フィルターを通しつつ、2ヶ月かけてプランをブラッシュ・アップしていく。
そして、きちんと成果物がでなければ関係はそれで終了、とコストは安く、リスクも非常に少なく取り組めます。

新しい採用手法でありつつ、新規事業の創発手法のトライアル、というわけです。

どのような推移をたどるのか、ウォッチしていきます。

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キャリアの掛け算の正しい考え方(100万人に1人の人材になるために)

リクルート・フェローの藤原和博氏が提唱しているキャリアの掛け算は、キンコン西野氏も広く紹介したこともあり、非常に有名になりました。
しかし、微妙に意味を履き違えて受け取っている方も多いようにも感じます。
ここでは、キャリアの掛け算の正しい考え方について、解説していきます。

キャリアの掛け算とは

キャリアの掛け算については、こちらの記事を見てみて下さい。

簡単に書くと、
単一のキャリアで100万人に1人の人材になるのは困難です。
しかし、100人に1人の人材ならば正しい努力をすれば達成確度は高いというのは納得できる話でしょう。
この100人に1人のキャリアを3つ積めば、100×100×100で、100万人に1人の人材になれる、という考え方です。

図だけ拝借します。
考え方として、非常に参考になるので、大元の記事も是非読んでみて下さい。

かけ離れすぎたキャリアはただの器用貧乏に

では、どのような点で微妙に意味を履き違えている方が出てくるのでしょうか。

まず、100万人に1人といわずとも、100人に1人以上の1,000人の1人の人材ならば十分なその道のスペシャリストなので、非常に高い価値を持っています。
人材市場で見て引く手あまたでしょう(もちろん分野にもよるでしょうが)。

つまり、変に掛け算するよりも、1つのキャリアを極めるという道も考え方としては決して間違っていないのです。

もう一つ、この3つのキャリアですが、あまりかけ離れすぎたキャリアになると微妙です。

例えば、営業からスタートした人が、次に経理をやって、3つ目にデザイン(例えばクリエイティブ部署の管理職とか)をやったとしましょう。
 
キャリア間のつながりが細く、掛け算という観点で見ると、とてもじゃないですが、価値の高い人材になれるイメージが掴めません。

キャリアのシナジーを考える

それでは、キャリアの掛け算を有効に正しく活用するには、という本題です。
これはシンプルにキャリア間のつながり、シナジーを考える必要があります。

具体例を3つ程、示します。

管理系全般をカバーする人材に

経理スタートの人が管理系全般をカバーする人材を目指す場合のキャリアルートです。

  1. 経理
  2. 経営企画(財務、開示、IR、ガバナンスetc…)
  3. コーポレート部門全般(人事、総務、法務etc…)

入り口は経理からです。
経理は会社の決算をまとめる仕事であり、業務の必要性から会社の実情に詳しくなります。
そのため、経営企画領域へのステップは比較的近い距離にあります。

財務、開示、IRや取締役会や稟議フローの適正運営などは、キャリアチェンジ後もスムーズに業務を開始できるはずです。
また、この領域の仕事をしていると、法律面をはじめ、会社の様々な管理領域に接触する機会が増えます。

3つ目の軸として、人事、総務、法務といった方向性でキャリアを構築すると、管理系全般をカバーする人材になります。
ポジションとしては、管理部門の部長や、それまでに出してきた成果によっては役員に就く方も出てくるでしょう。
ベンチャー企業に転職してCFOを志向することも考えられます。

ザ・モデル型セールスのスペシャリストに

営業からスタートし、ザ・モデル型セールスのスペシャリストを目指す場合のキャリアルートです。

  1. 営業(例えばフィールドセールス)
  2. インサイドセールスやリードジェネレーション領域
  3. マーケティングやカスタマーサクセス領域

入り口は、よくあるフィールドセールス(外回り営業)としましょう。
ここで業界のことや顧客のこと、そして自社商品の強み弱み等々を理解していきます。

ここからのスイッチとして、インサイドセールスに行くか、カスタマーサクセスに行くか、どちらでも可能性はあり得ます。
仮にインサイドセールスの方向に進んだとして、これまで培ってきた知識やノウハウが結構そのまま流用できます。
優秀な方ならば、受注率に繋げるためにリードソースの質を高める活動に入っていくはずです。
つまり、リードジェネレーションにまで手を広げる形です。

3つ目のキャリアとしては、もっと広くマーケティング領域に活動の軸を移す手もありますし、改めてカスタマーサクセスで顧客との関係性を深堀していく方向に進むこともできます。

ポジションとしては、セールス部門の部長や、場合によってはCOOとして役員についている状況も考えられます。
セールスフォースのようなシステムに熟達しているのであるならば、ザ・モデル型セールスのコンサルとして独立して活動することもできるでしょう。

管理系業務改善のプロフェッショナルに

3つ目の事例が、システムエンジニアからスタートし、業務改善のプロフェッショナルのルートを歩む例です。

  1. システムエンジニア
  2. 経理
  3. 業務改善コンサル

入り口はシステムエンジニアです。
ガチガチにコードを書く、というよりかは仕様をまとめたり、外注先(業務委託含む)との橋渡し的なポジションです(大企業でよくあるシステム部門のイメージ)。

ここで意外思うかもしれませんが、2つ目のキャリアとして経理の道が挙げられまっす。
というのも、経理の仕訳データは完全なデータベースになっているのと、会計システムはマスタ管理が重要でありシステム部門が行う業務と親和性が高いのです。
ですので、管理系からシステム系へのコンバートは簡単では無いのですが、システム系から経理系へのコンバートは比較的ハードルが低いと私は考えています。

そして、経理の業務は単純に仕訳を切ったり決算を締めたり、というようなことばかりでなく、全社的な業務改善にも手を広げていく形になります。
経理の業務は、全社から資料をかき集める必要があるからです。

つまり、SE×経理でキャリアを成功させると、必然的に管理系全般の業務効率化の能力があがっていくのです。
(効率化のためにシステム導入したり、業務フローを整理するなど。)

ハイレイヤーのポジションは難しいかもしれませんが、独立したり、どこかコンサルに転職して活動していく道が考えられます。

まとめ

以上3つ事例で、キャリアの掛け算の考え方を見ていきました。

いずれも1つ目から2つ目は距離の近い、親和性の高いステップです。
(意外なものも含まれているかもしれませんが。)
まずここで、シナジーがわかりやすい、距離の近いキャリアで構成するのが良いでしょう。

そして、3つ目は大元の考え方にも解説があるように、少し遠くにジャンプするのが良いです。
(三角形の面積が大きくなるため。)

1つ目2つ目の100×100で、結構なレイヤーの人材になっているはずですし、知識・経験とも十分なので、多少のチャレンジでも成功確率は高いはずです。
シナジーを生ませるコツもわかってきているはずです。


なお、これらの考えは個人のキャリアの話だけではありません。
社内での人材教育や人事異動についても応用ができます。

古典的な大企業ですと、関連性の薄い部署をローテーションさせたりしちゃいますが、これは個人のキャリアにとっても、従業員の専門性強化の阻害という観点でも、あまりイケていません。

人事異動は、規模に関わらず一定発生しがちですが、上述のキャリアの掛け算の観点で考えると、労使双方にとってプラスになるキャリア施策が構築できるはずです。

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人事・総務

本当に役立つ法人(ビジネス)向けパソコンの選び方(アフィ無し)

法人(ビジネス)向けパソコンの選び方を解説しているサイトは数多くあります。
しかし覗いて見ると、実務に即していない、経験値の浅いテキストを多く見受けます。
ここでは、管理系ポジションで長くやってきた筆者が、本当に役立つ法人(ビジネス)向けパソコンの選び方を解説します。

アフィリエイトのリンクなどは、一切ありません。
現場でPC選定をリアルに行ってきた、血の通った経験と考えています。

価格コムやAppleのサイトで選べるようにしたい

ようは、各担当者が価格コムAppleのサイトで選べるようにしたいのです。

パソコンとかガジェット類に興味があれば別ですが、大して興味が無いのに、CPUの種類がどうだ、メモリのスペックがどうだ、という話をされても辛いですよね?

というわけで、法人(ビジネス)向けパソコンを選び基準としては下表を参考にしてください。
これをベースに価格コムで検索したり、Appleのサイトで選べば良いです。

この後、職種別の解説と、その他選定上のポイントについて解説していきます。

職種別解説

ここからは職種別に、上記選択基準表について解説していきます。
加えて、どの辺のPCが選択肢になるのか、も示していきます。

クリエイティブ系

主要な所としてはAdobe製品を使用し、画像データや動画データといったクリエイティブ系の制作を行う職種です。

非常に高いPCの処理性能を要するので、最もハイスペックなPCを用意する必要があります。
通常の選定基準に加え、グラフィック性能が高い方が良い点も留意した方が良いです。
制作素材を大量にPC内に保存しておく必要性があるいので、ストレージも大容量を要します。
また、この職種はMacユーザーが多いので、選択肢が限られることも指摘できます。

選定例としては、16インチMacBookPro(ストレージ1TB版)です。

なお、仮に会社としてWindowsを使っていくんだ、となった場合、ゲーミングノートも選択肢に入ります。
(ゲーミングPCは高スペックなので、クリエイティブ用途に向いています。)

プログラマー

いわゆるプログラマーと呼ばれるエンジニア職種です。

言うほど高スペックPCは必要で無いです。
ただ、データベースを扱うとなると、大容量のメモリは必要です(16GB以上)。

OSは、何を開発するの?と、その会社での開発ベースが何なのか?次第で、WindowsなのかMacなのかが変わります。
ですので、システム開発系の責任者と相談するのが良いでしょう。

選定例としては、13インチMacBookPro(メモリ16GB)です。

後は開発する内容に応じて、スペックをあげれば問題無いでしょう。

事務系

経理や人事のような管理系の職種です。

ここが誤解されがちなのですが、経理や人事といった仕事は大量のデータを取扱うため、結構なPCスペックが必要です。
特にメモリです(16GB)。

後、法人用の基幹系ソフトウェアはWindowsしか対応していないものが多数存在します。
特に銀行系システムです。
最近はSaas系の便利なWEBサービスが増えていますが、まだまだ事務系はWindows一択という状況です。

この辺のものを好みやサポートのを考えて選択すれば良いと思います。

他職種

マーケティングやその他の事務などの職種です。

そこまでPCスペックを要しませんが、スプレッドシートを大量に使う、大量のタブをブラウザで開いて仕事をする、というような場合は、メモリ容量は16GB以上あった方が良いです。
OSは、会社全体で導入しているPCにあわせるのが良いでしょう。

後、PCスペックは要しない、といっても、安すぎるのは絶対にダメです。
銭損になります。

この辺のものを好みやサポートのを考えて選択すれば良いと思います。

Macを選ぶなら、MacBookAirの最小構成は最適でしょうね。

移動が多い職種

経営者や営業のような、移動が多い職種です。

こちらも、そこまでPCスペックを要しません。
軽さ重視で、重くても1.5Kg位までが良いでしょう。

この辺のものを好みやサポートのを考えて選択すれば良いと思います。

他職種同様、Macを選ぶなら、MacBookAirの最小構成は最適です。

選定時のポイント

ここからは、上記では触れられない選定ポイントです。

安物買いの銭損に注意

経営者は、とかく節約をしたがりますが、パソコンに関して節約しすぎるのは危険です。
スペックが作業効率にダイレクトにヒットするからです。

CPU名を出すと、うわぁ、と思われるかもしれませんが、Celeron(セレロン)やAtom(アトム)と言ったCPUが搭載されている場合は、絶対に選定してはいけません。
メモリ4GBとか論外です。
ストレージでHDDを選択するとかも、あり得ません。
安くてもです。

使用者のストレスを溜めるだけです。

固定資産の計上基準に注意

会計上の話です。
固定資産は10万円、20万円、30万円の数字を区切りに、計上の基準が変わります。

詳細は、経理の方や、税理士に聞いてください。

とりあえず、20万円以下のを選定の基本にするのが良いです。
クリエイティブ系は高額になってしまいますが、仕方ないです。

OSはWindowsかMacか?

ぶっちゃけどっちでも良いです。
好みの世界ですので。

ただし、なのですが、上述の通り、管理系の基幹システムはWindowsにしか対応していないものが多いです。
銀行系システムは、ほぼほぼWindows一択です。
全PCをMacで統一、と言う場合には仮想環境を用意しないといけないので、要注意です。

また、法人系のセキュリティソフトの多くは、Macに対応していないか、対応していても機能に制限があるものが多いです。
大企業のセキュリティ構築や資産管理には弱い部分が発生する場合がありますので、こちらも要注意です。

その意味で、法人用途としてはWindowsなんだよなぁ、というのが私個人の感想です。

なお、なのですが、会社としてOSをリプレイスするのは、かなり大変です。
MacとWindowsでは、操作感や対応しているソフトが異なるためです。
小規模な内に、会社としてどうしていくのか、の方針を早々に決めた方が良いでしょう。

ノートかデスクトップか?

これも会社の方針次第なのですが、正直、今の時代、ノート一択でしょう。
共用PCなど、固定設置の場合、ケンジントンロックというセキュリティケーブルで十分対応できます。

備品類はどうする?

マウスやテンキーは要望される場合が多いので、希望ベースで配布できるようにしておくと良いでしょう。

外付けディスプレイがあると、業務効率が爆上がりするので、絶対に1つ買うか、リモートならば購入補助をつけた方が良いです。

なお、Mac系のアクセサリは、高額な物が多いので、そこは会社内で方針をよく検討してください。

後、プライバシー(覗き見防止)フィルターは配布した方が良いです。
外で作業して、「ショルダーハック(覗き見)」被害にあう可能性が低くないからです。


以上、本当に役立つ法人(ビジネス)向けパソコンの選び方を解説していきました。

色々書きましたけれども、一言でまとめると「きちんと金出そう」ですね。
従業員が効率よく仕事をするには、それなりのスペックが必要です。
超ハイグレードの高級PCである必要は無いですが、ここでケチると、結局、人件費(業務時間)という形で負担する形になります。

費用対効果が高い領域だ、ということは大前提として認識しておくと良いでしょう。

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人事・総務

OKRを成功させるために本当に重要なこと1点

主にベンチャー界隈で人気のある目標管理ツールにOKRというものが存在します。
人気がある一方、大多数の会社はうまくOKRを活用できているようには見えません。
ここではOKRを機能させるために本当に重要なことについて、たった一つのことを指摘します。

OKRって何?

OKRのことをある程度知っている前提で書くのですが、とは言え、ということで簡単に。

OKRとは、世の中に数多く存在する目標管理、マネジメントのツールの一つです。
GoogleやFacebookのような、輝かしいIT企業が採用していたということもあり、ベンチャー界隈を中心に、様々な業種業界で人気のツールとなっています。

じゃあどんなものか?というと、「Objectives and Key Results」という言葉の略で、1つの目標(O)に対して、複数の結果指標(KR)を設定し、それをかなり短い期間でトラッキングしながら、組織として高い成果を出して行きましょう、というものです。

特徴的な所としては、設定する目標と結果指標について、ストレッチした水準を設定するところにあります。
組織として本気で頑張ればなんとか達成できるような水準です(確度として50%から80%あたり)。

そして、このなんとかギリギリ達成できるかもしれない高い目標を、高速でグルグルまわしながら追いかけ続けるので、もしかしたらムーンショット(月に届くほどのショット)を狙えるかもしれない、という考えをもった目標管理ツールです。

詳細はググれば、いくらでも解説が出てくるので、そちらも参考にしてみてください。

OKRを成功させるために本当に重要なこと

さて、では人気のツールなわけですが、うまく活用できている企業は少ない印象です。
(OKRを使えばムーンショットを達成できるのなら、もっと多くの企業が成功していますよね。)

色々なサイトで、OKRを機能させるために重要な事を解説しています。

例えばこちらのサイト。

こちらでは、

  • 組織として聖域を除去する覚悟を持つ
  • 心理的安全性の担保
  • モチベーション3.0の存在の確認

という点を指摘しています。

また、こちらのサイトでは、逆に失敗する要因として、

  • 会社にミッションがない
  • 上層部だけで目標を設定、メンバーの意見を聞いていない
  • 値の設定が不適切

というようなことを指摘しています。

どれもそうなんだろうな、という感想は持ちつつも、ある一つの点に関して視点が抜け落ちているように思います。

というのも、OKRはどこまで行ってもツールの一つだ、という点です。

例えば、皆さんが仕事で当たり前に使うパソコンです。
パソコンは、仕事の効率を劇的にアップさせる素晴らしいツールです。
しかし、じゃあ、全てのパソコンを活用するビジネスパーソンが、パソコンを使いこなせているか?と言えば、別にそういうことは無いですよね?
ブラインドタッチで躓いている人から、本当に活用しきれている人まで様々です。

OKRも同じで、ようは数あるツールの一つでしかないので、使いこなせるか否かが重要なのです。
ツール(道具)として、使い方に熟達しないといけません。

その意味でこちらの記事にありました、時間と慣れが必要、というのが一番しっくりくる解説です。

説明は1行でも、実際の運用には時間と慣れが必要
(略)
OKRは科学とアートの中間だから、これだという正解はないことや、導入しても2、3回(半年以上)更新する経験を通してしか、組織やチームにしっくりくるOKRは設定できないのが普通ですということをお伝えしていました。
(略)
細かな設定と運用がきわめて重要です。それは個々人のインセンティブやモチベーション、組織の報酬や力関係というダイナミクスと密接に関わっていて、正しく運用しなければ、むしろ組織のモラル低下に繋がります。表層的なOKR導入で組織のモチベーションが吹き飛ぶことがあります。

CORALCAP「OKR運用失敗の3つの理由―、なぜ高すぎる目標が逆効果になるのか」より

上の、逆に失敗する要因であげた記事でも触れられていましたが、
「ウィンセッションができていない」のも、これに触れている指摘ではあります。

組織として、しっかり使っていく、そして正しく使えているよね、ということを確認していく。
それを長く根気強く続ける。

これがOKRを機能させるために本当に重要な、たった一つのことです。

この話って別にOKRに限らない

実はこの話って、OKRに限りません。

若干話をそらして、ぶっちゃけな感想を書くと、OKRでできることって、別にOKRである必然性がありません。

旧来のKPI管理をストレッチ目標で設定し、その他のイノベーションに導く組織運営手法と組み合わせれば、それで事足りるといえば事足ります。

じゃあ、KPI管理で良いのか、といえば、KPI管理はKPI管理で、やはり運営の妙があるので、ツールとして熟達しなければ使いこなせません。

ドッグイヤーという言葉が一般化して久しいですが、どこかの会社や偉人が、何か新しい取り組みをしたら、それに流されるのが世の常です。
しかし、本質は昔から変わらない、という点は重々承知しておいた方が良いでしょう。

どこまで行ってもツールなので、熟達しなければ使いこなせません。

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