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人事・総務

OKRを成功させるために本当に重要なこと1点

主にベンチャー界隈で人気のある目標管理ツールにOKRというものが存在します。
人気がある一方、大多数の会社はうまくOKRを活用できているようには見えません。
ここではOKRを機能させるために本当に重要なことについて、たった一つのことを指摘します。

OKRって何?

OKRのことをある程度知っている前提で書くのですが、とは言え、ということで簡単に。

OKRとは、世の中に数多く存在する目標管理、マネジメントのツールの一つです。
GoogleやFacebookのような、輝かしいIT企業が採用していたということもあり、ベンチャー界隈を中心に、様々な業種業界で人気のツールとなっています。

じゃあどんなものか?というと、「Objectives and Key Results」という言葉の略で、1つの目標(O)に対して、複数の結果指標(KR)を設定し、それをかなり短い期間でトラッキングしながら、組織として高い成果を出して行きましょう、というものです。

特徴的な所としては、設定する目標と結果指標について、ストレッチした水準を設定するところにあります。
組織として本気で頑張ればなんとか達成できるような水準です(確度として50%から80%あたり)。

そして、このなんとかギリギリ達成できるかもしれない高い目標を、高速でグルグルまわしながら追いかけ続けるので、もしかしたらムーンショット(月に届くほどのショット)を狙えるかもしれない、という考えをもった目標管理ツールです。

詳細はググれば、いくらでも解説が出てくるので、そちらも参考にしてみてください。

OKRを成功させるために本当に重要なこと

さて、では人気のツールなわけですが、うまく活用できている企業は少ない印象です。
(OKRを使えばムーンショットを達成できるのなら、もっと多くの企業が成功していますよね。)

色々なサイトで、OKRを機能させるために重要な事を解説しています。

例えばこちらのサイト。

こちらでは、

  • 組織として聖域を除去する覚悟を持つ
  • 心理的安全性の担保
  • モチベーション3.0の存在の確認

という点を指摘しています。

また、こちらのサイトでは、逆に失敗する要因として、

  • 会社にミッションがない
  • 上層部だけで目標を設定、メンバーの意見を聞いていない
  • 値の設定が不適切

というようなことを指摘しています。

どれもそうなんだろうな、という感想は持ちつつも、ある一つの点に関して視点が抜け落ちているように思います。

というのも、OKRはどこまで行ってもツールの一つだ、という点です。

例えば、皆さんが仕事で当たり前に使うパソコンです。
パソコンは、仕事の効率を劇的にアップさせる素晴らしいツールです。
しかし、じゃあ、全てのパソコンを活用するビジネスパーソンが、パソコンを使いこなせているか?と言えば、別にそういうことは無いですよね?
ブラインドタッチで躓いている人から、本当に活用しきれている人まで様々です。

OKRも同じで、ようは数あるツールの一つでしかないので、使いこなせるか否かが重要なのです。
ツール(道具)として、使い方に熟達しないといけません。

その意味でこちらの記事にありました、時間と慣れが必要、というのが一番しっくりくる解説です。

説明は1行でも、実際の運用には時間と慣れが必要
(略)
OKRは科学とアートの中間だから、これだという正解はないことや、導入しても2、3回(半年以上)更新する経験を通してしか、組織やチームにしっくりくるOKRは設定できないのが普通ですということをお伝えしていました。
(略)
細かな設定と運用がきわめて重要です。それは個々人のインセンティブやモチベーション、組織の報酬や力関係というダイナミクスと密接に関わっていて、正しく運用しなければ、むしろ組織のモラル低下に繋がります。表層的なOKR導入で組織のモチベーションが吹き飛ぶことがあります。

CORALCAP「OKR運用失敗の3つの理由―、なぜ高すぎる目標が逆効果になるのか」より

上の、逆に失敗する要因であげた記事でも触れられていましたが、
「ウィンセッションができていない」のも、これに触れている指摘ではあります。

組織として、しっかり使っていく、そして正しく使えているよね、ということを確認していく。
それを長く根気強く続ける。

これがOKRを機能させるために本当に重要な、たった一つのことです。

この話って別にOKRに限らない

実はこの話って、OKRに限りません。

若干話をそらして、ぶっちゃけな感想を書くと、OKRでできることって、別にOKRである必然性がありません。

旧来のKPI管理をストレッチ目標で設定し、その他のイノベーションに導く組織運営手法と組み合わせれば、それで事足りるといえば事足ります。

じゃあ、KPI管理で良いのか、といえば、KPI管理はKPI管理で、やはり運営の妙があるので、ツールとして熟達しなければ使いこなせません。

ドッグイヤーという言葉が一般化して久しいですが、どこかの会社や偉人が、何か新しい取り組みをしたら、それに流されるのが世の常です。
しかし、本質は昔から変わらない、という点は重々承知しておいた方が良いでしょう。

どこまで行ってもツールなので、熟達しなければ使いこなせません。

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人事・総務

社員数〇〇人の壁を乗り越えるには~25%へのアプローチ~

一般的に社員の人数が30人、50人、100人と増えていくに従い、乗り越えなければいけない「壁」があると言われています。
多くの経営者や人事など組織構築に携わる方が、この悩みを迎えてきました。
ここでは、「25%へのアプローチ」という考え方に則って、社員数〇〇人の壁の乗り越え方について考えていきます。

社員数〇〇人の壁とは

ベンチャー企業が成長するに従い、必然的に社員数も増えていきます。

少人数の時は、経営者や一部の中核メンバーの目が会社全体に届くために、組織的な課題は起きづらいのですが、いくつかのポイントごとに、新たな課題が発生し、そしてその課題を乗り越えていく必要に迫られます。

この、いくつかのポイントのことを「壁」と表現します。

一般的には、社員の人数が30人、50人、100人・・・と増えていくに従い、乗り越えなければいけない「壁」が訪れます。
(この〇〇人は、事業内容や、構成人員などによっても変動するが、概ね10人、30人、50人、100人、300人、500人、1000人、、、と、1-3-5の数で「壁」が出現すると言われている。)

25%へアプローチすれば良い

それでは、次に「25%へのアプローチ」についてです。
これは日本では全く馴染みが無く、言葉としても成立していないので、「25%へのアプローチ」と表現することとします。

さて、ペンシルベニア大学の研究にて、組織的規範を改革するためには、どれくらいの人間に働きかける必要があるのか?という論文がだされていました。

この研究によると、組織全体の中で、マイノリティの規模が一定数以上に達すると、その組織コミュニティに影響を及ぼすことができるとされています。
これは、過去の多くの研究でも示されており、マイノリティの規模が10%から40%に達すると、変化が起きると言われていました。
この変化が起きるポイントを「臨界点」と呼びます。
この実験では、より大規模な実験を元に、この「臨界点」がどれくらいなのか?の精度が高められた形になります。

この臨界点は25%です。

臨界点が25%を超えると、組織内で急激な変化が発生し、改革を受け入れる形になるとのことです。
(改革を受け入れることのインセンティブを与えると、この効果がより高まるそうです。)

つまり、社員に対して、全体の25%が改革を受け入れるように働きかけると、社員数〇〇人の壁を乗り越えられる変化を起こせると考えられるのです。

これが「25%へのアプローチ」の考え方です。

スパン・オブ・コントロールで考えてみる

それでは、スパン・オブ・コントロールを元に、具体的な数字を用いて考えてみます。

スパン・オブ・コントロールについては、次の記事も参考にしてみてください。

スパン・オブ・コントロールを2~7までで変動させると共に、その変動にあわせて合計人数(社員数)が1-3-5の数になるように階層を設定したのが次の表です。
各階層は、必ずしも会社組織における階層(等級)とは一致しないでしょうが、概ねとしての組織階層として認識ください。

この通り、1-3-5の数毎に出現する壁にあわせて、臨界点25%に達する階層が変わってきます(青色の網掛け)。
この臨界点に達した階層と、その一つ下の階層が、社員数〇〇人の壁を乗り越えるための、重要なアプローチ対象となります。

各フェーズに沿って、必要な対応を見ていきましょう。

社員数~10人

まず社員数が10人までは、創業社長と役員クラスの中核メンバーが、大きな影響力を発揮する形になります。
このステージは、ただ事業の立ち上げだけを考えれば良いフェーズです。

社員数10人の壁(10人~30人)

社員数10人の壁を乗り越え、30人に達するまでには部課長クラスの存在感が大きくなります。
社員数10人~30人の範囲内の内に、各セクションにおける「マネージャー」的役割の人員を配置し、各メンバーに対して指導や管理監督が行われるよう、組織を構築していく必要が発生します。

社員数30人の壁(30人~50人)

社員数30人の壁を乗り越え、50人に達するまでには現場リーダーが主役となってきます。
ここから先は、しばらくは現場リーダーの存在感が大きいフェーズが続きます。
フラット組織であったとしても、明確に各階層の役割を設定し、マネジメントが行われる体制を構築していくフェーズに突入するわけです。

同時に、部課長クラスへのマネジメント教育の重要性が増してきます(黄色の網掛け:15%)。
ベンチャー企業は若い方が多く、必ずしも部下を持ったり、持っていたとしても大勢の人数をマネジメントしたことがある人は少数です。
この段階で、部課長クラスへの、「マネージャーとはなんたるや」をインプットし、成果に繋げていく仕組みが必要となってきます。

社員数50人の壁(50人~100人)

このフェーズに入ると、スパン・オブ・コントロールを拡大していかなければならなくなります。
というのも、人材市場から優秀な人材を採用するのが困難になり始めてくるからです。
一人の人間が管理監督できる範囲を増やしていかなければ、組織拡大ができないのです。

コミュニケーションやプロジェクト管理を簡便にする各種ツールが必須となってきます。

なんだかんだ言って、一人一人がコミュニケーションをしっかりとれるサイズ感なので、ミッション・ビジョンなどの希薄化以上に、業務の効率化の観点でハードルが出てくる印象です。

社員数100人の壁(100人~300人)

スパン・オブ・コントロールが更に拡大します。

そして、人員数が増えたことにあわせて、部課長クラスのみならず、現場リーダークラスへのマネジメント教育の重要性が増してきます(赤色の網掛け:23%)
優秀な現場リーダーを牽引していく必要があるため、当然に部課長クラスのレベルアップも要求されます。

一気にやらなければいけない組織課題が増えるため、多くの組織がこのレンジ内で成長を止めていきます。

経営者も、この辺りから明確に「もう自分の組織では無い」と自覚し、権限移譲を進めないと組織が停滞していきます。
更に、一人一人がコミュニケーションをとれるサイズ感では無くなってくるため、会社がなんのために創業し、どこを目指しているのか、をきちんと共有していく必要があります。

この段階が一つの大きな壁と言えるでしょう。

社員数300人の壁(300人~1,000人)

この辺りに来ると、会社組織としても、組織体制を成長・拡充していくためのノウハウが蓄積されていきます。
急激な人材採用を進めるなどの無理をしなければ、一定安定して、組織の拡大を図れるフェーズです。

実際、500人の壁、という言葉をあまり聞かないという点も、この考えを補強していると思われます。

焦らず、しかし確実に組織を育てていけば良い段階です。

社員数1,000人の壁(1,000人~)

社員数1,000人を超えると、組織階層を更に拡充しなければいけなくなります。

つまり、メンバークラスに対しても、マネジメント教育を実施する必要性が出てくるのです。
(マネジメント教育は、必ずしも課長とかが受けるような教育ではなく、シンプルに人と人との関係性の話であったりです。)
わざわざ大規模な全社集会を意識的に行っている会社が多いのも、メンバー一人一人に、組織の重要な人物であることの意識を持ってもらうためです。

ただ、このフェーズに達すると、スパン・オブ・コントロールが限界に到達するため、一人一人のキャパシティという観点では安定化をはじめます。

1,000人の壁を越えた組織は、かなり安定して人員拡大を図れる状態になります。


これまで、多くの経営者や人事など、組織構築に携わる方々により、社員数〇〇人の壁を乗り越えるためのノウハウが公開されてきました。

今回は、「25%へのアプローチ」の考え方に基づいて、各フェーズを切ってみたわけですが、驚く位に周知されているフェーズ感と、各フェーズへの対応ノウハウが一致することがわかりました。

日本人はどうしても真面目な気質なので、メンバー全員に丁寧に向き合わなければならない、と考えてしまいがちです。
そして、その真面目さゆえに、一人でもマネジメントできないメンバーが存在すると、自分はマネージャーに向いていない、できない、とも考えがちです。

「25%へのアプローチ」の考え方に基づくと、必ずしも無理してメンバー全員に丁寧に向き合わなければいけない、というわけではないことがわかります。
多くの業務において効率化が求められるように、マネジメントにも効率化が必要なはずです。

この「25%へのアプローチ」の考え方は、マネジメントの効率化を図る、重要な考え方であると言えます。

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マネジメント・リーダーシップ

何人の部下を見れますか?~リモートワーク時代のスパン・オブ・コントロール~

リモートワークが普及し、フル・リモートの形態、ハイブリッド型の運用、様々な試みが各社でされています。
ここで疑問に思うのが、このリモートワーク時代、どれだけの人数の部下をマネジメントできるのであろうか?という点です。
スパン・オブ・コントロールの考え方を前提に、考察していきます。

スパン・オブ・コントロールとは

まず、スパン・オブ・コントロールについてです。

スパン・オブ・コントロールとは、「コントロールできる範囲」という意味で、一人の管理監督者、つまりマネージャーが、現実的にマネジメント可能な部下の人数を示した一つの考え方です。

そして、このスパン・オブ・コントロールの考え方においては、部下の人数は3人~5人、多くても7人~10人が限界だ、とされています。

なお、この考え方は諸説があると共に、そもそもとして科学的なものというよりかは経験則的なものとなっております。
そのため、業種業界や、上司や部下のマインド感・リテラシー水準等々により大きく変動することは指摘しておきます。

さて、この通り経験則であるとはいえ、マネージャーがマネジメント可能な部下の人数に限度があるために、組織階層というものが存在します。

例えば、スパン・オブ・コントロールを意識した伝統的な1-3-9モデルですと、下記のような組織構造となり、マネージャーの部下の人数は12人、直接の管理下にあるのは3人、となります。

理論的にはマネジメント可能な人数は増えるはず

上記、スパン・オブ・コントロールを前提に、リモートワーク時代のマネジメント可能な部下の人数について考えていきます。

まず言えることは、理論的にはマネジメント可能範囲は増えるはず、という事です。

伝統的なスパン・オブ・コントロールの考え方では、マネージャーが直接部下を見て、ヒアリング等し、また各種アナログなツールを使ってマネジメントを行うことが前提となっています。

しかし現代には、下記のようなチーム運営を補助する便利で安価なクラウドツールが多数存在します。
いわゆる、バーチャル・ワークサイトを簡単に構築できるわけですね。

  • チャットツール,社内SNS(Slack、Chatwlokなど)
  • カレンダー(Googleカレンダーなど)
  • ドキュメント共有(Gsuite、Dropboxなど)
  • プロジェクト管理(Trello、Backlogなど)
  • オンライン会議(Zoom、Meetなど)

これらのツールを活用することにより、マネジメントの生産性は劇的に向上させることができ、
そのため、理論的には一人のマネージャーのマネジメント可能範囲は増えるはずなのです。

しかし、この考え方は、一つ見ていない点が存在します。

人はそんなに簡単に強くなれますか?

オフィスに出社してマネジメントをしている時は、部下の表情や顔色、ちょっとした言動を側で見聞きすることができるため、部下の異変にすぐ気が付くことが容易です。
声をかけて、雑談等を交えつつ、調子を確認することもできます。

部下の方も、何か困ったこと、わからないことがあれば、(比較的)気軽に声をかけ、質問をすることができます。

リモートワークでは、前提として一人での業務進行となるため、上記のことが気軽にはできなくなります。
(もちろん、Zoomを常時接続にしておく、とか、Slack等で雑談を活発にするとか、工夫はできるが。)

人の心や考え方は、そんなに簡単に強くはできません。

ある時気が付いたら、部下が仕事の悩みを蓄積させ、不満が爆発寸前だった、ということもあり得ます。
もしかしたら、適応障害やうつを必死で隠して、我慢しているかもしれません。

このような予兆を、リモートワークだと察知し辛いのは、否定できないでしょう。
(繰り返しますが、もちろん察知をしやすい環境を構築するよう、工夫はできます。)

私はリモートワーク時代では、会社や上司毎に、マネジメントの格差が拡がるのでは、と考えています。

ツールの導入状況や、会社の姿勢、上司の力量等々の要因により、
マネジメント可能範囲が劇的に広がる所も出てくれば、却って狭くなってしまうケースが出てくるように思います。


まとめますと、リモートワーク時代において、スパン・オブ・コントロールが広がるか狭くなるかは「わからない」になります。

ただ、課題は部下のケアに絞られることになります。

  • 毎日、時間を決めてチーム・メンバー全員でショート・ミーティングをする(朝礼など)
  • チャットツール上で雑談チャンネルを設定し、ものすごく下らない話題も歓迎する
  • 困っていることリストや相談チャンネルを設定し、不明点を気軽に投稿できる場所を用意する
  • 1on1の実施を定期的に行う
  • 定期的に集まる日を設ける

こういった工夫を行うことにより、スパン・オブ・コントロールを広げられると考えられます。

(なお、雑談により産まれる偶然のアイデア創発なども、課題の一つです。これも、上記工夫により一定対応できる可能性があります。)

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生産性・業務効率化

改めて考える根性論の肯定

根性論、という言葉がネガティブな意味合いを持ち久しくなりました。
著名なスポーツ選手をはじめ、根性論は良くないよね、という主張が出ており、また、いわゆる‟ブラック企業”の存在により、根性論は悪だ、というイメージが定着しました。
しかし、本当に根性論は不要な、意味が無いものなのでしょうか?

結論、根性論は必要で、効果があります。ただし、条件付きです。

根性論が嫌われる理由

根性論は何故嫌われるのでしょうか?

答えはシンプルで、無理強いをする場面でよく使われるからです。

ここ最近では、全くの感染症対策を行わず、
「一人一人が気をつけて、健康管理に万全の注意を払っていれば問題無し(よって、会社としての対策は不要)」
という経営者がいました。

営業成績で、会社としての戦略に欠ける状況で、社員一人一人の頑張りだけに依拠するような場面でも言及されます。
「なんで、成績が出ないんだ!もっと、頑張れ!」
「(店内から感染者が出たけれど)数字のために自分たちは頑張ろう!」

ここ近年では急激に是正されていますが、長時間労働でもそうです。
「なんで皆が頑張っているのに、お前は早く帰るんだ。もっと仕事しろ!」

いわゆる‟ブラック企業”というものの存在です。

このような、強いられた環境で、心や身体をすり減らす人が大勢おり、根性論にネガティブなイメージがついてきました。
そのため、根性論を肯定する言説は、奴隷的根性というような形で揶揄されるようになりました。

この観点での根性論否定は全く正しいと考えます。
上記の例は、極めて合理性に欠ける話だからです。

根性論の肯定

ただし、ある場面においては、極めて有効に機能するのも根性論です。

それは、戦略面もしくは方法論がしっかりしている状況で、その戦略や方法論を実行する場面においてです。

例えば、スポーツ選手で考えてみましょう。
科学的で無いトレーニングを長時間やっても無駄で、むしろ身体を壊すリスクが高いのは自明でしょう。
しかし、科学的なトレーニングを長期間行うのは当然に有効です。
ここで問題になるのは、では、その科学的なトレーニングを本当に長期間、間違いなく実行し続けられるのか?という点です。
成果を出している選手は、想像を絶する膨大な量のトレーニングを積んでいます。
そして、本当に栄光を掴めるかどうかわからない状況下で、その想像を絶する膨大な量を支えているのが、例えば「絶対に勝つ!」という精神から来るもの、つまり根性論です。

ビジネスの場面でもそうです。
営業を1件でも多くまわる、ブログを1本毎日更新する、今日はここまで絶対に終わらせる、etc。

新型コロナウイルスによる経済的影響もそうです。
一例では、銀行融資・VCからの投資、これを受けられるように最後の最後まで努力した会社は資金調達に成功しています。
(追い打ちをかける意図はありませんが、倒産をした企業の中には、経営者として別の会社に0円で売却をし負債を引き受けてもらまでの覚悟を決めたなら、存続の道はまだあったはずです。)

同じような能力を持った人間同士が成果を競い合った場合、勝敗をわけるのは、最後の+α、根性論です。

イメージとしては次の図です。

下の土台無しの根性論は、短期的には成果は出るかもしれませんが、人々を疲弊させ、強いては組織の崩壊につながっていきます。
(最近話題にあがっている、かんぽの不正も、具体的な戦略・戦術が無い状況で、数字と言うノルマを押し付けた結果として起きていますね。)

まとめ

これまでの内容をまとめると次のようになります。

  • 無理強いしてはいけない、従業員の疲弊や不正が起きる
  • 戦略や方法論があって機能する(科学的、合理的であること)
  • 最後の一押し、勝負をわける

結局、世の中で成功をおさめている人たちは、何かしら最後の最後で根性を見せています。
そして、これは日本だけに限らず、グローバルな話で共通です。

単純に条件反射的に根性論を否定するのは、人生と言う観点で損をします。
根性論を肯定的観点で捉えるてみるのはいかがでしょうか。

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マネジメント・リーダーシップ

【部下のマネジメントと一緒】休業要請に応じないパチンコ店の店名公表は逆効果

非常に多くのリアル店舗が営業自粛や短縮営業などに協力している一方、一部の「遊技場」、つまりパチンコ店は休業要請に応じていません。
そのような中、各自治体は店名の公表という「晒し」による処罰に動いています。
しかし、これは逆効果です。
ビジネスにおける部下のマネジメントと一緒です。

忙しい人向けまとめ

  • 処罰の公表は、状況の改善につながらず、かえって事態を悪化させるリスクがある
  • 一言で表現するならば「逆効果」
  • 制裁感情・処罰感情を満足させるだけのことにどれだけの意味があるのか
  • 人はロジックではなく感情で動いているが故に、自分はロジックで動かなければならない。

店名の公表は逆効果

パチンコ店というものは、比較的大多数の国民から、悪感情をもたれている業種です。
その影響もあるのか、昨今の状況を踏まえた休業要請に応じないことに対して、極めて強い意見があちらこちらから出ています。

各自治体では、休業要請に応じない店舗について、店名の公表を実施、もしくは公表の検討を行っています。

しかし、これは逆効果です。

この表の通り、「やりたい層」にとって、店名の公表は、むしろ「営業している店舗がわかりやすいので嬉しい」という状態です。
店舗にとっても集客効果はあるので、改善は難しいでしょう。
(公表をうけての更なる休業要請で、ようやく休業に応じた店舗もあるようですが。店舗と現場担当者間での交渉の結果として、更に休業に応じる店舗が増えれば良いですが。)

「やりたくない層」にとっての処罰感情の充足のみが図れるだけになるのではないでしょうか。
また、「やりたい層」にとってみれば、自分たちがただ遊びたいだけなのに、何でこんなに一方的に叩かれなければいけないのか、と思うはずです。
世の中の反発をうけて、かえってアウトロー精神を醸成させてしまうリスクがあります。

また、一定の偏見を込みで書くのならば、「やりたい層」は衛生リテラシーも低いと推測されるため、仮に3密と言われる遊技場空間を閉鎖したとして、どこまで感染拡大の防止につながるのかが疑問です。

部下のマネジメントと一緒

この話は、ビジネスの現場における部下のマネジメントと一緒です。
社員が何か失態をし、それに対して会社として処罰をしなければいけない、という状況を想定します。
失態をした社員が、素行不良社員の場合と、普段は問題がない優良社員の場合で考えます。

処罰対象が素行不良社員の場合

この表の通り、素行不良社員にとって、処罰の公表は、反発心を抱かせるだけで、かえって素行が悪化するリスクが高まります。
普段から迷惑をうけていた周囲の社員の処罰感情を充足させるだけで、上述の状況と一緒です。

むしろ、処罰を内々に収めて、素行不良社員からの信頼を得る方が、後々のマネジメントのやりやすさにつながる可能性があります。
この場合は、周囲の社員の処罰感情が充足されませんので、個別にケアが必要でしょう。

処罰対象が優良社員の場合

この表の通り、優良社員にとって、処罰の公表は、恨みの蓄積につながります。
表面上は事態は収まるでしょう。
普段から優良なので、叱責は素直に受け入れ、行動も改善するでしょう。
しかし、組織に対する安心感は低下するので、将来的な離反リスクを高める結果につながります。

周囲の社員にとっても、普段から真面目に働いていても、何かあったら「晒される」となると、委縮してしまうでしょう。
組織にとって、マイナスの結果につながります。

この場合は公表をせず、内々に収める方が良く、優良社員からの信頼を勝ち得る可能性が高いと考えられます。

まとめ

国でも会社でも、処罰というものは必要でしょう。
罰なしに行動を改善できる人たちばかりではありません。

しかし、そのやり方次第では、表面上問題が無くなったように見えるだけで、事態を悪化させるだけという結果につながるリスクがあるのです。

特に処罰の公表はマイナス影響があることは理解すべきです。
普段、「人はロジックではなく感情で動いている。」と言う方々が、この種の話題になると突然、感情で行動・発言してしまう様子を散見し、首をかしげている次第です。

今回の状況に関して言うならば、短期の改善は難しく、そこにあてるリソースはコスパが悪いので、長期的視座に立って法改正のための働きかけを国民側からする方が良いと考えられます。
業態としては急激な縮小が進んでいることもあるので、素直に放置するという選択肢もありえます。

「人はロジックではなく感情で動いているが故に、自分はロジックで動かなければならない。」
考えるようにしましょう。

(追記)残念ながら予想通り

残念ながら予想通り、蓋を開けてみれば大行列という結果になってしまいました。
「何を目的に、対策を実施するのか?」
これを見失ってしまうと、このような結果になってしまうのです。
国民全体での盛大なスルー、話題にも一切上げない。
これが最適解のはずなのですが。

堺市内の店舗では開店1時間前の午前9時過ぎには整理券を受け取るために約150人の客が並び、従業員が間隔を空けるよう呼び掛けた。駐車場には神戸や和歌山など府外ナンバーの車も見られ、開店時には列は約300人に達した。

60代の男性は「毎日の習慣なので今日も来た。普段より並んでいる客が多いような気がする」と周りを見回した。

毎日新聞 店名公表パチンコ店、堺では300人行列 住民「ウイルス持ち込むかも、怖い」

(追記2)最終的に法改正にまで持っていくのが良いか?

その後、改めて考えた時に、目標設定の置き場所を変えた方が良い、と感じました。

ようは、「目の前、今の状況のパチンコ店の開店をどうにかしよう」、という話ではなく、「今後同様の事態が発生した時に、速やかに強制措置がとれるようにしておこう」という目標設定です。

西村経済再生担当大臣は27日の記者会見で、以下のように述べたとのことです。

西村経済再生担当大臣は記者会見で、「特別措置法45条に基づく『要請』にも応じない場合には今後、「指示」という、より強い措置も考えられ、すでに16の自治体から相談を受けている」と述べました。
そのうえで、「『指示』にも従わない施設が多数発生する場合は、罰則や強制力を伴う仕組みの導入に向けた法整備を検討せざるを得なくなる。
(略)」と述べました。

NHK パチンコ店「罰則や強制力伴う法整備 検討も」西村経済再生相 2020年4月27日

要請をだす ⇒ 応じない ⇒ 指示をだす(が、出すだけにとどめる) ⇒ 応じない ⇒ じゃあ、法改正しかないね!
戦術目標の達成ではなく、戦略目標として、法改正を念頭においているのならば、まあ有りなのかな、とは考えられます。

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マネジメント・リーダーシップ

効果的な1on1運用は高難易度~形だけの無駄な1on1ならやるな!~

ここ数年、上司と部下が1対1で定期的にミーティングをする「1on1」がベンチャー業界を中心に流行っています。
適切に運用すれば高い効果のある1on1ですが、形だけの導入では上司は疲弊し、部下は会社不信を抱く、悪影響を招くだけの結果をもたらす可能性もあります。
今回は、この1on1に関して、無駄になりやすいから、基本的には実施しない方がいいよ、という観点で解説していきます。

1on1は何故、実施しない方がよいのでしょうか?
仮に実施するとしたら、どのようなやり方なら有効なのでしょうか?

忙しい人向けまとめ

  • 1on1は、上司と部下の1対1で定期的に行うミーティングで、仕事の悩みを中心に主体的な自己解決を促すための取り組み
  • 1on1は次の3点の理由で、基本的には無駄だと言える
    ① 1on1のコンテンツは、仕事の中で、その場で指導すれば解決するものが多い
    ② 「コーチング」の要素が強く、上司部下双方に一定のスキルが必要
    ③ 「コーチング」ではなく、「ティーチング」が必要な場面が多い
  • 仮に1on1に取り組むとして、必要な前提条件や、整えなければいけない制度が多く、また時間もかかる

1on1とは?とりあえず基本的なことの確認

1on1は、アメリカシリコンバレーを中心に広がった、広義の意味で人事制度の一種です。
部下と上司が1対1で、短時間の面談を頻繁に行い、コミュニケーションをとると共に、仕事の成果をあげることを目的として実施されます。

日本においても、部下の本音を聞き出し、モチベーションを高めてもらう効果を狙い、ベンチャー業界を中心に広がっています。

つまり、部下の育成やマネジメントにおいて有効だ、と言われているわけですね。

しかし、この1on1ですが、その本質を理解せずに、流行だけに乗る、形だけ導入してしまうと、効果があるどころか、悪影響が発生します。
基本的には、何も考えないで1on1を実施する位なら、やらない方がマシな無駄なものなのです。

それでは、何故、1on1は基本的には無駄なのでしょうか?

1on1は基本的には無駄!

具体例として、ヤフーで行われているという1on1について、そのプロトコルを見てみます。

一週間に一度、30分/人とする。
部下は10人以下とする。
以下のアジェンダとする。

 ① 目標に対しての現状の確認と問題点の特定(10分)
 ② 業務上の経験や気づきの振り返り(10分)
 ③ チームや組織に対する意見や気づき(5分)
 ④ その他の悩みや相談(5分)

また、聴くことを心掛ける。

『人事こそ最強の経営戦略』

これを見ると1on1のコンテンツとしては、業務遂行、人間関係、プライベートなことに関して、悩み諸々を聴き主体的な自己解決に導く「コーチング」的なものであると解釈することができます。

私が1on1は基本的には無駄だ、という理由は上記をうけて、次の3点の理由になります。

  • 1on1という体裁をとるまでも無くその場で指導すれば良いはず
  • 「コーチング」の一種なのだから、上司・部下共に聴く・話すスキルが必要
  • 「コーチング」ではなく「ティーチング」が必要な場面は多いはず

1on1という体裁をとるまでも無くその場で指導すれば良いはず

いきなり結論なのですが、普段から部下のことを気にかけていれば解決できることばかりなはずです。

業務遂行上、例えばシンプルにタスクの処理の仕方や、複雑なものでプロジェクト進行上の悩みが部下にあったとしましょう。
それならば、タスク上のHowならその場で指導すれば良いですし、プロジェクト進行なら定例ミーティングで状況を確認し、これもその場で指導したり、主体的な自己解決を促すアドバイスを行えば良いだけのはずです。

人間関係の悩みも、普段からチームの様子を見ていれば、「AさんはBさんのことが苦手なんだな」「Cさんは人当りが強くてまわりを委縮させてるな」「Dさんは怠け癖があって、まわりから疎まれているな」なんてのはわかるはずです。
1on1ミーティングの場でしか、このような状況をキャッチできない上司に対して、そもそもとして部下は信用・信頼し、ついていくと思うのでしょうか?
組織上(チームメンバー上)の問題も、問題がある人を呼び出して、即座に注意をすれば良いだけのはずです。

プライベートの悩みに関しては、基本的に、仕事にプライベートの問題を持ち込むこと自体がナンセンスです。
職場は学校や悩み相談室では無いのですから、プライベートの悩みを解決するようなアクションはそもそもとして不要です。
仮に、そのような悩みを解決しないと機能しない部下がいるのであれば、それは採用の問題です。
1on1の導入以前の問題として、採用を見直した方が良いでしょう。
取り組むとして、ランチや本人が望むのであれば飲みの場で話を聞き、個人的に相談にのる、というのは全く構わないでしょう。

ようは、1on1のコンテンツを見る限り、ごくごく普通に仕事中や休憩時間、仕事後などにコミュニケーションをとれば、それで事足りるものばかりのはずなのです。

即時解決を図るならば、タイムリーですし、時間的にリーズナブルな点も指摘できます。

「コーチング」の一種なのだから、上司・部下共に聴く・話すスキルが必要

次に、1on1は問題解決のための「コーチング」の一種だという点が、難しいポイントです。

つまり、上司に1on1のスキルと、部下に話をする内容や、問題をまとめて適切に伝えるスキルが無ければ、機能しづらいのです。
つまり、実施する側、受ける側双方に一定の知識やスキル・経験があるからこそ成り立つものなのです。
機能しない1on1を惰性でやることは、会社や人事に対する不信につながりかねません。

まず、コーチングはそもそもとして難しいのだから、その素人である部課長にやらせることが本当に良いことなのか?はしっかりと検討した方が良いでしょう。

次に、問題解決の視点で考えた時に、問題が解決しないことにより、かえって溝が深まる可能性も考えられます。
組織が抱える悩みというのは、一部課長によって簡単に解決できるものばかりでは無いはずで、また仮に解決できるにせよ簡単に即座に解決できるとは限りません。

つまり、問題解決という視点で見た場合に、1on1は高い可能性で機能しない運命が待ち受けているのです。
解決できる、解決しやすい問題に関しては、上記「その場で指導すれば良い」の通り、1on1でやる必然性があまりありません。

このため、普段から部下たちのことをしっかり見ている上司や、自走できる部下にとては、時間の無駄なのです。
双方疲弊するだけです。
適切に1on1を運用しようとすると、実施時間だけでなく、準備時間も必要であることは認識しなければなりません。

「コーチング」ではなく「ティーチング」が必要な場面は多いはず

上述の通り、コーチングは、実施する側、受ける側に一定の知識やスキル・経験があるからこそ成り立つものだ、と書きました。
この「一定の知識やスキル・経験」が、特に受ける側に無い場合、必要なことは「ティーチング」です。

「コーチング」は受ける本人が内に持っているもの(知識や経験のみならずマインド的なもの含め様々なもの)を引き出し、主体的に自己解決を促すための取り組みです。
そのため、受ける本人のスキル水準が低い場合は、きちんと具体のHowを教え込まなければいけないでしょう。

また、会社の業務の多くはスキルフル、キャリア的なものばかりでは無いはずです。
毎日、決まったタスクを淡々と効率的に処理するようなことが求められる業務は多いはずで、この役割においては、主体的なことは期待されていないはずです。
この役割の方々に対して、「コーチング」的1on1を実施することに、どこまでの効能が期待できるのでしょうか?
(この点は、役割の上下の話をしているのではなく、役割の性質の話をしていることは留意ください。)

加えて、何度も書いている通り、「コーチング」は主体的な自己解決を促すための取り組みであることを考えると、1on1の実施自体が矛盾をはらんでいることに気が付くはずです。
どういうことかと言うと、会社から1on1を促している、という時点で既に主体的ではない、といことです。
部下本人が1on1をしたい、というのならば、上司はそれを歓迎すれば良いだけのはずです。

それでは、効果的に1on1を運用するには、どのように行えば良いのでしょうか?

もし、1on1に取り組むのならば?

実施の前提条件

まず、会社が取り組んでいる事業や、従業員たちの属性に関して検討する必要があるでしょう。

事業からくる業務の特性が、タスク性や定型性の高いものでしたら、1on1は機能しづらいです。
新規事業への取り組みのような場合は、そもそもとして1on1が必要な人材を投入するのは失敗の可能性を高くするでしょう。
自走・爆走ができる人が適切なはずです。
これを踏まえると、事業特性として「ある程度軌道に乗った新規事業」「不備は多いもののある程度の形ができあがった業務」のような状況において1on1が機能する可能性が出てきます。

従業員の属性に関しては、部下側のスキル水準が一定以上であること(中途人材が中心か)、主体性・やる気があること、が条件となるでしょう。

制度として整えなければいけない事項

そのような前提条件が揃った上で、制度として下記を整える必要があるでしょう。

  • 1on1の意義の説明
  • 1on1の手順・方法など具体的なスキルに関する教育の実施
  • コンテンツを一定程度用意する
  • 仮にやるのなら徹底させる(忙しいからなどの理由で中途半端にさせない)
  • 人事からのフォローを必須で行う(1on1の内容のくみ上げと、適切な現場フォロー)

加えて、1on1の結果として成果を出したのならば、上司部下共に評価に反映させ、報酬をあげていかねばならないでしょう。
1on1だけ独立した人事制度として存在していて、評価・報酬制度と連動していなかったら、白けるリスクが高まります。

対象人数を絞るのも手

アイデアベースで考えるならば、「外部セミナー手当」や「読書手当」のようなものを制定することも考えられます。

従業員自身で希望する「外部セミナー」や「業務に役立つ書籍」を選定し、購入します。
これに対して、「報告書」を会社に提出することにより、会社側はそのセミナー代金や書籍代金を補助する、という仕組みです。

多くの場合、この種の取り組みは、ほとんどの従業員が活用しません。
しかし、逆に考えると、自主的に行動する従業員を見出すことができます。

1on1をやる場合、この自主的に研鑽にはげむ人たちにフォーカスをあてて実施すると、高い効果を期待できます。
対象人数を絞れるので、負担も減らせます。

クロス・ミーティングも考えられる

また、クロス・ミーティングも可能性として考えられます。
他部署の部課長に1on1を実施してもらうのです。

これなら、部署間交流も図れると共に、普段接点のない双方だからこそ客観的に取り組めます。
ただし、これも双方に1on1のスキルがあることが前提です。

最後に

適切に機能する1on1を実施しようとするのは、非常に難しいことです。
制度として整えなければいけない事項が多くなりますし、また時間もかかります。

上司と部下の双方で取り組む意義を理解し、1on1を良くしていこう、という想いをもって、取り組んで行かなければなりません。
それができないのであれば、1on1はやらない方が良いです。

そして、その組織として1on1を良くしていこうとする取り組みができる人たちに、そもそもとして1on1が必要なのか?
これを考えると、どうしても、1on1って本当に必要なのだろうかと疑問に思います。

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