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ビジネスと心理学

通勤時間が長くなると仕事の満足度が低下する模様

通勤時間が長くなると仕事の満足度が低下し、より高い給料をもらわないと満足度が向上しない傾向があることが一部の研究でわかっています。
この事実はオフィス等を構えるのであれば、如何に通勤がしやすい場所にした方が良いか、ということを示唆しています。

なお、徒歩や自転車通勤では、このようなネガティブ面は見られず、バス通勤だと悪影響がより多いこともわかっています。

通勤時間が長くなると仕事の満足度が低下する

イギリスの26,000人以上の労働者を対象にした5年間に渡る、通勤とウェルビーイングの関係を探る調査が行われました。

https://travelbehaviour.files.wordpress.com/2017/10/caw-summaryreport-onlineedition.pdf

その結果、通勤時間が1分間増えるごとに、仕事と余暇の満足度が低下し、緊張感が増し、メンタルヘルスが悪化することがわかりました。
1日の通勤時間が20分長くなると、仕事の満足度が約19%も減少するそうです。

研究者たちは、給与の増加による満足度の向上が通勤時間の増加による満足度の低下と釣り合っている、としています。
むしろ、収入を増やし満足度を向上させるために、より長い通勤時間を取る傾向がある、ということが示されました。

これらの事実は他の予備調査でも示されており、高い信ぴょう性があります。

https://www.econstor.eu/bitstream/10419/20544/1/dp1278.pdf

徒歩や自転車通勤ではネガティブな影響が少ない

なお、徒歩や自転車で通勤する人は、例え同じ通勤時間であっても、他の通勤手段をとっている人と比較して、余暇の満足度が低下しない傾向があることもわかっています。

徒歩や自転車による通勤は運動の効果もあります。
この運動による精神衛生の向上効果なのか、理由は不明です。

一方で、バス通勤では、他の通勤手段よりもネガティブな影響が大きいとのこと。
また、長時間の鉄道利用と短時間の鉄道利用は、時間が増加することの影響が少ないこともわかっています。

鉄道利用が例え長かったとしても、何かしら別の手段で時間を効率的に活用できるため、時間による影響が少ない、ということは何となく理解ができます。
バス通勤のネガティブな影響が大きい理由は不明です(筆者個人は車酔いが酷いため、バス利用中は他のことができず、非常にストレスが高い移動手段ですが、もしかしたら、他の人も同様なのかもしれません)。

性別では女性の方が満足度の低下が大きい

この通勤時間と満足度の関係は、女性の方がネガティブな影響を受けやすいこともわかっています。

男女平等と印象の世界で思われている欧米でも、家事労働は女性の方が多く担っているため、通勤時間による余暇の減少が、相対的によりストレスになるのかもしれません。

リモートワーク勤務がやはり望ましいか

この事実はオフィス等を構えるのであれば、如何に通勤がしやすい場所にした方が良いか、ということを示唆しています。

通勤時間の短縮がどれだけ仕事の満足度に影響を与えるのかが顕著だからです。

もっと言うと、リモートワーク勤務がやはり望ましいのでは、ということを改めて考えます。

経営者は、通勤時間の問題を軽く考えてはいけないでしょう。

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人事・総務

リモートワーク/テレワークのTipsまとめ

リモートワーク/テレワークのTipsに関する記事のまとめになります。

リモートワークのマネジメント

リモートワークの実務

補足

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生産性・業務効率化

リモートワークの“コミュニケーション”“雑談”問題をどうクリアするか?

リモートワークが当たり前に定着し、多くの人が満足をし、また今後も継続したい、という意向を示しています。
一方で、ネガティブな声も聞かれており、特に“コミュニケーション”“雑談”については、解決が難しい問題として、度々言及されています。
この問題について、どのように考え、クリアしていくのがよいでしょうか?

リモートワークに多くの人は満足し、継続したいと考えている

新型コロナウイルス感染症が世界的にまん延して、リモートワーク(テレワーク)も同様に浸透した際の多くの人々の反応としてリモートワークに満足すると共に、今後も継続したい、という意向が示されていました。

https://newsroom.ibm.com/2020-05-01-IBM-Study-COVID-19-Is-Significantly-Altering-U-S-Consumer-Behavior-and-Plans-Post-Crisis

この傾向は、最近も変わらず、概ね約8割の人々が、(その賛成の度合いはともかくとして)リモートワークに肯定的です。

一方で、当然にいくつかのネガティブな声も聴かれています。

リモートワークに対するネガティブな反応

長時間労働

ネガティブな反応の例として、長時間労働になる傾向がある、というものです。

https://psycnet.apa.org/doiLanding?doi=10.1037%2Fa0019282

リモートワークが定着する前は、従業員がサボるのではないか?という懸念が経営者や管理職から聞こえましたが、結果はむしろ逆です。

働いている姿が直接見えないテレワークでは、姿勢ではなく結果での評価でないと難しく、成果を見えるように示そうとして、むしろ頑張ってしまう人が増えたようです。
その結果として、長時間労働、というネガティブな影響が出ました。

社会参加意識

他にも、一人で孤独に働いているが故の社会参加意識の希薄化とそれによるメンタル不調も指摘されています。

https://theconversation.com/why-working-remotely-feels-so-jarring-according-to-philosophy-135127

仕事をする目的は、端的に言えばお金、もっというと生活の糧を稼ぐためのにあります。

しかしながら、お金のためだけに働いているわけでもないのが人間です。

社会貢献や、社会の中に存在しているという自己認知、コミュニティに属すことによる存在意識等、人として社会参加していることを感じられるのは非常に精神的に重要です(ありていに言えば自己肯定感の話)。

意義のある仕事をし、成長をし、またそれによりさらに社会的ニーズを満たすことが精神的健康の基盤となり、また人生価値の向上にもつながります。

リモートワークは、この社会参加意識という観点において、どうしても阻害する効果があります(物理的に社会と距離をおくため当然の話)。

自律意識による負担

オフィスに出社すれば、必然的に働かなければならない環境に囲まれる形となりますが、自宅は違います。

高い自律意識を持ち、自己制御を行う必要があります。

そこで、例えば次のような記事では、可能な限り「日々の生活スケジュールを厳格に決めて、それを守ること」、つまりは「ルーチンワークをこなすこと」推奨しています。

https://theconversation.com/here-is-why-you-might-be-feeling-tired-while-on-lockdown-135502

一方で、過剰な自己制御は精神に負担をかけるという研究もあります。

https://aow.uni-wuppertal.de/fileadmin/wirtschaftspsychologie/lehrstuhl/Publikationen/Rivkin_etal_2016_WhichDailyExperiencesCanFoster_JOHP.pdf

筋肉を酷使すると身体に負担がかかるのと同様、精神も酷使すればメンタルヘルス等に悪影響があるからです(自己制御のためにも精神エネルギーは消費され、リソースは減少していく)。

他にも様々な問題が

他にも、いわゆる“Zoom疲れ”について指摘する声も聞かれます。

https://www.axios.com/zoom-fatigue-coronavirus-teleconferencing-f5c0ce17-483f-4c71-9a7d-f023d7e7a45b.html

例えば運動不足があります。

リモートワークでの仕事は、会議もZoomのようなWeb会議システムを使うこととなり、オフィス内での移動が起きません。
ずっと座りっぱなしの状態になり、運動不足を誘発し、身心に悪影響を与える可能性があります。

他にも、プライベートの侵害や、言語以外のコミュニケーションにも強く集中しなければいけないが故の認知負担、自分の顔も見続けたりすることのストレス等々、様々なストレス指摘されています。

https://tmb.apaopen.org/pub/nonverbal-overload/release/1

Web会議は、闘争(逃走)反応を誘発し、ストレスを生む、という指摘もあります。

https://www.businessinsider.com/large-face-zoom-video-call-trigger-fight-flight-response-researcher-2020-4

これらは、これまでの生活スタイルの変化により起きているものなので、一定慣れの問題もあります。
つまり、(文化の醸成と共に)時間が解決する要素も多分にあるでしょう。

しかし、残っている問題があります。

それが、コミュニケーション問題であり、特に“雑談”問題がクリティカルです。

一般的に、雑談はクリエイティビティやイノベーションの源泉であると言われており、この領域を重視する先進的な企業にとっては死活問題であるとされています。
(なお、私は諸々の理由により、イノベーション云々について疑わしいと考えています。)

マイクロソフトで行われた実験

それでは、リモートワークにより、働く人々のコミュニケーションの状況は、どのように変化したのでしょうか?

マイクロソフトを実験場とし、このコミュニケーション問題について研究が行われました。

https://www.nature.com/articles/s41562-021-01196-4

内容をいくつかピックアップすると次のようになります。

  • リモートワークは相互コミュニケーションを減少させる
  • リモートワークは会社としては非公式な協業ネットワークを形成していた構造的空隙を減少させる
  • リモートワークは既に信頼関係のある強いつながりの集団とのやり取りを強化させる(ことにより、強いつながり同士では情報交換の効率が向上する)
  • 弱いつながりの集団(新入社員や直接の仕事のつながりがない部署等)とのやり取りは減少させる

ようは、リモートワークにより集団がサイロ化してしまう、ということです。

そのため、成果を出す人材になるために、強いつながりのある集団とは別に、新しいつながりを構築していく必要があるとしています(新しいコミュニティ、異なる価値観との接触、新鮮な情報の入手)

“雑談”が減少、構造的空隙の減少や組織のサイロ化が進み、クリエイティビティやイノベーションの源泉も失われていく、という仮説が是であるならば対処が必要です。
(なお、研究は、mtg等が減少し、チャットやメールでのコミュニケーションが増加することにより、本質的に無駄な時間が削減され、確かに生産性が向上している点には認めています。)

新しいコミュニケーション能力が求められているか?

それでは、具体としてどのような対処が必要でしょうか?

リアルタイムコミュニケーションを求めるマインドを捨てる

まず、考えられるのが意識改革(であり文化醸成)です。

例えば、そもそもとしてコミュニケーションにリアルタイム性を求める、というマインドを捨てる点が指摘できます。

https://snir.dev/blog/remote-async-communication/

Zoom等のWeb会議システムを利用し、リモートワーク下であってもリアルタイムに顔を突き合わせてコミュニケーションを取れるように整備をしたとしても、そこで行われるコミュニケーションは、直接集まって行うコミュニケーションとは別のものです。

例えば、Web会議システムでは、一度に話すことができるのは一人のみです。
実際の会議や集団での雑談では、複数の人が別の人とコミュニケーションを取ることが珍しくありません。
真面目な会議において、隣の人と、ちょっとしたやり取りをすることもあるでしょう。

リアルタイムチャットも、入力のタイムラグ等が必然的に発生し、直接オフィスで話しかけるような即時性を求めることは不可能です。
また、やり取りをオープンにすることを避ける傾向も容易に推測できます(プライベートDMを多用しますよね?)。

つまり、技術的にも、人という性質を鑑みても、リモートワーク下においてリアルタイムコミュニケーションを求めるのには無理があるのです。

リアルタイム性がないコミュニケーションを前提とした、情報共有体制の構築とコミュニケーション文化の醸成が必要です。

主体性と戦略性をもったコミュニケーション姿勢

他にも次のような提案がされています。

https://diamond.jp/articles/-/271335

内容をまとめると、イノベーションのために「知の探索」と「知の深化」が必要であり、また全くのゼロからイチが生まれることはない、と。
そして、そのために「よく話す人と、意図的に雑談の時間を作る」「全く話したことない人と話す機会を増やす」としています。

つまり、上述のマイクロソフトの実験で示された提案と同様のものです。

ここでのポイントは、主体性をもって取り組むこと、戦略的にコミュニケーションを取ること、です。

批判的に言うならば、具体の解決策は無い、ということであり、肯定的に捉えるならば、具体の解決策は「主体性」「戦略的」なコミュニケーション能力を身につけよう、と言えるでしょう。


上述の、そもそもリモートワーク下においてリアルタイムコミュニケーションを求めるには無理がある、とした点においても「情報共有体制の構築とコミュニケーション文化の醸成が必要」としましたが、この具体の方法論については、確立されたものがありません。

「主体性」「戦略的」なコミュニケーション能力を身につけよう、という話も高いリテラシーと文字通りの主体性が問われます。

これらについて、確かに多くのアドバイスやソリューションが提案されていますが、クリティカルに解決する、科学的に効果が実証された方法は、(繰り返しますが)確立されたものがないのです。

間違いなく言えることは、手探りの模索が必要であろう、という点です。

すでに古典となっている研究では、短・中期的には組織文化と戦略が適合している企業の業績は高いが、長期的には環境変化に上手く対応できるか否かによって業績が左右される、としています。
(Kotter, J. P. and J. L. Heskett (1992) Corporate culture and performance, The Free Press)

そして、環境変化に上手く対応するためには、手探りの模索が必須です。

私は、「手探りの模索」こそが、リモートワークの“コミュニケーション”“雑談”問題をクリアするための(現時点での)最適なソリューションであると考えます。

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リモートワーク

「偶然のコミュニケーション」のために本当にオフィスは必要か?~イノベーションを考える~

テレワークが普及し、生産性が向上した、という声が多く出た一方、弊害についても聞かれるようになりました。
しかし、その弊害(イノベーションが生まれにくい、という意見)に科学的根拠はありません。
ここでは、オフィスとイノベーションについて、考えてみます。

やっぱりオフィスって必要だよね

テレワークが普及し、生産性が向上した、という声が多く出た一方、弊害についても聞かれるようになりました。

その一つがイノベーションの阻害。
いわゆる「偶然のコミュニケーション」が無くなることにより、イノベーションが生まれにくい環境が出来てしまった、という声です。

著名な人の声ですと、Appleのティム・クックCEOは「イノベーションは必ずしも計画的に行われるものではない。」とし、JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは「在宅勤務は自然発生的なアイデア創発には使えない。」というものがあります。

これに限らず、各所で同様の声が出て、「やっぱりオフィスって必要だよね。」という考えが経営層を中心に見受けられるようになりました。

https://diamond.jp/articles/-/243734

そこに科学的根拠は無い

優秀な方々の発言なので、「やっぱりオフィスって必要だよね。」は正しいのでしょうか?

結論から言うと、そこに科学的根拠はありません。
より正確に言うと、テレワークでもイノベーションが十分に生まれる、という研究もまだ蓄積されていないし、オフィスが無ければイノベーションが生まれない、という研究もまだ蓄積されていない状況です。
ようは、「わからない」というのが今現時点での正しい捉え方でしょう。

一方、厳しい指摘もあります。

いわく、オフィスというものはごく少数の人、特に経営層にとって居心地の良いように設計されている(からそのような発想になるのだ)、というものです。
多くの労働者にとっては、決められた時間と場所でオフィスワークを行うことは、居心地が悪い状況です。
その結果として、長時間労働、燃え尽き症候群、身心の疾患諸々、という悪影響につながっています。

(このような話もあります。)

オフィスが居心地が良いと感じる一部の人にとっては、対面コミュニケーションは望ましい、必要と感じる者でしょうし、その逆はそうではない、ということです。
コミュニケーションを取りたがる人は、どのような環境でも取りたがるし、そうでない人はオフィスでヘッドホン/イヤホンを付けて、声をかけられない様に仕事していますよね?

「偶然のコミュニケーション」によるイノベーション創発は、ごくごく少数の人による偏ったものの可能性があるのです。

(オープンオフィスの生産性については、こちらの記事も参照。)

テレワーク環境でもイノベーションに繋げるには?

オフィスに対する疑念もある中、実際、テレワーク環境でもイノベーションに繋げる考え方やアイデアが登場してきています。

例えば、そもそもとして、イノベーションが生まれやすい、もしくは生まれない、というものは組織風土の問題だ、という考えです。

確かに、これまでオフィスワークが当たり前だった環境が長年続いていますが、イノベーションからはかけ離れた企業が腐るほど存在していたのは、動かしがたい事実と言えます。

https://www.dhbr.net/articles/-/6781

また、せっかくこれだけ技術が発達してきているのだから、それを活用しよう、というアイデアもあります。
具体としては、「仮想オフィス」を設置し、そこでコミュニケーションを取ろう、というものです。
(これらは、ほんの一例です。)

対面だとコミュニケーションが取りづらかった人でも、オンラインだとコミュニケーションが取れる場合があるので、より多くの視点を得ることに繋げることもできるでしょう。
(いわゆる“コミュニケーション能力”的観点のみならず、遠隔地にいる多様な人とコミュニケーションが取りやすくなる、という視点も当然にある。)

https://cybozushiki.cybozu.co.jp/articles/m005933.html

オフィスに対して否定的意見を書いてきましたが、一概に否定するものではないと考えています。
テレワークが当たり前になると、逆にたまに顔をあわせてのコミュニケーションが新鮮に、楽しく感じるものです。
(ネガティブに捉えると、出社する人が優遇され、テレワークで働く人が冷遇されるリスクも考えられる。)

そして、テレワークには明確なメリット、作業にフォーカスした場合の生産性向上、がありますので、活用しない手はありません。

イノベーション云々については上述のとおり答えのある世界では無いので、目の前の組織・働き方設計としては、うまくハイブリッドさせていくのが良い塩梅では無いかと考えます。

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生産性・業務効率化

リモートワークって結局、良いの?悪いの?(ポジション・トークの話)

今回はポジション・トークの話です。
リモートワークって結局、良いの?悪いの?
どちらなのでしょうか?

世の中の言説は、結局の所「ポジション・トーク」

ポジション・トーク、という言葉を聞いたことがあると思います。

主に金融の世界で使われる言葉なのですが、一般用語としても当たり前に使われます。

使われ方、意味合いとしては次のようになります。

「それぞれの立場から自分に都合の良いことを言う。」

では、このことを前提にリモートワークって結局の所、良いのでしょうか?悪いのでしょうか?という点を考えてみたいと思います。
(推進した方が良いのか、これまでの会社への出勤形態の方が良いのか。)

結論、どちらの立場でも物を言えてしまいます。

良いとする立場(推進派)

一例ですが、リモートワークを推進する立場からの発言です。

リモートワークは非常に効率的だ。

通勤の時間で無駄に消耗しないし、自分にとってリラックスできる空間で仕事ができて効率的。
余計な雑談や、会議のような時間の無駄も減らせる。

リモートワークに反対するのは、時代遅れの人間のやることだ。

なるほど、と思います。

ロジカルシンキング的には下記ポイントがあり、「リモートワークは良い、反対するのはおかしい。」と言っているわけです。

  • 通勤時間の削減ができる
  • 集中できる環境で仕事ができる
  • 見えていなかった業務上の無駄が明らかになる

他にも色々な観点で物が言えそうです。

考えられる点としては、次のようなポイントを列挙できます。

  • 遠隔地の優秀な人材を雇用できる
  • オフィスを縮小化できるので固定費削減になる
  • 育児や介護などの問題で働けなかった人が働けるようになる

ふむふむ。

これだけ聞くと、リモートワークを推進しない手はないじゃないかぁ!となるのは短絡的です。

反対の立場からでも考えてみましょう。

悪いとする立場(出勤派)

リモートワークはかえって業務効率を下げる。

まず、何か新しいことを教えるにも、非常にやりづらい。
新人教育や業務引継をどうすれば良いのか。
次に、何をやっているのか見えづらいから、プロセス、頑張りを評価することもできない。
また、顔が見えないが故に、疲れているのか、精神的に参っていないか、の把握も遅れる。
実際に、休職者が増えている。

やっぱり、リモートワークを無理に推進しようというのは、極端な意見だ。

確かに、論理構造としては全くおかしくありません。

主張は次の3点でもって(多少、肉付けしています)、「リモートワークは悪い、推進するのは極端な意見だ。」と言っています。

  • 特に新人を中心に、教育上の問題がある
  • (仮に業務記述書を作成したとしても)プロセス評価がしづらい
  • 業務負荷・メンタルケア上の問題がある

こちらも、良いとする立場と同様、他にも色々な観点で物が言えます。

  • 情報漏洩のリスクが高まる
  • コミュニケーション不足になりチーム・ビルディングに影響する
  • 意図しないコミュニケーションで発生する、新しいアイデアの創発に弊害が出る
  • リモートワークに対応する機器やシステムの導入が必要だから追加コストがかかる

ここまで見てきて、どう感じたでしょうか?

ポリシーの明確化が重要

ようは、人が何か主張をしようという時は、何かしらの立場があって発言をしている、ということです。

つまり、ポジション・トークなんですね。

ニュートラルに会社の立場で考えて発言している、と言っても、結局それは従業員側からしてみれば、会社側からのポジション・トークになるわけです。

では、ポジション・トークが悪いのか?というとそうではありません。

一番重要なのはポリシーの明確化です。

うちは資金も十分にある。
無理に社員を出勤させて万が一何かあっては、レピュテーション・リスクとか、むしろそちらの方が問題だ。
今回はリモートワークを推進する方向性で進める。

でも良いですし。

この状況は、会社にとって大きなチャンスだ。
それに冷静に調べれば、手洗い・うがい,マスク,消毒液をはじめ、当たり前の対処をすれば感染リスクも無い。今は、このチャンスを獲得することを優先する。
社員には、何とか出勤する方向で納得してもらう。

でも良いでしょう。

(どちらの選択をして、従業員や顧客、社会がどう思うかは、ここでは別の話として。)


リモートワークの良し悪し、効率・非効率の話をしても、あまり意味がありません。
所詮は、どこまで行ってもポジション・トークだからです。

真に会社にとって必要なことは何か?

この観点で物事を考え、ポリシーを明確化し、意思決定を行っていくのが良いでしょう。
(まぁ、この締めくくりも会社という立ち位置で書いているので、ポジション・トークですし。)

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人事・総務

電話代行とクラウド電話システムでオフィスから電話を無くす方法

リモートワークを阻害する要因の一つに「電話」があります。
法人の代表電話、コールセンター業務等々。
いくらメールやチャットツールが発展したとは言え、電話を全く無くすことは難しいです。
今回は、電話代行とクラウド電話システムの活用により、オフィスから電話を無くす方法を解説します。

なお、今回紹介するサービスやシステムは、当方が慣れ親しんだものになりますので、他のサービスやシステムも存在することはご承知おきください。
また、回し者でも無いです。
あくまで事例紹介と捉えていただければ幸いです。

大枠の考え方

まず、大きくクリアしたい点が2つあります。

  • 外部から一方的にかかってくる無関係の電話を無くしたい
  • 必要な電話を必要な担当者に回せるようにしたい

この内、前者を電話代行サービスで、
後者をクラウド電話システムによって解決します。

イメージとしては、次のようになります。

それでは、それぞれ具体のサービスを見ていきましょう。

電話代行サービス

電話代行サービスとは、文字通り、事業者に代わって受電していただけるサービスです。
サービス提供者のオペレーターが代理で対応して、報告してくれます。
後は、自分たちの任意のタイミングで折り返し連絡するのか、それとも連絡しないのかを判断できるわけです。

最近はチャットツールに、受電情報を連携するサービスも一般的になり、効率的にストレス無く、オフィスに一方的にかかってくる電話を無くすことが可能となりました。

代表的なサービスとしては、「fondesk」というサービスがあります。

fondeskを推奨する理由は次の3点です。

  • 余計な手続きが必要なく、すぐに導入できる
  • Slackをはじめ、Line,Teams、チャットワーク、などの代表的なチャットツールに対応している
  • 料金体系がシンプル(100架電まで月額10,000円、以降1架電200円)

サービス内容イメージは下記動画を参考にしてみてください。

(繰り返しますが、別に回し者じゃないですよ。)

fondeskからのチャットツールであるSlackへの通知は次のようなイメージになります。

fondeskのSlack通知イメージ

その他のサービスとしては、下記のような業者が提供しています。

CUBE電話代行センター

電話代行サービス株式会社

セントラル・アイ株式会社

株式会社ビジネスアシスト

基本的なサービス内容は同じようなものですので、用途・ニーズ感等にあわせて選択すれば良いでしょう。
また、お気に召さなければ、スイッチは難しくは無いので、気軽に始めて見ると良いと思います。

クラウド電話システム

テレワークが叫ばれていますが、ハードルの一つが、従業員一人一人に付与している電話をどうするか?という問題があります。
スマートフォンを購入し、法人契約をする方法がありますが、現物管理も必要ですし、まあまあな費用もかかります。

これを解決するサービスの1つの解が「dialpad」です。

Dialpadを推奨する理由は次の5点です。

  • アプリをインストールすればパソコンでもスマホでも電話を使用できる(インターネット必須)
  • 通話中にデバイスを切り替えられる
  • 一般的なクラウドPBXと大差無い料金(多少高い)
  • 従業員毎に個別の電話番号を付与できる
  • 転送もできるのでコールセンター用途にも使える

ようは、従業員のモバイル端末を利用しても良いし(BYOD)、会社貸与の端末を使用しても良い形で、従業員個別に電話を付与することができるのです。
オフィスの電話がブーブーなって、誰かが代理で出てメモを残す、ということが不要になります(個別に留守録を残すことが可能)。

サービス内容イメージは下記動画を参考にしてみてください。

(もう一度、繰り返しますが、別に回し者じゃないですよ。)

他、諸々の利用イメージはdialpad japanの動画ページを参考にすると良いでしょう。

https://www.youtube.com/channel/UCKzBEvtXFemFsJ3d-n2imAg/videos

その他のサービスですが、(筆者の勉強不足もあるかもしれませんが)他にはあまり良いサービスが無い印象です。
クラウドPBXを提供している会社はたくさんありますが、面倒であったり、高かったり、スマホ利用が出来なかったり、と様々な制約があります。
現状では、dialpadが一番お手軽かな、というイメージ感です。

ただ、あくまでも会社のニーズにもよるでしょうから「クラウドPBX 比較」で検索して、自社にあうサービスを探すのが良いでしょう。


以上、電話代行サービス、クラウド電話システムを組み合わせて利用することにより、オフィスから電話を無くす方法を見てきました。

当方、この組み合わせでサービスを利用しているのですが、率直に言って非常に快適です。

イメージができるかどうか不明なのですが、オフィスで電話が一切鳴らないんですよ?
邪魔も入らないですし、単純に音で集中力が途切れたり、電話が長くなって誰かがとるのか自分が取るのかそわそわしたり、ということが皆無になるのです。

正直、今の時代、電話は終わったツールだと感じています。
時代の変化、新型コロナウイルス影響、リモートワーク意向の高まりもありますので、これを機会に切り替えてみてはいかがでしょうか。

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生産性・業務効率化

リモートワークは生産性が悪いらしい、が望まれているらしい

ピアボーナス「Unipos」を提供しているUnipos㈱より、「テレワーク長期化に伴う組織課題」に関する意識調査の結果が公表されました。
どうやら、リモートワークは生産性が悪くなるらしいです。
そして、それでもリモートワークの継続を望む人が多いらしいです。

リモートワークの生産性は研究ベースだと「よくわからない」

以前の記事で、リモートワークの生産性の記事を書きました。

様々な研究を横断的にレビューした結果として、リモートワークは個人にとっても企業にとっても、メリット・デメリットがあり、その生産性については「よくわからない」という結論です。

今回、Unipos社は、リモートワークの課題についてアンケート調査を実施しました。
その中でリモートワークの生産性について触れられていたので、今回取り上げます。

Unipos社の調査

調査概要

Uniposu社は、4月24日~27日の4日間にわたり、インターネットリサーチの方法で管理職333名を含む、総計886名の20-59歳男女にアンケート調査をとりました。

調査項目は下記の7つです。

  • リモートワークの導入状況
  • チームの生産性の変化
  • 部下の仕事ぶりの変化
  • 上司や同僚の様子の変化
  • リモートワーク長期化に伴う課題
  • リモートワーク開始にあわせて導入したITツールの生産性
  • コロナ影響収束後のリモートワーク継続の意思

とりあえず詳細はUnipos社リリースを参照ください。
自社システムの導入を促すポジション調査ではある印象ですが、n数は大きいので参考になるはずです。

検証材料から除外

リモートワークの導入状況については、クロス集計がされた資料があれば、言える事もでてくるのですが、これだけだと各回答にどのような影響があるのかわからないのでパスします。

ITツールの生産性も、導入した結果、生産性があがったのか下がったのか、それとも既存のITツールに対する評価も含みなのかがよくわからないのでパスします。
というか、従業員エンゲージメント向上ツールを導入した結果、生産性が高くなったが26.7%なのに対し、低くなったが23.3%もいるので、「結局、組織によるのでは?」疑惑があるので、これで何が言えるのかも不明ですし。

リモートワークで生産性は悪化、周囲の様子の把握に難点がある

悪化したというLOW層が50%存在

Unipos社調査をサマると下記のようなイメージになります。
HIは、生産性が高くなった、周囲の様子がよくわかった、リモートワークを継続したい、などのポジティブな反応。
LOWは、逆に低くなった、わかりづらい、リモートワークを継続したくない、というネガティブな反応です。
NLはニュートラルな反応を示しています。

Unipos社調査より作成

これを見ると、生産性は明らかに悪化したという反応が出ていることがわかります。
同様に、部下の仕事ぶりや、上司・同僚の様子についても、わかりづらいという反応が出ています。

一方、HI層はこの3項目に関しては、いずれも1桁%台なので、リモートワークによって生産性が高くなった、周囲の様子がよくわかるようになった、というのはマイノリティだ、ということがわかります。

NL層の存在が重要

不思議に思うのがNL層です。
NL層が3つの質問いずれも40%前後存在し、オフィスワークもリモートワークも大して変わらないと感じている層が結構なボリュームで存在することがわかります。

私は、このNL層が重要だと感じています。
オフィスワークとリモートワークを対立させた場合、仮に生産性が変わらないのであるならば、リモートワークを選択した方が良いはずだからです。
(個人レベルで見たら時間の節約になりますし、会社レベルで見てもオフィス費用という高い固定費を削減できるので。)

そう考えると、NL層はHI層と合算して考えるのが適切だと思われます。
つまり、リモートワークによって、0以上の生産性があった層(変化なしの0を含む)と、マイナス層がほぼ同じ割合がいるということです。

これだけ見ると、リモートワークでいいんじゃない?という考えに、やはりなってしまいますね。

とりあえず、多くの働く人はオフィスワークは嫌なご様子

生産性が低下した、周囲の様子がわかりづらい、というLOW層が50%前後存在する一方、リモートワークの継続を望む方も50%前後存在します。
特に管理職です(56.1%)。

そんなにオフィスワークは嫌か、と思いはしますが、まあそうですよね。

何はともあれ、新型コロナウイルスの影響が落ち着いても、リモートワークを経験した会社・人においては、リモートワークの継続圧力が高まることが予想されます。
こちらに関しては、予想どおり、既得権益化してきたようです。

課題認識

課題認識については、n数を分母として、割合で再作成しました。

Unipos社調査より作成

内容としては、概ねそうだろうな、というものです。

よくわからないのが、管理職の方が軒並みパーセンテージが高い点です。

これは、管理職の方が目線が高いから感じる課題意識も高いのか、それとも年齢層が高くなり最新のITツールを使いこなせない、文化になじめないからなのかが読み取れないからです。

どちらの可能性もありそうではあります。

アフターコロナはやはりリモートワークの社会になりそう

通して感じることとしては、二極化が進んでいくのだろうな、ということです。

まず、多くの人がリモートワークを望んでいることがわかりました。
その上で、生産については0以上とマイナスが半々ずつです。

アフターコロナの世界では、リモートワークを継続し生産性も下げずに対応しきった組織と、リモートワークを継続するも生産性が下がった組織やそもそもリモートワークをやれずにジリ貧で経営を続ける組織の2つに、大きく分かれていきそうな予感がします。
とりあえず、社会がリモートワーク化していくことは間違いなさそうです。
(それでも、トータルで見てみると前年比+〇%、みたいな少しずつには落ち着くのでしょうが。)

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生産性・業務効率化

寂しさは組織にも人にも良くない~リモートワークでの孤独の解消~

リモートワークを行う人が急激に増えてきました。
そのような中、ちらほら聞くのが「寂しい」という言葉です。
今回は、孤独は組織のパフォーマンスを下げるし、寂しさを感じている人の健康を害することにもつながることを解説していきます。

忙しい人向けまとめ

  • 孤独感は認知機能や行動力の低下を招く
  • どの立場・階層に関わらず組織パフォーマンスを低下させる
  • 風邪様症状の悪化をはじめ、心身への悪影響にもつながる
  • 寂しさへの心身含めた感受性は遺伝子によって左右されると示唆されており、慣れなどで解決できない可能性がある
  • 他者との積極的なコミュニケーションが重要、会議では雑談もする
  • 運動も忘れずに、肥満対策にもなり、気分も向上する

孤独を感じているメンバーが増えると組織パフォーマンスが低下する

孤独という分野は、特に宗教領域を中心に古来より研究(探求)がされてきました。

科学的な研究においては、例えばシカゴ大学の研究によると、孤独を自覚した人において、明確に認知機能や行動力が低下することが示されていました。

ACADEMY OF Managementに寄せられている研究においては、従業員の孤独感が増すと、タスクの処理やチームの中での役割、従業員間での関係性構築能力が低下するという研究も報告されています。
こちらは、約800名の管理監督者を含む規模の大きめな研究であり、職場における孤独感が、組織パフォーマンスに与える悪影響が大きいことに対する、確からしいエビデンスと言えます。

これは、従業員の中でも立場の低い方に限らず、CEOのような最高位の役職者についても同様だという研究がでています。
組織内の立場が上位になっても必ずしも孤独が解消される、つまり社会の中でのつながりができるかというとそうではない、というのです。
最高位の役職者の半数が孤独を感じていて、そのうちまた半数が孤独感が原因で組織パフォーマンスに影響を与えているようです。

孤独は健康にもよくない

孤独に対する研究は、認知機能に関するものや、組織パフォーマンスに関するものだけでなく、健康をテーマにしたものも多くあります。

米ライス大学における研究では、孤独を感じる状況において、風邪を引いた場合、その症状が悪化することが示されました。
こちらはホテルにおける隔離状況で、人為的に風邪様症状を起こしており、実験の品質としては非常に高いものになります。

風邪が悪化するような“まだ”軽微な悪影響だけではありません。
孤独は、喫煙や飲酒の増加などの自己管理能力の低下や、うつ症状の発症、自殺願望を抱くなど、人生に関りうる深刻な影響報告されています。
孤独な人は、アルツハイマー様症状を発症する可能性が、通常の人の2倍以上であることも示されています。

孤独に対する耐性は遺伝子に決まっている可能性

一方、ひとりでいても平気な人たちもいます。
この違いは何でしょうか?

英ケンブリッジ大学の研究によると、孤独による心身への悪影響は遺伝子によって左右される可能性が示唆されました。
こちらは約50万人分の遺伝子バンクをベースに研究されており、まだ基礎的な研究ではありますが、現時点における最高クラスの基礎研究といえます。

つまり、孤独は慣れやトレーニングによって克服できない可能性があるのです。
まだ研究は必要ですが、寂しいのが駄目だという人が、孤独に対する耐性をあげる努力をすることが良い結果にならないかもしれないのです。
科学的な真実は不明ですが、別の方法を模索する方が吉といえます。

コミュニケーションをとろう!

それでは、孤独感の解消のためには何をすればよいのでしょうか?

オレゴン健康科学大学の研究によると、孤独感の解消のためには、顔を突き合わせてのコミュニケーションがよいという結果が示されています。
こちらの研究では、SNSを介したコミュニケーションでは効果が薄いことがあわせて示されていますが、例えばZoomのような会議ツールでのコミュニケーションに関しては、研究がありません。
デジタル上でのコミュニケーションにおいても、顔を見るコミュニケーションならば孤独感の解消に効果がある可能性があります。

また、デジタル上でのコミュニケーションでも他にやれることは多くあります。

Slackのようなチャットツールではスタンプや絵文字などを活用し、感情を伝えるようにしよう。
文章中心のやりとりでは、感情が伝わり辛く、冷たく受け止められてしまうものです。
フランクすぎる位でちょうどよいのではないでしょうか。

また、会議では積極的に雑談をしましょう。
雑談が人間関係構築に寄与することは、多くの研究によって示されています。
無駄にだらだらとやるのは、純粋に時間の無駄なのでおすすめしませんが、会議の冒頭5分など、会議の参加者みんなで雑談で盛り上がるのはアイスブレークにもなります。

他には、最近の流行ではバーチャル飲み会(WEB飲み会)などもあげられます。
画面越しでも良いので、少しでも顔をつきあわせるコミュニケーションをとりましょう。

最後におまけを2つほど。

上で孤独が心身に与える影響は遺伝子によって左右されるという研究を示しました。
こちらの研究では、孤独に関連する遺伝子と肥満に関連する遺伝子が隣接していた、という調査が併せて示されています。
因果関係の程は不明ですが、肥満はコミュニケーション不良を加速させる可能性があるので、肥満防止・解消のための運動はした方がよいでしょう。
(もちろん全員ではありませんが、太っている人はコミュニケーションが苦手な人が多いのは、感覚値として納得できると思います。)
運動は、うつ症状などの予防や改善にも効果があるので、併せておすすめできる理由が存在します。

また、動物を飼うと孤独感が解消されるという研究もあります。
日本の住宅事情や、独身の家庭ですと、動物を飼うのが難しい場合は多いですが、もし、動物を飼育できる環境にあるならば孤独感の解消のためにはプラスになります。

寂しさは大丈夫な人はとことん大丈夫なものですが、駄目な人にとっては心身に深刻な影響を与えうるものです。
他者とのコミュニケーションによって解決できるものなので、自分自身の中で解決・完結させようとせず、積極的に周囲とつながる努力をしていきましょう。
孤独に慣れる努力よりは、はるかに実がなる可能性が高いと言えます。

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生産性・業務効率化

もしかしたら日本は生まれ変われるかもしれない~リモート化がグローバル化に繋がる~

日本は島国気質であり、グローバル化への対応も諸外国に比べて相対的に遅れています。
これがもしかしたら変化するかもしれない、とここ最近思い始めています。
それはリモート化により、コミュニケーション・コンテクストに変化が起きるからです。
リモート化を企業のレベルアップにつなげたいと考えている方向けに解説していきます。

忙しい人向けまとめ

リモート化により起きる変化

  • リモート化により日本でローコンテクスト文化が浸透する
  • これによりグローバル化への対応が自然と進む
  • なぜならば、欧米のコミュニケーションはローコンテクスト文化だから

コンテクストとは

  • ハイコンテクストとは「空気を読む」「察し」の文化、日本の特徴
  • ローコンテクストとは、言葉そのものでコミュニケーションが行われる文化、明確で正確な指示が必要
  • 日本のハイコンテクスト文化が、グローバル化への対応の妨げになっていた

リモート化対応で必要なこと、起きること

  • リモート化にはローコンテクストコミュニケーションへの移行が必要
  • 「顔が見えない」「言葉以外で伝えようがない」から
  • ローコンテクストコミュニケーションにより、情報の保存性や共有性が向上する
  • ロジカルに考える癖も身に付きやすい環境に置かれる
  • 生産性が向上し、グローバル化への対応も進むかもしれない

ローコンテクストコミュニケーションのポイント

  • 「言語化」「可視化」「定量化」を明確に正確に行うこと
  • そして、個々人の感情への配慮

リモート化によりコミュニケーション・コンテクストに変化が起きる

リモート化があちらこちらの会社で進み、どのように感じているでしょうか?
コミュニケーションがやりづらい、つい電話であったり、テレビ会議を多用したり、なんとか今まで通りに近いコミュニケーションをとろうとしてはいませんでしょうか?

何故、このようなことが起きるかというと、日本はハイコンテクスト文化のコミュニケーションが浸透しているからです。
一方、Slackのようなビジネス・チャットツール上でのコミュニケーションは、必然的にローコンテクストになりやすい環境でのやりとりになります。

そのため、全ての企業や、順応できる企業でもいきなりは無理でしょうが、日本のコミュニケーション文化がハイコンテクスト文化から、ローコンテクスト文化に変化していくのでは?と考えました。
そして、このローコンテクスト文化の浸透は、日本人が今まで苦手としていたグローバル化への対応にもつながる、と考えました。

三段論法的に言うと、リモート化により日本でローコンテクスト文化が浸透する、これによりグローバル化への対応が自然と進む(なぜならば、欧米のコミュニケーションはローコンテクスト文化だから)、というロジック構造です。

コンテクストとは

そもそもとしてコンテクストとは?という話をする必要があるかと思います。

コンテクストとは一言で書くと「コミュニケーションを取り巻く様々な状況」のことです。
コミュニケーションを取り巻く様々な状況とは、時間や状況、場所などの、つまりは「TPO」のことです。

ある人ともう一人別の人が会話をするとき、様々な状況がその二人を取り巻いています。
例えば、話す場所や時間帯、周囲にいる人々、その時々の気分やタイミング、二人の関係性などです。
こういった様々な状況を考慮せずにコミュニケーションを取る人に対して、日本では「空気が読めない」と揶揄をします。

このような、「空気を読む」行為、TPOから多くの情報を得ようとするコミュニケーション文化のことを「ハイコンテクスト」と言います。
つまりは、「察し」の文化ですね。
ビジネス上でのやり取りでは、曖昧な指示などが飛んだ場合、これがローコンテクストです。

一方、TPOなどのコンテクストよりも、実際に表現された言葉から意味や情報を得ようとする文化のことを「ローコンテクスト」と言います。
言葉通りのコミュニケーションになるわけですね。
ビジネス上でのやり取りでは、明確で正確な指示が必要になります。

ハイコンテクストなコミュニケーション文化は、日本のような長い歴史をもち、かつ人々の流動性が少ない国で見られる光景です。
日本以外ですと、中国や韓国を中心としたアジア諸国、アフリカ系コミュニティや各国の先住民系コミュニティがハイコンテクスト文化を持っています。
一方、欧米は人々の流動性が高く、歴史の分断が大きい傾向が強く、ローコンテクスト文化が浸透しています。
イタリアやラテン系、アラブ諸国などは中間位です。

異文化コミュニケーションを行う場合、ハイコンテクスト文化に所属する人は、ローコンテクスト文化の人たちに対して、できるだけ明確で正確に多くの言葉を使ってコミュニケーションをとる必要があります。
曖昧な表現では伝わらないのです。
ローコンテクスト文化の人がハイコンテクスト文化の人にコミュニケーションをとる場合は、ハイコンテクスト側からすると「ストレートに言うなぁ、、、」とは思うことが多いですが、とりたいコミュニケーションの内容自体はとれるので、あまり問題はありません。
(これは、あくまでもマクロ的な全体感、傾向の話なので、個別コミュニケーションでは該当しないことは当然に多い。)

リモートワークで大事なローコンテクストコミュニケーション

リモートワークで大事なのはローコンテクストコミュニケーションです。
これは、お互いに「顔が見えない」「言葉以外で伝えようがない」からです。
(実際には、オフィスワークでも必要なはずなのだが。)

中高年の方でリモートワークに苦手意識や場合によっては嫌悪感を抱くのは、このローコンテクストコミュニケーションが不得手だからなのでは、と推測しています。
中高年の方の会話はどうしてもハイコンテクストになりがちで、そのため社歴であったり世代やグローバルの壁を越えにくいのでは、そしてそれはリモートにも影響している可能性があります。
これにより、ついつい電話をしたくなったりしないでしょうか?中高年の方。

これは、電話を嫌がる傾向が強い今の若者たちにとっても、組織にとっても悪影響を及ぼします。
コミュニケーション内容の保存性や共有性の観点から、非生産的であるからです。

逆にいうと、コミュニケーションをローコンテクストにすることにより、そして最新のデジタルツールを活用することによって、日本企業はその生産性をあげることができるのではないでしょうか?
日本では長らくハイコンテクストコミュニケーションがとられ、それを汲み取ることを良しとされてきました。
ロジカルで明確なコミュニケーションは軽視されてきました。
そのため、多くの日本企業が社外とのリレーションシップを苦手としており、特に海外対応、つまりはグローバル化対応を阻む要因になってきたと考えています。

Slackのようなチャットツールでは明確に空気感は伝わらないですし、Zoomのような会議ツールでは、多少は空気感が伝わりますが、対面コミュニケーション以上には伝わりません。
リモート化に対応するためには、事前に情報を整理しロジカルに考えるなど準備をし、ローコンテクストに語る必要があります。
なあなあの会話でやってきたことが通用しなくなるので、必然的にロジカルに考える環境に身を置かれることになります。
ローコンテクスト文化ですと、背景の異なる第三者とのコミュニケーション上の認識のズレが起きづらくなるのです。

ハイコンテクストコミュニケーションをとりたい、という欲求を抑え、ローコンテクストに移行すれば、日本企業の生産性は向上し、またグローバル化への対応も進むはずなのです。

ローコンテクストなコミュニケーションをとろう

最後にローコンテクストコミュニケーションをとるための指針を書いていきます。

プロジェクトの生産性を高めるローコンテクストコミュニケーション

  • 方針、ポリシーを言語化し、メンバーが同じものを見れるようにする
  • タスクを可視化し、いつまでに何をやらなければならないか定量化する
  • 情報をオープンにしメンバーが自分でデータをとれるようにする
  • リモート会議を減らしテキストベースで完結させる
  • 働く時間を明確化しメリハリをつける

チームの生産性を高めるローコンテクストコミュニケーション

  • ローコンテクストコミュニケーションを心がける
  • きちんと挨拶をし、その日の調子を伝える
  • ポジティブ面もネガティブ面も含め、フィードバックをする
  • 絵文字やカジュアルワードで、感情が読みやすいテキストにする
  • 積極的に雑談する

ポイントは「言語化」「可視化」「定量化」です。
ローコンテクストであることを前提に、ビジネス上でのやり取りを、明確に正確に言語化して物事を伝えるようにしましょう。
煩雑なコミュニケーションをとらなくても、メンバーが情報をとれるように、できるかぎり情報のオープン化につとめましょう。
そして、「言語化」「可視化」されたコミュニケーション・情報については、極力「定量化」を行うように心がけましょう。

また、個々人の感情にも気を配るようにすることも大事です。
ローコンテクストコミュニケーションは冷たく受け止められがちです。
(欧米の人も、ストレートに伝えすぎると、結構傷つく。コンテクスト部分がゼロなわけではない。)
テキスト発信に関して、何かしらスタンプなどリアクションを行う、できれば返信を行う、感謝の気持ちはストレートに伝える、特にポジティブフィードバックについては積極的に伝える。
このように、テキスト上でのやり取りに感情を込める習慣化が大事です。

このリモート化を、致し方なく対応するものではなく、一つのチャンスだと捉えていきたいものです。

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セキュリティ

セキュリティ的に危険~ノートPCに企業ロゴステッカーを貼るのはNG~

リモート勤務をする人が増え、以前にも増してカフェでノートPCを広げている人を多く見かけるようになりました。
その光景を見ていると、赤の他人なのに、微妙にそわそわしてしまいます。
なぜならば、ノートPCに企業ロゴステッカーが貼っているからで、それはセキュリティ的にNGだからです。

特にベンチャー界隈だと当たり前にみられる光景ですが、なぜ、ノートPCに企業ロゴステッカーを貼るのはNGなのでしょうか?

忙しい人向けまとめ

  • ブランドイメージ低下につながりやすい
  • 紛失・盗難時のパスワード推測がしやすい
  • 盗難のターゲットとなる可能性もある

なぜ、危険なのか?

ブランドイメージ低下につながりやすい

会社から支給されたノートPCを、うっかり紛失をしてしまいました。
そのノートPCに企業ロゴステッカーが貼ってあった場合、そのノートPCを発見した人は、どう思うでしょうか?

考えられる例として、「あの会社の人たちは、パソコンを紛失するような人たちなんだ。」と思い、その会社に対する信用度が減ってしまい、ブランドイメージの低下につながってしまう可能性があります。

いわゆる「ショルダーハック」と呼ばれる状況が起きた時も同様です。
「ショルダーハック」とは、言葉通り、肩越しにノートPCのディスプレイに表示されている情報を見てしまう行為です。

このような時も、「外で堂々と顧客の情報を表示しているよ。あの会社、大丈夫かな。」と思われてしまう可能性があります。
ディスプレイに自分たちの会社名などが表示されていなかったとしても、ノートPCに企業ロゴステッカーが貼ってあれば、「私はどこどこの社員です」と吹聴しているようなものです。

ノートPCに企業ロゴステッカーを貼るのは、紛失、盗難、ショルダーハックなどがあった際に、ブランドイメージを低下させるリスクが多いにあるのです。
(純粋に、ステッカーを貼る行為を低俗だと考え、忌避する人もいるので、その観点でもブランドイメージを下げてしまうリスクがあります。その考えは流石にどうかとは思いますが。)

紛失・盗難時のパスワード推測がしやすい

ブルートフォースアタック、という言葉をご存じでしょうか?
パスワードの解析の際に使う「総当たり攻撃」のことで、古典的ながら、現在でも有効な方法として捉えられているハッキング(クラッキング)の手法の一つです。

もし、ノートPCのパスワードが「企業名****」というような設定がされていた場合を考えてみて下さい。
ノートPCには企業ロゴステッカーが貼ってあります。
ブルートフォースアタックをする際のリスト絞り込み、つまりパスワードの推測が容易になると思いませんか?

ノートPCに企業ロゴステッカーを貼るのは、紛失、盗難があった際に、パスワードの推測を容易にしてしまう場合があり、それは情報漏洩につながりやすくなるリスクがあるのです。

もちろん、いわゆる「ふせん(付箋)にパスワード」も、当たり前ですが危険です。
ありえない行為なので、もしあなたがそのようなことをしていたのならば、即座にはがし、適切に捨てましょう。

盗難のターゲットとなる可能性もある

幸い日本では少ないのですが、現実として産業スパイ、というものが存在するのも事実です。
ノートPCに企業ロゴステッカーが貼ってある場合、その産業スパイの対象、つまり盗難のターゲットとなる場合があるのです。

あなたが仮に、大量の個人情報を所有しているであろう会社の従業員であった場合、悪意のある人間にしてみれば美味しいターゲットに見えてしまう場合がゼロではありません。
ステッカーが貼ってあるので、「私はどこどこの社員です」と吹聴しているのですから。

どこの社員なのかがわかるが故に、興味の対象として、ショルダーハックのターゲットとなる可能性もあります。
ノートPCに企業ロゴステッカーを貼るのは、紛失、盗難、ショルダーハックなどのターゲットとなるリスクが高くなってしまう、と認識しましょう。

その他の注意事項

「資産管理ラベル」なども同様で、企業名やホスト名を刻印しないように注意しなければいけません。
ノートPCで外作業をしている人を見ていると、ちらほら「資産管理ラベル」に企業名が刻印されている状況に出くわし、微妙にそわそわしてしまいます。

また、「よその会社のステッカーも貼ってあるから問題ないよ!」という人も、たまにいますが、よそ様の会社に迷惑をかけてしまう可能性があることも認識すべきです。
よそ様の会社に迷惑をかけてしまうことは、もっとありえない行為のはずです。

最後に

これは、私個人の考えなので、他社に強く押し付けるものでは無いとは思ってはいるのですが。
そもそも論として、ステッカーをはがす際に傷をつけてしまう場合もあります。
会社から貸与された備品は、会社の物であり、自分の物ではありません。
他人の物に傷をつけてしまう、という行為はマナー違反の「はず」です。

これを考えると、そもそも論として純粋に会社から貸与されたノートPCに何かシールやステッカーを貼るような、デコレーションはするべきではないでしょう。

もちろん、最終的には所属する会社の方針に従う話ですので、仮に所属する企業の文化としてステッカーを貼るのを良しとしているのならば、それに口出しするのは余計なお世話というものです。
また、一個人が私物のノートPCを好きなようにデコレーションするのも全くもって構わないでしょう。
趣味・志向の世界の話なので、それに突っ込むのは野暮というものです。

ですが、以上の通り、セキュリティの観点で考えた際に、所属がわかる何かがある状況は良くないことは認識すべきです。

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