寂しさは組織にも人にも良くない~リモートワークでの孤独の解消~

生産性・業務効率化

リモートワークを行う人が急激に増えてきました。
そのような中、ちらほら聞くのが「寂しい」という言葉です。
今回は、孤独は組織のパフォーマンスを下げるし、寂しさを感じている人の健康を害することにもつながることを解説していきます。

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忙しい人向けまとめ

  • 孤独感は認知機能や行動力の低下を招く
  • どの立場・階層に関わらず組織パフォーマンスを低下させる
  • 風邪様症状の悪化をはじめ、心身への悪影響にもつながる
  • 寂しさへの心身含めた感受性は遺伝子によって左右されると示唆されており、慣れなどで解決できない可能性がある
  • 他者との積極的なコミュニケーションが重要、会議では雑談もする
  • 運動も忘れずに、肥満対策にもなり、気分も向上する
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孤独を感じているメンバーが増えると組織パフォーマンスが低下する

孤独という分野は、特に宗教領域を中心に古来より研究(探求)がされてきました。

科学的な研究においては、例えばシカゴ大学の研究によると、孤独を自覚した人において、明確に認知機能や行動力が低下することが示されていました。

ACADEMY OF Managementに寄せられている研究においては、従業員の孤独感が増すと、タスクの処理やチームの中での役割、従業員間での関係性構築能力が低下するという研究も報告されています。
こちらは、約800名の管理監督者を含む規模の大きめな研究であり、職場における孤独感が、組織パフォーマンスに与える悪影響が大きいことに対する、確からしいエビデンスと言えます。

これは、従業員の中でも立場の低い方に限らず、CEOのような最高位の役職者についても同様だという研究がでています。
組織内の立場が上位になっても必ずしも孤独が解消される、つまり社会の中でのつながりができるかというとそうではない、というのです。
最高位の役職者の半数が孤独を感じていて、そのうちまた半数が孤独感が原因で組織パフォーマンスに影響を与えているようです。

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孤独は健康にもよくない

孤独に対する研究は、認知機能に関するものや、組織パフォーマンスに関するものだけでなく、健康をテーマにしたものも多くあります。

米ライス大学における研究では、孤独を感じる状況において、風邪を引いた場合、その症状が悪化することが示されました。
こちらはホテルにおける隔離状況で、人為的に風邪様症状を起こしており、実験の品質としては非常に高いものになります。

風邪が悪化するような“まだ”軽微な悪影響だけではありません。
孤独は、喫煙や飲酒の増加などの自己管理能力の低下や、うつ症状の発症、自殺願望を抱くなど、人生に関りうる深刻な影響報告されています。
孤独な人は、アルツハイマー様症状を発症する可能性が、通常の人の2倍以上であることも示されています。

孤独に対する耐性は遺伝子に決まっている可能性

一方、ひとりでいても平気な人たちもいます。
この違いは何でしょうか?

英ケンブリッジ大学の研究によると、孤独による心身への悪影響は遺伝子によって左右される可能性が示唆されました。
こちらは約50万人分の遺伝子バンクをベースに研究されており、まだ基礎的な研究ではありますが、現時点における最高クラスの基礎研究といえます。

つまり、孤独は慣れやトレーニングによって克服できない可能性があるのです。
まだ研究は必要ですが、寂しいのが駄目だという人が、孤独に対する耐性をあげる努力をすることが良い結果にならないかもしれないのです。
科学的な真実は不明ですが、別の方法を模索する方が吉といえます。

コミュニケーションをとろう!

それでは、孤独感の解消のためには何をすればよいのでしょうか?

オレゴン健康科学大学の研究によると、孤独感の解消のためには、顔を突き合わせてのコミュニケーションがよいという結果が示されています。
こちらの研究では、SNSを介したコミュニケーションでは効果が薄いことがあわせて示されていますが、例えばZoomのような会議ツールでのコミュニケーションに関しては、研究がありません。
デジタル上でのコミュニケーションにおいても、顔を見るコミュニケーションならば孤独感の解消に効果がある可能性があります。

また、デジタル上でのコミュニケーションでも他にやれることは多くあります。

Slackのようなチャットツールではスタンプや絵文字などを活用し、感情を伝えるようにしよう。
文章中心のやりとりでは、感情が伝わり辛く、冷たく受け止められてしまうものです。
フランクすぎる位でちょうどよいのではないでしょうか。

また、会議では積極的に雑談をしましょう。
雑談が人間関係構築に寄与することは、多くの研究によって示されています。
無駄にだらだらとやるのは、純粋に時間の無駄なのでおすすめしませんが、会議の冒頭5分など、会議の参加者みんなで雑談で盛り上がるのはアイスブレークにもなります。

他には、最近の流行ではバーチャル飲み会(WEB飲み会)などもあげられます。
画面越しでも良いので、少しでも顔をつきあわせるコミュニケーションをとりましょう。

最後におまけを2つほど。

上で孤独が心身に与える影響は遺伝子によって左右されるという研究を示しました。
こちらの研究では、孤独に関連する遺伝子と肥満に関連する遺伝子が隣接していた、という調査が併せて示されています。
因果関係の程は不明ですが、肥満はコミュニケーション不良を加速させる可能性があるので、肥満防止・解消のための運動はした方がよいでしょう。
(もちろん全員ではありませんが、太っている人はコミュニケーションが苦手な人が多いのは、感覚値として納得できると思います。)
運動は、うつ症状などの予防や改善にも効果があるので、併せておすすめできる理由が存在します。

また、動物を飼うと孤独感が解消されるという研究もあります。
日本の住宅事情や、独身の家庭ですと、動物を飼うのが難しい場合は多いですが、もし、動物を飼育できる環境にあるならば孤独感の解消のためにはプラスになります。

寂しさは大丈夫な人はとことん大丈夫なものですが、駄目な人にとっては心身に深刻な影響を与えうるものです。
他者とのコミュニケーションによって解決できるものなので、自分自身の中で解決・完結させようとせず、積極的に周囲とつながる努力をしていきましょう。
孤独に慣れる努力よりは、はるかに実がなる可能性が高いと言えます。

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