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ベンチャー企業が求める資質「カオス耐性」とは?

ベンチャー界隈に生息していると「カオス耐性」とう言葉をちらほら聞きます。
語呂感から何となく言わんとしていることはわかるレベルの意味合いの「カオス耐性」ですが、ベンチャー企業が求める資質として頻繁に取り上げられています。
ここではこの「カオス耐性」について整理してみることにします。

「カオス耐性」はベンチャー企業から求められている

ベンチャー企業は、顧客基盤も組織体制も整っていない、人もお金も無い無いだらけの組織である場合がほとんどです。
つまり「カオスな状態」にあります。
そのため、世の中のチャレンジをしている企業や経営者は、自分たちの会社が成長していくために必要な人材として「カオス耐性」の高い人を求めています。
これは私が勝手に言っているのではなく、たとえばここや、ここここなど、複数の事例で語られています。

また、中には下記のような求人要件を見ることもあります。

必要スキル
【必須】
・コンサルティングファーム(戦略、会計、リスク、業務コンサル等)にてマネジメントのご経験がある方
・事業会社等にて新規事業立ち上げのご経験かつマネジメントのご経験がある方
【歓迎】
・海外交渉レベルの英語力
カオス耐性のある方

つまり「カオス耐性」を持っている方は、ベンチャー適正が高い(はずだ)ということです。
では、この「カオス耐性」とは何でしょうか?
もう少し具体的に言語化を行っていきます。

カオス耐性とは具体的になにか?

各所で語られている「カオス耐性」や私自身の経験・考え方をまとめると、下記のように言語化できると考えました。

成果(もしくは成長)に対して貪欲であること
①圧倒的な成果を出す
②過去の事例に囚われない
③成果に天井を設けない
自発的にかつ主体的に動けること
④仕事を積極的に奪う
⑤良い質問をする
⑥不満は具体的に解決・改善する
会社のことを自分事化できること
⑦仕事に対して責任を持つ(仕事が終わるまで仕事を終えない)
⑧自分で稼ぐマインドを持つ
⑨社長(創業者)はスーパーマンでは無いと知る

一つ一つ具体的に見ていきます。

①圧倒的な成果を出す

ベンチャーという言葉ですが冒険(アドベンチャー)という意味を持っています。未知なる世界への冒険ですね。
顧客基盤は大体において脆弱ですし、社内の体制も大体において整っていません。
非常に多くの領域において「0(ゼロ)」から始め無ければいけません。

ようは、非常に倒産するリスクが高いです。

そのため、何にも優先して、顧客を獲得すること、事業運営に必要な資金をかき集めることが必要になってきます。
知名度0の会社が、この必要なことをやるにあたって、圧倒的な成果を出すことが必要です。
大企業に勤めている社員が出すよりも多くの成果です。

また、この成果を出すにあたって、世の中の動き、特に競合の動きには目を光らせなければいけません。
成果というものは絶対性もありつつ、相対性もあるからです。

もうこの世の中、100%完全に「今までに無い新しいビジネス」なんてものは存在しません(解釈にもよりますが)。
つまり、必ず競合がいる、ということです。
自分たちにとって120%の成果を出せたとしても、競合が140%の成果をだしたら、相対的に85%の成果になってしまいます。
競合が140%を成果を出したのならば、自分たちはそれ以上の成果を出していくことが必要です。

②過去の事例に囚われない

これは主に2つの観点があります。
1つは世の中の変化は速すぎるし、今やっていることが正しいとは限らない、という点です。
もう1つは前の所属組織のやり方や世の中の常識が、今の組織で正しいとは限らない、という点です。

ベンチャー企業は新しいことにチャレンジをしているので、当然にそのやり方も日々模索しながらになります。
一度こうだ!と決めたことをやり切るのは大事なのですが、朝令暮改も同時に大事になってきます。
それは冒頭にも書いた通り、世の中の変化が速すぎること、一度こうだと決めたことが正しいとは限らないからです。

そして、別の組織のベストプラクティスですが、それが今の組織にも適合するかどうか。
これはやってみなければわからない点があるので、とりあえずトライしてみるのは良いのですが、固執するのは非常に危険です。
ベストプラクティス、というのは人数規模や業種などに限らず、内部要因・外部要因含め、様々な環境要因によって成り立っている場合がほぼ全てです。
そのため、以前の組織のやり方が、今いる組織にとって良いとは限りません。

常識ですが、これは言うまでも無いかもしれません。
新しいことをやる、というのはつまりは非常識なことをやる、ということです。
常識に染まっていては、新しいものは生み出せません。
良い意味での非常識は推奨していきましょう。
ただし勘違いしてはいけないのは、この社会に生きる人間や働く上での常識、というものは当然に持っておくべきです。
ここで言っている良い非常識の意味をなんとなくでもわからない人は、ベンチャー適正が無いので、素直に会社を去りましょう。

③成果に天井を設けない

ベンチャー企業はありとあらゆるリソースが限られています。
そのため、あなたの成果や成長の限界が、会社組織の限界値となります。
つまり、自分自身のだした成果や成長に対して、決して満足をしてはいけない、ということです。
常に高い理想をもって、昨日より今日、今日より明日、というマインドでより高い成果を、より高い水準への成長を目指しましょう。

大企業はリソースもあり仕組みも整っており、商品力・知名度・ブランド力も非常に高いものを持っています。
そしてベンチャー企業は、大企業が持っているものを持っていません。
当たり前に想定できる水準の成果、成長では到底大企業には太刀打ちできません。
大企業が今まで提供してきた既存のサービスに対する期待値を上回る、圧倒的な成果を出し、成長し続ければ、いつかは自分たちが大企業に成長できるはずです。

大企業も最初は0からスタートしたベンチャー企業だったはずです。
そのベンチャー企業には、常に高い水準で成果を出し成長し続けた、「誰か」がいたからこそ、今の大企業が存在するはずです。
この「誰か」にあなたがなるのです。

これは一見難しいように見えますが、言うほど難しくは無いと考えています。
性格の悪い書き方に読めてしまうかもしれませんが、ちょっと考えてみて下さい。
大企業に勤めている人たちがどんな人たちか?



そう、普通の人たちです。

あなたも普通の人ですが、大企業に勤めている人も普通の人たちです。
では、勝負をわけるのは何でしょうか?
それは掲げるミッション・ビジョンに対する強い想いであり、圧倒的な成果を望む気持ちであり、常に成長したいという貪欲な姿勢だと考えます。
あなたの想いと行動が本物であるのならば、たとえ無い無いづくしのベンチャー企業であったとしても、大企業と対等に渡り合えるはずです。

④仕事を積極的に奪う

ベンチャー組織はリソースが限られているのにも関わらず、やらなければいけないことが膨大にあります。
経営者や先輩社員たちは当然にそのやるべきことに忙殺されています。
大体の場合において、新しいメンバーに手とり足とり、仕事を教えている余裕は無いでしょう。
もし、言われたこと、与えられたことしかやれない指示待ちの姿勢であるならば、すぐに改善するか、会社を去りましょう。

ベンチャー企業においては、自分がやるべきことは自分自身で決める姿勢が大事です。
そしてリソースは限られているので、適切に優先順位をつけて、抜け漏れないようにToDoを自分で管理し、効率的なやり方を自分自身で模索できる能力も必要です。
つまり、「自発的」にかつ「主体的」に動く、ということです。
これらは、あなたの価値を示すものになるでしょう。

難しく聞こえるかもしれませんが、これも思うほど難しくないはずです。
経営者や先輩社員は多種多様な仕事に忙殺されていて、誰かが自分の仕事を奪ってくれるのを、心待ちにしているはずです。
そして、経営者や先輩社員が抱えている仕事は、必ずしも彼ら彼女らが得意ではない仕事が含まれているはずです。
その組織に採用された、ということは何かしらの強みや得意な領域があるからこそだと思います。
その自分自身の強みや得意な領域で、経営者や先輩社員が抱えている仕事を奪ってしまえばいいのです。
非常に喜ばれるでしょう。

⑤良い質問をする

自発的にかつ主体的に動き、経営者や先輩社員の仕事を奪うのは大事ですが、奪い方には注意が必要です。
引継の話です。
忙殺されている人から仕事をとるにせよ、何かしらの引継は必要です。
この際、具体のHowを相手に求めてはいけません。
相手にしてみれば、その具体のHowを説明して引き継いでいる時間があるのならば、自分でやった方が速いからです。

中には懇切丁寧に具体のHow説明してくれて、寄り添ってくれる方もいるかもしれませんが、それに期待してはいけません。
ベンチャー企業に勤めている方々は若い方が多く、大体の場合においてマネジメント経験や人を教育してきた経験が乏しいことが多いです。
ですので、愚かな質問(具体のHow)を投げかけると、冷たく扱われてしまうでしょう。

経営者や先輩社員から聞くのは、大枠の考え方や方針にとどめ、その後は過去の資料や成果物を自分自身でしっかり読み込み、「どうあるべきか?どうしたいか?そしてそれらのためにどうすればよいか?」を自分の頭で考えましょう。

その上で、この自分の頭で考えた「どうあるべきか?どうしたいか?そしてそれらのためにどうすればよいか?」を経営者や先輩社員にぶつければよいのです。
これは良い質問ですので、きっと良い壁打ち相手になってくれるはずです。
高い評価ももらえるでしょう。

⑥不満は具体的に解決・改善する

基本的に不満を持っていない人はいないと思います。
そして、ベンチャー組織のような所ですと、人より不満を多く持ってしまう場面も多いでしょう。
それは決して悪いことではありません。
不満は発明や改善の母だからです。

ようは、その不満を不満のまま終わらせるのでは無く、具体的なものとして言語化して、解決するなり、改善するなり、逆に無視をするなりをするべきだ、ということです。
文句を言うのは別に悪いことでは無いですが、生産性は無いです。
もう一度書きますが、不満があるのならば積極的に、解決するなり、改善するなり、スルーするなり、をしましょう。

ベンチャー組織は至らないことが大勢あるはずで、それは仕方が無いことです。
この点を「宝の山」と見えなければ、良い悪いでは無くアンフィットですので、会社を去るべきでしょう。

もう一点付け加えると、ベンチャー企業の経営者(創業者)は大なり小なり変な人です。
変な人でなければ、わざわざ新しいことをやろうとなんてしないでしょう。
また、経営者というものは非常に忙しいです。
つまり、大体において経営者の考えていることなんて簡単には理解できないですし、経営者も社員に理解してもらえるようコミュニケーションを取ることが難しいです。
ですので、もし、経営者の考えていることがわからなくなったり、方針が納得できないものだったら、積極的に聞くべきでしょう。
経営者という生き物は、大なり小なり自分のやっていることや考えていることを他者に知ってもらいたいので、聞けば忙しい中でも時間を作ってくれるはずです。
もし、そういうことに真剣で無い経営者でしたら、素直に会社を去るのも選択肢でしょう。

⑦仕事に対して責任を持つ(仕事が終わるまで仕事を終えない)

ベンチャー企業の従業員数は、大体において少数です。
そのため、一人が担当する範囲や業務量は、大企業に比較して、相対的にインパクトが大きいです。

何を言いたいのかというと、何かしらの都合で仕事を休んだり、定時に帰りたい・オンオフを切り替えて土日は仕事のことを考えたくないというマインドを持ったりすると、会社に与える影響が大きくなります。

これは何も滅私奉公をせよとか、昨今の働き方改革に逆行する動きをせよとか、そのようなことを言っているわけではありません。
ベンチャーというものは不安定なものなので、大口の受注が突然はいったり、逆に重要顧客の解約などがはいったりします。
土日や深夜にトラブルが発生して、緊急対応をしなければならない状況も、限られたリソースの中で発生したりするでしょう。
当たり前ですが、ベンチャー企業で突然に発生した何かをスルーし続けると、倒産します。
ですので、ベンチャー企業でがっつり働いている人たちは、土日も関係なく夜遅くまで働いているのです。

休むなら休む、早く帰るなら早く帰るで、何かが発生したとしても大丈夫な体制や仕組みを構築する必要があります。
しかし、大体においてそれは難しいです。

最近は、大企業と変わらない、場合によっては大企業より労働環境が良好なベンチャー企業も増えては来ていますが、そこに期待をしない方が良いでしょう。
休みたい、早く帰りたい、という考えを持っている人は、能力不足だとか悪だとか言っているわけではなく、単純にアンフィットなだけですので、それが可能な大企業(希望とフィットする企業)に行くべきです。

⑧自分で稼ぐマインドを持つ

何度も書きますが、ベンチャー企業はリソースが限られています。
顧客基盤も不安定なので、売上も大企業に比較すれば、吹けば飛ぶものでしょう。
「誰かがやってくれる」的なマインドは極めて危険であり、組織にとって有害です。
自分で自分の食い扶持を稼ぐ位の気持ちが欲しいです。

これは何も、セールス担当で無い人間も案件をとってこい、という話ではありません。
各人に任せられた、もしくは自分自身の信念に基づいてやるべきだ!と思ったことを、やり切りましょう、高い水準で完遂しましょう、ということです。

アニメの話なのですが、好きな言葉があります。

「我々の間には、チームプレーなどという都合のよい言い訳は存在せん。有るとすればスタンドプレーから生じる、チームワークだけだ。」

攻殻機動隊 S.A.C. 公安9課 荒巻大輔のセリフ

これこそがベンチャー企業が求めるハイパフォーマンス集団のマインドであると考えます。

そしてもう1点。
会社は出資者(株主)によって、その存在が成り立っています。
つまり、誰かがお金を払っているのです。
この誰かは、創業者であったり、シードステージの時に支援するエンジェル投資家、ある程度母体ができてきた時に出資してくれるベンチャーキャピタル(VC)、シナジー効果を求める事業会社などです。
会社はストレートに言えば、出資者(株主)のものです。
社員や顧客のものではありません。
(勘違いが無いように補足すると、会社は社員・顧客・社会などの取り巻く全ての人たちのものである、というマインドを持つのは大事です。)
出資者(株主)の期待に応える責務が企業にはあります。
もしあなたが、より高い次元での仕事を望むのであるならば、この点も意識する必要があるでしょう。

⑨社長(創業者)はスーパーマンでは無いと知る

日本のベンチャーエコノミクスの成長は著しく、非常に若い方たちが果敢にチャレンジをするようになりました。
ベンチャー企業の経営者には、20代30代の方も大勢いらっしゃいます。
中には、どこかの企業に就職することなく、大学などなどを卒業後、起業している方もいらっしゃいます。
そのチャレンジ精神は非常に尊敬に値します。

ここで大事なのは、彼らも普通の人たちである、という点です。
これは彼らを卑下するような話ではありません。
普通の人が、「こういう世の中を実現したい!」という熱い想いをもって、リスクを承知の上でチャレンジをする。
この想いに共感した、同じく普通の人たちが集ってベンチャー企業ができあがります。
ここに(組織運営上の関係は別として)上下関係は無いはずです。
同じ想いを持つ同士として、共に戦っていきたい、という考えを持つのが良いでしょう。

そして、経営者は決して万能な存在ではありません。
わからないことだらけでしょうし、日々悩み、会社の行く末がどうなるか不安で一杯なはずです。
当たり前なのですが、20代30代の若者がどんなに努力していたって、その知識や経験がどこの誰よりも優れているということがあるはずがありません。
だからこそあなたがいるのです。
あなたの強みや得意なことの何か一部は、経営者より優れている所があるはずです。
その強みや得意なことでもって会社に貢献し、自分の想いを叶え、ミッション・ビジョンを実現していく、これこそがアドベンチャー(冒険)だと、私は考えます。

最後に

さて、これまで「カオス耐性」を良しとする前提で書いてきましたが、これは一つの価値観です。
一人ひとり異なる価値観を持っているはずで、喜びのありかた、幸せのありかたは異なるはずです。
もし、「カオス耐性」をもっているのならばチャレンジをすることは、あなたに幸せをもたらすでしょう。
逆に、憧れだけでベンチャー企業に飛び込むのならば、それはきっと双方にとって不幸な結果につながるはずです。
このテキストが誰かにとっての指針になれば幸いです。

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国内1億円以上資金調達情報まとめ(2月21日~)

2月21日以降のベンチャー企業の資金調達情報をまとめています。
公表情報を元にしたまとめですので、情報の網羅性および粒度は異なります。

株式会社セオリア

セオリアは、人々の人生をより良くすることを目指し、お金に関する無料の専門家Q&Aサービス『おかねアンサー』を開発・運営しています。大手インターネット企業にて一般消費者向けサービス開発の経験を豊富に積んだ現経営陣によって設立されました。これまでに蓄積した経験を元に、『おかねアンサー』を通じて国内No.1のお金の悩み解決プラットフォーム開発に取り組んでいます。

【セオリア】お金に関する無料の専門家Q&Aサービス「おかねアンサー」、W venturesおよびKVPらから約1.6億円の資金調達により累計資金調達額2億円に
  • 公表日 2020年2月日
  • 調達金額 総額1.6億円(シリーズA)
  • 引受先 W ventures、KVP、SMBCベンチャーキャピタル、三菱UFJキャピタル
  • 企業名 株式会社セオリア
  • 設立 2018年1月10日
  • 代表者 代表取締役 堤 健正
  • 所在地 東京都新宿区新宿5-4-1 新宿Qフラットビル507
  • 事業内容 インターネットメディア事業
  • URL https://theoria-inc.jp/

Activaid株式会社

Activaidは2019年2月より、「炎症性腸疾患」に特化した形で、患者向けソーシャルデータプラットフォームのActivaidを運営。Activaidでは、「慢性疾患を抱える患者同士がお互いに支え合い、病気を管理することを通じて、慢性疾患に対する新しい治療法の発見に貢献していく」。
患者向けプロダクトでは、同じ疾患を持つ患者コミュニティでサポートを得ながら情報交換、医師が診療で重視するポイントに沿った疾患管理やメンバー同士による情報の参照ができる。

疾患特化型ソーシャルデータプラットフォーム「Activaid」が1億円の資金調達、“患者向け”に続き“医療機関向け”プロダクトのリリース目指す
  • 公表日 2020年月日
  • 調達金額 1億円
  • 引受先 アーキタイプベンチャーズ、ジェネシア・ベンチャーズ
  • 企業名 Activaid株式会社
  • 設立 2018年4月
  • 代表者 代表取締役 長谷部 靖明
  • 所在地 東京都新宿区西新宿1-26-2 新宿野村ビル32階
  • 事業内容 患者向けソーシャルデータプラットフォームのActivaidの運営
  • URL https://activaid.me/ibd/about

ストックマーク株式会社

【 ストックマーク株式会社 会社概要 】
ストックマークは、東京大学大学院情報理工学研究科におけるテキストマイニング・ディープラーニングの研究をベースに、2015年4月にスタートした東大発ベンチャーです。 最先端の自然言語処理技術を用いた、組織の情報感度向上と組織変革に貢献するニュース及びナレッジ共有プラットフォーム「Anews」、世界中のニュースを解析し世の中のトレンドを捉えて可視化することで経営の戦略的意思決定を強力にサポートする「Astrategy」、営業の生産性向上による売り上げ拡大をコンセプトにした営業業務プロセス支援プラットフォーム「Asales」を提供しています。

【プレスリリース】文章解析AIトップベンチャーのストックマーク、WiLから資金調達
  • 公表日 2020年2月25日
  • 調達金額 非公表
  • 引受先 WiL Fund Ⅱ, L.P.
  • 企業名 ストックマーク株式会社
  • 設立 2016年11月15日
  • 代表者 代表取締役CEO 林 達
  • 所在地 東京都港区南青山一丁目12番3号 LIFORK MINAMI AOYAMA S209
  • 事業内容 テキストマイニング×AI技術を活用したビジネス意思決定サポートサービスの開発・運営
  • URL https://stockmark.co.jp/

クリスプ

CRISP HOLDINGS について
私たちは「熱狂的なファンをつくる」をミッションとし、カスタムサラダ専門店「CRISP SALAD WORKS」を通じて日本のマーケットに健康的で美味しい主食としてのサラダやカスタマイズする楽しさを紹介してきた外食事業者であると共に、飲食店の顧客体験を進化させるためにデジタルトランスフォーメーションによる外食業界のイノベーションを目指した、今までにない全く新しい形のテクノロジー企業です

カスタムサラダチェーン運営のクリスプがモバイルオーダー開発のカチリをグループ化し、三菱商事から約5億円の資金調達を実施
  • 公表日 2020年2月25日
  • 調達金額 約5億円(出資比率18.4%)
  • 引受先 菱商事株式会社
  • 企業名 株式会社クリスプホールディングス
  • 設立 2020年1月20日(創業2014年)
  • 代表者 代表取締役社長 宮野 浩史
  • 所在地 東京都港区三田1-10-10(オフィス:東京都渋谷区神宮前2-19-16 小松ビル3F)
  • 事業内容 カスタムサラダ専門レストラン「クリスプ・サラダワークス」、カスタムピザ専門店「アール・ピザ」、セルフレジやモバイルオーダーアプリの開発
  • URL https://www.crisp.co.jp/

レンティオ株式会社

【Rentioとは】
カメラや家電、ベビー用品を買わずに使えるレンタルサービス。
商材はカメラや家電を中心に1,500種類以上、1万点以上の在庫を取り扱い。
一度は使ってみたいと思うような一眼レフ、キッチン家電、掃除家電なども幅広くレンタルが可能。

【プレスリリース】レンティオ株式会社が総額10億円の資金調達を完了いたしました -これまでなかった新しい消費行動を作り上げるために-
  • 公表日 2020年2月25日
  • 調達金額 総額10憶円(りそな銀行などからのデットファイナンス含む)
  • 引受先 株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ、W ventures株式会社、SMBCベンチャーキャピタル株式会社、コンビ株式会社
  • 企業名 レンティオ株式会社
  • 設立 2015年4月6日
  • 代表者 代表取締役 三輪 謙二朗
  • 所在地 東京都品川区大井4-6-1 サクラビル3F(受付4F)
  • 事業内容 カメラ、家電製品を中心にレンタル及び販売するイーコマース事業、情報サイトの運営など
  • URL https://www.rentio.jp/

株式会社リクシス

【株式会社リクシスについて】
 「大介護時代に、『すべての人の物語』が輝く世界を。」をビジョンに掲げ、仕事と介護の両立支援クラウド「LCAT」、高齢者・介護市場向けリサーチ&コンサルティング事業、高齢者・介護市場向けプロモーション&マーケティング事業を提供しています。

【プレスリリース】仕事と介護の両立支援クラウド「LCAT」のリクシス、 シリーズA投資ラウンドで総額約2.6億円を調達~主力商品「LCAT」の導入実績は20社を突破~
  • 公表日 2020年2月25日
  • 調達金額 総額2.6億円(シリーズA)
  • 引受先 エンジェル投資家
  • 企業名 株式会社リクシス
  • 設立 2016年9月1日
  • 代表者 代表取締役社長 CEO 佐々木 裕子
  • 所在地 東京都港区西新橋3-8-1 第2鈴丸ビル2F
  • 事業内容 仕事と介護の両立支援サービス「LCAT」、介護市場向けコンサルティング事業、介護市場向けプロモーションマーケティング事業
  • URL https://www.lyxis.com/

株式会社LegalForce

■ LegalForceとは
2017年4月に創業され、「プロフェッショナルに、驚きと感動を。」をコンセプトに、日本初となる自然言語処理を用いたクラウド型契約書レビュー支援ソフトウェア「LegalForce」を提供しています。 契約書に潜むリスクを一瞬で洗い出し、修正条文例のリサーチ、契約書管理まで、契約書業務にかかる一連の業務をサポートすることで法務業務の質の向上と効率化を実現します。2019年4月に正式版をリリースして以来、250社を超える企業の法務部や法律事務所にサービスを提供してまいりました。

株式会社LegalForceはシリーズBラウンドにおいて総額10億円の資金調達を実施いたしました
  • 公表日 2020年2月21日
  • 調達金額 総額10億円(シリーズB)(累計調達額約16億円)
  • 引受先 WiL, LLC、株式会社ジャフコ、三菱UFJキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル株式会社、みずほキャピタル株式会社、株式会社ドリームインキュベータ、京都大学イノベーションキャピタル株式会社など
  • 企業名 株式会社LegalForce
  • 設立 2017年4月
  • 代表者 代表取締役兼CEO 角田 望
  • 所在地 東京都千代田区内幸町一丁目1番地6号8階
  • 事業内容 法律業務に関するソフトウェアの研究・開発・運営・保守
  • URL https://www.legalforce.co.jp
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IR

取引所グループ「新市場区分」について解説

2月21日、株式会社日本取引所グループは、東京証券取引所の「新市場区分の概要等について」(骨子)を公表しました。
あわせて、「TOPIX(東証株価指数)等の見直しに関する今後の対応方針」についても同日、公表されています。
今回はこの「新市場区分」について解説していきます。

ポイント

市場再編の目的として、現状の区分をわかりやすくし投資を活発にする、上場企業の持続的成長と企業価値向上を支え、投資家から支持される市場を提供する、と掲げられています。

  • 現在の4市場から3市場に再編される
  • 一斉移行日は2022年4月
  • 2020年7月以降のIPOは新市場区分に近い枠組みに従う
  • 区分間移行の緩和基準は設けず、移行希望の場合は新規上場と同様の審査が必要
  • 既存の上場企業は一定の枠組み中で市場区分を選択できる
  • 選択先の上場維持基準に適合していない場合でも「経過措置」が適用される
  • 結論、今までとあまり変わり無さそう

新市場区分について

新市場区分は、「プライム」「スタンダード」「グロース」(いずれも仮称)の3区分が示されており、既存の上場企業は一定の枠組み中で市場区分を選択できます。
それぞれの概要は下記の通りです。

新市場名称(仮称)概要新市場の上場基準現在の市場と新市場の関係
プライム多くの機関投資家が対象
流動性が高い
ガバナンスの水準が高い
【流動性】
株主数 800人以上
流通株式数 20,000単位以上
流通時価総額 100億円以上
売買代金 時価総額250億円以上

【ガバナンス】
流通株式比率35%以上
コーポレートガバナンス・コード全原則(高水準)適用

【経営成績・財政状態】
収益基盤:最近2年間の利益合計が25億円以上
もしくは、売上高100億円以上かつ時価総額1,000億円以上
財政状態:純資産50億円以上
「市場第一部」がプライム、スタンダードを選択可能
スタンダード一定の流動性を持つ
ガバナンスの水準が良好
【流動性】
株主数 400人以上
流通株式数 2,000単位以上
流通時価総額 10億円以上

【ガバナンス】
流通株式比率25%以上
コーポレートガバナンス・コード全原則適用

【経営成績・財政状態】
収益基盤:最近1年間の利益が1億円以上
財政状態:純資産額がプラス
「市場第一部」「市場第二部」「JQスタンダード」がスタンダードを選択可能
グロース高い成長可能性がある
リスク(不確実性)が高い
【流動性】
株主数 150人以上
流通株式数 1,000単位以上
流通時価総額5億円以上

【ガバナンス】
流通株式比率25%以上
コーポレートガバナンス・コード基本原則適用

【事業計画】
事業計画が合理的
高い成長可能性を有している
継続的に情報が開示される見込みがある
上場維持基準として、上場10年経過後の時価総額が40億円以上
「マザーズ」「JQグロース」がグロースを選択可能
※上記以外の市場を選択する場合は、新規上場と同様の審査が必要

ごちゃごちゃしていますが、ようは下記のイメージです。

  • プライム 時価総額上位の企業を集めたもの
  • スタンダード プライムとグロース以外
  • グロース マザーズ・JASDAQの成長企業を集めたもの

グロース企業にとってはチャンスが増えるかも

素朴な感想ですが、スタンダード市場は、プライムや爆速成長中のグロースの企業によるM&Aの対象になりそうです。
加えて、プライムの上場維持基準で、株主数2,200名から800名に減ったことや、売買代金の観点(1日平均売買代金0.2億円以上)が入ったことは、配当や優待を出すステージにはないグロース企業にとってはオプションが増えたとも言えます。
ベンチャー企業の存在感が高まっている中、爆速成長中のグロース企業にとってはチャンスが増えるかもしれません。

今回の再編の意義は???

さて、市場再編の目的として、現状の区分をわかりやすくし投資を活発にする、上場企業の持続的成長と企業価値向上を支え、投資家から支持される市場を提供する、と掲げられています。

たしかに全体の枠組みが整理されてわかりやすくはなりました。
ただ、「経過措置」という名の東証一部からの降格が無いもので、骨抜きと批判をされても反論はできないでしょう。
上場時だけは厳しく、その後は緩いという、現状の体制のままでの整理には首をかしげます。
2,000社超の東証一部企業は、そのままプライム市場にスライドするでしょう。
今回の再編は誰のための、何のためのものなのか?、疑問に思います。

東京証券取引所は2022年4月の市場再編直後に、現在の東証1部から降格する上場企業を出さない方針だ。降格すれば、信用が低下し、資金調達や人材確保に支障を来しかねない。こうした企業の不安に配慮した形だが、これまで「(現在の枠組みを刷新し)市場の性格を明確にする」(東証幹部)と強調してきた再編の狙いとの乖離(かいり)は大きい。市場関係者からは「改革が骨抜きになる」と懸念する声が上がった。

時事ドットコム:市場改革、骨抜き懸念 1部降格当面見送り―東証

もう一つ付け加えると、ガバナンスの強化が強調されている点も気になります。
比較的最近ですと、ソフトバンクの親子上場や、もう少し前ですと、さが美や東芝の件など、それどうなんだ?と疑問に思う物が多い状況です。
日本社会全体でガバナンスの強化が必要なのは確かにそうだとは思いますし、提示された枠組みに従うしか無いのも確かなのですが、今回の再編には複雑な気持ちを抱えてしまいます。

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IPO・バリュエーション

レンティオ株式会社が総額10億円の資金調達、バリュエーションを推測してみました。

家電のレンタルサービスを手掛けるレンティオ株式会社が、本日2月25日に総額10億円の資金調達を行ったというプレスリリースを出しました。
事業内容等々はこちらに詳しいので、大きく割愛し、概要部分だけプレスリリースより引用します。
ここでは、バリュエーションを予測し、その上でレンティオ社のIPOのできあがりを考えてみます。

【Rentioとは】
カメラや家電、ベビー用品を買わずに使えるレンタルサービス。
商材はカメラや家電を中心に1,500種類以上、1万点以上の在庫を取り扱い。
一度は使ってみたいと思うような一眼レフ、キッチン家電、掃除家電なども幅広くレンタルが可能。
【レンティオ株式会社について】
本社  : 〒140-0014 東京都品川区大井4-6-1 サクラビル3F(受付4F)
代表者 : 代表取締役 三輪 謙二朗
設立  : 2015年4月6日
事業内容: カメラ、家電製品を中心にレンタル及び販売する
      イーコマース事業、情報サイトの運営など
URL   : https://www.rentio.co.jp/
■取扱商品の一例
カメラ :一眼レフ、アクションカメラ、防水カメラ、インスタントカメラ、他
一般家電:掃除ロボット、高圧洗浄機、キッチン家電、他
事務家電:プロジェクター、ドキュメントスキャナー、他
その他 :ロボット、ドローン、他

レンティオ株式会社プレスリリースより

予測バリュエーション

登記簿謄本を取得し、これをベースにバリュエーションを予測しました。
あくまでも登記簿謄本から得られる公開情報のみをベースとしているため、正確性については担保できないことはご了承ください。

前提条件として、いくつか仮定を置いています。
過去にC種を二回出していること、前回のD種から間が空いていないこと、から今回の調達は前回D種とほぼほぼ同条件と推測しています。
リリースでは、デットとあわせて総額10億円とのこと。
決算公告では2019年8月期で赤字であり、おそらく事業計画上もしばらくは赤字が続くであろうことから、デットの比率が5割を超える事は無いと推測できます。
5割~1割がデットとし、間をとって3割でざっくり仮定、エクイティでの調達を7億円とおきます。
決算公告の数字から、調達額の半分を資本準備金に振っているため、資本金の増加額の2倍を調達額と設定します。

レンティオ株式会社2019年8月期決算公告

これらの仮定をもとに作成したのが下記の表です。
発行している種類株にあわせて各ステージ(シリーズ)としています。

調達時期ステージ発行株式種類株数発行済株式総数資本金の額(千円)調達額(千円)株価 (円)バリュエーション(千円)
創業普通株式30,00030,000
AA種優先株式5,30035,30015,500
2016/10/31BB種優先株式6,81242,11273,402115,80417,000715,904
2018/7/17CC種優先株式2,15944,271123,38099,95546,2972,049,615
2019/1/25CC種優先株式4,75149,022233,358219,95746,2972,269,572
2019/11/10DD種優先株式5,01654,038433,346399,97679,7404,308,990
2020/2/25DD種優先株式8,80062,838584,214701,71279,7405,010,702

ポストマネー50億円が今回のバリュエーションと推測されます。
前回のD種での調達とあわせて、実質的にはシリーズDで11億円の調達、と言えるかと思います。
余談ですが、レンティオ社の経営者は、どんどんCashを溶かしていく積極性と、刻んで調達を進める慎重性の両面を持っている性格のようです。

IPO時のできあがり予想

現在のステージがシリーズDで11億円の調達が走ったわけですので、そろそろIPOのレンジに入った印象です。
公告の数字と今回の調達額から考えると、後1回くらい調達をはさみ、最短で1年、現実的には3年を目標、という感じでしょうか。
レイターステージですので割引率を20%、IPO時のディスカウントを20%として計算すると、下記のようなイメージになるかと思います。
PERは仮置きで30としました。

  • 上場までの年数 3年
  • 割引率 20%
  • 上場時予想当期純利益 333百万円(欠損考慮せず)
  • 上場時予想PER 30
  • 上場時予想株主価値 10,000百万円
  • IPOディスカウント後株主価値 8,000百万円
  • PostMoney 5,000百万円

PERをどう置くかにもよるのですが、レンタルということで金融業的に捉えられると非常に厳しいです。
サービス業の中で類似会社を抽出し、上場時予想PER30あたりでできあがりのバリュエーションを考えられると良い印象です。
申請期の経常500百万円を狙えば良いので、もっと伸びてもおかしくは無いと考えます。
割引率を30%にすると株主価値が約150億円となるので、そこは目線として置いても良いでしょう。

(参考)投資家一覧

(今回引受)
グロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)(前回からの追加投資)
W ventures(前回からの追加投資)
SMBCベンチャーキャピタル
コンビ

(既存投資家)
ANRI
有安伸宏(個人)
坂本達夫(個人)
East Ventures
メルカリ
アドウェイズ

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統計・経済

2019年10月-12月実質GDP▲6.3%成長率_今後の成長にも懸念

2月17日に四半期別GDP速報が公表されています。
各所で既に取り上げられている話題ではあるのですが、市況環境はIPO進行上、無視はできない要素ですので、こちらでも取り上げていきます。

直近2019年10月-12月期の実質GDP成長率は▲6.3%

内閣府資料より作成(実質季節調整系列)

タイトルの通り、直近期のGDP成長率は▲6.3%です。
これらの要因は、下記の通りで、増税前の駆け込み需要の反動と、その後に続く大型台風、暖冬により民間最終支出消費が大きく落ち込んだ結果となりました(あわせて企業の設備投資も大きく落ちています)。

  • 消費税増税
  • 大型台風
  • 暖冬
  • 12月から発生したコロナウイルスの影響が少なからず

なお、グラフ灰色線が成長率推移なのですが、大きく落ちている箇所がいくつかあります。 代表的な部分を取り上げると、下記が主な要因となります。

  • 2009年1-3月 リーマン・ショック
  • 2011年1-3月 東日本大震災
  • 2014年4-6月 消費税8%への増税

日経平均には盛り込まれていない?

Yahooファイナンスより

様々な心配事はあるのですが、その一つが日経平均です。
日経平均推移を見ていると、2月21日時点で23,386という数字となっており、2019年10月からの推移を見て、23,000~24,000のレンジがキープされています。
過去のSARSの時を考えると、ここしばらくは調整が続きそうです。
調整がどれだけの期間となるか、短期で決着がつけられるか、が注目です。

コロナウイルスの影響も懸念

もう一つの心配事はコロナウイルスの影響です。

インバウンド消費の落ち込みと、中国サプライチェーンの稼働不良による世界経済への影響。
これらがどれだけのインパクトがあるのか、そして影響はどれだけ長引くのか、が懸念されます。
2020年は東京オリンピックも開催されます。

インバウンド消費の落ち込みだけで、第一生命経済研究所試算では▲4,833億円、野村総合研究所試算では▲7,760億円とされています。

ただし、海外渡航が抑制されれば、日本人の海外旅行やインバウンド抑制によるサービス輸出入 の減少という経路を通じても、経済全体への悪影響はさらに大きなものとなる。これらも加味し てSARSの時と同程度の影響が出るケースを試算すると、わが国の名目GDPは▲4,833 億円 程度押し下げられることになる。

第一生命経済研究所「 新型肺炎が日本経済に及ぼす影響 」より

新型肺炎の影響により、2020年の訪日観光客数がこれと同じ割合で減少するとした場合、中国からの訪日観光客数の減少は2020年の日本のGDPを2,650億円押し下げ、訪日観光客数全体では7,760億円押し下げる計算となる。ちなみに後者については、GDPを0.14%押し下げる計算だ。

野村総合研究所「 新型肺炎がインバウンド需要の減少を通じて日本経済に与える影響試算 」より

政府の対応の是非も各所で議論されていますが、それ以上にメディアによる過剰報道が気になります。
政府もメディアも「正しく恐れ、正しく対処する」ことを呼び掛けていただきたいものです。

企業経営側としては、一つ一つやれることをやっていきましょう。

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人事・総務

【企業のコロナウイルス対策】マスクやアルコール消毒液が不足している今、できる事

既知の通り、コロナウイルスの感染拡大の報をうけて、マスクやアルコール消毒液が不足している状況が続いています。
各小売店の棚は品切れ各ECサイト上では非常に高額な価格での販売(転売含む)が行われています。
これらの事態に対して愚痴や評論を行っても意味が無いので、今々現状で企業がとれる対策は何かを考えて見ましょう。

石鹸(ハンドソープ)による手洗いの奨励

流水と石鹸による手洗いを頻回に行いましょう。特に外出した後や咳をした後、口や鼻、目などに触る前には手洗いを徹底しましょう。

東京都感染症情報センター

コロナウイルスは界面活性剤によって不活化(ようは死滅する)します。
界面活性剤、つまり石鹸(せっけん)、ハンドソープ、洗剤です。
これによる手洗いを推奨する事により、感染予防を行うことが可能になります。
このシンプルな方法なら、製造業や小売業のような業種・職種においても容易に対応可能で、かつ効果があります。

問6 新型コロナウイルス感染症はどのように感染するのでしょうか?
~中略~
(2)接触感染
感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後、その手で周りの物に触れるとウイルスが付きます。他者がその物を触るとウイルスが手に付着し、その手で口や鼻を触って粘膜から感染します。
※主な感染場所:電車やバスのつり革、ドアノブ、スイッチなど

厚生労働省「 新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け) 」

厚生労働省のQAにもある通り、コロナウイルスの感染源として「接触感染」があげられいます。
ウイルスが付着している何か(つり革、ドアノブ、スイッチなど)を触り、その手で顔(口、鼻、目)を触ることにより、粘膜から感染するということです。
これがマスクは感染予防の効果が薄いと言われる理由です。

ではどうするべきか?が手洗いの奨励です。
自宅を出る時、職場についた時、外出する際と戻った時、帰宅した時、等々、各タイミングで手洗いをすることにより、手に付着している(かもしれない)ウイルスを取り除くことができます。
これは簡単にできること(のはず)なので、社内に発信し啓もうしていくよう取り組みましょう。

手洗いの方法のレクチャー動画もあります。

次亜塩素酸水を代替として使用する

アルコール消毒剤は品薄で、極めて高額でしか入手ができませんが、次亜塩素水による代替が可能です。

こちらとかこちらから入手が可能です。
この情報も少しずつ浸透しているようで、しばらく時間が経過すると入手性が下がるかもしれません(モラルの低い買占めは決して奨励していないので、誤解が無きよう)。

商品によって濃度が異なるので、商品の説明とこちらを見て、適切な濃度に希釈して使用しましょう。
スプレーボトルを別に購入しておくと良いです。
なお、塩素が飛ぶ関係で効果が下がります。
作り置きはせず、その日のうちに使用するであろう量のみを用意しましょう。
(後、漂白作用には注意しましょう。)

リモートワークの導入、リアル(会議や営業、セミナーなど)のオンライン化を進める

感染源への接触が問題ですので、リモートワークの導入、リアル部分、つまり会議や営業、セミナーなどのイベントのオンライン化を進めましょう、という話です。
こちらは主にオフィスワークをはじめ、必ずしも会社に出勤しなくても良い職種に限定されますが、感染可能性を減らすのは公衆衛生の考え方にも適合しているので、可能であれば取り組んだ方が良いでしょう。

例えばGMO社は早々にリモートワークの導入を決定し、こちらにあるようなまとめサイトを公開しています。
Sansan社は時差勤務、オフラインイベントの開催自粛、オンライン化の推奨を公表しています。
完全リモートワークが難しかったとしても時差勤務と組み合わせれば、ハードルが下がるのでは無いでしょうか?

また、営業は例えばベルフェイスのようなサービスによりオンライン化が、
会議やセミナーはV-CUBEのようなサービスでオンライン化が可能です。
これらの回し者では無く、一例としてあげさせていただきました。
他にも検索すればいくらでも出てくるので、調べてみて下さい。
Slackのようなコミュニケーションツールを導入していれば、気軽に電話会議もできます。

まとめ

以上、今でもできる、今(の時代)だからこそできる対応でした。

手洗い奨励はハードル低くできる対応ですが、影響力のある人から発信すると良いでしょう。
リモートワークや仕事のオンライン化は、現場サイドからの提案はできはするものの、最終的には意思決定者、つまり経営者の意思にかかっています。
私も立場上、多くの経営者にお会いしますが、人により反応は様々です(早々に対応に取り組む経営者もいらっしゃれば、コロナウイルスによるリスクは無いと考える方もいらっしゃいます)。

実際、リスクの観点で言えば何かが起きる可能性は低いとは考えています。
ただ、その何かが起きた時に失うものが非常に大きいのも確かだと考えています(会社のブランドや信用、売上、場合によっては人命)。
何が正しかったかは未来にならないとわかりませんが、取り組めることには取り組んでいった方が良いと、私は考えています。

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当サイトについて

当サイトについて

現在筆者は、フリーランスのIPOコンサル・経営企画コンサルとして活動中です。

サイト名である「MirizeRocket(ミライズロケット)」は、未来(MIRAI)、上昇(RISE、もじってRIZE)、ロケット(ROCKET)の合成語で、未来に羽ばたく企業の発射台でありたい、という気持ちから来ています。

本サイトは、主に経営者・コーポレート部門(管理部門)の方を対象に、有益な情報を発信したく開設をしました。
現在はプレオープンという形で公開中です。
ご要望に応じてコンテンツを追加していきます。

なお、お問い合わせですが、現在は直接ご挨拶させていただいている方々からのみとさせていただいています。
恐縮ではありますが、少しずつ体制を整えてまいりますので、どうぞ、よろしくお願いいたします。

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生産性・業務効率化

リモートワークの生産性に関する各種記事の横断レビュー(プロコン、メリットデメリット)

デジタル文化の浸透に伴いリモートワークが進む兆しが見える中、最近のコロナウイルスの影響により、リモートワークの話題が急激に増えました。

GoogleTrends「リモートワーク」「日本」「過去90日間」「すべてのカテゴリ」「ウェブ検索」

リモートワークに関しては各所で議論がされていますが、ここでは改めて主に生産性のプロコン(メリットデメリット)を整理をしてみます。
導入時の注意点等々他の論点は、ここではおおむね言及しません。

サマリー:「とりあえずやってみては?」

  • リモートワークが企業の生産性向上につながるか否かは、結論「わからない」。
  • 企業にとってはブランド価値の向上やコスト削減をはじめメリットがある反面、マネジメントコストの増大やリモートワークのための仕組みの構築など、一定飲み込まなければいけない負担がある。
  • 個人にとっては自由度の観点をはじめ、明確にわかりやすいメリットがある反面、確かな成果を示さなければいけないという負担感がある(パフォーマンスが高い人にとってはメリット)

企業にとってのメリット

リモートワークが先行して浸透したアメリカを中心に、生産性が実際に向上し、離職率も低下した、という報告がでています。アンケートベースでの自己申告ではあるのですが、生産性向上が報告された研究が多数でている状況です。
働く人のニーズとしても、自由度高く働きたい、という声があり、人材難の昨今においては、採用施策として取り入れる事も考えられます。加えて、コロナウイルス問題への対応について、(実際の所は不明ですが)リモートワークを迅速に取り入れている企業に対して「ホワイト企業」であるという評価も出始めています。採用面だけでなく、ブランド面においても企業経営者・管理部門は検討を行った方が良いでしょう。
そして、当たり前ではあるのですが、働く場所が分散すれば、オフィス投資やオフィスにおける福利厚生、移動交通費の抑制、つまりコスト削減につなげられます。トップライン(売上高)が下がっている、伸び悩んでいる、利益率を向上させたい、という企業にとっては、この面においても要検討事項です。

個人にとってのメリット

出社すれば、良くも悪くも、多くの人と接することになります。対人コミュニケーションが苦にならない人にとっては大きなメリットにはならないでしょうが、苦手としている人や、自分自身の仕事に集中したい人にとって、自分自身の好きな場所で一人で働けるのは大きなメリットになるでしょう。
子育てや介護などの事情がある人にとっても、制約を大きく取り払えます。
この制約は時間面においても言え、朝早くから働いて、夜はビジネススクールで勉強する、というような時間の自由度の向上を得られるメリットがあります。
おまけではあるのですが、服装・身だしなみに気をつかわなくても良くなる、というメリットもあります。特に女性にとっては、お化粧という社会的な文化や圧力の観点から、そのメリットをより大きく感じる人も多いでしょう。

企業にとってのデメリット

生産性について、上述の通り「あがった」という報告もある反面、効果が無かった、下がった、もしくはあがったけれども一過性であり元に戻った、という報告もあります。
また、イノベーティブな局面、例えばソフトウェア開発や、アイデア発想においては、普段のちょっとしたコミュニケーションから産まれるブレークスルー効果が指摘されており、リモートワークの効率の悪さを言及する声もあります。
実際、米ヤフーや米IBMはリモートワークを廃止しています。
ただ、これらがリモートワークのデメリット部分(生産的で無いという意見)かは不明で、リモートワークを導入するにあたり、コミュニケーションの方法や、今までの紙のフロー、対面でおこなっていた業務等々をどう解決するのか?という仕組み面の構築がどこまで進んでいたのか、どこまで進めればよいのか、を検証する必要はあるでしょう。
また、リモートワーク自体の歴史が短いこともあり、人の面においても十分なノウハウが蓄積されていません。経験値がマネジメントする側、される側双方で少ないため、具体部分でのHowがわからず、マネジメントコストが高くつくであろうことも指摘できます。

個人にとってのデメリット

個人にとってのデメリットは、上述のマネジメントコストの部分にも関連する要素があるのですが、成果のアピールのしづらさ(評価のしづらさ)があげられます。
もっとストレートに言うと、明確に成果を示すことができないパフォーマンスが高くない人にとっては、非常にやりづらい部分が発生するでしょう。
今までは会社にいて、長く働く「頑張っている」アピールをすることによって、一定求められる成果はだしつつも、意欲面でもアピールをしやすかった、という現実があったと考えられます。
現実に、リモートワークを導入した場合、明確に成果をアピールするために働きすぎる傾向があることが指摘されています。

筆者の所感

これらを整理すると、リモートワークの良し悪しは、結論「わからない」となると言えます。
また、こちらでも指摘されていますが、現状の報告や研究における不備がある点も見逃せません。

  • 生産性が定義されていない(アンケートによる自己申告が多い)
  • 研究の蓄積が十分でない
  • リモートワークに対してバイアスがかかっている

3つめの「バイアス」に関しては、非常に示唆に富む意見だと感じます。

そのバイアスというのは、「リモートワーカーは自らリモートで働くことを選択しているため、その結果を証明しようと無意識的に熱心に働いてしまう」というものです。結果的に生産性が高まれば良いのではないかと思う方もいるかもしれません。しかし、確かに現在においては生産性が高まっていますが、それは今現在リモートワークをしている人が少数派であるため、リモートワーカーは自らがある種の特権的な立場にいると感じ、それがモチベーションとなって熱心に働いているからかもしれません。
そのため、今後、リモートで働く人が増えていくなかで人々の生産性がどのように変化するのかということを検討するには、やはりこれまでの研究では頼りないと言わざるを得ないでしょう。

チームハッカーズ:オフィスワークとリモートワーク、どちらのほうが生産的なのか?

筆者は、リモートワークに対しては賛成であり、生産性が向上する、という立場ではあるのですが、一個人の話では無く、マクロ的な是非については、上記引用にもある通り、まだまだ研究と検証が必要であると考えています。現状では、企業にとっても、個人にとっても、わかりやすいメリットがあるのと同時に、わかりやすいデメリットが存在するという点しか言えません。
組織の仕組みや文化、そこで働く人の属性にも左右される要素が大きいのも確かでしょう。

これらを踏まえて意見をまとめると、「とりあえずやってみては?」と考えます。
生産性が実際にあがるかもしれませんし、仮に下がったとしてもそれは実際に下がったのでは無く、元々低かった生産性が見える化しただけかもしれません。
トライアンドエラーは組織も人も成長させるでしょうから、失敗しても良いから、まずはやってみるという姿勢の方が、物事を吉に進めるのでは、というのが最終的な結論です。

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