カテゴリー
経営企画

アフターコロナのペット市場~巣ごもり消費とリモートワークで拡大~

外出自粛の影響を受け、自宅で消費活動を行う「巣ごもり消費」が活況です。
その中の一つ「癒し・リラックス」に関連して、ペット市場が今後、さらなる拡大を見せると予想されます。
アフターコロナのペット市場について見ていきます。

忙しい人向けまとめ

  • 巣ごもり消費の一つに不穏な日々の中での「癒し・リラックス型」がある
  • ペット市場(1.5兆円)はこれから更に拡大していく
  • リモートワークで単身者でも飼育できる余裕が増えるはずだから
  • ペットテック市場も、飼育初心者向けに活況になると予想される
  • ペットフード市場も、まだまだ攻め入る余地がある
  • 他業界でも賃貸業やペット葬儀業など、関連するビジネスは注意を払った方がよい

巣ごもり消費

外出自粛をする人が増える中、自宅で消費活動を行う「巣ごもり消費」が活況です。

株式会社エヌケービーが、この「巣ごもり消費」に関して、7つのタイプに分けられるとのアンケート結果を発表しました。

その結果、消費の傾向として生活者のニーズや意識を7つのタイプに分けることができました。

①おうち時間充実型・・・自宅での時間を豊かで充実したものにしたいというニーズ
②エクササイズでストレス発散型・・・運動不足・ストレス発散のため、体を動かしたいというニーズ
③趣味に没頭エンジョイ型・・・インドア系の趣味・コンテンツを楽しむ意識
④趣味&実益を兼ねた手作り型・・・時間・手間をかけた実益を兼ねた趣味に興じている
⑤自己投資・スキルアップ型・・・余暇時間に自己研鑽に励んでいる
⑥自分見つめなおし方・・・断捨離など自分の生活の見直し・整理している
⑦癒し・リラックス型・・・不穏な日々の中で、癒し・リラックスへの希求

食や娯楽サービス初利用、運動不足解消、自己投資など 7つのタイプ別消費~ 傾向を組み合わせて消費、軽率購入の後悔も ~

今回はこの内の⑦癒し・リラックス型、その中でも「ペット市場」に関して、アフターコロナでどのようになるのかを考えていきます。

社会が不安な空気に包まれる中、癒しやリラックスを求める意識が高まっています。ペットを飼い始める、家庭菜園を始めるなど新しく生活に癒しを取り入れている様子です。
(略)
新型コロナウイルスによる外出自粛や社会情勢への不安が長期化するにつれ、需要が今後さらに増加すると予想されます。

同上

ペット市場はこれから増えていくはずです。

アフターコロナのペット市場

ペット市場はこれまで以上に拡大していくはず

まず、現状のペット市場は1.5兆円ほどで、新型コロナウイルスの影響がある前の調査で、1.6兆円(2021年時点)は突破するという予測があります。

矢野経済研究所

これは、外出自粛の影響を受けて、より拡大するのでは、と予想されます。
なぜならば、リモートワークにより、ペットの飼育者が増えると考えられるからです。

これまでの「外に出て働かなければいけない単身者」や「共働きにより時間的余裕が無かった世帯」などにおいて、飼育するだけの時間的余裕が発生するはずです。
また、リモート疲れの影響や、先行きが見えない不安の中で、癒しを求める消費も増えています(巣ごもり消費の調査)。
将来長期的には、未婚の人の比率が増えることも影響するでしょう。

GoogleTrendsより 「猫」の検索が4月後半から何故か増えている 猫吸いしたい

ペットテックが活況

好調の一要因にペットテック市場の活況も指摘できます。
今現在では20億円前後の市場規模と予想されますが、これが2023年には50億円ほどの規模に成長するとされています。

矢野経済研究所

ペットテック市場を構成する製品は、AI機能が搭載された自動給餌機や、ライフログ機能のある首輪などです。

飼育初心者にとってみれば、AIをはじめとした飼育サポートはありがたいはずです。
リモートワークにスムーズに移行できた方々は、先進的な考えを持っている傾向も高いはずなので、あわせて消費が増えていくものと考えられます。
悪意をもった第三者による動物虐待や行方不明対策に、防犯カメラや位置情報機能を強化した商品・サービスも出てくるでしょう。

ペットフード市場もまだまだいける

個人的にはペットフード市場もまだまだ攻められる余地があるはず、と考えています。

ペットフード市場は、例えばキャットフードならば、いなば食品(CIAO)やマースジャパンリミテッド(カルカン)、ユニ・チャーム(銀のスポーン)などが陳列棚を占拠している状況です。

ただ、商品単独で見ていくと、市場シェア1位の製品でさえ、その市場シェア率は2%未満です。
一つのブランド毎に複数の味があるので当然と言えば当然ですが、非常に乱立している状況です。
商品のリピート率が30%超で全体的に高いこともあり、何かしらのチャネルで「これは良い」という評価を得られたのであるならば、この乱立した市場に食い込めるはずなのです。

ウレコン:POSデータ(2020年1月1日~2020年3月31日)より

やり方としては、EC販売やペットテックと組み合わせたサブスクリプション型による販売が考えられるでしょう。
ホームセンターなどを攻めるのは、かなり厳しい戦いになると思われるので、そこは避けます。

人用でもカスタマイズして注文できるオーダーメイドサプリが登場しています。
それらを参考にする形でWEB上、もしくはアプリ上で注文できるようにすれば、一定の売上はとれるのでは、と考えられます。

ペット業界に限らず、他業界も対応した方が良い

例えば不動産業界

ペットを飼育する上でハードルになるのが、自宅そのものです。

ペット飼育不可、の賃貸借契約になっている場合が多いのではないでしょうか。
そのため、ペットは多くの場合、自宅を購入した夫婦が買う例が多かったわけです。

そのような状況ならば、ペットを飼育したい人にとってみれば、家を借りる際、ペット飼育可の条件を優先的に選びたいはずです。

壁紙は引っかきや汚れに強いもの、天井は消臭機能があるもの。
猫用にキャットウォークや扉の移動窓などを標準で備えたもの。
床は掃除がしやすいようにフローリングをベースにしつつ、洗える消臭マットが敷かれたもの。

このような設備が整った所は、これから空き家問題が深刻になる日本において、不動産業界(賃貸業)の活路になる可能性があります。

ペット葬儀関連も市場が増えるはず

また、生き物は必ず命の終わりを迎えます。
いずれ迎えるその時に案外困るのが、ペット用の葬儀場です。

Google検索すれば出てくるには出てきますが、まだ数が少なかったり、どのようなサービスなのか、ホームページがイケていない場合も多いです。

明瞭会計でお墓まで用意してくれる。
そんなペット向けの葬儀ビジネスは、今後、人気が出てくるでしょう。

(補足)ペットからの感染の心配は?

感染症の話題に敏感になっている今、動物、つまり飼育しているペットからの感染を心配する方もいらっしゃるかもしれません。
これに関して、リスクはゼロではない、としか言いようがありません。

動物感染はメジャーな感染経路の一つです。
ただし、病気にもよりますし、新型コロナウイルスに関しては、極々一部で報告がありますが、実際の所はどうなのかは不明です。

言えることとしては、人類は誕生して以来、動物と共存してきた、ということです。
過度な心配はしても仕方がないでしょう。

カテゴリー
経営企画

外出自粛の影響で食品スーパーの方向性が定めやすくなったのでは

新型コロナウイルスの影響でネットスーパーが混雑し、利用しづらい状況にあるようです。
それに併せて出始めたのがドライブスルー型のサービスです。
これを見ていて思ったのが、顧客像がはっきりとしてくるのでは、あわせて食品スーパーの方向性を定めやすくなったのでは、という点です。

ドライブスルー型食品スーパーが増え始めている

ドライブスルー型食品スーパーが増え始めている。

にわかにドライブスルー型食品スーパーのサービスが増え始めています。

大規模チェーンである「イオン」の一部店舗や、関西エリアを中心に展開しているスーパー「オークワ」の一部店舗をはじめ、いくつかのお店で試験的に取り組まれているようです。

新型コロナウイルスの影響により、ネットスーパーが混雑し、なかなか利用できないという状況が各所で起きているようで、その折衷案としてドライブスルー型が受け入れられるようになってきたのでしょう。

ネットスーパーも以前は厳しい状況だった

ネットスーパーも以前までは厳しい状況が続いていました。
食品スーパーは元々薄利多売なモデルのため、わざわざ在庫管理・受注管理をし、ピッキングをし、そこから配送をして、という事をやっていたら採算があいません。
そのため、例えば5,000円以上の利用などでない限り送料をとるなどしないと、とてもじゃなければ儲からないのです。
そのため、利用者としても、一度にそんなに買い物をしたいわけでもなく、なかなか利用しづらい、という環境にありました。

下記は食品販売業態の利用状況のアンケートですが、ネットスーパーの利用は事実上10%以下でした。

株式会社プラネット <ネットスーパーに関する意識調査>スーパー(実店舗)vsネットスーパー、便利で得なのはどちら? 2018年9月11日

そんな状況を一変させたのが新型コロナウイルスです。
外出自粛の中、ネットスーパーが混雑するという状況が発生したのです。

GoogleTrends「ネットスーパー」「日本」「過去12か月間」「すべてのカテゴリ」「ウェブ検索」で検索

ドライブスルー型食品スーパーはラストワンマイル問題を解決する

ネットスーパーの一番の問題は宅配です。

在庫管理・受注管理、ピッキングまでは、お店側のオペレーション努力でなんとかなるかもしれません。
しかし宅配は、食品スーパーが培ってきたノウハウが流用できません。
しかも、食品は温度変化に弱い中、届けたと思ったら不在だった、ということもありえます。
無駄にリスクが高まります。
(宅配、は一見簡単なように見えるが、まあまあ高度なノウハウが必要。)

ネット上で購入した利用者が、自分で取りに行く形になるので、クリアしなければならない課題の一つであるラストワンマイル問題が大きく前進するのです。

新型コロナウイルスの影響が落ち着いた後も、保育園の送り迎えなどで忙しい家庭などをはじめ、一定の需要が見込めるため、地域によっては継続して提供され続けるものと推測されます。

顧客像がはっきりとしてくるのではないか

これらの状況を見ていて思ったのが、食品スーパーの方向性、つまり店舗コンセプトが定めやすくなったのでは、という点です。

これまで食品スーパーは、もちろん地域毎に特色を出したりするなど営業努力がされてきました。
しかし、特定の誰か、というよりかは、その地域全体のばくっとした傾向の中でのコンセプト設計であったと理解しています。
つまり、今までは店舗という箱の中で、若い独身の方から高齢者世帯まで、幅広い人たちが買い物をしており、特定の顧客像というものを定めづらい状況にあったはずです。

そのような中、リアル店舗、ドライブスルー、ネットスーパーと、提供のチャネルが変わってくると、利用する顧客層がわかれて、顧客像がはっきりとしてくるはずなのです。

例えば下記のようなイメージです。

  • リアル店舗 ⇒ 従来通りの顧客層
  • ドライブスルー ⇒ 送り迎えが必要な子育て世帯、外で働き仕事帰りにピックアップしたい人
  • ネットスーパー ⇒ リモートワークで働く夫婦、重い物を持てない高齢者世帯

ドライブスルーやネットスーパーは、年齢や性別や世帯状況などを情報として取得しやすい環境にあることも指摘できます。
(個人情報の入力欄は、氏名と住所以外は任意入力にしつつ、各情報を入力するとポイント付与なり割引なりがつくようなイメージにすると、情報を得やすいと思う。)
これからの食品スーパーは、得られたデータと地域毎に微妙に異なるニーズにあわせて、リアル店舗、ドライブスルー、ネットスーパーの各チャネルを細かく調整できる所が業績を伸ばすのでは、と考えました。

食品スーパー業態の乱が起きるかもしれないと想像すると、今後どうなっていくか、楽しみです。

おまけの雑談

ものすごくどうでも良いのですが、食品スーパーにいくと、にこやかな雰囲気の動物のイラストや、顔がかかれた野菜のイラストなどが描かれていることがあるじゃないですか。
あれらって食材なわけなので、結構シュールですよね。

カテゴリー
経営企画

無印良品(MUJI)がAmazonに出店、今後の戦略を注視

株式会社良品計画、つまり「無印良品」が日本最大のECサイト「Amazon」での商品販売を開始しました。
5月1日からで、約250商品の取扱いからとのことです。
これまでオウンドメディアにこだわり、D2C戦略をとってきた無印良品が、今後どのようなチャネル戦略をとっていくのでしょうか?

「無印良品」がAmazonに出店

株式会社良品計画、つまり「無印良品」が日本最大のECサイト「Amazon」での商品販売を開始しました。
5月1日からで、約250商品の取扱いからとのことです。

新型コロナウイルスの影響に伴う営業自粛を行っており、その意味で「今できること」への取り組みということでしょう。
良品計画は自社ECサイトを持っていますが、自社単独では限界がある、ということでもあるのでしょう。

興味のある今後の注視ポイントとしては、これまでの良品計画のブランド戦略との整合を、どのように考えていくのか、ですね。

これまでの良品計画の考え方

良品計画の戦略

良品計画はこれまで、オウンドメディアに強い拘りをもっていました。
オウンドメディアベースのオムニチャネルマーケティングにより、ECサイト-アプリ-リアル店舗の導線を強化してきたのです。
つまりD2Cモデルの徹底浸透を行っていたわけです。

なお、上記で使用したよくわからん横文字が一般的になる前からの取り組みであるので、その徹底ぶりと、先見性を感じます。
今現状のウイルス感染拡大の影響が無ければ、ブランディング・流通構築における良いお手本と言えます。

(参考)上記で使用したよくわからん横文字の意味

  • オウンドメディア:自前媒体での各種PRメディアのこと。「自社メディア」じゃだめなのかなぁ。
  • オムニチャネルマーケティング:直接・関節問わず、またPC、モバイル、オフライン(リアル店舗)とタッチポイントを横断し、複数のチャネルで顧客との接点を持とうとするマーケティング戦略のこと。マルチチャネルとは違うもののようです。
  • D2C:メーカー発企画の商品を自前チャネルで直接消費者に販売するモデルのこと。「直接販売」じゃだめなのかなぁ。

Amazonに出店せざるを得ない厳しい状況

それでは、良品計画の業績を見てみると(2020年2月期)、EC売上高は222億円(前期比+11.2%)、EC化率は6.8%(前期比+0.2%)とのこと。

アプリ「MUJI passport」のダウンロード数が伸びている一方、ECの拡大は微妙な印象です。
(アプリダウンロード数は1,676万で前期比+25%)

営業自粛しECサイトへの誘導を、と行きたいところなのでしょうが、上述の通り、自社単独では限界がある、ということでもあるのでしょう。

今後の戦略をどうしていくのか

Amazonではブランディングが難しい

Amazonは9割9分の日本人が知っているであろう、日本最大のECサイトです。
集客力は日本最強で、取扱い商品も日本最大。
一方、玉石混合、値段も安いのから高いのまで、様々に取り揃え、様々なプレイヤーが覇を競い合うプラットフォームです。
(説明するまでもないでしょうが。)

なにを言いたいのか、というと、Amazonではブランディングが難しいのです。

良品計画はブランディングを重視してきた

良品計画は徹底した思想を持っています。
そして、その思想を元にブランディングを行ってきました。

【金井】デザインということで言えば、おそらく世界中を見渡しても、無印良品のように、生活の全領域を1つの思想でデザインしている会社はほかにないのではないかと思っています。
(略)
【ダグ】ストーリーですね。一つ一つの商品にストーリーがある。

【金井】そう。我々は「意味」とか「わけ」とか言ったりしています。無印良品では、これらを最初から最後まで一貫してデザインしている。こんな会社はなかなかないのではないでしょうか。

プレジデントオンライン 無印良品がアマゾンをズルいという理由 2019年7月30日

この思想をベースに醸成されてきたブランドがあるため、一部の顧客に対して強く刺さる商品となっているのです。

以前、ファミリーマートで無印良品ブランドが取り扱われていた時期がありましたが、今では取扱いがありません。
ファミリーマートと良品計画では、資本的なつながりはあっても、ブランドに対する考え方が全く異なります。
最終的には、ファミリーマートの顧客は無印良品を買うことがない、ということで(ファミリーマート側からの申し出で)取扱いが無くなったわけですが、当然の帰結と言えます。

今後、Amazonというプラットフォームで展開していくにあたり、どのようにブランディング戦略を構築していくのか、そしてそこから如何にチャネルを構築していくのか。
ここが最大の注視ポイントです。

Amazon ⇒ 何か ⇒ 自社ECへの導線を作れるか

Amazonへの出店は、おそらく致し方なく、なのでしょう。
その致し方なくのなかで、どうやってAmazonで自社を差別化できるのか?という方向で進むことを意思決定したと考えられます。

Amazonへの出店により、これまで接点が無かった(持てなかった、ではなく無かった)顧客との接点が生まれるでしょう。
その中での購買体験を通じて、ブランディングと、自社への誘導が如何にできるか。
既存ファンの自社ECサイトへの誘導では尻すぼみです。

つまり、Amazon ⇒ 何か ⇒ 自社EC この導線を如何に作るかです。

しかしまあ、変化対応力、決断力の凄い会社ですね。

カテゴリー
経営企画

緊急事態宣言解除後の経済シナリオを考えてみる~アフターコロナの経済~

新型コロナウイルスの新規感染者数も幸いのことに、減少に転じてきました。
2020年5月6日に緊急事態が解除されるか延長されるかが注目されています。
ここで、5月6日後、経済がどのように動いていくか、そのシナリオを考えてみます。

ベストシナリオ、ノーマルシナリオ、ワーストシナリオの3ケースです。
ベストシナリオで推移すると良いのですが、あまり期待はできそうにありません。

なお、こちらの記事にもある通り、感染そのものはこのGW明け頃には一定の落ち着きを見せるものと推測しています。

ベストシナリオ

ベストシナリオの起点としては、緊急事態宣言が5月6日に全面的とは言わないにせよ、大部分が解除されることにあるでしょう。
感染も一定程度の落ち着きを見せ始めます。

世の中的には、解除されたからすぐに元の生活に戻る、というようなことは無いでしょう。
リモートワークに移行した企業も、何となく安全が確認されるまでリモートワークを継続する、という選択を取るケースがまあまあな数出てくると思われます。
つまり、今の外出ムードの状況をずるずると続けながら、少しずつ状況が改善していくような動きになると推測されます。

2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)の時は、半年くらい、影響が継続したことを踏まえると、2020年の秋口までは、景気が落ち込んだ状況が続きます。
日本では、例年より多くの倒産企業数、経済的死者数(自殺者数)が発生します。

これがベストシナリオです。

ノーマルシナリオ

ノーマルシナリオでは、緊急事態宣言が5月6日に一部解除されるものの、全体としては延長という判断に落ち着く、というものです。
場合によっては、一部を除き概ね解除されるものの、継続して外出自粛・リモートワーク推奨が出される、というケースも考えられます。

延長の可能性が大きそうですけどね。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言が5月6日に期限を迎える中、自民党の世耕参院幹事長は国民生活や企業への影響を考え、宣言の延長について今週中にも判断すべきという考えを示しました。

TBSnews 自民・世耕参院幹事長、緊急事態宣言の延長“今週中に判断を” 2020年4月28日

日本医師会の釜萢敏常任理事は28日に開いた記者会見で、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う政府の緊急事態宣言について、5月6日を期限として解除することは「難しい」と述べた。特定の都道府県だけ解除すると他の地域からの「人の移動を引き起こすことが懸念される」と指摘し、全国で延長する可能性が高いとの見方も示した。

日本経済新聞 緊急事態宣言の解除「難しい」 日医、全国延長言及 2020年4月28日

この場合も、一定程度は外出する人が増えるものの、元の生活に戻る、ということは無いでしょう。
巣ごもり消費が継続して好調に推移するでしょう。
リモートワークを導入した企業の多くは、そのまま継続するでしょう。

飲食店をはじめ、多くのリアル店舗が根をあげ始めます。
なんとか、4月を乗り切ったリアル店舗も、5月6月、、、と苦境が続き、この先半年で爆発的に倒産数が増加します。
あわせて、経済的死者数(自殺者数)も大幅に増加するでしょう。
場合によっては、新型コロナウイルスによる死者数よりも多くなる可能性もあります。

そして更に追い打ちをかけるように、2020年冬頃から再度、新型コロナウイルスの感染者が増え始めます。
1918年にはじまったスペイン風邪では、3回の波があり、結局のところ収束まで3年がかかりました。
本当の意味での第2波が訪れるのです。
(感染をして回復しても、必ずしも抗体を獲得できるわけではない。加えて、そもそもとして感染者数が少なく、集団免疫効果が少ないので、高い確率で第2波が来ると想定される。)

再び外出自粛の風潮、場合によっては緊急事態宣言も出て、何とか2020年を乗り切った企業に大ダメージを与えます。
当然、2021年のオリンピックの開催も現実的で無くなってきます。
少なくとも、強行しても期待する経済効果を生むことはないでしょう。

なお、既に開催の可能性について、否定的な意見が出ています。

AP通信は10日(日本時間11日)、「組織委員会の事務総長、2021年の五輪開催さえも疑わしいと示唆」の見出しで報道。9日、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の武藤事務総長は、新型コロナウイルス流行の影響で東京五輪のさらなる延期や中止を想定する必要性について問われ、「いつ終息するのかは誰も明確に言えない」と語った。

中日スポーツ 「組織委事務総長が2021年の五輪開催は保証できないと語る」米メディアが報道 2020年4月11日

この頃には、有効な治療薬や、ワクチンの開発に目途が立つ可能性もあるので、感染症そのものへの脅威は2021年で落ち着くと、一定の期待が持てます。

2021年一杯まで経済不況が続き、事態がようやく収束します。
非常に多くの倒産数・破産者数と経済的死者数(自殺者数)が発生し、感染症から来る間接的な影響がまき散らせます。
数字を見ず感情的に怖がる人たちと、統計的・科学的に物事を見て感染症そのものよりも経済的ダメージの方が大きいとわかっている人たちの間で、埋めがたい溝も生まれるでしょう。

これがノーマルシナリオです。
可能性として高いと考えているため、少なくともノーマルシナリオ前提で企業の経営者・経営企画担当者は事業計画を見ておいた方が良いです。
直近でIPOを考えているベンチャー企業も2021年はきついでしょう。
2022年にまで伸ばす前提で考えた方が良いです。

ワーストシナリオ

上述した通り、1918年のスペイン風邪のように、感染拡大が3回発生します。
新型コロナウイルスの感染影響が3年ほど続くのです。
日本においては1918年の第1波よりも、1919年1920年の第2波第3波の方が死者数が大きいという結果になりました。

2020年の外出自粛に辟易とした人々が油断し、2021年の再拡大時には普段通りの生活を続けます。
開発が追い付いたという治療薬やワクチンが、想定よりも効果を発揮しません。
感染症による直接的な死者が2020年よりも多く発生します。

世界的にも同様の動きが発生し、各国で社会不安が継続します。
経済も落ち込み、各国が景気刺激策を乱発します。
具体的には貨幣乱造が考えられ、これによりインフレが世界的に発生します。
アメリカをはじめ、欧米の経済が大幅に落ち込むでしょう。
1929年の世界恐慌を上回る、第二次世界恐慌への突入です。
(景気刺激は必要ですが、やりすぎるとかえって経済にダメージを与えます。)

また、北朝鮮の情勢も不安です。
最悪、北朝鮮の核がロシアないしは中国経由で中東やアフリカ地域に流れることも予想されます。
そうすると起きるのが、欧州・中東あたりでのテロリズムの頻発や、紛争・戦争の発生です。
世界的には経済が落ち込むものの、軍事需要の発生により中国が経済的に台頭します。
アメリカに代わり、中国が世界の経済リーダーになっていく可能性があります。
このワーストシナリオの中でも最悪ルートを辿った場合、第三次世界大戦が勃発する可能性も否定できません。

なお、常々不安視されていた通り、日本ではハイパーインフレが発生します。
日本の経済圏はズタボロになり、倒産企業・破産者の爆発的増加と、感染症による直接死者数を大幅に上回る経済的死者数(自殺者数)が出てしまうでしょう。

これがワーストシナリオです。

(追記)金正恩氏の動向が不透明でしたが、その姿を各種報道の通り見せたようです。
何が真実で、何が誤りなのか、得られる情報からは判断がつかないですが、報道が真実ならば、各流出のリスクは下がったと見て良いでしょう。

ワーストを想定して準備をしよう

流石にワーストシナリオに突入する、ということは起きないものと信じたいです。
しかし、経営者は楽観的に見ていてはいけません。
ワーストシナリオが起きる前提で、できる対策は打っておいた方が良いでしょう。

  • 早々にリストラ策を実行し、事業体をスリムにする
  • 業務のIT化を進め、外出自粛が長期化、もしくは再度発生した場合でも業務継続ができるようにする
  • 固定費を抑制し、売上減少への対応力を高める
  • 金利スワップなどリスクヘッジに対応、金利の大幅増加に備える
  • 既存プレイヤーが凋落し、新規ビジネスのチャンスが増える、時代の変化に注視する

感染自体が落ち着いたとしても、100%間違いなく、経済影響は長引きます。
長期戦前提で、この先1年2年を乗り切りましょう。

カテゴリー
経営企画

アフターコロナとESG投資~上辺だけの取り組みは通用しない~

近年、ESG投資に対して注目が集まるようになってきました。
環境、社会、ガバナンスは、企業の持続可能性を測る要素だと考えられているからです。
このESGですが、アフターコロナの世界では、その捉えられ方が変わると推測されます。
それはなぜでしょうか?

忙しい人向けまとめ

  • ESGとは、E(環境)、S(社会)、G(企業統治)のことを指し、ESGに取り組む企業に対する投資、つまりESG投資には近年注目が集まっている
  • ESGに取り組む企業は高い持続可能性を持つと考えられている
  • 現代社会は、上辺だけの社会貢献をするグリーンウォッシング企業などが揶揄され、晒される時代になっている
  • 新型コロナウイルスの影響により、従来の環境への取り組みだけでなく、「人」、つまりはS(社会)への取り組みや、リモートワークへの移行といったG(企業統治)への取り組みが、企業によってコントラストがわかれ明確になった
  • 社会が急変している時代、ESGへの取り組みは、単なる「社会貢献」の意味合いではなく、企業の変化への柔軟な対応力を示すものになっている

ESG投資にお金が集まっている

利益だけを追求し、社会を顧みない会社を世間はどのように評価するでしょうか?
人は感情の生き物ですので、そのような会社は快く思われないでしょう。
長期的には、会社の経営にさえ影響が出てくる可能性があります。

反対に、社会に対して貢献意識のある企業は、社会から評価され、高い持続可能性を持つ、と考えられています。

ESG投資とは、このような社会に対して貢献意識のある企業に対して行う投資のことです。
Eとは環境(Environment)、Sは社会(Social)、Gは企業統治(Governance)のことを指します。
この内、特に環境保全に対する取り組みが長らく注目されてきました。

近年、金融市場において、ESG投資に対する注目度が高くなっており、世界中の投資家からお金が集まっている状況になっています。

ESG投資にお金が集まっている。

代表的な所としては、GPIFです。
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、世界有数の運用資産を保有する団体で、このGPIFもESG投資へのシフトを明確にしています。

その他の世界中の投資家からもお金が集まっており、また実際にその投資パフォーマンスは、TOPIXなどと比較して、高い結果を発揮しています。
リンク先のページで詳細なグラフを含めて記載がありますので、参考にしてみてください。

一方、ESG投資にお金が集まりやすい、という点から上辺だけの環境保全への取り組みなどを行っている企業も存在します。

上辺だけのESGが通用しなくなってきている

グリーンウォッシング、SDGsウォッシングとは

多くの企業が環境保全や、後進国や難病に苦しむ方々への寄付などの取り組みをPRしています。
しかし実際の所として、どれだけ本気になって、取り組んでいるでしょうか?
「やっていますよ」アピールに終わっている企業が多いのではないでしょうか?

環境配慮をしているように装い、上辺だけの環境訴求をしていることをグリーンウォッシングと言います。
そして、そのような企業をグリーンウォッシング企業と揶揄して表現をします。
同様に、SDGsへの上辺だけの取り組みのことはSDGsウォッシングと呼ばれています。

世の中には、CSR報告書などに関係のない自然の写真を掲載して、エコなイメージをアピールしたりする企業や、表面上取り組んでいる体裁を保つために無意味にリサイクル素材を活用したりする企業が非常に多く存在します。
酷い企業になると、環境保全への取り組みは効果・実効性共にあること確かに実践していても、従業員には低賃金・長時間労働の環境下で、まるで奴隷のように扱う企業も存在します。

ひと昔前は、このような会社の存在が表に出ることはありませんでした。

SNSの発達に、上辺だけの欺瞞的な会社が晒されやすくなっている

Twitter、Facebookをはじめとし、SNSが急速に発展しました。
それにより、上記のような企業がインターネット上で晒されるようになりました。

  • 世界的ハンバーガーチェーン店が、ロゴの色を緑基調のものに変えて、環境アピールをする
  • 自動車会社の販売するエコカーが、全然エコでないことが暴露される
  • 環境に優しいとされたおむつ製品が、実際は化学素材ばかりであることが広まる

このような情報が世界中で一瞬にして流布してしまうようになりました。

また、グリーンインデックス、というグリーンウォッシングを評価するような指標も出ています。
もう、上辺だけのESGが通用しない時代になったのです。

そして、このESGへの取り組みが新型コロナウイルスの影響により、更に変化を迫られる状況になっています。

E(環境)だけでなく、S(社会)やG(企業統治)がなぜ注目されるのか?

ESGへの取り組みは何故重要なのでしょうか?
これは冒頭に記載した通り、企業の持続可能性が高いと考えられているからです。

株式市場、そして企業は社会や環境問題から切り離されたものではありません。
非常に密接な関係性があり、企業は社会の変化の影響を強く受けます。

新型コロナウイルスも、企業に変化を突き付けるものでした。

G(企業統治)が優れた会社は新型コロナウイルス騒動に柔軟に対応ができている

新型コロナウイルスの影響で、世界的にリモートワークが一般的になってきました。
これにいち早く対応するには、業務のIT化が必須です。

今の世の中は、工場や病院、物流関連のようなところでも無ければ、そのほとんどの仕事が遠隔で対応できるはずです。
リモートワークに対応できているか否かで、企業の業務効率化に対する姿勢が明らかになりました。

また、BCP(事業継続計画)の観点においても、ガバナンスに対する姿勢が見えるようになりました。
災害などを見越して、遠隔で対応できるように準備をしていた企業は、今回の騒動でスムーズにリモートワークに切り替えられたはずです。

人財という言葉

「人」に対する姿勢もそうです。
従業員の雇用や補償に誠意をもって向き合う企業と、そうでない企業のコントラストがわかれました。

シンプルな話なのですが、「人」を人財として捉え、手厚く遇すると優秀な人が集まりやすくなります。
優秀な人が集まりやすくなれば、当然に業績貢献に結びつき、それは企業価値の向上につながります。

今回の新型コロナウイルス騒動で「人」に対して、淡白な姿勢を示した企業は、今後「あそこはそういう会社なんだ」という目で見られるでしょう。

ウォッシングが明らかになりやすい時代、上辺だけの取り組みは、それ自体がリスクだということを認識すべきでしょう。
そして、ESGのS(社会)とG(企業統治)が注目される中、ソーシャルウォッシング、ガバナンスウォッシングも明らかにされていくでしょう。

ESGへの取り組みは必須、できる所からやっていこう

気候変動は、これから激しくなり、人類の生存に対して物理的な脅威を伴ってくるようになります。
AIやIoTをはじめ、技術はこれからも急速に進歩していきます。
後進国・新興国の急激な経済発展にあわせて、経済格差を是正する圧力が高まり、同時に社会不安も大きくなって来るでしょう。
社会は恐ろしいスピードで激変しています。

なんちゃって環境対策だけをやっていては、もう駄目な時代になっています。
形だけの上辺ではない、実を伴ったESGへの取り組みが、これからの時代求められています。

もっと的確に表現するならば、ESGへの取り組みは必須です。
社会が激変していく中で、ESGへの取り組みは、変化への対応力のバロメーターと言えるからです。

とは言え、全ての企業が十分な取り組みができるとは限りません。
できる所からやっていけば良いと思います。
未来を見据えた、確実な一歩、成長への意欲こそが大事です。

(追記)こういうさりげないアピールがちょうどよい

このような、多くの人に愛されている商品と絡めてアピールすると、いやらしさがなく企業イメージの向上につながるのでしょうね。
ヤマザキは、リンク先の資料のような取り組みを行っているけれども、こんなん出されても読みたくないですし。

カテゴリー
経営企画

「いつになったら元の生活に戻れるの?」「世界はもう、元には戻らないよ」

多くの人が、「いつになったら元の生活が戻ってくるのであろうか?」と考えていることでしょう。
しかし、おそらくですが、世界はもう、元の形には戻らないと私は考えています。

先日の記事に続き、何故、世界は元には戻らないのかを考えていきます。

ウイルスの恐怖が人類に刻まれてしまった

過去、世界が混乱に陥った経済危機は多々ありました。
例えばリーマンショックがあげられますが、この種の金融の世界の経済危機は、相対的に対策がしやすいと言えます。

一方、ウイルスが起因する経済危機はどうでしょうか?

疫病は古来より、人類の歴史に関わってきました。
中には、世界の勢力図を塗り替えるような猛威をふるうこともありました。
人類の科学技術は発展を続けており、疫病に関する知見も深まっています。

それでも、今回の事態は(何かしらの形で起きると予想されていたにも関わらず)防ぐことはできませんでした。
そして、今後も今回のような事態が起きること、場合によってはもっと脅威度の高いウイルスが蔓延することは、すでに予想されています。
加えて、新型コロナウイルスは、一定の鎮静化後も完全消滅をするわけではないので、何年かは感染者の発生とそこからの混乱が続くでしょう。

現状の人類ではウイルスへの完全対策はできないのです。
上述のように科学技術の観点だけではありません。
報道のあり方もそうですし、一人一人の人間のリテラシーやモラルもそうです。

そんな人類に、実態以上にウイルスに対する恐怖心が刻まれてしまいました。
この恐怖が特定国家や特定地域でおきたことではなく、世界中でおきているのです。

人類の生活がガラッと大きく変わってしまうことが予想されます。

今までのような生活には完全には戻れない

飲食店やスポーツ・ジム、ホテルやアミューズメント施設など、リアルな店舗が必要な業態には変化が求められます。
変化に対応しなければ、ビジネスの世界からの退場を余儀なくされるでしょう。
航空会社のような交通機関や、学校、イベント会場など、人が集まることが前提のビジネスもそうです。

経営の現場において経営者は「またウイルス騒動が起きたらどうしようか?」を考えるでしょう。
心配にかられ、固定費を増大させるような積極的な投資を控えるような傾向が続く可能性があります。
リストラも各所で行われ、すぐには人を採用できないでしょうし業容も縮小してしまうので、元に戻すに戻せない状態に陥ります。

もしかしたら1年後位には、はた目には元に戻ったように見えるかもしれません。
それでも、前年比マイナス〇%、というような状況が各業界で発生すると考えられます。
多くの企業がこの数ヶ月で倒産してしまうのは間違いがないでしょう。
数ヶ月や1年といった時間がたって、状況が表面上は落ち着いたとしても、人々の生活が完全に元の姿に戻ることは、もうありません。

ウイルスに対する実態以上の心理的な恐怖が刻まれてしまっているため、これまでのように大勢の人たちが集まってのイベントであったり、人々が大勢いる所への旅行のようなことに、忌避感をもつ人が増加しました。
リモートワークは労働者の既得権益となり、学校のオンライン講義とあわせて、「リモート」が当たり前の世界になるでしょう。

これまで、人と人が集まって行われていた当たり前の行為が無くなることはもちろん無いでしょうが、リモートで行われるようになることも新しい当たり前になるのです。

サービスや商品、お金、情報の動きが、これまで以上にデジタル上で行われるようになります。
デジタルで完結できたはずなのに、今までやっていなかった領域のデジタル化が一気に進行します。

人類が築き上げてきた社会や習慣に変化が起きるのです。

これまでの常識を変えて、新しい世界を積極的に作っていくしか生き残る方法はありません。

チャンスは多い

旧態とした企業は退場を求められるでしょう。
しかし、そこに産業は残ります。
これまでのサービスを新しい世界に対応させたサービスに作り替える、新規参入組にはチャンスばかりです。

若い人にも多いにチャンスがあります。
リモート化の進行を機に、ビジネスの現場のみならず、行政や大学などの旧態依然とした組織においてもデジタル化への対応が進みます。
それと共に、デジタルに疎い世代の力が弱まり、デジタル技術を使いこなすスキルをもった若い人の力が強まる可能性が高いです。
世の中に変革を起こす主導権を、中高年から若い人に移すチャンスなのです。

今この時の社会は、悲観的に見えるかもしれませんが、新しい世界はチャンスに満ち溢れていると感じています。

カテゴリー
経営企画

アフターコロナの世界はどう変わるか?

これまでの感染症の歴史でも示されている通り、今回の新型コロナウイルスをもって世界は激変していくでしょう。
この激変する世界に関して「アフターコロナ」と呼ばれ始めています。
今回はこの「アフターコロナ」の世界について、どのように変化していくのか考えていきます。

リモート化の拡大

現在、各企業においてリモートワーク(テレワーク)が進んでいます。
これは、新型コロナウイルス騒動が落ち着いた後、一定程度は元に戻るでしょうが、以前の姿には戻らないと考えられます。
なぜならば、働く人にとって、リモートワークは既得権益となったからです。

リモートワークによって、不要な会議が減り、不要な残業も減り、純粋に仕事をしていればよい環境になりました。
これが快適な人にとっては、わざわざ満員電車に乗り、不要な些事に再びあたりたいとは思わないでしょう。

リモートワークに対応しない会社は、相対的に採用が厳しくなるはずです。
会社競争力にも変化が起き、旧型企業と変化に対応した企業で入れ替わりが起きると推測されます。

あわせて、今回の騒動で、経営の変動費化が進行すると予想されます。
リアル店舗を中心に事業を展開していた企業のダメージは甚大です。
そうでなくても、固定費が大きい産業は、大きなダメージを受けています。
売上が落ちれば、その分費用が減るわけでなく、利益が減るからです。

オフィス投資は減少(少なくとも、以前のようなオフィス投資の活性化が抑制されるはず)し、固定費用としてウェイトの大きかった、地代家賃や減価償却費の抑制志向が高まるはずです。
あわせて、他の固定費に関しても、事業必須性が低いものに関して、BtoBサブスクリプションサービスの導入などに対応し、変動費化が進むと考えられます。
一方、事業必須性が高い領域に関しては、売上が減っても支出(CashOut)を減らせないサブスクリプションサービスは忌避し、買い切りないしは、スクラッチ開発(自社内開発)が進む可能性もあります。

何はともあれ、今回のような一種の災害に備えて、柔軟に対応し、生存力を高めるような動きが各企業で出て来るでしょう。

経済格差の拡大

リモートワークの拡大にあわせて、仕事をする能力の差が顕著に出てくると予想されます。
リモートワークにおいては結果が全てです。
残業をして、何となく頑張っている風の人たちは淘汰されていくでしょう。

イメージとしては、下記の図のような形になるはずです。

この図は、縦軸に「ビジネスリテラシー」、横軸に「必要ITリテラシー」をとり、どのように格差が拡がっていくかを示したものです。
「必要ITリテラシー」が高い領域に対応できる人たちの中で、併せて「ビジネスリテラシー」も高い層は、その高い生産性から功利的に働き、時間的なゆとりを確保するでしょう。
その空いた時間(空けた時間)を利用し、更に別の領域(副業)で稼ぐ、もしくは自己研鑽に投資し更に稼ぐ力をつけていくでしょう。
Youtubeをはじめとした動画メディアが増えているため、デザイナー、イラストレーター、動画編集者の価値が増えるでしょう。

また、「ザ・モデル」の世界も一層、浸透すると考えられます。
Webマーケッターの価値は増大し、昔ながらの営業の価値が減少します。
Web営業が増え、移動が無い分、営業件数を増やせるため、稼げる人はより稼げるようになるでしょう。
一方、突き抜けた対面営業ができる人は、大きく稼ぐようになる可能性があります。

反面、「ビジネスリテラシー」が低い層では、クラウドソーシングのような低賃金の領域で消耗する方々が増えると思われます。
視聴者が増えない、もしくは競争相手が増えることにより相対的に稼げなくなり、この領域でも消耗勢が増えると考えられます。

「ビジネスリテラシー」が高くても、「必要ITリテラシー」が低い領域においては、その価値は変わらずか、相対的に価値が増大する可能性があります。
例えば医者で、医者が長時間労働のブラック環境なのは誰もが知っています。
そこになりたい人は相対的に減るはずなので、かえってその価値が増えると考えられます。
希少価値が高くなるのです。

「ビジネスリテラシー」も「必要ITリテラシー」も低い領域が非常に厳しくなります。
働き方改革やAIによる自動化の推進により、価値を発揮できない人たちの賃金は減少を続けるはずです。
市場の縮小や同一労働同一賃金の影響も受け、年収が伸びなくなります。
むしろ、正社員の賃金は非正規社員の賃金に近づいていくでしょう。
長時間労働・低賃金で消耗するのに、他の業界で通用するようなスキルも身につかない。
(仮に結婚し、子どもをもうけた場合)子供の将来にも連鎖する状況に陥ります。

ビジネス環境、経済環境の変化

マクロ感としては、モノ消費の傾向の変化があげられます。

まず、不動産の価値の変化が起きるはずです。
田舎の利便性の高い所や、郊外などへの移住・引っ越しは増えるはずです。
ただし、都心のワンルームマンションのような好立地の居住用不動産の価値は変化が無いでしょう。
加えて、売電収入のような不動産投資も安定推移すると考えられます。
一方、リモートワークの増加により、ビジネスエリア、つまりオフィス街の不動産価値は減少すると思われます。

次に、元々減少傾向が顕著でしたが、高級車や高級腕時計をはじめ、従来型の人に見せる物の消費はますます減少するはずです。
増加するのは、高級家具やインテリアなどです。
それは、リモートワークの増加により、今まで見せることの無かった家の中を見せる機会が増えるからです。
内装業のようなビジネスは活性化する可能性が高いです。
会議やWeb飲み会のような場で、インテリア性に優れた室内を見せたい、という欲求が増えるはずです。
賃貸向けのインテリア・サブスクリプションサービスも増加すると考えられます。

インテリアのみならず、在宅の増加により、ECでの販売が増えるでしょう。
ウーバーイーツやスーパー・コンビニの宅配なども、より増えると考えられます。
従来、リアル店舗で働いていた人たちは、この種の物流を担う領域に流入する可能性があります。
リモートワークが増えるため、物流の重要性がますます増大するのです。
リアル店舗は、提供価値の高い一部の事業所を除き、厳しい環境が継続するでしょう。

併せてリアル広告が減り、Web広告が増えるはずです。
上述の通り、WebマーケッターやWebセールスの価値は増加すると考えられます。
広告業界において、従来型のPR会社と、新しい領域に既に入っているマーケティング会社で、入れ替わりが起きると考えられます。
イベントや旅行のキャンセルに関連して起きている、パフォーマンス系に関しては中期での影響は続くでしょうが、長い目で見た時は元に戻るはずなので、今はなんとか耐え忍ぶ時期です。

なお、物流(というか自動車関連)に関しては法改正が進む可能性が高いです。
具体的には自動運転です。
直近で既に、物流業界の負担は大きく自動運転のニーズは高いです。
リモートワークが増えて移動自体が減れば、自動車業界も自動運転をプッシュせざるを得なくなります。
法的に規制が厳しかったこの領域へのロビイングが増える可能性があるのです。

モノ消費の傾向変化に対して、コト消費は変化だけでなく増加すると考えられます。
特に、家庭内でのコト消費です。
上述の「インテリア」は、モノという観点ではなく、人に見せて承認欲求を満たすためのコト消費、と捉えた方が、提供価値が高くなると推測されます。
あわせて、家の中での過ごし方に関しても、消費者が求める領域が増えていくはずです。
まず、エンターテインメントの価値は増大するでしょう。
既に起きている、「消費者の時間の奪い合い」はますます激化するはずです(Youtubeなのかネットフリックスなのか、キンドルなのかなどなど)。

関連して、BtoC系の新しいサービス、特にサブスクリプションサービスが台頭してくると考えられます。

金融環境の変化

金融領域に関しては、まず、上述のモノ消費の変化、コト消費の増大に関連した銘柄・領域に関してお金の移動がおきるでしょう。

加えて、今回の新型コロナウイルス騒動にあわせて、社会貢献系企業へのお金の流入が増加すると考えられます。
従前から、SDGs銘柄への投資は活性化していました。
これが更に促進されるはずなのです。

旅行業、宿泊業、飲食店などが、直接的な大打撃を受けていることは言うまでも無いでしょう。
これに対して、支援をしたい、応援をしたい、と思う人たちが増えています。
直接的な投資は市況環境的に厳しいと思われますが、クラウドファンディングのような仕組みによる支援は、直近から増えていくと予想されます。

逆にいうと、旅行業、宿泊業、飲食店などはクラウドファンディングのような仕組みを活用して、生存を図るべきです。

投資環境としては、分散投資が拡がるはずです。
株式や投資信託のような金融資産は、今回の騒動で災害耐性が低いことが顕著になりました(以前からわかっていたことではありますが)。
ポートフォリオを広げるために、投資対象が広がっていく動きが予想されます。

上述のECや宅配の増加にあわせて、電子決済も一気に普及していくと考えられます。
電子決済が使えないお店は淘汰されていくでしょう。
この点でも格差の拡大が助長されると推測されます。
もしかしたら、信頼性が低下していた仮想通過も、これを機に改めて台頭する可能性があります。

このように金融領域においては変動が激しく、お金に直結する領域であるため、この領域における情報価値は以前にも増して増大すると考えられます。
投資リテラシーを高めるための教育サービスは活性化するでしょう。
あわせて詐欺も増えるでしょう。
情報収集と防御のため、投資家コミュニティの拡大や、コミュニケーションの場が増える可能性が考えられます。

教育の変化

リモートの影響は教育にも及びます。

公立系の学校では大きな変化は残念ながら起きないでしょうが、それでも以前よりはIT対応が進むはずです。
マクロ的には遠隔授業が増えると考えられます。
塾のような教育産業においてもWeb講義が増加するはずで、あわせて対面でしか価値が発揮できなかった講師が凋落し、Web対応にうまく順応した講師が台頭するはずです。
これはYoutubeのような動画メディアにおいても言え、教育領域における動画進出がますます増加すると考えられます。
一部、コミュニケーションスキルに関して危惧した親により、家庭教師へのニーズは増大する可能性があります。

これに併せて、飛びぬけたスペックを持つ子どもたちが出てくると予想されます。
教室でのリアル授業では、飛びぬけたスペックの子供にとっては退屈なものです。
日本は出る杭は打たれる文化でもあるため、飛びぬけようとするモチベーションも下がります。
ですが、遠隔授業が増えるのならば、その心配も減ります。
いじめも減るはずです(そもそも学校に行かなくてよくなれば)。
これまで、日本では見ることができなかった飛びぬけた天才の活躍が期待できます。

その他教育環境として、IT対応が進んだ地域と、進まない地域で、格差が拡がると推測されます。
例えばPTAなどで、新技術に対応した所とそうでない所で、親の負担にも差が出るでしょう。

医療(健康とフィットネス含め)の変化

まず、健康ブームが来るはずです。

健康に対する意識は、今回の新型コロナウイルス騒動で一気に増加したはずです。
健康系の商品やサービスは増加していくと考えられます。
リモートワークの増大にあわせて、「家庭でできる系」のフィットネスサービスも増えると予想されます。
併せて、詐欺に近い似非健康サービスや情報も増えると考えられます。
健康情報に関しては、改めて正しい情報の価値が増える可能性が高いです。
Googleのロジックの進化も目覚ましく、一部健康系キュレーションメディアの没落に関しては、記憶に新しいかと思います。

一方、介護領域に関しては個人の負担が増えると考えられます。
医療保険・介護保険に関して、元々国家財政が厳しい環境から、在宅医療・在宅介護が推し進められてきました。
個人の介護負担が増え、医療保険・介護保険の観点では若干の改善傾向が見られるはずです。
(ただし、保険全体では悪化は続く。少子高齢化は加速するので。)

医療に関しては、遠隔診療や遠隔手術が増えるはずです。
上述の通り、医者の価値は増大するはずなのですが、その中でも特に価値の高い医者は、その価値がますます増加するはずです。
関連して、医療関連の法律も改正が進むと予想されます。

マクロ的な影響

大多数の個人にとっては関係の無い話ですが、世界的に国家権力が増大すると考えられます。
既に、外出者の逮捕など、一部国では「強権」が発動されています。
日本では、法律の絡みで「要請」しかできませんが、これが改正される可能性はあります。
国家権力の観点で考えれば、国の権力を増やし、国民の権力を減らす良いチャンスだからです。
なお、人によっては思想的に思う所があるでしょうが、これは良い悪いの話ではありません。

国家権力の増大と個人で働く人の増加(副業含む)により、マイナンバーと仕事の紐づけは加速するでしょう。
つまり、国家による個人の監視が増加するのです。
決して悪い事とは思いませんけれどね。
なお、上述した、家庭教師の増加や宅配の増加とあわせて、家庭で設置する監視カメラも普及するでしょう。
個人による個人の監視も増加するはずです。

監視社会は決して悪いことでは無く、犯罪抑止効果が期待できます。
リモートワークの増加、宅配の増加により外出も減るので、人対人のトラブルも減るでしょう。
家にいるため、空き巣のような犯罪も減るでしょう。
リモートワーク対応に順応できるひとはITリテラシーが高い層でもあるため、在宅を狙った詐欺被害も増えはするでしょうが、大きな影響は無いと考えられます。

これからやるべきこと

アフターコロナに関しては、切りが無いので、ここまでとします。
大枠としては「リモートワークの増加と併せて起きる変化」です。

最後に企業と個人が対応すべきことに触れます。

企業が対応すべきことはシンプルで「リモート化の推進」です。
既に書いてある通り、リモートワークに対応できない企業は、競争力が低下していきます。
生存のための変化を起こすべきです。
これを機に、変革を推進しましょう。

個人が対応すべきことは、ITリテラシーの向上です。
企業でもそうなように、個人でもリモートワークに対応できるようになる必要があります。
なおこのITリテラシーは、何もZoomのような会議ツールや、Slackのようなチャットツールを使いこなせるようになろう、という話だけでなく、広い意味を含みます。

具体的には、デジタルコミュニケーション能力を磨こう、という話です。
やりとりが文字中心に移行するため、より伝える力が必要になります。
伝えたいことをうまく言語化する能力が重要です。
今まではなんとなく雰囲気で説得で来ていたものが、明確な論拠が必要になってくる点も指摘できます。
情報処理能力、ロジカルシンキングの重要性も高まるでしょう。
これまでは「声が大きい」とか「なんとなく人物的に魅力」のような強みがあった人は、コミュニケーション能力の変化が求められます。
テキスト上で「なんか好かれる人」、つまり新しいモテが台頭するはずです。

カテゴリー
経営企画

人類をバグらせた新型コロナウイルスの真の恐怖

新型コロナウイルスの本当の恐怖は、その病状にはありません。
人類をバグらせて、それにより起きる間接的な被害にこそ真の恐怖があります。
間接的な被害とは、人々のパニックであり、経済被害であり、そして派生的に起きる人命の被害です。

新型コロナウイルスの現時点での事実

まず、世界の新型コロナウイルスによる死者数は40,000人を超えました。
日本国内では(あくまでもイギリス船籍であるクルーズ船も含めて)78人となっています。
どちらも2020年4月1日現在です。

比較対象として考えてみるのがインフルエンザと肺炎です。

インフルエンザは、世界の死者数が年間約500,000人となっています。
日本国内での死者数は年間約3,000人です。

肺炎は、世界の死者数が年間約4,000,000人となっています。
日本国内では年間約100,000人です。

誤解の無いように言及しておくと、人数の大小での良し悪しを語りたいわけではなく、純粋に客観的な事実としての脅威度について語りたく、数字を出しています。

上記の数字(世界)をグラフに表現すると次のようになります。

この通り、現状として新型コロナウイルスの脅威は極めて限定的なはずなのです。
もちろん、各国の封じ込めの努力の結果でしょうし、これからも誠に残念ながら指数関数的に増加していくでしょう。
そのため、単純比較はできないのは間違いがないのですが、少なくとも現状でている数字から考えて、ここまで脅威と考えるのが正しいのか?と、どうしても疑問に考えてしまうのです。

これから訪れる実害

これから訪れる実害を考えていきます。

おそらく既に起きているであろう医療の問題を最初に指摘します。
各所で言われているとおり、医療の現場の混乱には、その現場に携わる方々に敬意を表する以外のことができません。
日本国内ではPCR検査に携わる方に対する圧力を考えると、こちらも頭を下げるしかありません。
臨床検査技師の人数には限りがあるなか、具体的な施策が無い中、検査数を増やせという要望を受けていることでしょう。

単純に現場の方の負担が増大するだけならば、“まだ”良いのですが、統計としては出しづらい実害が発生していることは間違いがありません。
それは、本来適切な医療を受けられた受けるべきであった方々が、新型コロナウイルスの影響により、医療を受けられず、誠に残念な結果になってしまう、という実害です。
これは、医療の現場に「無感染」の関係無い方や、「無症状」の方が押しかけて、限られた医療リソースを食いつぶすことによって起きます。

もう一つ既に起きている実害としてあげられるのが経済です。
すでに、リーマンショック級の経済損失があると、各所で言われはじめています。
リーマンショックと異なるのが、「コントロールがしづらい」という点です。
リーマンショックは「人が起こした」災害ですので、介入の容易性が指摘できますが、今回の新型コロナウイルスは天然の災害です。
発生最初期でしたら、封じ込めの難易度は低いのですが、ここまで拡大してしまうと、都市封鎖(ロックダウン)のような施策を打たねばならず、その弊害として発生するのが経済へのダメージです。
東京においては「外出自粛」となっており、“まだ”ダメージは抑えられている方だとは考えられるのですが、現実として、すでに倒産の危機を迎えている企業が多く存在すると考えられます。

特に実店舗を構えているビジネスを行っている方々は、先が見えない思いを抱えていることでしょう。
SNSを見ていると、多額の借金を抱えた状態で店を畳む覚悟を決めた人をちらほら見かけます。
これによって起きると想定されるのが「自殺者数」の増加です。
実際に統計として出てくるのが来年になると思われますが、倒産ないしは閉鎖する企業・事業所の数と、自殺者数の数字は、間違いなく悪化すると推測されます。

新型コロナウイルスの本当の恐怖

新型コロナウイルスの本当の恐怖は、その病状そのものにあるのではなく、実は上述した「実害」のようなもの、もっと言うとそれを招いた人類に起こした「バグ」にあるのでは、と考えています。

現状の数字を見る限りは、冷静に考えて、通常の風邪やインフルエンザの方が恐ろしいはずです。
人が密集する空間でのマスク着用を心がけ、当たり前に手洗いうがいをし、手指の消毒も行っていれば、新型コロナウイルスの感染も一定程度防げるはず。

そもそもとして新型コロナウイルスを怖がる人たちの中で、普段から、当たり前の感染予防策をどれだけとっているのでしょうか?(なぜ、風邪やインフルエンザを怖がらずに新型コロナウイルスだけを怖がるのか?)
冷静に考えれば、人々に行きわたるだけの物資が世の中にはあるはずなのに、それを枯渇させてしまうような「買占め」はどうして起きるのでしょうか?
なんで、普段冷静な人たちがパニックに陥ってしまうのでしょうか?(顕在化しただけ、という意見もありますが。)

これが新型コロナウイルスの本当の恐怖は、肺炎様病状にあるのでは無く、この人類の「バグ」にあると考える理由です。
このウイルスは、その直接的な症状ではなく、間接的な人類のパニック、経済被害、派生する人命被害を巻き起こしているのです。

この騒動を何とか乗り越えよう、アフターコロナに備えよう

今できることは、何とかこの騒動を乗り越えること、アフターコロナに備えること、かと思います。
経済的実害を受けている事業者は、なんとか変動費を切り詰めると共に、削減できる固定費も限界まで削っていき、なんとか生存をしてください。
幸いにも被害が軽微な事業者は、アフターコロナに備えると良いでしょう。

今回の騒動は間違いなく長期化します。
そして、騒動前(ビフォアーコロナ)と騒動後(アフターコロナ)で、世界は変わっているでしょう。
過去の感染症によって起きた歴史を鑑みても十分に予測できることです。

次回は、アフターコロナを見据えて、どのように考えていくべきか、を考察します。

カテゴリー
経営企画

ダイリューション(株式希薄化)のリスクは気にするな

ベンチャー企業において資金調達を行っている立場の方で話題にでるのが「ダイリューション」です。
経営のコントロール権にも影響してくるダイリューションは、創業者のプライドの問題などなども絡めて、非常に気にしてしまうテーマとなります。
ここでは、このダイリューションに関して、あえて「気にするな」というスタンスで意見を述べていきます。

忙しい人向けまとめ

  • ダイリューションは「株式の希薄化」のことで、経営のコントロール権を相対的に減らしてしまう
  • 経営のコントロール権の観点だけでなく、創業者の「自分の会社」というマインドや、プライドの問題が絡む
  • それでもダイリューションは気にしなくてよい
  • 経営のコントロール権は、社長としての成果を示していれば、必然的に得られるから
  • 仮に経営がうまくいかなかった場合でも、優秀な経営者に代わってもらった方が、創業者の財産の観点ではプラス

ダイリューションとは?

まず、ダイリューションとは?
それは、株式の希薄化のことです。
新株発行増資などによって、株式会社が発行する株式が増加し、1株あたりの株式の権利(価値も)が想定的に小さくなることをいいます。

一般論として「良くない」こととされています。
創業経営者の立場からすると、持株比率が減少すると、会社の所有権、つまり経営のコントロール権(株式の権利)が相対的に減少してしまうからです。
「社長」は、会社の社長が決めるものではなく、「株主総会」の決議によって決定されるもので、創業経営者の持株比率が減少した場合、状況によっては「社長」で居続けられない可能性があるのです。
これは極端な話だとしても、投資家達からの口出しが増えて、自由に経営ができない状況になることは普通にありえます。

そのため、大多数の経営者、特にベンチャー企業の経営者はダイリューションを気にする傾向があります。
(大企業の経営者は、経営の安定性から、銀行からの調達が可能であったり、そもそも調達が不要であったり、とエクイティ(新株の発行)での調達はそもそもとして頭になかったりします。)

気持ちはわかる

ベンチャー企業の経営者がダイリューションを気にするのは、まあ当然の話で、気持ちは理解できます。

上述の通り、一般論として「良くない」とされていますし、周囲の人たちも「ダイリューションには気をつけろ」とアドバイスをします。
また、自分でビジネスを考え、顧客を獲得してきた立場からすれば「自分の会社」という感覚を捨て去ることは難しいでしょう。

しかし、それではパブリックカンパニーを目指す、つまりIPOを目指すのであれば、いつまでも非公開企業のマインドのままでは良くないのです。
自分が手塩をかけ、涙と汗を流して育てた会社に対して、あくまでも「投資家の中の一人」であるとマインドセットを変えなければいけません。

逆にいうと、IPOを目指さない、投資家からの出資もうけない、プライベートカンパニーのままでいい、というのならば不要な意見なので、読み捨てていただければと思います。

なぜ、ダイリューションのリスクを気にしなくてよいのか?

それでは、なぜダイリューションを気にしなくてよいのでしょうか?

それは、非常にシンプルな話で、経営のコントロール権はあくまでも社長としての成果で得るものだからです。
投資家たちも、別に会社を自分たちのものにしたいとか考えているわけではなく、あくまでも自分たちが投資した案件が成長し、その価値が高くなることを望んでいます。
(それで、株式の売却により利益がでればよい。)
ですので、優秀な創業社長がモチベーションを保って経営を続けてくれるのであれば、ウェルカムなのです。
(持株比率が減ってしまい、経営に対するモチベーションが低下してしまったベンチャー企業の社長を何人か知っていますが、そもそもとして向いていないから、そうそうに誰か優秀な方に代わってもらった方が、良いでしょうね。)

また、仮に経営がうまくいかなかった場合、経営者にとっても自分の財産が目減りしてしまうことを考えると、別の優秀な経営者に代わってもらった方が、財産という観点においてはプラスになるはずです。
実際、創業者はCOOなどにひいて、CEOは別の方にやってもらう、という意思決定を行う創業者の方も存在します。

中には、自分の財産なんか粉みじんも興味がなく、自分のビジネスがただひたすらに大きくなり、社会に対するインパクトを最大化させよう、という経営者も存在します。
海外のIPO事例を見ていると、IPO時点で創業者の持株比率が1%を切る、という状況も見受けられます。

ようは目的意識や、プライドの問題であり、ダイリューションのリスクは経営の本質ではないのですね。

ダイリューションに関しては、会社の経営企画の方など資本政策を実務で考える方や、支援をしてくれるVCの方たちに任せて、経営者自身はあくまでも自分自身が本来志したものに邁進するのが良いのでは、と考える次第です。

カテゴリー
経営企画

科学的とは何か?その意味と重要性は?

「科学的」と聞くと、苦手意識をもってしまう方が多いかもしれません。
しかし、科学的であることは重要で、逆に非科学的な態度がもたらす危険性は非常に大きいものです。
そして、科学的な態度は、実は簡単なエッセンスで会得できます。

本サイトも、可能な限り多くの情報を収集し、多角的に検証する、科学的なアプローチでもって、ブログ記事を執筆しています。

科学的とは何か?

科学とは「再現性のあること」を指します。
これまで学校で習ってきた「理科」や「化学」「物理学」のような話ではなく、より普遍性の高い意味での「科学」について言及しています。

では、科学的とは何か?
難しく書くと、物事を調査し、その調査結果を整理し、新たな知見を導き出す、そしての知見の正しさを立証するまでの一連の手続きのことを「科学的」と表現します。

最初にある現象を観察した人が、他の人たちにもその現象を観察してもらい、同じ結果が確かめられたとき、はじめてその現象は「確からしい」と見なされます。
つまり、どこかの誰か一人が、「これは正しい」と主張しても、(その時点で十分なデータを持っていても)「正しい」とは言えません。
複数の人の検証が入り、認められることにより「科学的に正しい」と言える状態になります。
(その複数人の人が全員間違っている場合もある。そのため、常に科学の事実はアップデートされ続けている。)

ではここで、複数の人たちによって検証されるにあたり、何が重要となるでしょうか?
それは、です。
ある現象が再現され、正しく確認される。仮説を構築し、数字や数式による定量的な評価が行われる。
こういった客観的な議論を行うための大前提が根拠です。
そして、再現・検証により、より多くの根拠が積みあがっていくことによって、人の知見は蓄積されていき、科学を発展させてきたのです。

科学は印象や直感を極力排除し、可能な限り客観的に現象を捉えようとするからこそ、有用と言えます。

非科学的なことのデメリット

それでは、科学を避けること、非科学的な態度によって起きるデメリットは何でしょうか?

それは端的に言うと、真実ではない情報に踊らされ、意思決定を誤らせてしまうことにあります。

こちらの記事でも書きましたが、認知能力に問題がある場合、人はフェイク/デマに踊らされ、たとえ初期のフェイク/デマの発信者がごく少数であっても、現代社会の構造上、非常に早く、しかも多数の集団行動をゆがめやすくしてしまいます。

実際、非科学的な態度で混乱をしている人を大勢見るはずです。
原発問題であったり、自然災害、そして直近のウイルス騒動もそうです。
非科学的な態度は、自分自身の人生にダメージを与えうる危険性があるのです。

これはビジネスを進める上でも障害が起きえることを意味します。
現代社会は膨大な情報が存在しており、その中身は正誤と玉石が入り交じっている状態です。
適切なデータを正しく抽出し、取り扱わなければ、その意思決定は誤り、ビジネスの成功が遠ざかっていくでしょう。

重要でないことや論理的に正しくないことに人とお金と時間を投下し、業績が伸び悩んでいる会社などいくらでも見たことがあるはずです。
印象や好みで人を評価し、本当はい続けて欲しかったはずの貴重な人財が離職してしまった場面も、いくらでも見たことがあるはずです。
多くの場合、理性でものごとを考えず、感情でものごとを決めていった結果、つまり非科学的な態度がもたらした結果です。

ただ、科学的であることを避けてしまう心理は理解ができます。
純粋に「考えること」は面倒くさいものです。
また、学生時代に「数学」や「化学」「物理学」などに対して、苦手意識を持っていた人は多いのではないでしょうか。

科学的であることは、決して難しいものではありません。
人生のどこで使うのかわからない公式や記号を覚える必要はありません。
ちょっとした心構えだけで十分です。

科学的な態度のための心構え

では、そのちょっとした心構えとは何でしょうか?
そのエッセンスは次の7箇条です。

  • 科学に対する拒否感を克服する意思を持つ
  • ものごとを数字で捉える
  • 数字の単位は確認する(単位の意味がわからなければ調べるか質問する)
  • 情報はよくその中身を調べる
  • 限られた少ない情報だけで、ものごとを判断しない
  • 印象や好みで決めつけない
  • ありとあらゆるものごとを疑い、常に「本当にそうなのか?」と考える

書いてみたら、言うほど「ちょっとした」印象ではないですね。
しかし、この姿勢は非常に重要です。

繰り返し書きますが、非科学的な態度がもたらす危険性は深刻です。
日常生活ならまだ良いですが、ビジネスの重要な意思決定の局面ではどうでしょうか?
ミッション・ビジョンの達成のためならば、科学的な態度の会得は容易なはずです。

モバイルバージョンを終了