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経営企画

アフターコロナの世界の持ち家ニーズ

日本経済が伸び悩む中、持ち家に対する意識も大きく変化し、「持ち家信仰」は過去のものとなりつつあります。
そんな中、いくつか持ち家に対するニーズの変化の兆しがありました。
アフターコロナの世界における持ち家ニーズは、どのような変化が見られるのでしょうか?

持ち家信仰が再び復活するという言説

先日、「新型コロナウイルスの常識破壊【持ち家信仰の復活】」と題する記事を見かけました。

内容としては、蓄えが無いが故に家賃を払い続けなければいけない状況はリスクであり、家賃を払わなくてもよい持ち家を良いと思う人が増えるかもしれないね、というものです。
詳細はリンク先記事を読んでください。

この意見自体は、結局ローンを払わなければいけないのならば、ローンが残っている間は結局高リスクだよね、という意味で微妙なのですが(この点は記事執筆者も指摘している)、一部そうなのかもしれないな、と思う点がありました。

それはリモートワークにおいて、一日中、過ごしづらい家にいることのストレスです。

日中のほとんどを外で過ごしているからこその日本住宅

日本の住宅は狭い

まず言えることですが、日本の住宅は狭いです。
次の2つの図を見て下さい。

2015/2016年版 建材・住宅設備統計要覧 戸当たり住宅床面積の国際比較(壁芯換算値)
2015/2016年版 建材・住宅設備統計要覧 一人当たり住宅床面積の国際比較(壁芯換算値)

日本の住宅、特に借家は国際比較で見た時に明らかに狭く、欧米の2分の1~3分の1ほどです。
一人当たり換算でも狭く、関東大都市圏の借家の狭さが際立ちます。

国土交通省が示している、健康で文化的な住生活を送るために必要不可欠な面積が、単身者で25㎡、ゆたかなせいかつを送るための目安では40㎡となっており、これを正とするならば、かなり狭いと言わざるを得ません。

この狭さは、日中のほとんどを外で過ごしており、自宅はほぼ寝るだけの用途となっているからこそ成り立つものの可能性があります。

リモートワークがこれからも継続するならば、日本の住宅事情は、主に借家住まいの方を中心にストレスの原因になっていきます。
特に単身者にとってはキツイでしょう。

単身者向け住宅は伸びるかもしれない

そこから考えられるのが、単身者向けの「持ち家」です。

郊外の小規模戸建てや、都心立地でも1LDKあたりのマンションなどのニーズが高まる可能性があります。
金額も2,000万円~位の値段ならば、比較的ハードルも低くローンも組めるはずで、一定程度稼いでいる単身者向けに、中古のリノベーション・マンションなどが伸びてもおかしくはありません。

空き家問題が深刻になりつつある地方でも、リモートワーカー向けにリノベーションして販売する、ということをトライしてみる価値はあるでしょう。

住宅設計におけるポイントは下記です。

  • (感染症対策に)空気清浄機能や湿度調整機能などを標準で装備
  • (巣ごもり向けに)一日過ごしていてストレスが少ない設計
  • (WEB会議向けに)Zoom映え

変化に応じてチャンスも生まれる

日本という国の全体感から考えると、これからも持ち家信仰そのものは崩れていくのは続くでしょう。

今回の新型コロナウイルスの影響は、不動産業界にとっても喜ばしいことで決してないはずです。
ただ、長期的目線にたった時に、新しいニーズが生まれるであろうことも確かであるはずです。

この変化に応じたチャンスを如何につかむか。
リモートワークの浸透をはじめとした変化は、空き家問題が深刻化していくことが間違いない日本の不動産業界の一つの活路になるのでは、と考えました。

(補足)空き家率の推移と予測について

空き家問題に関しては、リンク先の野村総合研究所の資料が参考になりました。
なお、直近実績は当初予測を下回っているようです。
住宅供給のコントロールや空き家活用がうまくまわれば、空き家問題は言うほどの影響を及ぼさない可能性があります。

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統計・経済

【経済統計・景気動向】新型コロナウイルスによる景気・経済への影響(2020年2月~4月)

新型コロナウイルス影響による経済統計・景気動向について、2020年2月~4月までの状況を整理しました。
消費支出に大きな落ち込みがあるものの、全体感としては、まだ数値には表れていない条項です。
今後の動向が多いに懸念されます。

忙しい人向けまとめ

いずれも、2020年2月~4月の統計・景気指標になります。
以下、「現時点」は2020年2月~4月頃を指します。

  • 景気動向指数では大きな影響が出ていない
  • いわゆる「不要不急」な消費支出は大きく落ちている
  • 失業率には変化がないが、有効求人倍率が低下し、就労環境の悪化が出始めている
  • 企業倒産件数はまだ増えていない、金融資産の現金化や借入の増加でしのいでいるのでは
  • 日経平均は2年半ぶりに20,000円を下回っている(2ヶ月連続)

景気動向指数では大きな影響が出ていない

現時点では、景気動向指数、各種産業活動指数に大きな影響は出ていません。

景気動向・産業指数

ここ数ヶ月の全体的な落ち込みは、新型コロナウイルスの影響ではなく、米中貿易戦争や消費税増税の影響によるところが大きいです。
先行指数は91.7、一致指数は95.5です。

いわゆる「不要不急」な消費支出は大きく落ちている

消費統計は、特に2020年3月で影響が見えます。

消費統計

消費支出は消費税増税の影響から抜け出し、前年比トントン位で着地(▲0.3%)。
小売業販売額は、おそらく飲食店をはじめとしてマイナスがある一方、家庭での消費は増えたでしょうから概ね相殺されて▲4.6%の着地です。

一方、百貨店売上高は▲33.4%と激減、旅行取扱高も▲18.9%となっています。
百貨店のテナント引き揚げやそれによる箱の業績悪化、旅行関連業種の倒産が懸念されます。

新車販売台数

同様、新車販売も大きく落ち込んでおり、昨年対比▲28.7%となっています。
直近4月の販売台数と過去1年間の販売台数平均で比較すると▲35.7%となり、2020年4月は過去にないレベルの減少となります。

全体として、いわゆる「不要不急」な消費支出が大きく落ちている、という状況です。

失業率には変化がないが、有効求人倍率が低下し、就労環境の悪化が出始めている

労働統計としては、まだ現時点では大きな変化がありません。

労働統計

この表の通り、常用雇用者指数は2%前後を維持しており、完全失業率も若干の増加の兆しが見えるものの2020年3月で2.5%の着地となっています。

有効求人倍率

一方、有効求人倍率は落ち込みが激しくなっています。
米中貿易戦争や消費税増税の前後から落ち込みが始まっているのですが、2020年3月で1.39倍と、2020年4月から2019年6月までの期間1.6倍を超えていたことを考えると、かなりの急落です。
今後の動向が懸念されます。

所定外労働時間

参考程度ですが、所定外労働時間は20ヶ月連続で減少を続けています。
労働環境そのもので見た場合には、改善が進んでいる状況です。

企業倒産件数はまだ増えていない、金融資産の現金化や借入の増加でしのいでいるのでは

企業倒産件数は、まだ大きな増加は見られません。

企業倒産件数とM3増加率

2020年3月は740件の着地となりました。
過去1年間の平均が713件なので、増加傾向は見られますが、まだこれからということなのでしょう。

併せてM3増加率を見た時に、2020年3月で2.7%となっており、過去1年間と比較して+0.6%となっています。
金融資産の現金化、銀行借入の増加により、現状は倒産を防いでいる、なんとかしのいでいる、という状況と考えられます。

今後、影響が長期化すれば、急激に倒産件数が増加していくことは間違い無いので、今後の動向が懸念されます。

日経平均は2年半ぶりに20,000円を下回っている(2ヶ月連続)

日経平均は当然ですが、落ち込みを見せています。

日経平均、上場株価時価総額

2年半ぶりに20,000円を下回る状況が続いており(2ヶ月連続)、あわせて上場企業時価総額も低下しています。
マネーサプライの状況によっては大暴落もありうるので、こちらも併せてウォッチしていく必要があります。

(参考)資料の一覧と出典元

各グラフの元データは下記になります(Excelデータ)。

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生産性・業務効率化

リモートワークは生産性が悪いらしい、が望まれているらしい

ピアボーナス「Unipos」を提供しているUnipos㈱より、「テレワーク長期化に伴う組織課題」に関する意識調査の結果が公表されました。
どうやら、リモートワークは生産性が悪くなるらしいです。
そして、それでもリモートワークの継続を望む人が多いらしいです。

リモートワークの生産性は研究ベースだと「よくわからない」

以前の記事で、リモートワークの生産性の記事を書きました。

様々な研究を横断的にレビューした結果として、リモートワークは個人にとっても企業にとっても、メリット・デメリットがあり、その生産性については「よくわからない」という結論です。

今回、Unipos社は、リモートワークの課題についてアンケート調査を実施しました。
その中でリモートワークの生産性について触れられていたので、今回取り上げます。

Unipos社の調査

調査概要

Uniposu社は、4月24日~27日の4日間にわたり、インターネットリサーチの方法で管理職333名を含む、総計886名の20-59歳男女にアンケート調査をとりました。

調査項目は下記の7つです。

  • リモートワークの導入状況
  • チームの生産性の変化
  • 部下の仕事ぶりの変化
  • 上司や同僚の様子の変化
  • リモートワーク長期化に伴う課題
  • リモートワーク開始にあわせて導入したITツールの生産性
  • コロナ影響収束後のリモートワーク継続の意思

とりあえず詳細はUnipos社リリースを参照ください。
自社システムの導入を促すポジション調査ではある印象ですが、n数は大きいので参考になるはずです。

検証材料から除外

リモートワークの導入状況については、クロス集計がされた資料があれば、言える事もでてくるのですが、これだけだと各回答にどのような影響があるのかわからないのでパスします。

ITツールの生産性も、導入した結果、生産性があがったのか下がったのか、それとも既存のITツールに対する評価も含みなのかがよくわからないのでパスします。
というか、従業員エンゲージメント向上ツールを導入した結果、生産性が高くなったが26.7%なのに対し、低くなったが23.3%もいるので、「結局、組織によるのでは?」疑惑があるので、これで何が言えるのかも不明ですし。

リモートワークで生産性は悪化、周囲の様子の把握に難点がある

悪化したというLOW層が50%存在

Unipos社調査をサマると下記のようなイメージになります。
HIは、生産性が高くなった、周囲の様子がよくわかった、リモートワークを継続したい、などのポジティブな反応。
LOWは、逆に低くなった、わかりづらい、リモートワークを継続したくない、というネガティブな反応です。
NLはニュートラルな反応を示しています。

Unipos社調査より作成

これを見ると、生産性は明らかに悪化したという反応が出ていることがわかります。
同様に、部下の仕事ぶりや、上司・同僚の様子についても、わかりづらいという反応が出ています。

一方、HI層はこの3項目に関しては、いずれも1桁%台なので、リモートワークによって生産性が高くなった、周囲の様子がよくわかるようになった、というのはマイノリティだ、ということがわかります。

NL層の存在が重要

不思議に思うのがNL層です。
NL層が3つの質問いずれも40%前後存在し、オフィスワークもリモートワークも大して変わらないと感じている層が結構なボリュームで存在することがわかります。

私は、このNL層が重要だと感じています。
オフィスワークとリモートワークを対立させた場合、仮に生産性が変わらないのであるならば、リモートワークを選択した方が良いはずだからです。
(個人レベルで見たら時間の節約になりますし、会社レベルで見てもオフィス費用という高い固定費を削減できるので。)

そう考えると、NL層はHI層と合算して考えるのが適切だと思われます。
つまり、リモートワークによって、0以上の生産性があった層(変化なしの0を含む)と、マイナス層がほぼ同じ割合がいるということです。

これだけ見ると、リモートワークでいいんじゃない?という考えに、やはりなってしまいますね。

とりあえず、多くの働く人はオフィスワークは嫌なご様子

生産性が低下した、周囲の様子がわかりづらい、というLOW層が50%前後存在する一方、リモートワークの継続を望む方も50%前後存在します。
特に管理職です(56.1%)。

そんなにオフィスワークは嫌か、と思いはしますが、まあそうですよね。

何はともあれ、新型コロナウイルスの影響が落ち着いても、リモートワークを経験した会社・人においては、リモートワークの継続圧力が高まることが予想されます。
こちらに関しては、予想どおり、既得権益化してきたようです。

課題認識

課題認識については、n数を分母として、割合で再作成しました。

Unipos社調査より作成

内容としては、概ねそうだろうな、というものです。

よくわからないのが、管理職の方が軒並みパーセンテージが高い点です。

これは、管理職の方が目線が高いから感じる課題意識も高いのか、それとも年齢層が高くなり最新のITツールを使いこなせない、文化になじめないからなのかが読み取れないからです。

どちらの可能性もありそうではあります。

アフターコロナはやはりリモートワークの社会になりそう

通して感じることとしては、二極化が進んでいくのだろうな、ということです。

まず、多くの人がリモートワークを望んでいることがわかりました。
その上で、生産については0以上とマイナスが半々ずつです。

アフターコロナの世界では、リモートワークを継続し生産性も下げずに対応しきった組織と、リモートワークを継続するも生産性が下がった組織やそもそもリモートワークをやれずにジリ貧で経営を続ける組織の2つに、大きく分かれていきそうな予感がします。
とりあえず、社会がリモートワーク化していくことは間違いなさそうです。
(それでも、トータルで見てみると前年比+〇%、みたいな少しずつには落ち着くのでしょうが。)

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フェルミ推定・ロジカルシンキング

【今日のフェルミ推定】ペット・テック市場への参入は儲かるか?

アフターコロナにおいては、リモートワーク拡大に伴う巣ごもり消費の影響で、ペット市場が活況になりそうです。
そこで最近、市場が産まれだしたペット・テック市場について、仮に参入した場合の事業規模について考えていきます。

お題:ペット・テック市場に参入した場合の事業規模を求める

こちらの記事で書いた通り、アフターコロナのペット市場は拡大していくものと考えられます。

この前提で考えた時に、仮にペット・テック市場に参入した場合、どれくらいの事業規模になるのかを考えてみます。

試算

さくっと行きます。

ベースとしては世帯数で、そこからどれくらいの人たちが飼育しているのか、今後市場はどれだけ成長が見込めるのか、利用状況はどうか、を考えます。
数式で表現すると、次のようになるでしょう。

事業規模 =
 世帯数 × 世帯飼育率 × 増加予測率 × アプリ使用率 × 課金率 × 月額課金額 × 12ヶ月

数字もはめてみます。

資料としては、一般社団法人ペットフード協会が出している「全国犬猫飼育実態調査」を参考にします。
とりあえず、メジャーな犬・猫に限定しました。
熱帯魚とか、鳥類・ハムスターのようなものまで含めていくとキリが無いですし、ペット・テックをやるにしても対象動物を絞らないと、やりづらいと思いますので。

それぞれ、フェルミ推定らしく数字の仮説をおいてみても良いのですが、まあググれば一発で出る世界の話なので省略します。

参照するのは、上記リンク先資料内にある「全国犬・猫 推計飼育頭数」部分です。

平成30年(2018年)全国犬猫飼育実態調査 結果

私が都心に住んでいるからなのか、あまり実感が無いのですが、結構な人が犬・猫を飼っているのですね。
この数字を計算式にはめてみると、次のようになります。

これは、ペット・テック+ペット・フードを織り交ぜて、単価を高くした設計としました。
イメージとしては、ペットの監視機能付き自動給餌機+ペット・フードで、ペット・フードは、その動物個体に応じて成分をカスタマイズしたものを想定しています。
リンク先にあるような、オーダーメイドサプリメントのようなイメージですね。
(普通にマルチビタミン・ミネラルを飲んでいればいいような気もするのですが、こういうサービスもあるんですね。)

数時間として見てみると、ざっくり約60億円とまあまあな規模感です。

結論

上記は自社利用率が全体の1%前提で、サービス単価も給餌機本体とペット・フード代のみです。

  • 飼育相談や健康管理アドバイスをオプションで組み込み、近隣の動物病院と連携したようなサービスを開発する。
  • 先行者利益をとる形で、ガツっと広告宣伝費投下してマーケット創造とシェア獲得を図る。

そんな形で展開すれば、200億円くらいまでは十分に拡大できそうな気もしますね。

とは言え、べらぼうに規模が大きいわけでも無いので、手ごろなサイズ感まで成長させ、その後はExit(事業売却)をするようなイメージになるでしょうか。
スタートアップ的な組成でやるとよさそうです。

まだプレイヤーは少なく、またこれから一気に拡大していく領域なので、興味のあるベンチャー起業家はチャレンジしてみる価値は十分にありそうですね。

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経営企画

アフターコロナのペット市場~巣ごもり消費とリモートワークで拡大~

外出自粛の影響を受け、自宅で消費活動を行う「巣ごもり消費」が活況です。
その中の一つ「癒し・リラックス」に関連して、ペット市場が今後、さらなる拡大を見せると予想されます。
アフターコロナのペット市場について見ていきます。

忙しい人向けまとめ

  • 巣ごもり消費の一つに不穏な日々の中での「癒し・リラックス型」がある
  • ペット市場(1.5兆円)はこれから更に拡大していく
  • リモートワークで単身者でも飼育できる余裕が増えるはずだから
  • ペットテック市場も、飼育初心者向けに活況になると予想される
  • ペットフード市場も、まだまだ攻め入る余地がある
  • 他業界でも賃貸業やペット葬儀業など、関連するビジネスは注意を払った方がよい

巣ごもり消費

外出自粛をする人が増える中、自宅で消費活動を行う「巣ごもり消費」が活況です。

株式会社エヌケービーが、この「巣ごもり消費」に関して、7つのタイプに分けられるとのアンケート結果を発表しました。

その結果、消費の傾向として生活者のニーズや意識を7つのタイプに分けることができました。

①おうち時間充実型・・・自宅での時間を豊かで充実したものにしたいというニーズ
②エクササイズでストレス発散型・・・運動不足・ストレス発散のため、体を動かしたいというニーズ
③趣味に没頭エンジョイ型・・・インドア系の趣味・コンテンツを楽しむ意識
④趣味&実益を兼ねた手作り型・・・時間・手間をかけた実益を兼ねた趣味に興じている
⑤自己投資・スキルアップ型・・・余暇時間に自己研鑽に励んでいる
⑥自分見つめなおし方・・・断捨離など自分の生活の見直し・整理している
⑦癒し・リラックス型・・・不穏な日々の中で、癒し・リラックスへの希求

食や娯楽サービス初利用、運動不足解消、自己投資など 7つのタイプ別消費~ 傾向を組み合わせて消費、軽率購入の後悔も ~

今回はこの内の⑦癒し・リラックス型、その中でも「ペット市場」に関して、アフターコロナでどのようになるのかを考えていきます。

社会が不安な空気に包まれる中、癒しやリラックスを求める意識が高まっています。ペットを飼い始める、家庭菜園を始めるなど新しく生活に癒しを取り入れている様子です。
(略)
新型コロナウイルスによる外出自粛や社会情勢への不安が長期化するにつれ、需要が今後さらに増加すると予想されます。

同上

ペット市場はこれから増えていくはずです。

アフターコロナのペット市場

ペット市場はこれまで以上に拡大していくはず

まず、現状のペット市場は1.5兆円ほどで、新型コロナウイルスの影響がある前の調査で、1.6兆円(2021年時点)は突破するという予測があります。

矢野経済研究所

これは、外出自粛の影響を受けて、より拡大するのでは、と予想されます。
なぜならば、リモートワークにより、ペットの飼育者が増えると考えられるからです。

これまでの「外に出て働かなければいけない単身者」や「共働きにより時間的余裕が無かった世帯」などにおいて、飼育するだけの時間的余裕が発生するはずです。
また、リモート疲れの影響や、先行きが見えない不安の中で、癒しを求める消費も増えています(巣ごもり消費の調査)。
将来長期的には、未婚の人の比率が増えることも影響するでしょう。

GoogleTrendsより 「猫」の検索が4月後半から何故か増えている 猫吸いしたい

ペットテックが活況

好調の一要因にペットテック市場の活況も指摘できます。
今現在では20億円前後の市場規模と予想されますが、これが2023年には50億円ほどの規模に成長するとされています。

矢野経済研究所

ペットテック市場を構成する製品は、AI機能が搭載された自動給餌機や、ライフログ機能のある首輪などです。

飼育初心者にとってみれば、AIをはじめとした飼育サポートはありがたいはずです。
リモートワークにスムーズに移行できた方々は、先進的な考えを持っている傾向も高いはずなので、あわせて消費が増えていくものと考えられます。
悪意をもった第三者による動物虐待や行方不明対策に、防犯カメラや位置情報機能を強化した商品・サービスも出てくるでしょう。

ペットフード市場もまだまだいける

個人的にはペットフード市場もまだまだ攻められる余地があるはず、と考えています。

ペットフード市場は、例えばキャットフードならば、いなば食品(CIAO)やマースジャパンリミテッド(カルカン)、ユニ・チャーム(銀のスポーン)などが陳列棚を占拠している状況です。

ただ、商品単独で見ていくと、市場シェア1位の製品でさえ、その市場シェア率は2%未満です。
一つのブランド毎に複数の味があるので当然と言えば当然ですが、非常に乱立している状況です。
商品のリピート率が30%超で全体的に高いこともあり、何かしらのチャネルで「これは良い」という評価を得られたのであるならば、この乱立した市場に食い込めるはずなのです。

ウレコン:POSデータ(2020年1月1日~2020年3月31日)より

やり方としては、EC販売やペットテックと組み合わせたサブスクリプション型による販売が考えられるでしょう。
ホームセンターなどを攻めるのは、かなり厳しい戦いになると思われるので、そこは避けます。

人用でもカスタマイズして注文できるオーダーメイドサプリが登場しています。
それらを参考にする形でWEB上、もしくはアプリ上で注文できるようにすれば、一定の売上はとれるのでは、と考えられます。

ペット業界に限らず、他業界も対応した方が良い

例えば不動産業界

ペットを飼育する上でハードルになるのが、自宅そのものです。

ペット飼育不可、の賃貸借契約になっている場合が多いのではないでしょうか。
そのため、ペットは多くの場合、自宅を購入した夫婦が買う例が多かったわけです。

そのような状況ならば、ペットを飼育したい人にとってみれば、家を借りる際、ペット飼育可の条件を優先的に選びたいはずです。

壁紙は引っかきや汚れに強いもの、天井は消臭機能があるもの。
猫用にキャットウォークや扉の移動窓などを標準で備えたもの。
床は掃除がしやすいようにフローリングをベースにしつつ、洗える消臭マットが敷かれたもの。

このような設備が整った所は、これから空き家問題が深刻になる日本において、不動産業界(賃貸業)の活路になる可能性があります。

ペット葬儀関連も市場が増えるはず

また、生き物は必ず命の終わりを迎えます。
いずれ迎えるその時に案外困るのが、ペット用の葬儀場です。

Google検索すれば出てくるには出てきますが、まだ数が少なかったり、どのようなサービスなのか、ホームページがイケていない場合も多いです。

明瞭会計でお墓まで用意してくれる。
そんなペット向けの葬儀ビジネスは、今後、人気が出てくるでしょう。

(補足)ペットからの感染の心配は?

感染症の話題に敏感になっている今、動物、つまり飼育しているペットからの感染を心配する方もいらっしゃるかもしれません。
これに関して、リスクはゼロではない、としか言いようがありません。

動物感染はメジャーな感染経路の一つです。
ただし、病気にもよりますし、新型コロナウイルスに関しては、極々一部で報告がありますが、実際の所はどうなのかは不明です。

言えることとしては、人類は誕生して以来、動物と共存してきた、ということです。
過度な心配はしても仕方がないでしょう。

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生産性・業務効率化

「紙の名刺」が無くなる時代に~名刺交換はオンラインで!~

新型コロナウイルスの対策を検討している政府の専門家会議において、「新しい生活様式」が提言されました。
その中には「働き方の新しいスタイル」という項目が含まれており、更にその中には「名刺交換はオンライン」という言葉が書かれていました。
紙の名刺が無くなり、名刺交換はオンラインで行われる時代が、ようやく来るのでしょうか?

忙しい人向けまとめ

  • 政府の専門家会議より「新しい生活様式」が提言されている
  • その中には「働き方の新しいスタイル」も含まれている
  • テレワーク(リモートワーク)に加え、名刺交換についてもオンライン上で行うことが提言されている
  • オフィスへの出社も、会議も、そして紙の名刺も基本的には無駄
  • Sansan社の提供する「Sansan」や「Eight」を使えば、誰もが簡単に名刺交換をオンラインでできる

政府専門家会議より「働き方の新しいスタイル」が提言されている

政府の専門家会議の提言

新型コロナウイルスの対策を検討している政府の専門家会議において、「新しい生活様式」と題する対応案が提言されました。
影響が長期化することを前提に、感染拡大を長い目線で防いでいこうというものです。

内容としては、手洗いなどの基本的な感染対策から、日常生活上のエチケットや、新しい働き方への提言などが含まれています。

今回ポイントとしたいのは、最後の「働き方の新しいスタイル」の部分です。

働き方の新しいスタイル

専門家会議が提言した「働き方の新しいスタイル」について抜粋します。
資料全体は、末項の参考部分に元資料がありますので、そちらを参照ください。

  • テレワークやローテーション勤務
  • 時差通勤でゆったりと
  • オフィスはひろびろと
  • 会議はオンライン
  • 名刺交換はオンライン
  • 対面での打合せは換気とマスク着用

これまで、これからの時代、テレワーク(リモートワーク)は当たり前になってくるよね、ということを書いてきました。

強制的にリモートワークを実施して、多くの方が改めて「通勤っていらなくね?」「やっぱ、会議って無駄だよね」「(というか上司いらなくね?)」ということに気が付いたことかと思います。
仕事ができる人にとって、通勤や特に会議(商談もね)は時間を浪費させるだけの代物で、生産性はあまりありません。
言いたいけれども、世の中の風潮がそうはなっていなかったことが、ここにきていきなり明確になったのです。

はっきりと言います。
会議や商談は、仕事ができない人が、頑張って忙しく仕事している風を装うためのものです。
(一応、事前にアジェンダを決め、ゴール設定をし、参加者が必要な情報を頭にインプットしている前提の、極めて短時間のミーティングは有用だと思っている。ただ、1回の会議で1時間とか2時間とかって、かける必要全く無いと思うんだ。もちろん内容にもよるけれど。)

今回、政府の専門家会議より提言があったものに、リモートワークの話に加え、これまでどうしても納得のいかなかったものについて触れられていました。
そう、「名刺」です。

ようやく紙の名刺が無くなる時代が来るか?

紙の名刺っていらないよね

名刺管理クラウドサービス大手のSansan株式会社を中心に、先進性の高い企業やオピニオンリーダーが紙の名刺を不要とした提言をしてきました。
ただ、世の中のマジョリティは、やはり紙の名刺をベースにした、旧来のビジネスコミュニケーションをとってきました。
今でこそSansan社の名刺管理サービス「Eight」は一般的なものになってきましたが、数年前までは「流行りもの好き」扱いされたものです。

リモートワークが当たり前になる時代も、紙の名刺が無くなる時代もまだまだ先だと思っていましたが、良くも悪くも、一気にそのような風潮が到来しました。
今回は、それに政府の専門家会議からの提言もあるわけです。

なお、名刺の交換そのものはいらないとは思っておらず、一定の有用性があると考えています。
全くの初対面の相手ですと、どのような人でどういうポジションについているのかは当然わかりません。
相手の知識の度合いや、仕事に対する温度感もわからないので、話をするにしても、情報のメッシュ感をどれくらいの粒度に設定するか、掴みづらいものです。
ですので、最初の挨拶は名刺を元に、軽く挨拶と自己紹介をして、相手のことを掴むというのは必ずしも無駄だとは思っていません。
(ようは、アイスブレイクに使える、ということですね。)

しかし、別にそれが「紙」である必要性が無いのです。

名刺交換はオンラインでできる

名刺交換オンラインサービスは、現状ほぼほぼSansan社の独壇場です(シェア8割以上)。
他にもLINE社が提供するLINE myBridgeもありますが、セキュリティ的に不安に思う人もいるでしょうから、現状ではSansan社一択の状況かと思います(まわしものじゃないですよ)。

Sansan社が提供する名刺交換オンラインサービスは大きく2種類が存在します。

  • Sansan
  • Eight(企業向けプレミアムと個人向けプレミアム、個人向け無料プランがある)

「Sansan」は全社的な名刺データサービスを構築するものです。
ザ・モデル型のセールス活動を行うため、効率的に取引先情報をデータベース化し、リード獲得からカスタマーサクセス活動にまで活かしたい場合は、「Sansan」を導入するのは、検討の価値があるかと思います。

「Eight」は、あくまでも個人レベルで名刺管理を行うものです。
これを企業向けプレミアムで契約すると、各々の名刺情報を社員同士で相互に閲覧できるようになります。
ただの共有レベルでの活用ならば「Eight」で良いでしょう。

オンラインでの名刺交換の方法

それでは実際に名刺交換をオンラインでやる方法を参考までに紹介します。

結論、QRコードでやります。

スマートフォーンに表示したQRコードをカメラにかざし、先方が画面越しで読み取れるようにすれば良いです。
その際の注意点としては、Zoomなどのバーチャル背景を使用している場合で、名刺交換のタイミングでバーチャル背景をオフにした方がよいでしょう。
スマートフォンが背景で隠れてしまう場合もあるからです。

もう一つが、バーチャル背景にQRコードを埋め込む方法です。
会議に途中参加する場合、一々名刺交換をしていては煩雑ですから、背景にQRコードを表示して、いつでも読み取れるようにすると利便性は向上しますし、配慮も行き届いている感があって良いです。

どちらの方法もEightとZoomを利用している前提ですが、詳細な方法がSansan社ブログにありましたので参照ください。

最後に

これまで見てきた通り、リモートワークやWEB会議だけでなく、名刺交換もオンライン上で簡単にできるような時代になりました。
決して特別なIT知識が必要なわけではなく、大多数の人が当たり前に使える、本当に簡単なものです。

結局の所、ハードルになるのは「固定概念」(とそれに凝り固まった人たち)だけです。

ようやく、紙の名刺を無くせる風潮が来たのです。
人生の貴重な時間を無駄に浪費しないためにも、ビジネスを効率的に進めてより高い業績を出していくためにも、今回のウイルス騒動を逆にチャンスにして、不要な固定概念を取り払っていきたいものです。

揺り戻しでアナログな文化が逆に持て囃され過ぎないことを、願うばかりです。

(参考)「新しい生活様式」の実践例(厚生労働省公開資料9ページ)全文

(1)一人ひとりの基本的感染対策

感染防止の3つの基本:①身体的距離の確保、②マスクの着用、③手洗い

  • 人との間隔は、できるだけ2m(最低1m)空ける。
  • 遊びに行くなら屋内より屋外を選ぶ。
  • 会話をする際は、可能な限り真正面を避ける。
  • 外出時、屋内にいるときや会話をするときは、症状がなくてもマスクを着用
  • 家に帰ったらまず手や顔を洗う。できるだけすぐに着替える、シャワーを浴びる。
  • 手洗いは30秒程度かけて水とせっけんで丁寧に洗う(手指消毒業の使用も可)

※ 高齢者や持病のあるような重症化リスクの高い人と会う際には、体調管理をより厳重にする。

移動に関する感染対策

  • 感染が流行している地域からの移動、感染が流行している地域への移動は控える。
  • 帰省や旅行は控えめに。出張はやむを得ない場合に。
  • 発症したときのため、誰とどこで会ったかをメモにする。
  • 地域の感染状況に注意する。

(2)日常生活を営む上での基本的生活様式

  • まめに手洗い、手指消毒
  • 咳エチケットの徹底
  • こまめに換気
  • 身体的距離の確保
  • 「3密」の回避(密集、密接、密閉)
  • 毎朝で体温測定、健康チェック。発熱または風邪の症状がある場合はムリせず自宅で療養

(3)日常生活の各場面別の生活様式

買い物

  • 通販も利用
  • 1人または少人数ですいた時間に
  • 電子決済の利用
  • 計画をたてて素早く済ます
  • サンプルなど展示品への接触は控えめに
  • レジに並ぶときは、前後にスペース

娯楽、スポーツ等

  • 公園はすいた時間、場所を選ぶ
  • 筋トレやヨガは自宅で動画を活用
  • ジョギングは少人数で
  • すれ違うときは距離をとるマナー
  • 予約制を利用してゆったりと
  • 狭い部屋での長居は無用
  • 歌や応援は、十分な距離かオンライン

公共交通機関の利用

  • 会話は控えめに
  • 混んでいる時間帯は避けて
  • 徒歩や自転車利用も併用する

食事 ・持ち帰りや出前、デリバリーも

  • 屋外空間で気持ちよく
  • 大皿は避けて、料理は個々に
  • 対面ではなく横並びで座ろう
  • 料理に集中、おしゃべりは控えめに
  • お酌、グラスやおちょこの回し飲みは避けて

冠婚葬祭などの親族行事

  • 多人数での会食は避けて
  • 発熱や風邪の症状がある場合は参加しない

(4)働き方の新しいスタイル

  • テレワークやローテーション勤務
  • 時差通勤でゆったりと
  • オフィスはひろびろと
  • 会議はオンライン
  • 名刺交換はオンライン
  • 対面での打合せは換気とマスク着用
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経営企画

外出自粛の影響で食品スーパーの方向性が定めやすくなったのでは

新型コロナウイルスの影響でネットスーパーが混雑し、利用しづらい状況にあるようです。
それに併せて出始めたのがドライブスルー型のサービスです。
これを見ていて思ったのが、顧客像がはっきりとしてくるのでは、あわせて食品スーパーの方向性を定めやすくなったのでは、という点です。

ドライブスルー型食品スーパーが増え始めている

ドライブスルー型食品スーパーが増え始めている。

にわかにドライブスルー型食品スーパーのサービスが増え始めています。

大規模チェーンである「イオン」の一部店舗や、関西エリアを中心に展開しているスーパー「オークワ」の一部店舗をはじめ、いくつかのお店で試験的に取り組まれているようです。

新型コロナウイルスの影響により、ネットスーパーが混雑し、なかなか利用できないという状況が各所で起きているようで、その折衷案としてドライブスルー型が受け入れられるようになってきたのでしょう。

ネットスーパーも以前は厳しい状況だった

ネットスーパーも以前までは厳しい状況が続いていました。
食品スーパーは元々薄利多売なモデルのため、わざわざ在庫管理・受注管理をし、ピッキングをし、そこから配送をして、という事をやっていたら採算があいません。
そのため、例えば5,000円以上の利用などでない限り送料をとるなどしないと、とてもじゃなければ儲からないのです。
そのため、利用者としても、一度にそんなに買い物をしたいわけでもなく、なかなか利用しづらい、という環境にありました。

下記は食品販売業態の利用状況のアンケートですが、ネットスーパーの利用は事実上10%以下でした。

株式会社プラネット <ネットスーパーに関する意識調査>スーパー(実店舗)vsネットスーパー、便利で得なのはどちら? 2018年9月11日

そんな状況を一変させたのが新型コロナウイルスです。
外出自粛の中、ネットスーパーが混雑するという状況が発生したのです。

GoogleTrends「ネットスーパー」「日本」「過去12か月間」「すべてのカテゴリ」「ウェブ検索」で検索

ドライブスルー型食品スーパーはラストワンマイル問題を解決する

ネットスーパーの一番の問題は宅配です。

在庫管理・受注管理、ピッキングまでは、お店側のオペレーション努力でなんとかなるかもしれません。
しかし宅配は、食品スーパーが培ってきたノウハウが流用できません。
しかも、食品は温度変化に弱い中、届けたと思ったら不在だった、ということもありえます。
無駄にリスクが高まります。
(宅配、は一見簡単なように見えるが、まあまあ高度なノウハウが必要。)

ネット上で購入した利用者が、自分で取りに行く形になるので、クリアしなければならない課題の一つであるラストワンマイル問題が大きく前進するのです。

新型コロナウイルスの影響が落ち着いた後も、保育園の送り迎えなどで忙しい家庭などをはじめ、一定の需要が見込めるため、地域によっては継続して提供され続けるものと推測されます。

顧客像がはっきりとしてくるのではないか

これらの状況を見ていて思ったのが、食品スーパーの方向性、つまり店舗コンセプトが定めやすくなったのでは、という点です。

これまで食品スーパーは、もちろん地域毎に特色を出したりするなど営業努力がされてきました。
しかし、特定の誰か、というよりかは、その地域全体のばくっとした傾向の中でのコンセプト設計であったと理解しています。
つまり、今までは店舗という箱の中で、若い独身の方から高齢者世帯まで、幅広い人たちが買い物をしており、特定の顧客像というものを定めづらい状況にあったはずです。

そのような中、リアル店舗、ドライブスルー、ネットスーパーと、提供のチャネルが変わってくると、利用する顧客層がわかれて、顧客像がはっきりとしてくるはずなのです。

例えば下記のようなイメージです。

  • リアル店舗 ⇒ 従来通りの顧客層
  • ドライブスルー ⇒ 送り迎えが必要な子育て世帯、外で働き仕事帰りにピックアップしたい人
  • ネットスーパー ⇒ リモートワークで働く夫婦、重い物を持てない高齢者世帯

ドライブスルーやネットスーパーは、年齢や性別や世帯状況などを情報として取得しやすい環境にあることも指摘できます。
(個人情報の入力欄は、氏名と住所以外は任意入力にしつつ、各情報を入力するとポイント付与なり割引なりがつくようなイメージにすると、情報を得やすいと思う。)
これからの食品スーパーは、得られたデータと地域毎に微妙に異なるニーズにあわせて、リアル店舗、ドライブスルー、ネットスーパーの各チャネルを細かく調整できる所が業績を伸ばすのでは、と考えました。

食品スーパー業態の乱が起きるかもしれないと想像すると、今後どうなっていくか、楽しみです。

おまけの雑談

ものすごくどうでも良いのですが、食品スーパーにいくと、にこやかな雰囲気の動物のイラストや、顔がかかれた野菜のイラストなどが描かれていることがあるじゃないですか。
あれらって食材なわけなので、結構シュールですよね。

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経営企画

無印良品(MUJI)がAmazonに出店、今後の戦略を注視

株式会社良品計画、つまり「無印良品」が日本最大のECサイト「Amazon」での商品販売を開始しました。
5月1日からで、約250商品の取扱いからとのことです。
これまでオウンドメディアにこだわり、D2C戦略をとってきた無印良品が、今後どのようなチャネル戦略をとっていくのでしょうか?

「無印良品」がAmazonに出店

株式会社良品計画、つまり「無印良品」が日本最大のECサイト「Amazon」での商品販売を開始しました。
5月1日からで、約250商品の取扱いからとのことです。

新型コロナウイルスの影響に伴う営業自粛を行っており、その意味で「今できること」への取り組みということでしょう。
良品計画は自社ECサイトを持っていますが、自社単独では限界がある、ということでもあるのでしょう。

興味のある今後の注視ポイントとしては、これまでの良品計画のブランド戦略との整合を、どのように考えていくのか、ですね。

これまでの良品計画の考え方

良品計画の戦略

良品計画はこれまで、オウンドメディアに強い拘りをもっていました。
オウンドメディアベースのオムニチャネルマーケティングにより、ECサイト-アプリ-リアル店舗の導線を強化してきたのです。
つまりD2Cモデルの徹底浸透を行っていたわけです。

なお、上記で使用したよくわからん横文字が一般的になる前からの取り組みであるので、その徹底ぶりと、先見性を感じます。
今現状のウイルス感染拡大の影響が無ければ、ブランディング・流通構築における良いお手本と言えます。

(参考)上記で使用したよくわからん横文字の意味

  • オウンドメディア:自前媒体での各種PRメディアのこと。「自社メディア」じゃだめなのかなぁ。
  • オムニチャネルマーケティング:直接・関節問わず、またPC、モバイル、オフライン(リアル店舗)とタッチポイントを横断し、複数のチャネルで顧客との接点を持とうとするマーケティング戦略のこと。マルチチャネルとは違うもののようです。
  • D2C:メーカー発企画の商品を自前チャネルで直接消費者に販売するモデルのこと。「直接販売」じゃだめなのかなぁ。

Amazonに出店せざるを得ない厳しい状況

それでは、良品計画の業績を見てみると(2020年2月期)、EC売上高は222億円(前期比+11.2%)、EC化率は6.8%(前期比+0.2%)とのこと。

アプリ「MUJI passport」のダウンロード数が伸びている一方、ECの拡大は微妙な印象です。
(アプリダウンロード数は1,676万で前期比+25%)

営業自粛しECサイトへの誘導を、と行きたいところなのでしょうが、上述の通り、自社単独では限界がある、ということでもあるのでしょう。

今後の戦略をどうしていくのか

Amazonではブランディングが難しい

Amazonは9割9分の日本人が知っているであろう、日本最大のECサイトです。
集客力は日本最強で、取扱い商品も日本最大。
一方、玉石混合、値段も安いのから高いのまで、様々に取り揃え、様々なプレイヤーが覇を競い合うプラットフォームです。
(説明するまでもないでしょうが。)

なにを言いたいのか、というと、Amazonではブランディングが難しいのです。

良品計画はブランディングを重視してきた

良品計画は徹底した思想を持っています。
そして、その思想を元にブランディングを行ってきました。

【金井】デザインということで言えば、おそらく世界中を見渡しても、無印良品のように、生活の全領域を1つの思想でデザインしている会社はほかにないのではないかと思っています。
(略)
【ダグ】ストーリーですね。一つ一つの商品にストーリーがある。

【金井】そう。我々は「意味」とか「わけ」とか言ったりしています。無印良品では、これらを最初から最後まで一貫してデザインしている。こんな会社はなかなかないのではないでしょうか。

プレジデントオンライン 無印良品がアマゾンをズルいという理由 2019年7月30日

この思想をベースに醸成されてきたブランドがあるため、一部の顧客に対して強く刺さる商品となっているのです。

以前、ファミリーマートで無印良品ブランドが取り扱われていた時期がありましたが、今では取扱いがありません。
ファミリーマートと良品計画では、資本的なつながりはあっても、ブランドに対する考え方が全く異なります。
最終的には、ファミリーマートの顧客は無印良品を買うことがない、ということで(ファミリーマート側からの申し出で)取扱いが無くなったわけですが、当然の帰結と言えます。

今後、Amazonというプラットフォームで展開していくにあたり、どのようにブランディング戦略を構築していくのか、そしてそこから如何にチャネルを構築していくのか。
ここが最大の注視ポイントです。

Amazon ⇒ 何か ⇒ 自社ECへの導線を作れるか

Amazonへの出店は、おそらく致し方なく、なのでしょう。
その致し方なくのなかで、どうやってAmazonで自社を差別化できるのか?という方向で進むことを意思決定したと考えられます。

Amazonへの出店により、これまで接点が無かった(持てなかった、ではなく無かった)顧客との接点が生まれるでしょう。
その中での購買体験を通じて、ブランディングと、自社への誘導が如何にできるか。
既存ファンの自社ECサイトへの誘導では尻すぼみです。

つまり、Amazon ⇒ 何か ⇒ 自社EC この導線を如何に作るかです。

しかしまあ、変化対応力、決断力の凄い会社ですね。

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マーケティング

ただの石鹸・ハンドソープでも〇〇がつくと売れるらしい。

自宅のハンドソープが切れそうになり補充を、と思ったら、いつもの商品は売れ切れの様子。
他のハンドソープは残っていたのに、〇〇という言葉がつくと売上が伸びる模様です。

「〇〇」

〇〇がついただけで品薄になっている

次のグラフを見て下さい。

まず、これは「石鹸」というキーワードのGoogleTrendsの検索推移です。

「石鹸」「日本」「過去12か月間」「すべてのカテゴリ」「WEB検索」で検索

それに対して「石鹸」というキーワードに、ある言葉が加わると、次のように変化があります。
2020年3月後半から劇的に検索数が伸びています。

「薬用石鹸」「日本」「過去12か月間」「すべてのカテゴリ」「WEB検索」で検索

そう、タイトルの〇〇は「薬用」です。

地域にもよるのでしょうが、検索数に比例して、「薬用」という名前が入った石鹸・ハンドソープの売上が伸び、品薄になっているようなのです。

実際の所、効果的にはどうなんだろう、、、?

こちらのグラフは、普通の石鹸と薬用石鹸で、どれだけ菌を落とせるのかを比較したグラフです。

除去率で換算すると普通の石鹸が約95%で、薬用石鹸が約98%と、確かに薬用石鹸の方が効果は高いのですが、実際の所は大差があまりありません。
多くの消費者は、この事実は当然知らないでしょうが、「薬用」という言葉がつくと、非常に高い効果があるような印象を持つのでしょう。
特に、今直近の状況もあるので。

これは別に良い悪いの話では無いです。
同じような効果があるのならば、少しでも売上があがるネーミングにするのは当然のことです。

そのため、実際どれくらいの宣伝効果があるのかは不明ですが、普通の石鹸の箱に「ウイルス除去に」とでも印刷するなりシールを貼るなりすれば、売上アップにつながるかもなぁ、と思った次第です。

キャッチの力

キャッチの力

ネーミングやキャッチコピーは、時折、おそろしい力を見せることがあります。

ここ最近でも、こんなツイートがバズっていました。

ベーグル専門店、つまりパン屋さんですが、緊急事態宣言前に冷凍保存が可能な旨を宣伝し、売上を伸ばした、という内容です。

上述の薬用石鹸・ハンドソープもそうなのですが、その時代、そのタイミングで適切なものを投下すると、爆発的な効果を発揮します。
薬用の場合は、そのまま成り行きで売上が伸びているだけでしょうけれども、それでも増産する商品のコントロールはできるはずです。

ちなみに普通のパンでも、冷凍すれば30日はもちます。

(追記)こんなのもありました。

如何にお客様に届けるか

「良いものを作っていれば売れる時代は終わった」と言われて久しいですが、未だ日本の多くの企業はマーケティングを軽視しているように見えます。
(もしくは、マーケティング部門という形だけの箱を作って、予算を消化するだけの部署になっている所が多い印象。)
消費者の中にも、広告を毛嫌いしている人は大勢います。

しかし、マーケティング(広告)があるからこそ企業は消費者に自社の価値を正しく伝えることができるし、消費者は、世の中にこんな商品があるんだ、ということを知ることができます。
マーケティングや広告は、何も動画の合間にうざかったりくどかったりするCMを流したりとか、テカテカしていて結局何を言いたいのかわからないチラシを作るとかだけではありません。
上記がその好例です。

今回あげた例は、極めて身近な、しかもシンプルな例です。
ヒントや気づきというものは、結構あちらこちらに転がっているものです。
薬用石鹸の件は、改めてそのことを考えさせられました。

何を当たり前のことを言っているんだ、と受け取るか、ちょっとしたことからでも示唆を得ようとする心意気でいるか。
「如何にお客様に届けるか」という気持ちがあるならば、後者の姿勢であるべきでしょう。

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フェルミ推定・ロジカルシンキング

【今日のフェルミ推定】スイーツ制作キット・サブスクリプションはチャンスになるか?

洋菓子店の明暗がわかれているようです。
都心の百貨店は売上が減る仲、EC売上や、各地域の個人店は横ばい、ないしは売上が増えている所があるようです。
一方、個人の消費者では、自宅でお菓子を作る機会が増えている模様です。
今回は、個人向けにスイーツ制作キットを販売した場合の市場規模について考えていきます。

お題:スイーツ制作キット・サブスクリプションの市場規模を求める

今回の条件は、次の2つ位でしょうか。

  • ケーキミックスに加え、レシピ冊子、器具類が毎月届くサービス
  • 先駆者の立場として、市場シェアを一気に取る想定

なお、海外ですと、リンク先のようなサービスがあるので、荒唐無稽な話では無いですね。

それでは考えてみて下さい。

試算:既存のデータから逆算していく

今回はある程度、ベースとなるデータから市場規模を逆算して行こうと思います。
スイーツ制作キットですので、自宅でのお菓子制作に興味のある、ライトユーザーが対象になると想定されます。
混ぜて焼けばできる系の商材から、利用者数を考えてみます。
つまり、「プレミックス」のデータを参照します。

プレミックス市場全体の売上高はおおむね160億円です。

このプレミックス市場の内、ホットケーキ、パン、ケーキ、焼き菓子系と言った、スイーツ系プレミックスの比率は約45%です。

KSP-POS マーケットトレンドオープンレポート

つまりスイーツ系のプレミックスの市場は約72億円と考えられます。

この約72億円から、サブスクリプション・モデルで毎月販売するモデルでサービス提供をした場合の利用率想定を設定し、そこから利用人数を計算してみます。
利用率想定は1%、プレミックスの値段想定は300円とします。

これは、正しい間違っている、はさして問題ではないので、とりあえず適当におけばOKです。

利用人数としては、想定20,000人の方が利用するイメージになりました。

ここから、先駆者の立場としてどれだけシェアをとるのか(市場を創造するのか)、そしてその他の材料やレシピ、料理キットなどを付け加えて、その付加価値分の値段の上乗せをするのか、を考えてみます。

MAXシェア想定は20%、値段の上乗せ分は1,700円、つまり販売額は2,000円/月とします。

4,000IDをとる前提で、年額約1億円の売上と算出されました。

結論:小規模法人がチャレンジするのは面白いかも

事業規模として、約1億円の売上高では小さいと言わざるをえません。

利用回数を月1ではなく、月2のプランを用意したり、材料の質や種類などを増やすなどしたプレミアムプランを用意したとしても、精々が2億円ほどでしょう。

売上がそのまま利益にはならず、材料費だけでなく、マーケティングコストもかかるので、利益としては微々たるものになるはずです。
それならば、既存商品(焼き菓子などの賞味期限の長いもの)をベースに、ECでの販売を行う方が、やりやすいと言えるでしょう(実際、EC販売に流れているわけで)。

逆に言うならば、地域で2,3店舗展開しているサイズ感の洋菓子店が、この1億円を取りに行く、というのは面白いかもしれませんね。
Twitter、Youtubeなどの媒体と交えてやれば、まあまあいけるかもしれませんね。

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