【経済統計・景気動向】新型コロナウイルスによる景気・経済への影響(2020年2月~4月)

統計・経済

新型コロナウイルス影響による経済統計・景気動向について、2020年2月~4月までの状況を整理しました。
消費支出に大きな落ち込みがあるものの、全体感としては、まだ数値には表れていない条項です。
今後の動向が多いに懸念されます。

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忙しい人向けまとめ

いずれも、2020年2月~4月の統計・景気指標になります。
以下、「現時点」は2020年2月~4月頃を指します。

  • 景気動向指数では大きな影響が出ていない
  • いわゆる「不要不急」な消費支出は大きく落ちている
  • 失業率には変化がないが、有効求人倍率が低下し、就労環境の悪化が出始めている
  • 企業倒産件数はまだ増えていない、金融資産の現金化や借入の増加でしのいでいるのでは
  • 日経平均は2年半ぶりに20,000円を下回っている(2ヶ月連続)
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景気動向指数では大きな影響が出ていない

現時点では、景気動向指数、各種産業活動指数に大きな影響は出ていません。

景気動向・産業指数
景気動向・産業指数

ここ数ヶ月の全体的な落ち込みは、新型コロナウイルスの影響ではなく、米中貿易戦争や消費税増税の影響によるところが大きいです。
先行指数は91.7、一致指数は95.5です。

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いわゆる「不要不急」な消費支出は大きく落ちている

消費統計は、特に2020年3月で影響が見えます。

消費統計
消費統計

消費支出は消費税増税の影響から抜け出し、前年比トントン位で着地(▲0.3%)。
小売業販売額は、おそらく飲食店をはじめとしてマイナスがある一方、家庭での消費は増えたでしょうから概ね相殺されて▲4.6%の着地です。

一方、百貨店売上高は▲33.4%と激減、旅行取扱高も▲18.9%となっています。
百貨店のテナント引き揚げやそれによる箱の業績悪化、旅行関連業種の倒産が懸念されます。

新車販売台数
新車販売台数

同様、新車販売も大きく落ち込んでおり、昨年対比▲28.7%となっています。
直近4月の販売台数と過去1年間の販売台数平均で比較すると▲35.7%となり、2020年4月は過去にないレベルの減少となります。

全体として、いわゆる「不要不急」な消費支出が大きく落ちている、という状況です。

失業率には変化がないが、有効求人倍率が低下し、就労環境の悪化が出始めている

労働統計としては、まだ現時点では大きな変化がありません。

労働統計
労働統計

この表の通り、常用雇用者指数は2%前後を維持しており、完全失業率も若干の増加の兆しが見えるものの2020年3月で2.5%の着地となっています。

有効求人倍率
有効求人倍率

一方、有効求人倍率は落ち込みが激しくなっています。
米中貿易戦争や消費税増税の前後から落ち込みが始まっているのですが、2020年3月で1.39倍と、2020年4月から2019年6月までの期間1.6倍を超えていたことを考えると、かなりの急落です。
今後の動向が懸念されます。

所定外労働時間
所定外労働時間

参考程度ですが、所定外労働時間は20ヶ月連続で減少を続けています。
労働環境そのもので見た場合には、改善が進んでいる状況です。

企業倒産件数はまだ増えていない、金融資産の現金化や借入の増加でしのいでいるのでは

企業倒産件数は、まだ大きな増加は見られません。

企業倒産件数とM3増加率
企業倒産件数とM3増加率

2020年3月は740件の着地となりました。
過去1年間の平均が713件なので、増加傾向は見られますが、まだこれからということなのでしょう。

併せてM3増加率を見た時に、2020年3月で2.7%となっており、過去1年間と比較して+0.6%となっています。
金融資産の現金化、銀行借入の増加により、現状は倒産を防いでいる、なんとかしのいでいる、という状況と考えられます。

今後、影響が長期化すれば、急激に倒産件数が増加していくことは間違い無いので、今後の動向が懸念されます。

日経平均は2年半ぶりに20,000円を下回っている(2ヶ月連続)

日経平均は当然ですが、落ち込みを見せています。

日経平均、上場株価時価総額
日経平均、上場株価時価総額

2年半ぶりに20,000円を下回る状況が続いており(2ヶ月連続)、あわせて上場企業時価総額も低下しています。
マネーサプライの状況によっては大暴落もありうるので、こちらも併せてウォッチしていく必要があります。

(参考)資料の一覧と出典元

資料の一覧と出典元

各グラフの元データは下記になります(Excelデータ)。

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