【部下のマネジメントと一緒】休業要請に応じないパチンコ店の店名公表は逆効果

マネジメント・リーダーシップ

非常に多くのリアル店舗が営業自粛や短縮営業などに協力している一方、一部の「遊技場」、つまりパチンコ店は休業要請に応じていません。
そのような中、各自治体は店名の公表という「晒し」による処罰に動いています。
しかし、これは逆効果です。
ビジネスにおける部下のマネジメントと一緒です。

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忙しい人向けまとめ

  • 処罰の公表は、状況の改善につながらず、かえって事態を悪化させるリスクがある
  • 一言で表現するならば「逆効果」
  • 制裁感情・処罰感情を満足させるだけのことにどれだけの意味があるのか
  • 人はロジックではなく感情で動いているが故に、自分はロジックで動かなければならない。
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店名の公表は逆効果

パチンコ店というものは、比較的大多数の国民から、悪感情をもたれている業種です。
その影響もあるのか、昨今の状況を踏まえた休業要請に応じないことに対して、極めて強い意見があちらこちらから出ています。

各自治体では、休業要請に応じない店舗について、店名の公表を実施、もしくは公表の検討を行っています。

しかし、これは逆効果です。

遊技場の使用を「やりたい層」「やりたくない層」、店名の公表を「する」「しない」でマトリクスを作成
「やりたい層」にとって店名の公表を「する」ことは、営業している店舗がわかりやすいので嬉しい
「やりたくない層」にとっての制裁感情を満足させるだけ
「やりたい層」にとっては、世の中の反発をうけて、かえってアウトロー精神を醸成させてしまうリスクも考えられる

この表の通り、「やりたい層」にとって、店名の公表は、むしろ「営業している店舗がわかりやすいので嬉しい」という状態です。
店舗にとっても集客効果はあるので、改善は難しいでしょう。
(公表をうけての更なる休業要請で、ようやく休業に応じた店舗もあるようですが。店舗と現場担当者間での交渉の結果として、更に休業に応じる店舗が増えれば良いですが。)

「やりたくない層」にとっての処罰感情の充足のみが図れるだけになるのではないでしょうか。
また、「やりたい層」にとってみれば、自分たちがただ遊びたいだけなのに、何でこんなに一方的に叩かれなければいけないのか、と思うはずです。
世の中の反発をうけて、かえってアウトロー精神を醸成させてしまうリスクがあります。

また、一定の偏見を込みで書くのならば、「やりたい層」は衛生リテラシーも低いと推測されるため、仮に3密と言われる遊技場空間を閉鎖したとして、どこまで感染拡大の防止につながるのかが疑問です。

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部下のマネジメントと一緒

この話は、ビジネスの現場における部下のマネジメントと一緒です。
社員が何か失態をし、それに対して会社として処罰をしなければいけない、という状況を想定します。
失態をした社員が、素行不良社員の場合と、普段は問題がない優良社員の場合で考えます。

処罰対象が素行不良社員の場合

従業員の反応を「素行不良社員」と「周囲の社員」、処罰の公表を「する」「しない」でマトリクスを作成
処罰の公表は、素行不良社員の反発心を抱かせ、かえって素行が悪化するリスクがある
周囲の従業員の処罰感情を充足させるだけ

この表の通り、素行不良社員にとって、処罰の公表は、反発心を抱かせるだけで、かえって素行が悪化するリスクが高まります。
普段から迷惑をうけていた周囲の社員の処罰感情を充足させるだけで、上述の状況と一緒です。

むしろ、処罰を内々に収めて、素行不良社員からの信頼を得る方が、後々のマネジメントのやりやすさにつながる可能性があります。
この場合は、周囲の社員の処罰感情が充足されませんので、個別にケアが必要でしょう。

処罰対象が優良社員の場合

従業員の反応を「優良社員」と「周囲の社員」、処罰の公表を「する」「しない」でマトリクスを作成
処罰の公表は、優良社員の内心の恨みを蓄積させ、表面上は事態がおさまっても離反リスクを高める
周囲の従業員も委縮してしまい、組織としてマイナスになる

この表の通り、優良社員にとって、処罰の公表は、恨みの蓄積につながります。
表面上は事態は収まるでしょう。
普段から優良なので、叱責は素直に受け入れ、行動も改善するでしょう。
しかし、組織に対する安心感は低下するので、将来的な離反リスクを高める結果につながります。

周囲の社員にとっても、普段から真面目に働いていても、何かあったら「晒される」となると、委縮してしまうでしょう。
組織にとって、マイナスの結果につながります。

この場合は公表をせず、内々に収める方が良く、優良社員からの信頼を勝ち得る可能性が高いと考えられます。

まとめ

国でも会社でも、処罰というものは必要でしょう。
罰なしに行動を改善できる人たちばかりではありません。

しかし、そのやり方次第では、表面上問題が無くなったように見えるだけで、事態を悪化させるだけという結果につながるリスクがあるのです。

特に処罰の公表はマイナス影響があることは理解すべきです。
普段、「人はロジックではなく感情で動いている。」と言う方々が、この種の話題になると突然、感情で行動・発言してしまう様子を散見し、首をかしげている次第です。

今回の状況に関して言うならば、短期の改善は難しく、そこにあてるリソースはコスパが悪いので、長期的視座に立って法改正のための働きかけを国民側からする方が良いと考えられます。
業態としては急激な縮小が進んでいることもあるので、素直に放置するという選択肢もありえます。

「人はロジックではなく感情で動いているが故に、自分はロジックで動かなければならない。」
考えるようにしましょう。

(追記)残念ながら予想通り

残念ながら予想通り、蓋を開けてみれば大行列という結果になってしまいました。
「何を目的に、対策を実施するのか?」
これを見失ってしまうと、このような結果になってしまうのです。
国民全体での盛大なスルー、話題にも一切上げない。
これが最適解のはずなのですが。

堺市内の店舗では開店1時間前の午前9時過ぎには整理券を受け取るために約150人の客が並び、従業員が間隔を空けるよう呼び掛けた。駐車場には神戸や和歌山など府外ナンバーの車も見られ、開店時には列は約300人に達した。

60代の男性は「毎日の習慣なので今日も来た。普段より並んでいる客が多いような気がする」と周りを見回した。

毎日新聞 店名公表パチンコ店、堺では300人行列 住民「ウイルス持ち込むかも、怖い」

(追記2)最終的に法改正にまで持っていくのが良いか?

その後、改めて考えた時に、目標設定の置き場所を変えた方が良い、と感じました。

ようは、「目の前、今の状況のパチンコ店の開店をどうにかしよう」、という話ではなく、「今後同様の事態が発生した時に、速やかに強制措置がとれるようにしておこう」という目標設定です。

西村経済再生担当大臣は27日の記者会見で、以下のように述べたとのことです。

西村経済再生担当大臣は記者会見で、「特別措置法45条に基づく『要請』にも応じない場合には今後、「指示」という、より強い措置も考えられ、すでに16の自治体から相談を受けている」と述べました。
そのうえで、「『指示』にも従わない施設が多数発生する場合は、罰則や強制力を伴う仕組みの導入に向けた法整備を検討せざるを得なくなる。
(略)」と述べました。

NHK パチンコ店「罰則や強制力伴う法整備 検討も」西村経済再生相 2020年4月27日

要請をだす ⇒ 応じない ⇒ 指示をだす(が、出すだけにとどめる) ⇒ 応じない ⇒ じゃあ、法改正しかないね!
戦術目標の達成ではなく、戦略目標として、法改正を念頭においているのならば、まあ有りなのかな、とは考えられます。

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