帝国データバンクより、企業の人手不足感が急激に低下、というリリースが出ていました。
景気が急激に後退しているので当然なのですが、そのしわ寄せは社会的に弱い立場の人たちが受けます。
従業員の過不足感
帝国データバンクの調査によると、2018年、2019年(いずれも4月)は‟不足”が正社員では約50%、非正社員では約32%、一方‟過剰”が正社員では約8%、非正社員では約6%という数字でした。
これが、この2020年4月には正社員では、‟不足”が約50% ⇒ 31%、‟過剰”が約8% ⇒ 21.9%、
非正社員では、‟不足”が約32% ⇒ 16.6%、‟過剰”が約6% ⇒ 21.6%、と急激に人材ニーズが落ち込んだ形になっています。
‟過剰”となっている業種としては、旅館・ホテル、飲食店、娯楽サービス、などをはじめとした最終消費系の業種のみならず、広告や製造業など、様々な業種があがっています。
詳細は、リンク先リリースページをご確認ください。
労働力統計
そのような状況下、実際に就業者数の変化を見てみると、数字上は過不足感の変化ほどの悪化は見受けられません。
新型コロナウイルスの影響を受け始める2019年11月(ちょうど半年前)を基準に置いてみると、2020年4月は0.98と、2ポイントの悪化という着地です。
ただ、これの内訳を見てみると、主に20代30代の若者が影響を受けていることがわかります。
‟男性”で見ると、15歳~24歳が0.93と7ポイントの悪化、25歳~34歳、35歳~44歳が098と2ポイントの悪化です。
‟女性”で見ると、15歳~24歳は0.95、25歳~34歳はあまり影響を受けなかったものの、35歳~44歳が0.94という結果になっています。
雇用種別で見ると顕著で、正規雇用はむしろ若干の増加も、非正規雇用は0.92と急激に落ち込んでいます。
4月は新卒の方や、中途でも新しく就職する方も多いので、正規雇用が多少は上昇するのはわかるのですが、非正規雇用の落ち込み方は、非常に激しいと言えます。
つまり、主に20代30代の若者、女性、非正規雇用といった、社会的に弱い立場の人たちに、しわ寄せがいっている状況と言えます。
業績が悪化すれば、人件費をはじめとしたコストカットをするのは当然であり、また日本は正社員を解雇しづらい法律のため、非正規雇用の方が調整弁になってしまうのも当たり前と言えば当たり前です。
会社が倒産してしまっては、元も子もないので、体力に限界がある会社が辛い判断をするのも当然ではあります。
また、非正規雇用という立場は弱いものだと以前からわかっていたはずですし、自己責任と言う言葉も存在します。
しかし、あまり必要があったとは思えない判断で今の経済縮小が起きていると思うと、非常にやるせない思いがあります。
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