生存者バイアス、という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
世の中には、大企業が導入している最新の制度、成功者がやっている習慣、等々、様々な成功事例があふれています。
これらは、体系化されているものであったとしても、生存者バイアスにとらわれている場合が珍しくありません。
今回は、成功事例をそのまま真似しても、あまり意味が無いよ、ということを考えていきます。
生存者バイアスとは
生存者バイアスまたは生存バイアスとは、何らかの選択過程を通過できた人・物・事にのみを基準として判断を行い、通過できなかった人・物・事は見えなくなるため、それを見逃してしまうという誤謬である。選択バイアスの一種である。
生存者バイアスの例として、ある事故の生存者の話を聞いて、「その事故はそれほど危険ではなかった」と判断するという事例がある。それは、話を聞いた人が全て「生き残った人」だからである。たとえ事故による死者数を知っていたとしても、死んだ人達の話を聞くことはできず、それがバイアスにつながる。
Wikipediaより
この解説にある通りではあるのですが、本記事での生存者バイアスとは、成功者が語ったことが成功事例になってしまう、ということです。
逆の表現をすると、死人に口なし、ですね。
そして、世の中には、様々な成功事例、成功手法の情報があふれています。
ベンチャー企業や、成長志向の高い方が、こぞって、それらの情報に触れ、活用することに取り組んでいます。
これで、果たして同じように成功することができるのでしょうか?
そんなわけ無いですよね。
(ここでの成功の定義は、とりあえず、企業であれば売上・利益がのびること、個人であれば収入が増えること、をイメージしています。
個々人により、成功の価値観や、シチュエーションによる定義は異なりますが、それらはいったん脇に置いて考えて下さい。)
成功企業、成功者の事例をそのまま真似しても、あまり意味がない
筆者が最近、この点を指摘した事例が、先進的なベンチャー企業を中心に取り入れられているOKRや1on1です。
OKRをはじめて知った時に感じたことは、上記記事でも記載をしていますが、結論から言って「OKRでできることって、別にOKRである必然性がない」という点です。
ストレッチ手法であり、適切に運用すれば効果があるであろう、ということはわかるのですが、別の方法。
例えば、ストレッチ目標を置いたKPIに、その他のイノベーション手法を組み合わせれば、それでも問題が無いはずです。
また、どこまで行ってもツールですので、そのツールの運用に習熟する必要があります。
逆に言うと、習熟していない状態で形だけ導入しても、現場が混乱するはずです。
1on1も同様です。
何か気になったことがあれば、1on1の場を持つまでも無く、その場で指導すれば良いはずですし、
コーチングとティーチングをごっちゃにしてマネジメントを失敗している管理職なんて珍しくありません。
結局、信頼感と現場を良く見れているかどうかが問題であり、つまるところ管理職の力量次第なのです。
1on1を導入してうまくいっている会社は、1on1を文化や得意手法としている、というだけで、別に1on1をしなければ企業の成長、現場のマネジメントができない、ということにはならないはずです。
(これらの手法を取り入れていても、消え去っていったスタートアップ/ベンチャー企業が山ほどあるのは、容易に想像ができますよね?)
まとめ
この2つの話は、ほんのごくごく一部の事例です。
他にも、下記の記事が参考になりましたので、見てみると勉強になるかと思います(外部記事)。
重要なのは、成功事例や手法があったとして、
- その本質は何か?
- 運用の難易度はどれくらいか?
- どのようなシチュエーション,環境で適合するのか?
ということを、しっかりと見極めることでしょう。
形から入るのが決して悪いとは思いませんが、導入すること自体が目的化してしまっているベンチャー企業を多々見ます。
まあまあありふれた話題ではあるのですが、ここに警鐘として書き留めました。
コメント