新型コロナウイルスの影響を受けて、リモートワークに移行している企業が増えています。
あわせて、オフィスを解約する動きも増加。
ここ数ヶ月、空室率の増加傾向が続いていましたが、家賃への反映は起きていない状況が続いていました。
そんな中、8月になってオフィス家賃の下落がはじまった模様です。
空室率とオフィス家賃の推移
資料は東京のオフィスビルの家賃データです。
三鬼商事株式会社が公表しているデータより作成しています。
オフィスの空室率は新型コロナウイルス感染拡大後、上昇を続けていました。
オフィスは解約したくなったら、じゃあ解約しましょう、とはならない場合が一般的ですので(3ヶ月以上の解約予告期間がある)、5月頃から悪化の兆しが見え始め、6月以降から顕著に空室率が増加をはじめました。
8月の空室率は既存ビルで3.09%、新築ビルで2.46%となっています。
1年契約のものや、定借のものもあるので、これから益々悪化していく事が想定されます。
家賃の推移は次の通りになります。
オフィスの家賃は元々上昇傾向にあり、新型コロナウイルス感染拡大後もしばらくは上昇が続いていました。
変化の兆しが見え始めたのが2020年8月です。
新築ビルは相変わらず上昇を続けていますが(7月32,954円/坪、8月33,235円/坪)、既存ビルにおいて下落が見られました(7月22,776円、8月22,588円)。
今後の注視は必要ですが、ここから下落トレンドが起きるのでは、と懸念されます。
(筆者の周囲でも、オフィスを解約する、したい、という声を各所で聞きます。オフィスを無くさないまでも、規模を縮小して、リモートワークとのハイブリッドで進める意向を持っている所が多い印象です。)
長期トレンド
長期トレンドも見てみましょう。
その前に、経済危機の歴史について簡単に見ると理解が進むでしょう。
上記は日本の経済危機の年表図です。
ここ30年にフォーカスして見ると出てくるイベントは次の3つです。
- 日本のバブル崩壊(1991年~)
- ITバブル崩壊(2000年~)
- リーマン・ショック(2008年~)
このイベント3つを前提に、推移を見てみましょう。
まずは空室率です。
次に家賃です。
グラフを見てわかるように、上記の経済危機イベントのタイミングで空室率の増加、家賃の下落が発生しています。
今回の新型コロナウイルス影響は、単純な経済危機という話だけでなく、人々の行動変容も起きています。
リモートワーク移行を進める企業は益々増えていくでしょう。
過去の経済危機の状況だけ見ても、空室率10%、家賃15,000円/坪位まで悪化したとして不思議ではありません。
不動産業界は、不可逆的な相場悪化を前提に事業計画を練っておいた方が良いでしょう。
今後の状況の変化を注視していきます。
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