従業員の生産性をあげるための方法は、古今東西、多くの職場で模索されてきました。
今回は、1つの示唆を紹介します。
もしかしたら、給与の前払いは従業員の生産性をあげるかもしれません。
(とはいえ、多くの経営者にとって、心理的に嫌な方法かもしれませんね。)
研究結果~給与の前払いと生産性~
インドの貧困層を対象にある実験が行われました。
内容としては、次のようなものです。
- 約400人の主に貧困層を対象に約2週間実験が行われた
- 実験の時期は厳禁が不足し、生活のために借金を行わなければいけないタイミングとした
- 労働者は飲食店用の使い捨てのお皿を製造している
- 約1月分の給与を前払いした実験群と、通常通り後払いの対照群で比較を行った
- 給与の前払いを受けた実験群は、平均生産性が0.11標準偏差(6.2%)増加した
- さらに(皿だけに)、製造のミスも少なく、集中力が高まったことも示唆された
給与の前払いは従業員の生産性をあげるのかもしれません。
給与の前払いにより生産性が向上する理由は?
給与の前払いにより生産性が向上する理由は、端的に言えば、お金が無いことによる心理的ストレスが軽減されるからであろうと推測されています。
多くの研究が、“現金が無い”という状況、つまりはお金の心配がストレスを生む、精神的負担になることを示唆しています。
(また、そんなの研究によらず、多くの方が実体験としてわかっているはずです。)
貧困が、寄生虫のように、有益なことに使うはずの精神的リソースを奪っていく、というのですね。
研究者曰く「貧困とは、つまりは“徹夜をしたようなもの”だ。」
つまり、給与を前払いすることにより、この心理的ストレス、精神的負担が軽減され、より生産的な仕事ができるようになった可能性が示唆されます。
(関連する研究でも、この可能性が支持されているとのことです。)
活用の想定
上述の研究の効果は、貧しい労働者程、その傾向が見られるとのことです。
また、論文に記載されている内容外の一般論として、同じ施策が長く続くと“慣れ”が生じるものであるため、短期労働に効用があると推測されます。
つまり、企業がこの知見を活用しようとするならば、短期の非正規雇用を対象に前払給与の施策を導入することが考えられます。
平均生産性が0.11標準偏差(6.2%)増加する、という効果は中々大きいものです。
企業は、給与の前払いが従業員の生産性をあげる可能性を意識し、人事施策を検討すると良いかもしれません。
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