暑い日が続き、熱中症が不安になる季節です。
照度や騒音等について、生産性との関係が多く研究されていますが、果たして気温(もしくは室温)と生産性の関係はどうなのでしょうか?
約29度を超えると1度毎に生産性が3%低下する
ボストン大学の教授ら他複数大学のチームとインドの縫製メーカーがある調査を行いました。
インドの工場では、空調設備が整っておらず、非常に暑い環境で働かなくてはならないとのこと。
そのような中、照明を蛍光灯からLEDに変えてみたら、工場内の温度が低下するのではないか?それにより生産性に良い影響を与えるのでは無いか?という着想のもと、26の工場の照明をLEDに切り替え、その前後で外気温と衣服の生産性について1日ごとに調査しました。
なお、切り替える前は4分の1の工場で、工場内の温度が約29度(熱ストレスのしきい値)を超えていたとのこと。
その結果、次のような成果を得られたそうです。
- 切り替えた後は、工場内の温度が4度以上も低下した
- 温度がしきい値を超え1度上がるごとに、生産性が3%、利益が2.2%低下することがわかった
- 労働者も、暑くないと感じるようになった
- LEDに交換したコストは8ヶ月以内で回収できる計算となった
クールビズの「28度」は意外に的を得ている模様
2005年にはじまり、今ではあまり語られることが無くなったクールビズですが、「室温28度」で快適に過ごせるよう工夫しましょう、と言われています。
法律面では労働安全衛生法というものがあり、その中の「事務所衛生基準規則」では次のような規定がされています。
(空気調和設備等による調整)
第五条 (中略)
3 事業者は、空気調和設備を設けている場合は、室の気温が十七度以上二十八度以下及び相対湿度が四十パーセント以上七十パーセント以下になるように努めなければならない。
世の中的には、あまりこの28度に根拠は無い、という話ですが、意外に的を得ていると言えそうです。
とは言え、28度という環境は、わりかし暑苦しいのが現実です。
上述の話は、あくまでも「しきい値」と認識して、快適な労働環境を構築すると良いでしょう。
なお、空調の温度設定(冷房の設定温度)を28度にしても、室温は28度にはなりません。
設定温度は一定、下げる必要があることは認識する必要があります。
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