従業員の満足度は、退職率や仕事のパフォーマンスに大きく影響を与える要素です。
それでは、どうすれば従業員の満足度を高めることができるでしょうか?
マネジメント力や共感力といった要素ではなく、シンプルにその領域の専門性が高いことが重要なようです。
もう少し噛み砕いて言うと「部下の仕事もできる上司」が望ましいようです。
上司の能力と労働者の幸福度の関係
従業員満足度を高める試みや調査は様々にされていますが、よく言われることとして「従業員は仕事が嫌だから辞めるのではなく、上司が嫌だから辞めるのだ。」という話があります。
この話を裏付ける調査があります。
調査では、35,000人の従業員と職場に対して分析が行われました。
分析は従業員満足度と上司に関する様々な変数に対して行われ、端的に多くの従業員が仕事に満足していることがわかったのですが、その分析の中で、従業員満足度に特徴的に影響を与える要素が「上司の能力」ということも示されました。
つまり、上司が有能であることは、一般的に労働者の仕事の満足度に大きな影響を与えるのです。
この要素は、例え高い給与であることよりも大きく、また、職種や教育レベル、勤続年数、産業等、仕事の満足度に影響しうるその他の要因よりも大きな影響力を持っていました。
この点は、上司が変わった際にも影響し、有能な新しい上司が来れば、その後の従業員の仕事の満足度が向上することも示されました。
つまり、優れた上司であるためには、マネジメント力や共感力といった能力も必要ですが、その領域での専門的な知識や技術・経験も必要、ということです。
人は、上司が自分の言っていることを適切に理解している場合に満足し、幸福度が高まり、パフォーマンスも向上させる、と考えれば、この話は不自然なことではないことがわかります。
組織運営に活かすには
日本の伝統的な企業では、職種を跨ぐ配置転換が一般的でした。
多くの職種を渡り歩き、幅広く専門性を身に着けつつ人脈も構築することが出世に必要だったということなのでしょうが、上述の知見を踏まえると、あまり望ましいことではないことが推測されます。
(現に、その方法で成長してきた過去の日本企業の多くは、この2~30年で衰退していっている。)
日本の労働者の満足度は、諸外国に比較して低いことが指摘されていましたが、もしかしたら「話が通じない」という点は大きく影響しているのかもしれません。
この「部下の仕事もできる上司」というあり方は、今後の組織運営において非常に重要な視点になる可能性があります。
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