運動と認知症リスクの関係は比較的よく知られています。
一方で、空気と認知症リスクの関係は、あまり知られていないのではないでしょうか。
ここでは、空気と認知症リスクの関係について科学的知見を見ていきます。
花粉症と認知症が関係がある???
まずは、花粉症と認知症リスクの関係についての研究です。
こちらの研究では、花粉症の“薬”を長期間に渡って服用すると認知症リスクが高まる、としています(花粉症の薬に限らず、不眠症等の薬も対象)。
3千人以上の65歳以上の高齢者を対象に、服薬履歴と認知症リスクについて追跡調査を行ったところ、長期に渡り服薬をしていた患者は、有意に認知症リスクが高くなることが示されました。
研究チームは、いくつかの薬について代替となる医薬品や治療方法等、別の手段を模索することを提案しています。
間接的にですが、花粉症が認知症リスクを高める可能性について示唆している形になります。
ただ、この話は過剰に心配する必要はないことも研究者たちは補足しています。
現状でわかっていることが少ないという点もそうですし、服薬についても特定の医薬品について長期に渡り多量な投与をされていること、が条件となるためです。
空気が悪いと認知症リスクが高まるのは確からしい模様
一方、こちらの研究では服薬とは関係なしに、空気が悪い(大気汚染の状況が酷い)と認知症リスクが高くなることを示しています。
研究では、65歳以上の女性約3,600人を対象に、居住環境の大気の状況と認知機能の関係について分析が行われました。
研究では、他の要因(経済的要因や社会的要因等々、認知機能に影響を与える様々な要因)を除去する前提で調査されました。
その結果、空気が悪い(大気汚染の状況が酷い)環境に居住している高齢者(女性)は、認知機能に悪影響を受けるリスクが約81%、認知症リスクが約92%高くなることが示されました。
このボリュームは、認知症患者全体の内、約2割が大気の影響を受けている可能性があることも併せて示されています。
空気の良し悪しは、日頃あまり意識をすることはないでしょうが、長期的な健康のみならず、認知機能の観点でも気を使った方が良い可能性が高いです。
近年は感染症の蔓延という背景もありマスクを着用することが当たり前になっていますが、関係無しにマスクは着用した方が良いかもしれませんし、家の中に空気清浄機を設置した方が良いかもしれません。
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