目標の公言は、目標達成にプラスになると言われているが本当か?

ビジョン的思考

よくある目標達成の方法の一つに「目標を公言すること」というものがあります。
応援してくれる人が増えるとか、公言することによって後に引けなくなるとか。
そういう話のようですが、これは果たして本当なのでしょうか?

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いわゆる公表効果

心理学の言葉で「公表効果」というものがあるようです。

定義的には、口にする言葉が意識の内側に影響を与えて、意識そのものが変化していくこと、というものらしいです。
簡単に言うと、口にした言葉って実現するよ!ということ。

この公表効果がビジネス等で使われるのが目標の話です。
いわく、目標達成のためには目標を公言するのが良い、と言われています。

なお、目標を公言することによるメリットは大きく3つあります。

  • 公表効果によりモチベーションがあがる(自分の意識が変わる)
  • 引くに引けない状況を作る
  • 応援する人が増える

本稿のテーマは、このメリットって本当なのか?という点にあります。

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実は、人は口にしただけで達成感を感じてしまう

このテーマは古くから研究されており、否定的な見解も多く出されています。

自分自身が計画していることを他の人に発表すること、目標の公言により自己同一性が十分に満たされ、必要なハードワークをするモチベーションが下がってしまうようなのです。

こちらの記事で紹介されている研究では、法学部の学生を対象に実験が行われました。

Does Announcing Your Goals Help You Succeed?
A new study looks at whether announcing your goals helps you follow through on them.

どのような実験が行われたのかと言うと、アンケートで学ぶ意思を問われ(当然、学生たちは学ぶ意思があると表明している)、では実際のどれだけの努力を示したのか?という調査です。
その結果、アンケートに対して記名をした学生より、匿名で回答した学生の方が多くの努力を行ったことが示されました。

他にも、面白い実験も紹介されています。

法学部の学生に最高裁判事の写真を5枚提示し、今、自分がどの程度まで目標に近づいているのか?を示すアンケートがとられました。
写真に写っている最高裁判事の大きさは、小さいものか大きいものまで5種類が用意されています。
ようは、最高裁判事の大きさで、達成度の自己評価具合がわかる、という仕組みです。

法学部の学生は、弁護士となって成功するために、どのような努力をしようと思っているのか?のアンケートも事前に行われ、このアンケートの中で例えば「法律系の専門誌を読むようにする。」というようなことを回答し、それを“公言”した学生は、どのような写真を選んだでしょう?

ここまで読んだ方ならもうわかるかと思うのですが、大きいサイズの最高裁判事の写真を選ぶ傾向が強かった、ということです。

公言するだけで達成した気になっている、ということですね。

(心理的には、人の脳内には自己イメージのシンボルがあり、会話によりその自己イメージが充足され、さらなる充足のための努力を怠る、という心理が働くようです。)

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公言するなら、どのような目標が良いのか?

では、目標を公言するのであれば、どのような目標が良いのでしょうか?

研究者は、具体の行動についてや、罰を受けるような目標公言が良いとしています。

例えば、マラソンに出るのであれば、「出場して完走する」とか「タイムいくらいくら出す」とかではなく、「週に5日、練習をする。」というような具体の行動や、「出場しなかったら思いっきり貶していいよ。ついでに何か奢るよ。」というような不満を感じてしまうような設定が良いとのこと。


目標の公言により、きちんと目標達成をしている人も大勢いるにはいますので、使い方の問題、と言えるでしょう。

目標公言が必ずしも良いことばかりではない、と認識して、時には黙して語らず、時には具体の行動のオープン化、というようコントロールができるのが良いのではないでしょうか。

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